JP6091342B2 - 光学的立体造形用樹脂組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、高い衝撃強度を有して靭性が大きく破損しにくくて耐久性に優れ、黄色度が低く且つ光透過率が高くて色調および透明性に優れ、しかも力学的特性などにも優れる光学的立体造形物を、速い光硬化速度および高い造形精度で円滑に且つ生産性良く製造することのできる光学的立体造形用樹脂組成物および当該光学的立体造形用樹脂組成物を用いて光学的立体造形物を製造する方法に関する。
近年、三次元CADに入力されたデータに基づいて液状の光硬化性樹脂組成物を立体的に光学造形する方法が、金型などを作製することなく目的とする立体造形物を良好な寸法精度で製造し得ることから、広く採用されるようになっている。
光学的立体造形法の代表的な例としては、容器に入れた液状光硬化性樹脂の液面に所望のパターンが得られるようにコンピューターで制御された紫外線レーザーを選択的に照射して所定厚みを硬化させ、ついで該硬化層の上に1層分の液状樹脂を供給し、同様に紫外線レーザーで前記と同様に照射硬化させ、連続した硬化層を得る積層操作を繰り返すことによって最終的に立体造形物を得る方法を挙げることができる。この光学的立体造形方法は、形状のかなり複雑な造形物をも容易に且つ比較的短時間に得ることが出来る。
光学的立体造形に用いる樹脂または樹脂組成物については、活性エネルギー線による硬化感度が高くて短縮された造形時間で立体造形物を製造できること、低粘度で造形時の取り扱い性に優れることが求められている。
また、光学的立体造形用樹脂組成物を用いて光造形して得られる立体造形物は、設計の途中で各種工業製品の外観デザインを検証するためのモデル、部品の機能性をチェックするためのモデル、鋳型を製作するための樹脂型、金型を製作するためのベースモデルなどとして広く利用されていて、近年では自動車やオートバイのレンズのように高い透明性を有し、しかも黄変のないモデルが要望されており、さらに美術品の復元、模造や現代アート、ガラス張りの建築物のデザインプレゼンテーションモデルのような美術工芸品分野でも用いられるようになっていることから、光透過率が高くて透明性に優れ且つ黄色に着色していない立体造形物を与える光学的立体造形用樹脂組成物が求められている。
さらに、光学的立体造形用樹脂組成物を光造形して得られる立体造形物に対しては、靭性に優れていて丈夫で破損しにくいことが求められており、かかる点から、エポキシ基を有するカチオン重合性有機化合物および不飽和二重結合を有するラジカル重合性有機化合物を含有する光学的立体造形用樹脂組成物に、テトラエチレンオキシド単位および/または2−置換テトラエチレンオキシド単位からなり且つ両末端に水酸基を有するポリエーテルからなる柔軟性向上剤(引っ張り伸び性向上剤)を配合した光学的立体造形用樹脂組成物が提案されている(特許文献1)。そしてこの特許文献1には、ポリエーテルを配合した当該光学的立体造形用樹脂組成物を用いて光造形を行うと、引っ張り伸び性が向上するだけでなく、荷重たわみ性に優れる立体造形物(荷重たわみ温度の低下の少ない立体造形物)が得られると記載されているが、本発明者らが、この特許文献1に記載されている光学的立体造形用樹脂組成物、特にその実施例1、実施例10などに記載されている光学的立体造形用樹脂組成物を用いて追試の光造形実験を行ったところ、光造形が困難であったり、また光造形が可能であっても形成された立体造形物が弱くて脆く、荷重たわみ性(耐熱性)、引っ張り伸び性、靭性に優れる実用可能な立体造形物を得ることができなかった。
また、本発明者らは、カチオン重合性有機化合物およびラジカル重合性有機化合物を含む光学的立体造形用樹脂組成物中にポリアルキレンエーテル系化合物を含有させると、衝撃強度が大きくて靭性に優れる立体造形物を与える光学的立体造形用樹脂組成物が得られることを見出して先に出願した(特許文献2を参照)。
ポリアルキレンエーテルを含有するこの光学的立体造形用樹脂組成物を光造形して得られる立体造形物は、衝撃強度が高くて靭性に優れているが、黄味がかった色調を呈し、濁りを有していて光透過率が十分ではないため、色調や透明性が問題とされない用途などには有効に使用できるが、色調が良好で透明性に優れることが求められる用途などには適さないものであった。
かかる点から、高い衝撃強度を有していて靭性および耐久性に優れ、しかも黄色に着色しておらず且つ光透過率が高くて、色調および透明性に優れる光学的立体造形物を製造できる光学的立体造形用樹脂組成物の開発が求められている。
特開2003−73457号公報 特開2005−15739号公報
本発明の目的は、活性エネルギー線による硬化感度が高くて、短縮された活性エネルギー線照射時間で立体造形物を生産性良く製造することができ、低粘度で造形時の取り扱い性に優れ、造形物の解像度が高く造形精度に優れるという優れた特性と共に、靭性が大きくて破損しにくく耐久性に優れ、しかも黄色に着色しておらず且つ光透過率が高くて色調および透明性に優れる立体造形物を与えるという特性を併せ持つ光学的立体造形用樹脂組成物を提供することである。
そして、本発明の目的は、上記した光学的立体造形用樹脂組成物を用いて立体造形物を製造する方法を提供することである。
上記の課題を解決すべく本発明者らは鋭意検討を重ねてきた。そしてラジカル重合性有機化合物、カチオン重合性有機化合物、ラジカル重合開始剤およびカチオン重合開始剤を含有する光学的立体造形用樹脂組成物において、ラジカル重合性有機化合物の一部として、ポリアルキレングリコールの一方の水酸基がアクリル酸またはメタクリル酸によってエステル化されたポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレートを含有させると、光造形して得られる立体造形物の黄色度をかなり低下させ且つ光透過率を高くできることを見出した。
そこで、本発明者らは、当該知見に基づいて更に研究を重ねたところ、ラジカル重合性有機化合物、カチオン重合性有機化合物、ラジカル重合開始剤およびカチオン重合開始剤を含有する光学的立体造形用樹脂組成物中に、ラジカル重合性有機化合物の一部としてポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレートを含有させると共に、さらにカチオン重合性有機化合物の一部としてオキセタン化合物を含有させると、ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレートおよびオキセタン化合物を含有する当該光学的立体造形用樹脂組成物を光造形して得られる立体造形物は、低い黄色度と高い光透過率をそのまま維持しながら、ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレートだけを含有させた場合よりも、衝撃強度がより高くなっていて、靭性および耐久性が一層向上していることを見出して本発明を完成した。
すなわち、本発明は、
(1)(i) ラジカル重合性有機化合物(A)、カチオン重合性有機化合物(B)、ラジカル重合開始剤(C)およびカチオン重合開始剤(D)を含有する光学的立体造形用樹脂組成物であって;
(ii) ラジカル重合性有機化合物(A)の一部として、ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート(A−1)を含有し;且つ,
(iii) カチオン重合性有機化合物(B)の一部として、オキセタン化合物(B−1)を含有する;
ことを特徴とする光学的立体造形用樹脂組成物である。
そして、本発明は、
(2) オキセタン化合物(B−1)として、オキセタン基を1個有するモノオキセタン化合物(B−1a)を含有するか、またはオキセタン基を1個有するモノオキセタン化合物(B−1a)とオキセタン基を2個以上有するポリオキセタン化合物(B−1b)を含有する前記(1)の光学的立体造形用樹脂組成物;および、
(3) ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート(A−1)の含有量が、ラジカル重合性有機化合物(A)の全質量に基づいて5〜70質量%であり、オキセタン化合物の含有量が、カチオン重合性有機化合物(B)の全質量の基づいて3〜50質量%である前記(1)または(2)の光学的立体造形用樹脂組成物;
である。
さらに、本発明は、
(4) ラジカル重合性有機化合物(A)の一部として、下記の一般式(A−2);
Figure 0006091342

(式中、R1は橋架け環式炭化水素基を示し、R2は水素原子またはメチル基を示す。)
で表されるジ(メタ)アクリレート化合物(A−2)を、ラジカル重合性有機化合物(A)の全質量に基づいて10〜95質量%の割合で含有する前記(1)〜(3)のいずれかの光学的立体造形用樹脂組成物;および、
(5) カチオン重合性有機化合物(B)の一部として、下記の一般式(B−2);
Figure 0006091342

(式中、R3は、水素添加ビスフェノールA残基、水素添加ビスフェノールE残基、水素添加ビスフェノールF残基、水素添加ビスフェノールAD残基、水素添加ビスフェノールZ残基、シクロヘキサンジメタノール残基またはトリシクロデカンジメタノール残基を示す。)
で表される脂環式ジグリシジルエーテル化合物(B−2)を、カチオン重合性有機化合物(A)の全質量に基づいて10〜97質量%の割合で含有する前記(1)〜(4)のいずれかの光学的立体造形用樹脂組成物;
である。
そして、本発明は、
(6) 光学的立体造形用樹脂組成物の全質量に基づいて、ラジカル重合性有機化合物(A)を10〜50質量%、カチオン重合性有機化合物(B)を30〜95質量%、ラジカル重合開始剤(C)を0.1〜10質量%およびカチオン重合開始剤(D)を0.1〜10質量%の割合で含有する前記(1)〜(5)のいずれかの光学的立体造形用樹脂組成物である。
さらに、本発明は、
(7) 前記(1)〜(6)のいずれかの光学的立体造形用樹脂組成物を用いて光学的立体造形物を製造する方法である。
ラジカル重合性有機化合物(A)、カチオン重合性有機化合物(B)、ラジカル重合開始剤(C)およびカチオン重合開始剤(D)を含有する光学的立体造形用樹脂組成物中に、ラジカル重合性有機化合物(A)の一部としてポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレートを含有し且つカチオン重合性有機化合物(B)の一部としてオキセタン化合物を含有している本発明の光学的立体造形用樹脂組成物を用いて光造形することによって、高い衝撃強度を有していて破損しにくくて靭性、耐久性に優れる立体造形物を製造することができ、しかも本発明の光学的立体造形用樹脂組成物を用いて得られる当該立体造形物は、黄色度が低く且つ光透過度が高くて、無色透明性に優れ、良好な色調と外観を有する。
そのため、本発明の光学的立体造形用樹脂組成物は、耐衝撃性、靭性、耐久性に優れると共に、高い透明度を有し且つ黄色着色のない外観および色調に優れる立体造形物が求められている、設計の途中で各種工業製品の外観デザインを検証するためのモデル、部品の機能性をチェックするためのモデル、鋳型を製作するための樹脂型、金型を製作するためのベースモデル、自動車やオートバイのレンズ、美術品の復元、模造や現代アート、ガラス張りの建築物のデザインプレゼンテーションモデルのような美術工芸品分野、精密部品、電気・電子部品、家具、建築構造物、自動車用部品、各種容器類、鋳物などのモデルなどの種々の用途に有効に使用することができる。
以下に本発明について詳細に説明する。
本発明の光学的立体造形用樹脂組成物は、光などの活性エネルギー線を照射して立体造形を行って立体造形物を製造するために用いる樹脂組成物である。
本発明の光学的立体造形用樹脂組成物は、光などの活性エネルギー線の照射によって重合する活性エネルギー線重合性化合物として、ラジカル重合性有機化合物(A)およびカチオン重合性有機化合物(B)を含有する。
なお、本明細書でいう「活性エネルギー線」とは、紫外線、電子線、X線、放射線、高周波などのような光学的立体造形用樹脂組成物を硬化させ得るエネルギー線をいう。
本発明で用いるラジカル重合性有機化合物(A)は、ラジカル重合開始剤(C)の存在下に光などの活性エネルギー線を照射したときに重合反応および/または架橋反応を生ずる化合物であり、本発明の光学的立体造形用樹脂組成物は、ラジカル重合性有機化合物(A)の一部として、ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート(A−1)を含有する。
