JP2008516584A - 新規ホットスタート核酸増幅法 - Google Patents

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Abstract

核酸複製および増幅反応を実行するための方法および組成物が提供される。一本鎖核酸結合タンパク質が選択され、低くノンストリンジェントな温度で調製され、核酸複製および増幅反応の成功に必要な試薬の全てを含む反応混合液中に提供される。低い温度における反応混合液への一本鎖核酸結合タンパク質の導入により、反応混合液がノンストリンジェントな温度において完全に調製されているにも関わらず、増幅産物のような非特異的産物の生成が改善される。

Description

この出願は、2004年6月30日に出願された米国仮出願第60/584362号の優先権を主張するもので、その内容全体を出典明示によりここに援用する。
(発明の背景)
(発明の分野)
本発明は、非特異的プライマー伸長産物を減少または消失させる方法を提供する。より具体的には、本方法は、これらの産物を減少または消失させるために、一本鎖核酸結合タンパク質を用いる。この発明は、ポメラーゼ連鎖反応(PCR)のための新規のホットスタートの方法として特に有用であると考えられる。
(関連技術の記載)
核酸の増幅は現代科学において基礎的な重要性を有している。この過程において、核酸は協調的な触媒的合成を介して複製される。
一般的に、核酸増幅反応は、比較的短い一本鎖の核酸(プライマーあるいはオリゴヌクレオチド)を、対となる相補的な核酸配列を持つ比較的長い一本鎖(標的あるいは鋳型)にハイブリダイズ(アニーリングあるいはペアリング)させる工程を介して起きる。相補的なアニーリングは、ワトソン−クリックの組合わせ則(すなわち、A−TとG−Cの塩基対)により記述される水素結合により形成、安定化される塩基対に関係している。ポリメラーゼは、反応中に存在する塩基またはヌクレオチドをプライマーの3’末端に酵素反応的に付加するために、このハイブリッド(または相補体)を用いることができる。ヌクレオチドは標的または鋳型に相補的なように付加される。新規合成された核酸の鎖は、プライマーの長さを伸長したヌクレオチドの結果であるため、この工程はプライマー伸長としても知られている。ポリメラーゼにより伸長されるために、プライマー鎖は最初に鋳型鎖とアニーリングされなければならない。
プライマー伸長反応で用いられるプライマーは、鋳型鎖の特定の部分に相補的になるよう設計されているにも関わらず、ある条件下では、部分的にしか相補的でない、もしくは稀な事例では非相補的である、鋳型鎖の他の領域とアニールすることも可能である。ここで用いられるところでは、完全に相補的な組合わせは特異的プライミングの結果であり、そのように呼ばれ、部分的に相補的な(あるいは非相補的な)組合わせは非特異的プライミングの結果であり、そのように呼ばれる。ポリメラーゼは完全な相補体と部分的な相補体とを区別できないため、仮に伸長条件下に双方とも存在する場合、プライマー伸長産物は双方から形成される可能性がある。ここで用いられるところでは、完全な相補体からのプライマー伸長産物は特異的産物と呼ばれ、部分的相補体(あるいは非相補体)からの産物は非特異的産物と呼ばれる。
プライマーが、部分的に相補的(あるいは非相補的)な配列と比べて、完全に相補的な配列と、どの程度ハイブリダイズするかは、周知の熱力学法則により支配されている。有用なパラメーターは融解温度(T)として知られており、プライマーとその真の相補体または意図した標的配列の50%がアニールする温度である。実際のTを決める最も一般的な方法は、UVスペクトロメーターにおける吸光度に対する温度をプロットすることである(例えば、MarmurおよびDoty, 1962, Journal of Molecular Biology 5:109-118)。この経験的な測定は、しばしば実用的ではなく、それ故に、理論的な手法が融解温度を予測するために考え出されてきた。そのような手法の一つが、Wallaceの法則として知られている方程式を介したものである(Suggsら, 1981, In Developmental Biology
using Purified Genes 23:683-693)。この方程式は、#をプライマーに存在するA、G、CまたはT塩基の数とする時、T(℃)は2×(#A+#T)+4×(#G+#C)であるというものである。したがって、等しい塩基を持つ20塩基長のプライマーは、2×(5+5)+4×(5+5)=60℃というTを持つと予想されるだろう。
塩濃度、DNA濃度、および変性剤の存在などの他の因子も融解温度に影響を与えるが、Tに主に寄与するのはプライマーの長さと塩基組成である。仮にある特定のプライマー配列があるとすると、ハイブリダイゼーション反応の温度は、熱力学法則に基づき、非特異的プライミングに対する特異的プライミングの量を決定する。Tを顕著に上回る温度は非特異的プライミングおよび特異的プライミングを制限する一方、Tを顕著に下回る温度は非特異的プライミングを許容することになるだろう(例えば、Gillamら, 1975, Nucleic Acids Research 2(5):625-634; Wallaceら, 1979, Nucleic Acids Research 6(ll):3543-3557)。特異的相補体とそれによる特異的プライマー伸長産物を得るために、理想的には、ハイブリダイゼーションはプライマーのTかその付近で行われる。ここで用いられるところでは、Tかその付近の温度は制限的(リストリクティブ)またはストリンジェントと呼ばれる一方、プライマーのTより顕著に低いハイブリダイゼーションおよびプライマー伸長の温度は、許容的(パーミッシブ)またはノンストリンジェントと呼ばれる。このように、制限的あるいはストリンジェントな温度は特異的プライマー伸長産物につながる一方、許容的あるいはノンストリンジェントな温度は非特異的プライマー伸長産物につながる。
プライマー伸長反応の周知の例がポリメラーゼ連鎖反応(PCR)である。この技法においては、DNA合成はあるサイクルを含む一連の工程の中で起こり、このサイクルは更なる解析のためにプライマー伸長反応産物を増幅するために何度も繰り返される。典型的には、プライマー間の距離として長さが決められる二本鎖DNA産物を生み出すために、二つのプライマーは3’末端をそれぞれの3’末端を向かい合わせるように用いられる。典型的には、そのサイクルは、一本鎖DNAを生成する工程、プライマーをそれらの標的配列とハイブリダイズさせる工程、およびそれに次ぐポリメラーゼによるプライマー伸長の工程からなる。PCR技法は、米国特許第4683202号、第4683195および第4965188において、詳細に記載されている。逆転写PCR(RT−PCR)と呼ばれる、PCRの変形型は、DNAの代わりに反応の鋳型としてRNAを用いた時のものである。この技法においては、RNA鋳型のDNAへの変換という最初の工程が、逆転写酵素活性を有するポリメラーゼを用いて行われる。この最初の鋳型変換(逆転写工程)の後、標準的なPCRと同様に反応が進行する。
PCRのそれぞれのサイクルは元の標的の幾何級数的な伸長を生み出し(すなわち、1サイクルごとに倍数化する)、PCRにおいて典型的に用いられている25−50サイクルの後に10億倍以上に十分に標的を増幅することができる。不運なことに、非特異的プライミングからの増幅も起きることがあり、これらの非特異的産物は、特異的産物を分かりにくくするために、有害である。PCRの特異性は多くの因子に依存するが、既に論じたとおり、ハイブリダイゼーションとそれに続く伸長工程の温度は、特異的なプライマー伸長産物を得る上で重要である。幸いなことに、Thermus qauaticus ポリメラーゼ(Taq DNAポリメラーゼ)のような熱安定的なポリメラーゼの発明と広範な使用はよりストリンジェントな反応温度の使用を可能にする(Chienら, 1976, Journal of Bacteriology 127(3):1550-1557; Saikiら, 1988, Science 239(4839):487-491)。ストリンジェントなハイブリダイゼーション温度は特異的産物が生成する可能性を増させる。
ポリメラーゼ連鎖反応の間に用いられる温度はストリンジェントにすることができるが、反応混合液それ自身は、高いプライミング特異性を得られるような、高い温度では簡便に調製されない。PCR反応物は、たいてい氷上、あるいは最も好ましくは室温(すなわち20−25℃)のような低い温度で調製される。もし、平均的なプライマーが50−60℃のTを持つと仮定すると、反応を組み立てる温度は明らかに顕著にそれより低く、非特異的プライミングに有利に働く。室温においては、PCRで用いられる従来型のポリメラーゼ(例えば、Taq DNAポリメラーゼ)は非特異的反応産物の生成へとつながる酵素活性をある程度有している。その上、たとえ反応物を氷上で調製したとしても、それらは、サイクルを回すために必要な温度を供給する機械に設置されなければならない。氷より高いストリンジェントなハイブリダイゼーション温度は瞬間的には達成することができず、この「ランピング("ramping")」段階の間に非特異的産物も生成され得る。許容的な温度では、プライマーは鋳型と非特異的に組み合わさるだけではなく、他のプライマーとも組合わさり、「プライマー二量体」として知られる非特異的なプライマー伸長産物につながる。非特異的増幅はポリメラーゼ連鎖反応の調製の間の普遍的な問題であって、Chouらの1992, Nucleic Acids Research 20(7):1717-1723により詳細がカバーされている。
非特異的増幅産物はPCR反応物の調製の間にも生じ得るため、これらのアーティファクトを減少させるか消失させることのできる方法が必要とされていた。この問題を解決するために様々な方法が開発されてきた。ストリンジェントもしくは"ホット"な(熱い)ハイブリダイゼーション温度に達するまで、プライマー伸長反応物を"スタート"(開始)させないために、これらの技術は一般的に"ホットスタート"法として知られている。これらの方法のうちの幾つかを、以下に簡潔に述べる。
最も単純なホットスタート法では、DNA合成の成功に必須な成分の一つが、室温での準備の間には反応混合液から除かれている。その後、反応混合液の温度がプライマーのTに基づくストリンジェント温度の閾値に達するか、あるいはより多くの場合は越えるか、の後に、除かれていた成分はピペッティングなどを介して手作業で加えられる。この方法は、しばしばマニュアルホットスタートPCRと呼ばれている。例えば、ストリンジェント温度に達するか、あるいは過ぎるまで、ポリメラーゼか、ポリメラーゼ活性に必要な二価カチオン(例えば、Mg2+)を反応混合液から除いてもよい。鍵となる成分は低い温度で利用できないために、非特異的な伸長産物は形成され得ない。多数の反応が起きる時には、この方法は面倒で扱いにくく、また、除かれている成分を導入するために、操作者が、互いに近接しているチューブを手動で開閉しなければならないため、PCR反応物の汚染にもつながり得る。
もう一つのホットスタート法では、必要な成分は全て、室温で反応混合液中に調製されるが、一つの必須の成分が、温度が上がると溶けるか、あるいは解ける隔壁物質を用いて、反応混合液の残りから物理的に隔離されている。一旦、典型的には蝋のような隔壁物質が解けると、隔離された成分は反応混合液の残りに導入され、プライマー伸長反応がよりストリンジェントな温度で進行する。通常は、ポリメラーゼが隔壁または蝋物質を用いて隔離されている。米国特許第5411876号とChouらのNucleic Acids Research 20(7): 1717-1723 (1992)に詳細が記載されているこの方法は、より特異的な増幅を可能にするが、隔壁物質の準備および完成が面倒である。
