JP6161961B2 - 硬化性樹脂組成物及び立体造形物 - Google Patents

硬化性樹脂組成物及び立体造形物 Download PDF

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Description

本発明は、光等の活性エネルギー線が照射されることにより硬化する硬化性樹脂組成物、及び該硬化性樹脂組成物を用いて製造された立体造形物に関する。
従来より、紫外線等の活性エネルギー線を硬化性樹脂組成物に照射させることにより硬化させて立体造形物を製造する方法が提案されている。
着色剤を含有しない状態において立体造形物の多くは、淡い黄色を呈している。黄色度が高い立体造形物は、ユーザに好まれない傾向がある。このため最近では立体造形物に対し、高い透明度と低い黄色度とを備えることが要請されていた。
立体造形物の色相を変化させる方法として、ジアリールメタン染料等の着色剤を硬化性樹脂組成物に添加する方法が提案されている(特許文献1参照)。
特表2007−501318号公報
しかし、当該文献においては、染料化合物が放射線露光中に色褪せないことを特徴としているが、硬化性樹脂組成物の保管中の退色については言及していない。硬化性樹脂組成物の退色が進行すると、この硬化性樹脂組成物を用いた立体造形物の黄色度も高くなる。
本発明は、上記実情を鑑みてなされたものであり、その目的は、黄色度が低く、且つ透明度が高い立体造形物、及び立体造形物を造形するための保管中の退色性が低い硬化性樹脂を提供することにある。
上記課題を解決する硬化性樹脂組成物は、活性エネルギー線が照射されることにより硬化する硬化性樹脂組成物において、重合性化合物と、前記活性エネルギー線が照射されることにより前記重合性化合物の重合反応を開始する重合開始剤と、p−トルイジン構造を
有する紫色又は青色の着色剤とを含有し、前記着色剤は、アントラキノン系着色剤を含有する
この態様によれば、重合性化合物及び重合開始剤を含む硬化性樹脂組成物は、p−トルイジン構造を有する紫色又は青色の着色剤を含有するため、重合性化合物及び重合開始剤が呈する黄色の度合いを低下させることができるとともに、硬化性樹脂組成物に含有された状態における着色剤の退色性を低下させることができる。従って、退色後に着色剤を追加添加する必要が無く、着色剤の含有量が少量であっても立体造形物において黄色度が低下した状態を維持することができるため、着色剤の含有率を小さくして立体造形物の透明度を高めることができる。また、この態様によれば、硬化性樹脂組成物には、アントラキノン系着色剤が含有されるため、当該組成物を用いた立体造形物の黄色度を低下させるとともに、立体造形物において黄色度が低下した状態を維持することができる。
上記硬化性組成物について、前記着色剤の含有率が未硬化の前記硬化性樹脂組成物の全質量に対して0.01ppm以上10ppm以下であることが好ましい。
この態様によれば、着色剤の含有率が0.01ppm以上10ppm以下であるため、黄色度を低下させつつ立体造形物の透明度をさらに高めることができる。
この硬化性樹脂組成物について、前記アントラキノン系着色剤は、キニザリンブルー、スダンブルー、アシッドバイオレット34、キニザリングリーンSS及びトルイジンブルーのうち、少なくとも1種を含有することが好ましい。
この態様によれば、硬化性樹脂組成物には、上記各化合物のうち少なくとも1種が含有されるため、当該組成物を用いた立体造形物の黄色度が低下した状態を維持することができる。
上記課題を解決する立体造形物は、重合性化合物、重合開始剤、p−トルイジン構造を有する紫色又は青色の着色剤を含有し、前記着色剤にアントラキノン系着色剤が含有される硬化性樹脂組成物に活性エネルギー線が照射されることによって硬化し、厚さ10mmの試験片の全光線透過率が60%以上、JIS K−7373に準拠するイエローインデックスが15以下である。
立体造形物の材料となる硬化性樹脂組成物は、重合性化合物及び重合開始剤と、p−トルイジン構造を有する紫色又は青色の着色剤とを含有するため、重合性化合物及び重合開始剤が硬化後に呈する黄色の度合いを低下させることができる。また厚さ10mmの試験片の光透過率が60%以上、イエローインデックスが15以下であるため、低い黄色度及び高い透明度を兼ね備えることができる。また、硬化性樹脂組成物には、アントラキノン系着色剤が含有されるため、当該組成物を用いた立体造形物の黄色度を低下させるとともに、立体造形物において黄色度が低下した状態を維持することができる。
本発明によれば、退色性が低い硬化性樹脂を維持することができ、その造形物及び立体造形物は黄色度が低く、且つ透明度が高い。
実施例1〜3及び比較例1の未硬化の硬化性樹脂組成物の経過日数に対する吸光度の変化を示す図。 比較例2〜5の未硬化の硬化性樹脂組成物の経過日数に対する吸光度の変化を示す図。 実施例5の硬化性樹脂組成物を用いた硬化物の着色剤含有量に対する黄色度及び透過率を示す図。 実施例6の硬化性樹脂組成物を用いた硬化物の着色剤含有量に対する黄色度及び透過率を示す図。
以下、硬化性樹脂組成物及び当該組成物を用いて製造された立体造形物の一実施形態を説明する。
