JPH0533003B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 (イ) 産業上の利用分野 本発明は穀稈を刈取搬送して脱穀するコンバイ
ンにおける穀稈搬送装置に関する。

(ロ) 従来技術 従来、多条刈コンバインの扱深さ調節装置は運
転席側の端部で刈取られた穀稈をも受継いで横搬
送すべくその前部一側が運転席の前部まで突出し
ており、運転席側端部の掻込経路から横搬送経路
の始端に継送される穀稈は株元部も穂側も略同一
条件で搬送並びに継送されていた。

(ハ) 発明が解決しようとする問題点 前記扱深さ調節装置はその一端が運転席の前方
で上下動するようにする必要があつたので、運転
席を扱深さ調節装置の突出部の後方に設けるほか
はなく、そのため前方視野が悪くなつた。

また、運転席側の端部で刈取られて後送された
刈取穀稈の株元部と穂側とをともに後方へ掻込ん
で扱深さ調節装置の横送経路の始端に継送してい
たが、刈取穀稈の穂側は穀稈引起体により引起し
ても株元側より遅れて継送される傾向があり、こ
の現象は長稈の場合に特に著しく、その結果、次
の掻込経路から掻込まれた穀稈が上記穂側の移送
遅れにより傾斜した穀稈に交叉した状態で合流
し、この状態で縦搬送して脱穀装置に供給する
と、前記傾斜した穀稈に扱き残しを生じた。

(ニ) 問題点を解決するための手段 本発明は、機台の一側に脱穀装置を搭載し、そ
の他側前部に運転席を設け、前記脱穀装置の前方
に、少なくとも穂側搬送経路が運転席側から他側
に向かう横送経路とその移送終端から後方の脱穀
装置の供給口に向かう縦搬送経路とで構成された
扱深さ調節装置を設け、該扱深さ調節装置の前部
に前記運転席の前方から他側に亘る刈取装置を配
設し、刈取装置で刈取られた刈取穀稈を複数の掻
込経路から前記横搬送経路に順次合流するように
したコンバインにおいて、運転席の前方掻込経路
の株元搬送チエンを、後方の前記横搬送経路に接
続すると共に横搬送側へ傾斜させ、上記掻込経路
の終端と横搬送経路の始端の接続部の上方に、機
枠に支持されていて両経路の接続部を斜めに横断
すると共に複数の搬送爪３１……を有する搬送チ
エンが張設された穂側継送体を設けることにより
前述の問題点を解決した。

(ホ) 作用 刈取装置は多条の穀稈を引起して刈取ると共に
後方の横搬送経路に掻込んで合流させる。

その際、運転席側で掻込まれた穀稈の株元側も
横搬送経路の始端に向けて搬送されるが、穂側は
機枠に支持されていて掻込経路の終端と横搬送経
路の始端が接続されている部位を斜めに横断する
穂側継送体により急速に搬送されるので穂先遅れ
を生ずることがなく、それに続く掻込経路から掻
込まれた穀稈と略平行な稈姿勢で合流する。

合流した穀稈は横搬送経路の終端から縦搬送経
路で扱深さ調節されてから脱穀装置に供給されて
脱穀処理される。

また、刈取脱穀作業中、運転席の直前部の前記
穂側継送体は掻込経路と横搬送経路との接続部を
斜めに横断して穂側を前側と横送り方向に傾斜さ
せて搬送するので、操作盤及び運転席を従来より
前方に設置することができると共に、刈取状況を
的確に視認することができる。

(ヘ) 実施例 本発明の一実施例を図面について説明すると、
１は走行装置２を有する機台３の一側に搭載した
脱穀装置であつて、その他側には前方から順に操
作盤４、運転席５、穀粒タンク及びエンジン６を
配設してあり、前記脱穀装置１の前部には分草体
７……、穀稈引起体８……、掻込輪９，９ａ…
…、株元掻込チエン１０……、穂側掻込チエン１
１及び刈刃１４等で構成された刈取装置１２を設
けてあり、該刈取装置１２及び株元横搬送チエン
１３は後部が横軸１５で枢支されていて油圧シリ
ンダー１６により上下傾動する前処理枠１７に装
着されている。

また、前記刈取装置１２と脱穀装置１との間に
は刈取装置１２の直後に沿う横搬送部とその移送
終端から脱穀装置１の供給口１８の前部に亘る縦
搬送部とを形成すると共に多数のラグ１９……を
起伏可能に枢着した穂側搬送チエン２０と、前記
株元横搬送チエン１３の移送終端及び側端部の株
元掻込チエン１０の終端と対応する部位からフイ
ードチエン１ａの始端近傍に亘る株元搬送チエン
２１とで構成した穀稈搬送装置２２を配設してあ
り、この穀稈搬送装置２２はその支持枠を前記横
軸１５に上下傾動可能に枢支することにより扱深
調節装置となり、上記刈取装置１２及び穀稈搬送
装置２２は前記エンジン６によりミツシヨンケー
ス２３，２３及び前記横軸１５を介して駆動さ
れ、穂側搬送チエン２０のラグ１９……はガイド
レールにより前部の横方向部分とそれに続く縦方
向部分とで起立突出して軌跡２５を描いて搬送作
用を行なう。

