JP5406461B2 - 硬化性組成物 - Google Patents

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本発明は、例えばマイクロ流体が搬送されるマイクロ流路などの中空部や凹部が形成されている樹脂積層体の製造方法に用いられる。より詳細には、光や熱などのトリガーを付与することにより硬化する硬化性組成物を用いたパターニング工程を備える該樹脂積層体の製造方法に用いられる硬化性組成物に関する。
従来、様々な生化学物質の分析や金属イオンの分析等に用いられるマイクロチップが種々提案されている。マイクロチップでは、試薬や希釈液などが流される流路として、幅5μm〜1mm程度のマイクロ流路が中空流路として内部に形成されている。このようなマイクロ流路を有する樹脂積層体を製造する方法として、例えば下記の非特許文献1や非特許文献2には以下の方法が開示されている。
フォトレジストを用いてフォトリソグラフィー法により該フォトレジストをパターニングし、マイクロ流路に対して反転された鋳型基板を作製する。次に、上記鋳型基板の上面に熱硬化性樹脂としてポリジメチルシロキサン(PDMS)を塗布し、鋳型の凹部に該PDMSを流し込む。しかる後、60〜100℃の温度で1時間加熱し、PDMSを硬化させる。このようにして、PDMSからなり、かつ上記鋳型に対応して、マイクロ流路を得るための凹部が片面に形成された樹脂シートを得ることができる。この樹脂シートの凹部が形成されている側の面に、プラズマ処理を行い、表面のヒドロキシル基を活性化させる。その状態で、上記樹脂シートのプラズマ処理された面に、PDMSなどからなる平坦な基板あるいはガラス基板に接着することにより、中空のマイクロ流路が形成されている。
Xia YN,Whitesides GM.,Angew Chem Int Ed.(1998)37:551−.575 Matsubara Y,Murakami Y,Kobayashi M,Morita Y,Tamiya E.,Biosens Bioelectron.(2004)19,741−747
しかしながら、熱硬化性のPDMSを用いたマイクロチップの製造方法では、接着に先立ち、PDMSからなる樹脂シートの表面にプラズマ処理を施さねばならなかった。そのため、プラズマ処理に比較的長い時間を要し、かつ高価なプラズマ発生装置を導入しなければならず、コストが非常に高くつくという問題があった。
本発明の目的は、上述した従来技術の欠点を解消し、マイクロ流路などの微細中空構造を形成するための凹部や貫通部を高精度にかつ容易に形成することができ、しかもプラズマ装置などの高価でかつ大きな装置を必要としない樹脂積層体の製造を可能とする硬化性脂組成物を提供することにある。
本発明に係る硬化性組成物は、第1のトリガーが与えられた際に硬化する第1の樹脂と、第1のトリガーとは異なる第2のトリガーが与えられた際に硬化する第2の樹脂とを含む硬化性組成物を、前記凹部もしくは貫通部に相当する部分が上面に突出部として形成されたパターニング材の上面に塗布する工程と、前記第1のトリガーを与えて、前記硬化性組成物中の第1の樹脂を硬化させ、前記パターニング材に塗布された硬化性組成物を半硬化し、前記パターニング材の突出部に対して反転した形状を有する半硬化組成物部材を用意する工程と、前記半硬化組成物部材を基板の上面に載置する工程と、前記第2のトリガーを付与し、前記半硬化組成物部材中の第2の樹脂を硬化させることにより、基板の上面に接合されており、かつ基板側に向かって開いた凹部または貫通部を有する樹脂シートを形成する工程とを備え、基板と、基板の上面に接合されており、基板側に向かって開いた凹部もしくは貫通部を有する樹脂シートとを有する樹脂積層体の製造方法に用いられる硬化性組成物であって、
(A)ラジカル重合性樹脂と、
(B)光ラジカル発生剤と、
(C)イオン重合性樹脂と、
(D)光イオン重合触媒とを含み、
前記第1のトリガーが光であり、前記第2のトリガーが前記第1のトリガーとは波長が異なる光であり、前記第2のトリガーとしての光の印加エネルギー総量の前記第1のトリガーとしての光の印加エネルギー総量に対する比が1倍〜100倍の範囲にある。
好ましくは、前記(B)光ラジカル発生剤が(B−1)波長400nm以上の光が与えられた際にラジカルを発生する光ラジカル発生剤であり、前記(D)光イオン重合触媒が(D−1)波長400nm以下の光が照射された際に活性化されるイオン重合触媒であり、前記第1のトリガーとしての光の波長が、前記第2のトリガーとしての光の波長よりも長波長である。
本発明に係る樹脂積層体の製造方法では、好ましくは、前記第1,第2のトリガーが与えられる前の前記硬化性組成物の粘度が、23℃の温度で10〜10000mPa・sの範囲にある。この場合には、パターニング材の凹凸に対する追従性が高くなり、該凹凸が硬化性組成物により確実に転写される。
また、好ましくは、前記半硬化組成物部材において、前記第2のトリガーが付与される前のタックが4〜20の範囲にある。この場合には、半硬化組成部材同士を貼り合わせる場合、あるいは基板に貼り合わせる場合に、位置ずれを防止できたり、位置を容易に修正したりすることができる。
