JPH0530639U - オイルシール - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 被取付材に向きを誤って取り付けた場合に、
それを出荷前の試験で容易に、かつ、確実に発見出来る
ようにする。 【構成】 周壁シール部２とシールリップ部４とをつな
ぐ連接壁５に貫通孔９を設けると共に、連接壁５に、被
取付材の端部壁１ｂに当接して貫通孔９の周域をシール
する環状突起を設け、被取付材に正規に取り付けられた
場合にだけ貫通孔９が密閉されるようにする。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、オイルシールに関する。

【０００２】

【従来の技術】

自動車のパワーステアリングギヤ等において、ハウジングとシャフトの隙間か らオイルが漏出するのを防止するオイルシールは、一般に、図５に示すようなも のが用いられている。

【０００３】 このオイルシールは、ハウジング１の内周壁１ａに嵌着される円筒状の周壁シ ール部２と、シャフト３の外周面を摺動可能にシールするシールリップ部４と、 を備えていて、周壁シール部２とシールリップ部４とが連接壁５によってつなが っている。周壁シール部２から連接壁５にかけては断面略Ｌ字状の金属製の環状 リング６が埋設されいて、このオイルシールがハウジング１内に挿入された際に 、周壁シール部２と連接壁５が環状リング６を芯材としてハウジング１の内周壁 １ａと端部壁１ｂに強固に圧接されるようになっている。また、シールリップ部 ４の外周側には、ガータスプリング７が嵌着されていて、このガータスプリング ７のばね力によってシールリップ部をシャフト３の外周面に圧接させるようにな っている。尚、図５中８は、連接壁５の内径側に連設されたダストシールリップ 部である。

【０００４】 この関連技術は、例えば実公昭６３−１０９３５号公報等に示されている。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】

このオイルシールは被取付材であるハウジング１に対して逆向き（連接壁５と ハウジング１の端部壁１ｂとが当接しない向き）に圧入することも可能であるた め、向きを誤ってハウジング１に取り付けてしまうこともある。ところが、こう して誤って取り付けられた場合に、即時にオイル漏れを生じないため試験によっ てそれを発見することが難しいという問題がある。

【０００６】 そこで本考案は、被取付材に向きを誤って取り付けた場合に、それを試験で容 易に、かつ、確実に発見することが出来るオイルシールを提供しようとするもの である。

【０００７】

【課題を解決するための手段】

本考案は上述した課題を解決するための手段として、被取付材の内周壁に嵌着 される周壁シール部と、被取付材の軸部の外周面をシールするシールリップ部と 、を備えたオイルシールにおいて、前記周壁シール部とシールリップ部とをつな ぐ連接壁に貫通孔を設けると共に、この連接壁に、被取付材の端部壁に当接して 貫通孔の周域をシールする周域シール部を設けた。

【０００８】

【作用】

オイルシールが被取付材に正規に取り付けられた場合、連接壁の周域シール部 が被取付材の端部壁に当接して貫通孔が密閉されるため、オイル漏れ試験を行っ ても異常は発見されない。また、オイルシールが被取付材に逆向きに取り付けら れた場合、連接壁が被取付材の端部壁に当接せず貫通孔が密閉されないため、オ イル漏れ試験を行うと確実に異常が発見される。

【０００９】

【実施例】

次に、本考案の一実施例を図１〜図３に基づいて説明する。尚、図５に示した 従来のものと同一部分には同一符号を用いるものとする。

【００１０】 図１〜図３において、１は、自動車のパワーステアリングギヤのような油圧装 置のハウジングであり、３は、このハウジング１に回転可能に支持されたシャフ トである。ハウジング１とシャフト３はこの実施例における被取付材を構成して おり、ハウジング１は内周壁１ａとこの内周壁１ａに別部材（バックアップ部材 ）を嵌着固定して成る端部壁１ｂとを備えている。また、シャフト３はこの実施 例において被取付材の軸部を構成している。

