JP2003213551A - 伸縮性経編地 - Google Patents
伸縮性経編地Info
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Abstract
表面質感が良好であり、使用時の耐久性にも優れた伸縮
性経編地を提供する。 【解決手段】 非弾性糸と弾性糸とを組み合わせて編成
された伸縮性経編地であって、前記非弾性糸の編成組織
は、1本の糸が同じコース上で複数針に渡るオーバーラ
ップを行ない複数の編目を形成する二目編組織〔A〕−
〔E〕を有し、前記弾性糸の編成組織〔M〕−〔R〕
は、1本の糸が同じコース上では単独の編目を形成する
か編目を形成していない伸縮性経編地。
Description
し、詳しくは、ナイロンなどの非弾性糸からなる編成組
織を基本にしてポリウレタン弾性糸などの弾性糸を組み
合わせることで伸縮性を向上させた伸縮性経編地を対象
にしている。
せた伸縮性経編地は、スポーツウェアや女性用インナー
ウェアなど、弾力的な伸び縮みが要求される衣料品用途
などに広く利用されている。伸縮性経編地に優れた伸縮
性を付与するために、弾性糸の編成組織について様々な
工夫がなされている。例えば、本件出願人は、実公昭5
9−2148号公報に開示され、商品名「トリスキン
(登録商標)」と名付けられた伸縮性経編地を開発し、
製造販売している。この伸縮性経編地は、非弾性糸から
なる地組織に、振り幅の異なる2種類の弾性糸を挿入編
成することで、経緯両方向に優れた伸びとパワーを発揮
することができる。
二目編にすることで、経緯だけでなく斜め方向を含めた
全方向にバランスの取れた伸びとパワーを発揮させる技
術も提案されている。そのほかにも、弾性糸の編成組織
を工夫したり、弾性糸の材質や特性を向上させたりする
ことで、伸縮性経編地の性能向上を図ることが考えられ
ている。
来の伸縮性経編地は、伸縮性を付与するために弾性糸を
用いていることで、表面の質感があまり良くないという
問題がある。ポリウレタン弾性糸などの弾性糸は、非弾
性糸に比べると、表面にザラツキがある。弾性糸を編み
込んだ経編地は、弾性糸が表面に露出する部分で表面質
感が低下することになる。綿のような優しい当接感を実
現することはできない。例えば、前記した実公昭59−
2148号公報の技術では、弾性糸の組織を工夫するこ
とで、経編地の表面側については通常の非弾性糸のみか
らなる経編地と遜色のない滑らかさが得られるが、裏面
側については、少しザラツキが残る。
は、優れた伸縮性を有する反面、経編地の表裏ともにザ
ラザラした質感でゴム面のような風合になってしまう。
弾性糸を使った伸縮性経編地は、破裂強度や引裂強度に
劣るという問題もある。これは、一般的に、弾性糸は非
弾性糸に比べて前記強度特性に劣っているため、弾性糸
を編み込んだ経編地は、衣料品などに使用しているうち
に、引裂きや破裂が生じる心配があり、耐久性に劣ると
いう問題がある。さらに、前記した弾性糸を二目編で組
み込む技術では、特別な設定が必要であるほか、編成さ
れた経編地にカールが生じて使用し難いという問題や、
非弾性糸に比べてコストのかかる弾性糸を大量に使用す
るために、経編地の生産コストが高くつくという問題も
ある。
ける伸縮性経編地の問題点を解消し、優れた伸縮性を有
すると同時に、表裏両面の表面質感が良好であり、使用
時の耐久性にも優れた伸縮性経編地を提供することであ
る。
編地は、非弾性糸と弾性糸とを組み合わせて編成された
伸縮性経編地であって、前記非弾性糸の編成組織は、1
本の糸が、同じコース上で複数針に渡るオーバーラップ
を行ない複数の編目を形成する二目編組織を有し、前記
弾性糸の編成組織は、1本の糸が、同じコース上では単
独の編目を形成するか編目を形成していない。 〔非弾性糸〕通常の経編地と同様の糸材料が使用でき
る。
く、弾性糸に比べて弾性あるいは伸縮性の少ない糸であ
ればよい。具体的には、本明細書において、非弾性糸と
は、伸び100%未満の糸を意味する。好ましくは、伸
び60%未満の糸である。綿などの天然繊維、ナイロン
