JPH05336971A - Pcrの改良方法 - Google Patents

Pcrの改良方法

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JPH05336971A
JPH05336971A JP4238788A JP23878892A JPH05336971A JP H05336971 A JPH05336971 A JP H05336971A JP 4238788 A JP4238788 A JP 4238788A JP 23878892 A JP23878892 A JP 23878892A JP H05336971 A JPH05336971 A JP H05336971A
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nucleic acid
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cells
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明はインサイツポリメレース連鎖反応方
法(PCR)の改良を提供する。 【構成】 細胞から由来する特定の核酸の配列を細胞内
でインビトロで酵素的に増幅させる方法である、インサ
イツ ポリメレース連鎖反応法(PCR)の改良を、酵
素反応の開始の方法に変更を加えることによって、達成
しえた。反応の開始は、PCR熱循環反応がスタートす
るまで遅らされるが、これは熱サイクル反応が開始する
直前の50℃ないし80℃まで細胞調整物が加温される
までPCR反応用の試薬のサブセットを細胞調整物から
離しておくか、あるいは50℃以下では反応をブロック
する一本鎖DNA結合蛋白をPCR反応用の試薬に加え
ることによって達成される。すでに顕微鏡用スライドグ
ラス上に固定されている細胞調整物にたいしてインサイ
ツPCR反応を行なう場合も、顕微鏡用のスライドグラ
スを最適のかたちで保持し、蒸発防止のためのバリアー
で覆えるように設計された試料用のブロックあるいはコ
ンパートメントを使用することによって、熱サイクル反
応行なうことができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】本出願の発明は、インサイツポリメレース
チェーン反応を簡単にかつ精度および特異性を向上させ
る新しい(反応の)構成、装置および方法について述べ
るもので、インサイツポリメレースチェーン反応とはお
のおのの細胞内で特定の核配列を増幅しその検出を行な
う方法で、細胞生物学、法医学、臨床病理、獣医病理お
よび植物病理学などの分野で利用されている。
【0002】ポリメレースチェーン反応(PCR)とは
テスト試料中の特定の核酸配列を数オーダー以上増幅さ
せる方法である。PCR法については米国特許第4、6
83、195号、第4、683、202号および第4、
965、188号に記述されている。
【0003】いわゆるインサイツ核酸ハイブリダイゼー
ション法(インサイツ核酸雑種形成法)は、細胞あるい
は細胞器官内でそれより由来する目的とする核酸配列を
検出するために開発されてきた方法である(これについ
てはNagaiらの1987年、Intl.J.Gy
n.Path.6巻、366−379ページを見られた
い)。典型的なインサイツハイブリダイゼーション法で
は以下の操作を必要とする、(1)組織化学的な切片標
本あるいは細胞化学的な塗沫標本を化学的に固定し(す
なわちフォルムアルデヒドなどで)細胞構造の蛋白を安
定化し顕微鏡用のスライドグラスに付着させ、(2)そ
の細胞調整物中の核酸の変性を行ない、(3)変性した
細胞DNA内の目的のシーケンスに相補的な、標識した
核酸プローブとアニーリング行なわせ、(4)目的の核
酸にアニールしたタグ(プローブ)の位置的な検出を、
プローブタグより直接あるいは間接的に出される非放射
性シグナル(吸収あるいは蛍光染色)や放射性シグナル
(オートラジオグラフィー)を顕微鏡で調べることによ
って行なわれる。しかしながら従来のインサイツハイブ
リダイゼーション法の感度はそれほど高くなく、細胞内
に目的のシーケンスが存在することを調べるためには、
そのシーケンスが1細胞当たり数十から数百コピー数存
在することが必要とされている。
【0004】最近、PCR増幅法による目的シーケンス
の増幅による検出感度の増強ととインサイツハイブリダ
イゼーション法による目的シーケンスの局在同定が組み
合わされてインサイツPCR法が開発された、すなわち
化学的に固定した細胞を顕微鏡用のスライドグラスに付
着させる前に細胞内でPCR法を行ない、放射性標識し
たプローブからのオートラジオグラフィーを顕微鏡で検
索し増幅された核酸の局在を同定する方法である(Ha
sseら、1990年、Proc.Natl.Aca
d.Sci.USA,87巻、4971−4975ペー
ジ)。インサイツ増幅の間、細胞は(反応液中に)浮遊
している状態におかれる。
【0005】インサイツPCR反応においては細胞の処
理にあたってPCR法で必要とされる2つの相反する要
求を満たすように微妙な調整が必要とされる:すなわち
細胞膜および細胞器官の膜(核膜など)は外より加えら
れたPCR反応液がターゲットの核酸に到達するように
十分透過性を有し、かつ増幅された核酸が増幅された細
胞内あるいは細胞内器官より外に漏出しないように十分
無庇で非有孔性であああることが必要である。しかも、
増幅された核酸は細胞内器官で顕微鏡でシグナルが検出
可能な程度に十分濃縮され、かつ変性−プローブアニー
リングの過程で再アニーリング(ターゲートの核酸同志
で)しないように希釈されている必要がある。Hass
eらは、前出の論文中でパラフォルムアルデヒドによる
細胞の固定が十分かつ過剰でない透過性を細胞にもたら
したと述べている。
【0006】Hasseらは前出の論文で、細胞内器官
で増幅されるターゲットの核酸を細胞内器官によりよく
保持されるように、ターゲットの器官内の遺伝子のター
ゲットのシーケンスを一続きでオーバーラップするよう
なPCR用プライマーの一連のペアーを使用している。
この結果作られるPCRの産物はかなり大きくなること
が予想され(1000塩基対以上)そのため合成された
場所からの拡散が抑えられた。しかしながら、多数のプ
ライマーペアーを使用するとインサイツPCRの実用性
を著しく減少させることになる、というのは多数の合成
オリゴヌクレオタイドを作るのに費用がかかるだけでな
く、より問題なのは、多数のPCRターゲットとなる生
物体、特に病原性のウィルスの場合遺伝的に変化しやす
く、適切なプライマーとプローブを得るのに必要な変化
に乏しいシーケンスの短いシーケンスでさえ見つけるの
が難しい。別の重要なターゲットシーケンス、すなわち
活性化された癌遺伝子、不活性化された癌抑制遺伝子、
発癌性の染色体転座、体細胞の点突然変異および染色体
の再配置は一組のプライマーペアーを使用して比較的短
いPCR産物が増幅された場合もとのシーケンスから区
別することが可能となる。多数のプライマーのペアーの
使用と長い構造(PCR産物の)は癌細胞とそれに対応
する正常細胞とを区別するのに必要とされる精度を失わ
せる可能性がある。多数のプライマーのペアーは以下の
種々の様式でPCR反応を妨げる可能性がある;プライ
マー同志のダイマー形成およびミスプライミング、反応
の精度および特異性の減少、非特異的な増幅によるター
ゲットシーケンスの増幅の著しい低下による偽陰性の結
果を生じる可能性がふえることが考えられる。
【0007】本出願の発明ではインサイツPCRの利用
性、精度、特異性を向上させ、またひとつのターゲット
シーケンスを検出するために多数のプライマーペアーを
使用する必要性をなくしている。こうして、インサイツ
PCR法で個々のアレーレを区別することが可能とな
る。
【0008】第一の方式として、本発明ではインサイツ
ポリメレースチェーン反応法(PCR)を改良し増幅の
特異性と感度を向上させた。この改良とは、少なくとも
一種のPCR反応用の試薬を固定した細胞、PCR反応
試薬、必要によっては一本鎖DNA結合蛋白からなる調
整した試科から、その試料が最適な温度範囲である50
℃から80℃に加熱されるまで離しておき、非特異的な
核酸のポリメレース反応が起こらないようにするもので
ある。この方法は固定された細胞が顕微鏡用のスライド
グラスに付着される前、後いずれにもおなじように応用
ができる。
【0009】第二の方式として、改良したインサイツP
CR法では反応液中に一本鎖DNA結合蛋白を、非特異
的なポリメレース反応と干渉しかつ特異的なターゲット
の増幅は抑えないような濃度で加えることにより精度と
感度の向上を計っている。SSB活性を持つような自然
産物、遺伝子工学的産物あるいは完全に合成されたポリ
ペプチドいずれもインサイツPCRにおいて有用であ
る。第二の点に関しても細胞のスライドグラスへの付着
と核酸増幅反応との時間的な順序は無関係である。
【0010】第三に、本発明では自動化PCR増幅に用
いるサーマルサイクラーの改良についてのべていて、こ
こで反応液を速やかに加熱しあるいは冷却するためのサ
ンプルコンパートメントのなかに顕微鏡スライドグラス
が保持される。ひとつの具現化として、サンプルコンパ
ートメントは表面が水平で平滑な金属のブロックからで
きていて、一枚ないし数枚のスライドグラスをその最大
の次元(面積)が水平の向きになるように保持する。平
滑面は井戸状の下面に設置して、サーマルサイクリング
の間インサイツPCRの試料が乾燥するのを防ぐための
鉱物オイルの浅い蒸発防止膜を保持するのに適した形状
にすることもありうる。他の具現化として、一つないし
それ以上のスロットを有する金属ブロックからできてい
て、スライドグラスの最大の次元が垂直方向に向くよう
に納めることができる構造を有するコンパートメントが
ありうる。このような配置法では実質的に一度に解析で
きるスライドグラスの数を増やすことが可能となる。三
番目の具現化として、熱伝導性の移動する液体をそな
え、その液体の流れのなかにスライドグラスを固定する
ためのホルダーをそなえたコンパートメントがある。こ
の三番目の具現化には、スライドグラスを包んで、乾燥
とPCR反応液が流れ出さないようにするためのプラス
チックケースも含まれている。
【0011】本出願の最初の2つの方式はインサイツP
CRの精度と感度を改善した点であり、ターゲットとな
る核酸シーケンスが一細胞当たり1コピーの細胞からも
確実に検出できるため偽陰性の判定をへらすことにな
る。精度が上昇することによって増幅した核酸の検出が
容易になる。従来のインサイツの核酸解析法ではターゲ
ットとなる核酸配列に相補的な配列をもつ標識化核酸プ
ローブが(ターゲットと)アニーリングする必要がある
が、増幅の精度が高い場合、標識プライマーの取り込み
の検出は高い信頼性をもって行なえ、更に非特異的な核
酸の増幅にプライマーが取り込まれることに起因する偽
陽性の結果を考慮する必要が少なくなる。従って、さら
に検証を行なう必要はなくなるが、行なっても構わな
い。感度が高まることはインサイツPCR後の増幅され
た核酸の検出が容易に行なえることを意味する、すなわ
ち多量の解析対象物がつくられることから、オートラジ
オグラフィーによって検出していた放射性のシグナルを
非放射性のシグナルで置き換えることが可能となる。吸
光、蛍光、化学発光によるシグナルは放射崩壊によるシ
グナルに比べ早く、簡単に、安全に記録を行なえる。非
放射的な検出を採用することは、(生物あるいは医学の
研究者とは対称的に)臨床病理家、他のルーチン検査の
従事者にインサイツPCRにおおいに関心を抱かせるで
あろう。
【0012】本発明の始めの2つの方式はまたひとつの
ターゲット配列を感度よく検出するための複数のプライ
マーペアーの使用の必要を解消したという点でインサイ
ツPCRの実用性と一般性をおおいに高めている。出費
の点は別にしても、複数のプライマーペアーの使用は、
多くのレトロウィルスなどのように高度に多様性を示す
ような生物体を対象にする場合や、多くの発癌に関わる
体細胞性の突然変異のようなアレーレ特異的な増幅をP
CR法によって検知しようとする場合、適用が困難であ
る。一組のプライマーペアーの使用がインサイツPCR
で可能となったことから、従来のPCR法と同じように
適用が広がってきた。マルチプレックスPCR、デジェ
ネレートプライミング、ネステッドプライミング、アレ
ーレ特異的増幅法、片側PCR、RNA−PCRなどの
特殊な応用もインサイツへ転用することが可能であろ
う。
【0013】本発明の第二の方式もまた重要な改良点で
ある。HotStartTM法は非特異的な産物を作り
出す、増幅反応前に起こる副作用のみを阻止する方法で
ある;SSBもサーマルサイクリング中におきるプライ
ミングのミスを減少させる働きがあるようである。従っ
て、SSBは非特異的な増幅を減少させるためにより効
果的である。更に、PCR反応液中にSSBを加えるこ
とによって手動でHotStartTM法を行なう必要
がなくなる、というのは手動でHotStartTM
を行なう場合インサイツPCRの試料を損傷させたり乾
燥させたりせずに抜けているPCR反応用の試薬を素早
く加えるにはいささかの熟練を要するからである。反応
に必要な成分全てが室温下でまとめられて加熱前に蒸発
防止用のカバーがかけられることは、加熱された材料に
操作を行なってかつ加熱された反応系に蒸発防止カバー
を施すのに比べ、より信頼性が高い。
【0014】インサイツPCRの日常業務への適応を促
進することによって、本発明の始めの二点は超高感度な
核酸の検出能力を、臨床病理学、獣医病理学あるいは植
物病理学などの新たな分野の実践的な問題に差し伸べる
ことになる。これらの専門的な分野においては、生物試
料での解析対象物の局在に関する情報にもとずいて精確
な判定をする場合が普通で、従来のPCR法では容易に
情報を得ることができない。更にインサイツPCRで
は、解析対象物は普通細胞内の局在、多くは核内に局在
するので、前の反応で増幅されたターゲット配列による
混入による偽陽性が生じる可能性は本質的にない。更
に、たとえば細胞表面抗原にたいする多重染色を行なう
ことによって疾患の診断あるいは感染細胞の頻度にもと
ずく予後の推定が可能となる。HIV−Iなどの向リン
パ球性レトロウィルスに感染していると思われる患者の
血液あるいはバイオプシー検体にインサイツPCRを行
なうことによって、ウィルス遺伝子あるいはウィルス粒
子が組み込まれたCD4(表面抗原)陽性の細胞分画の
予後についての価値ある情報を得ることができる。
【0015】本発明で、装置の熱ブロックを加工したこ
とによりサーマルサイクリング中の熱の伝導が早くなり
より均一になったことから、スライドグラス上でのイン
サイツPCRがより早く信頼性をもって行なえるように
なった。
【0016】本発明の理解を助けるために、いくつかの
定義を下に示す
【0017】”PCR”とは一つないしそれ以上の特定
の核酸配列を増幅させるプロセスを意味し、ここで
(1)増幅される核酸配列の末端を定めるためのオリゴ
ヌクレオタイドプライマーが試料中の一本鎖核酸にアニ
ールして、(2)核酸ポリメレースがアニールしたプラ
イマーの3’端より、プライマーがアニールした核酸に
相補的な核酸鎖を合成伸張し、(3)反応後生じた二本
鎖核酸を変性して二本の一本鎖核酸にし、(4)プライ
マーから増幅される核酸配列が容易に同定でき定量可能
になるまで、プライマーのアニーリンス、プライマーか
らの伸長、伸長産物の変性の繰り返しを十分おこなうプ
ロセスである。一連のアニーリング、伸長、変性の各ス
テップの制御は実際は温度を変化することによって行な
われ、普通サイクルを繰り返して行なわれる。アニーリ
ングと伸長は40℃から80℃の範囲で最適であり(精
確な値はプライマーの濃度および配列の内容によって変
わる)、変性は80℃から100℃の温度が必要となる
(精確な値は鋳型核酸の濃度および配列の内容によって
変わる)。
【0018】”サーマルサイクリング”は普通”サーマ
ルサイクラー”と言われる装置によって自動的に行なわ
れ、このサーマルサイクラーはサンプルコンパートメン
トを迅速に(一分から数分のスケールで)加熱あるいは
冷却を行なう装置で、サンプルコンパートメントはその
内部で核酸増幅反応を行なう管とそのPCR管に直接接
触している熱伝導媒体を含んだコンテナーを全体的にあ
るいは部分的に覆っている。最も一般的なサンプルコン
パートメントはサンプルブロックという形態のもので、
