JPH05264677A - 誘導電動機のベクトル制御装置 - Google Patents

誘導電動機のベクトル制御装置

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JPH05264677A
JPH05264677A JP6373092A JP6373092A JPH05264677A JP H05264677 A JPH05264677 A JP H05264677A JP 6373092 A JP6373092 A JP 6373092A JP 6373092 A JP6373092 A JP 6373092A JP H05264677 A JPH05264677 A JP H05264677A
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Yoichi Yamamoto
陽一 山本
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継利 大谷
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 誘導電動機のモータ定数である、一次抵抗と
漏れインダクタンスの測定および設定を精度よく自動的
に行う。 【構成】 磁束演算部116が、誘導電動機が機械的停
止状態にあるとき、予め求められた二次回路時定数の補
償を行うとともに、誘導電動機に印加された電流、電圧
から演算した電動機磁束ベクトルと電流モデル磁束ベク
トルとの位相が等しくなるまで誘導電動機の漏れインダ
クタンス補償値を変化させる第1補償回路と、前記電動
機磁束ベクトルの振幅値と磁束指令演算部103が生成
した電流モデル磁束ベクトルの振幅値とが等しくなるま
で前記誘導電動機の一次抵抗補償値を変化させる第2補
償回路とを備えている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は誘導電動機のベクトル制
御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】誘導電動機の可変速制御として応答性と
精度の両者に優れたすべり周波数制御方式が知られてお
り、特に電動機の一次電流を励磁電流とトルク電流とに
分けて制御し、二次磁束とトルク電流を常に直交するよ
うに制御することで直流電動機と同等の応答性を得るこ
とのできるベクトル制御方式が実施され、近年、速度セ
ンサを除去し、単純化と耐環境性の向上が図られてい
る。
【0003】通常、図4に示されているように、交流電
源を直流に変換するダイオードとコンデンサからなるコ
ンバータ(変換器)部とU,V,Wの各相の電流制御器
出力の電圧指令をサイリスタやIGBT等のスイッチン
グ素子を用いてPWM信号に変調し、交流電圧を発生す
るインバータ(逆変換)部からなる電圧形PWMインバ
ータ401、誘導電動機402、U,V,Wの各相に流
れる電流を検出する電流検出器406,407,40
8,U,V,Wのそれぞれの相間の電圧を検出する電圧
検出器405、ベクトル制御を行うベクトル制御装置お
よび指令発生器404からなる。
【0004】ベクトル制御装置403について図5を参
照して説明する。
【0005】図5は、従来のベクトル制御装置のブロッ
ク図である。
【0006】このベクトル制御装置403は、係数器5
09、積分器512、位相θ1 * を入力としexp(j
θ1 *)つまり、cosθ1 *+jsinθ1 *を発生する関
数発生器513、磁束ベクトルの方向(以下、「d軸」
と称す。)とそれに直交する方向(以下、「q軸」と称
す。)に成分を持つベクトルを、U,V,W相のお互い
120度の位相差を持つ方向の成分に変換する二相/三
相変換器506、d軸成分αとq軸成分βに対する
【0007】
【数1】 のベクトル、つまり、振幅
【0008】
【数2】 、位相tan-1(β/α)を演算するベクトル演算器5
04、ベクトル
【0009】
【外1】 とexp(jθ1 * )を入力とし位相をθ1 *+tan-1
(β/α)とするベクトル回転器505、また、励磁電
流指令Iψ* をd軸成分に持ち、q軸成分は零であるベ
クトルをつくるベクトル演算器511、このベクトルと
exp(jθ1 *)から振幅Iψ* 、位相をθ1 *とする励
磁電流指令ベクトル
【0010】
