JPH05255273A - 5−アルキルヒダントイン誘導体の製造法 - Google Patents

5−アルキルヒダントイン誘導体の製造法

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JPH05255273A
JPH05255273A JP4053458A JP5345892A JPH05255273A JP H05255273 A JPH05255273 A JP H05255273A JP 4053458 A JP4053458 A JP 4053458A JP 5345892 A JP5345892 A JP 5345892A JP H05255273 A JPH05255273 A JP H05255273A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】5−アルキリデンヒダントイン誘導体を還元し
て5−アルキルヒダントイン誘導体を製造する方法にお
いて、還元のための特殊な装置を使用する必要のない、
簡便かつ安全な製造法を提供する。 【構成】5−アルキリデンヒダントイン誘導体をパラジ
ウム触媒存在下に、蟻酸またはその塩を用いて還元す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、アミノ酸等の合成中間
体として有用な5−アルキルヒダントイン誘導体の製造
法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、5−アルキリデンヒダントイン誘
導体を還元して5−アルキルヒダントイン誘導体を製造
する方法としては、パラジウム、ニッケルなどを触媒と
して、水素雰囲気下、常圧または加圧条件下で行う方法
が知られている。しかし、この方法では、オートクレー
ブ等の還元のための特殊な装置を必要とし、危険な水素
を使用するという問題点があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、5−
アルキリデンヒダントイン誘導体を還元して5−アルキ
ルヒダントイン誘導体を製造する方法において、還元の
ための特殊な装置を使用する必要のない、簡便かつ安全
な製造法を提供することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者は上記課題を解
決するため鋭意検討した結果、5−アルキリデンヒダン
トイン誘導体が、パラジウム触媒存在下に蟻酸またはそ
の塩により、迅速かつ円滑に還元され、5−アルキルヒ
ダントイン誘導体が得られることを見いだし、本発明を
完成させた。
【0005】即ち、本発明は一般式(I)
【化3】 (式中、R1及びR2は同一または異なって、水素原子、
置換基を有しても良いアルキル基、置換基を有しても良
いアリール基、置換基を有しても良い複素環基を示
す。)で表わされる5−アルキリデンヒダントイン誘導
体をパラジウム触媒存在下に、蟻酸またはその塩を用い
て還元することを特徴とする一般式(II)
【化4】 (式中、R1及びR2は一般式(I)におけると同じ。)
で表わされる5−アルキルヒダントイン誘導体の製造法
に関するものである。
【0006】本発明の方法で使用される原料は、前記一
般式(I)で表わされる5−アルキリデンヒダントイン
誘導体であって、対応するアルデヒドまたはケトンとヒ
ダントインを塩基性触媒の存在下に反応するなど公知の
方法により容易に得ることができる。
【0007】R1及びR2が表わす置換基の例としては、
水素原子;メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、
ブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-ヘキシル、シク
ロ ヘキシル、n-オクチル、n-オクタデシル、ベンジ
ル、フェネチル、ナフチルメチル、アミノメチル及びメ
トキシメチル基等置換基を有してもよい炭素数1〜20
のアルキル基;フェニル、ヒドロキシフェニル、メトキ
シフェニル、アミノフェニル、トリル、キシリル、クメ
