JPH0524495B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、感光性樹脂版材、特に染料の光退色
反応を利用し非露光部分を予め取り除くことによ
り、溶出時間の短縮および溶出液の疲労を少なく
し、且つ製版後の検版のしやすさをも改善した感
光性樹脂版材に関する。

従来の技術 一般に感光性樹脂版材の用途として新聞印刷、
フレキソ印刷、スクリーン印刷等があるが、特に
版厚１mm以上の版材が用いられるフレキソ印刷分
野においては厚版を溶出するために長時間の溶出
および多量の感光性樹脂が溶け込むことによる溶
出液の疲労等が問題になつている。

このような問題を解決するために、最近では露
光された版材を溶出するにあたり非露光部を印刃
等により切り、めくり取つた後、溶剤等で溶出す
る方法が提案されている。しかし市販の感光性樹
脂版材の多くは透明または顔料等で着色された感
光層を有しており、原画ネガテイブを通し露光し
た後、露光部分と非露光部との差が判別しにく
く、印刃等で非露光部分を切り、めくり取る際作
業時間が長くかかつたり、誤つて露光部分にまで
印刃を入れ、損傷させることがしばしば起生して
いる。

また、透明な感光性樹脂を製版して得られる版
の凹凸形状は見にくく、版の仕上がり状態の検版
がしにくい欠点を有している。

このように溶出時の作業性、経済性及び製版時
の検版作業性を改善した樹脂版材が要求されてい
る。

近時、感光層中に紫外線などで退色あるいは変
色するような染料を添加し、潜像を肉眼で判別し
易くする試みもなされているが、染料の退色乃至
は変色が不充分であつたり、染料が感光層中で移
行するため像の鮮明度が不良であつたり、また染
料により活性光線の光量が吸収され厚膜の下層部
分では、光重合等の反応が不充分になることによ
り高品質の像が得られないといつた問題をかかえ
ている。

発明が解決しようとする問題点 そこで露光時に潜像が容易に肉眼で判別するこ
とができ、像の鮮明度に優れ、品質コントロール
が容易で、且つ作業性、経済性に優れているだけ
でなく、検版性の改善された樹脂版材が求められ
ており、かかる版材を提供することが本発明目的
である。

問題点を解決するための手段 本発明者は鋭意研究を重ねた結果、感光層上に
高分子結合剤と光退色性染料とを含む着色層を設
けることにより、上述の欠点を解消し、且つ染料
の選択により露光時に光退色した画像部分が溶
出、乾燥させることにより再発色し、原画に忠実
な画像を感光層に形成し得ることを見出して、本
発明を完成するに至つた。

即ち本発明に従えば、前記目的が (A) 現像液可溶性乃至は膨潤性の高分子結合剤
と、紫外部乃至は可視部の活性放射線により光
退色し、溶剤に溶解された後、乾燥される間に
再発色する能力を有する染料とを含む着色層、 (B) 光硬化型感光層、および (C) 支持体 が順次積層されてなる感光性樹脂版材により達成
せられる。

このように本発明に於ては感光層と支持体とか
らなる感光性樹脂版材に於て、特殊な光退色性染
料と高分子バインダーとからなる着色層を感光層
の上に設けたことを特徴とするものである。

本発明に用いられる染料は、紫外部ないしは可
視部の活性光線により光退色し、溶剤に溶解され
た後、乾燥される間に再発色する能力を有る染料
であり、水、アルコールまたは有機溶剤に溶解す
るものであれば任意の公知染料であつてかまわな
い。

特に好ましいものはアントラキノン構造を有す
るブルー系染料で、例えばC.I.ソルベントブルー
２（カラー インデツクス 42563B）、C.I.ソルベ
ントブルー36、C.I.ソルベントブルー93、C.I.ソ
ルベントブルー73、C.I.ソルベントブルー11（カ
ラー インデツクス 61525）等があげられる。
これら染料は光退色後に、溶剤に溶解されたあと
乾燥せしめられる間に再発色する能力が大である
ことが本発明者らにより見出され、特に本発明に
対し好ましい染料である。

