JP3309520B2 - 誘導電動機の制御方法 - Google Patents
誘導電動機の制御方法Info
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Description
換器により誘導電動機を制御する装置であって、特に極
低速度領域から位置,速度及びトルクの高精度制御が行
える誘導電動機の制御方法に関する。
ライブ等に広く用いられている、すべり周波数制御形ベ
クトル制御法は、すべり周波数の指令値と実回転速度の
和に応じて、インバータ出力周波数を制御する方式のた
め、電動機取付けの速度センサが必須であり、適用にあ
たってはそれだけ制約を受ける。このため、速度センサ
を用いない高精度速度制御法がいくつか発表されている
(例えば、平成3年電気学会全国大会、シンポジウム
S.9「誘導機速度センサレスベクトル制御適用の現状
と課題」)。しかし、いずれの方法も、電動機の回転に
伴う誘導起電力に基づいて回転速度を推定するため、回
転速度が零に近く、起電力が微小となる範囲では、一次
抵抗降下の影響により速度推定精度が劣化し、そのため
速度およびトルクの制御精度が不足する問題がある。
(速度センサ付)では、すべり周波数指令値の演算に用
いる電動機二次抵抗値が実際値に一致しない場合には、
トルクに応じて電動機磁束が変動したり、あるいはトル
ク制御遅れを生じる等の不具合が発生する。これは二次
抵抗値の変動に起因するベクトル制御の問題としてよく
知られている。
御において、一次抵抗降下の影響をなくす方法として
は、電動機内部にサーチコイルを備える方法や、電動機
電圧,電流の第3次高調波成分を検出する方法、あるい
は電動機のスロット高調波電圧を検出する方法がある。
しかし、いずれの方法も、電動機の回転に伴う一次鎖交
磁束の変化による起電力を検出する点で、前述の速度セ
ンサレスベクトル制御法と同様であり、零速度近くでは
起電力が小さく、検出電圧に含まれるノイズ(インバー
タからの高調波リプル等)に対するS/N比が低下する
ため、同様に高精度制御が難しい。また、いずれの方法
も、電動機構造が特殊化することが難点である。
二次抵抗変動の問題に対しては、電動機の誘導起電力を
検出し、その変動に基づいて演算用二次抵抗値を修正す
る方法や、電動機内部に温度計を設置し、その温度検出
値から二次抵抗値を推定し、これを演算用二次抵抗値に
用いる方法があるが、前者では零速度付近の誘導起電力
が小さい範囲において、前述と同様、一次抵抗降下の影
響から、正確な修正が困難となること、また後者では電
動機構造が複雑になることが難点である。
速度近傍を含めて高精度な位置,速度及びトルク制御を
可能にする誘導電動機の制御方法を提供することにあ
る。
に、インバータの出力電圧指令値に交流電圧を重畳し、
これに応じて流れる電動機電流成分を検出し、該交流電
圧と電流から電動機巻線の漏れインダクタンスを計測す
る。巻線と電動機磁束の位置関係により、インダクタン
ス値が変化する現象に基づいて、インダクタンス値より
磁束位置(回転角)を推定し、この推定磁束角に応じて
インバータ出力電圧位相を制御し、電動機電流の励磁分
とトルク分(二次電流相当)を制御するようにしたもの
である。
が生じる。このため、磁束が通過する鉄心部分は磁気飽
和を起こす(飽和度が高い)。一次巻線が収納されるテ
ィース部分についても同様であって、磁束の方向に位置
する部分は飽和度が高い。一次巻線の漏れインダクタン
スは、このティース部の磁気飽和の影響を受け変化す
る。そこで、前述のようにして、電動機電圧に基本波成
分とは別の交流電圧を重畳し、これにより流れる電流と
前記交流電圧の関係から、巻線のインダクタンスを計測
し、このインダクタンスの変化から磁束の位置(回転
角)を推定する。この磁束位置に応じてインバータ出力
電圧/電流を制御し、電動機のトルクと磁束の非干渉制
御(ベクトル制御)を行う。
トル制御が確実に行われるため、前述の問題が解決され
る。
ムに適用する場合の一実施例について、図1を用いて説
明する。同図において、1は電圧指令v1*に比例した電
圧を出力するインバータ、2は誘導電動機、3は回転磁
界座標上において直交するd,q軸成分の電流指令i1d
*,i1q*および出力周波数指令ω1*に基づいて、電圧指
令v1d*,v1q*を出力する電圧指令演算器、4はv
1d*,v1q*から三相電圧指令v1*を演算する座標変換
器、5はv1*をパルス幅変調信号に変換し、インバータ
出力電圧をPWM制御するPWM信号発生器、6は電動
機電流を検出する電流検出器、7は電動機電流を回転磁
界座標に変換し、互いに直交する励磁電流i1dとトルク
電流i1qの各電流成分を検出する電流成分検出器、8は
トルク電流指令i1q*とその検出値i1qの差に応じて、
周波数指令ω1* を出力する電流調節器、9は励磁電流
指令i1d*とその検出値i1dの差に応じた出力をv1d*に
加算する電流調節器、10はω1* を積分し、位相基準
信号θ*を出力する位相演算器、11は速度指令ωr*を
出力する速度指令回路、12はトルク電流検出値i1qに
基づいてすべり周波数ωSを推定するすべり周波数演算
器、13はωr* と速度推定値ωr^ の差に応じてトル
ク電流指令i1q* を出力し速度制御を行う速度調節器、
14はv1d*,v1q*に正弦波信号v1d″,v1q″を加算
したとき、これにより流れるi1dの成分に基づいて、電
動機磁束位置φ1 を推定する磁束位置演算器、15,1
6はφ1を加算器17あるいは18に加え、ω1*あるい
はθ*を修正する際に用いる、比例ゲインおよび積分等
の補償要素である。
べる。符号14〜18を除く、1〜13の部分の動作に
ついての詳細は、電気学会論文の奥山,藤本、他「誘導
電動機の速度・電圧センサレスベクトル制御法」、電学
論D,107,2,pp191−198(昭62年)に記述されている
ので、ここでは概要を述べる。
る。第1の部分は出力電圧制御部であり、電圧指令演算
器3、座標変換器4、およびパルス幅変調器5で構成さ
れ、以下に示す演算が行われる。