普通金属製、アルミニウム性が好ましい。普及している
サンプルブロックは、PCR増幅反応を行なうのに通常
使用されているプラスチック性の微量遠心用チューブが
ぴったり合うようなかたちのウェル(井戸状の窪み)が
付けられている。本発明のサンプルブロックはこの円錐
状のウェルのいくつかあるいは全てを平滑面あるいはス
ロット状のものにおきかえてスライドグラスの加熱、冷
却に最適になるように設計した。また、一般的ではない
がサンプルコンパートメントが、加温あるいは冷却され
た、エアーあるいは水のような熱伝導体のなかを通って
反応チューブがその熱伝導体に浴されるような設計にな
っているものもある。
【0019】”PCR用試薬”とは化学物質で、試料中
の核酸とは区別して、核酸の増幅反応を行なうのに必要
なものをさす。5つのクラスの構成があり:(1)水性
の反応緩衝液、(2)水溶性のマグネシウム塩、(3)
最低4種のデオキシリポヌクレオシド三リン酸化合物
(dNTP)、(4)オリゴヌクレオタイドプライマー
(通常各ターゲットシーケンスに対する2つ(一組)
で、二本鎖ターゲット核酸のそれぞれの相補鎖の5’端
を決める配列である)、および(5)ポリヌクレオタイ
ドポリメレース、DNAポリメレースが好ましく、さら
に耐熱性DNAポリメレースが最も望ましい、この耐熱
性DNAポリメレースは90℃から100℃の温度範囲
で最低10分さらされてもその活性の半分以上を保って
いる。
【0020】4種の通常使用されるdNTPとはサイミ
ジン三リン酸(dTTP)、デオキシアデノシン三リン
酸(dATP)、デオキシシチジン三リン酸(dCT
P),デオキシグアノシン三リン酸(dGTP)であ
る。これらは増量したりあるいは必要によっては、通常
の4種の塩基と同じようにワトソン−クリック塩基対を
形成する塩基アナログで置き換えることもある。このよ
うなアナログとしてはデオキシウリジン三リン酸(dU
TP)や、さらにdUTPにビオチンあるいはジゴキシ
ゲニンのような分子タグをウラシル基にスペーサーアー
ムを介して共役結合させたものがある。
【0021】PCR試薬の”完全なセット”とは、試料
サンプル中の核酸は除いて、不可欠な反応物全てからな
る組み合わせであり、”サブセット”なPCR試薬とは
水性緩衝液以外の少なくとも一種以上の試薬が欠けてい
る状態を言う。”コンプリメント(補充物)”あるい
は”コンプリメンタリーサブセット(補足的なサブセッ
ト)”とは最初のサブセットで抜けているPCR反応試
薬すべてからなるサブセットである。PCRの”反応
物”とはPCR反応試薬と試料核骸が加わった状態をさ
す。
【0022】”HotStartTMPCR”とは試薬
のサブセットが、そのコンプリメントと試料サンプルよ
り後二者が非特異的なポリメレース活性が十分低くなる
温度約50℃から80℃に上昇するまで、離されてPC
R反応を行なうことを言う。その後PCR反応物はすべ
てミックスされて、反応温度の制御が行なわれながらサ
ーマルサイクリングが開始し、増幅反応が終了するまで
50℃以下に下がることはない。
【0023】”固定細胞”とは生物細胞の試料が化学的
に処理し、溶剤の交換、温度変化、機械的圧力、乾燥に
よる破壊に対し細胞構造特に細胞膜を強化することを言
う。細胞は浮遊状態で固定する場合もあるし、オートプ
シー、バイオプシー、外科手術的に採取された組織サン
プル中に含まれたかたちのままで固定される場合もあ
る。細胞固定剤は一般的に細胞構造体の蛋白成分をクロ
スリンクさせる化学物質で、蛋白のアミノ基と反応する
ものが普通である。良く使われる固定剤はバッファー化
されたホルマリン、95%エタノール、フォルムアルデ
ヒド、パラフォルムアルデヒド、グルタルアルデヒドで
ある。固定細胞はまた、PCR反応試薬にたいする固定
細胞膜の透過性を高めるために、蛋白を消化する酵素プ
ロテアーゼや膜脂質を溶かす界面活性剤や有機溶媒で処
理する場合もある。このような処理は脂質が除去された
り蛋白が部分的に切断されて細胞構造が完全にバラバラ
にならないように、細胞固定の後に行なわれる。プロテ
アーゼ処理は細胞固定後一時間以上後に行なうのが望ま
しく、それより間隔が短いのは好ましくない。一例とし
て、浮遊状態にした細胞(血液由来)ではバッファー化
されたホルマリンで10分固定しプロテアーゼ処理は行
なわないのが標準で、その後細胞化学の分野では標準的
な手法であるサイトスピン処理で浮遊細胞を遠心的にス
ライドグラス状に付着させる。
【0024】”組織化学的切片”とは生物組織の固形試
料が凍結あるいは化学的に固定され、ワックスあるいは
プラスチック中に包埋されて固形化され、薄いシート、
普通数ミクロン厚に切り出されて、スライドグラスに付
着させた状態を言う。
【0025】”細胞化学的塗沫標本”とは血液細胞のよ
うな浮遊状態の細胞が、化学的に固定されてスライドグ
ラスに付着させた状態を言う。
【0026】”インサイツPCR”とはPCR増幅反応
を固定細胞内で行なうことを指し、増幅された特定の核
酸が、増幅の対象となるターゲット核酸配列が本来ある
細胞あるいは細胞内構造物の中にとどまっているような
PCR反応である。細胞は水性の浮遊液の状態、組織化
学的切片、細胞化学的塗沫標本いずれでも構わない。細
胞は、PCR反応試薬が透過できるようにプロテアーゼ
消化あるいは界面活性剤、有機溶媒による脂質の抽出を
行なっておくのが望ましい。”インサイツPCRプレパ
レーション(調整物)”とは固定細胞とサブセットある
いは完全なセットのPCR反応試薬との組み合わせを指
す。
【0027】”蒸発防止バリアー”とは有機物質で水が
不溶で、PCR反応物あるいは調整物を覆ってサーマル
サイクリングの間に水分が大気中に逃げていくことを著
しくおさえるためのものである。蒸発防止バリアーの材
料としては鉱物油あるいはパラフィン油のような液状の
炭水化物が望ましいがある種の合成有機ポリマー、フル
オロカーボンやシリコンゴムなども有効なPCR蒸発防
止バリアーとして使える。ワックスは50℃以下では固
形でそれより高い温度では液体となるのでどうように蒸
発防止バリヤーとして使える。蒸発防止バリアーは薄い
プラスチックフィルムでも良く、反応物を大気から離す
ようにインサイツPCR調整物を完全に包み込んだり、
インサイツPCR調整物が乗っているスライドグラスに
貼り付けて使用する。
【0028】”−本鎖DNA結合蛋白(SSB)”とは
二本鎖DNAよりも一本鎖DNAにより強固に結合する
ポリペプチドである。自然界に見られるSSBには、バ
クテリオファージT4遺伝子32蛋白、フィラメンタス
バクテリオファージ遺伝子5蛋白、19KDaのサブユ
ニット分子量をもった大腸菌E.coli由来のSS
B、タバコモザイクウィルスの30KDa分子量の移動
性蛋白、Agrobacterium tumefac
iensのvirE2蛋白がある。
【0029】PCR増幅された核酸の”検出”とは、P
CRの反応物とは区別できて、PCR増幅産物に特異的
に関連していると思われるシグナルの観察、局在化、定
量的解析を指す。シグナルの解析は可視光あるいは紫外
光による吸収あるいは蛍光、化学発光、あるいは吸光、
蛍光、化学発光、電離放射線による写真、オートラジオ
グラフィーによって行なわれる。インサイツPCRの検
出はこのようなシグナルを顕微鏡下で観察あるいは記録
することを指す。シグナルは直接あるいは間接にPCR
プライマー、dNTPあるいは核酸プローブにつけられ
た分子標識から発生し、この分子標識には放射性分子、
発色団、蛍光団、化学発光物質、発色・蛍光・化学発光
物質を産生する酵素、あるいは解析シグナルを直接にな
っていたり触媒する分子あるいは粒子と反応する結合分
子などがある。普通に使われている結合分子としては一
つにはストレプトアビジンあるいはアビジンと強固に結
合するビオチンがあり、、もうひとつは抗ジゴキシゲニ
ン抗体と強固に結合するジゴキシゲニンがあり、また抗
フルオレセイン抗体と強固に結合するフルオレセインが
ある。アビジン、ストレプトアビジン、抗体は発色団、
蛍光団、放射性分子、発色・蛍光・化学発光物質を産生
する酵素を容易に結合することができる。
【0030】”核酸プローブ”とはオリゴヌクレオタイ
ドあるいはポリヌクレオタイドでPCR反応のターゲッ
ト配列の一部あるいは全部に対する相補鎖を含むもの
で、プローブにはインサイツPCR調整物の細胞内にお
ける局在を検出するためのタグが標識がされていて、こ
の調整物は溶剤の存在下で核酸プローブとミックスされ
て、特定の増幅される核酸にプローブがアニールするの
を促進するような温度条件下にさらされても標識タグは
保持される。
【0031】本発明においてインサイツPCRの目的で
細胞サンプルを固定する推奨する方法は、細胞サンプル
を10%ホルマリン、0.1%リン酸ナトリウム、pH
7.0で10分から24時間室温で行なう。細胞は血液
あるいはパッフィーコートのような血液分画から得た場
合は浮遊状態、臨床病理学で良く知られるバイオプシ
ー、オートプシー、手術操作によって得られる場合固形
の組織である。PCRを浮遊細胞に対して行なう場合、
浮遊細胞はホルマリン固定の後、遠心し、リン酸バッフ
ァー生理食塩水で再び浮遊化させ、再度遠心して固定液
を取り除くのがよい。洗って、ペレット化した細胞はP
CR反応用バッファーで再浮遊させ、直接PCR用のチ
ューブに入れる。PCRをスライドグラス上で行なう場
合、浮遊化させた細胞はサイトスピンでスライドグラス
に付着させ、バッファー化したホルマリン中で10分間
固定し、水で1分間洗い、95%エタノールで1分間洗
うのが望ましい。別の方法として、浮遊化させた細胞を
遠心管でペレット化し、ペレットをパラフィンに包埋し
て組織標本と同様に扱う。組織試料は処理を行なったの
ちパラフィンに包埋し、臨床病理学において標準となっ
ているミクロトーム処理で4−5μm厚の連続切片とす
る。組織化学的切片は直接スライドグラス上に乗せる。
いずれの場合も、スライドグラスはアセトンに2%濃度
で溶解した3アミノプロピルエトキシシランで処理し風
乾しておくのが望ましい。塗沫あるいは切片をスライド
グラス上に乗せた後、スライドグラスを60℃で約1時
間加熱する。パラフィン包埋した切片はキシレンで5分
間2回洗い、100%エタノールで5分間2回洗うこと
によって脱パラフィンをすることができ、洗いはすべて
室温中で軽く振蕩させながら行なう。
【0032】PCRプライマーシーケンスの選定、PC
R試薬、反応ミックスチャーの調整、PCR反応の設
定、実行はPCRの技術で良くしられている。浮遊細胞
にたいしての核酸の増幅を標準的なPCR用のチューブ
で行なう場合、細胞は従来のPCR検体サンプルと同様
の処理をうけることになる即ち:増幅を開始する直前に
反応ミックスチャーに希釈されて加えられ、その時の総
細胞数は約100から約10個にわたっている。本発
明の第一の方式を達成するために、従来のPCR反応に
変更を加えた点は少なくとも一種の試薬、酵素が望まし
いが、プライマー、dNTP、塩化マグネシウムいずれ
でも可能だが、反応ミックスチャーより除外しておくこ
とだけである。50−100μlの鉱物油を反応チュー
ブに加え、チューブをサーマルサイクラーに置き、サー
マルサイクラーは多くの形式のものが購入可能である、
50℃から80℃に加熱するが実際は70℃から80℃
が望ましい。チューブがこの温度に達したとき、除外し
てあった試薬を標準の手動サンプル注入器で蒸発防止バ
リヤーの下に加える、このときPCR用のバッファーを
用いて加える畳を5−15μlに調整するのが望まし
い。もし多数のサンプルを同時に異なったチューブで増
幅反応を行なう場合、クロスコンタミネーションを防止
するために、除外してあった試薬を加えるのにそれぞれ
のチューブ毎に新しいチップを使うべきである。全ての
チューブの調整が終わってキャップをした後、標準的な
変性、アニーリング伸張の3温度熱循環プログラムが1
0−40サイクル、サーマルサイクラーのマイクロプロ
セッサの制御のもとで行なわれる。場合によって、ある
いはこちらが普通に行なわれることもあるが、2温度循
環も行なうことができる、すなわちアニーリングと伸張
を同じ温度で行なうもので、プライマーとテンプレート
のアニーリングの条件を厳しく設定することで普通最適
化を画られる。細胞調整物を使う場合、無細胞系の核酸
を使用する場合に比較して反応の効率は多少とも低下す
るので、変性、アニール、伸張あるいはアニール−伸張
セグメントの間隔を、無細胞系のサンプルでの標準の値
より数倍増やす必要がある。この調節は試行を繰り返す
ことで容易に行なえ、増幅核酸の検出過程で最大のシグ
ナル強度を与えるような条件を求めるか、一定のシグナ
ル強度を得るのに必要な最小なサイクル数を求めること
で得られる。同様に最適化は反応液中の塩化マグネシウ
ム、dNTP,プライマー、酵素の濃度を変えることに
よって得られるが、これらのパラメーターはしばしば異
なったターゲットに対しては異なった最適値を与えるこ
とが多い。
【0033】本発明の第二の方式を反応チューブで行な
うについては、今のべた方法にいくつかの変更を要す
る。もはや前述したような手動によるHotStart
TM法を行なう必要はない:すなわちサーマルサイクリ
ング開始前に、室温下で全ての反応物をミックスし蒸発
防止バリアーを加えればよい。
【0034】しかしながら反応試薬をミックスする順序
は重要でSSBは最後に加えるべきでない。好ましくは
SSBはプライマーと共に予めまぜておきこの2種の試
薬を残りの反応物と混ぜるようにするのがよい。SSB
の最適量はSSBの種類とそれぞれの反応の一本鎖DN
Aの量によって変わり、前述したサーマルサイクルのパ
ラメータを最適化するクライテリアに従って試行を繰り
返して求められる。細胞調整物には普通一本鎖DNAは
わずかしか含まれていないので、反応物中のプライマー
の量からSSBの最適量を概算することが以下のように
してできる:(1)プライマーの数、濃度、反応液容積
から全てのプライマーの全モル数を計算する、(2)平
均プライマー長を使用する特定のSSBのフットプリン
ト長で割り最も近い整数に四捨五入する、(3)この整
数にブライマーの全モル数をかけてプライマー全てと反
応するのに必要なSSBの全モル数を求める、(4)計
算で得たSSBの最小量の0.5倍から2倍のSSBを
加える。更に正確な調整は試行を繰り返して行なう。S
SBのフットプリント数とは一つのSSB結合サイトが
占めるヌクレオタイド数である。以下に研究文献に報告
されているSSBフットプリント数を示す:バクテリオ
ファージT4遺伝子32蛋白では8;大腸菌SSB四量
体では33から65;フィラメンタスファージ遺伝子5
蛋白単量体当たり5;トバモウィルス移動蛋白30KD
a単量体当たり4−7;Agrobacterium
tumefaciensvirE2蛋白64KDa単量
体当たり30。
【0035】本発明の第一あるいは第二の方式いずれを
標準的なPCRチューブ内で固定浮遊細胞に行なう場合
も、顕微鏡による解析に必要なPCR後の処理として推
奨される方法は同じである。、前述したように有機シラ
ン処理されたスライドグラス上に付着させられる前に、
細胞はペッレト化され一回リン酸バッファー化生理食塩
水で洗われる、これは塗沫標本あるいはパラフィン包埋
ペレットのミクロトーム切片でも同様である。60℃で
一時間加熱してスライドグラスへの接着をより促進させ
る。
【0036】本発明の第一あるいは第二の方式を、スラ
イドグラスにのせられた組織化学的切片あるいは細胞化
学的塗沫標本に適用するとき、増幅反応の過程は前述し
たPCRチューブ内で行なうのとはいくつかの点で異な
っている。本発明の第一の方式でスライドグラス上で効
率的に行なおうとする場合、少なくとも一種、例えば酵
素、の試薬を除いたPCR反応試薬の5−10μlで切
片あるいは塗沫標本部を覆う。次にプラスチック製のカ
バーをこの上に被せ、スライドグラスを深さ約5−10
mmで底がスライドグラスより若干大きいアルミフォイ
ルせいのポート内に乗せ、このポートをサーマルサイク
ラーのサンプルブロック上に乗せる。サンプルブロック
が約80℃に達しこの温度を保つようになったとき、カ
バースリップを持ち上げ、除いてあった試薬を含んだP
CRバッファー2−10μlを反応ミックスチャーの表
面に流し込む。インサイツPCRの調整物が乾燥する前
にカバースリップをかぶせ直し爪用のエナメル液を一滴
カバースリップの一端につけてスライドグラスに固定さ
せ、スライドグラスを鉱物油でカバースリップ全部を端