本発明で用いるポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート(A−1)としては、ポリエチレングリコールモノアクリレート、ポリエチレングリコールモノメタクリレート、ポリプロピレングリコールモノアクリレート、ポリプロピレングリコールモノメタクリレート、ポリ(オキシエチレン/オキシプロピレンランダム共重合体)ジオールのモノアクリレート、ポリ(オキシエチレン/オキシプロピレンランダム共重合体)ジオールのモノメタクリレート、ポリオキシエチレン重合体ブロック/ポリオキシプロピレン重合体ブロックが結合した両末端に水酸基を有するブロック共重合体(ブロック共重合体ジオール)のモノアクリレートまたはモノメタクリレート、ポリテトラメチレングリコールモノアクリレート、ポリテトラメチレングリコールモノメタクリレート、エチレンオキシド単位とテトラメチレンオキシド単位がランダムに結合し且つ両末端に水酸基を有するランダム共重合体ジオールのモノアクリレート、エチレンオキシド単位とテトラメチレンオキシド単位がランダムに結合し且つ両末端に水酸基を有するランダム共重合体ジオールのモノメタクリレート、ポリオキシエチレン重合体ブロック/ポリテトラメチレングリコール重合体ブロックが結合した両末端に水酸基を有するブロック共重合体(ブロック共重合体ジオール)のモノアクリレートまたはモノメタクリレートなどを挙げることができる。
そのうちでも、本発明では、ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート(A−1)として、ポリエチレングリコールモノアクリレート、ポリエチレングリコールモノメタクリレート、ポリプロピレングリコールモノアクリレートおよびポリプロピレングリコールモノメタクリレートの1種または2種以上、特にポリエチレングリコールモノアクリレートおよびポリプロピレングルコールモノアクリレートの1種または2種が、入手性、室温で液状であるなどの取り扱い性などの点から好ましく用いられる。
本発明では、光学的立体造形用樹脂組成物中への溶解性、混和性、光硬化後に靭性、耐久性などの諸物性に優れているなどの点から、ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート(A−1)として、平均分子量が80〜1000であるポリアルキレングリコールの一方の水酸基がアクリル酸またはメタクリル酸でエステル化されたポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレートが好ましく用いられ、平均分子量が80〜800であるポリアルキレングリコールの一方の水酸基がアクリル酸またはメタクリル酸でエステル化されたポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレートがより好ましく用いられる。ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート(A−1)の分子量が小さ過ぎると、光硬化して得られる立体造形物の衝撃強度が小さくなって靭性や柔軟性が低くなり易くなる。一方、ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート(A−1)の分子量が大きすぎると、光学的立体造形用樹脂組成物中への溶解性が低下したり、ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート(A−1)を添加した光学的立体造形用樹脂組成物の粘度が高くなり易くなったり、光硬化後に不透明になり易い。
本発明において、光学的立体造形用樹脂組成物中に、オキセタン化合物と共にポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート(A−1)を含有させると、光造形して得られる立体造形物の黄色度を低く保ち且つ光透過性を高く保ちながら、立体造形物の衝撃強度が高くなって、靭性および耐久性が向上する理由は、1分子のなかにラジカル重合する(メタ)アクリレート部分と、カチオン重合で連鎖移動反応をするヒドロキシ官能部分があることによって靭性の向上に寄与する海島構造が立体造形物中に形成され、しかも当該海島構造のサイズが可視光を散乱するほどには大きくないためであると推測される。
限定されるものではないが、本発明で好ましく用いられるポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート(A−1)の具体例としては、
・日本油脂株式会社製「ブレンマーAE90」(エチレンオキシド単位の結合数≒2、平均分子量が約90のポリエチレングリコールのモノアクリレート);
・日本油脂株式会社製「ブレンマーAE200」(エチレンオキシド単位の結合数≒4.5、平均分子量が約200のポリエチレングリコールのモノアクリレート);
・日本油脂株式会社製「ブレンマーAE400」(エチレンオキシド単位の結合数≒10、平均分子量が約400のポリエチレングリコールのモノアクリレート);
・日本油脂株式会社製「ブレンマーPE90」(エチレンオキシド単位の結合数≒2、平均分子量が約90のポリエチレングリコールのモノメタクリレート);
・日本油脂株式会社製「ブレンマーPE200」(エチレンオキシド単位の結合数≒4.5、平均分子量が約200のポリエチレングリコールのモノメタアクリレート);
・日本油脂株式会社製「ブレンマーPE350」(エチレンオキシド単位の結合数≒8、平均分子量が約350のポリエチレングリコールのモノメタアクリレート);
・日本油脂株式会社製「ブレンマーAP150」(プロピレンオキシド単位の結合数≒3、平均分子量が約150のポリプロピレングリコールのモノアクリレート);
・日本油脂株式会社製「ブレンマーAP400」(プロピレンオキシド単位の結合数≒6、平均分子量が約400のポリプロピレングリコールのモノアクリレート);
・日本油脂株式会社製「ブレンマーAP550」(プロピレンオキシド単位の結合数≒9、平均分子量が約550のポリプロピレングリコールのモノアクリレート);
・日本油脂株式会社製「ブレンマーAP800」(プロピレンオキシド単位の結合数≒13、平均分子量が約800のポリプロピレングリコールのモノアクリレート);
・日本油脂株式会社製「ブレンマーPP500」(プロピレンオキシド単位の結合数≒9、平均分子量が約500のポリプロピレングリコールのモノメタクリレート);
・日本油脂株式会社製「ブレンマーPP800」(プロピレンオキシド単位の結合数≒13、平均分子量が約800のポリプロピレングリコールのモノメタクリレート);
などを挙げることができる。
本発明で好ましく用いられるポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート(A−1)の具体例としては、更に、
・日本油脂株式会社製「ブレンマー10AEP550B」(エチレンオキシド単位の結合数≒1、プロピレンオキシド単位の結合数≒9、平均分子量が約550のポリエチレングリコールポリプロピレングリコールモノアクリレート);
・日本油脂株式会社製「ブレンマー10PEP550B」(エチレンオキシド単位の結合数≒1、プロピレンオキシド単位の結合数≒9、平均分子量が約550のポリエチレングリコールポリプロピレングリコールのモノメタクリレート);
・日本油脂株式会社製「ブレンマー55PET400」(エチレンオキシド単位の結合数≒5、テトラメチレングリコール単位の結合数≒3、平均分子量が約400のポリエチレングリコールテトラメチレングリコールのモノメタクリレート);
・日本油脂株式会社製「ブレンマー55AET800」(エチレンオキシド単位の結合数≒10、テトラメチレングリコール単位の結合数≒5、平均分子量≒800のポリエチレングリコールテトラメチレングリコールモノアクリレート);
・日本油脂株式会社製「ブレンマー55PET800」(エチレンオキシド単位の結合数≒10、テトラメチレングリコール単位の結合数≒5、平均分子量が約800のポリエチレングリコールテトラメチレングリコールのモノメタクリレート);
・日本油脂株式会社製「ブレンマー30PPT800」(プロピレンオキシド単位の結合数≒4、テトラメチレングリコール単位の結合数≒8、平均分子量が約800のポリプロピレングリコールテトラメチレングリコールモノメタクリレート);
・油脂株式会社製「ブレンマー50APT800」(プロピレンオキシド単位の結合数≒7、テトラメチレングリコール単位の結合数≒5.5、平均分子量が約800のポリプロピレングリコールテトラメチレングリコールモノアクリレート);
・日本油脂株式会社製「ブレンマー50PPT800」(プロピレンオキシド単位の結合数≒7、テトラメチレングリコール単位の結合数≒5.5、平均分子量が約800のポリプロピレングリコールテトラメチレングリコールのモノメタクリレート);
・日本油脂株式会社製「ブレンマー70PPT800」(プロピレンオキシド単位の結合数≒10、テトラメチレングリコール単位の結合数≒3、平均分子量が約800のポリプロピレングリコールテトラメチレングリコールモノメタクリレート);
などを挙げることができる。
上記で挙げたポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレートのうちでも、ブレンマーAE90、ブレンマーAE200、ブレンマーAE400、ブレンマーAP150、ブレンマーAP400、ブレンマーAP550が入手性の点から好ましく用いられる。
光学的立体造形用樹脂組成物におけるポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート(A−1)の含有量は、ラジカル重合性有機化合物の全質量(光学的立体造形用樹脂組成物に含まれるラジカル重合性有機化合物の合計質量)に基づいて、5〜70質量%が好ましく、10〜55質量%がより好ましく、20〜40質量%が更に好ましい。
ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート(A−1)の含有量が少なすぎると、光造形して得られる立体造形物の衝撃強度が小さくなって立体造形物の靭性が低下し易くなり、しかも立体造形物の黄色度が大きくなり、光透過率が低くなり易い。
一方、ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート(A−1)の含有量が多すぎると、光造形して得られる立体造形物の柔軟性が過大になり、立体造形物の耐熱性、剛性が低下し易くなる。
本発明の光学的立体造形用樹脂組成物は、ラジカル重合性有機化合物(A)として、ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート(A−1)と共に、他のラジカル重合性有機化合物を含有する。
他のラジカル重合性有機化合物としては、光学的立体造形用樹脂組成物において用い得る、ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート(A−1)以外のラジカル重合性有機化合物であればいずれでもよく、他のラジカル重合性有機化合物の代表例としては、ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート以外の(メタ)アクリレート基を有する化合物、不飽和ポリエステル化合物、アリルウレタン系化合物、ポリチオール化合物などを挙げることができ、前記したラジカル重合性有機化合物の1種または2種以上を用いることができる。
そのうちでも、他のラジカル重合性有機化合物としては、ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート(A−1)以外の、1分子中に少なくとも1個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物が好ましく用いられ、具体例としては、アルコール類の(メタ)アクリル酸エステル、エポキシ化合物と(メタ)アクリル酸との反応生成物、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレートなどを挙げることができる。