図で示したもので、ここで、d−q軸は同期速度ω1 で
回転する直交する回転座標である。電動機1相あたりに
印加される電圧v1は図示のように誘導起電力e1′と、
漏れインピーダンス降下(r1i1,ω1(l1+l2′)i
1)の和で示される。そこで、v1を制御するに際して、
その指令値v1d*,v1q*が数1に従い演算される。
基準値 ω1*(l1+l2′)i1*:漏れインピーダンス降下の推
定値 さらに、座標変換器4において、v1d*,v1q*から三相
の電圧指令値v1*が演算される。なお、三相電圧の各相
信号は、互いに120°ずつ位相が異なるのみであるか
ら、u相電圧指令vu*のみを示せば、数2である。
がパルス幅変調信号に変換され、これに応じてインバー
タ1の出力電圧が制御される。このようにして、インバ
ータ出力電圧の基本波成分瞬時値はv1*に比例して制御
され、電動機電圧v1はv1d*,v1q* およびθ* に従っ
て制御される。このとき、数1における漏れインピーダ
ンス降下推定値が実際値と一致しておれば、誘導起電力
の実際値e1′(ベクトル)は、数1で与えた基準値に従
うものとなる。この条件において、e1′の向きはq軸
に一致するが、この時位相基準θ*は、実磁束ベクトル
(e1′に直交)の固定子u相軸からの回転角θと一致
し、θ* は、磁束の回転角θに等価なものとなる。
制御部であり、電流検出器6,電流成分検出器7、およ
び二つの電流調節器8,9から構成される。
る条件では、電流成分検出器7において、数3に従い演
算されるi1d,i1qは図2で示される励磁電流i0′ お
よびトルク電流i2′に一致したものとなる。
偏差に応じてv1d* を修正すると、i1d(i0′)はi
1d*に一致するように制御される。また、電動機磁束量
Φ2dはi1d* に比例して制御される。一方、電流調節器
8により、i1qの制御偏差に応じてω1*および起電力基
準値e1′*(=ω1*(M/L2)Φ2d*)が制御され、これ
によりi1q(i2′)はi1q*に一致するように制御され
る。この時、電動機発生トルクτeは、数4で示され、
i1q*に比例する。
り、速度指令回路11,すべり周波数演算器12、およ
び速度調節器13から構成される。演算器12におい
て、数5に従い、すべり周波数の推定値ωS^が演算さ
れる。
め、さらに速度調節器13において速度指令値ωr*とω
r^の差に基づいて、i1q*が演算される。そして前述の
ようにしてi1q* に従い、i1qおよびトルクτe が制御
される結果、ωr^がωr*に一致するように速度制御が
行われる。
本動作である。ところで、運転周波数が1Hz以上の範囲
では、前述の動作に従い十分な精度で速度制御が行え
る。しかし、1Hz以下の低周波数範囲では、回転速度お
よびトルクの制御精度が劣化する。
主原因と考えられる。すなわち、電動機の温度変化によ
り、r1 が変動すると、数1で用いた一次抵抗降下の推
定値(r1*i1*)と実際の一次抵抗降下(r1i1)は一
致しなくなる。このとき、e1′の実際値はその基準値
e1′*から変動し、e1′の向きはq軸と一致しなくな
る。周波数が低く、e1′が微小となる条件では、電圧
v1に占める一次抵抗降下の割合が増加するため、この
傾向が顕著となる。このようにして、低周波数運転で
は、一次抵抗変動(一次抵抗降下の推定誤差)により、
e1′がq軸から「ずれ」を持つようになる。このと
き、位相基準θ* は実際の磁束位相θと一致せず、ベク
トル制御が不完全となり、トルクτeはi1q*に比例しな
くなる。また、トルク(i1q)に関係して磁束Φ2dが変
動するようになるため、数5に従い演算されるωs^に
も推定誤差を生じ、この結果、ωr^にも誤差を生じ
る。以上により、速度とトルクの制御精度が劣化する。
御に共通しており、対策法として前述したように種々の
方法が提案されているが、抜本的方法はないのが現状で
ある。本発明はこれらの問題を磁束位置演算器14等を
付加して解決するものである。
概要を示す。同図において、31は二相正弦波信号(sin
ωt,cosωt)を出力する信号発生器、32は信号(sin
ωt)を入力し、モード1,2,3に応じて(1/√2)s
inωt,(1/√2)sinωt,sinωt の各信号を出力
するスイッチ回路、33はモード1,2,3に応じて
(1/√2)sinωt、−(1/√2)sinωt、0の各信号
を出力するスイッチ回路、34,35は電流i1dと信号
sinωt,cosωtをそれぞれ乗算する乗算器、36,3
7は乗算器34,35の出力を積分する積分器、38は
積分器36,37の出力値に基づいて各モードにおける
インダクタンス値Lσ1 ,Lσ2 ,Lσ3 を計測するイン
ダクタンス演算器、39は各Lσに基づいて、電動機磁
束の位置角φ1 を演算する演算器である。
本となる磁束位置角φ1 の推定原理について述べる。図
4に誘導電動機のモデルを示す。磁束が電動機内部で図
示Φの方向に存在すると仮定すると、Φ方向に位置する
鉄心部は磁気飽和を起こす(飽和度が高い)。一次巻線
が収納されるティース部についても同様であって、Φ方
向に位置する部分は飽和度が高い。一次巻線の漏れイン
ダクタンスはこのティース部の磁気飽和の影響により変
化する。例えば、図示のように、Φ方向に位置する巻線
Aの漏れインダクタンスはΦ方向に直交な巻線Bのそれ
より減少する。図5はこの実測結果であり、各巻線の漏
れインダクタンス値の、励磁電流(磁束量)に対する変
化を示す。図のように、定格励磁電流(3A)近傍で
は、磁束と巻線の位置関係により、インダクタンス値が
大幅に変化することが実験で確認された。
することにより、逆に磁束位置(方向)を推定できる。
推定した磁束位置に応じて、インバータの出力電圧/電
流を制御することにより、前述した一次抵抗変化の影響
を受けずに高精度にベクトル制御を行うことができる。
以上が磁束位置推定の基本原理である。
タンスLσの計測原理について述べる。いま、電動機に
基本波と異なる周波数の正弦波電圧v(=sinωt)を印
加し、これにより流れる交流電流iを観測する。vの角
