JPH0533392B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

＜産業上の利用分野＞ 本発明は、電荷発生層及び電荷移動層を有する
積層型電子写真感光体に関するものである。詳し
くは、繰返し特性、寿命の秀れた積層型電子写真
感光体に関するものである。 ＜従来の技術＞ 電子写真感光体の光導電性物質としては、従来
セレン、硫化カドミウム、酸化亜鉛などの無機光
導電性物質、或いはポリビニルカルバゾールなど
の有機光導電性物質が使用されている。 導電性基板上に、これら光導電性物質を含む感
光層を設けた所謂単層の感光体も使用されている
が、近年、光導電体としての機能を分け、電荷発
生層と電荷移動層を積層した積層型感光体が高感
度な感光体として開発され、実用化されている。
とくに電荷移動層として有機材料を使用したもの
は有機材料特有の可とう性、高帯電性という利点
をもち、また、製造においても皮膜形成が容易で
経済性の点でも有利である等の利点を有している
ため、多くの研究が行われ、一部実用化されてい
る。 ところが、複写物は、通常、コロナ帯電、画像
露光、現像、転写、クリーニング等の工程を繰返
し行うことによつて得られるが、感光体はその間
安定な特性を示すことが要求される。 しかしながら、積層型感光体は、高帯電性、高
感度等優れた特性を有しているものの、特に電荷
移動層に有機電荷移動材料を使用した場合、繰返
し安定性、寿命の点で未だ十分満足のいく特性の
ものが得られていない。 すなわち、繰返し使用を行うに従い、表面電位
の低下（帯電性の劣化）が起り、コピー品質では
画像濃度の低下（劣化）という現像をもたらし、
使用に耐えられるくなつてしまう。 これら劣化或いは疲労の原因については明らか
ではなく、種々の要因が考えられている。 ＜発明が解決しようとする問題＞ 一般に、複写機の中で感光体が使用される場
合、絶えずコロナ放電の雰囲気にさらされてお
り、コピー枚数を重ねるにしたがい、これらのガ
スの影響を受け、劣化が進行する。そこで、これ
を避けるため、コロナチヤージヤー付近のガスを
よく置換すべく排気等の手段を構じることが行わ
れているが、完全にとり除くことは困難である。 特に負のコロナ放電の場合、放電によつて、オ
ゾン、NO₂などの活性なガスの発生が知られて
おり、それらの影響が大きい。 ところが有機電荷移動剤を使用した積層感光体
においては、通常ホールの移動が有利であつて、
そのため感光体として使用する場合、負帯電で使
用されることが多いので、感光体の劣化或いは疲
労の問題が大きい。 ＜問題点を解決するための手段＞ 本発明者等は、この種の劣化に対して改良方法
を鋭意検討した結果、特定のヒドラゾン系化合物
を有機電荷移動剤として含む電荷移動層の場合、
該層中にフエノール系酸化防止剤を高濃度に含有
させることによつて著るしく劣化を抑えることが
でき、その結果繰り返し特性の安定性および耐久
性を改善することが出来ることを知得し、本発明
を完成するに到つた。 本発明の要旨は、導電性基板上に、電荷発生層
および電荷移動層を有する積層型電子写真感光体
において、該電荷移動層が少なくともバインダー
樹脂並びに、下記一般式（） （上記式中で、R₁及びR₂は独立して置換基を有
していてもよいアルキル基、アラルキル基又はア
リール基を表わし、Ａは置換基を有していてもよ
い芳香族炭化水素基又は芳香族複素環基を表わ
し、ｎは１又は２を表わす。） 及び、下記一般式（） （上記式中で、R₃及びR₄は独立して置換基を有
していてもよいアルキル基、アラルキル基、又は
アリール基を示し、Ｘ及びＹは独立して水素原