ニル、ナフチル、アントリル及びフルオレニル基等置換
基を有してもよい炭素数6〜20のアリール基;ピリジ
ル、インドリル、チエニル、フリル、ピロリル、チアゾ
リル及びイミダゾリル基等置換基を有してもよい炭素数
2〜18の複素環基が挙げられるが、特に限定されるも
のではない。
【0008】本発明で使用されるパラジウム触媒は、金
属の状態で使用することもできるが、通常は担体表面に
付着させて用いる。例としては、パラジウム炭素、パラ
ジウム黒、パラジウムアルミナなどが挙げられる。触媒
の使用量は、目的の反応を完結できる量であれば特に限
定されないが、通常、原料の5−アルキリデンヒダント
イン誘導体に対して1〜20モル%、好ましくは3〜1
5モル%である。
【0009】本発明の方法で使用される蟻酸またはその
塩はそのまま加えても溶液として加えてもよい。塩とし
ては、例えばアンモニウム;メチルアミン、エチルアミ
ン、エタノールアミン及びエチレンジアミン等の1級ア
ミン;ジメチルアミン、ジエチルアミン、ピペリジン、
ピロリジン及びモルホリン等の2級アミン;トリメチル
アミン、トリエチルアミン及びN−メチルモルホリン等
の3級アミン;ナトリウム及びカリウム等のアルカリ金
属;マグネシウム及びカルシウム等のアルカリ土類金属
が挙げられる。また、これらは蟻酸と別に加えて、反応
系内で塩を形成させても差し支えない。これらの蟻酸ま
たはその塩の使用量は、目的の反応を完結できる量であ
れば特に限定されないが、通常、原料の5−アルキリデ
ンヒダントイン誘導体に対して2〜15倍モル、好まし
くは4〜10倍モルである。
【0010】本発明の方法では、通常、溶媒を使用す
る。反応溶媒としては、溶媒自身が反応せず、かつ、反
応に悪影響を及ぼさず、更に原料及び蟻酸またはその塩
が反応に必要な程度に溶解し得るものであれば特に限定
されないが、例えば、メタノール、エタノール、プロパ
ノール、イソプロパノール、ジメチルホルムアミド、ジ
メチルアセトアミド、ジオキサン、酢酸及びこれらの混
合溶媒等が挙げられる。また、これらは水を含んでいて
もよい。これら溶媒の使用量は、反応液が効率的に攪拌
できる量であれば特に限定されないが、通常、原料の5
−アルキリデンヒダントイン誘導体に対して2〜20倍
容量、好ましくは5〜15倍容量である。
【0011】本発明の方法は、上記で説明した原料、溶
媒及び蟻酸またはその塩を一度にまたは順次反応器に加
え、反応を行えばよい。反応温度は反応が進行しかつ生
成物が分解しない温度であれば特に限定されないが、通
常40〜130℃、好ましくは70〜100℃である。
反応時間は原料の5−アルキリデンヒダントイン誘導体
の種類及び反応温度にもよるが、通常1〜6時間であ
り、例えば、5−ベンジリデンヒダントインを原料とし
て80℃で反応する場合は3時間程度となる。
【0012】反応終了後はパラジウム触媒を濾過、遠心
分離などにより除去し、必要に応じて濃縮した後、水等
を加えて生成物の溶解性を低下させて冷却すれば5−ア
ルキルヒダントインが析出するので、これを常法により
反応液から分離し、乾燥すればよい。これを再結晶等に
より精製するのは任意である。
【0013】
【効果】本発明の方法によれば、還元のための特殊な装
置を使用することなく、通常の反応装置を用いて5−ア
ルキリデンヒダントインから5−アルキルヒダントイン
を簡便かつ安全に製造することができる。
【0014】
【実施例】以下に実施例を示して本発明をより詳細に説
明する。
【0015】実施例1 攪拌装置および冷却管を備えた反応器にN,N−ジメチ
ルホルムアミド(以下DMFと略す。)20ml、5−ベン
ジリデンヒダントイン3.00g、含水10%パラジウム炭素
(以下Pd-Cと略す。)(水分50%)2.38gを入れ、系内を
窒素で置換した後、80℃の油浴中で攪拌しつつ、蟻酸4.
40gを滴下した。3時間加熱攪拌を続けた後、Pd-Cを濾別
し、濾液を約10mlまで濃縮し、この濃縮液に攪拌下60ml
の水を加え、生成した白色の結晶を濾取、水洗の後、40
℃にて一夜減圧乾燥して、5−ベンジルヒダントイン2.