周波数ωが電動機の二次時定数T2 の逆数より十分高い
条件では、巻線の交流電流/印加電圧の伝達関数は一次
遅れ系で近似できるため、iは数6で示される。
期な成分および90°位相差成分を求め、それぞれが数
6の右辺第1項、および第2項に等しいとおいてLσを
求めると、数7である。
きる。
算器14の動作について述べる。いま、図6に示すよう
に、磁束Φの方向と、前記交流電圧vを印加する巻線C
の起磁力方向とのなす角をφとおく。Lσは、φがπ/
2,3π/2において最小、0、πにおいて最大となる
ことから、Lσは2φを関数として変化する。そこで、
Lσを数8のようにおくことができる。
巻線に順に交流電圧を印加し、前述のようにしてLσを
測定する。各LσをLσ1,Lσ2とすれば、
し、Lσ3を測定すれば、
4、φ1の3点測定により、φ1を求めることができ、磁
束位置を推定できる。
作する。以下、図3と図7のベクトル図を用いて動作を
説明する。ベクトル制御を行うには、d軸と磁束Φの方
向が一致することが理想であるが、ここでは一致しない
場合を想定し角度差φ1 を仮定する。以下、モード1,
2,3の各場合について順に述べる。
t)が、スイッチ回路32を介してv1d″として、v1d
* に加算され、また、スイッチ回路33を介して上記正
弦波信号がv1q″として、v1q* に加算される。この状
態は、図7のベクトル図においてモード1の方向(d軸
に対して45°)に起磁力の向きを持つ巻線に交番電圧
vを印加したことに相当する。この時、この方向に交番
起磁力が生じ、交番電流iが流れる。iはd軸上から観
測しても位相は変化しないから、iはi1dから検出でき
る。そこで、乗算器34,35,積分器36,37、お
よびインダクタンス演算器38を用いて、i1dと信号
(sinωt,cosωt)に基づいて、数7の演算を行い、
Lσ1が求められる。そして、Lσ1は、演算器38に記
憶される。
スイッチ回路32を介してv1d″として、また、スイッ
チ回路33を介してその極性反転信号(−(1/√2)sin
ωt)をv1q″として、各電圧指令値に加算する。この
状態では、図7のモード2の方向にvが印加されること
となり、同方向に交番電流iが流れる。iは前述と同様
に、i1dから検出できるため、モード1と同じ演算を行
うことにより、Lσ2 が求められる。そして、Lσ2 も
同様に記憶される。
し、また、v1q″=0として、各電圧指令値に加算す
る。この状態では、図7のモード3の方向(d軸)にv
が印加されることとなり、同方向(d軸)に交番電流i
が流れる。iはそのままi1dとして検出でき、前述と同
様に、Lσ3が求められ、記憶される。
σ2,Lσ3 に基づいて、演算器39において、数1
1、および数13の演算を行い、d軸に対する磁束位置
角φ1 が推定される。
なしベクトル制御システム全体の動作について、図1を
用いて説明する。システムの基本動作については、先述
した通りである。低速運転における精度劣化の問題を解
決するため、本発明のものでは、磁束位置演算器14が
付加されている。演算器14からの交流信号v1d″,v
1q″は、運転中において常時v1d*,v1q*に加算されて
おり、これにより、電流i1dには、v1d″,v1q″に関
係した電流成分が含まれる。i1dには元来電動機電流の
基本波成分に関係した直流成分が含まれるが、数7のL
σの演算においてはこの影響は消去される。従って、φ
1 は、運転状態とは無関係に、すなわち回転速度の大小
に関係なく、また、一次抵抗の変動の影響を受けること
なく計測される。
磁束方向の「ずれ角」に相当する。そこで、演算器10
の入力側あるいは出力側に、補償要素15あるいは16
を介して、φ1に応じた信号を加算し、ω1*あるいはθ*
を修正する。この時、座標変換器4、および電流成分検
出器7に用いる位相基準値(修正後のθ*)は、実際の磁
束位相θに一致したものとなる。
により、θ* とθが不一致となる低速運転範囲でも、θ
* をθに一致させることができ、ベクトル制御を高精度
に行うことができる。
における速度とトルクの精度劣化の問題が解消される。
施例では、速度センサなしベクトル制御における低速運
転範囲での精度劣化を補償する方法を提案したが、本実
施例は従来の原理によらない速度センサなしベクトル制
御システムを提案する。すなわち、図1に示す方式で
は、電流調整器8の出力信号ω1*によりインバータ出力
周波数を制御しているが、本実施例では同出力信号は電
圧指令値v1q* のみに関係し、周波数制御には用いな
い。その代りに、磁束位置演算器14からの磁束位置角
φ1を補償要素15を介して位相演算器10に加える。
このものでもφ1=0となるように周波数ω1が制御され
るため、θ*はθに一致し、ベクトル制御を行うことが
できる。
同様にすべり周波数演算器12において数5に従い演算
されるため、ω1*からωS^を差し引き、速度推定値ωr
^が求められる。ωr^ を速度調整器13にフィードバ
ックして速度制御を行うことは、前記実施例と同じであ
る。その他の動作については図1の実施例と同一であ
る。
速度からの全速度範囲で回転速度とトルクの高精度制御
が行える。
ータの出力電流瞬時値i1 を正弦波電流指令i1*に追従
するよう制御する交流電流制御系を備えた速度センサな
しベクトル制御システムに、本発明を適用した例であ
る。すなわち、本発明を適用した前記までの実施例のイ
ンバータ制御は電圧制御形であるのに対して、本実施例
は電流制御形と一般的に称されるものである。
異なるところは以下の通りである。83は電流指令i1d
*,i1q*、および位相基準θ* に基づいて三相電流指令
i1*を演算する座標変換器、84はi1*とi1 の差を入
力し、電圧指令v1*を出力する交流電流調節器、87は
電動機電圧の検出値v1 、あるいはその指令値v1*を積
分して求めた磁束を位相基準としてi1 を回転磁界座標
に変換し、トルク電流i1qを検出する電流成分検出器、
88はトルク電流の指令値i1q* と検出値i1qの差に
応じて速度推定値ωr^を出力するq軸成分電流調節