硬化性樹脂組成物は、活性エネルギー線の照射によって硬化する造形材料であって、重合性化合物、重合開始剤、及び紫色又は青色の着色剤を含有する。
重合性化合物は、カチオン重合性化合物及びラジカル重合性化合物の少なくとも一方からなる。重合開始剤は、重合性化合物としてカチオン重合性化合物が含まれる場合、カチオン重合開始剤が含まれ、重合性化合物としてラジカル重合性化合物が含まれる場合、ラジカル重合開始剤が含まれる。重合性化合物として、カチオン重合性化合物及びラジカル重合性化合物の両方を含むと、立体造形物の収縮率が低くなるため、立体造形物の反り、変形が少なく、寸法安定性が優れるため好ましい。活性エネルギー線は、硬化性樹脂組成物を硬化しうるエネルギー線であって、例えば可視光線、紫外線、電子線、X線、放射線、高周波等である。
硬化性樹脂組成物を用いて所望の形状の立体造形物を製造する場合には、専用の造形装置を用いる。造形装置の構成は特に限定されないが、例えば3次元CADやスキャナで読み込んだ形状データを断面データに変換し、断面データに基づいて硬化性樹脂組成物に活性エネルギー線を照射して硬化させ、この断面形状を積層することによって立体造形物を製造する装置である。
(カチオン重合性化合物)
次にカチオン重合性化合物について説明する。カチオン重合性化合物は、カチオン重合開始剤の存在下において活性エネルギー線が照射されたとき、カチオン重合反応及びカチオン架橋反応の少なくとも一方が進行する有機化合物であればよい。代表例として、例えばエポキシ化合物、オキセタン化合物、オキセタン以外の環状エーテル化合物、環状アセタール化合物、環状ラクトン化合物、スピロオルソエステル化合物、ビニルエーテル化合物等が挙げられる。カチオン重合性化合物は、一種類の化合物のみから構成してもよいし、複数種類の化合物から構成してもよい。また上記各化合物のなかでも、エポキシ化合物、オキセタン化合物を含有することが好ましい。
カチオン重合性化合物として用いられるエポキシ化合物は、例えば脂環族エポキシ化合物、脂肪族エポキシ化合物、芳香族エポキシ化合物等を用いることができる。
脂環族エポキシ化合物としては、例えば、少なくとも1個の脂環族環を有する多価アルコールのポリグリシジルエーテル、又は、シクロヘキセン環含有化合物若しくはシクロペンテン環含有化合物を、酸化剤でエポキシ化して得られる、シクロヘキセンオキサイド構造含有化合物若しくはシクロペンテンオキサイド構造含有化合物等が挙げられる。
カチオン重合性化合物として用いられる脂肪族エポキシ化合物としては、例えば、脂肪族多価アルコール若しくはそのアルキレンオキサイド付加物のポリグリシジルエーテル、脂肪族長鎖多塩基酸のポリグリシジルエステル、グリシジルアクリレート若しくはグリシジルメタクリレートをビニル重合させたホモポリマー、グリシジルアクリレート及びグリシジルメタクリレートの少なくとも一方とその他のビニルモノマーとをビニル重合させたコポリマー等が挙げられる。
芳香族エポキシ化合物は、例えばフェノール性水酸基を有する芳香族化合物又はそのアルキレンオキサイド付加物のグリシジルエーテルを挙げることができる。具体的には、例えばビスフェノールA、ビスフェノールE、ビスフェノールF、ビスフェノールZ等のビスフェノール類のジグリジルエーテル、ビスフェノール類にさらにエチレンオキサイドやプロピレンオキサイド等のアルキレンオキサイドを付加したグリシジルエーテル、フェノール類又はナフトール類とアルデヒド類との縮合物(フェノール樹脂やノボラック樹脂等)のグリシジル化物、フェノール類又はナフトール類とキシリレングリコールとの縮合物のグリシジル化物、フェノール類とイソプロペニルアセトフェノンとの縮合物のグリシジル化物、フェノール類とジシクロペンタジエンとの反応物であるグリシジル化物等を挙げることができる。
カチオン重合性化合物は、このようなエポキシ化合物の1種又は2種以上を用いることができる。また1分子中に2個以上のエポキシ基を有するポリエポキシ化合物を、カチオン重合性化合物の全質量に対し30質量%以上含有していることが好ましい。
オキセタン化合物としては、1分子中にオキセタン基を1個有する各種モノオキセタン化合物及び1分子中にオキセタン基を2個以上有する各種ポリオキセタン化合物のうち、1種又は2種以上を用いることができる。
モノオキセタン化合物としては、特に1分子中にオキセタン基を1個有し且つアルコール性水酸基を1個有するモノオキセタンモノアルコール化合物が好ましく用いられる。
ポリオキセタン化合物としては、特にオキセタン基を2個有するジオキセタン化合物が好ましく用いられる。
特に、モノオキセタン化合物及びポリオキセタン化合物の質量比を、5:95〜95:5の範囲内にすることが好ましい。質量比をこの範囲にすることによって、高湿度状態での硬化性樹脂組成物の水分の吸収率が小さくなり、硬化性樹脂組成物の硬化感度を維持でき、造形物の靭性を高めることができる。また当該質量比を、10:90〜90:10の範囲内にすることがより好ましく、20:80〜80:20の範囲内にすることがさらに好ましい。