本発明に用いられる高分子結合剤としては、現
像液可溶性乃至は膨潤性であり光退色性染料との
相溶性がよく、且つ該光退色性着色層の下に設け
られる感光層に結合する高分子物質が使用され
る。かかる高分子物質としては、 (1) ポリアミド樹脂、例えばナイロン６、ナイロ
ン８、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン66、
ナイロン610、ナイロン612等のナイロン、ナイ
ロン６／66、ナイロン６／12、ナイロン６／
66／610、ナイロン６／66／12等の共重合ナイ
ロンおよび上記のナイロンのＮ−置換体が挙げ
られる。該Ｎ−置換体の置換基としては、例え
ば低級アルキル基（メチル、エチル、イソプロ
ピル、ｎ−ブチルなど）、変性低級アルキル基
（水酸基、シアノ化、ハロゲン化、アルコキシ
化、フエノキシ化低級アルキル基など）が挙げ
られる。

(2) 尿素樹脂、例えばブチル化尿素樹脂が挙げら
れる。

(3) ウレタン樹脂 (4) メラミン樹脂 (5) アクリルアミドおよび／あるいはメタクリル
アミドを含む高分子物質（単一重合体、共重合
体、グラフト重合体など）のＮ−置換体。該Ｎ
−置換体の置換基としては上述(1)中に示されて
いるものが挙げられる。

(6) ポリ酢酸ビニルまたはこの部分ケン化物、例
えば50％ケン化ポリ酢酸ビニルが挙げられる。

(7) ビニル共重合樹脂、例えば塩化ビニル／酢酸
ビニル／マレイン酸共重合体、エチレン／酢酸
ビニル共重合体、アクリル酸／酢酸ビニル共重
合体が挙げられる。

(8) 側鎖に第２級水酸基を有するビニル単量体の
重合体。上記側鎖に第２級水酸基を有するビニ
ル単量体としては、例えば２−ヒドロキシプロ
ピルメタクリレート、２−ヒドロキシブチルア
クリレート、２−ヒドロキシプロピル−ｐ−ビ
ニルベンゾエート、ｐ−２−ヒドロキシプロポ
キシスチレン等が挙げられる。

(9) エポキシ樹脂 (10) セルロース系樹脂、例えばニトロセルロー
ス、セルロースフタレート、ヒドロキシメチル
セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、
ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレー
ト等が挙げられる。

(11) ブチラール樹脂、例えばポリビニルブチラー
ル樹脂、ポリビニルアセタールブチラール共重
合体等が挙げられる。

(12) アセタール樹脂、例えばポリビニルアセター
ルジメチルアミノアセテートが挙げられる。

(13) アクリル樹脂、例えばメタクリル主成分共重
合体が挙げられる。

特に、メチルセルロース（例：信越化学社製メ
トローズ）、エチルセルロース（例：ダウケミカ
ル社製エトセル）、ポリビニルアルコール（例：
日本合成化学社製KH−20、KH−17）、セルロー
スアセテートブチレート（例：イーストマンコダ
ツク社製CAB381）、カルボキシメチルセルロー
ス（例：山陽国策パルプ社製サンローズ）、およ
びポリビニルブチラール（例：セキスイ化学社製
BM−２）等を用いることにより良好な滑性をも
有する非粘着性皮膜が得られる。

光退色性染料と高分子結合剤との混合比は適量
づつ配合されてよいが、一般に高分子結合剤100
重量部に対し、光退色性染料0.01〜20部好ましく
は、0.1〜10重量部が用いられる。染料量が上記
範囲より少ない場合は、着色部の色が淡く露光部
分と非露光部分とのコントラストの低下の原因と
なり、また上記範囲より多い場合には、光退色反
応に長時間を要し、実用価値が低減される。