もふくめて覆って大気と接しないようにする。鉱物油
は、それを加えることで一時的にPCR調整物の温度が
下がらないように、予め温めておくのが良い。このあと
標準的な2温度あるいは3温度の熱循環反応を40サイ
クルほど行なう。前述したように、サイクルのパラメー
タ、サイクル数、PCR反応試薬の濃度は、オイルで覆
ったスライドグラスの加熱・冷却が普通と異なることお
よびしけんサンプルの細胞的な性質による反応効率の変
化を補償するために最適な条件を決定する必要がある。
増幅反応終了後、鉱物油をキシレンのような有機溶剤で
取り除いて、スライドグラスを100%エタノールある
いはエタノールの濃度上昇シリーズを用いて乾燥させ
る。オイルフリーとなった調整物を0.15MNaC
l,0.015MNaCitrate,pH7.0で5
0℃15分間洗い未反応のPCR試薬を除く。このステ
ップはプライマーあるいはdNTPが標識されている場
合特に有効である。
【0037】本発明の第二の方式をスライドグラス上で
有効に実施しようとする場合、多少の変更はあるが、第
一の方式での推奨した方法に沿って行なえばよい。手動
のHotStartTM法は必要ないが、行なっても差
しつかえない。反応ミックスチャーに加えるSSBの量
はインサイツPCR調整物中の一本鎖DNAすべてに結
合するのに十分な量とする。この見積は前述した、イン
サイツPCRを反応チューブ内で行なう場合と同様に行
なう。先にも述べたように、SSBを反応試薬に加える
のは最後にしないようにするのが重要で、好ましくは一
本鎖DNAの大きなパートを占めるプライマーと予め混
ぜておくのが良い。もし手動のHotStartTM
を行なわない場合、完全な調整物を用意して、プラスチ
ック製カバースリップでおおい(一滴の爪用エナメルで
スライドグラスに固定し)、アルミフォイル製ポートに
のせ、室温下で鉱物油でおおい、通常の熱循環反応を開
始させる、この場合最初に70℃−80℃に温度を保つ
必要はない。PCR反応後の鉱物油の除去と乾燥は前述
した通りに行なう。
【0038】インサイツPCRの検出の段階は、本発明
における第一あるいは第二の方式あるいはPCRが反応
チューブ内で行なわれるかスライドグラス上で行なわれ
るかに拘わらず同じ方法で行なわれる。検出には基本的
に2通りの方法がある。一つの方法はPCRプライマー
あるいは少なくとも一つのdNTPを放射性同位元素あ
るいはビオチン、ジゴキシゲニン、フルオレセインある
いは他の蛍光色素で標識する方法である。この場合、標
識物は増幅される核酸内に取り込まれ、未反応の標識物
はPCR反応後に洗い流され一方増幅された核酸は洗い
と乾燥の過程で合成された場所から動かないとすれば、
直接に検出を行なえる。この簡便な検出法で解析が有効
であるためには、本発明でインサイツPCRの精度が十
分高く、洗いの過程で残ってしまう非特異的な増幅産物
が無視できる程度であることが要求される。この点に関
して、本発明の第一あるいは第二の方式について試験、
有効性を見るため、適当なコントロール反応を行なうこ
とができる。論理的に最も強いコントロール反応はター
ゲット核酸配列がないことがわかっている細胞で反応を
行なうことで;このコントロールの細胞系でシグナルを
認めないことが、この簡便な検出系の有効性を証明する
ことになる。このようなコントロールとしての細胞は組
織化学的あるいは細胞化学的プレパレーション中に含ま
れていることが普通なので、普通の解析においてそれ自
身コントロールが含まれている。コントロールとしては
論理的にやや弱いが、ターゲット核酸配列に対する最適
なプライマー配列とは十分異なるプライマーを使ってア
ニーリングと伸張を厳しい条件で行なってターゲット配
列が増幅しないことを確かめる方法もある。
【0039】検出法の第二は、増幅された核酸を、標識
した核酸プローブ;核酸の一部分と相補的な配列(プラ
イマー配列部は除外したほうがよい)をもつオリゴヌク
レオタイドあるいはポリヌクレオタイド、を使ってイン
サイツハイブリダイゼションを行なうことである。イン
サイツハイブリダイゼションは組織化学および細胞化学
の分野でよく知られていて、基本的に4つのステップか
らなり、試験サンプル中のDNAの変性、プローブと試
験サンプルの核酸とを厳しい条件のもとでアニーリング
させる、スライドグラスを厳しい条件で溶剤で洗いハイ
ブリダイズしなかったプローブを取り除き、スライドグ
ラス上に残っているプローブを検出する。
【0040】いずれの検出法を使うにしても、スライド
グラス上の標識物の存在とその局在の観察と記録は同じ
方法で行なわれる。標識が放射性同位元素(強いベータ
放射体である32Pあるいは125Iが望ましい)の場
合、スライドグラスをイーストマンコダック社(Roc
hester,NY)のNTB−2のような核飛跡検出
用の乳剤でおおって、4℃で必要な時間(試行を繰り返
して決定する)インキュベートし、標準の方法で現像
し、顕微鏡下で観察できるように固定化された標識物に
近接する銀粒子を析出させる。125標識プローブある
いはPCR産物についてはHasseらが前出の論文で
述べている。標識物が蛍光団の場合、それぞれの蛍光団
に最適な励起フィルター放射フィルターを使用して直接
蛍光顕微鏡で観察することができる。この検出法は特に
異なったターゲット配列を異なったプライマーのセット
で多重にインサイツPCRを行なう場合有効である。こ
れには異なった蛍光団を異なったプライマーに標識する
か、異なったプローブに標識するかいずれかの方法があ
る。蛍光団をオリゴヌクレオタイドあるいはポリヌクレ
オタイドに標識する方法は、5’側に標識を行なうのが
容易だが、核酸化学およびPCRの分野で良く知られて
いる。もし標識物がビオチン、ジゴキシゲニンのような
結合分子の場合、(プライマーあるいはdNTPを介し
て)直接PCR産物に取り込ませることも可能であり、
また他の標識物を標識するのと全く同じ方法でプローブ
に取り込ませることも可能である。しかしこの場合、シ
グナルを生じさせるために別の検出ステップを加える必
要がある。スライドグラスを、検出酵素と標識物に特異
的に結合する蛋白(ビオチンに対してはアビジンあるい
はストレプトアビジン、ジゴキシゲニンに対しては抗ジ
ゴキシゲニン抗体、フルオレセインに対しては抗フルオ
レセイン抗体)とを共有結合した複合物を含む液体溶剤
中でインキュベーションするのが望ましい。検出酵素と
してはホースラディフシュペルオキシダーゼあるいはア
ルカリフォスファターゼが望ましい。未結合の酵素複合
物を溶剤で洗って取り除いた後、スライドグラスを酵素
の発色基質を含む溶液に浸す。酵素反応産物である、不
溶性の色素がスライドグラス上の酵素複合物が結合して
いる位置に沈着した後、時間が経つに従って飛特異的な
バックグラウンドの染色レベルが上昇しないように水あ
るいは溶剤で未反応の基質を洗い流す。不溶性の産物を
つくる発色基質は、染色法、酵素複合物のインキュベー
ション法、洗浄法と共に、組織化学あるいは細胞化学の
分野で良くしられている。基質と酵素複合物は種々のも
のが組織化学者、細胞化学者にしられていて、購入が可
能である。
【0041】本発明の検出ステップでスライドグラスを
蛍光色素(蛍光標識の場合)あるいは発色性の色素(放
射性−オートラジオグラフィー検出法あるいは酵素によ
る不溶性発色団の生成)でカウンター染色を併用するの
が望ましく、解析ターゲットに特異的なシグナルとは異
なったスペクトル特性の発色あるいは吸光によって細胞
の構造を際だたせる効果があり、特にターゲットの核酸
を含まない細胞でその効果が著しい。特に不溶性の青色
色素の沈着をを透過型顕微鏡で解析する場合ニュークリ
アーファーストレッドでカウンター染色するのが有効
で、これは組織化学・細胞化学の分野で標準的な手法と
なっている。染色後のインサイツPCR調整物の解析を
透過型あるいは蛍光顕微鏡で行なう方法として、顕微鏡
のイメージを写真あるいはデジタル化したヴィデオのイ
メージとして記録する方法が組織化学・細胞化学の分野
で良くしられた手法である。
【0042】本発明の第一あるいは第二の方式が固定さ
れた浮遊細胞に対しPCRチューブ内でおこなわれた場
合、顕微鏡で観察するためにスライドグラスに付着させ
るのとは別の方法として浮遊細胞を直接フローサイトメ
ーターで行なう方法がある。フローサイトメーターは蛍
光の信号の検出に最も適していて、インサイツPCRで
増幅核酸に取り込まれる場合あるいはPCR反応後のプ
ローブハイブリダイゼションによる増幅核酸への標識い
ずれも差しつかえない。いずれの場合も、細胞を標識物
を含まない液体溶剤で沈降・再浮遊化し、増幅された核
酸と結合しなかった標識物を完全に取り除くことが重要
である。細胞生物学者によくしられているが、フローサ
イトメーターの手法は標識物を含んでいる細胞と含んで
いない細胞を計数するのに有効な方法で、また細胞間で
の標識物の分布を定量的に記録することも可能である。
【0043】本発明において、試料ブロックと装置に対
して行なった有効な改良点として、従来のサーマルサイ
クラーの試科ブロックを、その上面がスライドグラスを
加熱あるいは冷却するのに最適なように加工したことで
ある。二通りの異なった設計を行なった。一つは同時に
小数枚のスライドグラスのインサイツPCRを行なうた
めのもので、上面が平滑で水平でスライドグラスの面槓
の大きい部分が(高さと幅)水平方向となるように保持
することが可能であるように設計されている。この平滑
面は浅い井戸状にくぼんでいて鉱物油がスライドグラス
をおおって蒸発防止バリヤーとして保持されるようにな
っている。この面積は最小で16mm幅×77mm長で
普通に使用されるスライドグラスにフィトするようにな
っている。井戸の深さは最低2mm以上でスライドグラ
ス、カバースリップ、蒸発防止バリアーが収まるように
なっている。この設計は本発明の第一および第二の方式
いずれにも適用可能となっている。
【0044】同様に、インサイツPCRを同時に多数の
スライドグラスで行うために、スライドグラスを挿入し
て保持するとき、スライドグラスの上面と下面が金属表
面とほとんど隙間がないように、ブロックに多数の狭く
て深く垂直なあるいはほぼ垂直なスロフトを設けた。こ
の隙間には通常鉱物油か他の不揮発性の液体で満たし、
蒸発防止とサーマルサイクリング反応において効率良く
熱伝導が行われるようにする。スロフト面は垂直から、
重力によってスライドの片面がサンプルブロックの金属
面に接触するように45℃位まで傾斜を付けられること
もある。スロットは15mm厚で、長さ77mm、幅2
mmで通常使われるスライドグラスとカバースリップが
おさまるようになっている。この設計は本発明の第二の
方式には適用が可能であるが、第一の方式には適用が難
しいというのはインサイツの調整物に対してカバースリ
ップを取り外して、手効で除外してあったPCR反応試
薬を加え、再びカバースリップをかけるという操作を迅
速に行うことが難しいからである。
【0045】多くの異なった種類のサーマルサイクラー
が購入可能であるが、それぞれのサンプルブロックは違
った設計となっている。しかしながらこれらサンプルブ
ロックの設計にはいくつかの一般的に共通する性質をそ
なえていて:(a)素材:本質的に金属製で、耐久性お
よび熱伝導性の点でアルミニウムが推奨される;(b)
形状および長さ、幅、厚みの全体の大きさ;(c)底面
および場合によって側面が、サーマルサイクラーが動い
ているときブロックの温度を制御する加熱・冷却機構に
組み込まれるようになっていること;(d)上面には小
型のプラスチック製微量遠心チューブを緊密に保持する
ためのウェル(井戸上のくぼみ)が多数あり、この微量
遠心チューブは容量が0.5mlであることが普通だが
場合によって1.5mlチューブを保持することもあ
り、核酸の増幅反応をこの中出おこなう;(e)必要に
よっては、ひとつの面に熱電対あるいはサーミスタープ
ローブを緊密に保持する一ないし小数個のウェルがあっ
てサンプルブロックの温度をサーマルサイクル制御回路
にフィードバックさせるものもある。
【0046】本発明の第三の方式を実現させるには、サ
ンプルブロックの上面に変更を加えるだけでよく、他の
設計上の特質(ブロック厚は例外となるが)については
本質的に変更が必要なく本発明によってサーマルサイク
ラーの製造とその性能に影響を与えることはほとんどな
い。好ましくは、本発明のサンプルブロックの重量は従
来のサーマルサイクラーのサンプルブロックと同じにし
て、加熱・冷却の熱力学的性質に対する影響を最小に抑
さえるのがよい。
【0047】サーマルサイクラーのサンプルブロックは
普通、単一の金属ブロックとなるように作られ、たとえ
ば回転工作機によって、サーマルサイクラーに組み込ま
れるように正確に大きさ、ウェル、他の外形を加工され
る。ブロックをサーマルサイクラーにボルトで固定する
ための穴はボール盤で加工される。同様の製作工程が本
発明のサンプルブロックにも適用できる。しかしなが
ら、スライゴグラスが緊密に収まるような直線状の形状
をしたウェルは打印したり比較的薄い金属シートを加工
して(レザーあるいはジェット水流による切削も含まれ
る)ボルトでとめて薄板状のアッセンブリにして容易に
作成することができる。ブロック全体は層状構造物とな
るか;あるいは一番上の部分、スライドグラスを保持す
るウェルが薄板状に加工されサーマルサイクラーに取付
けられたブロックの底面にボルトで取付けられる。
【0048】本発明の第三の方式に関して、サーマルサ
イクラーのサンプルブロックの設計で、スライドグラス
と従来の増幅反応用チューブ両方に最適な形状のウェル
を具えたものがのぞましい。更に、反応チューブ用のウ
ェルはサンプルブロックの淵に沿って一ないし数列配置
され、サンプルブロックの中心部にスライドグラス用の
ウェルが配置されているのが望ましい。金属の容積も含
めてサンプルブロックの他の特質にほとんど変更を加え
ることなく、このような設計を行うことができる。反応
チューブ用のウェルが円筒状に対称なため加工は機械に
よって簡単に行うことができる。
【0049】いくつかの市販されているサーマルサイク
ラーと公表されているサーマルサイクラーの設計では、
金属製のサンプルブロックの代わりに従来のPCRチュ
ーブを速い流れの加熱あるいは冷却された空気、水ある
いは他の熱伝導性の流体に浸す方式のものがある。この
ような設計方式においては、熱伝導製の流体の流れの中
でしっかりとスライドグラスを固定できるような金属製
のワイヤーあるいはプラスチック製の組格子でチューブ
ホルダーを置き換えることによってスライドグラスに適
用することが容易に行える。この場合、スライドグラス
はそのもっとも小さい次元(厚み)が流れに正対し、流
体の流れのベクトルの優位な成分がその大きい次元(幅
と長さ)の面と平行になるようにスライドグラスを配置
するのが好ましい。スライドグラスを流れのベクトルの
優位な成分に対してやや傾けて穏やかな乱流を生じさせ
るようにすると、均一な熱の伝導が得られる。
【0050】スライドグラスが直接熱伝導性の流体と接
触する方式のサーマルサイクラーの場合、薄いバリアー
でスライドグラスと熱伝導性の流体を隔離して、インサ
イツ調整物と熱伝導性流体の間で物質の移動が起こらな
いようにする必要がある。そうしないと、ちょうせいぶ
つは乾燥してしまったりPCRの試薬が流れ出してしま
ったりする。バリアーとして望ましいのは、薄くて非透
水性の高い熱伝導性のプラスチックでおおう方法で、こ
のようなものとして、フルオロカーボン、ポリウレタ
ン、ポリオレフィン、ポリイミドあるいはポリアミドな
どがある。このおおいは液体あるいは水蒸気がしみこん
できたり外に漏れだしたりしないように密封される必要
がある。耐水性の接着剤あるいは強いクリップでおおい
を密封することも可能である。もし熱伝導性の流体が液
体の場合、おおいの片側は液体の上に突出してその上に
水蒸気で満たされた空間が存在するような形となる。お
おいに代わるような形のものとして、蒸発防止バリアー
がスライドグラスとほぼ同じ大きさの長さと幅をもった
薄いプラスチックのシート状のものでできていて、耐熱
・耐水性の接着剤で片面の全周の隙間をおおう方法もあ
る。サーマルサイクリング反応が開始する前にシートを
スライドグラス上面にしっかりと押しつけて、反応終了
後はがして検出の処理を行なうことができる。この場合
カバースリップの代わりにもなる。
【0051】前述の記述およびこれから示す例示によっ
て、後出する請求項によって包含される本発明の種々の
多用な方式が専門分野の熟練者に理解されるものと思っ