また硬化性樹脂組成物は、光硬化性能や低粘度化による造形性向上等の点から、カチオン重合性化合物の全質量に対して、オキセタン化合物を1質量%以上35質量%以下の割合で含有することが好ましく、5質量%以上20質量%以下の割合で含有することがより好ましい。
またカチオン重合性化合物として、炭素数4〜10のアルキレンジオールのジグリシジルエーテルを用いることができる。炭素数4〜10のアルキレンジオールのジグリシジルエーテルとしては、例えばエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ブタンジオールジグリシジルエーテル、ペンタンジオールジグリシジルエーテル、ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ヘプタンジオールジグリシジルエーテル、オクタンジオールジグリシジルエーテル、ノナンジオールジグリシジルエーテル、デカンジオールジグリシジルエーテルを挙げることができる。そのうちでも、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテルが硬化性能の点から好ましい。
(ラジカル重合性化合物)
次にラジカル重合性化合物について説明する。ラジカル重合性化合物は、ラジカル重合開始剤の存在下において活性エネルギー線を照射したとき、ラジカル重合等の反応が進行する化合物であればよい。代表例として、(メタ)アクリレート基を有する化合物、不飽和ポリエステル化合物、アリルウレタン系化合物、ポリチオール化合物等が挙げられる。ラジカル重合性化合物は、化合物の一種、又は複数種類を用いることができる。また上記各化合物の中でも、1分子中に少なくとも1個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物を含有することが好ましく、当該化合物の具体例としては、エポキシ化合物と(メタ)アクリル酸との反応生成物、アルコール類の(メタ)アクリル酸エステル、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート等を用いることができる。
硬化性樹脂組成物は、ラジカル重合性化合物の少なくとも一部として、ポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート等のポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレートを含有するとともに、その割合をラジカル重合性化合物の全質量に対して1質量%以上40質量%以下とすることが好ましい。ポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレートの割合を上記範囲にすることによって、立体造形物の靭性が高まる。ポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレートの割合を、5質量%以上20質量%以下とすると、さらに靭性を高めることができる。
ポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレートとしては、数平均分子量が300〜1500のものが好ましく、600〜900のものがさらに好ましく用いられる。具体的には、ポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。但し、ポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレートの含有量が多すぎると、立体造形物の熱変形温度が低くなり、耐熱性が低下する。
(カチオン重合開始剤)
カチオン重合開始剤として、活性エネルギー線を照射したときにカチオン重合性化合物のカチオン重合を開始させ得る重合開始剤のいずれもが使用できる。そのうちでも、カチオン重合開始剤としては、活性エネルギー線を照射したときにルイス酸を放出するオニウム塩が好ましく用いられる。そのようなオニウム塩の例としては、第VIIa族元素の芳香族スルホニウム塩、VIa族元素の芳香族オニウム塩、第Va族元素の芳香族オニウム塩などを挙げることができる。具体的には、例えば、トリアリールスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、テトラフルオロホウ酸トリフェニルフェナシルホスホニウム、ヘキサフルオロアンチモン酸トリフェニルスルホニウム、ビス‐[4‐(ジフェニルスルフォニオ)フェニル]スルフィドビスジヘキサフルオロアンチモネート、ビス‐[4‐(ジ4´‐ヒドロキシエトキシフェニルスルフォニォ)フェニル]スルフィドビスジヘキサフルオロアンチモネート、ビス‐[4‐(ジフェニルスルフォニォ)フェニル]スルフィドビスジヘキサフルオロフォスフェート、テトラフルオロホウ酸ジフェニルヨードニウム等を挙げることができる。
また上述したようなカチオン重合開始剤のうちの1種または2種以上を用いることができる。そのうちでも、芳香族スルホニウム塩がより好ましく用いられる。さらに反応速度を向上させる目的で、カチオン重合開始剤とともに必要に応じて光増感剤、例えばベンゾフェノン、アルコキシアントラセン、ジアルコキシアントラセン、チオキサントンなどを用いてもよい。
