JP2654547B2 - 誘導電動機の制御装置 - Google Patents

誘導電動機の制御装置

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JP2654547B2
JP2654547B2 JP62121160A JP12116087A JP2654547B2 JP 2654547 B2 JP2654547 B2 JP 2654547B2 JP 62121160 A JP62121160 A JP 62121160A JP 12116087 A JP12116087 A JP 12116087A JP 2654547 B2 JP2654547 B2 JP 2654547B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] この発明は、誘導電動機の制御装置、特にベクトル制
御方式を適用して誘導電動機の磁束とトルクを制御する
装置に関するものである。
[従来の技術] 従来、この種の制御装置として第9図に示すものがあ
った。この制御装置の構成は、例えば文献(ニュードラ
イブエレクトロニクス、電気書院発行、昭和57年)の第
6章に示されている。図において、(1)は誘導電動
機、(2)は誘導電動機(1)の回転速度を検出する回
転検出器、(3)は誘導電動機(1)の1次電流を検出
する電流検出器、(4)は誘導電動機(1)を可変周波
数で駆動する可変周波数電力変換装置、(5)は2次磁
束指令値Φ2を発生する磁束指令発生器、(6)はト
ルク指令値τ を発生するトルク指令発生器である。
(21)は2次磁束指令値Φ2とトルク指令値τ
を入力し、後述の演算により誘導電動機(1)の励磁電
流成分指令値Iαsとトルク電流成分指令値Iβs
を発生する電流成分指令発生回路、(22)は2次磁束指
令値Φ2と誘導電動機(1)の回転速度ωと電流成
分指令発生回路(21)の出力とを入力し、後述の演算に
より誘導電動機(1)に供給すべき1次電流の指令値を
発生する1次電流指令発生回路、(23)は1次電流指令
発生回路(22)の出力と電流検出器(3)の出力から可
変周波数電力変換装置(4)への制御信号を発生する電
流制御回路である。
ここで、電流成分指令発生回路(21)では次式の演算
が行なわれる。
但し、T2=L2/R2;2次定数 R2、L2、Mはそれぞれ誘導電動機(1)の2次抵抗、
2次自己インダクタンス、1次2次相互インダクタンス
である。Pmは極対数であり、pは微分演算子である。
次に、1次電流指令発生回路(22)では次式の演算が
行なわれる。
θ =∫(ω+ω)dt ……(4) Ius=Iαs cosθ −Iβs sinθ ……
(5) 但し、ωs;すべり周波数、ωr;回転速度 Ius、Ivs;u相巻線及びv相巻線の1次電流指令値 次に、電流制御回路(23)では、1次電流指令値Ius
、Ivsが、電流検出器(3)から出力される1次電
流実際値Ius、Ivsとそれぞれ比較され、1次電流指令値
波形と実際の電流波形とが一致するように可変周波数電
力変換装置(4)への制御信号が演算される。このと
き、w相巻線を流れる1次電流については電流制御回路
(23)中で次式の関係式を用いて、Iws、Iwsが演算さ
れ、Ius、Ivsと同様に制御される。
Iws=−(Ius+Ivs) ……(7) Iws=−(Ius+Ivs) ……(8) 以上の(1)〜(7)の関係式に従って1次電流指令
値Ius、Ivs、Iwsを演算し、更に実際の1次電流I
us、Ivs、Iwsが対応する指令値に追従するように制御す
るベクトル制御方式により、誘導電動機(1)の発生ト
ルクτと磁束Φ2とをそれぞれの指令値に応じて制御
できることが知られている。
ところで、このベクトル制御方式では、(3)式によ
ってすべり周波数ωを演算するために、誘導電動機
(1)の2次抵抗R2の値が必要である。しかし、2次抵
抗R2の値は温度によって変化するので、1次電流指令発
生回路(22)中のR2の値を何らかの手段を用いて修正し
ないと、(4)式で演算される2次磁束ベクトルの位相
θ と誘導電動機(1)中で発生する実際の2次磁束
ベクトルの位相θとの間に偏差が生じ、誘導電動機