【外2】 を作成するベクトル回転器514、電圧検出器405か
ら得られた一次電圧ベクトル
【0011】
【外3】 、および電流検出器406,407,408から得られ
た一次電流ベクトル
【0012】
【外4】 により磁束を検出する磁束演算部516、該磁束演算部
516で得られる二次鎖交磁束ベクトル
【0013】
【外5】 と電流モデル磁束ベクトル
【0014】
【外6】 の位相偏差δを求める位相比較器515、その位相偏差
δが“0”になるように比例・積分制御(以下、「PI
制御」と略記する。)する位相制御器510、回転子電
気角速度(以下、単に「速度」と略記する。)の大きさ
により弱め磁界を行う磁束指令演算部503、除算器5
02,508、指令発生器404から指令されて速度指
令ωr *と速度推定値
【0015】
【外7】 の偏差を“0”にするために設けられたPI制御を行う
速度制御器501、磁束指令ψ2 *と検出された磁束ψ2
の磁束偏差(Δψ2 )を“0”にするために設けられた
I制御を行う磁束制御器507,U,V,Wの各相毎に
一次電流の指令値と検出値の偏差を“0”にするように
設けられたP制御を行う電流制御器517,518,5
19からなる。トルク電流指令Iτ* は、速度制御器5
01の出力であるトルク指令T* を磁束指令演算部50
3の出力である磁束指令ψ2 *で除算し、励磁電流指令I
ψ* は、磁束制御器507の出力と磁束指令ψ2 *と係数
器520の積の和として求められる。また、速度の推定
【0016】
【外8】 は、位相制御器510の出力で与えられる。
【0017】次に動作について説明する。
【0018】誘導電動機402の電圧、電流の関係は、
静止座標系において(1)式で表わされる。
【0019】
【数3】 R:毎相の抵抗 L1 ,M:自己および相互インダクタンス l:全漏れインダクタンス(=L1−M) ωr :速度 p:微分演算子 添字12 :一次および二次 ここで、回路定数は図6に示す非対称T形等価回路での
定数である。
【0020】また、電動機磁束ベクトル
【0021】
【外9】 励磁電流ベクトル
【0022】
【外10】 については(2),(3)式で示される。
【0023】
【数4】 (1)式は、(2),(3)式を用いて(4),(5)
式に展開される。
【0024】
【数5】 次に、磁束の回転座標上で考えると、一次電流
【0025】
【外11】 ,二次電流
【0026】
【外12】 は、(6),(7)式で表わされる。
【0027】
【数6】 となる。(6)式のうち、Iψ+jIτに対応する指令
の演算はベクトル演算器504、
【0028】
【外13】 は関数発生器513により演算され、この二つの要素か
らベクトル回転器505の出力として(6)式に対応す
る一次電流指令
【0029】
【外14】 が求められる。
【0030】また、トルク電流指令Iτ* と滑り角速度
指令ωs *は次の(8)式の関係にあり、 ωs *=R2 *・Iτ* /ψ2 ・・・ (8) 除算器508および係数器509を用いて演算され、磁
束ベクトルの角度θψは(9)式により、
【0031】
【数7】 位相制御器510の出力である速度推定値
【0032】
【外15】 と(8)式で求められた滑り速度指令ωs *の和を積分器
512により積分することで求められる。
【0033】ベクトル回転器505の出力値である一次
電流指令
【0034】
【外16】 は二相/三相変換器506によりU,V,W相に変換さ
れ電流検出器406,407,408で検出された各相
の電流検出値とのそれぞれの差を電流制御器517,5
18,519に入力し、P制御された結果を電圧形PW
Mインバータ401への電圧指令値として出力する。電
圧形PWMインバータ401ではその値をPWM信号に
変調し、誘導電動機402へ出力する。また、U,V,
W相の各相間の電圧は、電圧検出器405により検出さ
れ、一次電流検出値とともに磁束演算部516の入力と
なる。
【0035】次に、磁束演算部516の動作を説明す
る。
【0036】(2),(5)式により一次電流
【0037】
【外17】 に対する電流モデル磁束式(10)式が導かれ、速度ω
r を速度推定値
【0038】
【外18】 に置き換えると(11)式に変形される。
【0039】
【数8】 また、(4)式により誘導電動機402の電圧、電流を
基にした電動機磁束式(12)式が導かれる。