もう一つの方法は、低い温度ではポリメラーゼに非共有結合的に結合し、その活性を阻害する抗体を使用することである。より高い温度では、抗体とポリメラーゼの間の非共有結合は乱され、PCR反応の残りの間、ポリメラーゼ活性は回復する。この方法は、米国特許第5338671号に更に記載されている。この方法は効果的ではあるが、抗体を生成する製造段階が高価で、哺乳類のゲノムDNAのPCR反応への汚染を引き起こし得る。
しかし、もう一つの技術は、低い温度で、ポリメラーゼに化学的に共有結合し、その活性を阻害することに関するものである。この共有結合は、顕著な加熱(例えば95℃以上を10−15分間)の後に壊れ、その後ポリメラーゼ活性が回復する。米国特許第5677152号、第6183998号、および第6479264号に記載されているように、この技術を実行するために必要なポリメラーゼを含む複合体を製造するために、多様な化学修飾剤が導入され得る。この技法は、熱による脱プリン反応を介してDNAに損傷を与え得る大規模な初期加熱工程を必要とするという不利点を有する。このような大規模な加熱工程はまた、標準的なPCR法と比較してポリメラーゼの活性も顕著に減少させる。
要約すれば、プライマー伸長反応は二つの重要事象により定義することができる。一つ目は、プライマーを鋳型とハイブリダイズさせる工程であり、二つ目はポリメラーゼの酵素反応によるハイブリッドの伸長である。ハイブリダイゼーションの特異性は、低い温度は非特異的なプライミングと増幅アーティファクトに有利であるという熱力学の原理により支配されている。ポリメラーゼ連鎖反応は、通常は低い温度で調製されるため、増幅アーティファクトは問題となり得る。ホットスタートPCRと呼ばれる技術の、様々な方法がこの問題を解決するために開発されている。本発明はホットスタートPCRの新規の方法である。
(発明の要旨)
鋳型核酸の標的部と相補的な核酸配列を有するプライマーが鋳型核酸とハイブリダイズし、酵素により伸長される、鋳型核酸およびその一部分を複製する方法が提供される。その方法は、(a)第一の温度で、プライマー、鋳型の核酸、プライマー伸長を触媒するために有効な酵素、および、一本鎖の核酸との結合タンパク質の有効量を含む反応混合液を準備する工程、(b)前記第一の温度より高い第二の温度で、ハイブリダイズされた産物を生産するために、ハイブリダイゼーション反応を実行する工程、および(c)第二の温度より高い第三の温度で、前記ハイブリダイズされた産物から伸長産物を生産するためにプライマー伸長反応を行う工程;を含み、第一の温度における、反応混合液への一本鎖核酸結合タンパク質の導入の結果として、特異的伸長産物の生成が改善される方法である。
プライマー複合体もまた提供される。複合体は、鋳型核酸分子の特異的標的部と相補的な核酸配列を持つプライマーと、そのプライマーと相互作用する一本鎖核酸結合タンパク質を含む。一本鎖核酸結合タンパク質は、1)少なくとも、30℃かそれ以下の第一の温度までにおいては、プライマー伸長反応に関わるプライマーを事実上阻害し、2)一本鎖核酸結合タンパク質により、プライマーが第二の温度でプライマー伸長反応に関与することを実質的に阻害されないように、30℃から約72℃の範囲の第二温度において、相互作用が終結するかあるいは乱される、ように選択される。
鋳型核酸の特異的標的部と相補的な核酸配列を有するプライマーと、少なくとも30℃かそれ以下の第一温度までプライマーがプライマー伸長反応に関与することを阻害するのに有効な一本鎖核酸結合タンパク質を含む、PCR反応混合液も提供され、ここで一本鎖核酸結合タンパク質の阻害能は30℃から約72℃の範囲の第二の温度において失われる。
(発明の好ましい態様の詳細な説明)
ここで用られるところでは、5−25(もしくは5から25)のような範囲が与えられる時、これは、好ましくは少なくとも5以上を意味し、それとは別に独立して、少なくとも25以下を意味する。
またここで用いられるところでは、「一本鎖核酸結合タンパク質」(SSB又は複数形ではSSBs)は、一本鎖核酸と相互作用する(すなわち、結合する)ための非常に高い親和性を示すポリペプチドあるいはタンパク質である。典型的には、一本鎖核酸結合タンパク質は二本鎖核酸より一本鎖核酸とより高い親和性を示し、よりよく結合する。SSBsは、DNA又はRNAの一本鎖分子または断片と結合することができるが、一般的には、特定の種のSSBは、ある特定のものを他のものより好む。ここで論じるSSBタンパク質は、RNAよりDNAに対して高い親和性を有し、科学文献においてはしばしば一本鎖DNA結合タンパク質と称される。SSBsは、化学量論的に一本鎖核酸と結合する、すなわち核酸に対してほとんど固定されたモル比で結合する。更に、SSBsは一般的に配列特異性無く核酸と結合する(すなわち、核酸の塩基構成によらない)。ここでSSBsと称するものは酵素ではない、すなわち実質的な(もしくは既知の)酵素活性を示さない(ChaseおよびWilliams, 1986, Annual Reviews of Biochemistry 55:103-136)。
またここで用いられるところでは、「ハイブリダイゼーション」という用語は、それぞれの一本鎖における相補的なWatson−Crick(ワトソン−クリック)塩基の間での水素結合を介して、プライマー鎖と鋳型鎖のような一本鎖と別の一本鎖が結合し、それにより二本鎖核酸ハイブリッドや当該技術分野において他に知られているような複合体を生成するようなことをいう。一般的に、「ハイブリダイズ」、「アニール」および「ペアー」という用語は、この反応について述べる技術分野においては相互変換可能に用いられ、そして、ここにおいても、それらは相互変換可能に用いられる。ハイブリダイゼーションは2の二本鎖DNA分子、2の一本鎖RNA分子、もしくはDNAとRNAの一本鎖の間で進行し、二本鎖核酸複合体を形成してもよい。
またここで用いられるところでは、「変性」という用語は、一本鎖核酸を精製するために二本鎖核酸を分離する工程を意味する。この工程は、「融解」とも称される。二本鎖核酸の変性は、様々な方法で達成されるが、ここでは基本的に加熱により実行される。
またここで用いられるところでは、「一本鎖DNA」という用語は、しばしば「ssDNA」と短縮され、「二本鎖DNA」という用語は、しばしば「dsDNA」と短縮され、「二本鎖RNA」という用語は、しばしば「dsRNA」と短縮される。ここでは、他に指示が無ければ、「RNA」とは一般的な状態の一本鎖RNAのことをいう。
またここで用いられるところでは、プライマーがプライマー伸長反応に加わることを実質的に阻害するような様式で、プライマーと協調する、あるいは、プライマーと相関、関連、結合、または複合化される時、SSBはプライマーと「相互作用する」あるいは「相互作用している」といわれる。「相互作用する」という用語とその変形は、必ずしも限定されないが、このパラグラフで記載され、また以降の実施例で観察され、更に記載されているプライマー伸長阻害作用を生み出すために、SSBとその関連するプライマーとの間で達成されるか、あるいは達成される可能性のある他の様式の結合と同様に、化学結合(共有結合、非共有結合またはその他)を含むと考えられる。
本発明は、許容温度において非特異的プライミング現象から生じる非特異的プライマー伸長産物の生成を阻害または防止する方法および試薬を与える。本発明は次のような反応に限定されるものではないが、本方法は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を介したプライマー伸長に特に有用かつ適用可能である。中間体としてであるか、または最終製品としてであるかに関わらず、プライマー−鋳型ハイブリッドから増幅された二本鎖産物、または新規合成された二本鎖産物を生成するための、他の標準的なハイブリダイゼーションとプライマー伸長反応と一体となっているどの反応や工程に対しても、本発明は適用可能である。そのようなものとして、本発明は、逆転写工程がRNAをDNAに変換する逆転写PCRと呼ばれるPCRの変法にも有用である。プライマー伸長反応の他の例は、DNAおよびRNAのシークエンシング(配列決定)、逆転写、インビトロ転写および等温増幅(イソサーマル アンプリフィケーション)を含む。
PCR混合液は、標準的なサーマルサイクラーでのハイブリダイゼーションとプライマー伸長反応に適用することに適した反応チューブの中で、室温(30℃以下、より典型的には20−25℃)もしくは氷上(0℃)で準備または調製される。全てというわけではないが、ほとんど全てのPCR混合液は、初めは37℃以下で準備される。典型的なPCR混合液は、少なくとも以下の必須成分を含む:

・ 増幅を望む、一本鎖又は二本鎖であってもよい、鋳型核酸;
・ 鋳型核酸の標的部分と相補的な少なくとも一のプライマー−−もしその鋳型が二本鎖で両方の鎖の増幅が望まれるならば、それぞれが鋳型のセンス鎖とアンチ鎖の、それぞれにおける特異的標的部分と相補的な、少なくとも二のプライマーが提供されるであろう;
・ 酵素による核酸合成に必要な4つのデオキシリボ核酸(dATP、dGTP、dTTPおよびdCTP)、場合によっては外来性の核酸もまた含まれてもよい(例えば、dUTP);
・ 核酸合成を行う1または複数の酵素、典型的にはTaq DNAポリメラーゼおよび/または他の熱安定性ポリメラーゼ、鋳型がRNAの場合は逆転写酵素(例えば、MMLV−RTまたはAMV−RT)、もしくは他の適する酵素;
・ ポリメラーゼが用いられる時は、ポリメラーゼ活性に補助的な、Mg2+、Mn2+などのような二価カチオン;
・ 更に以下に述べるようなハイブリダイゼーションサイクルとプライマー伸長反応をサポートすることのできる適切な反応バッファー。
前述の成分は全てPCR(およびRT−PCR)において標準的なものであり、それぞれの量は、(反応バッファー溶液の成分と同様に)過度の実験をすることなく、当該技術分野において通常の技術を持つ者によく知られ、確かめられている。従って、背景の章に記載したような標準的なホットスタートPCR技法において、少なくとも前述の必須成分の一つ、典型的にはポリメラーゼ、は、ストリンジェントなハイブリダイゼーションの温度に達するまで、残りの反応混合液には加えられない、あるいは隔離されることを言及すること以外は、ここでは更に記載しない。本発明において、前述の必須成分の全ては、後に記載するようなSSB(s)の有効量と共に、室温で反応混合液中で一緒に調製され得るが、室温のような非ストリンジェントな温度で非特異的プライマー伸長産物が生じることを阻害または防止する。もちろん、様々な既知または標準的な効果を達成するために、例えば、グリセロール、ベタイン、DMSO,界面活性剤などの当該技術分野で知られているか、あるいは標準的である他の成分も、反応混合液に加えることができ、それらの選択と導入は当該技術分野の通常の技術を有する者の能力の範囲内である。
一旦、PCR混合液が準備されると(全ての反応成分は適切な濃度で反応チューブ内に導入されている)、自動PCRのサイクル反応を実行するために、チューブはサーマルサイクラーに移してもよい。少し好ましいくは、手動PCRも用いることができる。ここで意図される望ましいPCR温度プロフィールは、表1に開示される。
Figure 2008516584
表1で述べられた工程(および生じた産物)は、当該技術分野の通常の技術を有する者によく知られているため、ここではごく簡潔ににしか記載しない。理解されるように、初期変性工程は二本鎖の鋳型鎖を熱変性させるために実行され、サイクルの一部分としては繰り返されない。何度も繰り返されるサイクルは、以下の工程から成る。標準的には初期変性工程より継続時間の短い、変性工程の間では、続く工程でアニール可能なssDNAを生成するために、dsDNAが熱変性される。ハイブリダイゼーション工程の間では、ハイブリダイゼーションが低いノンストリンジェントな温度で実行された場合に生じる非特異的ハイブリダイゼーション産物に比べて、特異的ハイブリダイゼーション産物を選択的に生成するために、プライマー鎖と鋳型鎖は、ストリンジェントな温度でアニールされる。次に、伸長工程の間では、好ましくはプライマー伸長反応を触媒するために用いられる特定の一または複数の酵素に最適化された温度で、プライマー伸長反応が実行される。増幅された二本鎖プライマー伸長産物を生成するために、前述した工程サイクルは何度も(例えば、25−45回)繰り返される。
