JP2593561B2 - 機械式駐車設備 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は、機械式駐車設備に関するものである。

（従来の技術） 高層ビルの地階には、この地階空間を利用した機械式
駐車設備が設けられている。この機械式駐車設備に入庫
しようとする車両は、高層ビルの一階に設けられた車両
乗入室に対して入出庫口から進入したのち、車両乗入室
の床に設けられている開口部からリフトを経由して地階
空間の所望の駐車位置に収容されていた。

（発明が解決しようとする課題） しかし、上記従来の駐車設備は地階空間が駐車スペー
スとして余すところなく利用されているが、車両乗入室
は高層ビルのなかで階高が最も大きい一階に配置されて
いる。したがって、車両乗入室の床の開口部で待機して
いるリフト上のパレットに車両が進入しても、この車両
の上方には、なお広い空間が残されている。近年、駐車
台数が漸増するに従って占有面積に余裕がない一般の駐
車設備では、収容能力の増強を図るために、このような
遊休空間の有効利用が強く望まれている。

また、もう１つの課題として、リフトが下降している
間、開口部は開放されており、何らかの理由で入出庫の
扉が開いて車両が車両乗入室に進入した場合、車両はこ
の開口部より落下するという危険性がある。

本発明の目的は、このような従来の事情から見て、車
両乗入室の上部空間を駐車スペースとして利用すること
により、収容台数の増加を図るとともに、リフトによる
車両の搬入出時以外、開口部を封鎖して安全を配慮した
機械式駐車設備を提供するにある。

（課題を解決するための手段） 本発明の機械式駐車設備は、車両搭載用パレットを昇
降させるリフトが昇降路に設けられ、この昇降路の上方
に配置された車両乗入室の床に、前記リフトの車両搭載
用パレットを搬入出させる開口部が設けられた駐車設備
において、前記開口部を封鎖し得るように配置された補
助駐車パレットを、前記リフトにおける車両搭載用パレ
ットの上昇時に、補助駐車パレット上に車両が搭載され
た状態および車両が搭載されていない状態のいずれにお
いても上方に退避させることができる補助駐車設備が設
けられていることを特徴とする。

（作用） 補助駐車パレットは常時開口部を封鎖して安全封鎖デ
ッキの役割を果たし、地階床の駐車装置が満車状態にな
ったとき、あるいは極く一時的に駐車させたいとき、車
両は補助駐車パレットに収容される。そして、地階駐車
装置に対する入出庫のためにリフトが上昇するとき、補
助駐車パレットは上昇して、車両乗入室の上部空間に退
避する。

（実施例） 〔実施例１〕 本例は第１図ないし第４図に示し、補助駐車パレット
を昇降手段により昇降可能とされたのを特徴としてい
る。

第１図に示す機械式駐車設備１は、その大半部が高層
ビル等の構築物２の地下部分に収容されている。すなわ
ち、上下二段の地階床3,4上にそれぞれ円形循環式駐車
装置5,6が設けられ、この各駐車装置5,6の一側に昇降路
７が接続されている。この昇降路７に車両搭載用パレッ
ト８を昇降させるリフト９がレール9a,9aを備えて設け
られ、昇降路７の上方に配置された車両乗入室10の床11
に、前記リフト９に載置したパレット８を搬入出させる
開口部12が設けられている。さらに、前記車両乗入室10
には、前記リフト９が下降している間開口部12に臨ませ
て該開口部を封鎖する補助駐車パレット16を昇降可能に
設けた補助駐車装置13が配置されている。14は車両乗入
室10の一側に設けた入出庫口であり、扉14aが設けられ
ている。

前記補助駐車装置13は、上述の各円形循環式駐車装置
5,6に対する入出庫操作を行わないときは、常時補助パ
レット16で開口部12を封鎖して安全を図るとともに、こ
の補助駐車パレット16への補助的な駐車を可能とし、駐
車装置5,6に対する入出庫のためにリフト９が上昇する
ときのみ、補助駐車パレット16を車両乗入室10の上部空
間Ｓに上昇退避させるものである。第２図ないし第４図
に示すように、支柱15,15、前記補助パレット16および
昇降手段17を主要部として構成される。

前記支柱15,15はそれぞれＩ形鋼等により縦部15aの上
端部に横部15bを接続してＬ字状に形成されたもので、
間隔をおいて立設されている。さらに、各縦部15a,15a
の対向する側には、それぞれ補助パレット16昇降用のガ
イド溝18が形成されている。

前記補助パレット16は、車両乗入室10の開口部12に進
入可能な大きさに形成されるとともに、補助パレット16
の端縁部の両側から支柱15,15側に突出させた支持アー
ム19,19の一端（第２図で右端）部に、前記ガイド溝18,
18の内部を回転して移動できるローラ20,20が設けられ
ている。