などの合成繊維、さらには半合成繊維や再生繊維なども
使用できる。これらの繊維からなるフィラメント糸、紡
績糸、交撚糸などの何れも形態でもよい。非弾性糸の太
さは、フィラメント糸の場合、15−235dtexが
採用でき、22−78dtexが好ましい。紡績糸の場
合、40−140綿番手が採用でき、50−80綿番手
が好ましい。
織は、1本の糸が、同じコース上で複数針に渡るオーバ
ーラップを行ない複数の編目を形成する二目編組織を有
する。具体的な編成組織は、通常の二目編組織と共通す
る技術が適用できる。非弾性糸の編成組織は、フルセッ
トまたは1イン1アウトでよい。非弾性糸の編成組織に
は、前記した二目編組織に加えて、二目編組織以外の各
種の編成組織を組み合わせることもできる。1枚の経編
地に、二目編組織の領域と二目編組織以外の領域とが配
置されてあってもよい。
経編地で使用されている弾性糸と同様のものが採用でき
る。例えば、ポリウレタン弾性糸が使用できる。スパン
デックスとして知られる高弾性ポリウレタン糸が使用で
きる。弾性糸としては、伸び200%以上のものが使用
できる。好ましくは、伸び400%以上である。編目を
形成する編成組織で弾性糸を用いる場合は、20−15
6dtexの太さが好ましく、編目を形成しない編成組
織では17−620dtexが好ましい。
る場合、第1および第2の弾性糸を22−620dte
xの範囲で同じ太さにしたり太さを変えて組み合わせた
りすることができる。 〔弾性糸の編成組織〕弾性糸の編成組織は、1本の糸
が、同じコース上では単独の編目を形成するか編目を形
成しない。具体的には、以下の編成組織が採用できる。
第1の弾性糸が全ウェールにわたってコース毎に1〜2
針の振り幅で挿入され、第2の弾性糸が全ウェールにわ
たってコース毎に1〜3針の振り幅で挿入される編成組
織が採用できる。この編成組織は、前記した実公昭59
−2148号公報に開示された編成組織のうち、弾性糸
の編成組織を適用することができる。同様に、第271
8441号公報、特開2000−220065号公報な
どに開示された編成組織における、弾性糸の編成組織を
適用することもできる。第1、第2の弾性糸に加えて、
第3の弾性糸を、別の編成組織で挿入することもでき
る。
に編目を形成する編成組織が採用できる。1本の弾性糸
がコース毎に隣のウェールに渡って編目を形成する編成
組織からなる群から選ばれる何れか1種の編成組織が採
用できる。 〔伸縮性経編地の編成〕前記した非弾性糸および弾性糸
の編成組織を組み合わせて伸縮性経編地を編成する。編
成装置や編成条件は、基本的には通常の伸縮性経編地と
同様の技術が適用できる。
ード機構付ラッシェル機、トリコット機などが使用され
る。通常、編成装置のフロント筬に非弾性糸、ミドル筬
あるいはバック筬に弾性糸が供給される。非弾性糸の供
給量は、編成組織や糸条件などによっても異なるが、二
目編組織を編成する場合、1800−3400mm/R
の範囲に設定できる。弾性糸の供給量は、90−900
mm/R(整経ストレッチst100%)の範囲に設定
できる。
は、弾性糸による優れた伸縮性すなわち伸びおよびパワ
ーと、良好な表面質感や高い引裂強度、破裂強度など、
従来の伸縮性経編地では達成し難かった特性を兼ね備え
たものとなる。その理由は、伸縮性経編地において、非
弾性糸で構成される二目編組織が、弾性糸の編成組織を
覆う形態になり、経編地の両面には非弾性糸による良好
な表面質感が現出されるものと推測できる。非弾性糸の
二目編組織は、引裂強度や破裂強度を格段に向上させ
る。しかも、非弾性糸の二目編組織は、弾性糸による優
れた伸縮性を阻害することが少ないという利点も発揮さ
れる。
に優れたものが好ましい。特に、経緯両方向、出来れば
斜め方向も含めて、伸びおよびパワーのバランスが取れ
たものが好ましい。具体的には、伸びが200−370
%(タテ)、100−250(ヨコ)、150−300
(ナナメ)、パワーが150−1000kg(タテ)、
300−1500kg(ヨコ)、200−1200(ナ
ナメ)であるものが好ましい。使用時の耐久性などを向