逆転写PCR(RT−PCR)として知られるPCRの変形法においては、RNA依存的DNAポリメラーゼ(逆転写酵素)の作用によりRNA基質をDNAに変換するために、初期変性工程より前に、付加的な工程が実行される。この酵素的変換は、Taq DNAポリメラーゼ以外の熱安定性ポリメラーゼ(例えば、Tth DNAポリメラーゼ)か、または、より一般的にはMMLV−RTやAMV−RTのような熱安定性の低いポリメラーゼによって、遂行される。この工程には、典型的には、37−75℃の温度と、1−60分の時間が必要である。この初期鋳型変換工程の後、上記概説のように反応は進行する。
表1の工程について開示された時間と温度は、必須ではなく、単に適切な条件を選択するのに有効な指針として意図されたものである。適切なサイクル工程の時間と温度の選択は、他の反応特異的な因子と同様に、増幅される個々の核酸、用いられる酵素に応じて、当該技術分野で通常の技術を有する者の能力の範囲内で十分になされる。表1の幾つかの工程は、当該技術分野で通常の技術を有する者に十分に認識される因子に応じて省略されてもよい。上述したような反応特異的な因子に応じて、時間と温度に対して最適化することもできる。
例えば、最後の伸長工程はしばしば省略される。また、伸長工程の間、Taq DNAポリメラーゼ(および他の熱安定性ポリメラーゼ)に最適な温度は、一般的に約68−74℃である。表1のハイブリダイゼーションおよび伸長工程は同じ温度で同時に実行することができるか、あるいは伸長工程をハイブリダイゼーション工程より高い温度で実行することもできる、ことにも更に注意されたい。表1を参照のように、伸長工程は、好ましくは、68−72℃の温度の範囲内で実行される。しかし、この工程は実質的には、ハイブリダイゼーション工程と同じ温度範囲で行うことができ、その温度範囲は、反応特異的な因子、特に伸長工程の間に合成(プライマー伸長)反応を促進するために用いられるポリメラーゼあるいは他の酵素に応じて、50℃から約72℃である。その代わりに、温度がハイブリダイゼーションとその結果伸長された所望の特異的産物を生成するのに十分ストリンジェントである限り、ハイブリダイゼーションおよび伸長工程を50℃以下の温度で実行することもできる。
更に次の点が、反応の遂行に関して言及される:
1) 変性温度は典型的には100℃未満だが90℃より高く;インキュベーション時間は1秒から約15分までである。これらの温度と時間は、十分にdsDNAを変性させ、ssDNAを生成するように選ばれる。
2) ハイブリダイゼーション温度は典型的には、72℃前後かそれ未満であるが、50℃より高く、プライマーの融解温度(T)に応じて、高いストリンジェンシーを与えるような特異的な温度が選択される。
ここで、一本鎖核酸結合タンパク質(SSB)は、非特異的なプライマー伸長産物の生成に関して、ノンストリンジェントな低い温度(例えば室温のような)におけるプライマー伸長反応混合液に組み込まれる。その効果とは、ハイブリダイゼーションとプライマー伸長反応がうまくいくのに必要な成分の全てが反応混合液に低い温度で存在するにも関わらず、非特異的産物に比べて、特異的プライマー伸長産物の形成が改善されるというものである。この効果は、非特異的プライマー伸長産物に対してより許容される、低く、ノンストリンジェントな温度において、SSBが反応混合液中の一本鎖核酸と結合した結果であると信じられる。具体的には、これらの反応混合液が一般的に準備される、低く、ノンストリンジェントな温度において、SSBは反応液中のプライマー(一本鎖核酸であるプライマー)を事実上隔離する。
ノンストリンジェントな温度におけるプライマー伸長反応混合液へのSSB(s)の導入は、2つの異なる現象を防止および阻害する。一つ目に、SSBsは、低く、ノンストリンジェントな温度で、プライマーに結合し、SSB−プライマー複合体を形成するために、プライマーが他の一本鎖核酸とハイブリダイズするのを防止および阻害する。二つ目に、仮にプライマー−鋳型ハイブリッドが形成された場合に、例えばもしSSBが少なくともハイブリダイズしたプライマーの3’末端と結合したままならば、SSBsは、ポリメラーゼのプライマー鎖3’末端への接近を阻止することでプライマー伸長を阻害するかもしれない。これは、ポリメラーゼが伸長反応を実行するために核酸を鎖へと組み立てる活性を阻害する。
本発明は、確実ではないが、全体的あるいは部分的に、観察される作用の原因と信じられている前述の機構の何れかに限定されるものではないことが注記される。実際に、非特異的プライマー伸長産物の生成の減少の機構に関して、代わりとなる説明があるかもしれない。明白なのは、SSB(s)がノンストリンジェントな温度において幾つかの様式で(例えば、結合を介して)でプライマーと相互作用し、それによってプライマーが、それらの低い温度でプライマー伸長反応に関与することが阻止あるいは少なくとも阻害されることである。更に、より完全にはここに記載されるように、プライマー−鋳型ハイブリダイゼーションのためのストリンジェントな高い温度へと加熱することを介して、SSBとプライマーの間のそのような阻害効果は逆転し得ることが更に示されている。
プライマーが隔離され、そのためノンストリンジェントな温度で伸長反応に参加するのを防止または阻害されていると信じられる(もしくは、少なくともその効果はまるでそうであるかのようである)ため、本方法は、発明者達により「プライマー隔離(primer sequestration)」と称される。低い温度において、SSBを含む必要な全成分を含むプライマー伸長反応混合液を用意した後、所望の増幅反応を実行するために、混合液の温度は、例えば表1に記載されたような増幅反応サイクルに従い上昇される。SSBは、反応が進行する(表1のハイブリダイゼーションおよび伸長工程)予定の温度において、変性している、もしくは変性する、あるいは、プライマーとの間の化学的または物理的な結合が壊れる、もしくは乱されることにより、プライマーとの相互作用をやめるか、プライマーから解離し、それによりプライマーを放出し、プライマーが自由になり反応に関与できるように選ばれる。更に、そのような温度(表1の50−72℃)は反応が調整された温度と比較してストリンジェントであり、そのため特異的アニーリングが非特異的アニーリングよりも熱力学的に有利となる。
ある態様では、熱不安定性(すなわち熱感受性)相互作用を介して、プライマーと相互作用または結合するのに有効なSSBsが選択される。この相互作用は、上昇した温度、好ましくはストリンジェントだがポリメラーゼ活性に最適な温度(典型的には50−75℃、より好ましくは68−72℃)の範囲かその付近、しかし好ましくは、少なくとも30℃、好ましくは37℃、好ましくは40℃、好ましくは50℃、において自然に乱される。より好ましい態様では、SSBと一本鎖核酸の間の結合は熱(すなわち、約30℃、約40℃または約50℃以上)に感受性の非共有結合である。反応混合液の温度が、特異的プライミングに有利なこれらの温度以上に上昇する時、熱不安定性の相互作用は終わり、プライマーはハイブリダイゼーションとそれに続く伸長反応に関与することができる。
その代わりに、SSBsは、30℃かそれ以下の温度でプライマー分子と結合し、それによりプライマー分子を隔離してもよいが、SSBの変性の結果として、またはそれと関連して、プライマーとSSBの間の相互作用が終わるか、もしくは終わらせられ、それにより関連したプライマーが意図する標的と自由にアニールできるようにそのプライマーを放出するように、30℃から98℃または50℃から98℃(より好ましくは96℃以下、より好ましくは95℃以下)の範囲の高い温度で変性する。この様式では、プライマーは、ハイブリダイゼーションの特異性が比較的低いような、低く、ノンストリンジェントな温度では隔離されているが、ストリンジェンシーおよびそれに続くハイブリダイゼーションでの特異性が比較的高い、高い温度では自由にハイブリッド形成することができる。
好ましい(しかし限定されない)特徴を有するどんなSSBまたはSSBsの組合わせも本発明において有用であると考えられる:1)SSB(s)は、PCR反応物を調製する間に一般的に用いられている低い温度(すなわち、室温付近かそれよりも低い温度、または、0−30℃、より典型的には15−27℃で)において、プライマーと結合し;2)SSB(s)は、一般的に用いられている、あるいは標準的なPCRバッファー中でプライマーと結合し;そして3)SSB(s)は、特異的なハイブリダイゼーションに適したよりストリンジェントな温度(好ましくは、30℃、40℃、50℃、60℃、70℃、80℃または90℃より大きいかその付近)では、プライマーと結合しない。高い温度での、SSB(s)とプライマーの間の相互作用の終結は、熱不安定性結合によるものか、さもなくば、SSB(s)の変性を介したものである。このことは、プライマーを、PCRの操作工程の間は使用可能にし、反応液中の1または複数のポリメラーゼにより伸長されることのできるようにしている。
より好ましい態様では、開示された方法に用いられるSSBは野生型T7SSB、T7SSB変異体、またはそれらの組合わせである。野生型T7SSBは、科学文献中では、バクテリオファージのT7のゲノムのコード化配列の位置を示す用語である、T7gp2.5またはT7gene2.5としても知られている。ここで「野生型」とは、公然と用いられるデータベースおよび文献で提供される、変異していないあるいは元の、DNAおよびタンパク質の配列を意味する(例えば、DunnおよびStudier, 1983, Journal of Molecular Biology 166(4):477-535)。T7SSBは、それぞれ25,562gm/molの分子量を有する2の同一のサブユニットから成る安定な二量体を溶液中において形成する。T7SSBはdsDNAよりssDNAと高い親和性で結合し、それぞれのタンパク質の単量体は約7ヌクレオチドの長さと結合する。T7SSBの熱安定性は調べられており、その融解温度(T)は約53℃である。タンパク質の融解温度はdsDNAの融解温度と類似のものであり、約50%のタンパク質が、その天然状態に比べて完全に変性する遷移温度として定義される。ここで、例えば、その天然あるいは有効な立体構造からタンパク質をほどくように加熱することにより、SSBが、一本鎖核酸に結合する活性を失ったために、開示された方法によるプライマー伸長産物の生成の防止または阻害に有効でなくなる時、SSBは「変性した(denatured)」と称される。T7SSBの詳細な性質決定は、Kimら, 1992, Journal of Biological Chemistry 267(21):15022-15031で見出される。
SSBsは、化学量論的に一本鎖核酸と結合することが知られている。ここで記載されたようなノンストリンジェントな温度において阻害効果を与えるために、反応混合液中に与えられるSSBの濃度は、混合液中のプライマーに比べて化学量論的に過剰量のSSBを与えるのに十分であることが好ましい。ある特定のSSBと特定のプライマー(もしくは複数のプライマー)の間の化学量論比の測定は、過度な実験をすることなく、当該技術分野において通常の技術を持つ者の能力の十分な範囲内でなされ、そして実際に、数多くのSSBsの化学量論比が公開された文献から知られている。更に、ここで論じる野生型と変異型のT7SSBsを含め、大部分の一本鎖DNA結合タンパク質は、一般的に、dsDNAまたはRNAに対する親和性より数オーダー規模の大きな、ssDNAに対する結合親和性を有している(例えば、ChaseおよびWilliams, 1986, Annual Reviews of Biochemistry 55:103-136; Lindbergら, 1989, Journal of Biological Chemistry 264(21):12700-12708; Curthら, 1996, Nucleic Acids Research 24(14):2706- 2711)。このようなことから、以下に続く計算と実施例の中では、反応中のdsDNAおよび/またはRNA鋳型の量は考慮に入れられていない。一般的に、dsDNAは、好ましいあるいは非常に一般的な鋳型であるために、この概算はほとんどの標準的なPCR反応に適用される。