さらに、本発明では、好ましくは、前記第2のトリガーを付与して形成された前記樹脂シートの前記基板に対する接着力が、0.05N/cm以上である。接着力が0.05N/cm未満であると、基板から剥がれてしまうおそれがあり、目的とする中空構造が維持できなくなることがある。
なお、前記基板としては、例えば、金属や樹脂からなる板状部材、セルロース等の打ち抜き加工品からなるもの、合成樹脂薄肉成形品、または、これらの積層体などを挙げることができる。また、基板も上記半硬化組成物からなるものでもよい。
また、本発明に係る樹脂積層体の製造方法では、好ましくは、前記第2のトリガーを与えた後の前記樹脂シートの厚み方向のヤング率が、1〜5MPaの範囲にある。この場合には、転写法を用いて被着体表面に積層された際に、非常に小さな中空構造、橋渡し構造または片持ち梁構造などの微小な3次元構造が被着体に存在していた場合であっても、これらを埋めることなく接着することができる。
また、本発明に係る樹脂積層体の製造方法においては、上記樹脂シートが凹部を有し、それによって基板と樹脂シートとの間に中空部が形成されてもよい。
あるいは、樹脂シートが貫通部を有し、基板に樹脂シートが接着されて、基板上に樹脂シートに設けられた貫通部からなる凹部が形成され、樹脂シートの基板と反対側の面に上記貫通部を閉成するプレートを積層し接合する工程がさらに備えられてもよい。この場合には、基板と、樹脂シートの貫通部と、上記貫通部を閉成するプレートとにより中空部が形成されることになる。
本発明においては、好ましくは、上記中空部または貫通部により、マイクロ流体が搬送されるマイクロ流路が形成され、それによって、本発明により得られた樹脂積層体をマイクロチップの製造に好適に利用することができる。
以下、本発明の詳細を説明する。
また、図1及び図2を参照して、本発明の樹脂積層体の第1,第2の実施形態を説明する。
図1(a)〜(e)は、本発明の第1の実施形態に係る樹脂積層体の製造方法を説明するための模式的正面断面図である。
図1(a)に示すように、まず、例えばSiからなる支持基板1を用意する。支持基板1上に、フォトレジスト層2を形成する。このフォトレジスト層2の上面に、透光部3a〜3cを有するマスクパターン3を形成する。透光部3a〜3cは、透光部3a,3b間及び透光部3b,3c間に後述する中空部を形成するための側壁形成部分に相当する。
次に、マスクパターン3の上方から光を照射し、次に現像することによりフォトレジスト層2の光が照射されなかった部分と、マスクパターン3とを除去する。
このようにして、図1(b)に示すパターニング材4を得ることができる。パターニング材4では、支持基板1上に上記のようにしてパターニングされたフォトレジスト層2Aが積層されている。パターニング材4では、フォトレジスト層2Aに形成された開口部2a,2b間に突出部2cが形成されている。この突出部2cが、最終的に中空流路を形成する部分に相当する。
次に、図1(c)に示すように、樹脂の周囲へのはみ出しを防止するために堰Xを取り付け、次に、上記パターニング材4の上面に、硬化性組成物を塗布し、硬化性組成物層5を形成する。この場合、硬化性組成物は、パターニング材4における上記開口部2a,2bに入り込み、さらにパターニング材4の上面に適宜の厚みの平坦な層を有するように形成される。
しかる後、上記硬化性組成物層5に第1のトリガーを与え、硬化性組成物中の第1の樹脂を硬化させる。このようにして、硬化性組成物が半硬化され、パターニング材4上に、パターニング材4の上記突出部2cと反転した形状を有する半硬化組成物部材5Aが得られる(図1(d))。
次に、上記半硬化組成物部材5Aを、別途用意された上面が平坦な基板6上に載置する。そして、図1(e)に示すように、その状態で、第2のトリガーを半硬化組成物部材5Aに与え、半硬化組成物部材5A中の第2の樹脂を硬化させる。それによって、半硬化組成物部材5Aが硬化し、樹脂からなる基板6側に向かって開いた凹部5aを有する樹脂シート5Bが得られ、硬化とともに、該樹脂シート5Bが基板6に接合される。従って、基板6と樹脂シート5Bとの間に中空部Aが形成される。
よって、本実施形態では、上記硬化性組成物に、第1のトリガー及び第2のトリガーを与えるだけで、微細な中空流路等として作用し得る中空部Aを有する樹脂積層体を容易に得ることができる。
なお、第1の実施形態では、上記中空部Aが形成されていたが、第2の実施形態では、硬化性組成物を用いて貫通部が形成される。すなわち、図2(a)に示すように、支持基板1上に、フォトレジスト層2を形成し、マスクパターン7を積層する。このマスクパターン7は、透光部7a〜7dを有する。次に、第1の実施形態の場合と同様に現像を行い、フォトレジスト層2をパターニングするとともに、マスクパターン7を除去する。このようにして、図2(b)に示すように、開口部2d〜2fを有するように、フォトレジスト層2がパターニングされてフォトレジスト層2Bが形成される。それによって、支持基板1上にフォトレジスト層2Bが形成されているパターニング材8が得られる。
次に、パターニング材8上に、硬化性組成物を塗布する。ここでは、硬化性組成物は、上記フォトレジスト層2Bに設けられた開口部2d〜2fに充填され、但しフォトレジスト層2Bの上面には塗布されないように付与される。