上記したアルコール類の(メタ)アクリル酸エステルとしては、分子中に少なくとも1個の水酸基をもつ芳香族アルコール、脂肪族アルコール、脂環族アルコールおよび/またはそれらのアルキレンオキサイド付加体と、(メタ)アクリル酸との反応により得られる(メタ)アクリレートを挙げることができる。
より具体的には、アルコール類の(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、下記の一般式(A−2)で表される、分子中に橋架け環式炭化水素基を有するジ(メタ)アクリレート化合物(A−2)を挙げることができる。
Figure 0006091342

(式中、R1は橋架け環式炭化水素基を示し、R2は水素原子またはメチル基を示す。)
上記の一般式(A−2)におけるR1が示す「橋架け環式炭化水素基」とは、「隣り合う2つの脂環が2個以上の炭素原子を互いに共有している2価の多脂環式炭化水素基」をいう。
橋架け環式炭化水素基R1の具体例としては、トリシクロデカニレン基[下記の化学式(a)]、アダマンチレン基(トリシクロ〔3.3.1.13,7〕デシル基)[下記の化学式(b)]、イソボルニレン基[下記の化学式(c)]、ビシクロノニレン基[下記の化学式(d)]、ビシクロ〔2.1.0〕ペンチレン基[下記の化学式(e)]、ビシクロ〔3.2.1〕オクチレン基[下記の化学式(f)]、トリシクロ〔2.2.1.02,6〕ヘプチレン基[下記の化学式(g)]などを挙げることができる。これらの橋架け環式炭化水素基は、場合によりアルキル基、ハロゲン、アルコキシル基などにより置換されていてもよい。
Figure 0006091342
橋架け環式炭化水素基を有するジ(メタ)アクリレート化合物(A−2)の具体例としては、R1がトリシクロデカニレン基であるトリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、R1がアダマンチレン基であるアダマンタンジメタノールジ(メタ)アクリレート、R1がイソボルニレン基であるイソボルネンジメタノールジ(メタ)アクリレート、R1がビシクロノニレン基であるビシクロノナンジメタノールジ(メタ)アクリレート、R1がビシクロ〔2.1.0〕ペンチレン基であるビシクロ〔2.1.0〕ペンタンジメタノールジ(メタ)アクリレート、R1がビシクロ〔3.2.1〕オクチレン基であるビシクロ〔3.2.1〕オクタンジメタノールジ(メタ)アクリレート、R1がトリシクロ〔2.2.1.02,6〕ヘプチレン基であるトリシクロ〔2.2.1.02,6〕ヘプタンジメタノールジ(メタ)アクリレートなどを挙げることができる。
そのうちでも、ジ(メタ)アクリレート化合物(A−2)としては、下記の化学式(A−2a)で表されるトリシクロデカンジメタノールジアクリレートが、入手容易性、光造形して得られる立体造形物の耐熱性および剛性の向上効果、長期保存可能な点などから好ましく用いられる。
Figure 0006091342
また、アルコール類の(メタ)アクリル酸エステルとしては、上記した分子中に橋架け環式炭化水素基を有するジ(メタ)アクリレート化合物(A−2)以外に、ビスフェノールAやビスフェノールSなどのビスフェノール化合物またはベンゼン環がアルコキシ基などによって置換されているビスフェノールAやビスフェノールSなどのビスフェノール化合物のジ(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート[例えば、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレートなど]、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどの3個以上の水酸基を有する多価アルコールのポリ(メタ)アクリレート、前記したジオール、トリオール、テトラオール、ヘキサオールなどの多価アルコールのアルキレンオキシド付加物の(メタ)アクリレートなどを挙げることができる。
また、上記したエポキシ化合物と(メタ)アクリル酸との反応生成物としては、芳香族エポキシ化合物、脂環族エポキシ化合物および/または脂肪族エポキシ化合物と、(メタ)アクリル酸との反応により得られる(メタ)アクリレート系反応生成物を挙げることができ、具体例としては、ビスフェノールAやビスフェノールSなどのビスフェノール化合物またはベンゼン環がアルコキシ基などによって置換されているビスフェノールAやビスフェノールSなどのビスフェノール化合物或いは前記したビスフェノール化合物または置換ビスフェノール化合物のアルキレンオキサイド付加物とエピクロルヒドリンなどのエポキシ化剤との反応によって得られるグリシジルエーテルを(メタ)アクリル酸と反応させて得られる(メタ)アクリレート、エポキシノボラック樹脂と(メタ)アクリル酸を反応させて得られる(メタ)アクリレート系反応生成物などを挙げることができる。
また、上記したウレタン(メタ)アクリレートとしては、例えば、水酸基含有(メタ)アクリル酸エステルとイソシアネート化合物を反応させて得られる(メタ)アクリレートを挙げることができる。前記水酸基含有(メタ)アクリル酸エステルとしては、脂肪族2価アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル化反応によって得られる水酸基含有(メタ)アクリル酸エステルが好ましく、具体例としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートなどを挙げることができる。また、前記イソシアネート化合物としては、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどのような1分子中に2個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物が好ましい。
さらに、上記したポリエステル(メタ)アクリレートとしては、水酸基含有ポリエステルと(メタ)アクリル酸との反応により得られるポリエステル(メタ)アクリレートを挙げることができる。
また、上記したポリエーテル(メタ)アクリレートとしては、水酸基含有ポリエーテルとアクリル酸との反応により得られるポリエーテルアクリレートを挙げることができる。
本発明の光学的立体造形用樹脂組成物は、光学的立体造形用樹脂組成物に含まれるラジカル重合性有機化合物(A)の全質量に基づいて、分子中に橋架け環式炭化水素基を有する上記したジ(メタ)アクリレート化合物(A−2)を、10〜95質量%の割合で含有していることが好ましく、20〜80質量%の割合で含有していることがより好ましい。
ラジカル重合性有機化合物(A)の全質量に基づいて、ジ(メタ)アクリレート化合物(A−2)を前記した量で含有していると、光学的立体造形用樹脂組成物から得られる光造形物の耐熱性の低下を防ぐことができ、しかも光学的立体造形用樹脂組成物の粘度が低くなり、光学的立体造形時の取り扱い性が良好になる。
本発明の光学的立体造形用樹脂組成物中に、ラジカル重合性有機化合物(A)として、ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート(A−1)と共に橋架け環式炭化水素基を有するジ(メタ)アクリレート化合物(A−2)を含有させる場合には、反応性、造形物の力学的特性などを良好なものにするために、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートなどのジペンタエリスリトールポリアクリレート、エチレンオキシド変性ペンタエリスリトールテトラアクリレート、エチレンオキシド変性トリメチロールプロパントリアクリレート、プロピレンオキシド変性ペンタエリスリトールテトラアクリレート、プロピレンオキシド変性トリメチロールプロパントリアクリレートなどのアルキレンオキシド変性多価アルコール(アルキレンオキシド変性ペンタエリスリトールやトリメチロールプロパンなど)のポリアクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルとアクリル酸とを反応させて得られるエポキシアクリレート(例えば、昭和高分子社製「VR−77」)、イソボルニルアクリレート、ラウリルアクリレート、イソステアリルアクリレートなどのラジカル重合性有機化合物を更に含有させることが好ましい。
本発明で用いるカチオン重合性有機化合物(B)は、カチオン重合開始剤(D)の存在下に光などの活性エネルギー線を照射したときに重合反応および/または架橋反応を生ずる化合物であり、本発明では、カチオン重合性有機化合物(B)の一部として、オキセタン化合物(B−1)を含有する。
オキセタン化合物(B−1)としては、分子中にオキセタン基を1個有するモノオキセタン化合物(B−1a)、分子中オキセタン基を2個、3個または4個以上有するポリオキセタン化合物(B−1b)のうちの1種または2種以上を用いることができる。
その際に、モノオキセタン化合物(B−1a)としては、1分子中にオキセタン基を1個有する化合物であればいずれも使用できるが、特に1分子中にオキセタン基を1個有し且つアルコール性水酸基を1個有するモノオキセタンモノアルコール化合物が好ましく用いられる。
そのような、モノオキセタンモノアルコール化合物のうちでも、下記の一般式(B−1a1)で表されるモノオキセタンモノアルコール化合物(B−1a1)および下記の一般式(B−1a2)で表されるモノオキセタンモノアルコール化合物(B−1a2)のうちの少なくとも1種が、入手の容易性、高反応性、粘度が低いなどの点から、モノオキセタン化合物としてより好ましく用いられる。
Figure 0006091342

(式中、R4およびR5は炭素数1〜5のアルキル基、R6はエーテル結合を有していてもよい炭素数2〜10のアルキレン基を示す。)
上記の一般式(B−1a1)において、R4の例としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチルを挙げることができる。
モノオキセタンアルコール(B−1a1)の具体例としては、3−ヒドロキシメチル−3−メチルオキセタン、3−ヒドロキシメチル−3−エチルオキセタン、3−ヒドロキシメチル−3−プロピルオキセタン、3−ヒドロキシメチル−3−ノルマルブチルオキセタン、3−ヒドロキシメチル−3−プロピルオキセタンなどを挙げることができ、これらの1種または2種以上を用いることができる。そのうちでも、入手の容易性、反応性などの点から、3−ヒドロキシメチル−3−メチルオキセタン、3−ヒドロキシメチル−3−エチルオキセタンがより好ましく用いられる。
上記の一般式(B−1a2)において、R5の例としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチルを挙げることができる。
また、上記の一般式(B−1a2)において、R6は炭素数2〜10のアルキレン基であれば、鎖状のアルキレン基または分岐したアルキレン基のいずれであってもよく、或いはアルキレン基(アルキレン鎖)の途中にエーテル結合(エーテル系酸素原子)を有する炭素数2〜10の鎖状または分岐状のアルキレン基であってもよい。 6 の具体例としては、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、ヘプタメチレン基、3−オキシペンチレン基などを挙げることができる。そのうちでも、R6はトリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基またはヘプタメチレン基であることが、合成の容易性、化合物が常温で液体であり取り扱い易いなどの点から好ましい。
また、ポリオキセタン化合物(B−1b)としては、オキセタン基を2個有する化合物、オキセタン基を3個有する化合物、オキセタン基を4個または4個以上有する化合物のいずれもが使用できるが、オキセタン基を2個有するジオキセタン化合物が好ましく用いられ、そのうちでも下記の一般式(B−1b0);
Figure 0006091342

(式中、2個のR7は互いに同じかまたは異なる炭素数1〜5のアルキル基、R8は芳香環を有しているかまたは有していない2価の有機基、sは0または1を示す。)
で表されるジオキセタン化合物(B−1b0)が、入手性、反応性、低吸湿性、硬化物の力学的特性などの点から好ましく用いられる。
