JP2565367Y2 - コンバインにおける穀稈移送装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、圃場に植立している穀
稈を引起こして刈取り、刈取った穀稈を横送し、これを
穀稈搬送装置により脱穀装置に搬送供給するようにした
コンバインにおける穀稈移送装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、機体の前部に刈取装置を設け、該
刈取装置の分草体の背部に、穀稈引起体と刈刃を配設
し、該穀稈引起体により引起した穀稈を刈刃により刈取
り、これを上下に間隔を隔てた複数段の横送り帯からな
る横搬送装置により一旦横送りしてから扱深さ調節装置
を兼ねた穀稈搬送装置に継送し、該穀稈搬送装置により
搬送した穀稈を脱穀装置により脱穀処理するようにした
コンバインは既に知られている。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】前記既知のコンバイン
における横搬送装置の横送り帯は、いずれも一定位置に
て回転するように構成されていたので、穀稈が長稈であ
る場合、穂側が湾曲して移送遅れを生じ、倒伏した穀稈
のように柔軟なものでは穂側が垂れ下がり、いずれの場
合も穀稈搬送装置への継送が不円滑となり、穂側の搬送
が遅れて脱穀時に稈切れや稈の引き込みが多くなると共
に継送部で詰まりを生ずる等の課題があった。

【０００４】

【課題を解決するための手段】本考案は、脱穀装置１を
搭載した機台の前部に刈取装置３と穀稈搬送装置５とか
らなる前処理装置を装着し、前記刈取装置３を、分草体
６と、その後部から斜め後方へ立ち上った穀稈引起体
７、刈刃９、上下複数段の縦搬送装置８，１０，１１，
１２、及び刈取穀稈を穀稈搬送装置５の搬送始端に向け
て横送りする複数段の横送り帯からなる横搬送装置１７
とで構成し、穀稈搬送装置５は後部を中心として上下傾
動することにより扱深さ調節するようにした収穫機であ
って、前記複数段の横送り帯からなる横搬送装置１７を
刈取装置３の下部から駆動軸２０を介して駆動するよう
になすと共に、上段の横送り帯を刈取穀稈の稈長に応じ
て平行的に上下調節可能に支持するように該横送り帯の
回転軸２１を前記駆動軸２０に対し伸縮調節自在とな
し、かつ該伸縮調節部を回転しない筒状カバー２６，２
７で被覆したことを特徴とするものである。

【０００５】

【実施例】本考案を図面に示す実施例について更に詳細
に説明すると、走行装置を有する機台上の一側よりに脱
穀装置１を搭載し、他側には前方から順に操作盤及び運
転席を囲んだキャビン２、穀粒タンク及びエンジンを配
設し、脱穀装置１の前方には刈取装置３と刈取穀稈を挟
持搬送しながら扱深さ調節して脱穀装置１に供給する穀
稈搬送装置５とからなる前処理装置を昇降可能に装着し
てあり、刈取装置３は、分草体６・・、穀稈引起体７・
・、刈刃９と、スターホイール状の掻込輪８・・、株元
掻込チェーン１０、茎部掻込ベルト１１、タイン付きの
穂側掻込チェーン１２・・からなる縦搬送装置、及び搬
送終端が後方へ屈曲延出した株元横送りチェーン１３と
タイン付きの中段横送りチェーン１５とタイン付きの上
段横送りチェーン１６とからなる横搬送装置１７により
構成されており、前記穀稈搬送装置５は株元挟持搬送体
５ａと搬送面にガイドレールが間隔をおいて対設された
穂側搬送体５ｂとにより構成されており、後部を中心と
して上下傾動することにより扱深さ調節を行い、図示し
てないが稈長検出器の検出結果により自動的に上下傾動
する。

【０００６】そして、前記横搬送装置１７の株元横送り
チェーン１３は、ギヤケース１８から立ち上がった軸２
０により駆動され、中段と上段の横送りチェーン１５，
１６を駆動する回転軸２１は、穂側掻込チェーン１２の
軸１２ａに対して後傾していてユニバーサルジョイント
２２を介して軸２０により駆動され、前記回転軸２１は
六角軸（又はスプライン軸）２３と、上段横送りチェー
ン１６が掛けられているスプロケットの軸２４の下端に
固定されていて内周の六角孔（又は内周スプライン）に
上記六角軸２３が嵌合した筒軸２５とにより構成されて
おり、中段横送りチェーン１５のケース１５ａ上に固定
されている筒状カバー２６には、上段横送りチェーン１
６のケース１６ａの下面に突設した筒状カバー２７が上
下動可能に嵌合している。即ち、上記筒状カバー２６，
２７は何れもケース１５ａ，１６ａに固定されていて回
転しないもであり、互いに伸縮調節自在に連結された回
転軸２１及び駆動軸２０の伸縮調節部の周囲を被覆し、
該伸縮調節部への藁屑等の侵入を防止している。また、
前記上段横送りチェーン１６のケース１６ａ上に固定し
て立ち上がらせた調節板２８は上下方向の長孔を有し、
前記穀稈引起体７の上部に装着されている伝動ケース３
０から垂下した吊り板３２に上下調節可能にボルト３３
により締着してある。従って、ボルト３３を緩め調節板
２８を長孔に沿って上下させると、上段横送りチェーン
１６は六角軸２３と筒軸２５、及び筒状カバー２６，２
７の摺動により六角軸２３の軸方向に平行的に上下調節
できるものである。