子、アルキル基、アルコキシ基又はジアルキルア
ミノ基を表わし、ｍは０又は１を表わす）で表わ
されるヒドラゾン系化合物から選ばれる１種以上
の電荷移動剤を含有し、かつ、該層にフエノール
系酸化防止剤を該電荷移動剤に対して５重量％な
いし20重量％含有させたことを特徴とする積層型
電子写真感光体にある。 以下本発明を詳細に説明する。 本発明において電荷発生層は公知の方法によ
り、導電性基板上に形成される。電荷発生物質と
しては、例えばセレン及びその合金、硫化カドミ
ウムなどの無機光導電性物質、或いはフタロシア
ニン系顔料、ペリレン系顔料、インジゴ系顔料、
キナクリドン系顔料、ビスアゾ系顔料などの有機
色素類などが使用される。これらの電荷発生物質
は、例えば、蒸着、スパツタリングなどによる均
一な層又は微粒子を、ポリエステル樹脂、フエノ
キシ樹脂、ポリビニルブチラール樹脂等のバイン
ダー中に分散させてなる層などの形で約0.1μない
し1μの膜厚で形成される。必要に応じて、導電
性基板と、電荷発生層の間には、ポリアミド、ポ
リウレタン；エポキシ樹脂、酸化アルミニウム等
のバリアー層が設けられていてもよい。 電荷移動層は電荷発生層の上に公知の方法によ
り設けられる。電荷発生層中にはバインダー樹
脂、電荷移動剤、及びフエノール系酸化防止剤が
含まれる。 電荷移動剤としては下記一般式（）又は
（）で表わされるヒドラゾン化合物を使用する。 （上記式中で、Ａは置換基を有していてもよい芳
香族炭化水素基、例えば、フエニル基、又は、芳
香族性複素環基、例えば、カルバゾリル基を示
し、R₁及びR₂は、それぞれ独立してアルキル基、
例えばメチル基、エチル基、アリール基、例えば
フエニル基、ナフチル基、又はアラルキル基、例
えば、ベンジル基を示し、ｎは１又は２を示す。） （上記式中で、R₃及びR₄は、それぞれ独立して
アルキル基、例えばメチル基、エチル基、アラル
キル基、例えばベンジル基又はアリール基、例え
ばフエニル基、ナフチル基を示し、Ｘ及びＹはそ
れぞれ独立して水素原子、アルキル基、例えばメ
チル基、エチル基、アルコキシ基、例えばメトキ
シ基、エトキシ基又はジアルキルアミノ基、例え
ばジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基を示し、
ｎは０又は１を表す。） 電荷移動剤として上記一般式（）及び（）
の化合物は単独で、もしくは二種以上混合して使
用してもよい。 本発明の電荷移動層に使用されるバインダー樹
脂としてはスチレン、塩化ビニル、アクリル酸エ
ステル、メタクリル酸エステル等のビニル化合物
の重合体及び共重合体、フエノキシ樹脂、ポリビ
ニルアセタール、ポリカーボネート、ポリエステ
ル、セルロースエステル、セルロースエーテル、
ケイ素樹脂、ウレタン樹脂、不飽和ポリエステル
等の電荷移動剤と相溶性のある樹脂が使用され
る。 バインダー樹脂と電荷移動剤との混合比は、バ
インダー樹脂100重量部に対して電荷移動剤が20
〜150重量部、好ましくは40〜120重量部の範囲で
使用される。 本発明に使用されるフエノール系酸化防止剤と
しては公知のものが使用できるが、分子中のフエ
ノール環にｔ−ブチル基を１個以上有するものが
好適に使用できる。具体的には、３，５−ジ−ｔ
ブチル−４ヒドロキシトルエン、２，６−ジ−ｔ
−ブチルフエノール、２，６−ジ−ｔ−ブチル−
４−エチルフエノール、２，６−ジ−ｔ−ブチル
−４−メチルフエノール、ｎ−オクタデシル−３
−（4′−ヒドロキシ−3′，5′−ジ−ｔ−ブチルフエ
ニル）プロビオネートなどのモノフエノール系酸
化防止剤、２，2′−メチレン−ビス−（４−メチ
ル−６−ｔ−ブチルフエノール）、１，３，５−