上記の一般式(B−1b0)において、R7の例としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチルを挙げることができる。また、R8の例としては、炭素数1〜12の直鎖状または分岐状のアルキレン基(例えばエチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ネオペンチレン基、n−ペンタメチレン基、n−ヘキサメチレン基など)、式:−CH2−Ph−CH2−または−CH2−Ph−Ph−CH2−で表される2価の基、水素添加ビスフェノールA残基、水素添加ビスフェノールF残基、水素添加ビスフェノールAD残基、水素添加ビスフェノールZ残基、シクロヘキサンジメタノール残基、トリシクロデカンジメタノール残基、テレフタル酸残基、イソフタル酸残基、o−フタル酸残基などを挙げることができる。
ジオキセタン化合物(B−1b0)の具体例としては、下記の式(B−1b1)または式(B−1b2)で表されるジオキセタン化合物を挙げることができる。
Figure 0006091342

(式中、2個のR9は互いに同じかまたは異なる炭素数1〜5のアルキル基、R10は芳香環を有しているかまたは有していない2価の有機基を示す。)
上記の式(B−1b1)で表されるジオキセタン化合物の具体例としては、ビス(3−メチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ビス(3−プロピル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ビス(3−ブチル−3−オキセタニルメチル)エーテルなどを挙げることができる。
また、上記の式(B−1b2)で表されるジオキセタン化合物の具体例としては、上記の式(B−1b2)において2個のR9が共にメチル、エチル、プロピル、ブチルまたはペンチル基で、R10がエチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ネオペンチレン基、n−ペンタメチレン基、n−ヘキサメチレン基など)、式:−CH2−Ph−CH2−または−CH2−Ph−Ph−CH2−で表される2価の基、水素添加ビスフェノールA残基、水素添加ビスフェノールF残基、水素添加ビスフェノールAD残基、水素添加ビスフェノールZ残基、シクロヘキサンジメタノール残基、トリシクロデカンジメタノール残基、テレフタル酸残基、イソフタル酸残基、o−フタル酸残基であるジオキセタン化合物を挙げることができる。
そのうちでも、ポリオキセタン化合物(B−1b0)としては、上記の式(B−1b1)において、2個のR9が共にメチル基またはエチル基であるビス(3−メチル−3−オキセタニルメチル)エーテルおよび/またはビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテルが、入手の容易性、低吸湿性、硬化物の力学的特性などの点から好ましく用いられ、特にビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテルがより好ましく用いられる。
本発明の光学的立体造形用樹脂組成物は、光学的立体造形用樹脂組成物の光硬化性能、低粘度化による造形性の向上、光造形して得られる立体造形物の衝撃強度、その他の力学的特性などの点から、光学的立体造形用樹脂組成物に含まれるカチオン重合性有機化合物(B)の全質量[光学的立体造形用樹脂組成物に含まれる全カチオン重合性有機化合物(B)の合計質量]に基づいて、オキセタン化合物(B−1)を3〜50質量%の割合で含有することが好ましく、5〜40質量%の割合で含有することがより好ましく、10〜30質量%の割合で含有することが更に好ましい。
光造形して得られる立体造形物の衝撃強度が高くなり、しかも黄色度が低くなり且つ光透過率が高くなる点から、本発明の光学的立体造形用樹脂組成物は、オキセタン化合物(B−1)として、モノオキセタン化合物を単独で含有するか、またはモノオキセタン化合物とポリオキセタン化合物の両方を含有することが好ましい。
オキセタン化合物(B−1)としてモノオキセタン化合物(B−1a)とポリオキセタン化合物(B−1b)を含有する場合は、両者を、モノオキセタン化合物(B−1a):ポリオキセタン化合物(B−1b)=95:5〜5:95の質量比で含有することが好ましく、90:10〜20:80の質量比で含有することがより好ましい。
本発明の光学的立体造形用樹脂組成物は、カチオン重合性有機化合物(B)として、オキセタン化合物(B−1)共に、他のカチオン重合性有機化合物を含有する。
他のカチオン重合性有機化合物としては、カチオン重合開始剤(D)の存在下に光などの活性エネルギー線を照射したときに、カチオン重合反応および/またはカチオン架橋反応を生ずる有機化合物であればいずれの化合物も使用できる。
本発明でオキセタン化合物(B−1)と共に用いる他のカチオン重合性有機化合物の代表例としては、エポキシ化合物、オキセタン化合物以外の環状エーテル化合物、環状アセタール化合物、環状ラクトン化合物、スピロオルソエステル化合物、ビニルエーテル化合物などを挙げることができ、これらのカチオン重合性有機化合物は単独で使用しても、または2種以上を併用してもよい。
そのうちでも、本発明では、オキセタン化合物(B−1)と共に用いる他のカチオン重合性有機化合物としてエポキシ化合物が好ましく用いられる。
本発明においてカチオン重合性有機化合物(B)として用い得るエポキシ化合物としては、脂環族エポキシ化合物、脂肪族エポキシ化合物、芳香族エポキシ化合物などのエポキシ化合物を挙げることができる。
前記した脂環族エポキシ化合物としては、少なくとも1個の脂環族環を有する多価アルコールのポリグリシジルエーテル、或いはシクロヘキセン環含有化合物またはシクロペンテン環含有化合物を過酸化水素、過酸等の適当な酸化剤でエポキシ化して得られるシクロヘキセンオキサイド構造含有化合物またはシクロペンテンオキサイド構造含有化合物などを挙げることができる。より具体的には、脂環族エポキシ化合物として、例えば、下記の一般式(B−2);
Figure 0006091342

(式中、R3は、水素添加ビスフェノールA残基、水素添加ビスフェノールF残基、水素添加ビスフェノールZ残基、水素添加ビスフェノールAD残基、シクロヘキサンジメタノール残基またはトリシクロデカンジメタノール残基を示す。)
で表される脂環式ジグリシジルエーテル化合物[以下「脂環式ジグリシジルエーテル化合物(B−2)」という]としては、水素添加ビスフェノールAジグリシジルエーテル、水素添加ビスフェノールFジグリシジルエーテル、水素添加ビスフェノールADジグリシジルエーテル、水素添加ビスフェノールZジグリシジルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテル、トリシクロデカンジメタノールジグリシジルエーテル)を挙げることができる。
また、シクロヘキセンオキサイド構造含有化合物またはシクロペンテンオキサイド構造含有化合物としては、例えば、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、3,4−エポキシ−1−メチルシクロヘキシル−3,4−エポキシ−1−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、6−メチル−3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−6−メチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、3,4−エポキシ−3−メチルシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシ−3−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、3,4−エポキシ−5−メチルシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシ−5−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル−5,5−スピロ−3,4−エポキシ)シクロヘキサン−メタジオキサン、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルカルボキシレート、ジシクロペンタジエンジエポキサイド、エチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート)、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジオクチル、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジ−2−エチルヘキシルなどを挙げることができる。
また、ダイセル化学工業から販売されている、ε−カプロラクトン変性3’,4’−エポキシシクロヘキシルメチル3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−1−ブタノールの1,2−エポキシー4−(2−オキシラニル)シクロヘキサン付加物も挙げることができる。
さらに、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシル)メタン、2,2−ビス(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロパン、1,1−ビス(3,4−エポキシシクロヘキシル)エタン、アルファピネンオキサイド、カンファレンアルデヒド、リモネンモノオキサイド、リモネンジオキサイド、4−ビニルシクロヘキセンモノオキサイド、4−ビニルシクロヘキセンジオキサイドなども挙げることができる。
また、カチオン重合性有機化合物()として用い得る上記した脂肪族エポキシ化合物は特に限定されず、脂肪族エポキシ化合物としては、例えば、脂肪族多価アルコールまたはそのアルキレンオキサイド付加物のポリグリシジルエーテル、脂肪族長鎖多塩基酸のポリグリシジルエステル、グリシジルアクリレートまたはグリシジルメタクリレートのビニル重合により合成したホモポリマー、グリシジルアクリレートおよび/またはグリシジルメタクリレートとその他のビニルモノマーとのビニル重合により合成したコポリマーなどを挙げることができる。
代表的な化合物としては、例えば、ブチルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、高級アルコールのグリシジルエーテル、アルキレンジオールのジグリシジルエーテル(例えば、1,4−ブタンジオールのジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールのジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールのジグリシジルエーテルなど)、グリセリンのトリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンのジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンのトリグリシジルエーテル、ソルビトールのテトラグリシジルエーテル、ジペンタエリスリトールのヘキサグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールのジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールのジグリシジルエーテル、ポリテトラメチレングリコールのジグリシジルエーテルなどの多価アルコールのグリシジルエーテルを挙げることができる。
さらに、プロピレン、トリメチロールプロパン、グリセリンなどの脂肪族多価アルコールに1種または2種以上のアルキレンオキサイドを付加することにより得られるポリエーテルポリオールのポリグリシジルエーテル、脂肪族長鎖二塩基酸のジグリシジルエステルなどが挙げられる。
さらに、脂肪族高級アルコールのモノグリシジルエーテル、フェノール、クレゾール、ブチルフェノールまたはこれらにアルキレンオキサイドを付加することによって得られるポリエーテルアルコールのモノグリシジルエーテル、高級脂肪酸のグリシジルエステル、エポキシ化大豆油、エポキシステアリン酸ブチル、エポキシ化ポリブタジエン、グリシジル化ポリブタジエンなどを挙げることができる。
また、エポキシアルカンとしては、1,2−エポキシデカン、1,2−エポキシドデカン、1,2−エポキシテトラデカン、1,2−エポキシセタン、1,2−エポキシオクタデカン、1,2−エポキシイコサンを挙げることができる。