ている。
【0052】
【実施例】例1 ヒト遺伝子に組み込まれたHPVのインサイツPCRお
よびインサイツハイブリダイゼーションによる検出 ヒト子宮頸癌細胞由来の細胞株、SiHa(ATCCH
TB35)、はヒトの遺伝子1コピー当たりヒトパピロ
ーマウィルス(HPV)16型が1コピー組み込まれて
いる細胞で、このSiHa細胞を非必須アミノ酸、ピル
ビン酸ナトリウム、15%ウシ胎児血清を加えたイーグ
ル最小必須培地中で細胞密度が10cells/ml
に達するまで培養し、トリス緩衝化生理食塩水で2回洗
い、密度を10cells/mlに調節し、リン酸緩
衝液に溶解した10%ホルムアルデヒド(vol/vo
l)液中で室温で一夜攪拌した。ホルムアルデヒドで固
定した細胞を2、000rpm三分間遠心し、ペレット
をパラフィン中に包埋した。パラフィンブロックからの
ミクロトーム切片(4μm厚)をアセトンに2%となる
ように溶かした3−アミノプロピルトリエトキシシラン
(AldrichChemiacal Co)に浸した
スライドグラスに、切片を水浴中に浮かせながら、付着
させた。付着させた後、切片の脱パラフィンを行ない、
Viratype in situ Tissue H
ybridizaation Kit(Life Te
chnologies,Inc.,Gaitherbu
rg,MD)内の試薬を説明書に従って蛋白分解処理を
行なった(相当する試薬および方法はOncor S6
800キット,Oncor,Inc.,Gaither
sburg,MDを代わりに使ってもよい)。スライド
グラスを、大きさ約8X3X1mmの手製のアルミフォ
イルボートに載せ、一枚のスライドグラス上に載せた4
つの切片を1セットとした各々のセットに5−10μl
のPCR溶液(下記参照)をかぶせた。プラスチック性
のカバースリップをインサイツPCR調整物の各4つの
切片をおおうようにのせた。従来のインサイツPCR反
応を行なうために、カバースリップをスライドグラスに
一滴の爪用エナメル液で固定し、スライドグラスを約1
mlの鉱物油でおおって、フォイルボートをPCRサー
マルサイクラーのアルミニウム製サンプルブロック上に
のせサーマルサイクリングを開始した。手動のHotS
tartTM法インサイツPCR反応を行なうために、
スライドグラス(カバースリップと共に)を含んだボー
トを82℃に加熱し、カバースリップを持ち上げる間こ
の温度を保ちながら2μlの除外してあったPCR試薬
(下記参照)を調整物の表面にのせ、カバースリップを
再びかぶせ、一滴の爪用エナメル液でスライドグラスに
固定し、82℃に予め温めてあった約1mlの鉱物油を
ボート中のスライドグラスとカバースリップを覆うよう
にした。こうして通常のサーマルサイクルプログラムを
再開した。
【0053】pH8.3のPCR溶液の組成は、10m
M Tris−Hcl,50mMKCl,4.5mMM
gCl2,20mM各dNTP,0.2ユニット/μl
AmpliTaqDNAポリメレースおよび6μMの
各プライマーからなっている。”シングルプライマーペ
アー”の実験のために、449bp産物が予想されるH
PV16型遺伝子に由来するプライマーPV1、PV2
を使った。”マルチプルプライマーペアー”の実験のた
めに、全長1247bpをカバーするようにオーバーラ
ップする一連の約450bp長のPCR産物のシリーズ
を生じさせるようなプライマーPV1からPV7までを
使用した。全てのプライマーのシーケンス配列を下表に
示す。
【表1】
【0054】従来のインサイツPCR反応を行なうため
に、上にあげた全ての成分を含むPCR反応液を組織化
学切片に最初から加えた。手動のHotStartTM
インサイツPCR反応を行なうためにプライマーとTA
q ポリメレースを除いた反応液を最初に加えた。これ
らの試薬はスライドが82℃に加熱された後、2μlの
10mM Tris−Hcl,50mMKCl,pH
8.3溶液に加えられて独立に加えられた。最初のサー
マルサイクルは変性が94℃で3分間行なわれアニーリ
ング/伸張が55℃で2分間行なわれ、残りの39サイ
クルは変性が94℃で1分間、アニーリング/伸張が2
分間行なわれた。
【0055】DNA増幅終了後、鉱物油をキシレンに浸
して取り除き、カバースリップを外し、スライドグラス
上にのせられた切片を100%エタノールで乾燥させ
た。それぞれのスライドグラスをビオチン標識したHP
V16型特異的ポリヌクレオタイドプローブ(Vira
typeKit,LifeTechnologies,
Inc.)が500ng/ml濃度で含んだ10μlの
0.03MNaCitrate,0.30MNaCl,
pH7.0,5%dextransulfate,50
%formamideで100℃で5分,さらに37℃
で2時間インキュベートした。次にスライドグラスを、
S6800染色キット(Oncor,Gaithers
burg,MD)の操作説明書に従って、アルカリフォ
スファターゼーストレプトアビジン結合物、フォスファ
ターゼ基質、5−ブロモ−4クロロ−3−インドリルフ
ォスフェート(BCIP)およびニトロブルーテトラゾ
リウム(NBT)で処理した。切片上に捕捉されたピオ
チン標識プローブの検出を行なった後、切片をニューク
リアーファーストレッドで5分間カウンター染色を行な
った。染色スライドグラスを透過型顕微鏡で40−40
0倍で観察を行ない、本実験系における以下の結果を得
た。従来のインサイツPCR法ではSiHa細胞中の単
一コピーのHPVターゲット配列はシングルプライマー
ペアーの場合検出できなかったが、マルチプルプライマ
ーペアーでは多くの核で明瞭に検出することができた。
手動のHotStartTMインサイツPCR反応にお
いては、シングルプライマーペアーの場合80%の細胞
の核が染まっていて、これは従来のインサイツPCR法
におけるマルチプルブライマ−ペアー使用の場合より検
出率が高かった。残りの20%は切片作成の際に損傷を
受けたものと思われる。すでに発表されているように、
インサイツPCRではターゲットをオーバーラップする
ようなマルチプルプライマーペアーの使用が必要である
との結果は正しくないことがわかる。シングルプライマ
ーペアーによる実施および実際に結果が改良されたこと
は、インサイツPCRの実用性をおおいに高めた。
【0056】例2 インサイツPCRハイブリダイゼーションによるヒト遺
伝子DNAに組み込まれたHIV−Iの検出 ヒトTリンパ球系細胞株、H9(ATCCCRL 85
43)、をRPM培地中で10cells/ml密度
まで培養し、BasicVirologicaalTe
chniques66−69ページに記載されている方
法に従って、HIV−Iを感染させ、4日間室温でイン
キュベートした。これより10個の細胞を使ってフォ
ルムアルデヒドで固定し、パラフィンに包埋し、切片化
し(5μm厚)、スライドグラスにマウントし、例1と
同様に蛋白分解により透過性の処理を行なった。従来の
インサイツPCR反応と手動のHotStartTM
インサイツPCR反応を例1と同様に行なったが、使用
したシングルプライマーペアーはHIVgag蛋白領域
の115bpをターゲットとして特定するSK38、S
K39(PerkinElmerCetusInstr
uments,Norwalk,CT)を使用した。P
CR反応後の処理は例1と同様に行なったが、プローブ
SK19(PerkinElmerCetusInst
ruments)はランダムプライマー法によってジゴ
キシゲニン11−dUTPで標識されているので、標識
dNTPとGneiusTM標識キットの製造元である
BoehringerManheim(Indiana
polis,IN)の試薬を使用し解脱書に従った。ス
ライドグラスの染色は、アルカリフォスファターゼ−抗
ジゴキシゲニン抗体結合物とBCIP/NBT発色剤を
使って行なったが、これもBoehringer Ma
nheim(Indianapolis,IN)の解説
書に従った。
【0057】スライドグラスの顕微鏡による観察の結
果、手動のHotStartTM インサイツPCR反
応では、90%の細胞がBCIP/NBTで染色され
た;一方従来のインサイツPCR反応では染色された核
を認められなかった。方法的に改良を行なった手動のH
otStartTM インサイツPCR反応では(また
この方法でのみ)、わずか115bpの産物が非放射性
検出法で認めることができた。
【0058】例3 HotStart法によるインサイツPCR法の感度の
改善 包埋固定されたSiHa細胞の組織化学切片がのったス
ライドグラスを例1と同様にして用意した。切片には、
HPV陰性のドナーからの50μlの抹消血白血球
(5、000cells/ml)をバーッフィコートよ
り調整してサイトスピンでスライドグラス上に付着させ
て加えた。加えられた細胞はリン酸バッファーに溶かし
た10%ホルムアルデヒドで室温で5分間固定した。ス
ライドグラスに対し、従来のインサイツPCR反応と手
動のHotStartTM インサイツPCR反応を例
1と同様に行なったが、dNTPには5mMジゴキシゲ
ニン11−dUTP(BoehringerManhe
im)を加えた。HPVに対するプライマーペアーPV
1およびPV2を使用した。
【0059】DNAの増幅の後、洗いと脱水ではずれな
かったジゴキシゲニン標識DNAを、アルカリフォスフ
ァターゼー抗ジゴキシゲニン抗体結合物、フォスファタ
ーゼ基質、BCIPとNBTを使って、この染色用試薬
の販売者であるBoehringer Manheim
の解説書に従って染色したが、試薬の容量は、組織化学
切片に適当なようにサザンブロッティングメンブレンフ
ィルターを染色する場合の95%の縮小を行なった。増
幅DNAの染色後、白血球を、白血球共通抗原に対する
マウスのモノクロナール一次抗体のペアー(DACO−
LCA,抗体PD7/26と2BNを含む;DAKO−
PATTS)とマウス一次抗体を検出するためのHis
tostain−SPキット(ZymedLabora
toriesInc.,SouthSanFranci
sco,CA)を使って免疫組織化学染色を行なった。
このキットでは、ビオチン化した抗マウス二次抗体、ホ
ースラディシュペルオキシダーゼ−ストレプトアビジン
結合物とペルオキシダーゼによる発色基質アミノエチル
カルバゾールが用いられている。一次抗体および染色キ
ットは脱明書に従って使用した。
【0060】顕微鏡による観察の結果、手動のHotS
tartTM インサイツPCR反応では80%のSi
Ha細胞の核が染色され白血球の核は染色されなかっ
た、このことは手動のHotStartTM インサイ
ツPCR反応がシングルプライマーペアー使用時でも精
度と感度が高いことを示している。一方従来のインサイ
ツPCR反応ではけっかは非特異的で、全ての細胞が、
SiHa細胞および白血球の核両方とも染色され、Ho
tStartTM方式が行なわれなかった場合、非ター
ゲット特異的な増幅反応が高率に起こったことを示唆し
ている。ターゲット特異的プローブを使用することでイ
ンサイツハイブリダイゼションを行なって特異的増幅D
NAおよび非特異的増幅DNAを区別することも可能だ
が(例1参照)、ここで呈示している例ではHotSt
artTM方式ではプローブの使用を不要とし検出の非
常な簡素化を示していて、この結果インサイツPCRを
より実用的にするものである。
【0061】
【配列表】配列番号1についての情報 (i) 配列の性質 (A) 配列の長さ: 20塩基 (B) 配列の型 : 核酸 (C) 鎖形 : 一本鎖 (D) トポロジー: 直線状 (ii) 分子種 : 他の核酸 (ix) 配列 : 配列番号1 CAGGACCCAC AGGAGCGACC
【0062】配列番号2についての情報 (i) 配列の性質 (A) 配列の長さ: 20塩基 (B) 配列の型 : 核酸 (C) 鎖形 : 一本鎖 (D) トポロジー: 直線状 (ii) 分子種 : 他の核酸 (ix) 配列 : 配列番号2 TTACAGCTGG GTTTCTCTAC
【0063】配列番号3についての情報 (i) 配列の性質 (A) 配列の長さ: 20塩基 (B) 配列の型 : 核酸 (C) 鎖形 : 一本鎖 (D) トポロジー: 直線状 (ii) 分子種 : 他の核酸 (ix) 配列 : 配列番号3 CCGGTCGATG TATGTCTTGT
【0064】配列番号4についての情報 (i) 配列の性質 (A) 配列の長さ: 20塩基 (B) 配列の型 : 核酸 (C) 鎖形 : 一本鎖 (D) トポロジー: 直線状 (ii) 分子種 : 他の核酸 (ix) 配列 : 配列番号4 ATCCCCTGTT TTTTTTTCCA
【0065】配列番号5についての情報 (i) 配列の性質 (A) 配列の長さ: 20塩基 (B) 配列の型 : 核酸 (C) 鎖形 : 一本鎖 (D) トポロジー: 直線状 (ii) 分子種 : 他の核酸 (ix) 配列 : 配列番号5 GGTACGGGAT GTAATGGATG
【0066】配列番号にについての情報 (i) 配列の性質 (A) 配列の長さ: 20塩基 (B) 配列の型 : 核酸 (C) 鎖形 : 一本鎖 (D) トポロジー: 直線状 (ii) 分子種 : 他の核酸 (iv) 配列 ; 配列番号6 CCACTTCCAC CACTATACTG
【0067】配列番号7についての情報 (i) 配列の性質 (A) 配列の長さ: 20塩基 (B) 配列の型 : 核酸 (C) 鎖形 : 一本鎖 (D) トポロジー: 直線状 (ii) 分子種 : 他の核酸 (ix) 配列 : 配列番号7 AGGTAGAAGG GCGCCATGAG
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成4年10月7日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【発明の名称】 PCRの改良方法
【特許請求の範囲】
【発明の詳細な説明】
【0001】本出願の発明は、インサイツポリメレース
チェーン反応を簡単にかつ精度および特異性を向上させ
る新しい(反応の)構成、装置および方法について述べ
るもので、インサイツポリメレースチェーン反応とはお
のおのの細胞内で特定の核酸配列を増幅しその検出を行
なう方法で、細胞生物学、法医学、臨床病理、獣医病理
および植物病理学などの分野で利用されている。
【0002】ポリメレースチェーン反応(PCR)とは
テスト試料中の特定の核酸配列を数オーダー以上増幅さ
せる方法である。PCR法については米国特許第4,6
83,195号、第4,683,202号および第4,
965,188号に記述されている。
【0003】いわゆるインサイツ核酸ハイブリダイゼー
ション法(インサイツ核酸雑種形成法)は、細胞あるい
は細胞器官内でそれより由来する目的とする核酸配列を
検出するために開発されてきた方法である(これについ
てはNagaiらの1987年、Intl.J.Gy
n.Path.6巻、366−379ページを見られた
い)。典型的なインサイツハイブリダイゼーション法で
は以下の操作を必要とする、(1)組織化学的な切片標
本あるいは細胞化学的な塗沫標本を化学的に固定し(す
なわちフォルムアルデヒドなどで)細胞構造の蛋白を安
定化し顕微鏡用のスライドグラスに付着させ、(2)そ
の細胞調整物中の核酸の変性を行ない、(3)変性した
細胞DNA内の目的のシーケンスに相補的な、標識した
核酸プローブとアニーリングを行なわせ、(4)目的の
核酸にアニールしたタグ(プローブ)の位置的な検出
を、プローブタグより直接あるいは間接的に出される非
放射性シグナル(吸収あるいは蛍光染色)や放射性シグ
ナル(オートラジオグラフィー)を顕微鏡で調べること
によって行なわれる。しかしながら従来のインサイツハ
イブリダイゼーション法の感度はそれほど高くなく、細
胞内に目的のシーケンスが存在することを調べるために
は、そのシーケンスが1細胞当たり数十から数百コピー
数存在することが必要とされている。
【0004】最近、PCR増幅法による目的シーケンス
の増幅による検出感度の増強とインサイツハイブリダイ
ゼーション法による目的シーケンスの局在同定が組み合
わされてインサイツPCR法が開発された、すなわち化
学的に固定した細胞を顕微鏡用のスライドグラスに付着
させる前に細胞内でPCR法を行ない、放射性標識した
プローブからのオートラジオグラフィーを顕微鏡で検索
し増幅された核酸の局在を同定する方法である(Has
seら、1990年、Proc.Natl.Acad.