【００１１】 １００は、本考案にかかるオイルシールであり、このオイルシール１００は、 前記内周壁１ａに嵌着される円筒状の周壁シール部２と、先端部がシャフト３の 外周面に摺動可能に密接するシールリップ部４と、シールリップ部４と周壁シー ル部２の一端側を結ぶ連接壁５と、この連接壁５の内周側の端部に延設されて端 部壁１ｂとシャフト３の隙間からハウジング１の内部に塵埃が侵入するのを防止 するダストシールリップ部８とを備えている。周壁シール部２から連接壁５にか けては断面略Ｌ字状の金属製の環状リング６が埋設され、シールリップ部４の外 周側にはガータスプリング７が嵌着されており、このオイルシール１００を取り 付ける際に、環状リング６の剛性でもって周壁シール部２と連接壁５をハウジン グ１の内部に圧接すると共に、環状リング６のばね力でもってシールリップ部４ をシャフト３の外周面に圧接するようになっている。また、連接壁５には環状リ ング６も含めて軸方向に貫通する貫通孔９が設けられ、さらに、連接壁５の外側 の端面（シールリップ部４側が延設される側と逆側の端面）には貫通孔９の周域 を囲繞する環状突起１０が一体に形成されている。この環状突起１０は本考案に おける周域シール部を構成し、ハウジング１の端部壁１ｂに当接して貫通孔９の 周域をシールするようになっている。

【００１２】 以上の構成において、オイルシール１００を取り付ける場合には、連接壁５を 前側にして周壁シール部２をハウジング１に圧入すると共に、シールリップ部４ をシャフト３に嵌合する。こうして、オイルシール１００がハウジング１内の所 定位置まで圧入されると、図１に示すように、連接壁５の環状突起１０がハウジ ング１の端部壁１ｂに圧接してこの環状突起１０が貫通孔９の周域をシールし、 貫通孔９を密閉するようになる。このため、こうして取り付けられたオイルシー ル１００はハウジング１とシャフト３の隙間を確実にシールし、ハウジング１内 の高圧のオイルＡが外部に漏出するのを確実に防止出来るようになり、当然に出 荷前のオイル漏れ試験でも何等異常を発見されないこととなる。

【００１３】 また、オイルシール１００が誤って逆向きに（連接壁５を後側にして）取り付 けられた場合、図３に示すように、ハウジング１の端部壁１ｂに対し周壁シール 部２の端部が当接して連接壁５は当接しなくなるため、連接壁５の貫通孔９は密 閉されなくなる。このため、出荷前にオイル漏れ試験に供されると、連接壁５の 貫通孔９から高圧のオイルＡが流出して異常が確実に発見されることとなる。

【００１４】 尚、本考案の実施例は図１〜図３に示したものに限るものではなく、例えば、 貫通孔９と環状突起１０の外形は図２に示すような円形ではなく、図４に示すよ うな方形であっても良い。

【００１５】

【考案の効果】

以上のように本考案は、周壁シール部とシールリップ部とをつなぐ連接壁に貫 通孔を設けると共に、この連接壁に、被取付材の端部壁に当接して貫通孔の周域 をシールする周域シール部を設け、被取付材に正規に取り付けられた場合にだけ 貫通孔が密閉されるようにしたため、被取付材に逆向きに取り付けられた場合に それをオイル漏れ試験によって確実に発見することが出来る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の一実施例を示す断面図。

【図２】同実施例を示す背面図。

【図３】同実施例を示す断面図。

【図４】本考案の他の実施例を示す背面図。

【図５】従来の技術を示す断面図。

【符号の説明】

１ａ…内周壁、１ｂ…端部壁、２…周壁シール部、３…
シャフト（軸部）、４…シールリップ部、５…連接壁、
９…貫通孔、１０…環状突起（周域シール部）。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 被取付材の内周壁に嵌着される周壁シー
   ル部と、被取付材の軸部の外周面をシールするシールリ
   ップ部と、を備えたオイルシールにおいて、前記周壁シ
   ール部とシールリップ部とをつなぐ連接壁に貫通孔を設
   けると共に、この連接壁に、被取付材の端部壁に当接し
   て貫通孔の周域をシールする周域シール部を設けたこと
   を特徴とするオイルシール。