また、硬化性樹脂組成物は、芳香族スルホニウム化合物とともに、下記の構造式(1)で表される芳香族チオール化合物を含有することが好ましい。芳香族チオール化合物を含有する硬化性樹脂組成物を用いて立体造形することによって、黄色度が低くて無色透明又はそれに近い色調及び外観を有する立体組成物を得ることができる。
Figure 0006161961
上記構造式(1)におけるRの具体例としては、フェニル基、ナフチル基、アントラセルニル基、インデニル基、トリル基等の1価の芳香族基を挙げることができる。これらの芳香族基は置換基がなくてもよいが、置換基を有している場合には、アルキル基、アルコシキ基、ハロゲン原子、水酸基等を挙げることができる。芳香族チオール化合物の具体的としては、ベンゼンチオール、1‐ナフタレンチオールや2‐ナフタレンチオール等のナフタレンチオール、アントラセンチオール、トルエンチオール、キシレンチオール等を挙げることができる。
芳香族チオール化合物の含有量は、芳香族スルホニウム化合物の全質量に対して0.1質量%以上5質量%以下が好ましく、0.2質量%以上2質量%以下がより好ましい。芳香族チオール化合物の含有量が上記範囲未満の場合には、黄色度が高くなり、上記範囲を超えると光硬化性が低下しやすい。
(ラジカル重合開始剤)
次にラジカル重合開始剤について説明する。ラジカル重合開始剤は、活性エネルギー線が照射されたときにラジカル重合性化合物のラジカル重合反応等を開始可能な重合開始剤であればよい。例えば、ベンジル又はそのジアルキルアセタール系化合物、フェニルケトン系化合物、アセトフェノン系化合物、ベンゾイン又はそのアルキルエーテル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、チオキサントン系化合物等を挙げることができる。
具体的には、ベンジル又はそのジアルキルアセタール系化合物として、例えばベンジルジメチルケタール、ベンジル‐β‐メトキシエチルアセタール等を挙げることができる。フェニルケトン系化合物として、例えば、1‐ヒドロキシ‐シクロヘキシルフェニルケトン等を挙げることができる。アセトフェノン系化合物としては、例えばジエトキシアセトフェノン、2‐ヒドロキシメチル‐1‐フェニルプロパン‐1‐オン、4′‐イソプロピル‐2‐ヒドロキシ‐2‐メチル‐プロピオフェノン、2‐ヒドロキシ‐2‐メチル‐プロピオフェノン、p‐ジメチルアミノアセトフェノン、p‐tert‐ブチルジクロロアセトフェノン、p‐tert‐ブチルトリクロロアセトフェノン、p‐アジドベンザルアセトフェノン等を挙げることができる。特に1‐ヒドロキシ‐シクロヘキシルフェニルケトンは、造形物の黄色度が小さい点で好ましい。
ベンゾイン系化合物としては、例えばベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインノルマルブチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等を挙げることができる。
またベンゾフェノン系化合物としては、例えばベンゾフェノン、o‐ベンゾイル安息香酸メチル、ミヒラースケトン、4,4´‐ビスジエチルアミノベンゾフェノン、4,4´‐ジクロロベンゾフェノン等を挙げることができる。
チオキサントン系化合物としては、例えばチオキサントン、2‐メチルチオキサントン、2‐エチルチオキサントン、2‐クロロチオキサントン、2‐イソプロピルチオキサントン等を挙げることができる。
硬化性樹脂組成物は、カチオン重合性化合物及びラジカル重合性化合物を、質量比(カチオン重合性化合物:ラジカル重合性化合物)が、30:70〜90:10といった範囲で含有することが好ましい。当該質量比をこの範囲にすることによって、光硬化性、造形速度、造形物の寸法安定性を高めることができる。さらに当該質量比を、50:50〜90:10の範囲にすることが好ましく、60:40〜90:10の範囲にすることが特に好ましい。
また硬化性樹脂組成物は、ラジカル重合開始剤を、ラジカル重合性化合物の質量に対し0.1質量%以上10質量%以下、1質量%以上5質量%以下の割合で含有していることがさらに好ましい。
(添加物)
また硬化性樹脂組成物は、ポリアルキレンエーテル系化合物を含有していてもよい。ポリアルキレンエーテル系化合物を含有していると、造形物の靭性が向上する。ポリアルキレンエーテル系化合物の好適な例としては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリエチレンオキサイド‐ポリプロピレンオキサイドブロック共重合体が挙げられる。他の例としては(‐CHCHCH(R)CHO‐)で表されるアルキル置換基を有するオキシテトラメチレン単位が結合したポリエーテル等がある。「R」は低級アルキル基である。また他の例としてはオキシテトラメチレン単位がランダムに結合したポリエーテルを挙げることができる。
硬化性樹脂組成物がポリアルキレンエーテル系化合物を含有する場合には、ポリエルキレンエーテル系化合物の含有量は、硬化性樹脂組成物の全質量に対して0.5質量%以上30質量%以下であることが好ましく、1質量%以上20質量%以下であることがさらに好ましく、1質量%以上15質量%以下であることが特に好ましい。