トリメチル−２，４，６−トリス（３，５−ジ−
ｔ−ブチル−４−ヒドロキシベンジル）ベンゼ
ン、テトラキス−〔メチレン−３−（3′，5′−ジ−
ｔ−ブチル−4′−ヒドロキシフエニル）プロピオ
ネート〕メタンなどのポリフエノール系酸化防止
剤などがあげられる。 添加量は電荷移動剤100重量部に対して、５重
量部〜20重量部の範囲で使用される。添加量が少
いと、効果がなく、又この範囲より多すぎると暗
減衰の増加など弊害を生じる。 更に、本発明の電荷移動剤には成膜性、可とう
性、機械的強度を向上させるために周知の可塑
剤、残留電位の蓄積を抑制するための添加剤など
の周知の添加剤を含有させていてもよい。 本発明において使用される導電性基板として
は、公知の種々のものが挙げられる。例えば、ア
ルミニウム、銅等の金属ドラム、ベルトあるいは
これらの金属箔のラミネート物、蒸着物があげら
れる。更に金属粉末、カーボンブラツク、ヨウ化
銅、酸化スズなど導電性物質を必要に応じてバイ
ンダー樹脂と共に塗布して導電処理したプラスチ
ツクフイルム、プラスチツクドラム、紙などが挙
げられる。 ＜発明の効果＞ かくして得られる本発明の電子写真感光体は、
繰返し使用時の帯電電位の安定性にすぐれ、従つ
て、耐久性が極めて良好である。 本発明の電子写真感光体は、電子写真複写機の
ほか、レーザー、ブラウン管（CRT）等を光源
とするプリンターの感光体など電子写真の応用分
野にも広く用いることができる。 ＜実施例＞ 次に本発明を実施例により更に具体的に説明す
る。なお、実施例中、「部」は「重量部」を示す。 実施例 １ 上記構造を有するビスアゾ化合物１部とポリエ
ステル（東洋紡社製、商標バイロン200）１部を
テトラヒドロフラン90部に加えサンドグライダー
で分散処理した後、アルミニウムを蒸着した厚さ
100μｍのポリエステルフイルムのアルミ蒸着面
に乾燥後の塗布量が0.2ｇ／m²になる様に塗布し、
電荷発生層を形成させた。 この様にして得られた電荷発生層上にＮ−エチ
ルカルバゾール−３−アルデヒドジフエニルヒド
ラゾン80部とメタアクリル樹脂（三菱レーヨン社
製ダイアナールBR−85）100部、下記構造を有
するジシアノビニル化合物4.5部 及び３，５−ジ−ｔ−ブチル−４−ヒドロキシト
ルエン（BHT）８部をトルエン900部に溶解した
溶液を乾燥膜厚15μになる様塗布して電荷移動層
を形成した。この様にいて得られた感光体サンプ
ルを1Aとし感光体の特性を次の様にして測定し
た。 まず暗所で感光体へ流れ込むコロナ電流が−
22μAとなる条件においてコロナ放電を行い一定
の速度（150mm／sec）で感光体を通過して帯電さ
せ、その帯電圧を測定し、初期帯電圧Voを求め
た。次に5luxの照度の白色光で露光し、感光体の
表面電位が初期帯電圧より半減するために要する
露光量Ｅ1/2として求めた。その結果を表１に示
した。 次に前記感光体をコロナ放電器を有する金属製
の箱の中へ入れた。箱の中の空気をフアンにより
循環させながらコロナ電圧−6KVを印加した。
その際、箱の中のオゾン濃度は6ppmであつた。
又コロナイオンが直接感光体にふりそそがない様
な配置がとられた。 この様な放電雰囲気下に14時間放置した後、前
記と同様にして感光体の特性を測定した。その結
果を表１に示した。 次に上記サンプルと同様にして電荷移動層に添
加されるBHTの添加量を０部、２部、４部、12
部、16部であるサンプルを作成し各々を1B、1C、
1D、1E、1Fとした。 各サンプルの特性の評価を同様にして行つた。
その結果を表１に示した。

【表】 ラゾンに対する割合
表１から明らかなように、電荷移動層にフエノ