【０００７】前記穀稈引起体７は、図２及び図３に示す
如く、引起ケース３５内の上部に軸支した駆動スプロケ
ット３６と下部に軸支した転輪３４に、多数の引起爪３
７・・を有するチェーン３８を張設することにより構成
されており、引起爪３７は下部で回行しながら起立突出
し、引起経路と対面する側で、基部のシューがガイドレ
ール３９に摺接することによりほぼ水平な突出姿勢を保
持しながら上昇し、該ガイドレール３９は下部の固定レ
ール３９ａと下部がそれに重合している可動レール３９
ｂとからなり、可動レール３９ｂの側面に突設した板４
０を上下の受板４１，４２の孔に遊嵌したロッド４４に
固定し、上方の受板４２と板４０に圧縮スプリング４３
を介装して下降付勢し、上記ロッド４４の上端に、伝動
ケース３０に立設したブラケット及び中段横送りチェー
ン１６のケース上に立設されたブラケットにより軸支さ
れて滑車４５，４６に掛けたワイヤー４７の一端を連結
し、その他端は上方の筒軸２５の後面に突設した連結板
４８に連結してある。

【０００８】前述のコンバインにおいて、各部を作動さ
せながら機体を前進させると、立毛穀稈は各分草体６間
に進入し穀稈引起体７により引起され、刈刃９により刈
り取られるとともに、刈り取られた穀稈は上下複数段の
縦搬送装置８，１０，１１，１２、により後方に搬送さ
れ、上下複数段の横送り帯からなる横搬送装置１７に供
給されて、該横搬送装置１７により横送りされその端部
から穀稈搬送装置５に供給される。しかして、短稈又は
標準稈を刈取る場合、上段横送りチェーン１６を下降さ
せると、刈取られて掻き込まれた穀稈は、株元部及び中
間部を中段横送りチェーン１５及び株元横送りチェーン
１３の搬送爪により横送りされ、穂側は低くなった上段
横送りチェーン１６の搬送爪により適正位置を係止され
て横搬送される。その際、ワイヤー４７の後端は下降し
て緩むので、穀稈引起体７の可動レール３９ｂもほぼ同
じだけ下降することとなり、それにより穂側をしごいて
脱粒されることがない。また、長稈を刈取る場合に、前
記上段横送りチェーン１６を稈長に応じて図１に鎖線で
示す位置まで上昇させると、前記可動レール３９ｂも長
稈に適する高さまで追従して上昇するので長稈の穂部を
高い位置まで引起し、その状態で上段横送りチェーン１
６の搬送爪が受継いで横送りする。また、中段横送りチ
ェーン１５及び上段横送りチェーン１６の搬送爪を一つ
おきに長短にすると、高能率刈取を行って穀稈量が多い
場合に無理なく横送りすることができる。

【０００９】このようにして横送りされた穀稈は長稈で
あっても穂部が垂れ下がったり絡んだりすることがない
ので、穀稈搬送装置５の穂側搬送体５ｂに整然と受継が
れ、後方へ搬送される過程で図外の稈長検出器により稈
長が検出され、その検出値に基づいて穀稈搬送装置５が
上下傾動し、扱深さが自動調整され、適正扱深さになる
状態で株元部は脱穀装置１のフィードチェーンと挟扼レ
ールの始端に受継がれ、穂側は供給口から扱室に挿入さ
れて脱穀処理される。

【００１０】図５は他の実施例を示すものであって、中
段横送りチェーン１５のケースの上面に螺孔を有する受
金５０を取付け、上段横送りチェーン１６のケースの下
面には、下部が上記受金５０の螺孔に螺合した螺杆５１
を回転駆動する小型モーター５２を装着し、上面には、
扱深さ調節装置の稈長検出器と同様な穂先位置検出器５
３を設けてあり、この穂先位置検出器５３が短稈検出信
号を発すると、小型モーター５２は上段横送りチェーン
１６を下降させる方向に回転し、穂先位置を検出すると
停止し、長稈検出信号を発すると、小型モーター５２は
逆回転して上段横送りチェーン１６を上昇させ、穂先を
検出する小型モーター５２が停止する。また、前記穂先
位置検出器５３の検出信号は扱深さ自動調節回路にも入
力され、穀稈搬送装置５はその穂側搬送体５ｂの先端が
上段横送りチェーン１６よりＨという一定間隔だけ低い
位置に臨むように扱深さ調節される。

【００１１】図６は更に別の実施例であって、前述の実
施例における中段横送りチェーン１５を省略し、上段横
送りチェーン１６を大きく上下移動調節することができ
るようにして極めて短い穀稈から著しい長稈に対しても
穂側の適正位置を横送りすることができるようにした。

