JPH0528310B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は、地下の駐車空間から地上の入出庫口
に連通する車両乗入室に向つて垂直状に延びる昇
降路を複数列設けた機械式駐車設備に関する。

（従来技術とその問題点） 従来、地下の駐車空間に多数の車両搭載用パレ
ツトを循環移動させて車両の格納を行う駐車装置
を設置し、この駐車装置より地上に向つて垂直状
に延びる昇降路を形成し、昇降路には駐車装置と
の間でパレツトの受渡しを行い昇降路内を昇降す
るリフトを設け、昇降路の上部は地上床に削設し
たパレツト嵌入用の矩形開口を介し地上の車両乗
入室に連通し、車両乗入室の車両乗入方向に対面
する壁に入出庫口を設けた機械式駐車設備が知ら
れている。

近時、駐車設備の規模の拡大傾向に伴い、地下
の駐車空間に複数基の駐車装置を設置する例が多
くなつている。この場合、通常は前述入出庫口，
車両乗入室，昇降路およびリフトを１組として各
基の駐車装置ごとに独立して設置される。しか
し、外部道路に面した建物の地上部は店舗や事務
所などに多く利用され、入出庫口に供するスペー
スは必要最小限に留める傾向にある。従つて、駐
車装置が複数基でも、入出庫口を全基の駐車装置
に共用する必要性が出てくる。これを実現するた
には、各基の車両乗入室および昇降路の配置，１
つの入出庫口から各車両乗入室への車両の出入手
段および該車両の出入時の安全性の確保等、技術
的課題が多く、これらを解決しなければならな
い。

（問題点の解決手段） 本発明による機械式駐車設備は、前記駐車装
置，昇降路，リフト，矩形開口，および車両乗入
室を１組として複数組前記車両乗入方向に縦列に
配置し、隣接する車両乗入室を区画する隔壁には
車両が通行し得る連通口を形成し、全基を通じて
車両乗入室の床に車両乗入方向に移動可能に前記
複数の開口の数よりも１つ少ない数の移動デツキ
を設けるとともに各開口部の所定位置で移動デツ
キの移動をロツクするロツク装置を設け、該移動
デツキを移動して所定開口部の所定位置でロツク
することにより前記開口の１つのみ選択的に解放
し他のすべての開口を封鎖し、該移動デツキ上を
車両が通行し得るごとくしたことを特徴とする。

（作用） ２列の場合、入出庫口に近い前列に対する入出
庫時、２つの開口の数よりも１つ少ない数の１つ
の移動デツキは後列の車両乗入室に移動して該後
列の矩形開口を封鎖する。この状態で前列のリフ
トが所望パレツトを搭載して上昇し、該パレツト
が該前列の矩形開口に嵌入し、続いて入出庫口の
扉が開き、入出庫口を介しパレツトに対する車両
の乗入れまたは乗り出しを行う。特に入庫時、車
両がパレツトに乗り込んだ際、車両運転者が感違
いしてさらに後列の車両乗入室に車両を乗り入れ
ても移動デツキ上に載るだけで後列矩形開口から
転落する恐れはない。

また後列に対する入出庫時、前列のリフトは駐
車装置付近の下降位置にあり、移動デツキは前列
の車両乗入室に移動して該前列の矩形開口を封鎖
する。同時に、後列のリフトが所望パレツトを搭
載して上昇し、該パレツトが後列矩形開口に嵌入
する。次いで入出庫口の扉が開き、例えば入庫の
場合、車両は入出庫口より前列の車両乗入室に入
り移動デツキ上を通行しさらに後列の車両乗入室
に入り、前記パレツトに乗り込む。

（実施例） 以下、図面を参照しながら本発明の実施例につ
き詳述する。尚、説明の便宜上、第１，２，３，
４図における左・右を「左」・「右」、第２，４図
における紙面上方および下方を「後」・「前」と呼
称し、前後方向を車両乗入方向と規定する。

１は建物２に地下に形成した駐車空間で、前後
に並列して２基の円形循環式駐車装置３ａ，３ｂ
を設置している。前記駐車装置３ａ，３ｂの各々
は、左右方向に循環する前・後２条の無端鎖４に
等間隔に多数の支持腕５を支持し、各々前後に対
応する支持腕５の先端部で車両Ｗ搭載用パレツト
６の片側下面を支持し、該パレツト６の他側下面
には小ローラ７を軸支するとともに、上・下水平
移動経路にあつては該小ローラ７を上・下水平ガ
イドレール８ａ，８ｂに係合させ、また左・右旋
回部にあつては図示しない旋回腕により該小ロー
ラ７に係合させることにより多数のパレツト６を
水平状態に保持しつつ二層円形に循環させるごと
くなつている。