しかる後、第1のトリガーを付与し、硬化性組成物を半硬化する。半硬化組成物部材9Aでは、貫通部9a,9bが形成されている。このようにして得られた半硬化組成物部材9Aをパターニング材から取り外し、別途用意された基板6に積層する。
次に、第2のトリガーを付与し、半硬化組成物部材9Aを硬化することにより、樹脂シート9Bとし、図2(e)に示す樹脂積層体10が得られる。樹脂積層体10では、上記基板6上に接合された樹脂シート9Bの前述した貫通部9a,9bに由来する凹部が形成されていることになる。従って、図2(e)に示すように、さらに平坦なシート11を積層することにより、中空部Aを形成することができる。この平坦なシート11としては、樹脂シートあるいはガラス板などを用いることができる。
第2の実施形態においても、上記硬化性組成物に第1のトリガー及び第2のトリガーを与えるだけで、中空部を形成するためのパターニング、基板6への接合等を行うことができる。
すなわち、本発明の樹脂積層体の製造方法は、微細な中空部Aや貫通部を有する樹脂積層体の製造に際し上記第1,第2のトリガーで半硬化及び硬化する硬化性組成物を用いたことに特徴を有する。それによって、マイクロ流路などの微細な中空部や凹部を有する樹脂積層体を高精度にかつ容易に得ることが可能となる。
次に、上記硬化性組成物の詳細につき説明する。
上記硬化性組成物としては、第1のトリガーが付与されて、含有されている第1の樹脂が硬化し、半硬化状態となり、第2のトリガーが付与されることにより含有されている第2の樹脂が硬化する適宜の硬化性組成物を用いることができる。この場合、第1のトリガーとしては、光または熱などの様々なエネルギーを用いることができる。
上記硬化性組成物の第1の態様としては、(A)ラジカル重合性樹脂と、(B)光ラジカル発生剤と、(C)イオン重合性樹脂と、(D)光イオン重合触媒とを含み、前記第1,第2のトリガーが光であり、前記第2のトリガーとしての光の印加エネルギー総量の前記第1のトリガーとしての光の印加エネルギー総量に対する比が1倍〜100倍の範囲にある、硬化性組成物である。
また、第2の態様は、(A)ラジカル重合性樹脂と、(B−1)波長400nm以上の光が与えられた際にラジカルを発生する光ラジカル発生剤と、(C)イオン重合性樹脂と、(D−1)波長400nm以下の光が照射された際に活性化されるイオン重合触媒とを含み、前記第1のトリガーが光であり、前記第2のトリガーが光であり、前記第1のトリガーとしての光の波長が、前記第2のトリガーとしての光の波長よりも長波長である、硬化性組成物である。
さらに、第3の態様は、(A)ラジカル重合性樹脂と、(B)光ラジカル発生剤と、(C)イオン重合性樹脂と、(E)前記イオン重合性樹脂(C)を加熱により硬化する熱硬化剤とを含み、前記第1のトリガーが光であり、前記第2のトリガーが熱である、硬化性組成物である。
第4の態様は、(A)ラジカル重合性樹脂と、(F)熱ラジカル発生剤と、(C)イオン重合性樹脂と、(D)光イオン重合触媒とを含み、前記第1のトリガーが熱であり、前記第2のトリガーが光である、硬化性脂組成物である。
これらの第1〜第4の態様に係る硬化性組成物において用いられる各成分の詳細を説明する。
(A)ラジカル重合性樹脂:
上記ラジカル重合性樹脂(A)としては、発生したラジカルにより重合する適宜の樹脂を用いることができ、このようなラジカル重合性樹脂としては、例えば、以下のa1)共重合性単量体と、a2)ラジカル重合性二重結合を有するオリゴマーと、a3)ラジカル重合性二重結合を一分子中に2個以上有する化合物との共重合体が好適に用いられる。
a1)共重合性単量体
共重合性単量体としては、第1のトリガーを付与した際に硬化性組成物を半硬化状態とした際の半硬化状態の程度を容易に採用することができるので、(メタ)アクリル酸エステルが好適に用いられる。このような(メタ)アクリル酸エステルとしては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸2−メチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニルオキシエチル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニル、(メタ)アクリル酸ベンジル等が挙げられる。なお、本明細書において、(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸又はメタクリル酸を意味する。
また、その他の共重合性単量体として、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−クロロスチレン等の芳香族ビニル系単量体;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル化合物;無水マレイン酸等の不飽和ジカルボン酸無水物;フェニルマレイミド、ベンジルマレイミド、ナフチルマレイミド、o−クロロフェニルマレイミド等の芳香族置換マレイミド;メチルマレイミド、エチルマレイミド、プロピルマレイミド、イソプロピルマレイミド等のアルキル置換マレイミド等からなる化合物を用いてもよい。これらは、共重合性単量体としての(メタ)アクリル酸エステルに代えて用いても良いし、混合して用いてもよい。