前記昇降手段17は補助パレット16上の車両Ｖを、前記
開口部12での乗入，乗出位置と、車両乗入室10の上部空
間Ｓとの間で昇降させるためのもので、ブレーキ付き可
逆モータ21、伝動機構22,22、共通軸23、懸吊用チェー
ン24,24および中継用スプロケット25,25、26,26、27,27
で構成される。

前記ブレーキ付き可逆モータ21は支持縦部15a,15aの
上端部に固定されている。

前記伝動機構22,22は、それぞれブレーキ付き可逆モ
ータ21の出力軸に固定した駆動側スプロケット28と、前
記共通軸23に固定した従動側スプロケット29と、この両
スプロケット28,29に巻き掛けた無端状の伝動チェーン3
0とからなっている。

前記共通軸23は、その両端部が軸受31,31を介して支
柱15,15の上端に取付けられている。

前記懸吊用チェーン24は、基端部が前記補助パレット
16の支持アーム19の基端部に固定され、先端部が補助パ
レット16の中間部に固定されるとともに、懸吊用チェー
ン24の中間部は、支柱縦部15a,共通軸23および支柱横部
15bに取付けた前記中継用スプロケット25,26および27に
巻き掛けられている。

32は補助部材で、必要により支柱横部15bが車両乗入
室10の天井10aに連結して固定される。

なお、上述の補助駐車装置13には、たとえば懸吊用チ
ェーン24が切断するというような不測の事態に備えて、
補助パレット16を拘束する公知の落下防止装置（図示省
略）が設けられる。

次に、上記実施例１の作用について説明する。

常時、補助駐車装置13の補助パレット16は、開口部12
を封鎖した下降位置にあって安全封鎖デッキの役割を果
たしている。この補助パレット16は、空のままでもよい
し、また車両を搭載してもよい。

そして、例えば車両Ｖの出庫指令を受けると、先ず、
補助駐車装置13のモータ21の駆動により、補助駐車パレ
ット16が上昇して車両乗入室10の上部空間Ｓに退避し、
開口部12を開放する。一方、昇降路７の下端部に位置し
ているリフト９は、たとえば、下段の円形循環式駐車装
置６から送り出される出庫所望のパレット８を受け取っ
たのち上昇駆動で昇降路７を上昇し、車両乗入室10の開
口部12にパレット８を搬入して停止する。

そして、入出庫口14の扉14aが開き、運転者は車両乗
入室10に入ってパレット８上の車両Ｖに乗り込み、車両
Ｖを運転して入出庫口14から退出する。この出庫動作を
完了すると、扉14aが再び閉じ、リフト９は空のパレッ
ト８を搭載したまま下降し、駐車装置６に空のパレット
８を引き渡す。その後、前記モータ21の逆転駆動により
補助駐車パレット16を下降し開口部12を封鎖する。

〔実施例２〕 本例は第５図ないし第８図に示し、補助駐車装置がリ
フトの昇降動作に追随させることにより開口部に対して
昇降可能とされたのを特徴としている。

第５図に示す機械式駐車設備51は、実施例１の場合と
同様の円形循環式駐車装置5,6と、リフト９と、補助駐
車装置52とで構成されている。なお、実施例１と同じ構
成部分の符号は、そのまま用いて説明を省略する。

前記円形循環式駐車装置5,6およびリフト９に受け渡
しされる車両搭載用パレット53は、その両側の立上り床
部53a,53aの四隅部に第７図に示す嵌合孔54…が設けら
れている。

前記補助駐車装置52は、前記パレット53と同じ形状に
形成された補助駐車パレット55と、この補助駐車パレッ
ト55の四隅部下面から外方に突出させたストッパ56…
と、このストッパ56…および補助駐車パレット55の下面
に上側折曲げ部57aが固着された四本の垂下体57…と、
前記パレット53の嵌合孔54…に嵌合するように各垂下体
57…の下側折曲げ部57bから下方に突出された嵌合ピン5
8…とで構成されている。また各垂下体57…の車長方向
で対向する側には、第８図に示すような三角形の補強材
59…が設けられている。

次に、上記実施例２の作用について説明する。

補助駐車装置52は、常時、補助駐車パレット55を第６
図および第８図の実線位置に下降してストッパ56…が車
両乗入室10の床11に乗架しているから、開口部12が補助
駐車パレット55で閉塞されている。各円形循環式駐車装
置5,6がいずれも満車状態の場合あるいは満車状態に限
らず必要に応じて補助駐車パレット55上に車両Ｖを駐車
させることができる。