また硬化性樹脂組成物は、炭素数4〜10のアルキレンジオールを1種類又は複数種類含有してもよい。炭素数4〜10のアルキレンジオールとしては、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ヘプタンジオール、オクタンジオール、ノナンジオール、デカンジオールを挙げることができる。そのうちでも1,6‐ヘキサンジオールが光硬化性能の点から好ましい。
硬化性樹脂組成物が、アルキレンジオールを含有する場合は、硬化性樹脂組成物の全質量に対して0.3質量%以上10質量%以下の割合で含有することが好ましく、0.5質量%以上5質量%以下の割合で含有することが好ましい。アルキレンジオールの割合を上記範囲にすることによって、立体造形物の靭性が良好になり、しかも粘度を低下させるため造形性が向上する。
(着色剤)
次に硬化性樹脂組成物に添加される着色剤について説明する。着色剤は、紫色又は青色の着色剤である。尚、「紫色又は青色」とは、赤紫、紫、青、緑青、青緑を含む色であって、少なくとも着色剤が硬化性樹脂組成物に添加されたときに、硬化性樹脂組成物が紫色〜青色を呈するものである。換言すると着色剤及び着色剤を添加した硬化性樹脂組成物は、500〜750nmの波長域に含まれる波長の光を吸収する。
発明者は、硬化性樹脂組成物に各種着色剤を添加して保存安定性(退色性)のスクリーニング試験をした結果、下記の構造式(2)で表されるp−トルイジン構造を有する着色剤が保存安定性について優れていることを見出した。クリスタルバイオレット等の従来の着色剤は退色性が大きいため、立体造形物の黄色度を継続して低くするためには、未硬化の硬化性樹脂組成物が退色したときに着色剤を追加で添加すること等の措置が必要である。即ち、造形装置内樹脂槽の樹脂組成物および造形後に補充する樹脂組成物の各々の退色に対応して、着色剤を追加する措置は煩雑で非効率な作業を要する。p−トルイジン構造を有する着色剤の場合には、退色性が小さいため、着色剤の含有率を小さくしそれを維持できる。特にp−トルイジン構造を有する着色剤として、アントラキノン系着色剤等を用いると、立体造形物の色や透明度が優れ、退色性も低いために好ましい。
Figure 0006161961
p−トルイジン構造を有するアントラキノン系着色剤は、下記の次の構造式(3)で表されるアントラキノン環を有する。
Figure 0006161961
p−トルイジン構造を有するアントラキノン系着色剤の具体例としては、下記の構造式(4A)で表されるキニザリンブルー、構造式(4B)で表されるスダンブルー、構造式(4C)で表されるアシッドバイオレット34、構造式(4D)で表されるキニザリングリーンSS、構造式(4E)で表されるトルイジンブルー(CAS番号3209−30−1)等が挙げられる。
Figure 0006161961
着色剤の含有率は、着色剤の種類、重合性化合物及び重合開始剤及びそれらの組成によって適宜変更できるが、硬化性樹脂組成物の全質量に対して、少なくとも0.01ppm以上10ppm以下にすることが好ましい。着色剤の含有率が10ppm超となる場合には、多くの着色剤において着色剤自体の色が目立つようになり、立体造形物の光透過率が外観上好ましくない状態まで低下する。着色剤の含有率が0.01ppm未満の場合には、立体造形物の黄色度が目立つようになる。また着色剤の含有率を0.1ppm以上7ppm以下にすることがより好ましく、0.2ppm以上2ppm以下にすることがさらに好ましい。これらの範囲にすることにより黄色度をより低下させ、硬化性樹脂組成物を硬化させた厚さ10mmの試料の透過率を60%以上とすることができる。造形される立体造形物の厚みや形状によって、立体造形物全体の光透過度は異なるが、厚さ10mmの資料の全光線透過率が60%以上になると、高い透明度を有し、内部の形状確認がしやすい立体造形物を得ることができる。
次に立体造形物の製造方法について着色剤の作用とともに説明する。立体造形物の製造には、公知の方法、及び3Dプリンタ等の造形用装置を用いることができる。例えば、上述した断面データに基づいて、液状をなす硬化性樹脂組成物に活性エネルギー線である紫外線を選択的に照射し、断面形状に基づく硬化層を作製する。次いで、該硬化層に未硬化の硬化性樹脂組成物を供給し、断面データに基づいて紫外線を選択的に照射して、該硬化層と連続した硬化層を新たに形成する。この積層操作を繰り返すことによって、最終的に立体造形物を得ることができる。活性エネルギー線は、上述したエネルギー線が挙げられるが、特に300〜400nmの波長を有する紫外線が好ましい。
この硬化性樹脂組成物は立体造形分野の造形材料として用いられる。例えば、設計段階で外観デザインを検証するための形状確認モデル、部品の機能性等を確認するための試験モデル、鋳型や金型を製作するためのマスターモデル、試作金型用の直接型等を挙げることができる。