(1)の発生トルクτと2次磁束Φ2とをそれぞれの
指令値に応じて独立に制御することが不可能となる。
このR2の温度変化に対する補正回路として例えば第10
図に示すものがあった。この補正回路の構成は文献(昭
和55年電気学生全国大会講演論文集、論文番号541,P64
7)に示されている。図において、(30)は誘導電動機
(1)の1次電圧Vus、Vvsを入力して後述の演算により
2次磁束Φ2を検出する回路、(31)は減算器、(32)
は積分器、(33)は加算器である。
次に、この補正方式の原理と動作について説明する。
なお、以下では1次電流指令発生回路(22)で用いられ
る2次抵抗の値は実際の値と区別するために右肩に*印
を付けることとする。
さて、固定子座標軸(d−q座標軸とする)上の誘導
電動機の固定子側(1次側)の電圧方程式は一般に次式
で与えられる。
但し、Vds、Vqs;1次電圧のd軸、q軸成分 Ids、Iqs;1次電流のd軸、q軸成分 Φ2d、Φ2q;2次磁束のd軸、q軸成分 R1、L1は1次抵抗、1次自己インダクタンス、σは漏れ
係数で次式で与えられる。
σ=1−M2/(L1・L2) ……(11) (9)、(10)式より2次磁束Φ2の振幅は次式より
得られる。
ところで、(12)、(13)式において、通常の誘導電
動機では定速回転時を除くと第2項及び第3項は第1項
に較べて無視できるので、第1項のみを用いてΦ2を演
算することができる。また、Vds、Vqsは次式を用いて1
次電圧Vus、Vvsから得られる。
回路(30)は、(12)〜(15)式の演算を行なって2
次磁束Φ2の振幅を検出する。
次に、1次電流値指令発生回路(22)の中の2次抵抗
R2の値が実際の2次抵抗R2の値と一致しない場合のΦ
とΦ2との誤差について考える。
まず、誘導電動機(1)の1次電流は指令値通りに流
れていると仮定するという次式が成り立つ。
Ias2+Iβs2=Iαs*2+Iβs ……(16) また定常状態においては、(3)式のすべり周波数は
誘導電動機(1)の実際のすべり周波数と一致するの
で、次式が成り立つ、 但し、Iαs、Iβs;誘導電動機に供給される励磁
電流成分、トルク電流成分の実際値である。
(16)、(17)式より次式が得られる。
但し、x=Iβs αs 、 k=R2/R2 さらに、(1)式より定常状態ではΦ2=M
Iαs 、Φ2=MIαsなので、(18)式より次式が得
られる。
(19)式より、R2>R2のときk>1なのでΦ2<Φ
、R2*<R2のときk<1なのでΦ2>Φ2とな
る。従って、Φ2>Φ2のときR2を増加させ、Φ2
<Φ2のときR2を減少させればよい。第10図の補正
回路ではΦ2とΦ2との偏差Φ2−Φ2を減算器
(31)で求め、この偏差を積分器(32)で積分すること
により、R2の補正量△R2を得る。
更に、加算器(33)で初期設定値R20と加算するこ
とにより修正された2次抵抗値R2を得る。このR2
(3)式の演算に用いることにより、常にΦ2がΦ2
に一致するような制御が行われるので、R2の温度変化に
依らず良好なベクルト制御性能が得られる。
[発明が解決しようとする問題点] 従来の誘導電動機の制御装置は以上のように構成され
ており、運転状態において誘導電動機の2次抵抗値の温
度変化に対処すべく、制御回路中の2次抵抗値を補正し
ていた。ところが、実際の1次電流をそれぞれの指令値
通りに制御する電流制御回路の特性によって、1次電流
の実際値と指令値との間に偏差が生じたり、可変周波数
電力変換装置の電流耐量、電圧耐量などの制限から運転
状態によって制御系が飽和したりすると、指令値通りの
励磁電力成分を誘導電動機に供給できなくなる。
このような場合には、2次抵抗値は正しく設定されて
いるのにもかかわらず、2次磁束の指令値と実際値との
間に偏差が生じ、補正回路が正常に動作しない。また
(19)式から分かるようにR2がR2より小さい場合には
Φ2はΦ2より大きくなるが、磁気飽和の影響でΦ2
の増加の割合が制限される場合にも、補正回路は正常に
動作しない。
この発明は、かかる問題点を解決するためになされた
もので、電流制御回路の特性に起因する電流制御偏差、
可変周波数電力変換装置の電流耐量、電圧耐量などの制
限によって生じる制御系の飽和や、誘導電動機の磁気飽