ール系酸化防止剤であるBHTを含んでいないか
低濃度しか含んでいないサンプルについては、コ
ロナ雰囲気に放置後の帯電圧の著るしい低下が見
られたが、本発明の感光体であるサンプル1A、
1D、1E、1Fについてはほとんど帯電圧の低下は
見られなかつた。 実施例２〜３及び比較例１ 実施例１においてBHTの代りに、テトラキス
−〔メチレン−３−（3′.5′−ジ−ｔ−ブチル−4′−
ヒドロキシフエニル）プロピオネート〕メタン
（商品名Irganox1010−チバ・ガイギー社製）（実
施例２）、或いは、２，2′−メチレン−ビス−（４
−メチル−６−ｔ−ブチルフエノール）（商品名
CAO−５、アシユランドケミカル社製）（実施例
３）、或いはジラウリルチオジプロピオネート
（比較例１）を各々８部添加することのほかは同
様にして感光体を製造し、その特性を測定した。
その結果を表２に示した。

【表】 実施例 ４ 上記構造を有するビスアゾ化合物１部とポリビ
ニルブチラール（積水化学社製エスレツクスBH
−３）0.5部をペントキリン50部に加えサンドグ
ラインダーで分散処理をした後、アルミニウムを
蒸着した厚さ100μｍのポリエステルフイルムの
アルミ蒸着面に乾燥後の塗布量が0.4ｇ／m²にな
る様に塗布し、電荷発生層を形成させた。 この様にして得られた電荷発生層上に、下記の
構造を有するヒドラゾン90部、PMMA樹脂BR
−85 100部、BHT8部をトルエン900部に溶解し
た溶液を乾燥後の膜厚15μになる様に塗布して電
荷移動層を形成し感光体サンプル4Aを作成した。 又比較のため、上記と同様にしてBHTを添加
していないことを除いて同じ組成の電荷移動層を
有するサンプル4B（比較サンプル）を作成した。 これらのサンプルについて実施例１と同じ様に
して感光体特性を測定した。その結果を表３に示
した。

【表】 実施例 ５ 実施例１において得られたサンプル1A及び1C
を市販の複写機を使用し、耐久性についてのテス
トを示つた。 サンプル1Aにおいては、40000枚のコピーをと
つても画質に変化なく、コントラストの高い画像
が得れ、また表面電位は初期の−540Vに対して
40000枚コピー後も−500Vと極めて安定してい
た。 一方比較のためのサンプル1Cにおいては、
20000枚のコピー後で、画像濃度の低下が目立ち、
表面電位は初期の−530Vに対、−400Vと著るし
く低下していた。この結果から、本発明によつて
耐久性が著るしく改良されていることが判る。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 導電性基板上に、電荷発生層および電荷移動
   層を有する積層型電子写真感光体において、該電
   荷移動層が少くともバインダー樹脂並びに、下記
   一般式（） （上記式中で、R₁及びR₂は独立して置換基を有
   してもよいアルキル基、アラルキル基又はアリー
   ル基を表わし、Ａは置換基を有していてもよい芳
   香族炭化水素基又は芳香族複素環基を表わし、ｎ
   は１又は２を表わす。） 及び、下記一般式（） （上記式中で、R₃及びR₄は独立して置換基を有
   していてもよいアルキル基、アラルキル基、又は
   アリール基を示し、Ｘ及びＹは独立して水素原
   子、アルキル基、アルコキシ基又はジアルキルア
   ミノ基を表わしｍは０又は１を表わす）で表わさ
   れるヒドラゾン系化合物から選ばれる１種以上の
   電荷移動剤を含有し、かつ、該層にフエノール系
   酸化防止剤を該電荷移動剤に対して５重量％ない
   し20重量％含有させたことを特徴とする積層型電
   子写真感光体。