59gを得た。この粗結晶をエタノールから再結晶して精
製品とした。
【0016】高分解能マススペクトル分析(FABモー
ド),計算値(M+H+;C10H11N2O2):191.0821、実測値:19
1.0836、赤外分光分析(cm-1),3210,2357,1960,1753,1
701,1426,1308,1210,1084,997,904,492、薄層クロマト
グラフィー(酢酸エチル:n−ヘキサン=4:1),R
f=0.67。
【0017】実施例2 反応容器にDMF30ml、5−(1−ナフチルメチレン)
ヒダントイン3.00g、含水10%Pd-C(水分50%)1.87gを入
れ、系内を窒素で置換した後、80℃の油浴中で攪拌しつ
つ、蟻酸3.48gを滴下した。3時間加熱攪拌を続けた後、
Pd-Cを濾別し濾液に攪拌下80mlの水を加え、生成した白
色の結晶を濾取、水洗の後、40℃にて一夜減圧乾燥し
て、5−(1−ナフチルメチル)ヒダントイン2.72gを
得た。この粗結晶を氷酢酸から再結晶して精製品とし
た。
【0018】高分解能マススペクトル分析(FABモー
ド),計算値(M+H+;C14H13N2O2):241.0977、実測値:24
1.0983、赤外分光分析(cm-1),3202,2361,1779,1730,1
514,1406,1250,1192,1007,949,785,440、薄層クロマト
グラフィー(酢酸エチル:n−ヘキサン=4:1),R
f=0.66。
【0019】実施例3 反応容器にDMF30ml、5−(2−ナフチルメチレン)
ヒダントイン3.00g、含水10%Pd-C(水分50%)1.87gを入
れ、系内を窒素で置換した後、80℃の油浴中で攪拌しつ
つ、蟻酸3.48gを滴下した。3時間加熱攪拌を続けた後、
Pd-Cを濾別し濾液に攪拌下80mlの水を加え、生成した白
色の結晶を濾取、水洗の後、40℃にて一夜減圧乾燥し
て、5−(2−ナフチルメチル)ヒダントイン2.60gを
得た。この粗結晶を氷酢酸から再結晶して精製品とし
た。
【0020】高分解能マススペクトル分析(FABモー
ド),計算値(M+H+;C14H13N2O2):241.0977、実測値:24
1.0954、赤外分光分析(cm-1),3250,2361,1748,1712,1
431,1312,1208,1082,1003,901,752,478、薄層クロマト
グラフィー(酢酸エチル:n−ヘキサン=4:1),R
f=0.54。
【0021】実施例4 反応容器にDMF20ml、エタノール10ml、5−(p−メ
トキシベンジリデン)ヒダントイン3.00g、含水10%Pd-C
(水分50%)1.46gを入れ、系内を窒素で置換した後、80
℃の油浴中で攪拌しつつ、蟻酸モノメチルアンモニウム
の50w/w%水溶液10.60gを30分かけて滴下した。滴下終了
後2時間30分加熱攪拌を続けた後、Pd-Cを濾別し、濾液
を約10mlまで濃縮し、この濃縮液に攪拌下60mlの水を加
え、生成した白色の結晶を濾取、水洗の後、40℃にて一
夜減圧乾燥して、5−(p−メトキシベンジル)ヒダン
トイン2.55gを得た。この粗結晶をエタノールから再結
晶して精製品とした。
【0022】高分解能マススペクトル分析(FABモー
ド),計算値(M+H+;C11H13N2O3):221.0926、実測値:22
1.0910、赤外分光分析(cm-1),3181,2060,1765,1709,1
514,1431,1310,1254,1184,1030,824,515、薄層クロマト
グラフィー(酢酸エチル:n−ヘキサン=4:1),R
f=0.55
【0023】実施例5 反応容器にDMF20ml、5−イソブチリデンヒダントイ
ン3.00g、含水10%Pd-C(水分50%)2.07gを入れ、系内を
窒素で置換した後、80℃の油浴中で攪拌しつつ、蟻酸ア
ンモニウム1.53gを投入した。更に15分後1.53g、45分後
3.07gの蟻酸アンモニウムを投入した後、3時間15分加熱
攪拌を続けた。反応終了後Pd-Cを濾別し、濾液を約15ml
まで濃縮し、この濃縮液に攪拌下60mlの水を加え、生成
した白色の結晶を濾取、水洗し、更に20%エタノール中
でスラリー洗浄を行った後、40℃にて一夜減圧乾燥し
て、5−イソブチルヒダントイン2.18gを得た。この粗
結晶をエタノールから再結晶して精製品とした。
【0024】高分解能マススペクトル分析(FABモー
ド),計算値(M+H+;C7H13N2O2):157.0977、実測値:15
7.0976、赤外分光分析(cm-1),3204,2039,1771,1734,1
429,1251,1196,1005,916,814,644,463、薄層クロマトグ
ラフィー(酢酸エチル:n−ヘキサン=4:1),Rf
=0.55。
【0025】実施例6 反応容器にエタノール30ml、5−(1−メチルプロピリ
デン)ヒダントイン3.00g、含水10%Pd-C(水分50%)2.0