上させるために、引裂強度の高いものが好ましく、具体
的には引裂強度700g以上、好ましくは1200g以
上に設定できる。また、破裂強度の高いものが好まし
く、具体的には破裂強度200kPa以上、好ましくは
300kPa以上に設定できる。
非弾性糸および弾性糸の糸使いおよび編成組織の組み合
わせによって調整することができる。 〔用途〕通常の伸縮性経編地が使用される用途に使用で
きる。特に、外観性や着用感が要求される衣料品などに
好適である。例えば、ガードルやブラジャー、ボディー
スーツ、ショーツなどの女性用インナーウェアがある。
水着やレオタード、スキーウェアなどのスポーツウェア
もある。
非弾性糸および弾性糸の組織を模式的に示している。図
1(a)は、非弾性糸の編成組織を示し、1本の糸が、
同じコース上で複数針に渡るオーバーラップを行ない複
数の編目を形成する二目編組織を構成している。編成組
織〔A〕は、2針に渡るオーバーラップを行なって、2
個の編目が設けられている。編成組織〔B〕は、3針渡
るオーバーラップを行なっている。編成組織〔C〕−
〔E〕は、さらに、編目の構造やオーバーラップ幅など
を種々に変更している。
1本の糸が、同じコース上では単独の編目を形成するか
編目を形成していない。そのうち、編成組織〔M〕は、
いわゆる鎖編組織である。編成組織〔N〕は、コース毎
にループを形成している。編成組織〔O〕は、1針また
は2針の振り幅で挿入された挿入組織である。編成組織
〔P〕は、1針の振り幅からなる挿入組織である。編成
組織〔Q〕は、1針または3針の振り幅からなる挿入組
織である。編成組織〔R〕は、一部のコースではループ
を形成し、他のコースでは挿入されている。これらの基
本的な編成組織を適宜に組み合わせることで、伸縮性経
編地が構成できる。
レ社製) GB2: ― B.GB3:ライクラ117T−127C(東レ・デュ
ポン社製) B.GB4:ライクラ44T−127C(東レ・デュポ
ン社製) ここで、Fはフロント筬、Bはバック筬を示す。以下も
同様。
ーラップを行ない2個の編目を形成する二目編になって
いる。
幅で挿入されている。GB3の弾性糸は、コースによっ
て1針または3針の振り幅で挿入されている。 <給糸量> F.GB1:2900mm/R B.GB3:140mm/R(st75%) B.GB4:225mm/R(st100%) <仕上がり性量> コース:147c/in、ウェール:43.6w/in 生地厚み:0.55mm <伸縮性>得られた経編地に対して、引張試験を行なっ
た結果を示す。
た。 ほつれ :非常に強い。 破裂強度:470kPa(4.8kgf/cm2) 引裂強度:1269g カール :0度 透け感 :透けない。 風合 :非常に柔らかく、優しいタッチであり、表裏
とも差がない。 〔比較例1〕弾性糸を二目編で編成している。
レ社製) GB2:ライクラ44T−127C(東レ・デュポン社
製) B.GB3: ― B.GB4: ― <筬への配列> F.GB1:フルセッティング(混率52%) GB2:フルセッティング(混率48%) <編組織>図3参照。
のオーバーラップは無く、編目は1個だけである。GB
2の弾性糸は、実施例1の非弾性糸と同じ編成組織の二
目編である。 <給糸量> F.GB1:1350mm/R GB2:1900mm/R(st100%) <仕上がり性量> コース:122c/in、ウェール:60.0w/in 生地厚み:0.59mm <伸縮性>
いる。 〔比較例2〕実公昭59−2148号公報に記載の技術
である。非弾性糸からなる地組織に、2種類の弾性糸を
挿入している。非弾性糸の編成組織は、二目編ではな
い。
レ社製) M.GB3:ライクラ156T−127C(東レ・デュ
ポン社製) B.GB4:ライクラ44T−127C(東レ・デュポ
ン社製) <筬への配列> F.GB1:フルセッティング(混率70%) M.GB3:フルセッティング(混率16%) B.GB4:フルセッティング(混率14%) <編組織>図4参照。
のオーバーラップは無く、編目は1個だけである。GB
2とGB3の弾性糸は、実施例1と同じく、振り幅が異