９ａ，９ｂは前記駐車装置３ａ，３ｂの左旋回
部に前後方向（即ち車両乗入方向）に縦列に形成
した前・後列昇降路で、地上に向つて垂直状に延
びそれぞれリフト１０ａ，１０ｂを昇降可能に設
けている。前記リフト１０ａ，１０ｂの各々は、
各昇降路９ａ，９ｂに上下全長に亘つて敷設せる
前・後２本宛の垂直ガイドレール１１に沿つて昇
降自在に係合させた垂直部材１２と、左端前・後
部を前記垂直部材１２に固定した水平状の台板１
３とから成る。そして各リフト１０ａ，１０ｂは
前記垂直部材１２をチエンスプロケツト機構より
成る昇降装置１４に連係させてあり、常時は台板
１３を前記左旋回部より下方に退避させた最下部
待機位置に下降しており、入出庫に際し昇降装置
１４の駆動により上昇し、この上昇途中で前記左
旋回部に配置せる所望のパレツト６を台板１３に
より掬い上げ、該台板１３上にパレツト６を水平
状に載置するごとくなつている。

１５ａ，１５ｂは前記前・後列昇降路９ａ，９
ｂの上方の地上に形成した前・後列車両乗入室
で、隔壁には車両Ｗおよび人が通行し得る大きさ
の連通口１６を開口し、前列車両乗入室１５ａの
前壁には入出庫口１７を形成し昇降可能な扉１７
ａにより封鎖可能となつている。１８は前記前・
後列車両乗入室１５ａ，１５ｂの床１９に削設し
た前後方向に細長い一連の矩形開口で、それぞれ
前記リフト１０ａ，１０ｂが上昇した際各々の台
板１３，１３に搭載せるパレツト６，６が嵌入す
る前・後列開口１８ａ，１８ｂと前記連通口１６
付近に位置し該両開口１８ａ，１８ｂを接続する
連通開口１８ｃとから成る。

２０は前記矩形開口１８に嵌入させ前後方向に
移動可能に配設した前・後列開口１８ａ，１８ｂ
の数よりも１つ少ない数の移動デツキで、前後方
向の全長を矩形開口１８の全長よりパレツト６の
全長を差引いた長さより若干短く設定し、前・後
部左・右側面に軸支した計４個の片鍔付ガイドロ
ーラ２１を前記矩形開口１８の左・右側縁に前後
方向全長に亘つて敷設した左・右２本のコ形ガイ
ドレール２２に転動自在に嵌入係合させ、該移動
デツキ２０の上面を床１９と面一に配置してあ
る。２３は前記移動デツキ２０の駆動機構で、前
記ガイドローラ２１のうち後側の左・右２個のガ
イドローラ２１，２１を同軸状に接続した被回転
軸２４と、移動デツキ２０の後部下面に据付けた
減速機およびブレーキ付可逆モータ２５と、該モ
ータ２５の出力軸端に固定した駆動スプロケツト
２６と、前記被回転軸２４の中間部に固定した被
動スプロケツト２７と、前記駆動スプロケツト２
６と被動スプロケツト２７との間に巻掛けた無端
チエン２８とから成る。

２９は前記矩形開口１８の中間位置（即ち連通
開口１８ｃ）において床１９下部に左右対向して
設けた左右１対のロツク装置で、移動デツキ２０
が前列側または後列側に移動配置された状態でロ
ツク棒２９ａを伸長し該ロツク棒の先細り先端部
を移動デツキ２０の左・右側部下面に垂設したブ
ラケツト３０の穴（図示せず）に嵌入し、移動デ
ツキ２０の前後移動を物理的に阻止してロツクす
るごとくしてある。

３１は入出庫口１７付近の壁に設置した操作盤
３１ａ付の制御装置で、駐車設備全体を総合的に
制御するものであり、前記操作盤１３ａには図示
しないが、電源スイツチ，パレツト呼び押釦（駐
車装置３ａ，３ｂに分けて各パレツト６毎に１個
の押釦），入庫状態表示ランプ，非常停止釦，警
報器等を備えている。