7gを入れ、系内を窒素で置換した後、100℃の油浴中で
還流攪拌しつつ、蟻酸アンモニウムの50w/w%水溶液12.2
8gを30分かけて滴下した。滴下終了後、さらに1時間30
分加熱還流を続けた。反応終了後Pd-Cを濾別し濾液を約
10mlまで濃縮し、この濃縮液に40mlの水を加えた後、再
び20mlまで濃縮した。濃縮液を10℃まで冷却した後、濾
取、水洗して得た白色の結晶を40℃にて一夜減圧乾燥し
て、5−(1-メチルプロピル)ヒダントイン2.25gを得
た。この粗結晶をエタノールから再結晶して精製品とし
た。
【0026】高分解能マススペクトル分析(FABモー
ド),計算値(M+H+;C7H13N2O2):157.0977、実測値:15
7.0972、赤外分光分析(cm-1),3206,2039,1782,1712,1
423,1202,1005,955,754,654,536,457、薄層クロマトグ
ラフィー(酢酸エチル:n−ヘキサン=4:1),Rf
=0.58。
【0027】実施例7 反応容器にエタノール150ml、5−(1−メチルプロピ
リデン)ヒダントイン15.00g、含水10%Pd-C(水分50%)
10.35gを入れ、系内を窒素で置換した後、100℃の油浴
中で還流攪拌しつつ、蟻酸モノメチルアンモニウムの50
w/w%水溶液75.00gを30分かけて滴下した。滴下終了後、
さらに1時間30分加熱還流を続けた。反応終了後Pd-Cを
濾別し濾液を約50mlまで濃縮し、この濃縮液に攪拌下24
0mlの1N塩酸を加えた後、再び100mlまで濃縮した。濃
縮液を10℃まで冷却した後、濾取、水洗して得た白色の
結晶を40℃にて一夜減圧乾燥して、5−(1-メチルプ
ロピル)ヒダントイン12.23gを得た。
【0028】実施例8 反応容器にエタノール30ml、DMF10ml、5−シクロヘ
キシルメチレンヒダントイン3.00g、含水10%Pd-C(水分
50%)1.64gを入れ、系内を窒素で置換した後、100℃の
油浴中で還流攪拌しつつ、蟻酸モノメチルアンモニウム
の50w/w%水溶液11.44gを20分かけて滴下した。滴下終了
後、さらに2時間加熱攪拌を続けた。反応終了後Pd-Cを
濾別し濾液を冷却し、生成した白色の結晶を濾取し、冷
エタノール洗浄の後、40℃にて一夜減圧乾燥して、5−
シクロヘキシルメチルヒダントイン2.04gを得た。この
粗結晶をエタノールから再結晶して精製品とした。
【0029】高分解能マススペクトル分析(FABモー
ド),計算値(M+H+;C10H17N2O2):197.1290、実測値:19
7.1302、赤外分光分析(cm-1),3223,2361,2029,1767,1
732,1425,1258,1196,1121,1013,802,461、薄層クロマト
グラフィー(酢酸エチル:n−ヘキサン=4:1),R
f=0.49。
【0030】実施例9 反応容器にDMF30ml、5−(1−メチルピロール−2
−イルメチレン)ヒダントイン3.00g、含水10%Pd-C(水
分50%)1.67gを入れ、系内を窒素で置換した後、80℃の
油浴中で攪拌しつつ、蟻酸アンモニウム1.65gを投入し
た。更に10分後および20分後にそれぞれ1.65gの蟻酸ア
ンモニウムを投入した後、2時間加熱攪拌を続けた。反
応終了後Pd-Cを濾別し濾液を乾固するまで濃縮して油状
残渣を得、これを少量の酢酸エチルに溶解した後、n−
ヘキサンを加えて淡黄色の結晶を得た。これを濾取し、
更に酢酸エチル、n−ヘキサンの混合溶媒で洗浄した
後、室温にて一夜減圧乾燥して、5−(1−メチルピロ
ール−2−イルメチル)ヒダントイン2.54gを得た。こ
の粗結晶をエタノールから再結晶して精製品とした。
【0031】高分解能マススペクトル分析(FABモー
ド),計算値(M+H+;C9H12N3O2):194.0930、実測値:19
4.0915、赤外分光分析(cm-1),3268,2359,2010,1779,1
736,1416,1202,1101,1011,951,708,446、薄層クロマト
グラフィー(酢酸エチル:n−ヘキサン=4:1),R
f=0.52。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式(I) 【化1】 (式中、R1及びR2は同一または異なって、水素原子、
    置換基を有しても良いアルキル基、置換基を有しても良
    いアリール基、置換基を有しても良い複素環基を示
    す。)で表わされる5−アルキリデンヒダントイン誘導
    体をパラジウム触媒存在下に、蟻酸またはその塩を用い
    て還元することを特徴とする一般式(II) 【化2】 (式中、R1及びR2は一般式(I)におけると同じ。)
    で表わされる5−アルキルヒダントイン誘導体の製造
    法。
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