a2)ラジカル重合性二重結合を有するオリゴマー
上記a2)ラジカル重合性二重結合を有するオリゴマーとしては、ラジカル重合性二重結合を有する限り、特に限定されるものではない。例えば、(メタ)アクリル系オリゴマー、ポリエステルオリゴマー、ポリカーボネート系オリゴマー、ポリアミド系オリゴマー、ポリイミド系オリゴマー、ポリウレタン系オリゴマー、ポリエーテル系オリゴマー、フェノール系オリゴマー、クレゾールノボラック系オリゴマーなどが挙げられる。また、上記オリゴマーとしては、SBSやSISなどの熱可塑性エラストマーに、(メタ)アクリロイル基、スチリル基、ビニルエステル基、またはビニロキシ基などのようなラジカル重合性二重結合を有するように変性されたオリゴマーを用いてもよい。
上記オリゴマーa2)としては、1種のオリゴマーのみが用いられてもよく、2種以上のオリゴマーが併用されてもよい。
a3)ラジカル重合性二重結合を一分子中に2個以上有する化合物
上記化合物a3)としては、一分子中にラジカル重合性二重結合を2個以上有する限り、特に限定されるものではない。例えば、ラジカル重合性二重結合を有する官能基が一分子中に2個以上有する適宜の化合物が挙げられる。このようなラジカル重合性二重結合を有する官能基としては、(メタ)アクリロイル基、スチリル基、ビニルエステル基、ビニロキシ基などが挙げられる。
上記化合物a3)としては、カプロラクトン変性、エチレンオキサイド変性及び/またはプロピレンオキサイド変性された分子内に2以上のラジカル重合性不飽和結合を有する化合物が好ましい。
上記化合物a3)としては、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート等の2官能(メタ)アクリレート化合物をカプロラクトン変性した化合物;ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート等の3官能以上の(メタ)アクリレート化合物をカプロラクトン変性した化合物等が挙げられる。
また、上記本発明に係る重合性化合物が、エチレンオキサイド変性及び/又はプロピレンオキサイド変性された多官能(メタ)アクリレート化合物である場合、該多官能(メタ)アクリレート化合物としては特に限定されず、例えば、上述した3官能以上の(メタ)アクリレート化合物をエチレンオキサイド変性及び/又はプロピレンオキサイド変性した化合物等が挙げられる。なかでも、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、或いは、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートにカルボキシル基を付加させた化合物を、エチレンオキサイド変性及び/又はプロピレンオキサイド変性したものであることが好ましい。
上記多官能(メタ)アクリレート化合物をエチレンオキサイド変性及び/又はプロピレンオキサイド変性する具体的な方法としては特に限定されず、例えば、多価アルコールとエチレンオキサイド及び/又はプロピレンオキサイドとを反応させ、エチレンオキサイド変性及び/又はプロピレンオキサイド変性アルコールを合成した後、このエチレンオキサイド変性及び/又はプロピレンオキサイド変性アルコールと(メタ)アクリル酸とをエステル化反応させる方法;(メタ)アクリル酸とエチレンオキサイド及び/又はプロピレンオキサイドとを反応させ、エチレンオキサイド変性及び/又はプロピレンオキサイド変性(メタ)アクリル酸を合成した後、アルコールとエステル化反応させる方法;(メタ)アクリル酸、エチレンオキサイド及び/又はプロピレンオキサイド、並びに、多価アルコールを一括反応させる方法等が挙げられる。
上記化合物a3)は1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
硬化性組成物における(A)ラジカル重合性樹脂のガラス転移点温度Tgや分子量は、組み合わされる他の成分との関係により、適宜選択すれば良い。
硬化性組成物における(A)ラジカル重合性樹脂の配合割合については、硬化性組成物100重量部中、50〜95重量部にすることが好ましい。50重量部未満では、鋳型の微細パターンに応じた形状が転写できなくなることがあり、95重量部を超えると、基板への充分な接着性が発現できないおそれがある。より好ましくは、60〜90重量部である。
(B)光ラジカル発生剤:
光ラジカル発生剤(B)としては、光の照射により活性化され、ラジカルを発生する適宜の化合物を挙げることができる。好ましくは、光の照射により活性化され、前述した共重合性単量体a1)、オリゴマーa2)及び化合物a3)をラジカル反応架橋する光ラジカル反応開始剤を用いることができる。