例として、T7SSB(野生型と変異型)は、タンパク質分子(単量体とも呼ばれる)あたりDNAの約7の一本鎖核酸塩基と相互作用する。このことは、21の核酸塩基の長さのプライマーの場合は、プライマーの分子あたり、T7SSBの3の単量体という化学量論比と等しい。プライマーの濃度とタンパク質の分子量に応じて、SSBの適正濃度は、所望の化学量論的な過剰量のSSBsを与えるように簡単な計算によって決めることができる。以下の実施例4で証明されるように、反応混合液中のプライマーに対して、少なくとも50%化学量論的に過剰なSSBであること、または1.5の化学量論比を有することが望まれる。更に100%化学量論的に過剰な量がより好ましい(1倍過剰、2の化学量論比)。それぞれ3、4および5の化学量論比に対応して、プライマーに対する2倍、3倍および4倍過剰のSSBが、更により好ましい。
ここに開示されるプライマー隔離法においては、野生型または自然発生型のT7SSBが好ましい。便宜上、野生型T7SSBのアミノ酸配列を配列番号4として配列表に示し;野生型T7SSBをコードするDNA遺伝子配列も配列番号3として示す。野生型タンパク質に加えて、T7gp2.5Δ21C(配列番号5)変異体、T7gp2.5F232L変異体(配列番号7)、および、野生型とT7gp2.5Δ26C(配列番号6)の混合物も、以下の実施例において示されるように、有効であることが証明されており、また好ましい。T7SSB変異体Δ21C(配列番号5)とΔ26C(配列番号6)は、それぞれ野生型タンパク質の最後の21アミノ酸と26アミノ酸の欠失を有する。それらは野生型タンパク質より少なくとも10倍以上の親和性で一本鎖DNAに結合することが示されている(例えば、T. Hollisら, 2001, Proceedings of the National Academy of Sciences 98(17):9557-9562; Rezendeら, 2002, Journal of Biological Chemistry 277(52):50643-50653; Hylandら, 2003, Journal of Biological Chemistry 278(9):7247-7256; Heら, 2003, Journal of Biological Chemistry 278(32):29538-29545)。T7SSB変異体F232L(配列番号7)は、タンパク質の23番目のアミノ酸がフェニルアラニンからロイシンに変化したもので、野生型タンパク質より約3倍の親和性で一本鎖DNAに結合すると以前に示されている(Heら, 2003, Journal of Biological Chemistry 278(32):29538-29545)。ここに掲載されていないT7SSBの他の変異体も、開示された方法において有効であるかもしれない。
やや好ましい態様においては、大腸菌SSBsの特定の変異体とT4SSB(野生型と変異型の両方)も、ここに記載されるようなノンストリンジェントな温度での十分なプライマー隔離効果を、例えば、ストリンジェントな温度でのプライマーとの(例えば結合のような)可逆的な相互作用を介して、与えるのに有効かもしれない。野生型大腸菌SSBは、PCRに干渉することが示されているため、開示された方法における使用は不適であることが見出されていることが注記される。野生型大腸菌SSBがプライマーより化学量論的に過剰に用いられる時、PCR増幅産物は観察されない。このように、このSSBは、特異的プライマー−鋳型ハイブリダイゼーションに必要な、高くストリンジェントな温度においてさえも、プライマーと結合または相互作用し続けるようである。考えられ得る説明としては、大腸菌SSBは2分以上の間沸騰させた後でさえも、幾らか結合活性を保っていることがよく知られていることが挙げられる(ChaseおよびWilliams, 1986, Annual Reviews of Biochemistry 55:103-136)。このようにして、T7SSBとは異なり、野生型大腸菌SSBは高い温度に曝されても耐えることができるようであり、プライマー伸長反応の阻害作用も熱で簡単には不活性化されない。
特にここに記載されていない他のSSBも、既に概説した基準を満たす限り、本発明での用途に適する。
本発明者は、以下に記載するようなT7SSBの野生型と変異型の核酸配列をクローン化し、発現させ、タンパク質を精製した。以下の手順は、当該技術分野で通常の技術を有する者に対しては十分適度な標準の範囲内である。増殖と精製の手順は、調製物中に存在する汚染物と同様に、精製されている結合タンパク質に応じても、以下に記載する手順から変更することも可能である。
(野生型と変異型T7SSBsの調製)
T7SSB発現プラスミドの作成 − Ndeの制限酵素部位を持つ5’末端プライマー(5’-ATC-CAT-ATG-GCT-AAG-AAG-ATT-TTC-ACC-TCT- GCG-3’、配列番号1)とSal1とXma1制限酵素部位を持つ3’末端プライマー(5’-GTC-GAC-CCC-GGG-TTA-GAA-GTC-GCC-GTC-TTC-GTC-TGC-TTC-C-3’、配列番号2)の2のプライマーが、精製バクテリオファージT7ゲノムDNA(USB Corporation, Cleveland, Ohio)の9158−9856の位置からの野生型T7SSB遺伝子の核酸配列をPCRで増幅するために用いられた。T7の完全なゲノム配列は、国立バイオテクノロジー情報センター(NCBI)の遺伝子座NC_001604で見ることができる。バクテリオファージT7は、アメリカ培養細胞系統保存機関(ATCC)からカタログ番号11303−B38TMおよびBAA−1025−B2TMで公然と入手可能である。野生型T7gene2.5、その対応するタンパク質(wtT7gp2.5、T7SSBとも呼ばれる)および、ここで議論されるそれらの変異体の配列は、便宜上、参照しやすいように、配列表で提供される。
PCRにより生成したDNA断片(野生型T7SSB遺伝子)はTOPOIITMベクター(Invitrogen Corporation)に連結され、TOP10TM化学コンピテント大腸菌(Invitrogen Corporation)へと形質転換され、その結果生じる野生型T7SSB遺伝子(配列番号3)を含むプラスミドはカナマイシンの存在下で選択された。PCRにより増幅されたDNAから生成されたクローンは配列決定され、変異が無いことが確認された。このプラスミドはそれから、Nde1とXma1で切断され、pRE発現ベクターへとクローン化された。この発現ベクターは、30℃ではλ抑制因子により抑制されているバクテリオアファージλ由来の強力なプロモーターpLの制御下にある。pLを含むベクターからの発現は、温度を42℃に上げることで引き起こされる。結果として生じたT7SSB(配列番号4)を含むプラスミドは、アンピシリンで選択された。ここで調製した全てのT7SSB変異体は、この段落に記載されているような方法で、基礎となるDNAクローンから発現された。そのDNAクローンは、用意される変異に応じて、所望の場所において、アミノ酸を変化させるような塩基の変化を導入するか、あるいは、タンパク質合成を終結させるようなストップコドンを導入するような逆方向プライマーを用いて、最初に変化させた。
T7SSBの増殖と精製 − ここで調製された、λプロモーターの制御下にT7SSBの野生型または変異体を含むプラスミドpREは、500mLのテリフィックブロスと100μg/mLのアンピシリンの中で30℃で一晩増殖された。この培養液はNewBrunswick醗酵槽の中の10リットルのTBと50μg/mLのアンピシリンに接種された。細胞は、30℃で通気をしながら培養された。細胞密度がA590=1.53相当になった時、42℃まで温度を上げることで、細胞にT7SSBの発現を誘導した。誘導後、細胞は更に2時間培養され、それからSorvall GS−3遠心機で6000回転15分間の遠心分離により回収された。細胞のペースト(83gm)はその後−80℃に保存された。
細胞抽出物の調製 − 20gmの凍らせた細胞を、80mLの50mM Tris−Hcl(pH7.5)、1mM EDTA、10%スクロース、100mM NaCl、2mM PMSFの中で解かし、10mLのリゾチーム(10mg/mL)を加えた。氷上で一定の攪拌を行いながら30分間混合液をインキュベーションした後、21mLの5M NaClを加え、NaClの終濃度を1Mにした。それから、細胞は、温度が20℃に達するまで一定の攪拌を行いながら37℃の水槽で加熱され、その後、温度が4℃に下がるまで、氷水槽で冷やされた。溶解液は、その後、Beckman Ti−45遠心機で45分40000回転で遠心分離された。上清(122mL)をフラクション1とした。
DEAEセルロースクロマトグラフィー − Whatman DE52 DEAEセルロースのカラム(19.6cm×5cm)を用意し、50mM Tris−Hcl(pH7.5)、1mM EDTA、10%グリセロール(バッファーA)に350mMのNaClを含んだもので平衡化した。フラクション1は、350mMのNaclを含むバッファーAと等しい導電率になるように、バッファーAで希釈された。希釈されたフラクション1(〜350mL)はカラムにアプライされた。T7SSBはこの条件では保持されない。フロースルーとウォッシュ画分(〜400mL)はためられ、フラクション2とした。
硫酸アンモニウム沈殿 − 400mLのフラクション2に対して、硫酸アンモニウムを75%飽和(203gm)になるまで、60分間以上にわたって加え続け、更に60分間ゆっくりと攪拌した。沈殿は、Sorvall GSA遠心機で14000回転45分の遠心分離により集められ、25mMのNaClを含む50mLのバッファーAに溶解され、同じバッファーに対して、一晩透析された(フラクション3)。
ヘパリンセファロースCL−6Bクロマトグラフィー − ヘパリンカラム(0.64cm×12cm)が用意され、25mM NaClを含むバッファーAで平衡化された。フラクション3がカラムにアプライされ、25mMから1MのNaClの線形勾配で溶出された。画分は、SDS−PAGEで解析され、T7SSBを含む画分(134mL)はためられ、100mM NaClを含むバッファーAで一晩透析された(フラクション4)。
DEAE Sephacelクロマトグラフィー − DEAE Sephacelカラム(5.30cm2×12cm)が用意され、100mMのNaClを含むバッファーAで平衡化された。フラクション3がカラムにアプライされ、100mMから500mMのNaClの線形勾配で溶出された。画分はSDSで解析された。T7SSBを含む画分は、変性条件下の電気泳動では単一バンドとして同一種のように見えたが、低レベルの一本鎖DNA依存性ヌクレオシド5’トリフォスファターゼ活性を含んでいた。T7SSBを含む画分(64mL)をため、100mMのNaClを含むバッファーAに対し、一晩透析した(フラクション5)。
Qセファロースクロマトグラフィー − 汚染しているssDNA依存性ATPase活性を取り除くために、フラクション5をQセファロースにアプライし、100mMから500mMのNaClの線形勾配で溶出した。大部分のSSBタンパク質より少し前に、ssDNA依存性ATPase活性がカラムから溶出した。T7SSBの最終的な画分がためられ、20mM Tris−HCl(pH7.5);1mM EDTA;0.5mMDTT;10mM NaCl;50%グリセロールに対して透析され、−20℃で保存された(フラクション6)。