和などの影響を受けずに、2次抵抗の温度変化による影
響を抑圧できる誘導電動機の制御装置を得ることを目的
としている。
[問題を解決するための手段] この発明に係う誘導電動機の制御装置は、誘導電動機
の回転速度及び1次電流を入力し、誘導電動機の2次側
の電圧方程式に基づいた関数演算により、誘導電動機中
で発生する2次磁束の振幅及び該2次磁束と直交する1
次電流成分とを検出する磁束ベクトル検出回路と、誘導
電動機の発生トルクを、誘導電動機の回転速度又は1次
電圧・電流を用いた関数演算により検出するトルク検出
回路と、磁束ベクトル検出回路の出力と誘導電動機の定
数を用いた関数演算により上記発生トルクを推定するト
ルク推定回路とを有し、トルク検出回路の出力とトルク
推定回路の出力との偏差に基づいて、磁束ベクトル検出
回路に用いられる誘導電動機の2次抵抗値を修正するも
のである。
[作用] この発明においては、磁束ベクトル検出回路及びトル
ク推定回路は、誘導電動機の定数以外は実際に誘導電動
機に供給される1次電流と実際の回転速度から発生トル
クを推定するので、誘導電動機の定数を正確に演算する
ための手段として有効に機能する。トルク検出回路は、
誘導電動機の回転速度又は1次電圧・電流を用いた関数
演算により発生トルクを検出し、修正回路が、2次抵抗
値によって影響を受けない上記トルク検出回路の出力と
2次抵抗値によって影響を受ける上記トルク推定回路の
出力との偏差に基づいて磁束ベクトル検出回路に用いら
れる誘導電動機の2次抵抗値を修正する。
[実施例] 以下、この発明の一実施例を図について説明する。第
1図において、(1)〜(6)は上記従来装置と同一の
ものを示す。(7)は磁束ベクトル検出回路、(8)は
電流ベクトル制御回路、(9)はトルク検出回路、(1
0)はトルク推定回路、(11)は修正回路である。以
下、更に詳細に各角構成部分の実施例を示しながら説明
する。
まず、磁束ベクトル検出回路(7)における2次磁束
ベクトルの振幅と位相の検出原理について説明する。固
定子座標軸上の誘導電動機の回転子側(2次側)の電圧
方程式は次式で与えられる。
(R2+pL2)Φ2d−MR2 Ids+L2ωγΦ2q=O (R2+pL2)Φ2d−MR2 Iqs−L2ωγΦ2d=O ……(2
0) 次に、(20)式を角速度ωで回転する回転座標軸
(α−β座標軸とする)上の関係式に変換するために次
式で示される座標回転の式を用いる。
Ids=Iαscosθo−Iβssinθo Iqs=Iαssinθo+Iβscosθo ……(21) Φ2d=Φ2α cosθo−Φ2β sinθo Φ2q=Φ2α sinθo+Φ2β cosθo ……(22) 但し、θo=∫ωodt ……(23) (21)、(22)式を(20)式に代入してIds、Iqs、Φ
2d、Φ2q、を消去すると次式が得られる。
(R2+pL2)Φ2α−MR2Iαs−L2(ω−ωγ)Φ
2β=O (R2+pL2)Φ2β−MR2Iβs+L2(ω−ωγ)Φ
2α=O ……(24) ここで、Φ2β=Oとなる条件を求めるために(24)
式でΦ2β=Oとおく次式が得られる。
但し、T2=L2/R2 従って(26)式に応じて回転座標軸の角速度ωを定
めれば、常にΦ2βは零とすることができる。その際、
ωγ、Iβs、Φ2αが必要であるが、Φ2αは(25)
式を用いてIαsから求めることができる。更に、I
αs、Iβsは(27)式に示す変換式((27)式の逆変
換式となる)よりIds、Iqsから得られ、しかも、Ids、I
qsは(15)式と同様の公知の関係式を用いて1次電流Iu
s、Ivsから得られる。以上のことから、誘導電動機の1
次電流Ius、Ivsと回転速度ωγより2次磁束Φ2α、励
磁電流成分Iαsとトルク電流成分Iβsが演算できる
ことがわかる。
αs=Ids cosθo+Iqs sinθo Iβs=−Ids sinθo+Iqs cosθo ……(27) 更に、このとき、(23)式によって得られるθoは2
次磁束ベクトルの位相に他ならない。
第2図は、第1図の実施例における磁束ベクトル検出
回路(7)の一実施例を示す構成図である。図において
(700)、(701)、(702)、(710)、(711)、及び