後述の光イオン重合触媒(D)を活性化させる場合には、異なる波長で活性化させる光ラジカル発生剤(B−1)が用いられるのが望ましい。例えば、光イオン重合触媒(D)が400nmより短い波長の光により活性化される場合、光ラジカル発生剤(B−1)としては、400nmより長い波長光に感光する化合物が用いられる。しかしながら、光ラジカル発生剤(B)の励起波長と光イオン重合触媒(D)の励起波長が重なっていても、ラジカル連鎖反応の反応速度とイオン重合反応の反応速度とに差があるため、微細パターンの型取りと光硬化接着性の両立という基本的な機能は発現する。微細パターンの型取り性と接着性の機能をより明確に分離するために、型取り時に、すなわち第1のトリガーが付与される場合の印加される光エネルギー総量E1に対する、接着性を付与するために印加される、すなわち、第2のトリガーが付与される際の印加される光エネルギー総量E2に対する比E2/E1が1〜100であることが好ましい。比E2/E1が1未満では、光硬化接着不良となることがあり、100を超えると、充分な微細パターンの型取りができなくなりがちとなる。
このような光ラジカル発生剤(B)としては、特に限定されず、例えば、ベンゾイン、ベンゾフェノン、ベンジル、チオキサントン及びこれらの誘導体等、従来公知の光反応開始剤が挙げられる。具体的には、例えば、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ミヒラーケトン、(4−(メチルフェニルチオ)フェニル)フェイルメタノン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、1−(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−メチル−1(4−メチルチオ)フェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド、2,4−ジエチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン等が挙げられる。これらの光反応開始剤は単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
400nmより長い波長光で活性化される光ラジカル発生剤(B−1)としては、ビスアシルフォスフィンオキサイド系ラジカル発生剤、具体的にはビス(2,4,6−トリメチルベンゾイン)−フェニルフォスフィンオキサイド(チバスペシャリティケミカルズ社製、商品名イルガキュア819)、チタノセン系ラジカル発生剤、具体的には、ビス(η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス[2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)−フェニル]チタニウム(チバスペシャリティケミカルズ社製、商品名イルガキュア784)等が挙げられる。
また、その他の光ラジカル発生剤(B−1)としては、染料とラジカル発生剤または水素ドナーとの組み合わせや、α−ジケトン誘導体と水素ドナーとの組み合せが好ましい。具体的には、山岡等,「表面」,27(7),548(1989)や、佐藤等,「第3回ポリマー材料フォーラム要旨集」,IBP18(1994)に記載のカンファーキノン、ベンジルトリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、メチルチオキサントン、ジシクロペンタジエニルチタニウム−ジ(ペンタフルオロフェニル)等が挙げられる。さらに、単独の可視光重合開始剤の他、有機過酸化物と色素、ジフェニルヨードニウム塩と色素、イミダゾールとケト化合物、ヘキサアリールビイミダゾール化合物と水素供与性化合物、メルカプトベンゾチアゾールとチオピリリウム塩、金属アレーンとシアニン色素などの特公昭45−37377号公報に記載のヘキサアリールビイミダゾールとラジカル反応開始剤等の公知の複合開始剤を挙げることができる。
(B)光ラジカル発生剤の配合割合については、(A)ラジカル重合性樹脂の合計100重量部に対して、0.01〜10重量部の範囲、より好ましくは、0.05〜5の範囲とすることが望ましい。0.01重量部未満では、(A)ラジカル重合性樹脂の光架橋・重合が十分に進行し難いことがあったり、架橋・重合速度が遅くなり過ぎることがあり、10重量部を超えると、得られる微細パターン転写物の物性が低下するおそれがある。
(C)イオン重合性樹脂:
イオン重合性樹脂(C)は、イオン性反応基を有し、光の照射及び/または加熱により該イオン性反応基が反応して硬化する化合物である。上記イオン重合性樹脂(C)のイオン性反応基としては、アニオン系官能基とカチオン官能基とが存在する。上記カチオン反応基としては、エポキシ基、オキセタニル基、ビニロキシ基、スチリル基、アルコキシシリル基などを挙げることができる。
上記アニオン系官能基としては、エポキシ基、アルコキシシリル基、(メタ)アクリロイル基などを挙げることができる。
イオン重合性樹脂(C)としては、好ましくは、エポキシ基、オキセタニリル基、ビニロキシ基、ステアリル基、アルコキシシリル基などのイオン反応性官能基を一分子中に2個以上有する化合物を挙げることができる。より具体的には、光の照射及び/または加熱により、硬化される各種エポキシ化合物を挙げることができる。このようなエポキシ化合物としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、グリシジルアミン系エポキシ樹脂、グリシジルエステル系エポキシ樹脂、エポキシ化大豆油、エポキシ化SBSなどを挙げることができる。