上述２成分の他に、染料と高分子結合剤との相
溶性を向上したり、光退色反応を早めたり、得ら
れる皮膜層の諸物性の向上に寄与せしめる目的
で、通常の可塑剤、分散剤、光増感剤を配合して
も良い。上述の構成より成る光退色性材料を適当
な溶剤に溶解した後、(1)支持体を有する感光層上
に塗布して該光退色性着色層を形成するか、また
は(2)シリコン型離型層を有するまたは有しないシ
ート状またはフイルム状保護主体の表面に塗布し
て該光退色性着色層を形成した後、支持体を有す
る感光層表面に密着させることにより、本発明感
光性樹脂版材が得られる。

保護材の主体としてはシート状またはフイルム
状のプラスチツク（例：ポリエステル、ポリカー
ボネート、ポリアクリレート、ポリプロピレン）
があげられる。好ましくは化学的研磨または物理
的研磨（例：サンドブラスト）によつて処理され
たものが使用される。特に該主体の表面は平均
5μ以下の表面粗度を有することが好ましい。

なお、このようにして形成される光退色性着色
層を有する保護材にあつては、一方の支持体を有
する感光層の表面粘着性が強い場合であつても、
保護材を感光性樹脂版材の表面に単に熱圧着した
だけで、保護材剥離時に光退色性皮膜のみを該表
面上に残存させることは、はなはだ困難である。
従つて、本発明では、光退色性皮膜の保護材から
感光層表面への転位を容易且つ確実ならしめるた
めに、保護材主体と光退色性着色皮膜の中間にシ
リコン型離型層を介在しても良い。そのために
は、例えば剥離紙用シリコン（ペーパーコーテイ
ング剤）を保護材主体の表面に塗布、乾燥して、
厚さ0.1〜0.5μの離型層を予め形成し、その表面
に上述の如くして光退色性着色皮膜を形成すれば
よい。

上記シリコンには、(A)付加反応硬化型と(B)縮合
反応硬化型があり、その硬化皮膜としては、 の構造が考えられる（例：トーレシリコンペーパ
ーコーテイング剤付加型SD7226（触媒SRX−
212）、縮合型SRX−244（触媒SRX−242AC））。

上記溶剤としては、上記２成分を均一に溶解す
るものであればいずれも使用でき、例えば水、ク
ロロホルム、アルコール類（メタノール、エタノ
ール、プロパノールなど）、ケトン類（アセトン、
メチルエチルケトンなど）、芳香族炭化水素（ベ
ンゼン、キシレン、トルエンなど）等が挙げら
れ、これらを１種もしくは２種以上で使用に供す
る。使用量は、用いる高分子結合剤の物性（例え
ば重合度、各種溶剤への溶解性など）を考慮した
上で決定され、通常上記光退色性材料の溶液濃度
が１〜60重量％、好ましくは、５〜40重量％にな
るように使用される。上記濃度が１重量％未満の
場合、溶液粘度が低い為、上記層の形成に所定の
膜厚を得ることができない傾向にあり、また60重
量％を越える場合、上記２成分の溶解が非常に困
難になる。

上述光退色性材料を、塗布する方法としては、
一般に用いられるすべての方法が適用でき、例え
ば浸漬、ハケ、スプレー、ローラー、カーテンフ
ローコーターおよびバーコーター等が用いられ
る。塗布後、風乾、減圧乾燥あるいは熱風乾燥等
の手段で適宜乾燥することにより光退色性着色皮
膜が形成される。該層の厚さは、0.5〜20μ、好ま
しくは0.5〜5μが適当である。上記厚さが0.5μ未
満の場合、色素濃度が低くなり色像のコントラス
トが低下する傾向にあり、また20μを越える場
合、感光層の光感度が低下しおよび光照射部にに
ごりを生じ易くなる。