立体造形物には青色又は紫色の着色剤が含まれており、退色性が低いために含有量が少なく、立体造形物の黄色度は低く、その透明度は高い。着色剤によって紫色又は青色の濃度は異なるが、含有率を、上記範囲を満たしつつ、厚さ10mmの試験片の全光線透過率が60%以上、JIS K−7373に準ずるイエローインデックスは15以下となるように調整すると、立体造形物の透明度を高め黄色度を低下することができる。このため、立体造形物の色合いにおける美観を向上できるとともに、透明度が高いために例えば立体造形物の内部の形状確認等が行いやすい。
以上説明したように、上記実施形態によれば、以下に列挙する効果が得られるようになる。
(1)上記実施形態によれば、重合性化合物及び重合開始剤を含む硬化性樹脂組成物は、紫色又は青色の着色剤を含有するため、重合性化合物及び重合開始剤が呈する黄色の度合いを低下させることができる。また着色剤は、p−トルイジン構造を有するため、硬化性樹脂組成物に含有された状態における退色性が低い。従って、低い黄色度を保つために着色剤の含有量を少量とした状態で長期間使用できるため、透明度の高い立体造形物を継続的に得ることができる。
(2)着色剤の濃度は硬化性樹脂組成物の全質量に対して0.01ppm以上10ppm以下であるため、硬化性樹脂組成物を用いた立体造形物の透明度を高めつつ黄色度を低下することができる。
(3)上記実施形態によれば、着色剤は、アントラキノン系着色剤のうち少なくとも1種を含有する。このため立体造形物の黄色度を低下するとともに、黄色度が低下した状態を維持することができる。
次に、実施例及び比較例を挙げて実施形態をさらに具体的に説明する。本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
(a)硬化性樹脂組成物の吸光度:
紫外可視分光光度計(日立ハイテクノロジーズ社製「U−3900H」)を使用して、石英セル内に未硬化の硬化性樹脂組成物を入れ、ダブルビーム指定波長における硬化性樹脂組成物の吸光度を測定した。
(b)立体造形物の黄色度:
下記の実施例5および実施例6において得られた光学的立体造形物(縦×横×厚さ=45mm×20mm×10mmの直方体)[紫外線(高圧水銀灯)(波長365nm;強度3mW/cm)を20分間照射して後硬化したもの]を、直径60mmの積分球を備えた紫外可視分光光度計(日立ハイテクノロジーズ社製「U−3900H」)に取り付け、板厚10mmの分光透過率を測定した。これにより得られた分光透過率を、当該分光光度計に付属したソフトウェア(UV Solutions)を用いてJIS−K7373に規定された方法で数値計算することによって、補助イルミナントC、視野2度の条件における黄色度として求めた。
(c)立体造形物の全光線透過率:
上記(b)黄色度測定と同じ光学的立体造形物について、紫外可視分光光度計(日立ハイテクノロジーズ社製「U−3900H」)を使用して、ダブルビーム標準イルミナントD65分光透過率を測定して求めた。
(実施例1)
3,4‐エポキシシクロヘキシルメチル‐3´,4´‐エポキシシクロヘキサンカルボキシレート(株式会社ダイセル製「Cel−2021P」)6.5質量部、水素化ビスフェノールAジグリシジルエーテル(新日本理化株式会社製「HBE−100」)30質量部、芳香族トリグリシジルエーテル化合物[2‐[4‐(2,3‐エポキシプロポキシ)フェニル]‐2‐[4‐[1,1‐ビス[4‐([2,3‐エポキシプロポキシ]フェニル]エチル]フェニル]プロパン](株式会社プリンテック製「VG3101L」)30質量部、3‐エチル‐3‐ヒドロキシメチルキセタン(東亞合成株式会社製「OXT101」)7.5質量部、ビス(3‐エチル‐3‐オキセタニルメチル)エーテル(東亞合成株式会社製「OXT221」)15質量部、1,6‐ヘキサンジオールジグリシジルエーテル(ナガセケムテックス株式会社製「EX−212」)3質量部、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート(新中村化学工業株式会社製「A−9550W」)10質量部、ラウリルアクリレート(新中村化学工業株式会社製「NKエステル−LA」)8質量部、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(保土谷化学株式会社製「PTG−850SN」、数平均分子量801〜890)1.5質量部、1,6‐ヘキサンジオール0.8質量部、サンアプロ株式会社製「CPI−200K」[芳香族スルホニウム化合物に相当する化合物を50質量%の濃度で含有するカチオン重合開始剤溶液]3.5質量部、1‐ヒドロキシ−シクロヘキシルフェニルケトン(BASF社製「イルガキュア−184」、ラジカル重合開始剤)2.5質量部および2‐ナフタレンチオール0.025質量部をよく混合して硬化性樹脂組成物を調製した。また着色剤として、キニザリンブルー(東京化成製)を硬化性樹脂組成物の全質量に対し1ppm含有させた。この調製直後の硬化性樹脂組成物の吸光度は0.044であった(波長583nm)。
さらに、この着色剤を添加した硬化性樹脂組成物20mlをガラスバイアル瓶に入れ、80℃の熱オーブン(SANYO社製「 MOV−112F」)を用いて加速試験を行い、経時で583nmの吸光度を測定した。図1に示すように、70日経過後の吸光度は0.043であった。
(実施例2)