器、10はωr^とすべり周波数演算器12からのすべ
り周波数推定値ωS^ を加算して求めた周波数指令ω1*
を積分し、位相基準信号θ* を出力する位相演算器、9
3は電動機電圧の検出値v1あるいはその指令値v1*を
θ*を基準に回転磁界座標に変換し、d軸電圧v1dを検
出する電圧成分検出器、94はi1d*,i1q*に正弦波信
号i1d″,i1q″を加算し、これにより生じるv1dの成
分に基づいて磁束位置角φ1 を推定する磁束位置演算
器、95はφ1を電流調節器88に加え、ω1*およびθ*
を修正する際に用いる補償要素である。
述べる。このシステムについても大きく三つの部分に分
けられる。第1の部分は出力電流制御部であり、座標変
換器83、交流電流調節器84、パルス幅変調器5、お
よび電流検出器6で構成される。座標変換器83におい
ては、d−q軸の電流指令値i1d*,i1q*から三相の電
流指令値i1*が演算される。なお、三相の各相指令値
は、互いに120度ずつ位相が異なるのみであるから、
u相電流指令値iu*のみを示せば、数14である。
の差に応じてv1*が演算される。さらに、PWM変調器
5において、v1*がパルス幅変調信号に変換され、これ
に応じてインバータ1の出力電圧v1が制御されるた
め、i1はi1*に比例して制御される。この結果、i1は
i1d*,i1q*、およびθ*に従い制御される。
分検出器87,q軸成分電流調節器88,すべり周波数
演算器12,位相演算器10から構成される。電流成分
検出器87において、先ず、数15に従い電動機磁束Φ
が検出される。
磁束位相信号(sinθ,cosθ)が演算される。該信号を
基準に数3(θ*をθに置換)に従い、i1qが演算され
る。電流調節器88では、i1q*とi1qの差に基づいて
ωr^が演算される。すなわち、前述のようにi1d*,i
1q*に従いi1が制御される条件下では、i1qとi1q*の
差は、後述のθ*が磁束位相θと一致しないことが原因
であり、これを修正するように電流調節器88によりω
1*が制御される。この結果、θ*=θ が成立し、ベクト
ル制御が正しく行われる。ベクトル制御では電動機磁束
Φ2d* はトルク変化の影響を受けることなく所定値Φ2d
* に保たれるため、すべり周波数推定器12において数
5(i1qをi1q*に置換)に従いωS^が正しく推定され
る。また、ωr^(=ω1*−ωS^)についても正しく推
定される。尚、前記θ* は位相演算器10においてω1*
を積分して求められ、座標変換器83および電圧成分検
出器93の位相基準に用いられる。
令回路11、および速度調節器13から構成される。速
度指令値ωr*とωr^ の差に基づき速度調節器13にお
いてi1q*が演算され、i1q*に従いトルクτeが数4に
従い制御されるため、ωr^がωr*に一致するように速
度制御が行われる。以上が本速度センサなしベクトル制
御の基本動作である。しかし、このものにおいても、一
次抵抗の変動により特に低周波数運転において制御精度
が劣化する。これは電流成分検出器87において磁束Φ
を演算する際、数15が示すようにr1*を演算定数に用
いており、これが実際のr1 と一致しない場合にはΦに
誤差を生じるためである。磁束の推定位相誤差によりi
1qにも検出誤差を生じ、θ*=θ が成立せずベクトル制
御が不完全となる。このようにして、先の実施例と同様
に速度とトルクの制御精度が劣化する。
3、および磁束位置演算器94を付加し、この問題を解
決する。図10に磁束位置演算器94の演算内容の概要
を示す。図において、31Aは二相正弦波信号(sinω
t,cosωt)を出力する信号発生器、32Aは信号sin
ωtを入力し、モード1,2,3に応じて(1/√2)sin
ωt,(1/√2)sinωt,sinωtの各信号を出力する
スイッチ回路、33Aはモード1,2,3に応じて、
(1/√2)sinωt,−(1/√2)sinωt、0の各信号
を出力するスイッチ回路、34Aは電圧v1dと信号(cos
ωt)を乗算する乗算器、36Aは乗算器34Aの出力
を積分する積分器、38Aは積分器36Aの出力値に基
づいて各モードにおけるインダクタンス値Lσ1,L
σ2,Lσ3 を計測するインダクタンス演算器、39A
は各Lσに基づいて電動機磁束の位置角φ1 を演算する
演算器である。
ついて説明する。この基本概念は先述のものと変わらな
い。また、演算器39Aの演算内容も図3の演算器39
と同一であるので、Lσ1,Lσ2,Lσ3を求めるまで
の内容について述べる。
波電流i(=sinωt)を流し、これより発生する交流電
圧vを観測する。iの角周波数ωが二次時定数T2 の逆
数より、十分高い条件では、v/iの伝達関数は一次進
み系で近似できるため、vは数16で示される。
相な成分、および90°位相差成分を求め、それぞれが数
16の右辺第1項、および第2項に等しいとおいて、L
σを求めると、数17である。
め設定される量である。
のものでは交流電圧vを巻線に印加し、これにより流れ
る電流iからLσを計測したのに対し、本実施例では交
流電流iを巻線に流し、これより発生する電圧vから計
測するところにある。これ以降の演算、すなわち、φ=
φ1+π/4,φ1−π/4,φ1 の3巻線に順にiを流
し、それぞれのvからLσ1,Lσ2,Lσ3を計測し、
φ1を演算する内容については先の実施例と同様であ
る。すなわち、図10において、スイッチ回路32A、3
3Aにより、前述のように各モード毎に決定された
i1d″,i1q″がi1d*,i1q*に加算されて、電動機電
流i1に前述の正弦波電流iが重畳される。この結果、
各モードにおいて図7に示すモード1,2,3の方向に
交番電流iが流れ、これに応じて各方向に交番電圧vが
発生する。vはd軸上では同位相の量として観測される
ため、vはd軸電圧v1dから検出可能である。v1dは数
18に従い演算検出される。
器38Aにおいて、v1dと信号(cosωt)に基づいて、
数17の演算を行い、順次Lσ1,Lσ2,Lσ3 を求め
ることができる。そして、該各Lσに基づいて、演算器
39Aにおいてφ1 が演算される。この内容について