本発明版材における感光層としては、従来公知
の感光性樹脂組成物が使用でき、例えば、結晶性
１，２−ポリブタジエン、スチレン−ブタジエン
−スチレン共重合体、スチレン−イソプレン−ス
チレン共重合体、ニトリルブタジエン樹脂、低級
アルコールあるいは水可溶型ポリアミド樹脂、ポ
リウタン系樹脂、ポリエステル系、ポリビニルア
ルコール系樹脂等をバンダー成分として含み、こ
れに付加重合性不飽和単量体（例：２−エチルヘ
キシル（メタ）アクリレート、オクチル（メタ）
アクリレート、ラウリル（メタ）アクリレート、
ステアリル（メタ）アクリレート、トリメチロー
ルプロパントリ（メタ）アクリレート、トリメチ
ロールエタントリ（メタ）アクリレート、エチレ
ングリコール（メタ）アクリレート、トリエチレ
ングリコールジ（メタ）アクリレート、β−ヒド
ロキシエチル（メタ）アクリレート、β−ヒドロ
キシプロピル（メタ）アクリレート、アクリルア
ミド、メタアクリルアミド、Ｎ，N′−メチレン
ビスアクリルアミド）および重合開始剤（例：ベ
ンゾインアルキルエーテル、ベンゾイン、アセト
フエノン、２，２−ジメトキシ−２−フエニルア
セトフエノン、ベンジルアンスラキノン、２−メ
チルアンスラキノン、２−ｔ−ブチルアンスラキ
ノン、ｐ−ジニトロベンゼン、２−クロロ−４−
ニトロアニリン、９−アントラニルアルデヒド、
ベンゾフエノン、１，２−ナフトキノン、４−ナ
フトキノン）を組合わせ、必要に応じて熱重合防
止剤（例：ハイドロキノン、ｐ−メトキシフエノ
ール、第３ブチルカテコール、２，６−ジ−ｔ−
ブチル−ｐ−クレゾール）、染料および顔料およ
び可塑剤等の組合せが挙げられる。かかる感光性
樹脂組成物の現像剤としては、一般に塩素系有機
溶剤（例：パークロルエチレン、トリクレン、
１，１，１−トリクロルエタン、四塩化炭素ホル
ムアルデヒド）、芳香族炭化水素類（例：トルエ
ン、キシレン）、ケトン類（例：メチルエチルケ
トン、メチルイソブチルケトン）またはセロソル
ブアセテート類を主溶剤として、低級アルコール
類（例：メタノール、エタノール、イソプロピル
アルコール、ｎ−ブチルアルコール）または水を
調整剤として混合したものおよび水または酸性、
アルカリ性材料を水に混合したものが使用され
る。

本発明版材における支持体としては、通常金属
（例えばアルミニウム、亜鉛、鉄）、プラスチツク
（例えばポリエチレンテレフタレート、ポリエチ
レン、ポリメチルメタクリレート、ナイロン、セ
ルロースアセテート、ポリエチレン、ポリプロピ
レン、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル）、天
然ゴム、合成ゴム、合成ゴム発泡体（ウレタン発
泡体、クロロプレン発泡体、ブタジエン発泡体）
あるいはプラスチツクを介した発泡体、ガラス等
が使用される。必要に応じてこれら支持体の表面
に予めエツチング、電解酸化、コロナ放電などの
前処理を施してもよく、接着剤層、ハレーシヨン
防止層などの１層又は多層の層を設けてもよい。

上記感光層と支持体とを一体化させ得る方法と
しては、いずれの方法をも採用できるが、例え
ば、まず支持体上に接着層を設けるか、またはそ
のままで感光層を、例えば熱プレス法、注型法、
溶液キヤスト法、溶融押出し法などにより支持体
上に圧着成型する方法等がある。もちろん上記方
法に限られるものではない。