【0040】
【数9】 (12)式は積分演算のためドリフトや一次抵抗値誤差
が低速で拡大されたり、磁束ベクトルの初期位置を確定
できない等、演算手法に関する問題、また、電動機一次
パラメータの補償誤差が磁束演算値に含まれる問題があ
るため、磁束演算部516は図7(a)の構成となって
いる。一次電流
【0041】
【外19】 、電圧
【0042】
【外20】 と磁束指令ベクトル
【0043】
【外21】 を入力し、(12)式の電動機モデル磁束の積分要素を
一次遅れ要素{1/(p+1/TL *)}701に置き換
え、その出力と電流モデル磁束ψ2 iに遅れ要素{(1/
L *)/(p+1/TL *)}704を施したものとの和
を磁束検出ベクトル
【0044】
【外22】 として求めている。これは、(13)式で表現される図
7(b)と等価である。
【0045】
【数10】 また、振幅演算部705では、
【0046】
【数11】 の演算が行われ、その結果を磁束検出値ψ2 として、電
流モデル磁束ベクトル
【0047】
【外23】 、磁束検出ベクトル
【0048】
【外24】 と共に出力する。702は、一次抵抗R1 *および漏れイ
ンダクタンスl* を補償する補償回路、703は係数器
(係数値:M* )である。
【0049】以上のようにしてPGレスでのベクトル制
御が行われるため、制御対象となる誘導電動機のモータ
定数(例えば一次、二次抵抗、漏れインダクタンス、二
次回路時定数)から演算によって、速度、磁束、滑り角
速度等を求める必要があり、従来は、誘導電動機の設計
値あるいは測定値によるモータ定数を用いて演算を行っ
ていた。
【0050】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た従来技術では、誘導電動機の設計値からの演算や測定
に手間がかかるだけでなく精度のよい測定が難しいとい
う問題点がある。
【0051】本発明は、上記従来の技術に鑑みてなされ
たもので、誘導電動機のモータ定数である、一次抵抗と
漏れインダクタンスの測定および設定を精度よく自動的
に行うことのできる、誘導電動機のベクトル制御装置を
提供することを目的としている。
【0052】
【課題を解決するための手段】本発明は、誘導電動機の
駆動電源であるインバータへ供給する、所定の周波数お
よび位相の交流電流を発生する変換器と、前記誘導電動
機に印加された電流、電圧から電動機磁束および電流モ
デル磁束を演算する磁束演算部と、前記電動機磁束ベク
トルと電流モデル磁束ベクトルとの位相差を求める位相
比較部と、該位相比較部が求めた位相差から前記誘導電
動機の回転子電気角速度の推定値を求める位相制御部
と、該位相制御部が求めた回転子電気角速度の推定値に
基づいて磁束指令値を生成する磁束指令演算部と、該磁
束指令演算部が生成した磁束指令値と前記磁束演算部が
演算した電動機磁束ベクトルの振幅値との磁束偏差に応
じて励磁電流指令を生成する磁束制御部と、外部から供
給される回転子電気角速度指令値と前記位相制御部が求
めた回転子電気角速度の推定値と前記磁束指令演算部が
生成した磁束指令値とからトルク電流指令値を生成する
速度制御部とを有する、誘導電動機のベクトル制御装置
において、前記誘導電動機が機械的停止状態にあると
き、予め求められた二次回路時定数の補償を行うととも
に、前記電動機磁束ベクトルと電流モデル磁束ベクトル
との位相が等しくなるまで前記誘導電動機の漏れインダ
クタンス補償値を変化させる第1補償回路と、前記誘導
電動機が機械的停止状態にあるとき、前記電動機磁束ベ
クトルの振幅値と前記電流モデル磁束ベクトルの振幅値
とが等しくなるまで、前記誘導電動機の一次抵抗補償値
を変化させる第2補償回路とを有するものであり、前記
位相比較部が求めた、電動機磁束ベクトルと電流モデル
磁束ベクトルとの位相差を零と比較する第1コンパレー
タと、電動機磁束ベクトルと電流モデル磁束ベクトルと
の振幅偏差を零と比較する第2コンパレータとを備え、
前記第1補償回路は、前記第1コンパレータの比較の結
果前記位相差が零と等しくなるまで誘導電動機の漏れイ
ンダクタンス補償値を変化させ、前記第2補償回路は、
前記第2コンパレータの比較の結果前記振幅偏差が零と
等しくなるまで、前記誘導電動機の一次抵抗補償値を変
化させるものがある。
【0053】
【作用】前述の従来の技術で示した式(13)は式(1