は、図3の演算器38,39と同一であるので、説明を
省略する。
いて説明する。システムの基本動作は先述した通りであ
る。低速運転における精度劣化を解決するため、磁束位
置演算器94が付加されているが、その出力演算値φ1
は、電動機の運転状態とは無関係に、すなわち回転速度
の大小に関係なく、また、一次抵抗変動の影響なしに計
測される。φ1 は前述したように、d軸からの磁束の
「ずれ角」に相当する。そこで、電流調節器88の入力
に、補償要素95を介してφ1 に応じた信号を加算し
(負極性)、φ1が零となるようにω1*およびθ*を修正
する。この時、θ*は実際の磁束位相θに一致するよう
になる。
θ*≠θとなる低速範囲でも、θ*=θとでき、ベクトル
制御を高精度に行うことができる。すなわち、本実施例
においても、先の実施例と同様に、零速度を含む全範囲
で速度とトルクの高精度制御を行うことができる。
図9のものでは、低速運転範囲での性能劣化を補償する
方法を提案したが、本実施例は従来の原理によらない速
度センサなしベクトル制御システムを提案する。すなわ
ち、図9の方式では、q軸成分電流調節器88において
i1q*とi1qの偏差に基づいて速度推定値ωr^を演算し
ているが、本実施例ではこれを用いず、代りにφ1 を補
償要素96を介して位相演算器10に加え、ω1*を制御
すると共に同要素の出力よりωr^ を得ている。このも
のでも、φ1=0となるように周波数ω1*が制御される
ため、θ*はθに一致しベクトル制御が行える。他の構
成要素の動作については図9のものと同一である。
置演算器を運転中において、常時動作させているが、高
速範囲では一次抵抗変動の影響が少なく問題とならない
ため、高速範囲では、磁束位置演算器の動作を休止さ
せ、従来通りの制御を行うようにしても、当然ながら、
前記と同様の効果が得られる。
は、運転中にφの3点測定により、3つのLσを求め
て、φ1 を演算しているが、φの1点測定により、単一
のLσを求めてφ1 を演算することもできる。すなわ
ち、電動機の実運転前静止運転中(ω1*=0)におい
て、φの3点測定を行い、数8のLσm およびaを求め
ておき、実運転時は数12にこれらLσm 、aを既知量
として与え、φ1 を演算するものである。Lσm および
aは以下のようにして求めることができる。すなわち、
静止運転中(ω1*=0)において、i1d* を所定値に設
定し所定の励磁電流i1dを流した条件で、φの3点測定
を行い、3つのLσを求める。それぞれをLσ10,Lσ
20,Lσ30とおけば、数9〜数13から、Lσm および
aは、数19、数20で示される。
条件では不変であるため、実運転では、これらの値を数
12に代入して、φ1 を求めることができる。すなわ
ち、d軸の電圧、あるいは電流のみに交流信号を重畳す
る、φの1点測定により数21に従いφ1を演算でき
る。
により数19に従い、Lσm のみを求めておき、実運転
時においてφの2点測定により、前述と同様、数20お
よび数21に従い、aおよびφ1を求めることもでき
る。
に限らず、他の任意の交流信号であってもよい。交流信
号の基本波成分を基準として、電動機電流あるいは電圧
をフーリエ変換することにより、前述と同様にLσを演
算できるからである。
号に交流信号を重畳し、電動機電流あるいは電圧に含ま
れる関係成分に基づいてLσを演算しているが、これら
の演算をインバータとは別置の装置を用いて独立に行う
こともできる。該装置で求めたφ1をインバータに送り
同様に制御しても、同様の効果が得られる。
θ*を変化させているが、φ1 に限らずφ1の関数であっ
て、φ1と略比例関係があるものならば同様に使用で
き、同様の効果が得られる。
ンサ付ベクトル制御における二次抵抗変動の補償法につ
いて、特に零速度を含め補償が可能であり、電動機取付
けの温度センサが不要な方法について述べる。図12に
この補償を行う本発明適用のベクトル制御システムを示
す。図において、1,2,4〜7,10,11,14は
図1に示す同一番号のものと同一物であるので説明を省
略する。101は電流指令i1d*,i1q*および周波数指
令ω1*に基づいて電圧指令v1d*,v1q*の誘導起電力成
分を演算する非干渉制御器、9,8Aは電流偏差i1d*
−i1d およびi1q*−i1q の各々に応じた値を出力す
るd軸成分,q軸成分電流調節器、104は電動機の回転
速度ωrを検出する速度検出器、13はωr*とωrの差に
応じてi1q*を出力し速度制御を行う速度調節器、10
6はi1q*に係数を乗算してすべり周波数指令値ωS*を
出力するすべり周波数演算器、107は前記係数として
用いる二次抵抗値r2*を設定する二次抵抗設定器、10
8は前記ωS*とωr を加算しω1*を出力する加算器、1
09は磁束位置演算器14からの磁束位置角φ1 に応じ
た信号を加算器108に加える際の補償要素、110は
φ1 に応じた信号を加算器111に加え、r2* を修正
する際に用いる補償要素である。
ステムは大別して4つの部分に分けられる。第1の部分
は出力電圧制御部であり、非干渉制御器101,座標変
換器4およびパルス幅変調器5で構成される。
い、電動機電圧の誘導起電力成分e1d*,e1q*が演算さ
れる。
電圧指令v1d*,v1q*が演算される。座標変換器4およ
びパルス幅変調器5により、図1の実施例と同様にし
て、インバータ出力電圧v1が制御される。
器6,電流成分検出器7および2つの電流制御器9,8
Aから構成される。電流成分検出器7において図1の実
施例と同様にして電流成分i1d,i1qが検出される。電
流調整器9,8Aにより、i1d,i1qの各制御偏差に応
じてv1d*,v1q*が修正されるため、i1dはi1d*に、
i1qはi1q*に一致するように制御される。この時、電
動機発生トルクτeは前記数4で示され、i1q*に比例し
て制御される。
回路11,速度検出器104および速度調節器13から
構成される。速度偏差ωr*−ωrに応じてi1q*が演算さ
れ、前述のようにi1q*に比例してトルクτeが制御され