Sci.USA,87巻、4971−4975ペー
ジ)。インサイツ増幅の間、細胞は(反応液中に)浮遊
している状態におかれる。
【0005】インサイツPCR反応においては細胞の処
理にあたってPCR法で必要とされる2つの相反する要
求を満たすように微妙な調整が必要とされる:すなわち
細胞膜および細胞器官の膜(核膜など)は外より加えら
れたPCR反応液がターゲットの核酸に到達するように
十分透過性を有し、かつ増幅された核酸が増幅された細
胞内あるいは細胞内器官より外に漏出しないように十分
無庇で非有孔性であることが必要である。しかも、増幅
された核酸は細胞内器官で顕微鏡でシグナルが検出可能
な程度に十分濃縮され、かつ変性−プローブアニーリン
グの過程で再アニーリング(ターゲットの核酸同志で)
しないように希釈されている必要がある。Hasseら
は、前出の論文中でパラフォルムアルデヒドによる細胞
の固定が十分かつ過剰でない透過性を細胞にもたらした
と述べている。
【0006】Hasseらは前出の論文で、細胞内器官
で増幅されるターゲットの核酸を細胞内器官によりよく
保持されるように、ターゲットの器官内の遺伝子のター
ゲットのシーケンスを一続きでオーバーラップするよう
なPCR用プライマーの一連のペアーを使用している。
この結果作られるPCRの産物はかなり大きくなること
が予想され(1000塩基対以上)そのため合成された
場所からの拡散が抑えられた。しかしながら、多数のプ
ライマーペアーを使用するとインサイツPCRの実用性
を著しく減少させることになる、というのは多数の合成
オリゴヌクレオタイドを作るのに費用がかかるだけでな
く、より問題なのは、多数のPCRターゲットとなる生
物体、特に病原性のウィルスの場合遺伝的に変化しやす
く、適切なプライマーとプローブを得るのに必要な変化
に乏しいシーケンスの短いシーケンスでさえ見つけるの
が難しい。別の重要なターゲットシーケンス、すなわち
活性化された癌遺伝子、不活性化された癌抑制遺伝子、
発癌性の染色体転座、体細胞の点突然変異および染色体
の再配置は一組のプライマーペアーを使用して比較的短
いPCR産物が増幅された場合もとのシーケンスから区
別することが可能となる。多数のプライマーのペアーの
使用と長い構造(PCR産物の)は癌細胞とそれに対応
する正常細胞とを区別するのに必要とされる精度を失わ
せる可能性がある。多数のプライマーのペアーは以下の
種々の様式でPCR反応を妨げる可能性がある;プライ
マー同志のダイマー形成およびミスプライミング、反応
の精度および特異性の減少、非特異的な増幅によるター
ゲットシーケンスの増幅の著しい低下による偽陰性の結
果を生じる可能性がふえることが考えられる。
【0007】本出願の発明ではインサイツPCRの利用
性、精度、特異性を向上させ、またひとつのターゲット
シーケンスを検出するために多数のプライマーペアーを
使用する必要性をなくしている。こうして、インサイツ
PCR法で個々のアレーレを区別することが可能とな
る。
【0008】第一の方式として、本発明ではインサイツ
ポリメレースチェーン反応法(PCR)を改良し増幅の
特異性と感度を向上させた。この改良とは、少なくとも
一種のPCR反応用の試薬を固定した細胞、PCR反応
試薬、必要によっては一本鎖DNA結合蛋白からなる調
整した試料から、その試料が最適な温度範囲である50
℃から80℃に加熱されるまで離しておき、非特異的な
核酸のポリメレース反応が起こらないようにするもので
ある。この方法は固定された細胞が顕微鏡用のスライド
グラスに付着される前、後いずれにもおなじように応用
ができる。
【0009】第二の方式として、改良したインサイツP
CR法では反応液中に一本鎖DNA結合蛋白を、非特異
的なポリメレース反応と干渉しかつ特異的なターゲット
の増幅は抑えないような濃度で加えることにより精度と
感度の向上を計っている。SSB活性を持つような自然
産物、遺伝子工学的産物あるいは完全に合成されたポリ
ペプチドいずれもインサイツPCRにおいて有用であ
る。第二の点に関しても細胞のスライドグラスへの付着
と核酸増幅反応との時間的な順序は無関係である。
【0010】第三に、本発明では自動化PCR増幅に用
いるサーマルサイクラーの改良についてのべていて、こ
こで反応液を速やかに加熱しあるいは冷却するためのサ
ンプルコンパートメントのなかに顕微鏡スライドグラス
が保持される。ひとつの具現化として、サンプルコンパ
ートメントは表面が水平で平滑な金属のブロックからで
きていて、一枚ないし数枚のスライドグラスをその最大
の次元(面積)が水平の向きになるように保持する。平
滑面は井戸状の下面に設置して、サーマルサイクリング
の間インサイツPCRの試料が乾燥するのを防ぐための
鉱物オイルの浅い蒸発防止膜を保持するのに適した形状
にすることもありうる。他の具現化として、一つないし
それ以上のスロットを有する金属ブロックからできてい
て、スライドグラスの最大の次元が垂直方向に向くよう
に納めることができる構造を有するコンパートメントが
ありうる。このような配置法では実質的に一度に解析で
きるスライドグラスの数を増やすことが可能となる。三
番目の具現化として、熱伝導性の移動する液体をそな
え、その液体の流れのなかにスライドグラスを固定する
ためのホルダーを備えたコンパートメントがある。この
三番目の具現化には、スライドグラスを包んで、乾燥と
PCR反応液が流れ出さないようにするためのプラスチ
ックケースも含まれている。
【0011】本出願の最初の2つの方式はインサイツP
CRの精度と感度を改善した点であり、ターゲットとな
る核酸シーケンスが一細胞当たり1コピーの細胞からも
確実に検出できるため偽陰性の判定をへらすことにな
る。精度が上昇することによって増幅した核酸の検出が
容易になる。従来のインサイツの核酸解析法ではターゲ
ットとなる核酸配列に相補的な配列をもつ標識化核酸プ
ローブが(ターゲットと)アニーリングする必要がある
が、増幅の精度が高い場合、標識プライマーの取り込み
の検出は高い信頼性をもって行なえ、更に非特異的な核
酸の増幅にプライマーが取り込まれることに起因する偽
陽性の結果を考慮する必要が少なくなる。従って、さら
に検証を行なう必要はなくなるが、行なっても構わな
い。感度が高まることはインサイツPCR後の増幅され
た核酸の検出が容易に行なえることを意味する、すなわ
ち多量の解析対象物がつくられることから、オートラジ
オグラフィーによって検出していた放射性のシグナルを
非放射性のシグナルで置き換えることが可能となる。吸
光、蛍光、化学発光によるシグナルは放射崩壊によるシ
グナルに比べ早く、簡単に、安全に記録を行なえる。非
放射的な検出を採用することは、(生物あるいは医学の
研究者とは対称的に)臨床病理家、他のルーチン検査の
従事者にインサイツPCRにおおいに関心を抱かせるで
あろう。
【0012】本発明の始めの2つの方式はまたひとつの
ターゲット配列を感度よく検出するための複数のプライ
マーペアーの使用の必要を解消したいという点でインサ
イツPCRの実用性と一般性をおおいに高めている。出
費の点は別にしても、複数のプライマーペアーの使用
は、多くのレトロウイルスなどのように高度に多様性を
示すような生物体を対象にする場合や、多くの発癌に関
わる体細胞性の突然変異のようなアレーレ特異的な増幅
PCR法によって検知しようとする場合、適用が困難で
ある。一組のプライマーペアーの使用がインサイツPC
Rで可能となったことから、従来のPCR法と同じよう
に適用が広がってきた。マルチブレックスPCR、デジ
ェネレートプライミング、ネステッドプライミング、ア
レーレ特異的増幅法、片側PCR、RNA−PCRなど
の特殊な応用もインサイツへ転用することが可能であろ
う。
【0013】本発明の第二の方式もまた重要な改良点で
ある。HotStartTM法は非特異的な産物を作り
出す、増幅反応前に起こる副作用のみを阻止する方法で
あり;SSBもサーマルサイクリング中におきるプライ
ミングのミスを減少させる働きがあるようである。従っ
て、SSBは非特異的な増幅を減少させるためにより効
果的である。更に、PCR反応液中にSSBを加えるこ
とによって手動でHotStartTM法を行なう必要
がなくなる、というのは手動でHotStartTM
を行なう場合インサイツPCRの試料を損傷させたり乾
燥させたりせずに抜けているPCR反応用の試薬を素早
く加えるにはいささかの熟練を要するからである。反応
に必要な成分全てが室温下でまとめられて加熱前に蒸発
防止用のカバーがかけられることは、加熱された材料に
操作を行なってかつ加熱された反応系に蒸発防止カバー
を施すのに比べ、より信頼性が高い。
【0014】インサイツPCRの日常業務への適応を促
進することによって、本発明の始めの二点は超高感度な
核酸の検出能力を、臨床病理学、獣医病理学あるいは植
物病理学などの新たな分野の実践的な問題に差し伸べる
ことになる。これらの専門的な分野においては、生物試
料での解析対象物の局在に関する情報にもとずいて精確
な判定をする場合が普通で、従来のPCR法では容易に
情報を得ることができない。更にインサイツPCRで
は、解析対象物は普通細胞内の局在、多くは核内に局在
するので、前の反応で増幅されたターゲット配列による
混入による偽陽性が生じる可能性は本質的にない。更
に、たとえば細胞表面抗原にたいする多重染色を行なう
ことによって疾患の診断あるいは感染細胞の頻度にもと
ずく予後の推定が可能となる。HIV−Iなどの向リン
パ球性レトロウィルスに感染していると思われる患者の
血液あるいはバイオプシー検体にインサイツPCRを行
なうことによって、ウィルス遺伝子あるいはウィルス粒
子が組み込まれたCD4(表面抗原)陽性の細胞分画の
予後についての価値ある情報を得ることができる。
【0015】本発明で、装置の熱ブロックを加工したこ
とによりサーマルサイクリング中の熱の伝導が早くなり
より均一になったことから、スライドグラス上でのイン
サイツPCRがより早く信頼性をもって行なえるように
なった。
【0016】本発明の理解を助けるために、いくつかの
定義を下に示す。
【0017】“PCR”とは一つないしそれ以上の特定
の核酸配列を増幅させるプロセスを意味し、ここで
(1)増幅される核酸配列の末端を定めるためのオリゴ
ヌクレオタイドプライマーが試料中の一本鎖核酸にアニ
ールして、(2)核酸ポリメレースがアニールしたプラ
イマーの3′端より、プライマーがアニールした核酸に
相補的な核酸鎖を合成伸張し、(3)反応後生じた二本
鎖核酸を変性して二本の一本鎖核酸にし、(4)プライ
マーから増幅される核酸配列が容易に同定でき定量可能
になるまで、プライマーのアニーリング、プライマーか
らの伸長、伸長産物の変性の繰り返しを十分おこなうプ
ロセスである。一連のアニーリング、伸長、変性の各ス
テップの制御は実際は温度を変化することによって行な
われ、普通サイクルを繰り返して行なわれる。アニーリ
ングと伸長は40℃から80℃の範囲で最適であり(精
確な値はプライマーの濃度および配列の内容によって変
わる)、変性は80℃から100℃の温度が必要となる
(精確な値は鋳型核酸の濃度および配列の内容によって
変わる)。
【0018】“サーマルサイクリング”は普通“サーマ
ルサイクラー”と言われる装置によって自動的に行なわ
れ、このサーマルサイクラーはサンプルコンパートメン
トを迅速に(一分から数分のスケールで)加熱あるいは
冷却を行なう装置で、サンプルコンパートメントはその
内部で核酸増幅反応を行なう管とそのPCR管に直接接
触している熱伝導媒体を含んだコンテナーを全体的にあ
るいは部分的に覆っている。最も一般的なサンプルコン
パートメントはサンプルブロックという形態のもので、
普通金属製、アルミニウム性が好ましい。普及している
サンプルブロックは、PCR増幅反応を行なうのに通常
使用されているプラスチック性の微量遠心用チューブが
ぴったり合うようなかたちのウェル(井戸状の窪み)が
付けられている。本発明のサンプルブロックはこの円錐
状のウェルのいくつかあるいは全てを平滑面あるいはス
ロット状のものにおきかえてスライドグラスの加熱、冷
却に最適になるように設計した。また、一般的ではない
がサンプルコンパートメントが、加温あるいは冷却され
た、エアーあるいは水のような熱伝導体のなかを通って
反応チューブがその熱伝導体に浴されるような設計にな
っているものもある。
【0019】“PCR用試薬”とは化学物質で、試料中
の核酸とは区別して、核酸の増幅反応を行なうのに必要
なものをさす。5つのクラスの構成があり:(1)水性
の反応緩衝液、(2)水溶性のマグネシウム塩、(3)
最低4種のデオキシリボヌクレオシド三リン酸化合物
(dNTP)、(4)オリゴヌクレオタイドプライマー
(通常各ターゲットシーケンスに対する2つ(一組)
で、二本鎖ターゲット核酸のそれぞれの相補鎖の5′端
を決める配列である)、および(5)ポリヌクレオタイ
ドポリメレース、DNAポリメレースが好ましく、さら
に耐熱性DNAポリメレースが最も望ましい、この耐熱
性DNAポリメレースは90℃から100℃の温度範囲
で最低10分さらされてもその活性の半分以上を保って
いる。
【0020】4種の通常使用されるdNTPとはサイミ
ジン三リン酸(dTTP)、デオキシアデノシン三リン
酸(dATP)、デオキシシチジン三リン酸(dCT
P),デオキシグアノシン三リン酸(dGTP)であ
る。これらは増量したりあるいは必要によっては、通常
の4種の塩基と同じようにワトソン−クリック塩基対を
形成する塩基アナログで置き換えることもある。このよ
うなアナログとしてはデオキシウリジン三リン酸(dU
TP)や、さらにdUTPにビオチンあるいはジゴキシ
ゲニンのような分子タグをウラシル基にスペーサーアー
ムを介して共役結合させたものがある。
【0021】PCR試薬の“完全なセット”とは、試料
サンプル中の核酸は除いて、不可欠な反応物全てからな
る組み合わせであり、“サブセット”なPCR試薬とは
水性緩衝液以外の少なくとも一種以上の試薬が欠けてい
る状態を言う。“コンプリメント(補充物)”あるいは
“コンブリメンタリーサブセット(補足的なサブセッ
ト)”とは最初のサブセットで抜けているPCR反応試
薬すべてからなるサブセットである。PCRの“反応
物”とはPCR反応試薬と試料核酸が加わった状態をさ
す。
【0022】“HotStartTMPCR”とは試薬
のサブセットが、そのコンプリメントと試料サンプルよ
り後二者が非特異的なポリメレース活性が十分低くなる
温度約50℃から80℃に上昇するまで、離されてPC
R反応を行なうことを言う。その後PCR反応物はすべ
てミックスされて、反応温度の制御が行なわれながらサ
ーマルサイクリングが開始し、増幅反応が終了するまで
50℃以下に下がることはない。
【0023】“固定細胞”とは生物細胞の試料が化学的
に処理し、溶剤の交換、温度変化、機械的圧力、乾燥に
よる破壊に対し細胞構造特に細胞膜を強化することを言
う。細胞は浮遊状態で固定する場合もあるし、オートプ
シー、バイオプシー、外科手術的に採取された組織サン
プル中に含まれたかたちのままで固定される場合もあ
る。細胞固定剤は一般的に細胞構造体の蛋白成分をクロ
スリンクさせる化学物質で、蛋白のアミノ基と反応する
ものが普通である。良く使われる固定剤はバッファー化
されたホルマリン、95%エタノール、フォルムアルデ
ヒド、パラフォルムアルデヒド、グルタルアルデヒドで
ある。固定細胞はまた、PCR反応試薬にたいする固定
細胞膜の透過性を高めるために、蛋白を消化する酵素プ
ロテアーゼや膜脂質を溶かす界面活性剤や有機溶媒で処
理する場合もある。このような処理は脂質が除去された
り蛋白が部分的に切断されて細胞構造が完全にバラバラ
にならないように、細胞固定の後に行なわれる。プロテ
アーゼ処理は細胞固定後一時間以上後に行なうのが望ま
しく、それより間隔が短いのは好ましくない。一例とし
て、浮遊状態にした細胞(血液由来)ではバッファー化
されたホルマリンで10分固定しプロテアーゼ処理は行
なわないのが標準で、その後細胞化学の分野では標準的
な手法であるサイトスピン処理で浮遊細胞を遠心的にス
ライドグラス状に付着させる。
【0024】“組織化学的切片”とは生物組織の固形試