また、前記芳香族エポキシ化合物としては特に制限されず、例えば、多価フェノールまたはそのアルキレンオキサイド付加物のポリグリシジルエーテル、ポリグリシジルエステルなどを挙げることができ、具体的には、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールE、ビスフェノールF、ビスフェノールAD、ビスフェノールZまたはこれらに更にエチレンオキサイドやプロピレンオキサイドなどのアルキレンオキサイドを付加した化合物のグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、tert−ブチルフェニルグリシジルエーテル、レゾルシノールジグリシジルエーテル、テトラフェノールエタンのテトラグリシジルエーテル、トリフェノールメタンのトリグリシジルエーテル、フェノール類またはナフトール類とアルデヒド類との縮合物(例えばフェノール樹脂やノボラック樹脂)のグリシジル化物、フェノール類とイソプロペニルアセトフェノンとの縮合物のグリシジル化物、フェノール類とジシクロペンタジエンの反応物ノグリシジル化物、テレフタル酸のジグリシジルエステル、イソフタル酸のジグリシジルエステル、o−フタル酸のジグリシジルエステルなどを挙げることができる。
さらに、ビフェノールのジグリシジルエーテル、テトラメチルビフェノールのジグリシジルエーテル、株式会社プリンテックより発売されている下記の化学式で表されるVG3101L([2−[4−(2,3−エポキシプロポキシ)フェニル]−2−[4−[1,1−ビス[4−([2,3−エポキシプロポキシ]フェニル]エチル]フェニル]プロパン])やその他の芳香族エポキシ化合物などを挙げることができる。
Figure 0006091342
本発明では、カチオン重合性有機化合物(B)として、上記したエポキシ化合物の1種または2種以上を用いることができ、カチオン重合性有機化合物(B)の全質量に基づいて、1分子中に2個以上のエポキシ基を有するポリエポキシ化合物を30〜97質量%、特に40〜80質量%の割合で含有することが好ましい。
本発明の光学的立体造形用樹脂組成物中に、カチオン重合性有機化合物(B)として、オキセタン化合物(B−1)と共に、上記の一般式(B−2)で表される脂環式ジグリシジルエーテル化合物(B−2)を含有させると、一般に光造形して得られる立体造形物の透明性が一層向上し、黄色度が一層低下し、経時寸法安定性、耐水性、耐湿性、耐熱性などが優れたものとなる。
また、本発明の光学的立体造形用樹脂組成物中に、カチオン重合性有機化合物(B)の一部として、下記の式(B−3a)で表されるグリシジルエーテル化フェノール基を3個以上有する芳香族化合物[以下「芳香族化合物(B−3)」という]を含有させると、熱変形温度が高くて耐熱性および剛性に優れる立体造形物を与える光学的立体造形用樹脂組成物を得ることができる。
光造形して得られる立体造形物の耐熱性および剛性を向上させるためにカチオン重合性有機化合物(B)の一部として芳香族化合物(B−3)を含有させる場合は、芳香族化合物(B−3)の含有量は、カチオン重合性有機化合物(B)の全質量に基づいて、1〜30質量%であることが好ましく、2〜20質量%であることがより好ましく、3〜10質量%がより好ましい。
Figure 0006091342
グリシジルエーテル化フェノール基を3個以上有する芳香族化合物(B−3)としては、当該芳香族化合物(B−3)を含有しても光学的立体造形用樹脂組成物の粘度を光学的立体造形に適する粘度に維持し得るものであればいずれでも使用でき、例えば、ノボラック樹脂やレゾール樹脂などのフェノール樹脂のポリグリシジルエーテル、テトラフェノールエタンのテトラグリシジルエーテル、トリフェノールメタンのトリグリシジルエーテル、上記したVG3101L、すなわち、2−[4−(2,3−エポキシプロポキシ)フェニル]−2−[4−[1,1−ビス[4−([2,3−エポキシプロポキシ]フェニル]エチル]フェニル]プロパンなどを挙げることができる。
上記したVG3101L、すなわち、2−[4−(2,3−エポキシプロポキシ)フェニル]−2−[4−[1,1−ビス[4−([2,3−エポキシプロポキシ]フェニル]エチル]フェニル]プロパンをカチオン重合性有機化合物の一部として光学的立体造形用樹脂組成物に含有させると、光造形して得られる立体造形物の熱変形温度が高くなって耐熱性が向上する。光造形して得られる立体造形物の耐熱性を向上させるためにカチオン重合性有機化合物(B)の一部としてVG3101Lを含有させる場合は、VG3101Lの含有量は、カチオン重合性有機化合物(B)の全質量に基づいて、1〜30質量%が好ましく、2〜20質量%がより好ましく、3〜10質量%がより好ましい。
本発明の光学的立体造形用樹脂組成物は、光学的立体造形用樹脂組成物に含まれるカチオン重合性有機化合物(B)の合計質量に基づいて、オキセタン化合物(B−1)以外のカチオン重合性有機化合物(特にエポキシ化合物)を、カチオン重合性有機化合物(B)の合計質量に基づいて、50〜97質量%の割合で含有していることが好ましく、55〜95質量%の割合で含有していることがより好ましく、60〜90質量%の割合で含有していることが更に好ましい。
カチオン重合性有機化合物(B)の合計質量に基づいて、オキセタン化合物(B−1)以外のカチオン重合性有機化合物(特にエポキシ化合物)を上記した割合で含有していることにより、光造形して得られる立体造形物の機械的強度などが良好になる。
ラジカル重合開始剤(C)としては、光などの活性エネルギー線を照射したときにラジカル重合性有機化合物(A)のラジカル重合を開始させ得る重合開始剤のいずれもが使用でき、例えば、ベンジルまたはそのジアルキルアセタール系化合物、フェニルケトン系化合物、アセトフェノン系化合物、ベンゾインまたはそのアルキルエーテル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、チオキサントン系化合物などを挙げることができる。
具体的には、ベンジルまたはそのジアルキルアセタール系化合物としては、例えば、ベンジルジメチルケタール、ベンジル−β−メトキシエチルアセタールなどを挙げることができる。
フェニルケトン系化合物としては、例えば、1−ヒドロキシ−シクロヘキシルフェニルケトンなどを挙げることができる。
また、アセトフェノン系化合物としては、例えば、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシメチル−1−フェニルプロパン−1−オン、4′−イソプロピル−2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオフェノン、p−ジメチルアミノアセトフェノン、p−tert−ブチルジクロロアセトフェノン、p−tert−ブチルトリクロロアセトフェノン、p−アジドベンザルアセトフェノンなどを挙げることができる。
そして、ベンゾイン系化合物としては、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインノルマルブチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテルなどを挙げることができる。
また、ベンゾフェノン系化合物としては、例えば、ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、ミヒラースケトン、4,4′−ビスジエチルアミノベンゾフェノン、4,4′−ジクロロベンゾフェノンなどを挙げることができる。
そして、チオキサントン系化合物としては、例えば、チオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−エチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントンなどを挙げることができる。
本発明では、1種または2種以上のラジカル重合開始剤(C)を所望の性能に応じて配合して使用することができる。
そのうちでも、本発明ではラジカル重合開始剤(C)として、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンが、得られる硬化物の色相が良好(黄色度が小さいなど)である点から好ましく用いられる。
本発明では、カチオン重合開始剤(D)として、光などの活性エネルギー線を照射したときにカチオン重合性有機化合物(B)のカチオン重合を開始させ得る重合開始剤のいずれも使用できる。そのうちでも、カチオン重合開始剤(D)としては、活性エネルギー線を照射したときにルイス酸を放出するオニウム塩が好ましく用いられる。そのようなオニウム塩の例としては、第VIIa族元素の芳香族スルホニウム塩、VIa族元素の芳香族オニウム塩、第Va族元素の芳香族オニウム塩などを挙げることができる。
代表例としては、一般式:[(R11)(R12)(R13)S+][式中、R11、R12およびR13はそれぞれ独立して硫黄(S)に結合した1価の有機基]で表されるスルホニウムイオンまたは一般式:[(R14)(R15)I+][式中、R14およびR15はそれぞれ独立してヨウ素(I)に結合した1価の有機基]で表されるヨードニウムイオンが、一般式:[(Rf)mPF6-m -](式中、Rfはフルオロアルキル基、mは0〜6の整数)で表される陰イオン(ホスフェートイオン)、一般式:[(Rf)nSbF6-n -](式中、Rfはフルオロアルキル基、nは0〜6の整数)で表される陰イオン(アンチモネートイオン)、式:[BF4 -]で表される陰イオン、式:[AsF6 -]で表される陰イオンなどと結合したカチオン重合開始剤などを挙げることができる。
何ら限定されるものではないが、より具体的には、カチオン重合開始剤としては、例えば、下記の一般式(D−1)で表されるリン系スルホニウム化合物(D−1)、下記の一般式(D−2)で表されるアンチモン系スルホニウム化合物(D−2)などを挙げることができる。
Figure 0006091342

[上記の一般式(D−1)および(D−2)中、R11、R12およびR13は1価の有機基、Rfはフルオロアルキル基、mおよびnは0〜6の整数、pは上記の一般式(D−1)における「カチオン[S+(R11)(R12)(R13)]が有する陽イオン価と同じ数、qは上記の一般式(D−2)における「カチオン[S+(R11)(R12)(R13)]が有する陽イオン価と同じ数である。]
上記の一般式で表されるリン系スルホニウム化合物(D−1)およびアンチモン系スルホニウム化合物(D−2)において、R11、R12およびR13の代表例としては、下記の式《1》〜《11》で示す基を挙げることができる。
Figure 0006091342

[式中、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13、R14、R15およびR16は、それぞれ独立して、置換基を有していてもよいアルキル基またはアリール基であり、X1、X2、X3、X4、X5、X6、X7、X8、X9、X10、X11、X12、X13、X14、X15、X16、X17、X18、X19、X20、X21およびX22は、それぞれ独立して、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヒドロキシ(ポリ)アルキレンオキシ基、水酸基、シアノ基、ニトロ基およびハロゲン原子から選ばれる基であり、Z1、Z2、Z3およびZ4は、それぞれ独立して、式:−S−、−SO−および−O−から選ばれる2価の基であり、それぞれ独立して、d1は0〜5の整数、d2、d3およびd4は0〜4の整数、d5は0〜5の整数、d6、d7、d8、d9、d10、d11、d12、d13、d14、d15およびd16は0〜4の整数、d17は0〜5の整数、d18は0〜4の整数、d19は0〜5の整数、d20、d21およびd22は0〜4の整数である。]
何ら限定されるものではないが、上記の一般式で表されるリン系スルホニウム化合物(D−1)の具体例としては、トリフェニルスルホニウムトリス(パーフルオロエチル)トリフルオロホスフェート、下記の式(D−1α)で表される化合物(サンアプロ株式会社製「CPI−500K」)、下記の式(D−1β)で表される化合物(サンアプロ株式会社製「CPI−500P」),下記の式(D−1γ)で表される化合物(サンアプロ株式会社製「CPI−200K」)、4−(2−クロロ−4−ベンゾイルフェニルチオ)フェニルビス(4−フルオロフェニル)スルホニウムヘキサフルオロホスフェート)(株式会社ADEKA製「SP−152」)などを挙げることができる。