4)のように展開される。
【0054】
【数12】 第1項は磁束真値、第2項は磁束の指令値と真値の偏差
成分、第3項は一次抵抗の誤差成分、第4項は漏れイン
ダクタンスの誤差成分である。
【0055】いま、磁束実際値ψ、磁束演算値ψC をd
軸成分、q軸成分に分けて(15)式のように置く。
【0056】
【数13】 ただし、添字R,I: d軸成分、q軸成分 ψR C,ψI Cはそれぞれ(16),(17)式で表わされ
る。
【0057】
【数14】 磁束の実際値と指令値は等しいとして、ψI =0,ψR
=ψ* とすると、(16),(17)式は(18),
(19)式となり、磁束の位相誤差δ0 は(20)式で
表わされるので、d軸成分ψI Cより位相、q軸成分ψR C
より振幅の誤差を知ることができる。
【0058】
【数15】 よって、交流電流指令を与えれば、機械的静止状態のと
きはω=ωs *であるので、(18)(19)式で、二次
回路時定数が予め正確に補償され、TL =T2であれ
ば、ωTL =Iτ*/Iψ*が成立し、 ψR C=ψ2 *・(1+△R1/R2) ・・・(20) ψI C=△l・Iτ* ・・・(21) に変形される。
【0059】よって、ψR C=ψ2 *にする条件は△R1
0よりR1 *=R1 ,ψI C=0にする条件は△l=0より
* =lとなり、一次抵抗R1 、漏れインダクタンスl
の測定ができる。
【0060】
【実施例】次に、本発明の実施例について図面を参照し
て説明する。
【0061】図1は本発明の、誘導電動機のベクトル制
御装置の一実施例を示すブロック図である。
【0062】本実施例のベクトル制御装置は、前述の図
4に示したような、指令発生器、電圧形PWMインバー
タ、電圧検出器および電流検出器を備えたPGレスシス
テムに用いられるものである。
【0063】本実施例のベクトル制御装置の場合も、前
述した従来のベクトル制御装置(図5参照)と同様に、
速度制御器101と2つの除算器102,108と磁束
指令演算部103と2つのベクトル演算器104,11
1と2つのベクトル回転器105,114と二相/三相
変換器106と磁束制御器107と係数器109,12
0と位相制御器110と積分器112と関数発生器11
3と位相比較器115と磁束演算器116と3つの電流
制御器117,118,119とを備えている。
【0064】本実施例のベクトル制御装置と前述した従
来のベクトル制御装置との異なる点は、本実施例の磁束
制御器107が前記指令発生器から発せられるチューニ
ング指令信号により、出力を、∫Δψ2 dtと零とに切
替え可能にした点と、磁束演算部116が、前記磁束制
御器107で演算した電動機磁束ベクトルと電流モデル
磁束ベクトルの振幅偏差(Δψ2 ’)により、当該磁束
演算部116内に備えられている一次抵抗および漏れイ
ンダクタンスを補償する補償回路301(図3参照)の
一次抵抗R1 *と、位相比較器110の出力である位相偏
差δにより、前記補償回路301の漏れインダクタンス
* を変更可能にした点である。
【0065】また、本実施例のベクトル制御装置におけ
る磁束制御器107は、図2に示すように、積分器20
1と、前記チューニング指令信号によって切替え制御さ
れる2つのスイッチ202,203とを備えている。
【0066】前記スイッチ202,203は、通常、コ
モン端子と端子とが接点を介して接続され、前記チ
ューニング指令信号によって端子側への接続切替えが
なされる。スイッチ202,203の端子は、いずれ
も接地されており、前記接点の切替えが行われると、前
記積分器201がクリアされるとともに、磁束制御器1
07の出力端は接地レベル“0”となる。
【0067】本実施例では、通常の磁束制御動作時以外
の、誘導電動機のロック時等に、前記指令発生器から前
記チューニング指令信号を発生させて、前記スイッチ2
02,203の切替えを行う。これにより、通常の磁束
制御動作時には入力信号Δψ 2 に応じた積分出力∫Δψ
2 dtが出力され、それ以外のときの出力は接地レベル
“0”となる。
【0068】つづいて、本実施例のベクトル制御装置の
磁束演算部116について図3を参照して説明する。
【0069】本実施例の磁束演算部116は、前述した
従来の磁束演算部(図7(b)参照)と同様な、一次抵
抗R1 *および漏れインダクタンスl* を補償する補償回