そして、前記株元掻込チエン１０……の前部は
掻込輪９の軸に取付けたスプロケツトに、後部は
後方の駆動スプロケツト２９……に掛け、運転席
５及び操作盤４の直前に位置する株元掻込チエン
１０の後部を巻き掛けたスプロケツトは株元横搬
送チエン１３を掛けたスプロケツトと同一の軸２
６に装着されていてテンシヨンローラ２７により
緊張されており、該軸２６を内装した保持筒の前
記穂側掻込チエン１１より上方には、搬送作用側
で起立突出する複数の搬送爪３１……が装着され
た搬送チエンが内装張設されたチエンケース２
８，３０からなる上下２個の穂側継送体を固定し
てあり、それらのチエンケース２８，３０は第５
図に示す如く斜め後方に位置する穂側搬送チエン
２０の移送始端に向けて掻込経路と横送経路の接
続部を斜めに横断するように傾斜しており、下方
のチエンケース３０を略平行に前方へ偏位させる
ことにより搬送面を後傾状にしてあり、それらの
チエンケース２８，３０内に張設した搬送チエン
は前面側で起立突出する多数の搬送爪３１……を
有し、該搬送爪３１……の先端の搬送軌跡３２，
３２は平面視で始端が株元掻込チエン１０の掻込
爪の搬送軌跡とラツプし、終端は前記穂側搬送チ
エン２０のラグ１９の回動軌跡に略接するように
なつている。

また、前記株元横搬送チエン１３と穂側搬送チ
エン２０の横搬送部との前面に形成される横搬送
経路の前部には穀稈引起体８……の背面から掻込
経路の側部に沿つて後方へ伸びると共に掻込経路
の後部間を塞ぐ案内板３３……を設け、前記操作
盤４の直前にある案内板３３の後面は、第５図に
示すように前記搬送爪３１，３１の搬送軌跡３
２，３２に近接して沿う傾斜案内面３２ａとそれ
に続いていて搬送方向下手側がやや前位になつた
受け傾斜面３２ｂに形成されており、前記チエン
ケース２８，３０の終端部及び中間の案内板３３
並びに前方からみて右側の穂側掻込チエン１１の
ケースの後部には第１図に示す如く穀稈の漏れを
防止するブラシ３５……を取付け、前記右側のブ
ラシ３５は平面視で前記株元搬送チエン２１に対
設した挟持杆３６の内側へ侵入しており、前記チ
エンケース２８，３０は同形に構成されていてス
プロケツトを軸支する孔を位置ａに穿設してあ
る。

更に、掻込経路及び引起経路の前部に位置する
分草体７……を取付けた刈取フレーム３７には第
６〜９図に示すように平面視で略菱形状をなして
いて左右で対をなすガイド杆３８，３８，３９，
３９，４０，４０が上下に３組取付けてあり、最
も下方のガイド杆４０，４０は太くて後部が株元
掻込チエン１０の前部に対向しており、上方の２
組のガイド杆３８，３８，３９，３９は細くて撓
み易いスプリング杆で構成されていて後部は穂側
掻込チエン１１から起立突出した掻込爪１１ａ…
…の上下に近接して挾んでおり、前記案内板３３
の下部は第６図に示す如く掻込経路に向けて折曲
してあるので、掻込まれる穀稈は案内板３３に面
で接触せず、線で接触することとなり、上下のガ
イド杆３８，３９により穀稈を確実に掻込爪１１
ａに係止した状態でＢのように稈折れすることが
なく、同上図及び第１０図にＡで示す整然と伸長
した姿勢でかつ穂先遅れを防止しながら掻込むこ
とができる。

前述のコンバインにおいて、分草体７……が分
草した穀稈を穀稈引起体８……は引起し、掻込輪
９……、株元掻込チエン１０……及び穂側掻込チ
エン１１……は掻込経路で掻込み、その過程で刈
刃１４が刈取る。

刈取穀稈は掻込経路の後部で横搬送経路に押し
込んで合流させるが、操作盤４の前方では株元掻
込チエン１０が株元部を株元横搬送チエン１３の
始端に受継がせ、中間部及び穂側は上下の穂側継
送体のチエンケース２８，３０から突出した搬送
爪３１……によりやや凭れ姿勢で斜め後方へ強制
搬送されて穂側搬送チエン２０の横送始端部へ継
送され、該穂側搬送チエン２０は横送経路を案内
板３３，３３に案内されながら横送りされる。