重合性化合物、カチオン重合開始剤及びラジカル重合開始剤は実施例1と同様であり、着色剤はキニザリンブルーの替わりにスダンブルー(東京化成製)1ppmを添加した。実施例1と同様に80℃加速試験を行い、経時で638nmの吸光度を測定した。図1に示すように、調製直後の吸光度は0.045、70日経過後の吸光度は0.038であった。
(実施例3)
重合性化合物、カチオン重合開始剤及びラジカル重合開始剤は実施例1と同様であり、着色剤はキニザリンブルーの替わりにアシッドバイオレット34(東京化成製)2.4ppmを添加した。実施例1と同様に80℃加速試験を行い、経時で566nmの吸光度を測定した。図1に示すように、調製直後の吸光度は0.041、14日経過後の吸光度は0.038であった。
(実施例4)
重合性化合物、カチオン重合開始剤及びラジカル重合開始剤は実施例1と同様であり、着色剤はキニザリンブルーの替わりにキニザリングリーンSS(東京化成製)1ppmを添加した。実施例1と同様に80℃加速試験を行い、経時で638nmの吸光度を測定した。調製直後の吸光度は0.045、28日経過後の吸光度は0.044であった。
上記した実施例1から実施例4までに添加した着色剤は、いずれもアントラキノン骨格にp-トルイジン官能基を有しており、調製直後から80℃加速試験14日から70日後における吸光度の低下は0.007以下と退色が極めて低い。アレニウスの法則から、室温ではさらに退色しづらいことが推測され、着色剤としての保存安定性が示唆される。
(比較例1)
重合性化合物、カチオン重合開始剤及びラジカル重合開始剤は実施例1と同様であり、着色剤はキニザリンブルーの替わりにディスパースブルー14(東京化成製)を0.85ppm添加した。実施例1と同様に80℃加速試験を行い、経時で643nmの吸光度を測定した。図1に示すように、調製直後の吸光度は0.047、60日経過後の吸光度は0.010であった。下記の構造式(5)に示すようにディスパースブルー14は、アントラキノン構造を有する着色剤であるが、p−トルイジン構造を有する着色剤ではない。ディスパースブルー14の含有率は、硬化性樹脂組成物の調製直後の波長643nmにおける吸光度が実施例1と同じになるように0.85ppmとした。
Figure 0006161961
(比較例2)
重合性化合物、カチオン重合開始剤及びラジカル重合開始剤は実施例1と同様であり、着色剤はキニザリンブルーの替わりにクリスタルバイオレット(東京化成製)0.21ppmを添加した。調製直後の590nmにおける吸光度は0.041、室温28日経過後の吸光度は0.022であり退色が認められた。また、クリスタルバイオレット0.5ppmを添加し、実施例1と同様に80℃加速試験を行い、経時で590nmの吸光度を測定した。図2に示すように、調製直後の吸光度は0.071であり、4日経過後の吸光度は0.006であった。
(比較例3)
重合性化合物、カチオン重合開始剤及びラジカル重合開始剤は実施例1と同様であり、着色剤はキニザリンブルーの替わりにエチルバイオレット(東京化成製)0.5ppmを添加した。実施例1と同様に80℃加速試験を行い、経時で596nmの吸光度を測定した。図2に示すように、調製直後の吸光度は0.113であり、33日経過後の吸光度は0.010であった。
(比較例4)
重合性化合物、カチオン重合開始剤及びラジカル重合開始剤は実施例1と同様であり、着色剤はキニザリンブルーの替わりにベーシックブルー7(東京化成製)0.5ppmを添加した。実施例1と同様に80℃加速試験を行い、経時で615nmの吸光度を測定した。図2に示すように、調製直後の吸光度は0.081であり、81日経過後の吸光度は0.014であった。
(比較例5)
重合性化合物、カチオン重合開始剤及びラジカル重合開始剤は実施例1と同様であり、着色剤はキニザリンブルーの替わりにキナクリドン(東京化成製)10ppmを添加した。実施例1と同様に80℃加速試験を行い、経時で580nmの吸光度を測定した。図2に示すように、調製直後の吸光度は0.059であり、5日経過後の吸光度は0.038であった。
(実施例5)
重合性化合物として、3,4‐エポキシシクロヘキシルメチル‐3′,4′‐エポキシシクロヘキサンカルボキシレート(株式会社ダイセル製、Cel−2021P)5.0質量部、水素化ビスフェノールAジグリシジルエーテル(新日本理化学株式会社製、HBE−100)58質量部、3‐エチル‐3‐ヒドロキシメチルキセタン(東亞合成株式会社製、OXT101)4.5質量部、ビス(3‐エチル‐3‐オキセタニルメチル)エーテル(東亞合成株式会社製、OXT221)12.5質量部、ジペンタエリスリトールポリアクリレート(新中村化学工業株式会社製、A−9550W)10質量部、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(保土谷化学株式会社製、PTG−850SN、数分子量801〜890)4.0質量部を用いた。またカチオン重合開始剤として、サンアプロ株式会社製「CPI−200K」を4.0質量部、ラジカル重合開始剤として、1‐ヒドロキシ‐シクロヘキシルフェニルケトン(BASF社製、イルガキュア−184)2.0質量部を用いた。これらの重合性化合物、カチオン重合開始剤ラジカル重合開始剤に加え、着色剤として、キニザリンブルー(東京化成製)を硬化性樹脂組成物の全質量に対してそれぞれ1ppm、1.5ppm、3ppm、5ppm、6ppm、7ppm添加した各硬化性樹脂組成物を調製した。