路301と係数器(係数値:M* )302と係数器(係
数値:1/TL * )303と積分器304と振幅演算部
305とを備えるとともに、前記補償回路301の漏れ
インダクタンスl* の補償値を変化させるためのコンパ
レータ306と、前記補償回路301のR1 *の補償値を
変化させるためのコンパレータ307と電流モデル磁束
ベクトル
【0070】
【外25】 の振幅を演算する振幅演算部308と前記振幅演算部3
05と308の差△ψ2’をとる機能を有している。
【0071】前記補償回路301は、補償対象である一
次抵抗R1 *と漏れインダクタンスl * の補償値が可変で
あり、電動機磁束ベクトルと電流モデル磁束ベクトルの
振幅偏差△ψ2 ’が“0”になるまで、前記一次抵抗R
1 *の値を、また前記位相比較器115の出力である位相
偏差δが“0”になるまで漏れインダクタンスl* の値
を徐々に変化させる。
【0072】前記コンパレータ307は、前記振幅偏差
△ψ2’が“0”であるか否かを、前記コンパレータ3
06は前記位相偏差δが“0”であるか否かを調べてお
り、その出力は共に、前記補償回路301に接続されて
いる。
【0073】次に、本実施例の動作について説明する。
【0074】まず、誘導電動機を機械的にロックし、前
記指令発生器からのチューニング指令信号により、磁束
制御器107のスイッチ202,203について端子
への接続切替えがなされ、磁束制御の機能を殺す。
【0075】一方、前述した振幅偏差Δψ2 ’と“0”
の比較を、該磁束演算部116内のコンパレータ307
で行い、その結果、振幅偏差Δψ2 ’が“0”でなけれ
ば補償回路301の一次抵抗R1 *の値を変更すると共
に、磁束演算部116に入力された位相偏差δと“0”
の比較を、該磁束演算部116内のコンパレータ306
で行い、その結果、位相偏差δが“0”でなければ補償
回路301の漏れインダクタンスl* の値を変更する。
さらに、振幅偏差△ψ2’、位相偏差δが“0”になる
と、チューニング動作は完了し、その旨を前記指令発生
器へ知らせ、該指令発生器はチューニング指令信号の出
力を停止する。これにより、磁束制御器107のスイッ
チ202,203の接点は共に端子から端子への接
続へ戻され、通常の磁束制御の機能を行わせるようにす
る。
【0076】以上の動作により、一次抵抗R1 を補償回
路301の比例項の値として、漏れインダクタンスlを
補償回路301の微分項の値として自動測定および設定
することができる。
【0077】また、漏れインダクタンスlは、トルク電
流Iτの関数であり、トルク電流指令Iτ*の変化に対
して、△lの修正値も得ることもできる。
【0078】また、本実施例において、磁束演算部11
6を図7(b)に示した従来の磁束演算部と類似の構成
としたが、図7(a)に示す演算部のような構成のもの
についても同様に適用できる。
【0079】さらに本実施例では、電動機磁束ベクトル
と電流モデル磁束ベクトルの振幅と位相を比較する構成
について述べたが、制御電流源形を用いてベクトル制御
されていれば
【0080】
【外26】 となるので、電動機磁束ベクトルと磁束指令ベクトルの
位相と振幅を比較しても同様に適用できる。
【0081】また、本実施例では電動機速度の推定値を
位相比較器、位相制御器で求める構成について述べた
が、磁束演算部で電動機のトルク電流を演算し、トルク
電流指令との偏差を用いて電動機速度の推定値を求める
等の別の構成でも、別に位相比較器を設ければ同様に適
用できる。
【0082】さらに、上述の実施例では、PGレスでの
ベクトル制御で説明を行ったがPG付きの場合でも同様
に適用できる。
【0083】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、誘
導電動機が停止状態にあるとき、該誘導電動機の二次回
路時定数を補償するとともに、電動機磁束ベクトルと電
流モデル磁束ベクトルの位相と振幅が等しくなるまで前
記誘導電動機の漏れインダクタンスと一次抵抗の補償値
をそれぞれ変化させることで、前記漏れインダクタンス
および一次抵抗の補償値が自動的に設定されるので、手
間のかかる誘導電動機のモータ定数の設定が高精度に、
しかも簡単に行え、ひいてはPGレスのベクトル制御で
の静・動特性等の制御精度を向上させることができると