支持体を有する感光層上に、前述で得られる光
退色性着色皮膜を施す方法として、(1)前述の如
く、光退色性染料と高分子結合剤および溶剤とか
ら成る剤を支持体を有する感光層上に塗布、乾燥
して得る方法、あるいは(2)上記３成分からなる剤
を塗布、乾燥させた光退色性着色皮膜を形成した
シート状またはフイルム状保護材と支持体を有す
る感光層とを密着させる方法とがある。(2)の実施
にあたつては、適宜な手段（例：熱平圧プレス、
ラミネータ、押出成形引取機）を利用して前者の
感光層表面と後者の光退色性皮膜を密着させるこ
とによつて完成させ得る。また、前者支持体を有
する感光層の押出成形時に、別途作成して巻取つ
てある保護材を該樹脂版材に適用することによ
り、本発明の一体化物を連続して製造することも
できる。しかも、光退色性を有する面が主体の粗
表面に基づいて粗面であると、上記版板の押出成
形時の保護材への引取をより一層円滑に実施でき
る。

かかる構成から成る本発明の保護材付き感光性
印刷版材にあつては、まず保護主材を該版材より
剥離して光退色性着色皮膜密着の版材を得、これ
を使用して常法に従い印刷板を作成すればよい。
即ち、特に高分子結合剤を選択することにより得
られる非粘着性光退色性着色皮膜によつて粘着性
を解消され且つ良好な滑性を付着された版材の感
光層表面に原画を真空密着し、次いで所定時間露
光した後に光退色していない非露光部分を印刃等
で切り取つた後、上記現像剤でもつてブラツシン
グ溶出を行うことにより、溶出時間が短縮でき、
また溶出乾燥後、露光部分が再発色する原画に忠
実でシヨルダー形状の優れたレリーフ画像を有す
る印刷板が得られる。なお、感光層表面は上述の
如くその粘着性を解消され且つ良好な滑性を付与
されているので、該表面への原画の密着を確実に
且つ容易に実施できるのみならず、原画除去時に
その損傷を招くこともない。しかも、かかる有利
な点にもたらす非粘着性皮膜は版材の現像時にそ
の現像剤によつて溶解または膨潤されて感光層表
面より除去されるので、得られる印刷板の印刷特
性に悪影響を与えることもない。

なお、得られる印刷板としては感光性樹脂凸版
材、平版板、凹版板などがあり、本発明感光性積
層体は、前記印刷板以外に装飾用図柄、ネームプ
レート、デイスプレー、その他フオトレジストな
ど各種用途に有効に利用できる。

本発明の感光性樹脂版材を使用した場合、従来
市販の感光性樹脂版材を使用した場合に比較して
一般に非露光部分の印刃等による切り取り作業時
間が半分以下に短縮できるので、作業性が著しく
向上し、また露光部分が溶出、乾燥工程で再発色
することにより版の仕上り状態を検査する検版作
業性が著しく向上する。

以下実施例、比較例を用いて本発明をさらに具
体的に説明する。特にことわりなき限り、部およ
び％は重量による。

実施例 １ 結晶性１，２−ポリブタジエンを基本樹脂とし
た厚み５mmの感光性シートの片面にポリエステル
シートをバツキングした。一方、表面を化学研磨
による方法で粗面化した平均粗さ3.0μ、厚さ100μ
の保護用ポリエステルフイルム上にトーレシリコ
ンSRX−244（触媒としてSRX−242AC）の溶剤
型のものをドクターブレードで厚さ0.5μに塗布
し、一日室温で放置した後、更にその塗布面上に
エトキシが45％のメジアム型エチルセルロース
（ダウ社製）100部と、スミプラストブルーＧ（住
友化学製、C.I.ソルベントブルー11、カラーイン
デツクス61525）0.2部との混合物５重量％イソプ
ロピルアルコール／トルエン溶液をバーコーター
にて厚さ1.5μに塗布し、乾燥した。

次に、バツキングされた感光性シートを熱風乾
燥炉にて80℃で２分間加熱し、これを炉外に取り
出した直後に上記保護用ポリエステルフイルムを
その塗布面において感光層表面に融着させ、両者
を表面温度16℃の冷却盤上に10分間静置して感光
層表面が保護された感光性シートを得た。