(716)は係数器、(703)、(709)及び(718)は加算
器、(708)及び(712)は減算器、(704)、(705)、
(706)及び(707)は、乗算機能を備えたD/Aコンバー
タ、(713)は積分器、(714)及び(715)は乗算器、
(717)は割算器、(719)はV/Fコンバータ、(720)は
カウンタ、(721)及び(722)はROMである。
次の動作について説明する。まず、係数器(700)と
加算器(703)の出力としてIds、Iqsがそれぞれ(15)
式と同様の演算により、Ius、Ivsから得られる。次に、
ROM(721)と(722)の出力として得られるsin θoとc
os θoのディジタル量とIds、IqsとをD/Aコンバータ
(704)〜(707)で乗算し、減算器(708)と加算器(7
09)に入力すると、(27)式の演算によりIβs、I
αsがそれぞれの出力として得られる。次に、係数器
(711)、減算器(712)、積分器(713)及び乗算器(7
14)により(25)式の演算が行なわれ、IαsからΦ
2αが得られる。
更に、IβsとΦ2αとにより割算器(717)の出力
として、 (MR2/L2)×(Iβs/Φ2α) が得られるので、加算器(718)で誘導電動機の回転速
度ωγと加算することにより、(26)式のωが得られ
る。このωををV/Fコンバータ(719)に入力してω
の大きさに比例したパルス列を得て、このパルス列をカ
ウンタ(720)で係数することにより、(23)式で示さ
れる回転座標軸の位相θoが得られる。従って、sin θ
oとcos θoの値をそれぞれ記憶させた2つのROM(72
1),(722)のアドレスとしてカウンタ(720)の出力
を入力すると、2つの正弦波sin θoとcos θoのディ
ジタル値が出力される。
第3図は、第1図の実施例における電流ベクトル制御
回路(8)の一実施例を示す構成図である。図におい
て、(21)は上記従来装置と同一のものである。(81)
は1次電流指令値発生回路、(82)は1次電圧指令発生
回路、(83)はPWM回路である。(820)、(821)及び
(823)は減算器、(822)及び(824)は加算器、(82
5)、(826)及び(827)は増幅器、(830)、(831)
及び(832)は比較器、(833)は三角波発生器、(83
4)、(835)及び(836)はNOT(反転)回路である。
次に動作について説明する。まず、1次電流指令回路
(81)では電流成分指令発生回路(21)から出力される
Iαs、Iβsと磁束ベクトル検出回路(7)から
出力されるsin θo、cos θoから(21)式の演算によ
りIds、Iqsが得られ、更に(15)式と同様の関係式
により1次電流指令値Ius,Ivsが出力される。具体
的な回路構成は第2図においてIus、IvsをIαs、Iβ
sに変換するまでの回路と同様なので省略する。
次に、1次電圧指令発生回路(82)ではU相1次電流
指令Iusと実際のIusとの偏差を減算器(820)で得
て、更にこの偏差と増幅器(825)で増幅し、U相1次
電圧指令値Vusが出力される。V相1次電圧指令値Vvs
も同様にしてIvsとIvsから得られる。また、W相1
次電圧指令値Vwsは、まずIusとIvsとから(7)
式を用いて加算器(822)で−Iwsを求め、IusとIvsと
から(8)式を用いて加算器(824)で−Iwsを求めた
後、減算器(823)により電流偏差Iws−Iwsを演算
し、増幅器(827)で増幅することによって得られる。
次に、PWM回路(83)は、可変周波数電力変換装置
(4)としてパワートランジスタをスイッチング素子と
して用いたトランジスタインバータ回路を用いたときに
使用される。この回路では、1次電圧指令発生回路(8
2)から出力される1次電圧指令値Vus、Vvs、Vws
は三角波発生器(833)、比較器(830)〜(832)、NOT
回路(834)〜(836)によりトランジスタインバータ回
路(図示せず)への制御信号、即ちベース信号に変換さ
れる。その結果、1次電圧指令値Vus、Vvs、Vws
に応じた1次電圧Vus、Vvs、Vwsが誘導電動機(1)に
印加され、1次電流Ius、Ivs、Iwsはそれぞれの指令値
に追従する。