次に駐車設備全体の作用について説明する。

（） 初期状態 駐車設備の初期状態を以下の通りと仮定する。
即ち扉１７ａは閉じて入出庫口１７を封鎖してい
る。リフト１０ａ，１０ｂはそれぞれ前・後列昇
降路９ａ，９ｂ内の最下降位置（第１図に二点鎖
線で図示）に待機している。駐車装置３ａ，３ｂ
はいずれもパレツト６の循環移動を停止してい
る。また移動デツキ２０は、前列開口１８ａおよ
び連通開口１８ｃを封鎖した前方移動位置に停止
し、ロツク装置２９の作動によりその位置にロツ
クされている。従つて、後列開口１８ｂのみが解
放されている。

（） 後列の駐車装置３ｂに対する入出庫 以上の状態から、駐車設備管理人または車両Ｗ
運転者自身が操作盤３１ａで後列駐車装置３ｂの
所望パレツト６に対するパレツト呼び押釦を操作
すると、駐車装置３ｂのパレツト循環駆動により
所望パレツト６（入庫時は空パレツト、出庫時は
車両Ｗを搭載したパレツト）が昇降路９ｂ内に入
つた左旋回部に配置される。次いで昇降装置１４
の駆動により、リフト１０ｂは上昇し、途中で台
板１３により前記所望パレツト６を掬い上げ、該
台板１３にパレツト６（および車両Ｗ）を搭載し
た状態のまま上昇し続け、この上昇動作の最終段
階で該パレツト６が後列開口１８ｂに嵌入し、該
パレツト６の車両乗入面６ａが床１９および移動
デツキ２０と面一になつたところで停止する。

続いて、扉１７ａが開き、例えば入庫時には、
車両Ｗは入出庫口１７より前列車両乗入室１５ａ
に入つて移動デツキ２０上を通過し、さらに後列
車両乗入室１５ａに入つて前記パレツト６に乗り
込む。そこで運転者は降車し、入出庫口１７外に
退出し、その後扉１７ａが閉じる。その後、リフ
ト１０ｂがパレツト６および車両Ｗを搭載した状
態で下降し、この下降途中で該パレツト６等を駐
車装置３ｂに引き渡し、リフト１０ｂ自体は元の
最下降位置に停止する。

（） 前列の駐車装置３ａに対する入出庫 次に前述初期状態から前列駐車装置３ａへ入出
庫する操作について説明する。前述同様に、操作
盤３１ａで前列駐車装置３ａの所望パレツト６に
対するパレツト呼び押釦を操作すると、先ずロツ
ク装置２９が作動を解除され（即ち、ロツク棒２
９ａが短縮してブラケツト３０の穴から抜け出
る）、続いてモータ２５の駆動により移動デツキ
２０が後方に移動し後列開口１８ｂ及び連通開口
１８ｃを封鎖した状態で停止し、再びロツク装置
２９の作動によりロツク棒２９ａが伸長して移動
デツキ２０の前方側ブラケツト３０の穴に嵌入し
該移動デツキ２０をロツクする。これで前列開口
１８ａのみが開放された状態となる。これらの動
作の間に、駐車装置３ａのパレツト循環駆動によ
り所望パレツト６（入庫時は空パレツト、出庫時
は車両Ｗを搭載したパレツト）が昇降路９ａ内に
入つた左旋回部に配置される。そして前記移動デ
ツキ２０の移動完了と同時に、昇降装置１４の駆
動により、リフト１０ａが上昇して前記パレツト
６を掬い上げ、該パレツト６が前列開口１８ａに
嵌入したところで上昇を停止する。

続いて、扉１７ａが開き、例えば入庫時には、
車両Ｗは入出庫口１７より前列車両乗入室１５ａ
に入つてそのまま前記パレツト６に乗り込む。こ
のとき、車両Ｗの運転者が感違いしてパレツト６
上を通過し後列車両乗入室１５ｂに入つたとして
も、車両Ｗは移動デツキ２０上に乗るだけで後列
開口１８ｂから転落する恐れは全くない。運転者
が車両Ｗの乗り込みを終えて入出庫口１７外に退
出すると、扉１７ａが閉じ、次いでリフト１０ａ
が最下降位置まで下降し、その途中でリフト１０
ａに搭載のパレツト６は駐車装置３ａに引き渡さ
れる。