このようにして得られた感光性シートより保護
用ポリエステルフイルムを剥離すると、表面粗度
max−2.4、厚さ1.5μの非粘着性染料含有エチル
セルロース皮膜によつて被覆された感光層表面を
有する感光性シートが形成された。上記感光性表
面に原画を重ねたところ、その位置操作性および
真空密着性の良好な状態で原画を感光性シートに
保持でき、次いで紫外線ランプを10分間照射した
後に、真空操作を止め原画を剥離したところ、何
の抵抗もなくまた原画を傷めることもなく、スム
ーズに原画を感光層表面から除去することができ
た。露光部分は光退色により透明になりまた、非
露光部分は青色であつた。原画パターンが目視で
明確に判別できた。露光部分の周囲を印刃でバツ
キング材のポリエステルシートを傷つけないよう
に底まで切り取り、次にイソプロピルアルコール
を25重量％含む１，１，１−トリクロルエタン混
合液で感光性シートを１分間ブラツシング溶出
し、乾燥炉で50℃で20分間乾燥すると露光部が青
色に発色した原画に忠実で且つシヨルダー形状の
優れたレリーフ画像を有する印刷版が得られた。

実施例 ２ 結晶性１，２−ポリブタジエンを基本樹脂とし
た厚み３mmの感光性シートの片面にポリエステル
シートをバツキングした。一方、化学研磨処理を
施さない厚さ100μの保護用ポリエステルフイル
ム上にトーレシリコンSRX−244（触媒として
SRX−242AC）の溶剤型のものをドクターブレ
ードで厚さ0.5μに塗布し、一日室温で放置した
後、更にその塗布面上にポリビニルブチラール樹
脂（ビニルブチラール／酢酸ビニル／ビニルアル
コールのトリポリマー、ブチラール化度65±
2mol％、数平均重合度1000〜2000）100部と実施
例１で用いた染料0.3gを混合溶解した５重量％イ
ソプロピルアルコール溶液をバーコーターにて厚
さ3μに塗布し、乾燥した。

次に、バツキングされた感光性シートを熱風乾
燥炉にて80度で２分間加熱し、これを炉外に取り
出した直後に上記保護用ポリエステルフイルムを
その塗布面において感光層表面に融着させ、両者
を表面温度16℃の冷却盤上に10分間静置して感光
層表面が保護された感光性シート(A)を得た。

次に、得られた感光性シートのバツキング材で
あるポリエステルシートを剥ぎ取り、剥ぎ取つた
面を１，１，１−トリクロルエタンを塗布した台
ゴム（クレハエースNo.1704、2.8mm厚）に密着さ
せ１時間放置する。このようにして、得られた感
光性シートより保護用ポリエステルフイルムを剥
離すると、粘着性の無い青色に染色したポリビニ
ルブチラール樹脂皮膜によつて被覆された感光層
表面を有する、また支持体が2.8mmの台ゴムから
成る感光性シート(B)が形成された。

次に実施例１の通りの露光したところ、実施例
１同様露光部が光退色した青色画像が目視で明確
に判別できた。次に印刃を用いて露光部分の周囲
の非露光部分を台ゴムまで切り取り、１，１，１
−トリクロルエタン液で１分間感光性シートをブ
ラツシング溶出し、乾燥炉で45℃、20分間乾燥す
ると露光部が青色に発色した原画に忠実で且つシ
ヨルダー形状の優れたレリーフ画像を有する印刷
版が得られた。

実施例 ３ 実施例２で得られた感光性シート(A)のバツキン
グ材であるポリエステルシートを剥ぎ取る。別に
ポリエステルフイルムに接着された厚み３mm、密
度0.32、伸び115％、反発弾性38％、圧縮残留歪
4.6％、（JIS−Ｋ−6301に準ずる）の独立気泡の
ウレタン発泡体上にクロロプレンゴム系接着剤を
塗布、乾燥し、20〜30μの接着層を得た。