さらに各硬化性樹脂組成物を用いて、超高速光造形システム(ナブテスコ社製、SOLIFORM250)を使用して立体造形物を作製した。このとき半導体レーザ(スペクトラフィジックス社製、定格出力400mW、波長355nm)からの光を、硬化性樹脂組成物に対し、液面照射エネルギー100mJ/cmの条件下で照射し、縦20mm、横45mm、厚さ10mmの試験片を造形した。スライスピッチは0.1mm、1層あたりの平均造形時間は2分間であった。
(実施例6)
重合性化合物として、3,4‐エポキシシクロヘキシルメチル‐3′,4′‐エポキシシクロヘキサンカルボキシレート(株式会社ダイセル製、Cel−2021P)5.0質量部、水素化ビスフェノールAジグリシジルエーテル(新日本理化学株式会社製、HBE−100)55質量部、3‐エチル‐3‐ヒドロキシメチルキセタン(東亞合成株式会社製、OXT101)10質量部、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート(新中村化学工業株式会社製、A−DCP)15質量部、ジペンタエリスリトールポリアクリレート(新中村化学工業株式会社製、A−9550W)2.0質量部、ポリテトラメチレングリコールジアクリレート(数平均分子量650)(新中村化学工業株式会社製、A−PTMG−65)10質量部を用いた。またカチオン重合開始剤として、サンアプロ株式会社製「CPI−200K」を4.0質量部、ラジカル重合開始剤として、1‐ヒドロキシ‐シクロヘキシルフェニルケトン(BASF社製、イルガキュア−184)2.0質量部を用いた。これらの重合性化合物、カチオン重合開始剤ラジカル重合開始剤に加え、着色剤として、キニザリンブルー(東京化成製)を硬化性樹脂組成物の全質量に対し1ppm、1.5ppm含有させた各硬化性樹脂組成物を調製した。これら硬化性樹脂組成物を用いて実施例5と同様に縦20mm、横45mm、厚さ10mmの試験片を造形した。
図3における曲線L1は、実施例5の試験片の結果である。図4における曲線L3は実施例6の試験片の結果である。各グラフの左側の縦軸がイエローインデックス、右側の縦軸が全光線透過率、横軸がキニザリンブルーの含有率(ppm)である。含有率「0」のイエローインデックスは、着色剤を含まない状態の硬化性樹脂組成物を硬化させた試験片に基づく。
図3及び図4における曲線L1及び曲線L3に示すように、キニザリンブルーの含有率が増加するに伴いイエローインデックスが小さくなり、黄色度が低下していることがわかる。また図3に示すように実施例5における硬化性樹脂組成物は着色剤を含有しない状態でイエローインデックスが約13であり、比較的黄色度が高い。この組成物においては、キニザリンブルーの含有率を7ppmにすると、イエローインデックスが「0」付近に到達する。一方、図4に示すように実施例6の硬化性樹脂組成物は着色剤を含有しない状態でイエローインデックスが約6であり、比較的黄色度が低い。この組成物においては、キニザリンブルーの含有率が1.5ppm程度で、イエローインデックスが「0」付近に到達する。
また図3及び図4における曲線L2及び曲線L4に示すように、キニザリンブルーの含有率が増加するに伴い全光線透過率が小さくなる。図3に示すように、キニザリンブルーの含有率が7ppm以下では、透過率が60%以上になる。図4に示すように、実施例6ではキニザリンブルーの含有率が、イエローインデックスが「0」に近くなる1.5ppmでも透過率は80%を超える。

Claims (4)

  1. 活性エネルギー線が照射されることにより硬化する硬化性樹脂組成物において、
    重合性化合物と、
    前記活性エネルギー線が照射されることにより前記重合性化合物の重合反応を開始する重合開始剤と、
    p−トルイジン構造を有する紫色又は青色の着色剤とを含有し、
    前記着色剤は、アントラキノン系着色剤を含有する
    ことを特徴とする硬化性樹脂組成物。
  2. 前記着色剤の含有率が、未硬化の前記硬化性樹脂組成物の全質量に対して0.01ppm以上10ppm以下である請求項1に記載の硬化性樹脂組成物。
  3. 前記アントラキノン系着色剤は、キニザリンブルー、スダンブルー、アシッドバイオレット34、キニザリングリーンSS及びトルイジンブルーのうち、少なくとも1種を含有する請求項1又は2に記載の硬化性樹脂組成物。
  4. 重合性化合物、重合開始剤、p−トルイジン構造を有する紫色又は青色の着色剤を含有し、前記着色剤にアントラキノン系着色剤が含有される硬化性樹脂組成物に活性エネルギー線が照射されることによって硬化し、厚さ10mmの試験片の全光線透過率が60%以上、JIS K−7373に準拠するイエローインデックスが15以下である立体造形物。
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