Figure 0006091342
また、上記の一般式で表されるアンチモン系スルホニウム化合物(D−2)の具体例としては、ビス−[4−(ジフェニルスルフォニオ)フェニル]スルフィドビスジヘキサフルオロアンチモネート、ビス−[4−(ジ−4’−ヒドロキシエトキシフェニルスルフォニォ)フェニル]スルフィドビスジヘキサフルオロアンチモネート、下記の式(D−2α)で表される4−(フェニルチオ)フェニルジフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート(サンアプロ株式会社製「CPI−101A」)または「CPI−110S」)、4−(2−クロロ−4−ベンゾイルフェニルチオ)フェニルビス(4−フルオロフェニル)スルホニウムヘキサフルオロアンチモネート)(株式会社ADEKA製「SP−172」)などを挙げることができる。
Figure 0006091342
本発明では、上記したようなカチオン重合開始剤のうちの1種または2種以上を用いることができる。そのうちでも、本発明では芳香族スルホニウム塩がより好ましく用いられる。
また、本発明では、反応速度を向上させる目的で、カチオン重合開始剤(D)と共に必要に応じて光増感剤、例えばベンゾフェノン、アルコキシアントラセン、ジアルコキシアントラセン、チオキサントンなどを用いてもよい。
本発明の光学的立体造形用樹脂組成物は、組成物の粘度、反応速度、造形速度、得られる立体造形物の靭性、耐衝撃性、耐久性、熱変形温度(耐熱性)、寸法精度、力学的特性などの点から、光学的立体造形用樹脂組成物の全質量に基づいて、ラジカル重合性有機化合物(A)を10〜50質量%、更には10〜40質量%、特に15〜35質量%の割合で、カチオン重合性有機化合物(B)を30〜95質量%、更には40〜80質量%、特に45〜75質量%の割合で、ラジカル重合開始剤(C)を0.1〜10質量%、更には1〜8質量%、特に1〜5質量%の割合でおよびカチオン重合開始剤(D)を0.1〜10質量%、更には1〜8質量%、特に1〜5質量%の割合で含有することが好ましい。
本発明の光学的立体造形用樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない限り、必要に応じて、染料などの着色剤、消泡剤、レベリング剤、増粘剤、難燃剤、酸化防止剤、改質用樹脂などの1種または2種以上を適量含有していてもよい。
本発明の光学的造形用樹脂組成物を用いて光学的に立体造形を行うに当たっては、従来既知の光学的立体造形方法および装置のいずれもが使用できる。好ましく採用され得る光学的立体造形法の代表例としては、液状をなす本発明の光学的造形用樹脂組成物に所望のパターンを有する硬化層が得られるように活性エネルギー線を選択的に照射して硬化層を形成し、次いでこの硬化層に未硬化の液状光学的造形用樹脂組成物を供給し、同様に活性エネルギー光線を照射して前記の硬化層と連続した硬化層を新たに形成する積層操作を繰り返すことによって最終的に目的とする立体的造形物を得る方法を挙げることができる。
その際の活性エネルギー線としては、上述のように、紫外線、電子線、X線、放射線、高周波などを挙げることができる。そのうちでも、300〜400nmの波長を有する紫外線が経済的な観点から好ましく用いられ、その際の光源としては、紫外線レーザー(例えば半導体励起固体レーザー、Arレーザー、He−Cdレーザーなど)、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、低圧水銀ランプ、キセノンランプ、ハロゲンランプ、メタルハライドランプ、紫外線LED(発光ダイオード)、紫外線蛍光灯などを使用することができる。
光学的立体造形用樹脂組成物よりなる造形面に活性エネルギー線を照射して所定の形状パターンを有する各硬化樹脂層を形成するに当たっては、レーザー光などのような点状に絞られた活性エネルギー線を使用して点描または線描方式で硬化樹脂層を形成してもよいし、または液晶シャッターまたはデジタルマイクロミラーシャッター(DMD)などのような微小光シャッターを複数配列して形成した面状描画マスクを通して造形面に活性エネルギー線を面状に照射して硬化樹脂層を形成させる造形方式を採用してもよい。
本発明の光学的造形用樹脂組成物は、光学的立体造形分野に幅広く用いることができ、何ら限定されるものではないが、代表的な応用分野としては、設計の途中で外観デザインを検証するための形状確認モデル、部品の機能性をチェックするための機能試験モデル、鋳型を制作するためのマスターモデル、金型を製作するためのマスターモデル、試作金型用の直接型、自動車やオートバイのレンズ、美術品の復元、模造や現代アート、ガラス張りの建築物のデザインプレゼンテーションモデルのような美術工芸品分野、精密部品、電気・電子部品、家具、建築構造物、自動車用部品、各種容器類、鋳物などのモデル、母型、加工用などの用途に有効に用いることができる。
以下に本発明を実施例によって具体的に説明するが、本発明は実施例に何ら限定されるものではない。
以下の例中、光学的立体造形用樹脂組成物の粘度、光造形用樹脂組成物を用いて光造形して得られた光造形物の力学的特性[引張り特性(引張破断強度、引張破断伸度、引張弾性率)、降伏強度、曲げ特性(曲げ強度、曲げ弾性率)、衝撃強度]、熱変形温度、黄色度および全光線透過率の測定は、次のようにして行なった。
(1)光造形用樹脂組成物の粘度:
光造形用樹脂組成物を25℃の恒温槽に入れて、光硬化性樹脂組成物の温度を25℃に調節した後、B型粘度計(株式会社東京計器製)を使用して測定した。
(2)光造形物の引張り特性(引張破断強度、引張破断伸度、引張弾性率):
以下の実施例または比較例で作製した光造形物(JIS K−7113に準拠したダンベル形状の試験片)を用いて、JIS K−7113にしたがって、試験片の引張破断強度(引張強度)、引張破断伸度(引張伸度)および引張弾性率を測定した。
(3)光造形物の降伏強度:
上記(2)の引張り特性の試験において、光造形物が弾性から塑性に移る点における強度を降伏強度とした。
(4)光造形物の曲げ特性(曲げ強度、曲げ弾性率):
以下の実施例または比較例で作製した光造形物(JIS K−7171に準拠したバー形状の試験片)を用いて、JIS K−7171にしたがって、試験片の曲げ強度および曲げ弾性率を測定した。
(5)光造形物の衝撃強度:
東洋精機株式会社製のデジタル・インパクト・テスター「型式DG−18」を使用して、JIS K−7110に準じて、ノッチ付きでアイゾット衝撃強度を測定した。
(6)光造形物の熱変形温度:
以下の実施例または比較例で作製した光造形物(JIS K−7171に準拠したバー形状の試験片)を用い、東洋精機株式会社製「HDTテスタ6M−2」を使用して、試験片に1.81MPaの荷重を加えてJIS K−7207(A法)に準拠して試験片の熱変形温度を測定し、さらに試験片に0.45MPaの荷重を加えてJIS K−7207(B法)に準拠して試験片の熱変形温度を測定した。
(7)光造形物の黄色度:
株式会社日立ハイテクノロジーズ製の紫外可視分光光度計「UV−3900H」を使用して、色彩分析により、JISK7373に規定されたイエローインデックス(YI)を求めて、光造形物の黄色度とした。
(8)光造形物の全光線透過率:
株式会社日立ハイテクノロジーズ製の紫外可視分光光度計「UV−3900H」を使用して、ダブルビーム標準イルミナントD65分光透過率を測定して求めた。
《実施例1》
(1) (1) トリシクロデカンジメタノールジアクリレート(新中村化学工業株式会社製「NK−A−DCP」)18質量部、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物(新中村化学工業株式会社製「A9550W」)2質量部、ポリエチレングリコールモノアクリレート[日本油脂株式会社製「ブレンマーAE200」(エチレンオキシド単位の結合数≒4.5、平均分子量約200のポリエチレングリコールのモノアクリレート)]10質量部、水素添加ビスフェノールAジグリシジルエーテル(新日本理化株式会社製「HBE100」)51質量部、ビスフェノールAジグリシジルエーテル(ADEKA製「EP−4100E」)5質量部、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン(東亞合成株式会社製「OXT−101」)10質量部、1−ヒドロキシ−シクロヘキシルフェニルケトン(BASF社製「イルガキュア184」)(ラジカル重合開始剤)2質量部および上記した式(D−1β)で表されるカチオン重合開始剤(サンアプロ株式会社製「CPI−500P」)2質量部(全部の合計100質量部)をよく混合して光学的立体造形用樹脂組成物を調製した。
この光学的立体造形用樹脂組成物の粘度を上記した方法で測定したところ308mPa・s(25℃)であった。
(2) 上記(1)で得られた光学的立体造形用樹脂組成物を用いて、超高速光造形システム(ナブテスコ株式会社製「SOLIFORM250」)を使用して、半導体レーザー(定格出力200mW;波長355nm;スペクトラフィジックス社製)で、液面照射エネルギー100mJ/cm2の条件下に、スライスピッチ(積層厚み)0.10mm、1層当たりの平均造形時間2分で光学的立体造形を行って、物性測定用の試験片(JIS K−7113に準拠したダンベル形状の試験片とJIS K−7171に準拠したバー形状の試験片、JIS K−7110に準拠したアイゾット衝撃試験用の試験片)、黄色度・全光線透過率測定用の10mm厚の試験片を作製した。得られた試験片に紫外線(メタルハライドランプ、波長365nm、強度3.0mW/cm2)を20分間照射して後硬化した。
後硬化後の試験片の力学的特性、熱変形温度、黄色度および全光線透過率を上記した方法で測定したところ、下記の表1に示すとおりであった。
《実施例2》
(1) 実施例1の(1)において、ポリエチレングリコールモノアクリレート(ブレンマーAE200)10質量部の代わりに、ポリエチレングリコールモノアクリレート[日本油脂株式会社製「ブレンマーAE400」(エチレンオキシド単位の結合数≒10、平均分子量約400のポリエチレングリコールのモノアクリレート)]10質量部を用いた以外は、実施例1の(1)と同様にして光学的立体造形用樹脂組成物を調製した。
この光学的立体造形用樹脂組成物の粘度を上記した方法で測定したところ388mPa・s(25℃)であった。
(2) 上記(1)で得られた光学的立体造形用樹脂組成物を用いて、実施例1の(2)と同様にして物性測定用の試験片を作製し、得られた試験片に紫外線(メタルハライドランプ、波長365nm、強度3.0mW/cm2)を20分間照射して後硬化した。
後硬化後の試験片の力学的特性、熱変形温度、黄色度および全光線透過率を上記した方法で測定したところ、下記の表1に示すとおりであった。
《実施例3》
(1) 実施例1の(1)において、ポリエチレングリコールモノアクリレート(ブレンマーAE200)10質量部の代わりに、ポリエチレングリコールモノアクリレート[日本油脂株式会社製「ブレンマーAE400」(エチレンオキシド単位の結合数≒10、平均分子量約400のポリエチレングリコールノモノアクリレート)]5質量部とポリエチレングリコールモノアクリレート[日本油脂株式会社製「ブレンマーAE90」(エチレンオキシド単位の結合数≒2、平均分子量約90のポリエチレングリコールのモノアクリレート)]5質量部を用いた以外は、実施例1の(1)と同様にして光学的立体造形用樹脂組成物を調製した。この光学的立体造形用樹脂組成物の粘度を上記した方法で測定したところ334mPa・s(25℃)であった。
(2) 上記(1)で得られた光学的立体造形用樹脂組成物を用いて、実施例1の(2)と同様にして物性測定用の試験片を作製し、得られた試験片に紫外線(メタルハライドランプ、波長365nm、強度3.0mW/cm2)を20分間照射して後硬化した。
後硬化後の試験片の力学的特性、熱変形温度、黄色度および全光線透過率を上記した方法で測定したところ、下記の表1に示すとおりであった。
《実施例4》
(1) 実施例1の(1)において、A9550W(ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物)2質量部の代わりに、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(新中村化学工業株式会社製「A−DPH」2質量部を用いた以外は、実施例1の(1)と同様にして光学的立体造形用樹脂組成物を調製した。