料が凍結あるいは化学的に固定され、ワックスあるいは
プラスチック中に包埋されて固形化され、薄いシート、
普通数ミクロン厚に切り出されて、スライドグラスに付
着させた状態を言う。
【0025】“細胞化学的塗沫標本”とは血液細胞のよ
うな浮遊状態の細胞が、化学的に固定されてスライドグ
ラスに付着させた状態を言う。
【0026】“インサイツPCR”とはPCR増幅反応
を固定細胞内で行なうことを指し、増幅された特定の核
酸が、増幅の対象となるターゲット核酸配列が本来ある
細胞あるいは細胞内構造物の中にとどまっているような
PCR反応である。細胞は水性の浮遊液の状態、組織化
学的切片、細胞化学的塗沫標本いずれでも構わない。細
胞は、PCR反応試薬が透過できるようにプロテアーゼ
消化あるいは界面活性剤、有機溶媒による脂質の抽出を
行なっておくのが望ましい。“インサイツPCRプレパ
レーション(調整物)”とは固定細胞とサブセットある
いは完全なセットのPCR反応試薬との組み合わせを指
す。
【0027】“蒸発防止バリアー”とは有機物質で水が
不溶で、PCR反応物あるいは調整物を覆ってサーマル
サイクリングの間に水分が大気中に逃げていくことを著
しくおさえるためのものである。蒸発防止バリアーの材
料としては鉱物油あるいはパラフィン油のような液状の
炭水化物が望ましいがある種の合成有機ポリマー、フル
オロカーボンやシリコンゴムなども有効なPCR蒸発防
止バリアーとして使える。ワックスは50℃以下では固
形でそれより高い温度では液体となるのでどうように蒸
発防止バリヤーとして使える。蒸発防止バリアーは薄い
プラスチックフィルムでも良く、反応物を大気から離す
ようにインサイツPCR調整物を完全に包み込んだり、
インサイツPCR調整物が乗っているスライドグラスに
貼り付けて使用する。
【0028】“一本鎖DNA結合蛋白(SSB)”とは
二本鎖DNAよりも一本鎖DNAにより強固に結合する
ポリペプチドである。自然界に見られるSSBには、バ
クテリオファージT4遺伝子32蛋白、フィラメンタス
バクテリオファージ遺伝子5蛋白、19KDaのサブユ
ニット分子量をもった大腸菌E.coli由来のSS
B、タバコモザイクウィルスの30KDa分子量の移動
性蛋白、Agrobacterium tumefac
iensのvirE2蛋白がある。
【0029】PCR増幅された核酸の“検出”とは、P
CRの反応物とは区別できて、PCR増幅産物に特異的
に関連していると思われるシグナルの観察、局在化、定
量的解析を指す。シグナルの解析は可視光あるいは紫外
光による吸収あるいは蛍光、化学発光、あるいは吸光、
蛍光、化学発光、電離放射線による写真、オートラジオ
グラフィーによって行なわれる。インサイツPCRの検
出はこのようなシグナルを顕微鏡下で観察あるいは記録
することを指す。シグナルは直接あるいは間接にPCR
プライマー、dNTPあるいは核酸プローブにつけられ
た分子標識から発生し、この分子標識には放射性分子、
発色団、蛍光団、化学発光物質、発色・蛍光・化学発光
物質を産生する酵素、あるいは解析シグナルを直接にな
っていたり触媒する分子あるいは粒子と反応する結合分
子などがある。普通に使われている結合分子としては一
つにはストレプトアビジンあるいはアビジンと強固に結
合するビオチンがあり、もうひとつは抗ジゴキシゲニン
抗体と強固に結合するジゴキシゲニンがあり、また抗フ
ルオレセイン抗体と強固に結合するフルオレセインがあ
る。アビジン、ストレプトアビジン、抗体は発色団、蛍
光団、放射性分子、発色・蛍光・化学発光物質を産生す
る酵素を容易に結合することができる。
【0030】“核酸プローブ”とはオリゴヌクレオタイ
ドあるいはポリヌクレオタイドでPCR反応のターゲッ
ト配列の一部あるいは全部に対する相補鎖を含むもの
で、プローブにはインサイツPCR調整物の細胞内にお
ける局在を検出するためのタグが標識がされていて、こ
の調整物は溶剤の存在下で核酸プローブとミックスされ
て、特定の増幅される核酸にプローブがアニールするの
を促進するような温度条件下にさらされても標識タグは
保持される。
【0031】本発明においてインサイツPCRの目的で
細胞サンプルを固定する推奨する方法は、細胞サンプル
を10%ホルマリン、0.1%リン酸ナトリウム、pH
7.0で10分から24時間室温で行なう。細胞は血液
あるいはバッフィーコートのような血液分画から得た場
合は浮遊状態、臨床病理学で良く知られるバイオプシ
ー、オートプシー、手術操作によって得られる場合固形
の組織である。PCRを浮遊細胞に対して行なう場合、
浮遊細胞はホルマリン固定の後、遠心し、リン酸バッフ
ァー生理食塩水で再び浮遊化させ、再度遠心して固定液
を取り除くのがよい。洗って、ペレット化した細胞はP
CR反応用バッファーで再浮遊させ、直接PCR用のチ
ューブに入れる。PCRをスライドグラス上で行なう場
合、浮遊化させた細胞はサイトスピンでスライドグラス
に付着させ、バッファー化したホルマリン中で10分間
固定し、水で1分間洗い、95%エタノールで1分間洗
うのが望ましい。別の方法として、浮遊化させた細胞を
遠心管でペレット化し、ペレットをパラフィンに包埋し
て組織標本と同様に扱う。組織試料は処理を行なったの
ちパラフィンに包埋し、臨床病理学において標準となっ
ているミクロトーム処理で4−5μm厚の連続切片とす
る。組織化学的切片は直接スライドグラス上に乗せる。
いずれの場合も、スライドグラスはアセトンに2%濃度
で溶解した3アミノプロピルエトキシシランで処理し風
乾しておくのが望ましい。塗沫あるいは切片をスライド
グラス上に乗せた後、スライドグラスを60℃で約1時
間加熱する。パラフィン包埋した切片はキシレンで5分
間2回洗い、100%エタノールで5分間2回洗うこと
によって脱パラフィンをすることができ、洗いはすべて
室温中で軽く振蕩させながら行なう。
【0032】PCRプライマーシーケンスの選定、PC
R試薬、反応ミックスチャーの調整、PCR反応の設
定、実行はPCRの技術で良くしられている。浮遊細胞
にたいしての核酸の増幅を標準的なPCR用のチューブ
で行なう場合、細胞は従来のPCR検体サンプルと同様
の処理をうけることになる即ち:増幅を開始する直前に
反応ミックスチャーに希釈されて加えられ、その時の総
細胞数は約100から約10個にわたっている。本発
明の第一の方式を達成するために、従来のPCR反応に
変更を加えた点は少なくとも一種の試薬、酵素が望まし
いが、プライマー、dNTP、塩化マグネシウムいずれ
でも可能だが、反応ミックスチャーより除外しておくこ
とだけである。50−100μlの鉱物油を反応チュー
ブに加え、チューブをサーマルサイクラーに置き、サー
マルサイクラーは多くの形式のものが購入可能である、
50℃から80℃に加熱するが実際は70℃から80℃
が望ましい。チューブがこの温度に達したとき、除外し
てあった試薬を標準の手動サンプル注入器で蒸発防止バ
リヤーの下に加える、このときPCR用のバッファーを
用いて加える量を5−15μlに調整するのが望まし
い。もし多数のサンプルを同時に異なったチューブで増
幅反応を行なう場合、クロスコンタミネーションを防止
するために、除外してあった試薬を加えるのにそれぞれ
のチューブ毎に新しいチップを使うべきである。全ての
チューブの調整が終わってキャップをした後、標準的な
変性、アニーリング、伸張の3温度熱循環プログラムが
10−40サイクル、サーマルサイクラーのマイクロプ
ロセッサの制御のもとで行なわれる。場合によって、あ
るいはこちらが普通に行なわれることもあるが、2温度
循環も行なうことができる、すなわちアニーリングと伸
張を同じ温度で行なうもので、プライマーとテンプレー
トのアニーリングの条件を厳しく設定することで普通最
適化を画られる。細胞調整物を使う場合、無細胞系の核
酸を使用する場合に比較して反応の高率は多少とも低下
するので、変性、アニール、伸張あるいはアニール−伸
張セグメントの間隔を、無細胞系のサンプルでの標準の
値より数倍増やす必要がある。この調節は試行を繰り返
すことで容易に行なえ、増幅核酸の検出過程で最大のシ
グナル強度を与えるような条件を求めるか、一定のシグ
ナル強度を得るのに必要な最小なサイクル数を求めるこ
とで得られる。同様に最適化は反応液中の塩化マグネシ
ウム、dNTP,プライマー、酵素の濃度を変えること
によって得られるが、これらのパラメーターはしばしば
異なったターゲットに対しては異なった最適値を与える
ことが多い。
【0033】本発明の第二の方式を反応チューブで行な
うについては、今のべた方法にいくつかの変更を要す
る。もはや前述したような手動によるHotStart
TM法を行なう必要はない:すなわちサーマルサイクリ
ング開始前に、室温下で全ての反応物をミックスし蒸発
防止バリアーを加えればよい。
【0034】しかしながら反応試薬をミックスする順序
は重要でSSBは最後に加えるべきでない。好ましくは
SSBはプライマーと共に予めまぜておきこの2種の試
薬を残りの反応物と混ぜるようにするのがよい。SSB
の最適量はSSBの種類とそれぞれの反応の一本鎖DN
Aの量によって変わり、前述したサーマルサイクルのパ
ラメータを最適化するクライテリアに従って試行を繰り
返して求められる。細胞調整物には普通一本鎖DNAは
わずかしか含まれていないので、反応物中のプライマー
の量からSSBの最適量を概算することが以下のように
してできる:(1)プライマーの数、濃度、反応液容積
から全てのプライマーの全モル数を計算する、(2)平
均プライマー長を使用する特定のSSBのフットプリン
ト長で割り最も近い整数に四捨五入する、(3)この整
数にプライマーの全モル数をかけてプライマー全てと反
応するのに必要なSSBの全モル数を求める、(4)計
算で得たSSBの最小量の0.5倍から2倍のSSBを
加える。更に正確な調整は試行を繰り返して行なう。S
SBのフットプリント数とは一つのSSB結合サイトが
占めるヌクレオタイド数である。以下に研究文献に報告
されているSSBフットプリント数を示す:バクテリオ
ファージT4遺伝子32蛋白では8;大腸菌SSB四量
体では33から65;フィラメンタスファージ遺伝子5
蛋白単量体当たり5;トバモウイルス移動蛋白30KD
a単量体当たり4−7;Agrobacterium
tumefaciens virE2蛋白64KDa単
量体当たり30。
【0035】本発明の第一あるいは第二の方式いずれを
標準的なPCRチューブ内で固定浮遊細胞に行なう場合
も、顕微鏡による解析に必要なPCR後の処理として推
奨される方法は同じである。前述したように有機シラン
処理されたスライドグラス上に付着させられる前に、細
胞はペレット化され一回リン酸バッファー化生理食塩水
で洗われる、これは塗沫標本あるいはパラフィン包埋ペ
レットのミクロトーム切片でも同様である。60℃で一
時間加熱してスライドグラスへの接着をより促進させ
る。
【0036】本発明の第一あるいは第二の方式を、スラ
イドグラスにのせられた組織化学的切片あるいは細胞化
学的塗沫標本に適用するとき、増幅反応の過程は前述し
たPCRチューブ内で行なうのとはいくつかの点で異な
っている。本発明の第一の方式でスライドグラス上で効
率的に行なおうとする場合、少なくとも一種、例えば酵
素、の試薬を除いたPCR反応試薬の5−10μlで切
片あるいは塗抹標本部を覆う。次にプラスチック製のカ
バーをこの上に被せ、スライドグラスを深さ約5−10
mmで底がスライドグラスより若干大きいアルミフォイ
ルせいのボート内に乗せ、このボートをサーマルサイク
ラーのサンプルブロック上に乗せる。サンプルブロック
が約80℃に達しこの温度を保つようになったとき、カ
バースリップを持ち上げ、除いてあった試薬を含んだP
CRバッファー2−10μlを反応ミックスチャーの表
面に流し込む。インサイツPCRの調整物が乾燥する前
にカバースリップをかぶせ直し爪用のエナメル液を一滴
カバースリップの一端につけてスライドグラスに固定さ
せ、スライドグラスを鉱物油でカバースリップ全部を端
もふくめて覆って大気と接しないようにする。鉱物油
は、それを加えることで一時的にPCR調整物の温度が
下がらないように、予め温めておくのが良い。このあと
標準的な2温度あるいは3温度の熱循環反応を40サイ
クルほど行なう。前述したように、サイクルのパラメー
タ、サイクル数、PCR反応試薬の濃度は、オイルで覆
ったスライドグラスの加熱・冷却が普通と異なることお
よびしけんサンプルの細胞的な性質による反応効率の変
化を補償するために最適な条件を決定する必要がある。
増幅反応終了後、鉱物油をキシレンのような有機溶剤で
取り除いて、スライドグラスを100%エタノールある
いはエタノールの濃度上昇シリーズを用いて乾燥させ
る。オイルフリーとなった調整物を0.15M NaC
l,0.015M Na Citrate,pH7.0
で50℃15分間洗い未反応のPCR試薬を除く。この
ステップはプライマーあるいはdNTPが標識されてい
る場合特に有効である。
【0037】本発明の第二の方式をスライドグラス上で
有効に実施しようとする場合、多少の変更はあるが、第
一の方式での推奨した方法に沿って行なえばよい。手動
のHotStartTM法は必要ないが、行なっても差
しつかえない。反応ミックスチャーに加えるSSBの量
はインサイツPCR調整物中の一本鎖DNAすべてに結
合するのに十分な量とする。この見積は前述した、イン
サイツPCRを反応チューブ内で行なう場合と同様に行
なう。先にも述べたように、SSBを反応試薬に加える
のは最後にしないようにするのが重要で、好ましくは一
本鎖DNAの大きなパートを占めるプライマーと予め混
ぜておくのが良い。もし手動のHotStartTM
を行なわない場合、完全な調整物を用意して、プラスチ
ック製カバースリップでおおい(一滴の爪用エナメルで
スライドグラスに固定し)、アルミフォイル製ボートに
のせ、室温下で鉱物油でおおい、通常の熱循環反応を開
始させる、この場合最初に70℃−80℃に温度を保つ
必要はない。PCR反応後の鉱物油の除去と乾燥は前述
した通りに行なう。
【0038】インサイツPCRの検出の段階は、本発明
における第一あるいは第二の方式あるいはPCRが反応
チューブ内で行なわれるかスライドグラス上で行なわれ
るかに拘わらず同じ方法で行なわれる。検出には基本的
に2通りの方法がある。一つの方法はPCRプライマー
あるいは少なくとも一つのdNTPを放射性同位元素あ
るいはビオチン、ジゴキシゲニン、フルオレセインある
いは他の蛍光色素で標識する方法である。この場合、標
識物は増幅される核酸内に取り込まれ、未反応の標識物
はPCR反応後に洗い流され一方増幅された核酸は洗い
と乾燥の過程で合成された場所から動かさないとすれ
ば、直接に検出を行なえる。この簡便な検出法で解析が
有効であるためには、本発明でインサイツPCRの精度
が十分高く、洗いの過程で残ってしまう非特異的な増幅
産物が無視できる程度であることが要求される。この点
に関して、本発明の第一あるいは第二の方式について試
験、有効性を見るため、適当なコントロール反応を行な
うことができる。論理的に最も強いコントロール反応は
ターゲット核酸配列がないことがわかっている細胞で反
応を行なうことで;このコントロールの細胞系でシグナ
ルを認めないことが、この簡便な検出系の有効性を証明
することになる。このようなコントロールとしての細胞
は組織化学的あるいは細胞化学的プレパレーション中に
含まれていることが普通なので、普通の解析においてそ
れ自身コントロールが含まれている。コントロールとし
ては論理的にやや弱いが、ターゲット核酸配列に対する
最適なプライマー配列とは十分異なるプライマーを使っ
てアニーリングと伸張を厳しい条件で行なってターゲッ
ト配列が増幅しないことを確かめる方法もある。
【0039】検出法の第二は、増幅された核酸を、標識
した核酸プローブ;核酸の一部分と相補的な配列(プラ
イマー配列部は除外したほうがよい)をもつオリゴヌク
レオタイドあるいはポリヌクレオタイド、を使ってイン
サイツハイブリダイゼションを行なうことである。イン
サイツハイブリダイゼションは組織化学および細胞化学
の分野でよく知られていて、基本的に4つのステップか
らなり、試験サンプル中のDNAの変性、プローブと試