るため、ωr はωr*に一致するように速度制御が行われ
る。
周波数演算器106,二次抵抗設定器107および加算
器108で構成される。演算器106において数23に
従いすべり周波数指令値ωS*が演算される。
求め、さらに位相演算器10において、ω1*を積分して
θ* が求められる。この時、インバータの出力周波数は
ω1*に、また電動機のすべり角周波数はωS*に制御され
る。
作である。ところで、すべり周波数ωSが数24の関係
に制御されるならば、前記θ*はθに一致し、i1d,i
1qのそれぞれに応じて電動機磁束およびトルクが高精度
制御される。
次抵抗設定値r2*を用いて演算されたωS*によりすべり
周波数が制御されるため、電動機二次巻線の温度変化に
より二次抵抗が変動すると、ωS*がωSと不一致とな
り、この結果θ*がθに一致しなくなる。この場合、磁
束およびトルクを指令値(i1d*,i1q*)に従い制御す
ることができず、高精度制御が行えない。
を付加し、この問題を解決する。すなわち、図1の実施
例と同様に、演算器14からの正弦波信号v1d″,
v1q″を電圧指令v1d*,v1q*にそれぞれ加算し、これ
に伴う電流i1dの成分に基づいてインダクタンスが計測
され、磁束位置角φ1が推定される。φ1はd軸に対する
磁束方向の「ずれ角」に相当するため、φ1を補償要素1
09を介して加算器108に加え、ω1*を修正すること
により、φ1 を零に近付けることができる。この時、θ
* はθに一致する(φ1=0であればθ*=θ)。このよ
うにして、例え二次抵抗変動によりωS*が適正値ωSか
ら変化しても、すべり周波数は適正値ωSに修正され、
θ*=θに保つことができ、磁束およびトルクを指令値
(i1d*,i1q*)に従い高精度に制御することができ
る。
る代りに、二次抵抗設定値r2*を修正するようにしても
同様の制御が可能である。すなわち、φ1 を補償要素1
10を介して加算器111に加え、r2*を修正するよう
にしても(修正後の値(r2*+Δr2)は実際値r2に一
致)、φ1を零にでき、θ*はθに一致し、高精度制御が
行える。
バータの出力電流瞬時値i1 をフイードバック制御する
交流電流制御系を備えたベクトル制御システムにおいて
二次抵抗変動補償を行うために本発明を適用した例であ
る。同図の部品符号において、図9,図12に示した図
示例の各部と同一機能を有する部分には同一符号を付し
てそれらの重複する説明は省略する。
べる。電流制御については、図9のそれに、速度制御お
よび周波数制御については図12のそれに、また磁束位
置演算については図9のそれに同じであるので、概要に
ついて述べる。
i1d*に基づいて、座標変換器83において演算された
交流電流指令値i1*に従い、インバータ1の出力電流i
1 が制御される。また、回転速度ωr とすべり周波数指
令値ωS*の加算値ω1*によりインバータ出力周波数が制
御される。すべり周波数は前記数23に従い制御される
が、二次抵抗値r2が変動するとθ*はθに一致しなくな
り、高精度制御が行えない。そこで、磁束位置演算器9
4を付加し、前述と同様にして磁束位置角φ1 を求め、
φ1 を補償器109を介して加算器108に加えω1*を
修正する、あるいはφ1 を補償器110を介して加算器
111に加えr2*を修正する。これにより前記実施例と
同様に、高精度制御が行える。
なる場合でも、θ*=θとでき、特に従来では困難であ
った零速度付近での補償を行うことができる。
位置演算器を運転中において常時動作させ、二次抵抗変
動補償を行うようにしているが、高速回転範囲では従来
の補償法、例えば誘導起電力あるいは電動機磁束の変動
に基づいてすべり周波数を修正する方法を用いても、十
分な補償精度が得られるため、高速回転範囲では磁束位
置演算器の動作を休止させ、従来通りの補償を行うよう
にしても、当然ながら図12に示す前記実施例と同じ効
果が得られる。
を含む全速度範囲で高精度速度制御が行える速度センサ
なしベクトル制御システムおよび零速度近傍を含む全速
度範囲で二次抵抗変動補償が行える(速度センサ付)ベ
クトル制御システムを提供することができる。
れを用いた電動機制御法を各種システムに適用した場合
の実施例について説明する。
14、ならびに図15に示す装置により実現できる。図
14において、120はベクトル制御装置(センサな
し、あるいはセンサ付)やV/F制御装置のような誘導
機に加わる最終的な指令電圧を出力する指令値発生器、
121は指令電圧に対して忠実な電圧を出力するインバ
ータやリニアアンプなどの励磁器、6は誘導機の一次電
流検出用の電流センサー、2は誘導電動機、124は同
定電圧vh*を発生し、そのvh*と誘導機一次電流から磁
束位置φ1 を演算する磁束位置演算器、1241は誘導
機一次電流から同定電圧の周波数と同一の電流成分ih
のみを抽出するフィルターなどの信号抽出器、1242
はvh*とihから誘導機の磁束位置φ1を演算するφ1 演
算器である。
制御装置(センサなし、あるいはセンサ付)やすべり周
波数制御装置のような誘導機に加わる最終的な指令電流
を出力する指令値発生器、131は指令電流に対して忠
実な電流を出力するインバータやリニアアンプなどの励
磁器、132は誘導機の一次電圧検出用の電圧センサ
ー、2は誘導電動機、133は同定電流ih*を発生し、
そのih*と誘導機一次電流から磁束位置φ1 を演算する
磁束位置演算器、1331は誘導機一次電圧から同定電
流の周波数と同一の電圧成分vh のみを抽出するフィル
ターなどの信号抽出器、1332はih*とvh から誘導
機の磁束位置φ1を演算するφ1演算器である。
述べた計算法により、電動機内の磁束位置を求めること
ができる。また、図14と図15を組み合わせ、電流セ
ンサーと電圧センサーの両方を備えて、それらの値から
磁束位置の演算を行うことも可能であり、むしろその方
が精度的に優れたものになる。図14,図15の1241と
1242,1331と1332は、数7から数13に代
表される磁束位置演算アルゴリズムを実現する装置であ
る。
サーボシステムの実施例である。このシステムを用いる