【００１２】

【考案の効果】本考案は、脱穀装置１を搭載した機台の
前部に刈取装置３と穀稈搬送装置５とからなる前処理装
置を装着し、前記刈取装置３を、分草体６と、その後部
から斜め後方へ立ち上った穀稈引起体７、刈刃９、上下
複数段の縦搬送装置８，１０，１１，１２、及び刈取穀
稈を穀稈搬送装置５の搬送始端に向けて横送りする複数
段の横送り帯からなる横搬送装置１７とで構成し、穀稈
搬送装置５は後部を中心として上下傾動することにより
扱深さ調節するようにした収穫機であって、前記複数段
の横送り帯からなる横搬送装置１７を刈取装置３の下部
から駆動軸２０を介して駆動するようになすと共に、上
段の横送り帯を刈取穀稈の稈長に応じて平行的に上下調
節可能に支持するように該横送り帯の回転軸２１を前記
駆動軸２０に対し伸縮調節自在となし、かつ該伸縮調節
部を回転しない筒状カバー２６，２７で被覆したのであ
るから、穀稈引起体７により引起され刈取られた穀稈は
上下複数段の縦搬送装置８、１０，１１、１２により的
確に横搬送装置１７に供給されると共に、穀稈搬送装置
５は横搬送装置１７に対しその後部を中心として上下傾
動し、穀稈に対する受継位置を変更することにより扱ぎ
深さ調節を行うようにしたものでありながら、横搬送装
置１７の上段の横送り帯は刈取穀稈の稈長に応じて平行
的に上下調節可能に構成されているため、稈長の長短に
かかわらず常に刈取穀稈を適正な姿勢に保持しながら横
送りして穀稈搬送装置５に円滑に受け渡すことができ
る。

【００１３】即ち、短稈又は標準稈を刈取る場合は上段
の横送り帯を下降させ、他の横送り帯により穀稈の株元
部及び茎部を支持しながら円滑に横送りするとともに、
穂部は上記低位置となった上段横送り帯により適正位置
を支持させて刈取穀稈を穂先遅れ又は絡みのない状態で
円滑に搬送し穀稈搬送装置５に整然と受け継がせること
ができ、また長稈に対しては上段の横送り帯を上昇させ
ることにより、穂先側の適正位置を横搬送することが可
能になり、穂先遅れ、穂部の垂れ下がりや絡みを生ずる
ことなく整然と横送りして穀稈搬送装置５に円滑に受け
渡すことができる。従って、穀稈搬送装置５による扱ぎ
深さ調節を常に良好に行う事ができる。 また、上段の横
送り帯を上下調節するために設けた駆動軸２０と回転軸
２１の伸縮調節部を回転しない筒状カバー２６，２７に
より被覆したことにより、該伸縮調節部への藁屑等の侵
入による絡み付きを防止して横搬送装置１７を常時円滑
に作動させると共に、伸縮調節を支障なく行うことがで
きるものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】コンバインの前部の縦断面図である。

【図２】穀稈引起体の前面カバーを取り外した状態の正
面図である。

【図３】同上横断面図である。

【図４】コンバインの前部の平面図である。

【図５】他の実施例の縦断面図である。

【図６】更に別の実施例の縦断面図である。

【符号の説明】

１ 脱穀装置 ３ 刈取装置 ５ 穀稈搬送装置 ７ 穀稈引起体８ 掻込輪 ９ 刈刃 １０ 株元掻込チエーン １１ 茎部掻込ベルト １２ 穂側掻込チエーン １３ 株元横送りチェーン １５ 中段横送りチェーン １６ 上段横送りチェーン １７ 横搬送装置２０ 駆動軸 ２１ 回転軸２６ 筒状カバー ２７ 筒状カバー ３７ 引起爪 ３９ ガイドレール ４７ ワイヤー

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 脱穀装置１を搭載した機台の前部に刈取
   装置３と穀稈搬送装置５とからなる前処理装置を装着
   し、前記刈取装置３を、分草体６と、その後部から斜め
   後方へ立ち上った穀稈引起体７、刈刃９、上下複数段の
   縦搬送装置８，１０，１１，１２、及び刈取穀稈を穀稈
   搬送装置５の搬送始端に向けて横送りする複数段の横送
   り帯からなる横搬送装置１７とで構成し、穀稈搬送装置
   ５は後部を中心として上下傾動することにより扱深さ調
   節するようにした収穫機であって、前記複数段の横送り
   帯からなる横搬送装置１７を刈取装置３の下部から駆動
   軸２０を介して駆動するようになすと共に、上段の横送
   り帯を刈取穀稈の稈長に応じて平行的に上下調節可能に
   支持するように該横送り帯の回転軸２１を前記駆動軸２
   ０に対し伸縮調節自在となし、かつ該伸縮調節部を回転
   しない筒状カバー２６，２７で被覆したことを特徴とす
   るコンバインにおける穀稈移送装置。