験サンプルの核酸とを厳しい条件のもとでアニーリング
させる、スライドグラスを厳しい条件で溶剤で洗いハイ
ブリダイズしなかったプローブを取り除き、スライドグ
ラス上に残っているプローブを検出する。
【0040】いずれの検出法を使うにしても、スライド
グラス上の標識物の存在とその局在の観察と記録は同じ
方法で行なわれる。標識が放射性同位元素(強いベータ
放射体である32Pあるいは125Iが望ましい)の場
合、スライドグラスをイーストマンコダック社(Roc
hester,NY)のNTB−2のような核飛跡検出
用の乳剤でおおって、4℃で必要な時間(試行を繰り返
して決定する)インキュベートし、標準の方法で現像
し、顕微鏡下で観察できるように固定化された標識物に
近接する銀粒子を析出させる。125I標識プローブあ
るいはPCR産物についてはHasseらが前出の論文
で述べている。標識物が蛍光団の場合、それぞれの蛍光
団に最適な励起フィルター放射フィルターを使用して直
接蛍光顕微鏡で観察することができる。この検出法は特
に異なったターゲット配列を異なったプライマーのセッ
トで多重にインサイツPCRを行なう場合有効である。
これには異なった蛍光団を異なったプライマーに標識す
るか、異なったプローブに標識するかいずれかの方法が
ある。蛍光団をオリゴヌクレオタイドあるいはポリヌク
レオタイドに標識する方法は、5′側に標識を行なうの
が容易だが、核酸化学およびPCRの分野で良く知られ
ている。もし標識物がビオチン、ジゴキシゲニンのよう
な結合分子の場合、(プライマーあるいはdNTPを介
して)直接PCR産物に取り込ませることも可能であ
り、また他の標識物を標識するのと全く同じ方法でプロ
ーブに取り込ませることも可能である。しかしこの場
合、シグナルを生じさせるために別の検出ステップを加
える必要がある。スライドグラスを、検出酵素と標識物
に特異的に結合する蛋白(ビオチンに対してはアビジン
あるいはストレプトアビジン、ジゴキシゲニンに対して
は抗ジゴキシゲニン抗体、フルオレセインに対しては抗
フルオレセイン抗体)とを共有結合した複合物を含む液
体溶剤中でインキュベーションするのが望ましい。検出
酵素としてはホースラディッシュペルオキシダーゼある
いはアルカリフォスファターゼが望ましい。未結合の酵
素複合物を溶剤で洗って取り除いた後、スライドグラス
を酵素の発色基質を含む溶液に浸す。酵素反応産物であ
る、不溶性の色素がスライドグラス上の酵素複合物が結
合している位置に沈着した後、時間が経つに従って非特
異的なバックグラウンドの染色レベルが上昇しないよう
に水あるいは溶剤で未反応の基質を洗い流す。不溶性の
産物をつくる発色基質は、染色法、酵素複合物のインキ
ュベーション法、洗浄法と共に、組織化学あるいは細胞
化学の分野で良くしられている。基質と酵素複合物は種
々のものが組織化学者、細胞化学者にしられていて、購
入が可能である。
【0041】本発明の検出ステップでスライドグラスを
蛍光色素(蛍光標識の場合)あるいは発色性の色素(放
射性−オートラジオグラフィー検出法あるいは酵素によ
る不溶性発色団の生成)でカウンター染色を併用するの
が望ましく、解析ターゲットに特異的なシグナルとは異
なったスペクトル特性の発色あるいは吸光によって細胞
の構造を際だたせる効果があり、特にターゲットの核酸
を含まない細胞でその効果が著しい。特に不溶性の青色
色素の沈着をを透過型顕微鏡で解析する場合ニュークリ
アーファーストレッドでカウンター染色するのが有効
で、これは組織化学・細胞化学の分野で標準的な手法と
なっている。染色後のインサイツPCR調整物の解析を
透過型あるいは蛍光顕微鏡で行なう方法として、顕微鏡
のイメージを写真あるいはデジタル化したヴィデオのイ
メージとして記録する方法が組織化学・細胞化学の分野
で良くしられた手法である。
【0042】本発明の第一あるいは第二の方式が固定さ
れた浮遊細胞に対しPCRチューブ内でおこなわれた場
合、顕微鏡で観察するためにスライドグラスに付着させ
るのとは別の方法として浮遊細胞を直接フローサイトメ
ーターで行なう方法がある。フローサイトメーターは蛍
光の信号の検出に最も適していて、インサイツPCRで
増幅核酸に取り込まれる場合あるいはPCR反応後のプ
ローブハイブリダイゼションによる増幅核酸への標識い
ずれも差しつかえない。いずれの場合も、細胞を標識物
を含まない液体溶剤で沈降・再浮遊化し、増幅された核
酸と結合しなかった標識物を完全に取り除くことが重要
である。細胞生物学者によくしられているが、フローサ
イトメーターの手法は標識物を含んでいる細胞と含んで
いない細胞を計数するのに有効な方法で、また細胞間で
の標識物の分布を定量的に記録することも可能である。
【0043】本発明において、試料ブロックと装置に対
して行なった有効な改良点として、従来のサーマルサイ
クラーの試料ブロックを、その上面がスライドグラスを
加熱あるいは冷却するのに最適なように加工したことで
ある。二通りの異なった設計を行なった。一つは同時に
小数枚のスライドグラスのインサイツPCRを行なうた
めのもので、上面が平滑で水平でスライドグラスの面積
の大きい部分が(高さと幅)水平方向となるように保持
することが可能であるように設計されている。この平滑
面は浅い井戸状にくぼんでいて鉱物油がスライドグラス
をおおって蒸発防止バリヤーとして保持されるようにな
っている。この面積は最小で16mm幅×77mm長で
普通に使用されるスライドグラスにフィトするようにな
っている。井戸の深さは最低2mm以上でスライドグラ
ス、カバースリップ、蒸発防止バリアーが収まるように
なっている。この設計は本発明の第一および第二の方式
いずれにも適用可能となっている。
【0044】同様に、インサイツPCRを同時に多数の
スライドグラスで行なうために、スライドグラスを挿入
して保持するとき、スライドグラスの上面と下面が金属
表面とほとんど隙間がないように、ブロックに多数の狭
くて深く垂直なあるいはほぼ垂直なスロットを設けた。
この隙間には通常鉱物油か他の不揮発性の液体で満た
し、蒸発防止とサーマルサイクリング反応において高率
良く熱伝導が行われるようにする。スロット面は垂直か
ら、重力によってスライドの片面がサンプルブロックの
金属面に接触するように45℃位まで傾斜を付けられる
こともある。スロットは15mm厚で、長さ77mm、
幅2mmで通常使われるスライドグラスとカバースリッ
プがおさまるようになっている。この設計は本発明の第
二の方式には適用が可能であるが、第一の方式には適用
が難しいというのはインサイツの調整物に対してカバー
スリップを取り外して、手動で除外してあったPCR反
応試薬を加え、再びカバースリップをかけるという操作
を迅速に行うことが難しいからである。
【0045】多くの異なった種類のサーマルサイクラー
が購入可能であるが、それぞれのサンプルブロックは違
った設計となっている。しかしながらこれらサンプルブ
ロックの設計にはいくつかの一般的に共通する性質をそ
なえていて:(a)素材:本質的に金属製で、耐久性お
よび熱伝導性の点でアルミニウムが推奨される;(b)
形状および長さ、幅、厚みの全体の大きさ;(c)底面
および場合によって側面が、サーマルサイクラーが動い
ているときブロックの温度を制御する加熱・冷却機構に
組み込まれるようになっていること;(d)上面には小
型のプラスチック製微量遠心チューブを緊密に保持する
ためのウェール(井戸上のくぼみ)が多数あり、この微
量遠心チューブは容量が0.5mlであることが普通だ
が場合によって、1.5mlチューブを保持することも
あり、核酸の増幅反応をこの中でおこなう;(e)必要
によっては、ひとつの面に熱電対あるいはサーミスター
プローブを緊密に保持する一ないし小数個のウェルがあ
ってサンプルブロックの温度をサーマルサイクル制御回
路にフィードバックさせるものもある。
【0046】本発明の第三の方式を実現させるには、サ
ンプルブロックの上面に変更を加えるだけでよく、他の
設計上の特質(ブロック厚は例外となるが)については
本質的に変更が必要なく本発明によってサーマルサイク
ラーの製造とその性能に影響を与えることはほとんどな
い。好ましくは、本発明のサンプルブロックの重量は従
来のサーマルサイクラーのサンプルブロックと同じにし
て、加熱・冷却の熱力学的性質に対する影響を最小に抑
さえるのがよい。
【0047】サーマルサイクラーのサンプルブロックは
普通、単一の金属ブロックとなるように作られ、たとえ
ば回転工作機によって、サーマルサイクラーに組み込ま
れるように正確に大きさ、ウェル、他の外形を加工され
る。ブロックをサーマルサイクラーにボルトで固定する
ための穴はボール盤で加工される。同様の製作工程が本
発明のサンプルブロックにも適用できる。しかしなが
ら、スライドグラスが緊密に収まるような直線状の形状
をしたウェルは打印したり比較的薄い金属シートを加工
して(レザーあるいはジェット水流による切削も含まれ
る)ボルトでとめて薄板状のアッセンブリにして容易に
作成することができる。ブロック全体は層状構造物とな
るか;あるいは一番上の部分、スライドグラスを保持す
るウェルが薄板状に加工されサーマルサイクラーに取付
けられたブロックの底面にボルトで取付けられる。
【0040】本発明の第三の方式に関して、サーマルサ
イクラーのサンプルブロックの設計で、スライドグラス
と従来の増幅反応用チューブ両方に最適な形状のウェル
を具えたものがのぞましい。更に、反応チューブ用のウ
ェルはサンプルブロックの淵に沿って一ないし数列配置
され、サンプルブロックの中心部にスライドグラス用の
ウェルが配置されているのが望ましい。金属の容積も含
めてサンプルブロックの他の特質にほとんど変更を加え
ることなく、このような設計を行うことができる。反応
チューブ用のウェルが円筒状に対称なため加工は機械に
よって簡単に行うことができる。
【0049】いくつかの市販されているサーマルサイク
ラーと公表されているサーマルサイクラーの設計では、
金属製のサンプルブロックの代わりに従来のPCRチュ
ーブを速い流れの加熱あるいは冷却された空気、水ある
いは他の熱伝導性の流体に浸す方式のものがある。この
ような設計方式においては、熱伝導製の流体の流れの中
でしっかりとスライドグラスを固定できるような金属製
のワイヤーあるいはプラスチック製の組格子でチューブ
ホルダーを置き換えることによってスライドグラスに適
用することが容易に行える。この場合、スライドグラス
はそのもっとも小さい次元(厚み)が流れに正対し、流
体の流れのベクトルの優位な成分がその大きい次元(幅
と長さ)の面と平行になるようにスライドグラスを配置
するのが好ましい。スライドグラスを流れのベクトルの
優位な成分に対してやや傾けて穏やかな乱流を生じさせ
るようにすると、均一な熱の伝導が得られる。
【0050】スライドグラスが直接熱伝導性の流体と接
触する方式のサーマルサイクラーの場合、薄いバリアー
でスライドグラスと熱伝導性の流体を隔離して、インサ
イツ調整物と熱伝導性流体の間で物質の移動が起こらな
いようにする必要がある。そうしないと、調整物は乾燥
してしまったりPCRの試薬が流れ出してしまったりす
る。バリアーとして望ましいのは、薄くて非透水性の高
い熱伝導性のプラスチックでおおう方法で、このような
ものとして、フルオロカーボン、ポリウレタン、ポリオ
レフィン、ポリイミドあるいはポリアミドなどがある。
このおおいは液体あるいは水蒸気がしみこんできたり外
に漏れだしたりしないように密封される必要がある。耐
水性の接着剤あるいは強いクリップでおおいを密封する
ことも可能である。もし熱伝導性の流体が液体の場合、
おおいの片側は液体の上に突出してその上に水蒸気で満
たされた空間が存在するような形となる。おおいに代わ
るような形のものとして、蒸発防止バリアーがスライド
グラスとほぼ同じ大きさの長さと幅をもった薄いプラス
チックのシート状のものでできていて、耐熱・耐水性の
接着剤で片面の全周の隙間をおおう方法もある。サーマ
ルサイクリング反応が開始する前にシートをスライドグ
ラス上面にしっかりと押しつけて、反応終了後はがして
検出の処理を行なうことができる。この場合カバースリ
ップの代わりにもなる。
【0051】前述の記述およびこれから示す例示によっ
て、後出する請求項によって包含される本発明の種々の
多用な方式が専門分野の熟練者に理解されるものと思っ
ている。
【0052】
【実施例】例1 ヒト遺伝子に組み込まれたHPVのインサイツPCRお
よびインサイツハイブリダイゼーションによる検出 ヒト子宮頸癌細胞由来の細胞株、SiHa(ATCCH
TB35)、はヒトの遺伝子1コピー当たりヒトパピロ
ーマウィルス(HPV)16型が1コピー組み込まれて
いる細胞で、このSiHa細胞を非必須アミノ酸、ピル
ビン酸ナトリウム、15%ウシ胎児血清を加えたイーグ
ル最小必須培地中で細胞密度が10cells/ml
に達するまで培養し、トリス緩衝化生理食塩水で2回洗
い、密度を10cells/mlに調節し、リン酸緩
衝液に溶解した10%ホルムアルデヒド(vol/vo
l)液中で室温で一夜攪拌した。ホルムアルデヒドで固
定した細胞を2,000rpm三分間遠心し、ペレット
をパラフィン中に包埋した。パラフィンブロックからの
ミクロトーム切片(4μm厚)をアセトンに2%となる
ように溶かした3−アミノプロピルトリエトキシシラン
(AldrichChemical Co)に浸したス
ライドグラスに、切片を水浴中に浮かせながら、付着さ
せた。付着させた後、切片の脱パラフィンを行ない、V
iratype in Situ Tissue Hy
bridizaation Kit(Life Tec
hnologies,Inc.,Gaitherbur
g,MD)内の試薬を説明書に従って蛋白分解処理を行
なった(相当する試薬および方法はOncorS680
0キット,Oncor,Inc.,Gaithersb
urg,MDを代わりに使ってもよい)。スライドグラ
スを、大きさ約8×3×1mmの手製のアルミフォイル
ボートに載せ、一枚のスライドグラス上に載せた4つの
切片を1セットとした各々のセットに5−10μlのP
CR溶液(下記参照)をかぶせた。プラスチック性のカ
バースリップをインサイツPCR調整物の各4つの切片
をおおうようにのせた。従来のインサイツPCR反応を
行なうために、カバースリップをスライドグラスに一滴
の爪用エナメル液で固定し、スライドグラスを約1ml
の鉱物油でおおって、フォイルボートをPCRサーマル
サイクラーのアルミニウム製サンプルブロック上にのせ
サーマルサイクリングを開始した。手動のHotSta
rtTM インサイツPCR反応を行なうために、スラ
イドグラス(カバースリップと共に)を含んだボートを
82℃に加熱し、カバースリップを持ち上げる間この温
度を保ちながら2μlの除外してあったPCR試薬(下
記参照)を調整物の表面にのせ、カバースリップを再び
かぶせ、一滴の爪用エナメル液でスライドグラスに固定
し、82℃に予め温めてあった約1mlの鉱物油をボー
ト中のスライドグラスとカバースリップを覆うようにし
た。こうして通常のサーマルサイクルプログラムを再開
した。
【0053】pH8.3のPCR溶液の組成は、10m
M Tris−Hcl,50mMKCl,4.5mMM
gCl2,20mM各dNTP,0.2ユニット/μl
AmpliTaqDNAポリメレースおよび6μMの
各プライマーからなっている。“シングルプライマーペ
アー”の実験のために、449bp産物が予想されるH
PV16型遺伝子に由来するプライマーPV1、PV2
を使った。“マルチプルプライマーペアー”の実験のた
めに、全長1247bpをカバーするようにオーバーラ
ップする一連の約450bp長のPCR産物のシリーズ
を生じさせるようなプライマーPV1からPV7までを
使用した。全てのプライマーのシーケンス配列を下表に
示す。
【表1】
【0054】従来のインサイツPCR反応を行なうため
に、上にあげた全ての成分を含むPCR反応液を組織化
学切片に最初から加えた。手動のHotStartTM
インサイツPCR反応を行なうためにプライマーとTa
qポリメレースを除いた反応液を最初に加えた。これら
の試薬はスライドが82℃に加熱された後、2μlの1
0mM Tris−Hcl,50mMKCl、pH8.