ことにより、始動時,低速時における制御応答が改善さ
れる。図16において、140は位置指令p* を発生す
る位置指令発生器、141は実際の位置p,位置指令p
*,磁束位置演算器からの磁束位置情報φ1(あるいはφ
1 に関係した値)を用いてインバータへの指令電圧を計
算する位置制御器、1は入力指令電圧v1*に従って電圧
を誘導機に印加するインバータ、143は誘導機により
駆動される機械系システム(制御対象)、144は制御
目的の位置を検出する位置センサである。また、2,
6,124は図14に従う。
ル駆動用などに用いられている。このものでは高速回転
のため、機械強度上から電動機の速度センサ取付けが問
題となる。このため、速度センサの不要化が望まれてい
る。スピンドル駆動では、低速度域から十分なトルクが
要求されるが、図16に示すサーボシステムを用いれ
ば、これに応じることができ、高性能な位置制御が実現
できる。
機ドライブシステムの実施例である。このシステムを用
いることにより、速度センサなしで高い圧延精度の実現
が可能となる。図17において、150は電動機の速度
指令ωr*を発生する速度指令発生器、151は電動機速
度ωr ,速度指令ωr*,磁束位置演算器からの磁束位置
情報φ1(あるいはφ1に関係した値)を用いてインバー
タへの指令電圧を計算する速度制御器(ベクトル制御器
など)、152は電動機一次電流から電動機速度を推定
する速度演算器、153は誘導機により駆動される圧延
機システムである。また、1,2,6,124は図16
に従う。
センサ付ベクトル制御誘導機が多数使用されている。し
かし、電動機の設置場所が埃,振動,熱(温度上昇)な
どを伴うような悪環境の場合が多く、このため電動機取
付けの速度センサは過酷な条件に置かれることとなり、
これに故障が多く発生する。また電動機の設置場所によ
ってはメンテナンスが困難な場合もあり、修復に多大な
時間がかかる。このため、速度センサなしの電動機制御
システムの適用が注目されている。従来では低速度域に
おいて、速度の制御精度が低く、このため、同一ライン
で用いる電動機間にトルクの不均一を生じ、円滑な運転
が行えないという制御性能上の問題があった。
ステムによれば、零速度を含む全速度範囲で高精度制御
が行えるため、上述の問題が解決し、速度センサなしに
よるメンテナンスフリー化が実現される。
したトルク制御系の実施例であり、システムとしては電
車,電気自動車などが挙げられる。このシステムを用い
ることにより、高効率化,電動機の小形化が実現できる
ようになる。
指令t* を発生するトルク指令発生器、161は実際の
電動機トルクt,トルク指令t* ,磁束位置演算器から
の磁束位置情報φ1(あるいはφ1に関係した値)を用い
てインバータへの指令電圧を計算するトルク制御器、1
62は電動機一次電流から電動機トルクを推定するトル
ク演算器、163は誘導機により駆動される電車、ある
いは電気自動車の駆動系である。また、1,2,6,1
24は図16に従う。
低速運転においても十分なトルクが要求されるが、特に
上り坂発進などでは重力に打ち勝つ必要から、零速度に
おいても十分なトルクが必要とされる。
れを用いてインバータ出力周波数を制御する、速度セン
サ付システムが用いられている。
動が多く、速度センサの信頼性に問題があるため、速度
センサの不要化が望まれている。本発明によれば、零速
度を含む全速度範囲で速度センサなしで十分なトルクが
得られることから、高信頼システムを実現することがで
きる。また、低速度領域においても、トルク分電流と実
トルクの間の比例関係が保たれるため、不必要な電流を
流す必要がなく、システムの高効率化,電動機の小形化
が実現できる。
ベータシステムである。このシステムを用いることによ
り、システム構成の簡単化,小形化などが実現できるよ
うになる。
りかごの位置指令p* を発生する位置指令発生器、17
1はエレベータの乗りかごの実際位置p,位置指令p*
から速度指令ωr*を計算する位置制御器、172は電動
機速度ωr ,速度指令ωr*からトルク指令τe*を計算す
る速度制御器、173は電動機トルクτe ,トルク指令
τe*からインバータへの指令電圧を計算するトルク制御
器、174は電動機トルクから電動機速度を推定する速
度演算器、175は電動機一次電流から電動機トルクを
推定するトルク演算器、176は誘導機により駆動され
るエレベータシステム、177はエレベータの乗りかご
位置を検出する位置センサである。磁束位置演算器12
4からの磁束位置情報φ1(あるいはφ1に関係した値)
は、必要に応じて171から173の制御器に与える。
また、1,2,6,124は図16に従う。
から、重力あるいは静止摩擦力に打ち勝つだけの大きな
始動トルクが要求される。そのため、従来技術を適用し
た場合には低速度域においてトルク不足が生じ、これを
償うように電動機およびインバータには大電流が流れる
ことからこれらが大形化する問題があった。
を含む全速度範囲で高精度制御が行えることから、シス
テムの構成の簡単化と同時に上述したトルク不足および
これに伴う問題が解消される。
いくつかのシステムについて実施例を示した。図14の
代りに図15の磁束位置演算器を用い、インバータとし
て電流制御形インバータを用いても同様な効果が得られ
る。
実施例を示したが、速度センサ付のシステムにおいて
も、電動機磁束位置情報を利用して二次抵抗補正を行う
ことで制御精度,応答速度の改善が期待できる。
イブおよびプロセスラインなどには速度センサ付ベクト
ル制御が用いられているが、電動機の温度変化による二
次抵抗変動により、「従来の技術」の項で述べたような
不具合が発生する。トルクに応じた電動機電圧(磁束)
の変動は、インバータ出力電圧の許容最大値を上昇さ
せ、インバータの大形化を招く。また、トルクの制御遅
れは高応答制御を難しくする。本発明による速度センサ
付きベクトル制御システムによれば、上述の問題が解消
し、経済性に優れかつ高応答高性能なシステムが実現さ
れる。
ボシステムには、現状では速度センサ付システムが多く