タンパク質濃度 − タンパク質濃度は、BSA標準曲線に対し、BCA Protein Determination Assay Kit(Pierce, Rockford, Illinois)を用いて測定した。変性条件下での精製SSBタンパク質のSDS−PAGE電気泳動の後、クーマシーブルーでの染色では、約30000の分子量に相当する単一バンドが得られた。遺伝子のDNA配列から推定される野生型T7SSBの分子量は25562であるが、SDS−PAGEでは25000から31000の間の単一バンドとして移動する(この異常な移動は、Scherzingerら, 1973, Molecular and General Genetics 123(3):247-262; ReubenおよびGefter, 1973, Proceedings of the National Academy of Sciences 70(6): 1846- 1850においても、観察されている)。
驚くべきことであり予期しないことであるが、本発明者は、野生型と変異型の両方のT7SSBが、低い温度(例えば、約50℃未満、そして特に約30℃未満)でのプライマー伸長反応を阻止または阻害するが、そのような阻害作用は、高くストリンジェントな温度(例えば、約50℃以上)では失われることを発見した。同様に、驚くべきことであり予期しないことであるが、本発明者は、初期変性工程より前にPCRにT7SSBおよび/またはその変異体を加えておくことが、増幅アーティファクトの減少につながることも発見した。この予期しない結果は、典型的にPCR混合液が調製あるいは用意される低い温度で、非特異的プライミング現象および/またはプライマー伸長産物を形成しないか、あるいは形成するのが阻害されるために起きると信じられている。このようにして、プライマーは、反応混合液が加熱される前の、特異性が低い傾向にある温度では隔離され、その後、プライマーは、高くストリンジェントな温度では遊離し、したがってハイブリダイゼーションとポリマー化に利用可能となる。この様式で、(低い温度での)低いハイブリダイゼーション特異性により、意図しない標的の増幅の実質的な減少が観察された。
以下の実施例は、非特異的プライマー伸長産物の生成の防止または阻害における、様々なT7SSBsの有用性を説明したものであり、例として示されるが、これに限られない。
実施例1
遺伝子産物Numb(配列番号8の配列)の306塩基対(bp)領域を、5ナノグラム(ng)のヒトゲノムDNAから、更に以下に示すような、SSBの種類および濃度、ポリメラーゼの選択などの様々な異なる条件の下で、個別に増幅した。標的は、NCBIでNT_026437.11として同定されている(配列位置:54742877から54743182)。それぞれ長さが25塩基である、次の増幅用プライマーが用いられた。
Numb 順方向:5’-GAGGTTCCTACAGGCACCTGCCCAG-3’ (配列番号9)および
Numb 逆方向:5’-CAAAATCACCCCTCACAGTACTCTG-3’ (配列番号10)
プライマーは標準的な市販供給者から得られ、所望の濃度でTE(10mM Tris−HCl(pH8)、1mM EDTA)に再懸濁された。ヒトゲノムDNAは、Promega Corporation, Madison, Wisconsinから得られた。これらのプライマーは、順方向と逆方向のプライマーの間の3’末端で何塩基かの相補的配列を有し、非特異的な増幅産物を生成するため、これらのプライマーが選ばれた。
合計で15のポリメラーゼ連鎖反応混合液が、室温(すなわち20−25℃)で、0.5ミリリットル(mL)マイクロチューブに、表に示す次のような一般的な組成物を用いて25マイクロリットル(μL)の最終体積の中に調製された。
Figure 2008516584
15のPCR反応混合液は以下のような特異的な特性を有していた:
反応1:抗体の結合したTaq DNAポリメラーゼ、SSB無し;
反応2:化学修飾されたTaq DNAポリメラーゼ、SSB無し;
反応3:未修飾のTaq DNAポリメラーゼ、SSB無し;
反応4:1μgの野生型大腸菌SSB、抗体の結合したTaq DNAポリメラーゼ;
反応5:1μgの野生型大腸菌SSB、化学修飾されたTaq DNAポリメラーゼ;
反応6:1μgの野生型大腸菌SSB、未修飾のTaq DNAポリメラーゼ;
反応7:1μgの野生型T7SSB、抗体の結合されたTaq DNAポリメラーゼ;
反応8:1μgの野生型T7SSB、化学修飾したTaq DNAポリメラーゼ;
反応9:1μgの野生型T7SSB、未修飾のTaq DNAポリメラーゼ;
反応10:1μgのΔ21CT7SSB、抗体の結合したTaq DNAポリメラーゼ;
反応11:1μgのΔ21CT7SSB、化学修飾されたTaq DNAポリメラーゼ;
反応12:1μgのΔ21CT7SSB、未修飾のTaq DNAポリメラーゼ;
反応13:1μgのF232LT7SSB、抗体の結合したTaq DNAポリメラーゼ;
反応14:1μgのF232LT7SSB、化学修飾されたTaq DNAポリメラーゼ;
反応15:1μgのF232LT7SSB、未修飾のTaq DNAポリメラーゼ。
ピペッティングの誤差を最小化するために、2の独立したマスターミックスが調製された。マスターミックス1は、水、PCRバッファー、dNTPsおよびそれぞれのポリメラーゼを含む6×のミックスであった。マスターミックス2は、ヒトゲノムDNAとプライマーを含む20×のミックスであった。構成成分は、室温で、次の順番で反応チューブに加えられた;23.5μLの適当なマスターミックス1(すなわち、それぞれのポリメラーゼ)、0.5μLのSSBか、コントロールを使う時は、SSB保存用バッファー、および1μLのマスターミックス2。反応10−12で用いられるT7gp2.5Δ21Cの濃度は、他の反応混合液中の2mg/mLではなく0.5mg/mLであり、したがって、反応10−12で、同じ総SSB濃度を達成するには、25μLの反応ごとに、0.5μLの代わりに、このタンパク質を2μL加えた。
10×PCRバッファーは、100mM Tris−HCl(pH8.6)、500mM KCl、および15mM MgClから成っていた。5mMのdNTP混合液は、DNA合成に要求される4つのデオキシリボヌクレオチド(dATP、dGTP、dTTPおよびdCTP)を含んでいた。T7由来のSSBsは、この明細書の他のどこかで記載されたようにして調製される。大腸菌SSBと未修飾のDNAポリメラーゼ(すなわち非ホットスタート)は、USB Corporation, Cleveland, Ohioから得られた。SSBsは、プライマーと鋳型より前に、それぞれの反応混合液に加えられた。SSBs無しのコントロール反応としては、SSBsの無いSSB保存用バッファーが代わりに加えられた。比較するために、反応1、4、7、10および13、および、2、5、8、11および14では、2つの市販されているホットスタート製品が(未修飾の)Taq DNAポリメラーゼの代わりに用いられた。反応1、4、7、10および13で用いられた、抗体の結合したTaq DNAポリメラーゼ(商品名 PlatinumTM Taq DNA Polymerase)は、Invitrogen Corporation, Carlsbad, Californiaから得られた。反応2、5、8、11および14で用いられた化学修飾されたTaq DNAポリメラーゼ商品名 HotStarTaqTM DNA Polymerase)は、Qiagen Incorporated, Valencia, Californiaから得られた。
全ての反応混合液が完全に調製された後、反応チューブがサーマルサイクラーに設置される前の30分間、反応混合液は室温(すなわち、20−25℃)でインキュベートされた。この室温での余分な時間は、非特異的産物の生成に有利になるように選ばれた。この室温でのインキュベーションの後に、他に注記したようなもの以外の全ての反応の間で共通の、表3に示す以下のサイクリング条件で、反応チューブはサーマルサイクラー(MJ Research, Waltham, Massachusetts)に設置された。
Figure 2008516584
初期変性時間は、製造者の指示のように、未修飾のTaq DNAポリメラーゼおよび抗体の結合したTaq DNAポリメラーゼを含む反応には2分、化学修飾されたTaq DNAポリメラーゼには15分としたことを注記する。
サイクリングの後、それぞれのポリメラーゼ連鎖反応から10μLが、エチジウムブロマイドを含む2%のTAEアガロースゲルで、1×TAEバッファー中で約1−2時間の間、100−120ボルトで電気泳動された。プライマー伸長反応産物は、蛍光スキャナー(Hitachi FMBIO II, San Francisco, California)を用いて視覚化された。
前述した反応の結果は図1に示される。図1において、数字付けしたレーンは、上述のように数字付けした反応に対応し、マーカーレーン、M、は、Invitrogen Corporation, Carlsbad, Californiaから得られた1 Kb Plus DNA Ladderを用いて得られた。
図1に示されるように、Δ21CおよびF232Lとここでは称されるT7SSB変異体と同じく、野生型T7SSBの存在によっても、ホットスタートの特徴を有しない標準的なTaq DNAポリメラーゼと比較して、特異的なプライマー伸長産物の収率が著しく改善した(レーン3をレーン9、12、および15と比較のこと)。SSBの無いコントロール反応(レーン3)では、306塩基対の特異的産物を犠牲にして、プライマー二量体が第一に生成している。したがって、SSBsはこれらの非特異的プライマー二量体を減少または消失させ、特異的産物の生成を可能にする。更に、この増強作用は、仮に等しくはなくとも、この実験で用いられた2の市販されているホットスタートポリメラーゼに匹敵することが示された(レーン1、2を、レーン9、12、および15と比較のこと)。SSBsをビルトインホットスタートの特徴を既に含んでいるポリメラーゼを使う反応に加えることに一般的な効果は無いように見える(レーン2をレーン8、11、および14と、同様にレーン1をレーン7、10、および13と比較のこと)。野生型の大腸菌のSSB(レーン4−6)は、完全にどのプライマー伸長産物の形成も阻害したことが注記される。したがって、野生型大腸菌SSBは、PCRを介した増幅伸長産物の生成を阻害するので、本発明での使用には適さない。この実験は、野生型T7SSBだけでなく、特別なアミノ酸が変化または削除されたT7SSB変異体の有効性も実証している。
実施例2
この実施例は、ホットスタート法における野生型および変異型T7SSBの効果を説明する。具体的には、この実施例は、非特異的なプライマー伸長産物の生成を減少させるために、ポリメラーゼ連鎖反応に、質量比で1:1の野生型T7SSBおよびΔ26Cを用いる。この実験では、1マイクログラム(μg)の混合物は0.5μgのそれぞれのタンパク質を含んでいた。遺伝子産物p53(配列番号11)の1142塩基対(bp)領域が、1ナノグラム(ng)または100ピコグラム(pg)のヒトゲノムDNAのどちらかを基に増幅された。この標的は、NCBIではNT_010718.15(7174821から7175962までの配列位置)として同定されている。以下の増幅用プライマーが用いられた;
p53順方向: 5’-TGCTTTATCTGTTCACTTGTGCCC-3’ 24塩基長(配列番号12)、
および
p53逆方向: 5’-TGTGCAGGGTGGCAAGTGGC-3’ 20塩基長(配列番号13)
プライマーは標準的な市販供給者から得られ、所望の濃度でTE(10mM Tris−HCl(pH8)、1mM EDTA)に再懸濁された。ヒトゲノムDNAは、Promega Corporation, Madison, Wisconsinから得られた。これらのプライマーは、順方向と逆方向のプライマーの間の3’末端で何塩基かの相補的配列を有し、非特異的な増幅産物を生成するため、これらのプライマーが選ばれた。