3溶液に加えられて独立に加えられた。最初のサーマル
サイクルは変性が94℃で3分間行なわれアニーリング
/伸張が55℃で2分間行なわれ、残りの39サイクル
は変性が94℃で1分間、アニーリング/伸張が2分間
行なわれた。
【0055】DNA増幅終了後、鉱物油をキシレンに浸
して取り除き、カバースリップを外し、スライドグラス
上にのせられた切片を100%エタノールで乾燥させ
た。それぞれのスライドグラスをビオチン標識したHP
V16型特異的ポリヌクレオタイドプローブ(Vira
type Kit,Life Technologie
s,Inc.)が500ng/ml濃度で含んだ10μ
lの0.03M NaCitrate,0.30M N
aCl,pH7.0,5%dextran sulfa
te,50%formamideで100℃5分、さら
に37℃で2時間インキュベートした。次にスライドグ
ラスを、S6800染色キット(Oncor,Gait
hersburg,MD)の操作説明書に従って、アル
カリフォスファターゼーストレプトアビジン結合物、フ
ォスファターゼ基質、5−ブロモ−4クロロ−3−イン
ドリルフォスフェート(BCIP)およびニトロブルー
テトラゾリウム(NBT)で処理した。切片上に捕捉さ
れたビオチン標識プローブの検出を行なった後、切片を
ニュークリアーファーストレッドで5分間カウンター染
色を行なった。染色スライドグラスを透過型顕微鏡で4
0−400倍で観察を行ない、本実験系における以下の
結果を得た。従来のインサイツPCR法ではSiHa細
胞中の単一コピーのHPVターゲット配列はシングルプ
ライマーペアーの場合検出できなかったが、マルチプル
プライマーペアーでは多くの核で明瞭に検出することが
できた。手動のHotStartTM インサイツPC
R反応においては、シングルプライマーペアーの場合8
0%の細胞の核が染まっていて、これは従来のインサイ
ツPCR法におけるマルチプルプライマーペアー使用の
場合より検出率が高かった。残りの20%は切片作成の
際に損傷を受けたものと思われる。すでに発表されてい
るように、インサイツPCRではターゲットをオーバー
ラップするようなマルチプルプライマーペアーの使用が
必要であるとの結果は正しくないことがわかる。シング
ルプライマーペアーによる実施および実際に結果が改良
されたことは、インサイツPCRの実用性をおおいに高
めた。
【0056】例2 インサイツPCRハイブリダイゼーションによるヒト遺
伝子DNAに組み込まれたHIV−Iの検出 ヒトTリンパ球系細胞株、H9(ATCCCRL854
3)、をRPMI培地中で10cells/ml密度
まで培養し、Basic Virological T
echniques66−69ページに記載されている
方法に従って、HIV−Iを感染させ、4日間室温でイ
ンキュベートした。これより10個の細胞を使ってフ
ォルムアルデヒドで固定し、パラフィンに包埋し、切片
化し(5μm厚)、スライドグラスにマウントし、例1
と同様に蛋白分解により透過性の処理を行なった。従来
のインサイツPCR反応と手動のHotStartTM
インサイツPCR反応を例1と同様に行なったが、使用
したシングルプライマーペアーはHIVgag蛋白領域
の115bpをターゲットとして特定するSK38、S
K39(Perkin Elmer Cetus In
struments,Norwalk,CT)を使用し
た。PCR反応後の処理は例1と同様に行なったが、プ
ローブSK19(Perkin Elmer Cetu
s Instruments)はランダムプライマー法
によってジゴキシゲニン11−dUTPで標識されてい
るので、標識dNTPとGneiusTM標識キットの
製造元であるBoehringer Manheim
(Indianapolis,IN)の試薬を使用し解
説書に従った。スライドグラスの染色は、アルカリフォ
スファターゼ−抗ジゴキシゲニン抗体結合物とBCIP
/NBT発色剤を使って行なったが、これもBoehr
inger Manheim(Indianapoli
s,IN)の解説書に従った。
【0057】スライドグラスの顕微鏡による観察の結
果、手動のHotStartTM インサイツPCR反
応では、90%の細胞がBCIP/NBTで染色され
た;一方従来のインサイツPCR反応では染色された核
を認められなかった。方法的に改良を行なった手動のH
otStartTM インサイツPCR反応では(また
この方法でのみ)、わずか115bpの産物が非放射性
検出法で認めることができた。
【0058】例3 Hot Start法によるインサイツPCR法の感度
の改善 包埋固定されたSiHa細胞の組織化学切片がのったス
ライドグラスを例1と同様にして用意した。切片には、
HPV陰性のドナーからの50μlの抹消血白血球
(5,000cells/ml)を,バーッフィコート
より調整してサイトスピンでスライドグラス上に付着さ
せて加えた。加えられた細胞はリン酸バッファーに溶か
した10%ホルムアルデヒドで室温で5分間固定した。
スライドグラスに対し、従来のインサイツPCR反応と
手動のHotStartTM インサイツPCR反応を
例1と同様に行なったが、dNTPには5mMジゴキシ
ゲニン11−dUTP(Boehringer Man
heim)を加えた。HPVに対するプライマーペアー
PV1およびPV2を使用した。
【0059】DNAの増幅の後、洗いと脱水ではずれな
かったジゴキシゲニン標識DNAを、アルカリフォスフ
ァターゼー抗ジゴキシゲニン抗体結合物、フォスファタ
ーゼ基質、BCIPとNBTを使って、この染色用試薬
の販売者であるBoehringer Manheim
の解説書に従って染色したが、試薬の容量は、組織化学
切片に適当なようにサザンブロッティングメンブレンフ
ィルターを染色する場合の95%の縮小を行なった。増
幅DNAの染色後、白血球を、白血球共通抗原に対する
マウスのモノクロナール一次抗体のペアー(DACO−
LCA抗体 PD7/26と2BNを含む;DAKO−
PATTS)とマウス一次抗体を検出するためのHis
tostain−SPキット(Zymed Labor
atories Inc.,South San Fr
ancisco,CA)を使って免疫組織化学染色を行
なった。このキットでは、ビオチン化した抗マウス二次
抗体、ホースラディシュペルオキシダーゼーストレプト
アビジン結合物とペルオキシダーゼによる発色基質アミ
ノエチルカルバゾールが用いられている。一次抗体およ
び染色キットは説明書に従って使用した。
【0060】顕微鏡による観察の結果、手動のHotS
tartTM インサイツPCR反応では80%のSi
Ha細胞の核が染色され白血球の核は染色されなかっ
た、このことは手動のHotStartTM インサイ
ツPCR反応がシングルプライマーペアー使用時でも精
度と感度が高いことを示している。一方従来のインサイ
ツPCR反応ではけっかは非特異的で、全ての細胞が、
SiHa細胞および白血球の核両方とも染色され、Ho
tStartTM方式が行なわれなかった場合、非ター
ゲット特異的な増幅反応が高率に起こったことを示唆し
ている。ターゲット特異的プローブを使用することでイ
ンサイツハイブリダイゼーションを行なって特異的増幅
DNAおよび非特異的増幅DNAを区別することも可能
だが(例1参照)、ここで呈示している例ではHotS
tartTM方式ではプローブの使用を不要とし検出の
非常な簡素化を示していて、この結果インサイツPCR
をより実用的にするものである。
【0061】
【配列表】
【0062】
【0063】
【0064】
【0065】
【0066】
【0067】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 (C12N 15/11 C12R 1:19) (71)出願人 592191508 ザ リサーチ ファウンデーション オブ ステイトユニバーシィティ オブ ニュ −ヨーク アメリカ合衆国ニューヨーク州,オールバ ニィ,ステイト ユニバーシィティ プラ ザ ブロードウェイ(番地なし) (72)発明者 ウィル ブロック アメリカ合衆国カリフォルニア州エル セ リト,リバティー ストリート 421 (72)発明者 ジェラード ジェイ.ヌオーボ アメリカ合衆国ニューヨーク州カルバート ン,ピー.ー.ボックス 638,リン レ ーン 2

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 【請求項1】固定された細胞、PCR反応試薬のうち反
    応開始時におけるサブセット試薬および必要によって一
    本鎖DNA結合蛋白からなるインサイツPCR用の調整
    物。 【請求項2】固定された細胞、PCR反応試薬の完全な
    セットおよび一本鎖DN結合蛋白からなるインサイツP
    CR用の調整物。 【講求項3】固定化細胞がPCRの試薬が浸透可能なよ
    うに処理された請求項1、2の調整物。 【請求項4】固定化された細胞をスライドグラス上に接
    着させた請求項1−3のいずれかの調整物。 【請求項5】固定化された細胞が組織化学切片あるいは
    細胞化学塗沫標本内のものである請求項4の調整物。 【請求項6】調整物にさらに上にカバースリップをかぶ
    せた請求項4、5の調整物。 【請求項7】一本鎖DNA結合蛋白がバクテリオファー
    ジT4遺伝子32蛋白である請求項1−6の調整物。 【請求項8】一本鎖DNA結合蛋白が大腸菌由来の分子
    量19キロダルトンの一本鎖DNA結合蛋白である請求
    項1−6の調整物。 【請求項9】PCR試薬のサブセットが核酸ポリメレー
    スのみを除いた、残りのの試薬全部からなる請求項1の
    調整物。 【請求項10】上に蒸発防止バリアーがおおっている請
    求項2と4、5あるいは6の調整物。 【請求項11】(a) 固定された細胞、PCR反応試
    薬のうち反応開始時におけるサブセット試薬および必要
    によって一本鎖DNA結蛋白からなるインサイツPCR
    用の調整物を約50℃から約80℃の温度範囲でインキ
    ュベートし; (b) ステップ(a)調整物に反応開始時に除いてあ
    ったPCR反応試薬を加え; (c) ステップ(b)の調整物に、PCR反応試薬の
    完全なセットでサーマルサイクリング反応を行なってタ
    ーゲットの核酸配列を増幅し; (d) 必要によって増幅された核酸配列を検出し、本
    来そのターゲット核酸配列を含む個々の細胞内での局在
    を行なう; 以上のプロセスから構成されるターゲット核酸のインサ
    イツPCR増幅方法 【請求項12】固定細胞がステップ(c)−(d)にお
    いてスライドグラス上に接着されて行なわれる請求項1
    1の方法。 【請求項13】(1) 固定細胞がスライドグラス上に
    接着され調整物はステップ(a)の開始前にカバースリ
    ップがかぶせられていて、(2)ステップ(b)を実行
    するために約5秒から約15秒の間カバースリップを持
    ち上げ、ステップ(c)の実行前にカバースリップを戻
    し、(3)ステップ(c)の実行前にカバースリップの
    上に蒸発防止バリアーをのせ、(4)ステップ(d)の
    実行前に蒸発防止バリアーとカバースリップを取り除く
    請求項11の方法。 【請求項14】(a) 固定された細胞、PCR反応試
    薬の完全なセットおよび一本鎖DNA結合蛋白からなる
    インサイツPCR用の調整物; (b) ステップ(a)の調整物にPCR反応試薬の完
    全なセフトでサーマルサイクリング反応を行なってター
    ゲットの核酸配列を増幅し; (c)必要によって増幅された核骸配列を検出し、本来
    そのターゲット核酸配列を含む個々の細胞内での局在を
    行なう; ことからなるターゲット核酸配列のインサイツPCR増
    幅方法 【請求項15】固定細胞がステップ(b)−(c)にお
    いてスライドグラス上に接着されている請求項14の方
    法。 【請求項16】(1)固定細胞がスライドグラス上に接
    着され、(2)ステップ(b)の実行前に調整物の上に
    蒸発防止バリアーをのせ、(3)ステップ(c)の実行
    前に蒸発防止バリアー取り除く請求項14の方法。 【請求項17】一枚ないしそれ以上のスライドグラスを
    保持し温度制御を最適に行なえるようにしたサーマルサ
    イクラーのサンプルコンパートメント。 【請求項18】金属製ブロックから作られていてその上
    面がスライドグラスを保持可能なように最小約17mm
    ×16mmの寸法の少なくとも一つの平滑水平面をもつ
    請求項17のサーマルサイクラーサンプルコンパートメ
    ント。 【請求項19】約0、5ml容量の円錐形微量遠心チュ
    ーブを保持するためのウェル(井戸状のくぼみ)が最低
    1列加わっている請求項18のサンプルブロック。 【請求項20】(a) 熱伝導性流体を内部に有しその
    流れを制御するように設計されたチェンバーと(b)そ
    のチェンバー内で、熱伝導性流体に浸っているスライド
    グラスを確実に保持するための装置から構成される請求
    項17のサーマルサイクラーサンプルコンパートメン
    ト。 【請求項21】約25℃から約100℃の間で水および
    水蒸気を実質的に通さず、長さ、幅、高さがスライドグ
    ラスのそれとほぼ同じ大きさのプラスチック性のおお
    い。
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