第4図は、第1図の実施例における電流ベクトル制御
回路(8)の他の一実施例を示す構成図である。図にお
いて、(21)は上記従来装置と同一のものであり、(8
3)は第3図のPWM回路と同一のものである。(840)及
び(841)は減算器、(842)及び(843)は増幅器、(8
5)は座標変換回路である。
次に動作について説明する。まず、電流成分指令発生
回路(21)から出力されるIαs と磁束ベクトル検出
回路(7)で得られるIαsとの偏差が減算器(840)
で得られ、更に増幅器(842)で増幅され、α軸電圧成
分指令値Vαs が得られる。同様にして減算器(84
1)と増幅器(843)とによって回路(21)から出力され
るIβs と磁束ベクトル検出回路(7)で得られるI
βsとからβ軸電圧成分指令値Vβs が得られる。次
に、座標変換回路(85)ではこれらのVαs とVβs
と磁束ベクトル検出回路(7)から出力されるsin θ
o、cos θoから1次電圧指令値Vus、Vvs、Vws
が出力されるが、具体的な回路構成は第3図の1次電流
指令発生回路(81)においてIαs βs をそれぞ
れVαs 、Vβs で置き換えたものであるので省略
する。
次に、トルク検出回路(9)、トルク推定回路(10)
及び修正回路(11)による2次抵抗の修正原理について
説明する。
まず、磁束ベクトル検出回路(7)中の2次抵抗値R2
が実際値R2と一致しない場合には、上記のように2次
磁束ベクトルの振幅と位相とが正確に検出されない。そ
こで、磁束ベクトル検出回路(7)中で得られるIds、I
qs、Φ2αとωをそれぞれの実際値と区別するために
“∧”の記号を付けて表すこととすると、 と実際のIds、Iqs、Φ2α、ωとの関係は、定常状態
において(16)、(17)式のIαs、Iβs をそれ
ぞれ と置き代えることにより次式で示される。
ところで、誘導電動機の発生トルクの実際値τ
(2)次式となる。
一方、磁束ベクトル検出回路(7)で得られる より発生トルクの推定値τは次式となる。
(33)、(34)式より (29)、(30)式を代入すると、 従って、>1のときほ次式がほぼ成立つ、 (37)式より、R2>R2(k>1)のときは R2<R2(k<1)のときは であるので、実際の発生トルクτが検出できれば、τ
の偏差に基づいてR2の値を修正することが可能であ
る。
ところで、無負荷時の電動機の機械的出力方程式は次
式で与えられる。
但し、Jmは電動機の慣性モーメント、Bmは電動機の摩
擦係数である。
Jm、Bmは測定可能であり、また回転速度ωγは回転検
出器(2)によって検出されもので、(38)式を用いて
実際の発生トルクτを検出することが可能である。
あるいは、γはIds、Iqs、Φ2d、Φ2qから次式を用
いて検出することも可能である。
ここで、、Φ2d、Φ2qは(12)、(13)式を用いて演
算可能なので、(39)式を用いてτを検出することが
できる。
第5図は第1図の実施例におけるトルク検出回路
(9)の一実施例を示す構成図である。図において、
(900)は微分器、(901)及び(903)は係数器、(90
2)は加算器である。この検出回路により(38)式の演
算が行われ、回転速度ωから発生トルクτが検出さ
れる。
第6図は第1図の実施例におけるトルク検出回路
(9)の他の一実施例を示す構成図である。図におい
て、(940)、(905)、(906)、(910)、(911)、
(912)、(913)、(914)、(915)、(918)、(92
2)、(923)及び(927)は係数器、(907)、(90
9)、(919)、(921)及び(926)は減算器、(908)
及び(920)は乗算器である。
次に動作について説明する。まず、係数器(904)と
加算器(916)の出力として(15)式の演算により1次
電圧Vus、VvsよりVds、Vqsがそれぞれ得られる。同様に
して、係数器(905)と加算器(917)の出力として1次
電流Ius、IvsよりIds、Iqsがそれぞれ得られる。次に、
係数器(906)、(910)、(911)と減算器(907)、
(909)及び積分器(908)により(12)式の演算が行わ
れ、Vds、VqsからΦ2dが得られる。同様にして、係数器