合計で8のポリメラーゼ連鎖反応混合液が、室温(すなわち20−25℃)で、0.5ミリリットル(mL)マイクロチューブに、表4に示す次のような一般的な組成物を用いて25マイクロリットル(μL)の最終体積の中に調製された。
Figure 2008516584
8のPCR反応混合液は以下のような特異的な特性を有していた:
反応1:100pgのゲノムDNA、SSB無し;
反応2:0.5μgのT7SSB、100pgのゲノムDNA;
反応3:1.0μgのT7SSB、100pgのゲノムDNA;
反応4:2.0μgのT7SSB、100pgのゲノムDNA;
反応5:1ngのゲノムDNA、SSB無し;
反応6:0.5μgのT7SSB、1ngのゲノムDNA;
反応7:1.0μgのT7SSB、1ngのゲノムDNA;
反応8:2.0μgのT7SSB、1ngのゲノムDNA。
ピペッティングの誤差を最小化するために、3の独立したマスターミックスが調製された。マスターミックス1は、水、PCRバッファー、dNTPsおよびTaq DNAポリメラーゼを含む10×のミックスであった。マスターミックス2は、水、100pg/反応のヒトゲノムDNAとプライマーを含む10×のミックスであり、マスターミックス3は、水、1ng/反応のヒトゲノムDNAとプライマーを含む10×のミックスであった。表4の最終的な水の体積は、最終的な体積の48%がミックス1に存在し、最終的な体積の52%がミックス2またはミックス3に存在するように分けられた。構成成分は、室温で、次の順番で反応チューブに加えられた;12.5μLのマスターミックス1、0.5μLのSSBか、コントロールを使う時は、SSB保存バッファー、および12μLのマスターミックス2または必要に応じてマスターミックス3。
10×PCRバッファーは、100mM Tris−HCl(pH8.6)、500mM KCl、および15mM MgClから成っていた。25mMのdNTP混合液は、DNA合成に要求される4つのデオキシリボヌクレオチド(dATP、dGTP、dTTPおよびdCTP)を含んでいた。T7由来のSSBsは、保存用バッファーが20mM Tris−HCl(pH8.5)、200mM KCl、1mM DTT、0.1mM EDTA、0.5% Tween−20、および50%グリセロールに変更になったこと以外は、この明細書のどこか他で記載されたようにして調製された。SSB混合物の系列希釈は、反応ごとに0.5μLを加えるために、最終的な保存用バッファーで行われた。SSBs無しのコントロール反応としては、SSBsの無いSSB保存用バッファーが代わりに加えられた。SSBは、プライマーと鋳型より前に、それぞれの反応混合液に加えられた。ヒトゲノムDNAの系列希釈はヌクレアーゼフリー水で行われた。Taq DNAポリメラーゼはUSB Corporation, Cleveland, Ohioから得られた。
全ての反応混合液が完全に調製された後、表5に示す以下のサイクリング条件を用い、反応チューブはサーマルサイクラー(MJ Research, Waltham, Massachusetts)に設置された。1時間の25℃での付加的なプレインキュベーション工程が、室温をシミュレートするために、サーマルサイクラーにプログラムされた。この25℃での余分な時間は非特異的産物の生成に有利なように選ばれた。
Figure 2008516584
サイクリングの後、それぞれのポリメラーゼ連鎖反応から10μLが、エチジウムブロマイドを含む1.5%のTAEアガロースゲルで、1×TAEバッファー中で約1−2時間の間、100−120ボルトで電気泳動された。プライマー伸長反応産物は、蛍光スキャナー(Hitachi FMBIO II, San Francisco, California)を用いて視覚化された。
前述した反応の結果は図2に示される。図2において、数字付けしたレーンは、上述のように同じ数字を付した反応に対応し、マーカーレーン、M、は、Invitrogen Corporation, Carlsbad, Californiaから得られた1 Kb Plus DNA Ladderを用いて得られた。
図2に示されるように、野生型T7SSBおよびその変異体であるΔ26Cの質量比で1:1の混合物が存在すると、SSBが導入されていないコントロールレーンに比べて、特異的プライマー伸長産物の収率が劇的に改善した(レーン5をレーン6、7、および8と、同様にレーン1をレーン2、3、および4と比較のこと)。特異的産物はp53遺伝子の1142bpの断片であり、図2の上側の矢印で示される。低い濃度のDNA(100pg)においては、コントロール反応(レーン1)は適当な特異的産物を産生しなかったが、代わりに、プライマー二量体として特徴付けられる非特異的産物を第一に産生した。1ngのヒトゲノムDNAにおいては、コントロール反応は特異的産物を与えたが、プライマー二量体も産生した。SSB混合液が存在する反応は全て、それより多くの特異的産物を産生し、非特異的産物を減少または消失させた。SSBの濃度を増せば(0.5μgから2μg)、特異的産物の得られる量も増す(例えば、レーン2、3、および4と比較のこと)という濃度依存的な効果も観察される。これは、反応中のプライマーと結合するSSBの化学量論によるものであると信じられた。この効果は、後の実施例でより詳細に述べられるだろう。
実施例3
この実施例は、室温でのプライマー伸長の阻止における野生型および変異型T7SSBの混合物の効果を示す。具体的には、この実施例は、ハイブリッド形成するように意図して設計された2のプライマーでプライマー伸長が行われる「モック」ポリメラーゼ連鎖反応において、1:1の質量比の野生型T7SSBおよびΔ26Cタンパク質を用いる。したがって、外来性のdsDNA鋳型は反応中には無く、プライマーそれら自身のみが合成のための鋳型として働く。このアッセイは、SSBが2つの温度において、伸長され得るハイブリッドからのDNA合成を阻止できるかを評価するように設計された。最初の温度は室温(25℃)であり、これは反応が一般的に調製される温度をシミュレートした。第二の温度は72℃であり、これはTaq DNAポリメラーゼによるDNA合成がより最適な温度である。
この実験に選ばれた2のプライマーは、それらの3’末端で14bpが重複するdsDNAハイブリッドを形成するように設計された。23塩基の順方向のプライマーは、蛍光スキャナー上で合成産物を検出可能にするHEX蛍光ラベルを5’末端に付けた。41塩基の逆方向のプライマーは順方向のプライマーと14塩基重複するので、順方向のプライマーから生成するであろう最大の合成産物は50塩基であった。このプライマー伸長産物は、変性ポリアクリルアミドゲル電気泳動法で視覚化された。アッセイの概略を図3aに示した。
このアッセイにおいては、1pmolのそれぞれのプライマーを10μLの反応体積に加え、幾つかの濃度のSSB混合物に対して検査した。プライマー配列は以下の通りである;
順方向:5’-[HEX]-CTTTTCCCAGTCACGACGTTGTA-3’ 23塩基長(配列番号14)、
および
逆方向:5’-ATGCAAGCTTGGCACTGGCCGTCGTTTTACAACGTCGTGAC-3’ 41塩基長(配列番号15)。
プライマーは標準的な市販供給者から得られ、所望の濃度でTE(10mM Tris−HCl(pH8)、1mM EDTA)に再懸濁された。合計で10のモックポリメラーゼ連鎖反応混合液が、室温(すなわち20−25℃)で、0.5ミリリットル(mL)マイクロチューブに、表6に示す次のような一般的な組成物を用いて10マイクロリットル(μL)の最終体積の中に調製された。
Figure 2008516584
10のモックPCR反応混合液は以下のような特異的な特性を有していた:
反応1:SSB無し、Taq DNAポリメラーゼ無し、25℃インキュベーション;
反応2:Taq DNAポリメラーゼ、SSB無し、25℃インキュベーション;
反応3:0.5μgのT7SSBミックス、Taq DNAポリメラーゼ、25℃インキュベーション;
反応4:1.0μgのT7SSBミックス、Taq DNAポリメラーゼ、25℃インキュベーション;
反応5:2.0μgのT7SSBミックス、Taq DNAポリメラーゼ、25℃インキュベーション;
反応6:SSB無し、Taq DNAポリメラーゼ無し、72℃インキュベーション;
反応7:Taq DNAポリメラーゼ、SSB無し、72℃インキュベーション;
反応8:0.5μgのT7SSBミックス、Taq DNAポリメラーゼ、72℃インキュベーション;
反応9:1.0μgのT7SSBミックス、Taq DNAポリメラーゼ、72℃インキュベーション;
反応10:2.0μgのT7SSBミックス、Taq DNAポリメラーゼ、72℃インキュベーション。
ピペッティングの誤差を最小化するために、2の独立したマスターミックスが調製された。マスターミックス1は、水、PCRバッファー、dNTPsおよびTaq DNAポリメラーゼを含む12×のミックスであった。マスターミックス2は、水、PCRバッファー、dNTPsを含み、Taq DNAポリメラーゼを含まない12×のミックスであった。マスターミックス3は、水およびプライマーを含む12×のミックスであった。表6の最終的な水の体積は、最終的な体積の46.8%がミックス1に存在し、最終的な体積の53.2%がミックス2またはミックス3に存在するように分けられた。構成成分は、室温で、次の順番で反応チューブに加えられた;5.0μLのマスターミックス1または必要に応じて2、0.5μLのSSBか、コントロールを使う時は、SSB保存バッファー、および4.5μLのマスターミックス3。
10×PCRバッファーは、100mM Tris−HCl(pH8.6)、500mM KCl、および15mM MgClから成っていた。25mMのdNTP混合液は、DNA合成に要求される4つのデオキシリボヌクレオチド(dATP、dGTP、dTTPおよびdCTP)を含んでいた。T7由来のSSBsは、最終的な保存バッファーが20mM Tris−HCl(pH8.5)、200mM KCl、1mM DTT、0.1mM EDTA、0.5% Tween−20、および50%グリセロールに変更になったこと以外は、この明細書のどこか他で記載されたようにして調製された。SSB混合物の系列希釈は、反応ごとに0.5μLを加えるために、最終的な保存用バッファーで行われた。SSBs無しのコントロール反応としては、SSBsの無いSSB保存用バッファーが代わりに加えられた。SSBsは、プライマーより前に、反応混合液に加えられた。Taq DNAポリメラーゼの無いネガティブコントロール反応(すなわち、プライマー伸長産物の収率を判断するベースラインとなるもの)は、水でバランスを調製した。Taq DNAポリメラーゼはUSB Corporation, Cleveland, Ohioから得られた。
全ての反応混合液が完全に調製された後、反応チューブはサーマルサイクラー(MJ Research, Waltham, Massachusetts)に設置された。同一の反応のあるセットは、PCR反応の調製に必要な時間を過大評価するため、4時間の間25℃にしておいた。他の同一のセットでは、Taq DNAポリメラーゼに理想的な合成条件を与え、SSBsがそれでも阻害的かどうかを測定するために、15秒間25℃および15秒間72℃で15サイクル反応させた。これらのインキュベーション後に、必要となるまで、反応液は4℃または氷上で保存した。プライマー伸長産物を視覚化するために、それぞれの反応の0.5μL(それぞれのプライマーの0.05pmol)を、42%の尿素を含む15%(29:1)の変性ポリアクリルアミドゲルで電気泳動した。ゲルは、1×GTGバッファー(USB Corporation, Cleveland, Ohio)中で、1mmのスペーサーを用いて組み立てられ、追跡用色素(ブロモ−クレゾール グリーン)がゲル長の約75%に達するまで(約25分)、ゲルあたり6ワットの低電力で泳動された。プライマー伸長反応産物は、蛍光スキャナー(Hitachi FMBIO II, San Francisco, California)を用いて視覚化された。