この光学的立体造形用樹脂組成物の粘度を上記した方法で測定したところ340mPa・s(25℃)であった。
(2) 上記(1)で得られた光学的立体造形用樹脂組成物を用いて、実施例1の(2)と同様にして物性測定用の試験片を作製し、得られた試験片に紫外線(メタルハライドランプ、波長365nm、強度3.0mW/cm2)を20分間照射して後硬化した。
後硬化後の試験片の力学的特性、熱変形温度、黄色度および全光線透過率を上記した方法で測定したところ、下記の表1に示すとおりであった。
《実施例5》
(1) トリシクロデカンジメタノールジアクリレート(A−DCP)14質量部、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート(新中村化学工業株式会社製「AD−TMP」)6質量部、ポリエチレングリコールモノアクリレート(ブレンマーAE200;エチレンオキシド単位の結合数≒4.5、平均分子量≒200)10質量部、水素添加ビスフェノールAジグリシジルエーテル(HBE100)51質量部、ビスフェノールAジグリシジルエーテル(EP−4100E)5質量部、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン(OXT−101)10質量部、1−ヒドロキシ−シクロヘキシルフェニルケトン(イルガキュア184)(ラジカル重合開始剤)2質量部および上記した式(D−1β)で表されるカチオン重合開始剤(CPI−500P)2質量部(全部の合計100質量部)をよく混合して光学的立体造形用樹脂組成物を調製した。
この光学的立体造形用樹脂組成物の粘度を上記した方法で測定したところ352mPa・s(25℃)であった。
(2) 上記(1)で得られた光学的立体造形用樹脂組成物を用いて、実施例1の(2)と同様にして物性測定用の試験片を作製し、得られた試験片に紫外線(メタルハライドランプ、波長365nm、強度3.0mW/cm2)を20分間照射して後硬化した。
後硬化後の試験片の力学的特性、熱変形温度、黄色度および全光線透過率を上記した方法で測定したところ、下記の表1に示すとおりであった。
《実施例6》
(1) トリシクロデカンジメタノールジアクリレート(A−DCP)13質量部、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物(A9550W)2質量部、ポリエチレングリコールモノアクリレート(ブレンマーAE200;エチレンオキシド単位の結合数≒4.5、平均分子量≒200)10質量部、水素添加ビスフェノールAジグリシジルエーテル(HBE100)49質量部、2−[4−(2,3−エポキシプロポキシ)フェニル]−2−[4−[1,1−ビス[4−([2,3−エポキシプロポキシ]フェニル]エチル]フェニル]プロパン(上記したVG3101L)3質量部、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート(株式会社ダイセル製「Cel−2021P」)5質量部、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン(OXT−101)10質量部、ビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル(東亞合成株式会社製「OXT221」)2質量部、1−ヒドロキシ−シクロヘキシルフェニルケトン(イルガキュア184)(ラジカル重合開始剤)2質量部および上記した式(D−1γ)で表されるカチオン重合開始剤(サンアプロ株式会社製「CPI−200K」)4質量部(全部の合計100質量部)をよく混合して光学的立体造形用樹脂組成物を調製した。
この光学的立体造形用樹脂組成物の粘度を上記した方法で測定したところ310mPa・s(25℃)であった。
(2) 上記(1)で得られた光学的立体造形用樹脂組成物を用いて、実施例1の(2)と同様にして物性測定用の試験片を作製し、得られた試験片に紫外線(メタルハライドランプ、波長365nm、強度3.0mW/cm2)を20分間照射して後硬化した。
後硬化後の試験片の力学的特性、熱変形温度、黄色度および全光線透過率を上記した方法で測定したところ、下記の表2に示すとおりであった。
《実施例7》
(1) トリシクロデカンジメタノールジアクリレート(NK−A−DCP)18質量部、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物(A9550W)2質量部、ポリエチレングリコールモノアクリレート(ブレンマーAE200;(エチレンオキシド単位の結合数≒4.5、平均分子量≒200))10質量部、水素添加ビスフェノールAジグリシジルエーテル(「HBE100)47質量部、2−[4−(2,3−エポキシプロポキシ)フェニル]−2−[4−[1,1−ビス[4−([2,3−エポキシプロポキシ]フェニル]エチル]フェニル]プロパン(上記したVG3101L)3質量部、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート(Cel−2021P)2質量部、脂環式エポキシのオリゴマー(株式会社ダイセル製「EHPE−3150」)2質量部、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン(OXT−101)10質量部、ビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル(東亞合成株式会社製「OXT221」)2質量部、1−ヒドロキシ−シクロヘキシルフェニルケトン(BASF社製「イルガキュア184」)(ラジカル重合開始剤)2質量部、上記した式(D−1β)で表されるカチオン重合開始剤(CPI−500P)1.2質量部、上記した式(D−1α)で表されるカチオン重合開始剤(CPI−500K)0.4質量部および上記した式(D−1γ)で表されるカチオン重合開始剤(CPI−200K)0.4質量部(全部の合計100質量部)をよく混合して光学的立体造形用樹脂組成物を調製した。
この光学的立体造形用樹脂組成物の粘度を上記した方法で測定したところ360mPa・s(25℃)であった。
(2) 上記(1)で得られた光学的立体造形用樹脂組成物を用いて、実施例1の(2)と同様にして物性測定用の試験片を作製し、得られた試験片に紫外線(メタルハライドランプ、波長365nm、強度3.0mW/cm2)を20分間照射して後硬化した。
後硬化後の試験片の力学的特性、熱変形温度、黄色度および全光線透過率を上記した方法で測定したところ、下記の表2に示すとおりであった。
《実施例8》
(1) トリシクロデカンジメタノールジアクリレート(NK−A−DCP)16質量部、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物(A9550W)2質量部、ポリエチレングリコールモノアクリレート(ブレンマーAE200;(エチレンオキシド単位の結合数≒4.5、平均分子量≒200))10質量部、水素添加ビスフェノールAジグリシジルエーテル(「HBE100)27質量部、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート(Cel−2021P)27質量部、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン(OXT−101)12質量部、1−ヒドロキシ−シクロヘキシルフェニルケトン(イルガキュア184)(ラジカル重合開始剤)2質量部、上記した式(D−1γ)で表されるカチオン重合開始剤(サンアプロ株式会社製「CPI−200K」)4質量部(全部の合計100質量部)をよく混合して光学的立体造形用樹脂組成物を調製した。
この光学的立体造形用樹脂組成物の粘度を上記した方法で測定したところ156mPa・s(25℃)であった。
(2) 上記(1)で得られた光学的立体造形用樹脂組成物を用いて、実施例1の(2)と同様にして物性測定用の試験片を作製し、得られた試験片に紫外線(メタルハライドランプ、波長365nm、強度3.0mW/cm2)を20分間照射して後硬化した。
後硬化後の試験片の力学的特性、熱変形温度、黄色度および全光線透過率を上記した方法で測定したところ、下記の表2に示すとおりであった。
《実施例9》
(1) トリシクロデカンジメタノールジアクリレート(NK−A−DCP)13質量部、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物(A9550W)2質量部、ポリエチレングリコールモノアクリレート(ブレンマーAE200;(エチレンオキシド単位の結合数≒4.5、平均分子量≒200))10質量部、水素添加ビスフェノールAジグリシジルエーテル(「HBE100)49質量部、2−[4−(2,3−エポキシプロポキシ)フェニル]−2−[4−[1,1−ビス[4−([2,3−エポキシプロポキシ]フェニル]エチル]フェニル]プロパン(上記したVG3101L)3質量部、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート(Cel−2021P)5質量部、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン(OXT−101)10質量部、ビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル(東亞合成株式会社製「OXT221」)2質量部、1−ヒドロキシ−シクロヘキシルフェニルケトン(イルガキュア184)(ラジカル重合開始剤)2質量部および上記の式(D−2α)で表される4−(フェニルチオ)フェニルジフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート(サンアプロ株式会社製「CPI−101A」)4質量部(全部の合計100質量部)をよく混合して光学的立体造形用樹脂組成物を調製した。
この光学的立体造形用樹脂組成物の粘度を上記した方法で測定したところ314mPa・s(25℃)であった。
(2) 上記(1)で得られた光学的立体造形用樹脂組成物を用いて、実施例1の(2)と同様にして物性測定用の試験片を作製し、得られた試験片に紫外線(メタルハライドランプ、波長365nm、強度3.0mW/cm2)を20分間照射して後硬化した。
後硬化後の試験片の力学的特性、熱変形温度、黄色度および全光線透過率を上記した方法で測定したところ、下記の表2に示すとおりであった。
《実施例10》
(1) 実施例1の(1)において、A9550W(ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物)2質量部の代わりに、ペンタエリスリトールのエチレンオキシド4モル付加物のテトラアクリレート(新中村化学工業株式会社製「ATM−4E」2質量部を用い、ポリエチレングリコールモノアクリレート(ブレンマーAE200)10質量部の代わりに、ポリプロピレングリコールモノアクリレート[日本油脂株式会社製「ブレンマーAP150」(プロピレンオキシド単位の結合数≒2.5、平均分子量≒150)を用いた以外は、実施例1の(1)と同様にして光学的立体造形用樹脂組成物を調製した。
この光学的立体造形用樹脂組成物の粘度を上記した方法で測定したところ290mPa・s(25℃)であった。
(2) 上記(1)で得られた光学的立体造形用樹脂組成物を用いて、実施例1の(2)と同様にして物性測定用の試験片を作製し、得られた試験片に紫外線(メタルハライドランプ、波長365nm、強度3.0mW/cm2)を20分間照射して後硬化した。
後硬化後の試験片の力学的特性、熱変形温度、黄色度および全光線透過率を上記した方法で測定したところ、下記の表2に示すとおりであった。
《比較例1》