(918)、(922)、(923)と減算器(919)、(921)
及び積分器(920)により(13)式の演算が行われ、Vq
s、IqsからΦ2qが得られる。更に、乗算器(924)、(9
25)と減算器(926)及び係数器(927)により(39)式
の演算が行われ、Φ2d、Φ2q、Ids、Iqsより発生トルク
τが得られる。
第7図は第1図の実施例におけるトルク推定回路(1
0)の一実施例を示す図である。図において(101)は乗
算器、(102)は係数器である。この推定回路により(3
4)式の演算が行われ磁束ベクトル検出回路(7)で得
られる から発生トルクの推定値 が得られる。
第8図は第1図の実施例における修正回路(11)の一
実施例を示す構成図である。図において、(111)は減
算器、(112)はホールド機能付き積分器、(113)は加
算器、(114)はホールド信号発生器である。
次に動作について説明する。まず、トルク検出回路
(9)で検出された発生トルクτとトルク推定回路
(10)で推定された発生トルク との偏差を減算器(111)により得る。上記のようにR2
>R2のとき R2<R2のとき となるので、この偏差を積分器(112)で積分すること
によりR2の修正量△R2が得られ、R2の初期設定値
R20と加算器(113)で加算することにより、修正され
たR2が得られる。このR2を磁束ベクトル検出回路
(7)で用いることにより、常に正確な2次磁束ベクト
ルを検出することが可能である。
ところで、R2<R2の場合には、上記の理由で磁気飽
和が問題となるおそれがある。更に(36)式から分かる
ように、 が1より小さい場合は、例えばR2<R2の場合でも となり得る。以上のことから、ホールド信号発生器(11
4)は磁束ベクトル検出回路で得られる の値が予め設定された値以上となり、かつ、 の値が1より小さいときにはホールド信号を発生し、積
分器(112)の動作を停止させる。その結果、磁気飽和
の影響や、 の値に起因する上記の問題が解消される。
なお、第5図の実施例において、負荷トルク変動があ
る場合には、修正回路(11)の動作を停止させるか、或
は負荷トルクをなんらかの手段で検出して発生トルクτ
の値を補正しなければならないことはいうまでもな
い。
[発明の効果] 以上のようにこの発明によれば、誘導電動機の発生ト
ルクを誘導電動機の2次抵抗値によって影響を受ける方
式と受けない方式の2通りの方式で演算し、得られた演
算結果の偏差に基づいて影響を受ける方式で用いられる
磁束ベクトル検出回路中の2次抵抗値を補正するように
構成したので、即ち、磁束ベクトル検出回路が、誘導電
動機の回転速度及び1次電流を入力し、誘導電動機の2
次側の電圧方程式に基づいた関数演算により、誘導電動
機中で発生する2次磁束の振幅及び該2次磁束と直交す
る1次電流成分とを検出し、トルク推定回路が、磁束ベ
クトル検出回路の出力と誘電電動機の定数を用いた関数
演算による発生トルクを推定し、トルク検出回路が、誘
導電動機の発生トルクを、回転速度又は1次電圧・電流
を用いた関数演算により検出し、修正回路が、トルク検
出回路の出力とトルク推定回路の出力との偏差に基づい
て、磁束ベクトル検出回路に用いられる2次抵抗値を修
正するので、実際の1次電流をそれぞれの指令値通りに
制御する電流制御回路の特性によって、1次電流の実際
値と指令値との間に偏差が生じたり、電流耐量、電圧耐
量などの制限から運転状態によって制御系が飽和したり
しても、2次抵抗値の修正を正常に行うことができる。
従って、2次抵抗値の温度変化による影響を確実に抑圧
できる誘導電動機の制御装置を得ることができる効果が
ある。
更に、2次磁束の推定値が予め設定された値以下の領
域でのみ2次抵抗値の修正を行うようにした場合には、
磁気飽和の影響を受けないという効果も得られている。
【図面の簡単な説明】
第1図はこの発明の一実施例による誘導電動機の制御装
置のブロック図、第2図は第1図の実施例に含まれる磁
束ベクトル検出回路の一実施例を示す構成図、第3図及
び第4図はそれぞれ第1図の実施例に含まれる電流ベク
トル制御回路の実施例を示す構成図、第5図及び第6図
はそれぞれ第1図の実施例に含まれるトルク検出回路の