上記イオン重合性樹脂(C)の配合割合については、硬化性組成物100重量部中、5〜50重量部にすることが好ましい。5重量部未満では、基板への充分な硬化接着性が得られないことがあり、50重量部を超えると、型取り転写性が低下するおそれがある。より好ましくは、10〜40重量部である。
(D)光イオン重合触媒:
光イオン重合触媒(D)は、イオン重合性樹脂(C)をイオン重合により硬化させるための光により活性化され、イオンを発生する化合物である。
光イオン重合触媒(D)は、光より活性化され、イオン重合性樹脂(C)のイオン重合反応を進行させる。光イオン重合触媒(D)としては、例えば、感光性オニウム塩やフェロセン系化合物などの光の照射によりカチオンを発生させる化合物を挙げることができる。このカチオンを発生させる化合物としては、種々の光カチオン重合開始剤を用いることができる。上記光カチオン重合開始剤としては、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族ハロニウム塩、芳香族スルホニウム塩等の感光性オニウム塩類や、鉄−アレン錯体、チタノセン錯体、アリールシラノール−アルミニウム錯体などの有機金属錯体、ピリジニウム等がある。光カチオン重合開始剤として有効な上記芳香族ヨードニウム塩、芳香族スルホニウニム塩及びメタロセン塩は、例えば、米国特許第4256828号明細書、米国特許第5089536号明細書、特開平6−306346号公報等に開示されている。
上記光カチオン重合開始剤のうち、芳香族ヨードニウム塩と芳香族スルホニウム塩は、紫外領域以外の光ではカチオンを生成しないが、芳香族アミンや多環芳香族炭化水素等の公知の増感剤であって可視光領域に励起吸収帯を有する増感剤を併用することにより、可視領域の光でもカチオンを生成することが出来る。またメタロセン塩を用いる場合には、ターシャリーアルコールのオキサレートエステルを反応促進剤として用いてもよい。
より、具体的には、上記感光性オニウム塩としては、トリアリールスルフォニウム塩、ジアリールスルフォニウム塩、ジアリールヨードニウム塩などのSbF6−、PF6−、BF4−、B(PhF4−を対アニオンとする化合物を挙げることができる。上記フェロセン系化合物としては、例えば、Fe−フェロセン錯体を挙げることができる。なお、上記光カチオン重合開始剤は、波長400nm以下の光のみでもカチオンを生成することができるので、本発明の(D−1)イオン重合触媒として使用することができる。
市販の光カチオン重合開始剤は、イオン性光酸発生タイプと非イオン性光酸発生タイプに大別されており、イオン性光酸発生タイプの光カチオン重合開始剤としては、例えば、商品名「アデカオプトマーSP150」、「アデカオプトマーSP170」(以上、旭電化工業社製)、商品名「UVE−1014」(ゼネラルエレクトロニクス社製)、商品名「CD−1012」(サートマー社製)等が挙げられる。
非イオン性光酸発生タイプの光カチオン重合開始剤としては、例えば、ニトロベンジルエステル、スルホン酸誘導体、リン酸エステル、フェノールスルホン酸エステル、ジアゾナフトキノン、N−ヒドロキシイミドスホナート等が挙げられる。
上記光イオン重合触媒(D)は、1種のみが単独で用いられてもよく、2種類以上が用いられても良い。
上記光イオン重合触媒(D)の配合割合については、(C)イオン重合性樹脂100重量部に対し、0.1〜50重量部の範囲とすることが好ましく、より好ましくは1〜10重量部の範囲である。0.1重量部未満では、光の照射により(C)イオン重合性樹脂の硬化が不足し、基板への接着性が充分に高くならないおそれがある。また、50重量部を超えると、得られる微細パターン転写物の物性が低下するおそれがある。
(E)イオン重合性樹脂(C)を加熱により硬化促進させる熱硬化剤:
熱硬化剤(E)は、イオン重合性樹脂(C)を加熱により硬化促進させる。このような熱硬化剤(E)としては適宜のアミン及び/またはチオール基を有する硬化剤を挙げることができる。1,3−ビス[ヒドラジノカルボノエチル−5−イソプロピルヒダントイン]等のヒドラジド化合物、ジシアンジアミド、グアニジン誘導体、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、N−[2−(2−メチル−1−イミダゾリル)エチル]尿素、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、N,N’−ビス(2−メチル−1−イミダゾリルエチル)尿素、N,N’−(2−メチル−1−イミダゾリルエチル)−アジポアミド、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール等のイミダゾール誘導体、変性脂肪族ポリアミン、テトラヒドロ無水フタル酸、エチレングリコールービス(アンヒドロトリメリテート)等の酸無水物、各種アミンとエポキシ樹脂との付加生成物等が挙げられる。
上記熱硬化剤(E)の配合割合については、(C)イオン重合性樹脂100重量部に対し、1〜100重量部の範囲とすることが好ましく、より好ましくは5〜50重量部の範囲である。1重量部未満では、加熱により(C)イオン重合性樹脂の硬化が不足し、基板への接着性が充分に高くならないおそれがある。また、100重量部を超えると、得られる微細パターン転写物の物性が低下するおそれがある。