(1) トリシクロデカンジメタノールジアクリレート(NK−A−DCP)18質量部、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物(A9550W)2質量部、水素添加ビスフェノールAジグリシジルエーテル(「HBE100)51質量部、2−[4−(2,3−エポキシプロポキシ)フェニル]−2−[4−[1,1−ビス[4−([2,3−エポキシプロポキシ]フェニル]エチル]フェニル]プロパン(上記したVG3101L)3質量部、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン(OXT−101)10質量部、ビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル(東亞合成株式会社製「OXT221」)2質量部、1−ヒドロキシ−シクロヘキシルフェニルケトン(イルガキュア184)(ラジカル重合開始剤)2質量部および上記した式(D−1β)で表されるカチオン重合開始剤(CPI−500P)2質量部(全部の合計100質量部)をよく混合して光学的立体造形用樹脂組成物を調製した。
この光学的立体造形用樹脂組成物の粘度を上記した方法で測定したところ508mPa・s(25℃)であった。
(2) 上記(1)で得られた光学的立体造形用樹脂組成物を用いて、実施例1の(2)と同様にして物性測定用の試験片を作製し、得られた試験片に紫外線(メタルハライドランプ、波長365nm、強度3.0mW/cm2)を20分間照射して後硬化した。
後硬化後の試験片の力学的特性、熱変形温度、黄色度および全光線透過率を上記した方法で測定したところ、下記の表3に示すとおりであった。
《比較例2》
(1) 実施例1の(1)において、ポリエチレングリコールモノアクリレート(ブレンマーAE200)10質量部の代わりに、ポリテトラメチレングリコール(保土ケ谷化学株式会社製「PTG−850SN」、平均分子量≒850)10質量部を用いた以外は、実施例1の(1)と同様にして光学的立体造形用樹脂組成物を調製した。
この光学的立体造形用樹脂組成物の粘度を上記した方法で測定したところ462mPa・s(25℃)であった。
(2) 上記(1)で得られた光学的立体造形用樹脂組成物を用いて、実施例1の(2)と同様にして物性測定用の試験片を作製し、得られた試験片に紫外線(メタルハライドランプ、波長365nm、強度3.0mW/cm2)を20分間照射して後硬化した。
後硬化後の試験片の力学的特性、熱変形温度、黄色度および全光線透過率を上記した方法で測定したところ、下記の表3に示すとおりであった。
《参考例1》
(1) 実施例1の(1)において、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン(OXT−101)10質量部を配合しなかった以外は、実施例1の(1)と同様にして光学的立体造形用樹脂組成物を調製した(全部の合計90質量部)。
この光学的立体造形用樹脂組成物の粘度を上記した方法で測定したところ556mPa・s(25℃)であった。
(2) 上記(1)で得られた光学的立体造形用樹脂組成物を用いて、実施例1の(2)と同様にして物性測定用の試験片を作製し、得られた試験片に紫外線(メタルハライドランプ、波長365nm、強度3.0mW/cm2)を20分間照射して後硬化した。
後硬化後の試験片の力学的特性、熱変形温度、黄色度および全光線透過率を上記した方法で測定したところ、下記の表3に示すとおりであった。
《参考例2》
(1) 実施例1の(1)において、ポリエチレングリコールモノアクリレート10質量部の代わりに、2−ヒドロキシエチルアクリレート(東京化成製)10質量部を用いた以外は、実施例1の(1)と同様にして光学的立体造形用樹脂組成物を調製した。
この光学的立体造形用樹脂組成物の粘度を上記した方法で測定したところ208mPa・s(25℃)であった。
(2) 上記(1)で得られた光学的立体造形用樹脂組成物を用いて、実施例1の(2)と同様にして物性測定用の試験片を作製し、得られた試験片に紫外線(メタルハライドランプ、波長365nm、強度3.0mW/cm2)を20分間照射して後硬化した。
後硬化後の試験片の力学的特性、熱変形温度、黄色度および全光線透過率を上記した方法で測定したところ、下記の表3に示すとおりであった。
《参考例3》
(1) 実施例1の(1)において、ポリエチレングリコールモノアクリレート(ブレンマーAE200)10質量部の代わりに、ポリエチレングリコールジアクリレート(新中村化学工業株式会社製「A−600」、平均分子量≒600)10質量部を用いた以外は、実施例1の(1)と同様にして光学的立体造形用樹脂組成物を調製した。
この光学的立体造形用樹脂組成物の粘度を上記した方法で測定したところ356mPa・s(25℃)であった。
(2) 上記(1)で得られた光学的立体造形用樹脂組成物を用いて、実施例1の(2)と同様にして物性測定用の試験片を作製し、得られた試験片に紫外線(メタルハライドランプ、波長365nm、強度3.0mW/cm2)を20分間照射して後硬化した。
後硬化後の試験片の力学的特性、熱変形温度、黄色度および全光線透過率を上記した方法で測定したところ、下記の表3に示すとおりであった。
Figure 0006091342
Figure 0006091342
Figure 0006091342
上記の表1〜表3にみるように、実施例1〜10の光学的立体造形用樹脂組成物は、ラジカル重合性有機化合物(A)、カチオン重合性有機化合物(B)、ラジカル重合開始剤(C)およびカチオン重合開始剤(D)を含有する光学的立体造形用樹脂組成物において、ラジカル重合性有機化合物(A)の一部としてポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレートを含有し、且つカチオン重合性有機化合物(B)の一部としてオキセタン化合物を含有していることにより、光造形して得られた立体造形物の衝撃強度の値が3.2kJ/m2以上と高くて靭性に優れ、耐久性があり、しかも立体造形物の黄色度が9.5以下で黄色着色が小さく且つ全光線透過率(光透過率)が86.8%以上と高くて、色調および透明性に優れている。
それに対して、比較例1の光学的立体造形用樹脂組成物は、カチオン重合性有機化合物(B)の一部としてオキセタン化合物を含有しているが、ラジカル重合性有機化合物(A)の一部としてポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレートを含有していないために、光造形して得られた立体造形物の衝撃強度の値が1.1kJ/m2と小さくて、靭性に乏しくて破損し易く、しかも立体造形物の黄色度が21.9と大きくて黄色に着色し、全光線透過率(光透過率)が78.4%と低くて、色調および透明性に劣っている。
また、比較例2の光学的立体造形用樹脂組成物は、ポリテトラメチレングリコールを含有していることにより、光造形して得られた立体造形物の衝撃強度の値が5.3kJ/m2と高くて靭性に優れているが、立体造形物の黄色度が41.8と極めて高くて黄色着色が大きく、しかも全光線透過率(光透過率)が65.5%と低くて、色調および透明性に大きく劣っている。
また、参考例1の光学的立体造形用樹脂組成物は、ラジカル重合性有機化合物(A)の一部としてポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート(ポリエチレングリコールモノアクリレート)を含有しているが、カチオン重合性有機化合物(B)の一部としてオキセタン化合物を含有していないために、光造形して得られた立体造形物では、衝撃強度は、比較例1に比べてかなり向上しているものの、実施例1〜10に比べて衝撃強度の値がが低い。
また、参考例2の光学的立体造形用樹脂組成物は、カチオン重合性有機化合物(B)の一部としてオキセタン化合物を含有しているが、ラジカル重合性有機化合物(A)の一部として含有するモノ(メタ)アクリレートが、ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレートではなくて、2−ヒドロキシエチルアクリレートであるために、参考例2の光学的立体造形用樹脂組成物を光造形して得られた立体造形物の衝撃強度が実施例1〜10に比べて劣っている。しかも、参考例2の光学的立体造形用樹脂組成物を光造形して得られた立体造形物の黄色度が11.5であって10を超えており、実施例1〜10に比べて黄色着色の度合が大きい。
さらに、参考例3の光学的立体造形用樹脂組成物は、カチオン重合性有機化合物(B)の一部としてオキセタン化合物を含有しているが、ラジカル重合性有機化合物(A)の一部として、ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレートではなくて、ポリエチレングリコールジアクリレートを含有しているために、参考例3の光学的立体造形用樹脂組成物を光造形して得られた立体造形物は、衝撃強度が実施例1〜10に比べて劣っている。
本発明の光学的立体造形用樹脂組成物は、活性エネルギー線による硬化感度が高く、低粘度で造形時の取り扱い性に優れ、造形物の解像度が高く造形精度に優れるという諸特性を有するだけでなく、光造形して得られる立体造形物は高い衝撃強度を有していて靭性に優れ、しかも当該立体造形物は黄色度が低く且つ光透過率が高くて色調および透明性にも優れているため、本発明の光学的立体造形用樹脂組成物は、高い透明度を有し且つ黄色着色のない外観および色調に優れる立体造形物や強度、弾性特性、耐衝撃性、靭性などの力学的特性に優れる立体造形物が求められている、設計の途中で各種工業製品の外観デザインを検証するためのモデル、部品の機能性をチェックするためのモデル、鋳型を製作するための樹脂型、金型を製作するためのベースモデル、自動車やオートバイのレンズ、美術品の復元、模造や現代アート、ガラス張りの建築物のデザインプレゼンテーションモデルのような美術工芸品分野、精密部品、電気・電子部品、家具、建築構造物、自動車用部品、各種容器類、鋳物などのモデルなどの種々の用途に有効に使用することができる。

Claims (4)

  1. 《1》 ラジカル重合性有機化合物(A)、カチオン重合性有機化合物(B)、ラジカル重合開始剤(C)およびカチオン重合開始剤(D)を含有する三次元CADデータに基づく光学的立体造形に用いるための光学的立体造形用樹脂組成物であって;
    《2》 光学的立体造形用樹脂組成物の全質量に基づいて、ラジカル重合性有機化合物(A)を10〜50質量%、カチオン重合性有機化合物(B)を30〜80質量%、ラジカル重合開始剤(C)を0.1〜10質量%およびカチオン重合開始剤(D)を0.1〜10質量%の割合で含有し;
    《3》 ラジカル重合性有機化合物(A)の全質量に基づいて、ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート(A−1)を5〜70質量%の割合で含有し;
    《4》 カチオン重合性有機化合物(B)の全質量に基づいて、オキセタン化合物(B−1)を3〜50質量%の割合で含有し;且つ、
    《5》 オキセタン化合物(B−1)として、オキセタン基を1個有するモノオキセタン化合物(B−1a)を含有するか、またはオキセタン基を1個有するモノオキセタン化合物(B−1a)とオキセタン基を2個以上有するポリオキセタン化合物(B−1b)を含有する;
    ことを特徴とする三次元CADデータに基づく光学的立体造形に用いるための光学的立体造形用樹脂組成物。
  2. ラジカル重合性有機化合物(A)の一部として、下記の一般式(A−2);
    Figure 0006091342

    (式中、R1は橋架け環式炭化水素基を示し、R2は水素原子またはメチル基を示す。)
    で表されるジ(メタ)アクリレート化合物(A−2)を、ラジカル重合性有機化合物(A)の全質量に基づいて10〜95質量%の割合で含有する請求項に記載の光学的立体造形用樹脂組成物。
  3. カチオン重合性有機化合物(B)の一部として、下記の一般式(B−2);
    Figure 0006091342

    (式中、R3は、水素添加ビスフェノールA残基、水素添加ビスフェノールE残基、水素添加ビスフェノールF残基、水素添加ビスフェノールAD残基、水素添加ビスフェノールZ残基、シクロヘキサンジメタノール残基またはトリシクロデカンジメタノール残基を示す。)
    で表される脂環式ジグリシジルエーテル化合物(B−2)を、カチオン重合性有機化合物(A)の全質量に基づいて10〜97質量%の割合で含有する請求項1または2に記載の光学的立体造形用樹脂組成物。
  4. 請求項1〜のいずれか1項に記載の光学的立体造形用樹脂組成物を用いて三次元CADデータに基づいて光学的立体造形を行って立体造形物を製造する方法。
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