その際、始端側のブラシ３５は穀稈が後方へ洩
れるのを防止し、穂側搬送チエン２０のラグ１９
……は始端部で円弧状の回動軌跡で起立突出する
ので、穀稈を遠芯力により押戻そうとするが、そ
の直前部の案内板３３の後面の傾斜案内面３２ａ
は穀稈を受止め案内し、停滞することなく横搬送
する。

また、穀稈搬送装置２２は第２図に示すように
上下傾動して扱深さ調節を行なうが、下降傾動し
て短稈を搬送する時、下側の穂側継送体が穂部を
強制的に斜め後方側方へ搬送し、長稈に対して穂
側搬送チエン２０が上昇傾動した場合は上方の穂
側搬送チエンが該穂側搬送チエン２０より更に上
方で穂部寄りを斜め後方側方へ強制搬送する。

更に、前記穂側継送体は操作盤４及び運転席５
の前方から掻込まれる穀稈を前述のように後方側
方へ強制搬送するので、穂先に移送遅れを生ずる
ことがなく、かつ操作盤４及び運転席５を従来の
ものより前方に設置し得て前方、特に刈取装置１
２の分草引起状態等を的確に視認することがで
き、横搬送された穀稈は穂側搬送チエン２０の後
方へ向う部分と、株元搬送チエン２１とにより後
送されて脱穀装置により脱穀処理される。

この脱穀処理時に前方からみて左側端部から掻
込まれた穀稈は穂側継送体により移送遅れを生ず
ることなく強制搬送されるので、この穀稈とそれ
に合流した穀稈とが交叉することがなく、従つて
扱残しを生ずることがない。

(ト) 発明の効果 本発明は、前述のように機台３の一側に脱穀装
置１を搭載し、その他側前部に運転席５を設け、
前記脱穀装置１の前方に、少なくとも穂側搬送経
路が運転席５側から他側に向かう横送経路とその
移送終端から後方の脱穀装置１の供給口１８に向
かう縦搬送経路とで構成された扱深さ調節装置を
設け、該扱深さ調節装置の前部に前記運転席５の
前方から他側に亘る刈取装置１２を配設し、刈取
装置１２で刈取られた刈取部穀稈を複数の掻込経
路から前記横搬送経路に順次合流するようにした
コンバインにおいて、運転席の前方掻込経路の株
元搬送チエン１０を、後方の前記横搬送経路に接
続すると共に横搬送側へ傾斜させ、上記掻込経路
の終端と横搬送経路の始端の接続部の上方に、機
枠に支持されていて両経路の接続部を斜めに横断
すると共に複数の搬送爪３１……を有する搬送チ
エンが張設された穂側継送体を設けたので、扱深
さ調節装置は運転席の前部に大きく突出すること
がなく、それにより該運転席を従来のものより前
方に設けることができ、穀稈の分草状態及び引起
状態等を容易に視認することができる。

また、前記穂側継送体の各搬送爪は、刈取穀稈
の穂側を掻込経路の終端と横搬送経路の始端との
接続部を斜めに横断しながら急速に搬送すること
となり、穀稈は穂先が移送遅れになつた傾斜姿勢
になることがなく、それに合流した穀稈と交叉状
態になることがないので合流部での詰まりや扱残
しを生ずることがない。

【図面の簡単な説明】

図面は本発明の一実施例を示すものであつて、
第１図はコンバインの一部を省略した平面図、第
２図は同上側面図、第３図は掻込搬送部の正面
図、第４図は同上側面図、第５図は要部の平面
図、第６図は側部掻込部の縦断面図、第７図は分
草引起部の正面図、第８図は同上一部の平面図、
第９図は同上側面図、第１０図は同上縦断面図で
ある。 １……脱穀装置、５……運転席、１０……株元
掻込チエン、１１……穂側掻込チエン、１２……
刈取装置、１３……株元横搬送チエン、２２……
穀稈搬送装置、２８，３０……チエンケース、３
３……案内板。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 機台３の一側に脱穀装置１を搭載し、その他
   側前部に運転席５を設け、前記脱穀装置１の前方
   に、少なくとも穂側搬送経路が運転席５側から他
   側に向かう横送経路とその移送終端から後方の脱
   穀装置１の供給口１８に向かう縦搬送経路とで構
   成された扱深さ調節装置を設け、該扱深さ調節装
   置の前部に前記運転席５の前方から他側に亘る刈
   取装置１２を配設し、刈取装置１２で刈取られた
   刈取穀稈を複数の掻込経路から前記横搬送経路に
   順次合流するようにしたコンバインにおいて、運
   転席の前方掻込経路の株元搬送チエン１０を、後
   方の前記横搬送経路に接続すると共に横搬送側へ
   傾斜させ、上記掻込経路の終端と横搬送経路の始
   端の接続部の上方に、機枠に支持されていて両経
   路の接続部を斜めに横断すると共に複数の搬送爪
   ３１……を有する搬送チエンが張設された穂側継
   送体を設けたことを特徴とするコンバインにおけ
   る穀稈搬送装置。