本発明は前述実施例以外に下記する変形もまた
可能である。

（） 前記前・後列駐車装置３ａ，３ｂは、い
ずれも円形循環式駐車装置としたが、箱形循環
式駐車装置や水平循環式駐車装置のような他の
方式の駐車装置でもよく、あるいはこれらの組
合わせでもよい。第５図は、水平循環式駐車装
置を２基並設した実施例を示す。第５図におい
て、１０３ａ，１０３ｂはそれぞれ前・後列水
平循環式駐車装置、１０６はパレツト、１０９
ａ，１０９ｂは前記駐車装置１０３ａ，１０３
ｂの左方隣接側部に形成した前・後列昇降路、
１１０ａ，１１０ｂは前・後列リフト、１１５
ａ，１１５ｂは前・後列車両乗入室、１１７は
入出庫口、１１８は前・後列昇降路１０９ａ，
１０９ｂに対する一連の矩形開口、１２０は移
動デツキである。

（） 前述実施例では昇降路を前後２列とした
が、３列以上の実施例の場合、移動デツキを列
数より１個少ない複数に分割し、各移動デツキ
の移動制御により、入出庫対象の列の開口のみ
解放し、他の列の開口をすべて封鎖する。

（） 前述実施例では、連通口１６付近の床１
９を削除して前・後列を通じた一連の矩形開口
１８を形成したが、この連通口１６付近の床１
９は移動デツキ２０が通行できる程度に表面の
み削除してもよい。

（） 前述実施例では、移動デツキ２０を床１
９と面一に矩形開口に嵌入させた状態で移動す
るようにしたが、矩形開口に嵌入させずに床１
９上を走行させるようにしてもよい。この場
合、移動デツキの前・後部に緩やかな傾斜路を
形成し各先端縁を床に近接させる。

（発明の効果） 以上説明したように、本発明の機械式駐車設備
は、駐車装置ごとに設けた昇降路，リフト，パレ
ツト嵌入用開口，および車両乗入室を車両乗入方
向に沿つた縦列に配列し、車両乗入室内の床に車
両乗入方向に移動可能に前記複数の開口の数より
も１つ少ない数の移動デツキを設けるとともに各
開口部の所定位置で移動デツキの移動をロツクす
るロツク装置を設け、該移動デツキを移動して所
定開口部の所定位置でロツクすることにより前記
開口の１つのみ選択的に解放し他のすべての開口
を封鎖するごとくしたため、車両は移動デツキ上
を通行して奥側の車両乗入室に入ることができ、
誤つて他の列の車両乗入室に進入しても移動デツ
キ上に乗るだけで開口から昇降路へ転落するとい
う不慮の事故を確実に防止できる等、複数基の駐
車装置に対し１つの入出庫口しか設けられない設
置条件の下で比較的簡単且つ安価な構成により安
全を確保できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の機械式駐車設備の概略正面
図、第２図は第１図の〜矢視拡大平面図、第
３図は第２図の〜矢視拡大断面図、第４図は
第２図同様の作用説明図、第５図は駐車装置とし
て水平循環式駐車装置を採用した本発明の別実施
例における機械式駐車設備の概略平面図である。 図中、３ａ，３ｂは駐車装置、６はパレツト、
９ａ，９ｂはそれぞれ前・後列昇降路、１０ａ，
１０ｂはリフト、１５ａ，１５ｂはそれぞれ前・
後列車両乗入室、１７は入出庫口、１８は矩形開
口、２０は移動デツキ、Ｗは車両である。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 下方の駐車空間に多数の車両搭載用パレツト
   を循環移動させて車両の格納を行う駐車装置を複
   数基設置し、該各駐車装置より上方に向つて垂直
   状に延びる昇降路を形成し、該各昇降路には前記
   駐車装置との間でパレツトの受渡しを行い該昇降
   路内の昇降するリフトを設け、前記各昇降路の上
   部は床に削設したパレツト嵌入用の矩形開口を介
   し上方の車両乗入室に連通した機械式駐車設備に
   おいて、前記複数の開口を車両乗入方向に沿つた
   縦列に形成するとともに前記車両乗入室の車両乗
   入方向に対面する壁に入出庫口を設け、前記車両
   乗入室内の床に車両乗入方向に移動可能に前記複
   数の開口の数よりも１つ少ない数の移動デツキを
   設けるとともに各開口部の所定位置で移動デツキ
   の移動をロツクするロツク装置を設け、該移動デ
   ツキを移動して所定開口部の所定位置でロツクす
   ることにより前記開口の１つのみ選択的に解放し
   他のすべての開口を封鎖するごとくしたことを特
   徴とする機械式駐車設備。