なる2種類の挿入組織である。 <給糸量> F.GB1:1100mm/R B.GB3:98mm/R(st75%) B.GB4:350mm/R(st100%) <仕上がり性量> コース:207c/in、ウェール:50w/in 生地厚み:0.43mm <伸縮性>
い。 破裂強度:147kPa(1.5kgf/cm2) 引裂強度:1084g カール :0度 透け感 :透ける。 風合 :柔らかさはあるが、表の滑らかさに比べて裏
は少しザラツキがある。
て、タテヨコ斜めの何れの方向にも優れた伸びおよびパ
ワーを発揮できる。ところが、編地の風合いが劣り、端
部にカールが発生して使用し難いものとなる。破裂強度
や引裂強度もあまり強くない。 (2) 比較例2では、2種類の弾性糸を組み合わせたこと
によって、比較例1よりは少ないが、実用的に十分な伸
びおよびパワーを示す。ところが、編地の風合は、表は
滑らかであるが、裏に少しザラツキがでる。透け感があ
るため、用途によっては使用し難いこともある。破裂強
度もそれほど高くない。
方向での伸びとパワーとのバランスという点では少し劣
るが、比較例2とはほぼ同等であり、実用的に十分な伸
縮性を有している。比較例1のようなカール発生の問題
はなく、破裂強度および引裂強度は比較例1,2に比べ
て格段に優れている。また、表裏とも同等に、柔らかく
美しいタッチを有しており、使用者の肌に接触するよう
な各種衣料品に極めて適したものである。非弾性糸に比
べて高価な弾性糸の使用量が、比較例1よりも大幅に減
っているので、製造コストの低減が図れる。
糸の編成組織に、いわゆる二目編組織を採用すること
で、従来の伸縮性経編地の特長である優れた伸びおよび
パワーを損なうことなく、従来の伸縮性経編地が有する
欠点を解消することができた。すなわち、生地が柔らか
くなり、優しい接触感があり、緻密で透け感がなく、し
かも、表裏の質感の違いも少ない。破裂強度が高くな
り、引裂き強力が大きく、ほつれ難い利点も発揮でき
る。弾性糸の編成組織に特殊な変更が不要であるため、
一般的な編成装置や編成条件が採用できる。弾性糸の使
用量も少なくて済むので、能率的かつ低コストで製造で
きる。
糸の編成組織図
織図
Claims (4)
- 【請求項1】非弾性糸と弾性糸とを組み合わせて編成さ
れた伸縮性経編地であって、 前記非弾性糸の編成組織は、1本の糸が同じコース上で
複数針に渡るオーバーラップを行ない複数の編目を形成
する二目編組織を有し、 前記弾性糸の編成組織は、1本の糸が同じコース上では
単独の編目を形成するか編目を形成していない伸縮性経
編地。 - 【請求項2】前記弾性糸の編成組織は、第1の弾性糸が
全ウェールにわたってコース毎に1〜2針の振り幅で挿
入され、第2の弾性糸が全ウェールにわたってコース毎
に1〜3針の振り幅で挿入される編成組織、1本の弾性
糸が同じウェール上でコース毎に編目を形成する編成組
織、および、1本の弾性糸がコース毎に隣のウェールに
渡って編目を形成する編成組織からなる群から選ばれる
何れか1種の編成組織を有する請求項1に記載の伸縮性
経編地。 - 【請求項3】前記非弾性糸の二目編組織は、フルセット
または1イン1アウトである請求項1または2に記載の
伸縮性経編地。 - 【請求項4】前記非弾性糸は、伸度100%未満であっ
て、15−235dtexのフィラメント糸または40
−140綿番手の紡績糸であり、 前記弾性糸は、伸度200%以上であり、前記編目を形
成する編成組織では17−156dtex、前記編目を
形成しない編成組織では20−620dtexである請
求項1−3の何れかに記載の伸縮性経編地。
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-
2002
- 2002-01-18 JP JP2002010758A patent/JP4210062B2/ja not_active Expired - Fee Related
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