この接着剤層上に、ポリエステルシートを剥が
した感光性シート(A)を貼り合わせる。このように
して得られた感光性シートより保護用ポリエステ
ルフイルムを剥離すると、粘着性の無い青色に染
色したポリビニルブチラール樹脂皮膜によつて被
覆された感光層表面を有する。また支持体が３mm
のポリエステルフイルム付きウレタン発泡体から
成る感光性シート(B)が形成された。

次に実施例１の通り露光したところ、実施例１
同様、露光部が光退色した青色画像が目視で明確
に判別できた。次いで１，１，１−トリクロルエ
タンで２分間感光性シートをブラツシング溶出
し、乾燥炉で45℃20分間乾燥すると、露光部が青
色に発色した原画に忠実で且つシヨルダー形状の
優れたレリーフ画像を有する印刷版が得られた。

この印刷版をフレキソ印刷機を用いて、ダンボ
ールの印刷をしたところ、マージナルゾーンの無
い、ベタのつぶしの良い印刷物が得られた。

実施例 ４ ポリエステルフイルムに接着されたウレタン発
泡体から、密度0.19、伸び168％、反発弾性32％、
圧縮残留歪25.5％の独立気泡の厚み４mmのポリエ
ステルフイルムに接着されたクロロプレン発砲体
に代える以外は、実施例３と同様の操作を行なつ
た結果、露光部が青色に発色した原画に忠実で且
つシヨルダー形状の優れたレリーフ画像を有する
印刷版が得られた。

比較例 １ 実施例１から染料を除く以外は、実施例１と同
様の操作を行つたところ、露光部分も非露光部分
も透明性のため判別が非常に困難であり、印刃に
よる非露光部分の切り取り作業時間は実施例１の
場合の約３倍かかりまた、作業中に露光部分まで
印刃を入れ損傷させ欠損のある版が得られ、欠損
版であることが校正刷りをして判明した。また、
溶出、乾燥後、版の発色がなく検版がしにくい状
態であつた。

比較例 ２ 実施例２の染料をフタロシアニン系構造を有す
るオリエントオイルブルーBOSに変える以外は
実施例２と同様の操作を行つたところ、露光部が
光退色せず全面染色しているために露光部分と非
露光部分との境界線が非常に判別しにくく、印刃
による切り取り作業性が比較例１と同様、非常に
悪く、また比較例１と同様に欠損版であつた。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ (A) 現像液可溶性ないしは膨潤性の高分子結
   合剤と、紫外部ないしは、可視部の活性放射線
   により光退色し、溶剤に溶解された後、乾燥さ
   れる間に再発色する能力を有する染料とを、高
   分子結合剤100重量部に対し染料0.01〜20重量
   部の割合で含む着色層、 (B) 光硬化型感光層および (C) 支持体 が順次積層されてなる感光性樹脂版材。 ２ 染料がアントラキノン構造を有するソルベン
   トブルー系染料である特許請求の範囲第１項記載
   の感光性樹脂版材。 ３ 染料がC.I.ソルベントブルー２（カラー イ
   ンデツクス 42563B）、C.I.ソルベントブルー36、
   C.I.ソルベントブルー93、C.I.ソルベントブルー
   73あるいはC.I.ソルベントブルー11（カラー イ
   ンデツクス 61525）である特許請求の範囲第２
   項記載の感光性樹脂版材。 ４ 高分子結合剤がアルコールまたは水に可溶性
   または膨潤性のポリマーである特許請求の範囲第
   １項記載の感光性樹脂版材。 ５ ポリマーがセルロース誘導体あるいは部分け
   ん化ポリ酢酸ビニル誘導体である特許請求の範囲
   第４項記載の感光性樹脂版材。 ６ 着色層の膜厚が0.5〜10μである特許請求の範
   囲第１項記載の感光性樹脂版材。 ７ 支持体が独立気泡フオーム層である特許請求
   の範囲第１項記載の感光性樹脂版材。