実施例を示す構成図、第7図は第1図の実施例に含まれ
るトルク推定回路の一実施例を示す構成図、第8図は第
1図の実施例に含まれる修正回路の一実施例のブロック
図である。 第9図は従来の誘導電動機の制御装置のブロック図、第
10図は誘導電動機の2次抵抗値の温度変化に対する従来
の補正回路の構成図である。 図において、(1)は誘導電動機、(2)は回転検出
器、(3)は電流検出器、(4)は可変周波数電力変換
装置、(5)は磁束指令発生器、(6)はトルク指令発
生器、(7)は磁束ベクトル検出回路、(8)は電流ベ
クトル制御回路、(9)はトルク検出回路、(10)はト
ルク推定回路、(11)は修正回路である。 なお、図中同一符号は同一又は相当部分を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭59−53091(JP,A) 特開 昭60−122675(JP,A) 特開 昭60−128885(JP,A) 特開 昭60−213287(JP,A) 特開 昭60−245490(JP,A) 特開 昭61−62385(JP,A) 特開 昭61−76090(JP,A) 特開 昭61−81190(JP,A) 特開 昭61−147788(JP,A) 特開 昭62−12394(JP,A)

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】誘導電動機の回転速度又は回転角を検出す
    る回転検出器と、 誘導電動機の1次電流を検出する電流検出器と、 誘導電動機を可変周波数で駆動する可変周波数電力変換
    装置と、 上記回転検出器の出力及び上記電流検出器の出力を入力
    し、誘導電動機の2次側の電圧方程式に基づいた関数演
    算により、誘導電動機中で発生する2次磁束の振幅及び
    該2次磁束と直交する1次電流成分とを検出する磁束ベ
    クトル検出回路と、トルク指令値又はその相当値と磁束
    指令値又はその相当値に従って誘導電動機に供給すべき
    1次電流の指令値を演算すると共に、誘導電動機の1次
    電流の実際値がこの指令値に追従するような制御信号を
    上記可変周波数電力変換装置に出力する電流ベクトル制
    御回路と、 誘導電動機の発生トルクを、誘導電動機の回転速度又は
    1次電圧・電流を用いた関数演算により検出するトルク
    検出回路と、 上記磁束ベクトル検出回路の出力と誘導電動機の定数を
    用いた関数演算により上記発生トルクを推定するトルク
    推定検出回路と、上記トルク検出回路の出力と上記トル
    ク推定回路の出力との偏差に基づいて、上記磁束ベクト
    ル検出回路に用いられる誘導電動機の2次抵抗値を修正
    する修正回路と、を備えたことを特徴とする誘導電動機
    の制御装置。
  2. 【請求項2】トルク検出回路は、誘導電動機の発生トル
    クと回転速度とを関係付ける機械的出力方程式に基づい
    て発生トルクを検出するものである特許請求の範囲第1
    記載の誘導電動機の制御装置。
  3. 【請求項3】トルク検出回路は、誘導電動機の1次電圧
    及び1次電流を入力し、誘導電動機の1次側の電圧方程
    式に基づいた関数演算により発生トルクを検出するもの
    である特許請求の範囲第1項記載の誘導電動機の制御装
    置。
  4. 【請求項4】修正回路は、磁束ベクトル検出回路から出
    力される2次磁束の振幅が予め設定された値以下になっ
    た時にのみ、磁束ベクトル検出回路中の2次抵抗値を修
    正するものである特許請求の範囲第1項記載の誘導電動
    機の制御装置。
  5. 【請求項5】修正回路は、磁束ベクトル検出回路から出
    力される2次磁束の振幅が予め設定された値以下にな
    り、かつ磁束ベクトル検出回路で得られるトルク電流成
    分と励磁電流成分との比の値が予め設定された値以上に
    なった時のみ、磁束ベクトル検出回路中の2次抵抗値を
    修正するものである特許請求の範囲第1記載の誘導電動
    機の制御装置。
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