(F)熱ラジカル発生剤:
熱ラジカル発生剤(F)としては、加熱により活性化され、ラジカルを発生する、適宜のラジカル反応開始剤を用いることができる。好ましくは、上記ラジカル重合性樹脂(A)として、共重合性単量体a1)、オリゴマーa2)及び化合物a3)を含む組成を用いた場合、これらをラジカル反応架橋する適宜の熱ラジカル反応開始剤を用いることができる。
このような熱ラジカル発生剤(F)としては、特に限定されず、ジアシルパーオキサイド系、パーオキシジカーボネート系、パーオキシエステル系、パーオキシケタール系、ジアルキルパーオキサイド系、ハイドロパーオキサイド系など従来公知の過酸化化合物が挙げられる。
(F)熱ラジカル発生剤の配合割合については、(A)ラジカル重合性樹脂の合計100重量部に対して、0.01〜10重量部の範囲、より好ましくは、0.05〜5の範囲とすることが望ましい。0.01重量部未満では、(A)ラジカル重合性樹脂の熱架橋・重合が十分に進行し難いことがあったり、架橋・重合速度が遅くなり過ぎることがあり、10重量部を超えると、得られる微細パターン転写物の物性が低下するおそれがある。
(その他の成分)
本発明の目的を阻害しない限り、上記硬化性組成物には、他の成分が適宜添加されてもよい。このような他の成分としては、支持体上にフィルムを形成する際の溶剤、柔軟性を付与するための可塑剤、光反応性を制御するための反応促進剤もしくは反応抑制剤、適宜の充填剤、安定性を高めるための酸化防止剤、耐候性を高めるための紫外線吸収剤、あるいは酸素吸収剤などが挙げられる。また、導電性を付与するために、金属微粒子、有機導電性化合物あるいは固体電解質などを添加してもよい。
(光源)
上記硬化性化合物における光架橋や硬化を進めるための光源としては、使用する光の波長に応じて適宜の光源を用いることができる。このような光源としては、例えば、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、エキシマレーザー、ケミカルランプ、ブラックライトランプ、マイクロウェーブ励起水銀灯、メタルハライドランプ、ナトリウムランプ、ハロゲンランプ、キセノンランプ、蛍光灯、太陽光、電子線照射装置、UV−LED等が挙げられる。また、フィルター等を用いて不要な波長成分を低減又は除去してもよいし、各種光源を組み合わせて用いても良い。
(熱源)
また、熱硬化剤(E)の硬化にトリガーとして熱を利用する場合には、適宜の熱源を用いることができる。このような熱源としては、ヒーター、炉あるいは赤外線を照射する赤外光照射装置などを挙げることができる。
(硬化組成物の好ましい物性)
上記硬化性組成物において、第1,第2のトリガーが与えられる前の粘度は、23℃の温度で好ましくは10〜10000mPa・sの範囲である。粘度が10000mPa・sを超えると、パターニング材の鋳型の細部にまで硬化性組成物が充分に充填されず、転写性が低下するおそれがある。粘度が10未満では、パターニング材の鋳型に硬化性樹脂を充填する際に、樹脂液が跳ねたり、飛び散ったりと樹脂液のハンドリング性が悪くなるおそれがある。
なお、本明細書において、上記粘度は、回転粘度計(コクゴ社製、粘度計B型シリーズ 型番BH)を用いて、23℃、50%RHの環境下で測定した値である。
また、上記硬化性組成物では、第1のトリガーを印加した後の半硬化樹脂の表面タックは、好ましくは、4〜20である。タックが4未満であると、基板への貼り合わせ時に滑ってしまい、位置合わせが困難になるおそれがある。また、20を超えると、位置合わせ修正が困難になるおそれがある。なお、上記タックは以下の方法で測定した値である。
タックの測定:
離型処理を施した厚み50μmのPETフィルム上に、厚みが20μmとなるように硬化性組成物をキャスティングし、樹脂フィルムを作成した。カバーフィルムとして厚み50μmのPETフィルムをラミネートした。
タックを測定する前に、カバーフィルム面より、主発光波長400nm、照度1mW/cmのUV光を、120秒間照射し、カバーフィルムを剥離し、樹脂フィルムを露出させ、タック測定用サンプルとした。タック測定は、JIS Z 0237ボールタック試験に準じて行った。
本発明の硬化性組成物では、基板に貼り付け、第2のトリガーを印加した後の基板との接着力は、好ましくは、0.05N/cm以上である。接着力が0.05N/cm未満であると、基板から剥がれてしまうおそれがあり、目的とする中空構造が維持できなくなることがある。上記接着力は、以下の方法で測定された値である。
接着力の測定:
離型処理を施した厚み50μmのPETフィルム上に、厚みが20μmとなるように硬化性組成物をキャスティングし、樹脂フィルムを作成した。カバーフィルムとして厚み50μmのPETフィルムをラミネートした。
カバーフィルム面より、主発光波長400nm、照度1mW/cmのUV光を、120秒間照射し、カバーフィルムを剥離し、上記樹脂フィルムをアクリル試験板に貼付した。次に、逆の面のPETフィルムを剥がし、もう一枚のアクリル板を同様にして樹脂フィルムに貼付した。