いまもし、各円形循環式駐車装置5,6のいずれかに駐
車している車両Ｖを出庫させるときは、この出庫車両Ｖ
をパレット53ごとリフト９上に載置して、リフト９の上
昇駆動で昇降路７を上昇してパレット53の嵌合孔54…に
垂下体57の嵌合ピン58…を挿入させてパレット53を垂下
体57に連結させ（第６図および第８図に実線で示す）た
のち、さらに、リフト９の上昇駆動によりパレット53,
出庫車両V,補助駐車パレット55等を一体的に上昇させ、
パレット53を開口部12に搬入させて停止する。尚、補助
駐車パレット55上に他の車両Ｖ′が搭載されているとき
は、このリフト９の上昇動作により車両Ｖ′が車両乗入
室10の上部空間Ｓに移動して一時的に退避されることに
なる（第５図参照）。

そして、入出庫口14の扉14aが開き、運転者がパレッ
ト53上車両Ｖに乗込んで運転し入出庫口14を経て退出す
る。

第９図および第10図に示す補助駐車装置61は、前記補
助駐車装置52を多層形に形成したもので、長尺の垂下体
62…の上側折曲げ部62aに上段補助駐車パレット63とス
トッパ64…とが固定されるとともに、垂下体62…の中間
部に中段補助駐車パレット65が設けられ、この中段補助
駐車パレット65の下側に補強連結材66が設けられてい
る。また、垂下体62の下側折曲げ部62bには、前記パレ
ット53の嵌合孔54に嵌合可能な嵌合ピン67…が設けられ
ている。

前記補助駐車装置61はリフト９に載置したパレット53
を前記垂下体62に連結することにより、三段のパレット
はリフト９の昇降駆動で同時に昇降させることができ
る。

一方、リフト９に嵌合孔68…を設けておけば、パレッ
ト53を載置していない空のリフト９の上昇駆動で垂下体
62の嵌合ピン67…がリフト９の嵌合孔68…に嵌合して上
段補助駐車パレット63および中段補助パレット65は一体
的に上昇させることができる。

なお、上述の各実施例における補助駐車装置13,52,61
は、リフトを備えた箱形循環式駐車装置および水平循環
式駐車装置にも適用することも可能である。

（発明の効果） 本発明の機械式駐車設備は、車両搭載用パレットを昇
降させるリフトが昇降路に設けられ、この昇降路の上方
に配置された車両乗入室の床に、前記リフトの車両搭載
用パレットを搬入出させる開口部が設けられた駐車設備
において、前記開口部を封鎖し得るように配置された補
助駐車パレットを、前記リフトにおける車両搭載用パレ
ットの上昇時に、補助駐車パレット上に車両が搭載され
た状態および車両が搭載されていない状態のいずれにお
いても上方に退避させることができる補助駐車設備が設
けられていることを特徴とするものであるから、前記昇
降路に接続された他階床に配置されている循環式駐車装
置が満車状態となったとき等必要に応じて補助駐車パレ
ットに車両を駐車させることができ、これにより、収容
台数が増加されるだけでなく、リフトが下降している
間、即ち他階駐車装置に対する入出庫操作を休止してい
る間、補助駐車パレットが、常に車両乗入室の床の開口
部を閉塞しているので、前記入出庫操作の休止中、誤っ
て人あるいは車両が車両乗入室に進入して開口部より落
下するという事故も回避でき、安全性が著しく向上する
という優れた利点がある。

【図面の簡単な説明】

図面は本発明の各実施例を示すもので、第１図は実施例
１における機械式駐車設備の中央縦断面図、第２図は実
施例１における補助駐車装置の側面図、第３図は第２図
のIII−III線で見た正面図、第４図は第３図のIV−IV線
で見た断面の拡大図、第５図は実施例２における機械式
駐車設備の中央縦断面図、第６図は実施例２における補
助駐車装置の正面図、第７図は第６図のVII部を一部断
面にして示す拡大図、第８図は第６図の側面図、第９図
は他の実施例を示す補助駐車装置の正面図、第10図は第
９図のＸ部を一部断面にして示す拡大図である。 1,51……機械式駐車設備 5,6……円形循環式駐車装置 ７……昇降路 8,53……パレット ９……リフト 10……車両乗入室 11……床 16,55……補助駐車パレット 12……開口部 13,52,61……補助駐車装置 Ｖ……車両 Ｓ……上部空間

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】車両搭載用パレットを昇降させるリフトが
   昇降路に設けられ、この昇降路の上方に配置された車両
   乗入室の床に、前記リフトの車両搭載用パレットを搬入
   出させる開口部が設けられた駐車設備において、前記開
   口部を封鎖し得るように配置された補助駐車パレット
   を、前記リフトにおける車両搭載用パレットの上昇時
   に、補助駐車パレット上に車両が搭載された状態および
   車両が搭載されていない状態のいずれにおいても上方に
   退避させることができる補助駐車設備が設けられている
   ことを特徴とする機械式駐車設備。