前述した反応の結果は図3bに示される。図3bにおいて、数字付けしたレーンは、上述のように同じ数字を付した反応に対応する。
図3bに示されるように、25℃での4時間のインキュベーションの後、Taq DNAポリメラーゼにより、反応中にポリメラーゼが存在しないネガティブコントロールと比較すると、プライマーハイブリッドからの50塩基のプライマー伸長産物が得られた(レーン1をレーン2と比較のこと)。更に、テストしたSSBの3つの濃度のうち、野生型T7SSBおよびその変異体Δ26Cの質量比1:1の混合物は、ネガティブコントロールと比較しうるほど、25℃でのプライマーハイブリッドからの合成を阻止した(レーン1および2をレーン3−5と比較のこと)。対照的に、72℃のインキュベーション温度を用いた場合は、SSBを反応混合液に導入した時さえ、Taq DNAポリメラーゼを含めむ全てのレーンにおいて、ほとんど同じ収量の伸長反応産物が得られた(レーン6−10を比較のこと)。プライマー伸長が高いあるいはストリンジェントな温度で起き得るということから、一本鎖核酸結合タンパク質の阻止作用が終結していることが実証された。この実験により、ここに示す本方法での使用に対する、SSBsの幾つかの望ましい特性が確認された:1)通常、反応が調製される低い温度における、該温度での伸長産物生成阻害に効果的なssDNAとの相互作用;2)標準的なPCRバッファー中におけるssDNAとのそのような相互作用;および3)それより高い温度でのssDNAとの相互作用の終結。
実施例4
この実施例は、所望の、非特異的プライマー伸長産物の生成減少効果を達成するT7SSBの効果的な濃度の有用な範囲を示す。以下の実験は、a)タンパク質単量体当たり7の核酸に結合するT7SSBの化学量論的結合比、およびb)与えられた反応でのプライマー(ssDNA)の総量、の双方を考慮に入れて設計された。本実験では、実施例1で用いられたヒトゲノムDNA1ngから306bpのNumbを標的として増幅した。プライマーは、以下のように、それぞれ25塩基長であった;
Numb順方向:5’-GAGGTTCCTACAGGCACCTGCCCAG-3’ (配列番号8)および
Numb逆方向:5’-CAAAATCACCCCTCACAGTACTCTG-3’ (配列番号9)。
プライマーは標準的な市販供給者から得られ、所望の濃度でTE(10mM Tris−HCl(pH8)、1mM EDTA)に再懸濁された。ヒトゲノムDNAは、Promega Corporation, Madison, Wisconsinから得られた。これらのプライマーは、順方向と逆方向のプライマーの間の3’末端で何塩基かの相補的配列を有し、非特異的な増幅産物を生成するため、選ばれた。
合計で7のポリメラーゼ連鎖反応混合液が、室温(すなわち20−25℃)で、0.5ミリリットル(mL)マイクロチューブに、表7に示す次のような一般的な組成物を用いて25マイクロリットル(μL)の最終体積の中に調製された。
Figure 2008516584
7のPCR反応混合液は以下のような特異的な特性を有していた:
反応1:SSB無し;
反応2:0.0625μgの野生型T7SSB;
反応3:0.125μgの野生型T7SSB;
反応4:0.25μgの野生型T7SSB;
反応5:0.5μgの野生型T7SSB;
反応6:1.0μgの野生型T7SSB;
反応7:2.0μgの野生型T7SSB。
ピペッティングの誤差を最小化するために、2の独立したマスターミックスが調製された。マスターミックス1は、水、PCRバッファー、dNTPsおよびTaq DNAポリメラーゼを含む10×のミックスであった。マスターミックス2は、1ng/反応のヒトゲノムDNAとプライマーを含む10×のミックスであった。表7の最終的な水の体積は、最終的な体積の48%がミックス1に存在し、最終的な体積の52%がミックス2に存在するように分けられたことに注意されたい。構成成分は、室温で、次の順番で反応チューブに加えられた;12.5μLのマスターミックス1、0.5μLのSSBか、コントロールを使う時は、SSB保存用バッファー、および12μLのマスターミックス2。
10×PCRバッファーは、100mM Tris−HCl(pH8.6)、500mM KCl、および15mM MgClから成っていた。5mMのdNTP混合液は、DNA合成に要求される4つのデオキシリボヌクレオチド(dATP、dGTP、dTTPおよびdCTP)を含んでいた。野生型SSBは、保存用バッファーが20mM Tris−HCl(pH8.5)、200mM KCl、1mM DTT、0.1mM EDTA、0.5% Tween−20、および50%グリセロールに変更になったこと以外は、この明細書のどこか他で記載されたようにして調製された。野生型T7SSBの系列希釈は、反応ごとに0.5μLを加えるために、最終的な保存用バッファーで行われた。SSBs無しのコントロール反応としては、SSBsの無いSSB保存用バッファーが代わりに加えられた。SSBはプライマーと鋳型より前に反応混合液に加えられた。Taq DNAポリメラーゼは、USB Corporation, Cleveland, Ohioから得られた。
5ピコモル(pmol)のそれぞれのプライマーを含むそれぞれの反応と、それからの比較的単純な計算を行い、その反応における一本鎖DNA結合部位のモル量を決定することができる。プライマーは25塩基長であり、T7SSBはタンパク質単量体当たり7の核酸と結合するため、それぞれのプライマーは3.57の結合部位を有していた。仮にそれぞれの反応中に計10pmolのプライマーがあったとすると、プライマー当たり3.57結合部位ということは、それぞれの反応中に大まかに計36pmolのssDNA結合部位が存在するということを意味した。本実験においては、2倍希釈系列で、反応当たり62.5ngから反応当たり2μgまで、野生型T7SSBの総質量が変えられた。仮に、T7SSBのモル質量が、単量体一つにつき、モル当たり25562gmであるとすると、それぞれの反応条件における総利用可能結合部位とT7SSBのモル比と同様にそれぞれの反応条件におけるT7SSB単量体のモル量を示すように、以下の表8を作成することができた。
Figure 2008516584
表8から、全ての反応の中で最も低い濃度のT7SSB(62.5ng)は、その反応における利用可能結合部位のモル量より強度のオーダーが弱いことは明らかである。T7SSBの最低濃度からモル比と等しくなる濃度への転移点は、T7SSBが1μg付近で起きた。したがって、反応中にそれぞれ5pmolの、25塩基長のプライマーに対しては、反応当たり1μg以上のT7SSBの濃度は、利用可能なssDNA結合部位を越える過剰モル量であった;これらは好ましい条件のように考えられる。T7SSB(または既知のモル質量の全てのSSB)の利用可能な結合部位に対するモル比は、これらの比較的直接的な計算を介して長さと濃度の異なる多様なプライマーに対して決定することができる。
全ての反応混合液が完全に調製された後、表9に示す以下のサイクリング条件を用い、反応チューブはサーマルサイクラー(MJ Research, Waltham, Massachusetts)に設置された。1時間の25℃での付加的なプレインキュベーション工程が、室温をシミュレートするために、サーマルサイクラーにプログラムされた。この25℃での余分な時間は非特異的産物の生成に有利なように選ばれた。
Figure 2008516584
サイクリングの後、それぞれのポリメラーゼ連鎖反応から10μLが、エチジウムブロマイドを含む1.5%のTAEアガロースゲルで、1×TAEバッファー中で約1−2時間の間、100−120ボルトで電気泳動された。プライマー伸長反応産物は蛍光スキャナー(Hitachi FMBIO II, San Francisco, California)を用いて視覚化された。
前述した反応の結果は図4に示される。図4において、数字付けしたレーンは、上述のように同じ数字を付した反応に対応し、マーカーレーン、M、は、Invitrogen Corporation, Carlsbad, Californiaから得られた1 Kb Plus DNA Ladderを用いて得られた。
図4に示すように、野生型T7SSBは特異的産物の収量を劇的に上昇させた。SSBの濃度の上昇するにつれて、特異的な産物の収量が増えるだけでなく、プライマー二量体の収量が減るという明らかな濃度効果があった。これは、SSBの無いコントロール反応(レーン1)に比べて、最も低い量のプライマー二量体と最も高い量の特異的産物を有するレーン7に示す反応により例示された。この濃度効果は、以前に述べた化学量論的予測と一致した。利用可能なssDNAの結合部位とSSB単量体とのモル比が1より顕著に少ない反応(レーン2−4)においては、特異的産物の生成量が少なくなった。利用可能なssDNAの結合部位とSSB単量体とのモル比が1と近いかそれより大きい反応(レーン5−7)においては、特異的産物の生成量が多くなった。このように、SSBの濃度範囲は特異的産物の収量増加に効果的ではあるが、その反応におけるプライマーのモル濃度と等しいかそれ以上のSSBの濃度が最も好ましい。
ここで述べるプライマー隔離法の利点の一つは、SSBはプライマーと相互作用し、それを阻害し、特定のポリメラーゼとの相互作用に依存しないために、どんなポリメラーゼとも共に働けるということである。背景の章で論じた抗体および化学的な方法では、個々のポリメラーゼの修飾が必要となる。PCRに一般的に用いられる少なくとも10の異なるポリメラーゼがあるが、以上のような理由から、本発明は、より広い利便性を有する。更に、他の方法と同様に、ここに開示する本方法も、ハイブリダイゼーションとプライマー伸長反応の多数のサイクルの実行に必要な全ての反応試薬を含む完全な反応系を可能にし、その反応系は、後でポリメラーゼや他の成分を反応混合液に加える必要もなく、それゆえに反応の汚染の危険も冒さず、(室温のような)ノンストリンジェントな温度で完全に調製される。
以上で注記したように、前述の記載はポリメラーゼ連鎖反応の実行という文脈で供与されているが、本発明はPCRに限られない。SSBsは、ノンストリンジェントな温度におけるハイブリダイゼーションおよび伸長反応のために必要な全成分を結び付けることが簡便なように、非特異的プライマー伸長産物を阻害または防止するために、プライマー−鋳型のハイブリダイゼーションと伸長反応を介した鋳型核酸の倍数化のための他の反応混合液にも導入することができる。
SSBsが活性を失わないための、開示された本方法において有用なSSBsの長期保存(好ましくは1年以内)に有用な保存用バッファー溶液もまた提供される;そのSSBsの活性とは、すなわち、プライマーを効率的に隔離する、または、ここに記載された方法による非特異的プライマー伸長産物の生成を防止または阻害するような能力のことである。保存バッファー溶液は、好ましくは表10に示す次の成分を有する。表10において、バッファー溶液を提供するためには、どの一つの成分の濃度や範囲も、他の成分の濃度や範囲と関連し得ること、すなわち、全ての濃度または範囲を同じ列から選ぶことが必ずしも必要ではないということを注記する。
Figure 2008516584
例えば野生型T7gp2.5のための、適する保存用バッファーは、塩、すなわち塩化ナトリウムを用いることなく調製することもできる。SSBが溶液から沈殿してしまうのを防止するために、ある量の、塩化ナトリウムのような塩が必要であると通常は予想されていたため、これは特に驚くべきことであり予想外の結果であった。だがしかし、一般的には、10mMの塩濃度のバッファー溶液が提供されることが好ましい。上述したT7gp2.5−Δ21C変異体には、その変異体を溶液中に保つ(すなわち、沈殿を防止する)ために、幾らか高い濃度が望ましく、好ましくは50mM塩濃度以上が用いられる。