いう効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の、誘導電動機のベクトル制御装置の一
実施例を示すブロック図である。
【図2】本発明の、誘導電動機のベクトル制御装置にお
ける磁束制御器の一例を示すブロック図である。
【図3】本発明の、誘導電動機のベクトル制御装置にお
ける磁束演算部の一例を示すブロック図である。
【図4】従来のPGレスシステムの一例を示すブロック
図である。
【図5】従来のPGレスシステムにおけるベクトル制御
装置の一例を示すブロック図である。
【図6】誘導電動機の非対称T形等価回路の一例を示す
回路図である。
【図7】従来のベクトル制御装置における磁束演算部の
例を示すものであり、(a)は一次遅れ回路を有する構
成の一例を示すブロック図、(b)は積分器を有する構
成の一例を示すブロック図である。
【符号の説明】
101 速度制御器 102,108 除算器 103 磁束指令演算器 104,111 ベクトル演算器 105,114 ベクトル回転器 106 二相/三相変換器 107 磁束制御器 109,120,302,303 係数器 110 位相制御器 112,210,304 積分器 113 関数発生器 115 位相比較器 116 磁束演算器 117,118,119 電流制御器 202,203 スイッチ 301 補償回路 305,308 振幅演算部 306,307 コンパレータ

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 誘導電動機の駆動電源であるインバータ
    へ供給する、所定の周波数および位相の交流電流を発生
    する変換器と、 前記誘導電動機に印加された電流、電圧から電動機磁束
    および電流モデル磁束を演算する磁束演算部と、 前記電動機磁束ベクトルと電流モデル磁束ベクトルとの
    位相差を求める位相比較部と、 該位相比較部が求めた位相差から前記誘導電動機の回転
    子電気角速度の推定値を求める位相制御部と、 該位相制御部が求めた回転子電気角速度の推定値に基づ
    いて磁束指令値を生成する磁束指令演算部と、 該磁束指令演算部が生成した磁束指令値と前記磁束演算
    部が演算した電動機磁束ベクトルの振幅値との磁束偏差
    に応じて励磁電流指令を生成する磁束制御部と、 外部から供給される回転子電気角速度指令値と前記位相
    制御部が求めた回転子電気角速度の推定値と前記磁束指
    令演算部が生成した磁束指令値とからトルク電流指令値
    を生成する速度制御部とを有する、誘導電動機のベクト
    ル制御装置において、 前記誘導電動機が機械的停止状態にあるとき、予め求め
    られた二次回路時定数の補償を行うとともに、前記電動
    機磁束ベクトルと電流モデル磁束ベクトルとの位相が等
    しくなるまで前記誘導電動機の漏れインダクタンス補償
    値を変化させる第1補償回路と、 前記誘導電動機が機械的停止状態にあるとき、前記電動
    機磁束ベクトルの振幅値と前記電流モデル磁束ベクトル
    の振幅値とが等しくなるまで、前記誘導電動機の一次抵
    抗補償値を変化させる第2補償回路とを有することを特
    徴とする、誘導電動機のベクトル制御装置。
  2. 【請求項2】 位相比較部が求めた、電動機磁束ベクト
    ルと電流モデル磁束ベクトルとの位相差を零と比較する
    第1コンパレータと、 電動機磁束ベクトルと電流モデル磁束ベクトルとの振幅
    偏差を零と比較する第2コンパレータとを備え、 第1補償回路は、前記第1コンパレータの比較の結果前
    記位相差が零と等しくなるまで誘導電動機の漏れインダ
    クタンス補償値を変化させ、 第2補償回路は、前記第2コンパレータの比較の結果前
    記振幅偏差が零と等しくなるまで、前記誘導電動機の一
    次抵抗補償値を変化させることを特徴とする請求項1記
    載の誘導電動機のベクトル制御装置。
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JP2007159208A (ja) * 2005-12-02 2007-06-21 Toyo Electric Mfg Co Ltd 誘導機制御装置

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