用いられている。これらのものにも本発明による制御シ
ステムを適用すれば、上述の圧延機ドライブにおけるも
のと同様の効果が得られる。
の影響を受けずに、電動機内の磁束の位置を正確に推定
することができるため、磁束位置を基準としたベクトル
制御が可能となり、零速度近傍を含めて高精度な位置,
速度、およびトルク制御が実現できる。
御装置の構成図である。
である。
示す図である。
ドのベクトル図である。
制御装置の構成図である。
制御装置の構成図である。
る。
ル制御装置の構成図である。
成図である。
成図である。
る。
る。
ある。
である。
る。
器、4…座標変換器、5…PWM信号発生器、6…電流
検出器、7…電流成分検出器、8…q軸成分電流調節
器、9…d軸成分電流調節器、10…位相演算器、11
…速度指令回路、12…すべり周波数演算器、13…速
度調節器、14…磁束位置演算器、15…補償要素、1
6…補償要素。
Claims (6)
- 【請求項1】PWM制御したインバータにより誘導電動
機を駆動するベクトル制御装置における誘導電動機の磁
束位置演算方法において、 該ベクトル制御装置の電圧指令演算器の出力に電動機電
流の基本波と異なる周波数の交流信号を加算し、 前記交流信号の電圧と電動機電流とから、前記交流信号
の電圧を基準にして、該電動機電流をフーリエ変換して
前記電動機巻線の漏れインダクタンスを算出し、 該漏れインダクタンスの算出を電動機内部の3つの異な
る方向に交番起磁力を生じさせて行い、前記3つの異な
る方向がそれぞれ電気角で45°の角度差を有すること
を特徴とする誘導電動機の磁束位置演算方法。 - 【請求項2】請求項1において、前記誘導電動機の実運
転前静止運転中に、前記変換器より前記電動機に前記交
流信号を加えて前記電動機の前記漏れインダクタンスを
予め計測し、前記漏れインダクタンスの特徴量である平
均値および変動幅の両方、あるいは一方を演算して記憶
し、実運転中に、前記3つの異なる方向の1つあるいは
2つの漏れインダクタンスを計測し、該インダクタンス
値と前記特徴量とに基づいて、電動機磁束の位置を求め
ることを特徴とする誘導電動機の磁束位置演算法。 - 【請求項3】交流電力を出力する電力変換器と、該変換
器により駆動制御される誘導電動機と、該誘導電動機に
接続された機械系と、少なくとも前記機械系の位置を検
出する手段と、その位置を指令する手段と、前記位置の
検出値が前記指令値になるように出力信号を発生する位
置制御手段と、該出力信号に基づいて前記変換器を制御
する手段とを備えて前記機械系の位置制御を行うACサ
ーボシステムにおいて、 請求項1〜2に記載のいずれかの磁束位置演算方法によ
る磁束位置演算手段を有し、該磁束位置演算手段からの
磁束位置情報により前記位置制御手段における出力信号
を補正することを特徴としたACサーボシステム。 - 【請求項4】交流電力を出力する電力変換器と、該変換
器により駆動制御される誘導電動機と、該誘導電動機を
動力源として圧延用ロールを駆動する圧延機と、少なく
とも誘導電動機の回転数あるいはロールの回転数を推
定、あるいは検出する手段と、その回転数を指令する手
段と、前記回転数の推定値あるいは検出値が前記指令値
になるように出力信号を発生する速度制御手段と、該出
力信号に基づいて前記変換器を制御する手段とを備えて
前記圧延用ロールを速度制御を行う圧延機ドライブシス
テムにおいて、 請求項1〜2に記載のいずれかの磁束位置演算方法によ
る磁束位置演算手段を有し、該磁束位置演算手段からの
磁束位置情報により前記速度制御手段における出力信号
を補正することを特徴とした圧延機ドライブシステム。 - 【請求項5】交流電力を出力する電力変換器と、該変換
器により駆動制御される誘導電動機と、該誘導電動機を
動力源とする電車あるいは電気自動車と、少なくとも前
記電車あるいは電気自動車の駆動トルクを検出あるいは
推定する手段と、そのトルクを指令する手段と、前記ト
ルクの検出値あるいは推定値が前記指令値になるように
出力信号を発生するトルク制御手段と、該出力信号に基
づいて前記変換器を制御する手段とを備えた電車あるい
は電気自動車システムにおいて、 請求項1〜2に記載のいずれかの磁束位置演算方法によ
る磁束位置演算手段を有し、該磁束位置演算手段からの
磁束位置情報により前記トルク制御手段における出力信
号を補正することを特徴とした電車あるいは電気自動車
システム。 - 【請求項6】交流電力を出力する電力変換器と、該変換
器により駆動制御される誘導電動機と、該誘導電動機を
動力源とするエレベータと、該エレベータの乗りかごの
位置を検出する手段と、前記乗りかご位置を指令する手
段と、前記乗りかご位置の検出値がその指令値になるよ
うに第1の出力信号を発生させる位置制御手段と、前記
誘導電動機の回転数を推定あるいは検出する手段と、前
記第1の出力信号をもって前記誘導電動機の回転数指令
とし、この指令値に前記誘導電動機の回転数の推定値あ
るいは検出値がなるように第2の出力信号を発生させる
速度制御手段と、前記誘導電動機のトルクを推定あるい
は検出する手段と、前記第2の出力信号をもって前記誘
導電動機のトルク指令とし、この指令値に前記誘導電動
機のトルクの推定値あるいは検出値がなるように第3の
出力信号を発生させるトルク制御手段と、前記第3の出
力信号に基づいて前記変換器を制御する手段とを備えた
エレベータ駆動システムにおいて、 請求項1〜2に記載のいずれかの磁束位置演算方法によ
る磁束位置演算手段を有し、該磁束位置演算手段からの
磁束位置情報により前記第1、第2、第3の出力信号の
うち少なくとも一つを補正することを特徴としたエレベ
ータ駆動システム。
Priority Applications (5)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP25802293A JP3309520B2 (ja) | 1993-10-15 | 1993-10-15 | 誘導電動機の制御方法 |
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