保存用バッファー中のSSBを用いてPCR増幅操作を行うために、保存用バッファー中のSSBの一部分が、ピペットを用いるなどして、バッファー溶液の容器から抽出され、その後、PCR反応混合液を調製する時に、典型的には室温で、PCR反応容器またはチューブに移される。以上に開示されたバッファー溶液は、PCR増幅機構に有害に作用せず、例えば、Pfu DNAポリメラーゼと同様に、野生型Taq DNAポリメラーゼおよびTaq DNAポリメラーゼの変異型のような、異なる多様なポリメラーゼを用いて、適する増幅結果が得られることが見出されている。
したがって、ここで開示されるバッファー溶液は、長期間、好ましくは少なくとも、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11または12ヶ月間その中に保存する時、SSBが安定して機能的に活性(ノンストリンジェントな温度でのプライマーハイブリダイゼーションを阻害することができる)に保たれるという利点を有し、SSBsと共にPCR反応チューブに持ち込まれる残りの保存用バッファー溶液は、ある範囲のポリメラーゼを用いる時には、PCR増幅反応に有害に作用しない。
好ましくは、例えば前述の野生型T7gp2.5溶液のような、SSBを含む液状成形物は、1μg/mLから200mg/mL、より好ましくは10μg/mLから100mg/mL、更により好ましくは100μg/mLから50mg/mL、非常に好ましくは1mgと5mg/mLの間の範囲の総タンパク質濃度を有する。さらに、以下のSSBsに限らないが、以下のSSBsのような、複製機構に関わるまたは関わらない他の一本鎖核酸結合タンパク質も、野生型T7gp2.5と共に、あるいはその代わりに用いることができる:そのSSBsとは、T7gp2.5−F232L、T7gp2.5−Δ21C、T4gp32、RecA、λβタンパク質などである。ある好ましい態様では、前述の保存用バッファー中の野生型T7gp2.5結合タンパク質(あるいは他の結合タンパク質)の結果的な組成は、pH4.0から12.0の間、より好ましくはpH6.0から10.0の間、更により好ましくはpH7.0から9.0の間、非常に好ましくは7.5±0.2である。以下の表11は、保存用バッファー中のSSBの形成物のための好ましい成分を示し、それは、更なるあるいは付加的な添加物や、上述のもの以外の成分を含んでもよい。
Figure 2008516584
ここで上述の態様は本発明の好ましい態様を構成するが、添えられた請求項に記載された発明の要旨と範囲からそれることなく、様々な修正や変更を加えることが可能であると理解される。
実施例1に記載されたような他の方法と比較した際の、本開示内容の方法による一本鎖DNA結合タンパク質を用いるホットスタート法の有効性を示すアガロースゲル電気泳動像。 実施例2に記載されたような、T7SSB、T7gp2.5−Δ26Cの野生型とΔ26C変異体の混合物を用いるホットスタート法の有効性を示すアガロースゲル電気泳動像。 実施例3のポリメラーゼ阻害アッセイの概略図。前向きのプライマーは、蛍光検出を可能にするため、5’末端に付加されたHEX標識を有している。プライマー伸長産物は、23塩基の前向きのプライマーに27塩基が付加されている。変性型PAGEの間に観察された変化は、23から50塩基であった。 実施例3に記載されたような偽PCR反応における、T7SSBの野生型とΔ26C変異体の混合物の阻害作用を示した変性形ポリアクリルアミドゲル電気泳動像。 図4は、実施例4に記載されたような、ホットスタート法において有用な野生型T7SSBの濃度範囲を示すアガロースゲル電気泳動像。

Claims (39)

  1. 鋳型核酸、またはその一部分を複製するための方法であって、その鋳型核酸の標的部分と相補的な核酸配列を有するプライマーが鋳型核酸とハイブリダイズされ、その後酵素を介して伸長される方法において、
    (a)第一の温度において、プライマー、鋳型核酸、プライマー伸長を触媒するために有用な酵素、および、一本鎖核酸結合タンパク質の有効量を含む反応混合液を準備する工程、
    (b)前記第一の温度より高い第二の温度において、ハイブリダイゼーション反応を実行してハイブリダイズされた産物を生産する工程、および
    (c)第二の温度より高い第三の温度において、プライマー伸長反応を実施して前記ハイブリダイズされた産物から伸長産物を生産する工程、
    を含み、前記第一の温度において前記反応混合液に前記一本鎖核酸結合タンパク質が導入された結果として、特異的伸長産物の生成が改善される方法。
  2. 前記酵素がポリメラーゼであり、前記反応混合液が更に前記第一の温度において二価カチオンを含む、請求項1に記載の方法。
  3. 前記第一の温度において、前記一本鎖核酸結合タンパク質が非特異的プライマー伸長産物の生成を阻害する、請求項1に記載の方法。
  4. 前記第二の温度において、前記一本鎖核酸結合タンパク質により、前記プライマーがハイブリダイゼーション反応に関与することが実質的に阻害されない、請求項3に記載の方法。
  5. 前記一本鎖核酸結合タンパク質が前記第二の温度において変性する結果として、あるいはそれと関連して、前記プライマーがハイブリダイゼーション反応に関与することが阻害されなくなる、請求項4に記載の方法。
  6. 前記第三の温度において、前記一本鎖核酸結合タンパク質により、前記プライマーがプライマー伸長反応に関与することを阻害されない、請求項3に記載の方法。
  7. 前記第一の温度が37℃あるいはそれ以下であり、前記第二の温度および前記第三の温度がそれぞれ50℃から約72℃の範囲にある、請求項1に記載の方法。
  8. 前記(a)工程と前記(b)工程の間に行われる以下の工程を更に含む、請求項1に記載の方法:
    (a.1)前記第二の温度および前記第三の温度より高い第四の温度まで、反応混合液を初期加熱して、反応混合液中に存在する二本鎖鋳型核酸を変性させる工程。
  9. 前記(c)工程に続いて実行される以下の工程を更に含む、請求項1に記載の方法:
    (d)前記第二の温度および前記第三の温度より高い第四の温度の温度まで、反応混合液を加熱して、前記(c)工程の間に生成した反応液中に存在する二本鎖伸長産物を変性する工程。
  10. 少なくとも1度、前記(b)工程および前記(c)工程を繰り返すことにより、増幅反応を実行して、増幅産物を生成することを含み、前記第一の温度において前記一本鎖核酸結合タンパク質を前記反応混合液に導入した結果として、特異的増幅産物の生成が改善される、請求項9に記載の方法。
  11. 前記第一の温度が37℃あるいはそれ以下であり、前記第二の温度および第三の温度がそれぞれ50℃から約72℃の範囲であり、前記第四の温度が90℃あるいはそれ以上である、請求項10に記載の方法。
  12. 前記第二の温度と前記第三の温度が同じである、請求項10に記載の方法。
  13. 前記一本鎖核酸結合タンパク質が既知の酵素活性を有しない、請求項1に記載の方法。
  14. 前記一本鎖核酸結合タンパク質が、野生型T7gp2.5およびその変異体またはそれらの混合物のうちの少なくとも一を含む、請求項1に記載の方法。
  15. 前記一本鎖核酸結合タンパク質がT7gp2.5−F232Lを含む、請求項1に記載の方法。
  16. 前記一本鎖核酸結合タンパク質がT7gp2.5−Δ21Cを含む、請求項1に記載の方法。
  17. 前記一本鎖核酸結合タンパク質がT7gp2.5およびT7gp2.5−Δ26Cを含むタンパク質の混合物を含む、請求項1に記載の方法。
  18. 前記第一の温度において反応混合液が調製されることに続いて、反応混合液に付加的な反応試薬が導入されることを含まない、請求項1に記載の方法。
  19. 前記反応混合液中のプライマー分子に対する一本鎖核酸結合タンパク質分子の化学量論比が1より大きいか、あるいは1と等しい、請求項1に記載の方法。
  20. 前記化学量論比が2より大きいか、あるいは2と等しい、請求項19に記載の方法。
  21. 前記一本鎖核酸結合タンパク質が、バッファー溶液中に該タンパク質を含む組成物から供給され、該バッファー溶液が、1−100mM Tris−HCl pH7.5、1−100mM EDTA、0.005−200mM DTT、10−80質量%グリセロール、残部の水を含む、請求項1に記載の方法。
  22. 鋳型核酸分子の特定の標的部と相補的な核酸配列を有するプライマーと、
    前記プライマーと相互作用する一本鎖核酸結合タンパク質を含むプライマー複合体であって、
    前記一本鎖核酸結合タンパク質が、1)少なくとも30℃、あるいはそれ以下の第一の温度まで、前記プライマーがプライマー伸長反応に関与することを事実上阻害し、かつ2)30℃から約72℃の範囲での第二の温度において、前記一本鎖核酸結合タンパク質により前記プライマーがプライマー伸長反応に関与することが実質的に阻害されないように、前記相互作用が終結するか、あるいは乱される、ように選ばれる、複合体。
  23. 前記第二の温度が50℃から72℃の範囲にある、請求項22に記載の複合体。
  24. 前記一本鎖核酸結合タンパク質が非共有結合を介して前記プライマーと結合している、請求項22に記載の複合体。
  25. 前記一本鎖核酸結合タンパク質が、少なくとも50℃まで、前記プライマーがプライマー伸長反応に関与することを事実上阻害するように選ばれ、その阻害能が90℃でのインキュベーションの後に失われる、請求項22に記載の複合体。
  26. 前記一本鎖核酸結合タンパク質の阻害能が90℃でのインキュベーションの後に失われる、請求項22に記載の複合体。
  27. 前記一本鎖核酸結合タンパク質がT7gp2.5またはその変異体またはそれらの組合わせを含む、請求項22に記載の複合体。
  28. 前記一本鎖核酸結合タンパク質がT7gp2.5を含む、請求項22に記載の複合体。
  29. 前記一本鎖核酸結合タンパク質が野生型T7gp2.5−F232Lを含む、請求項22に記載の複合体。
  30. 前記一本鎖核酸結合タンパク質が野生型T7gp2.5−Δ21Cを含む、請求項22に記載の複合体。
  31. 前記一本鎖核酸結合タンパク質が、野生型T7gp2.5およびT7gp2.5−Δ26Cを含むタンパク質の混合物を含む、請求項22に記載の複合体。
  32. 前記一本鎖核酸結合タンパク質が、約50℃から約72℃の範囲における前記第二の温度において自発的に切断される熱不安定性結合を介して、前記プライマーと結合している、請求項22に記載の複合体。
  33. 前記一本鎖核酸結合タンパク質の変性の結果、あるいはそれと関連して前記相互作用が乱されるように、前記一本鎖核酸結合タンパク質が前記第二の温度において変性されている、請求項22に記載の複合体。
  34. 鋳型核酸の特定の標的部と相補的な核酸配列を有するプライマー、および、少なくとも30℃かそれ以下での第一の温度まで前記プライマーがプライマー伸長反応に関与することを阻害するのに効果的な一本鎖核酸結合タンパク質を含むPCR反応混合液であって、前記一本鎖核酸結合タンパク質の阻害能が30℃から約72℃の範囲にある第二の温度において失われる、PCR反応混合液。
  35. 前記第二の温度が50℃から約72℃の範囲にある、請求項34に記載のPCR反応混合液。
  36. 前記一本鎖核酸結合タンパク質が、野生型T7gp2.5およびその変異体の少なくとも一、またはそれらの組合わせを含む、請求項34に記載のPCR反応混合液。
  37. 前記一本鎖核酸結合タンパク質が、T7gp2.5−F232LおよびT7gp2.5−Δ21Cのうちの少なくとも一を含む、請求項34に記載のPCR反応混合液。
  38. 前記一本鎖核酸結合タンパク質が、野生型T7gp2.5およびT7gp2.5−Δ26Cを含むタンパク質の混合物を含む、請求項34に記載のPCR反応混合液。
  39. 前記PCR反応混合液における一本鎖核酸結合タンパク質分子とプライマー分子の化学量論比が1より大きいか、あるいは1と等しい、請求項34に記載のPCR反応混合液。
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