なお、接着面積は、2.5cm×2.5cmとし、貼り合わせ条件は、2kgゴムローラーを1往復させることとした。
貼り合わせ後、主発光波長365nm、照度24mW/cmのUV光を、250秒間照射した。次に、JIS K 6854−1:1999に準じて剥離試験を行い、剥離に至った際の強度を接着力とした。
上記硬化性組成物に第1,第2のトリガーを付与し、硬化することにより得られた樹脂シートでは、厚み方向のヤング率は、好ましくは、1〜5MPaである。ヤング率の範囲がこの範囲内の場合、上述したように、転写法を用いて被着体表面に積層された際に、非常に小さな中空構造、橋渡し構造または片持ち梁構造などの微小な3次元構造が被着体に存在していた場合であっても、これらを埋めることなく接着することができる。ヤング率がこの範囲外の場合、転写法により、これらの構造を埋めることなく接着することが困難となるおそれがある。上記マイクロパターンのヤング率は、本明細書においては、以下の方法で測定された値である。
ヤング率の測定:
従来からヤング率の測定法として知られているバルジ法に基づき、ヤング率を測定した。すなわち、被測定対象物であるフィルムに負圧を加え、その負圧に対するフィルムの歪み量をヘテロダイン変位計で計測して、負圧と歪み量の計測結果を30〜500点求め、その関係式よりヤング率を計算する方式を採用した。負圧は真空系を用いて実現した。薄膜に負圧を加える領域を円形とした場合、薄膜の最大のたわみを示す部位(薄膜の中心)でのたわみ量には
Δp=(Ath/r)+(BtEh/r
の関係がある。ここで、p;大気圧との差の圧力、h;たわみ量、E;ヤング率、r;負圧のかかる円形領域の半径、t;薄膜厚、A、B;定数である。この計算式に基づき、ヤング率が既知の窒化シリコンの標準サンプルで定数A,Bを求めて、目的のフィルムのヤング率Eを算出した。測定用サンプルは,シリコン異方性エッチングにより形成された2mm丸の開口を有する厚さ2ミリのステンレスプレートに被測定フィルムを貼り付けて作製した。
(用途)
なお、本発明に係る樹脂積層体の製造方法及び硬化性組成物は、内部にマイクロ流路が形成されたマイクロチップの製造だけでなく、内部にマイクロ流路のような小さな中空部分が形成されている様々な樹脂積層体、あるいは第2の実施形態で説明したように、上方に開いた微細な凹部を有する樹脂積層体を製造する用途に広く用いられるものであることを指摘しておく。
本発明の樹脂積層体の製造方法によれば、微細な中空部や貫通部を有する樹脂積層体の製造に際し上記第1,第2のトリガーによりそれぞれ半硬化及び硬化する硬化性組成物を用いているので、マイクロ流路などの微細な中空部や凹部を有する精度の高い樹脂積層体を容易に得ることが可能となる。
次に、本発明の具体的な実施例及び比較例を挙げるが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
1.樹脂組成物の作成:
(A)ラジカル重合性樹脂として、エポキシアクリレートである共栄社化学社製、エポキシエステルM−600A(50重量部)、ポリプロピレングリコールメタアクリレートである日油社製、ブレンマーPP−1000(15重量部)、テトラヒドロフルフリルアクリレート(10重量部)及びシクロヘキシルアクリレート(10重量部)
(B)光ラジカル発生剤として、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイン)−フェニルフォスフィンオキサイドであるチバスペシャリティケミカルズ社製、イルガキュア819(1重量部)
(C)イオン重合性樹脂として、可とう性エポキシ樹脂であるADEKA社製、アデカレジンEP−4080(15重量部)
(D)光イオン重合触媒として、ジアリールヨードニウム塩のSbF6−を主成分とするADEKA社製、アデカオプトマーSP−170(1重量部)
を、遮光下、適宜加熱して、撹拌・混合することにより、樹脂組成物を得た。
樹脂組成物の粘度は、300mPa.sであった。
2.鋳型の作成:
シリコン基板上に永久厚膜ネガ型レジストである化薬マイクロケム社製、SU−8 50をスピンコートし、プレベイクを65℃で5分間行い、その後ソフトベイクを95℃で20分間行った。次に、マスクアライナー(ミカサ社製、MA−10)上にマスクパターンをのせアライメントを行った後、紫外線を30秒間照射した。次に、ポストベイクを95℃で30分間行った後、火薬マイクロケム社製ディベロッパー、品番:SU−8ディベロッパーで現像、洗浄し、マイクロ流路形成のための鋳型を有するパターニング材を作製した。
鋳型のプロファイルは、深さ50μm、幅20μm、30μm、40μm、50μm、60μm、70μm、80μm、90μm、100μm、長さ300μmの溝が、500μmピッチで並んだものである。
3.微細パターン樹脂の作成:
1)パターニング材の鋳型への樹脂充填:
上記パターニング材上に樹脂組成物を塗布した。鋳型の細部にまで樹脂を充填させるために、減圧脱泡を行った。減圧脱泡条件は、真空度−0.1MPa、処理時間30分間である。
次に、カバーフィルムとしてのPETフィルム(厚み50μm)を、樹脂面にラミネートした。
2)第1のトリガーとしてのUV照射:
カバーフィルム面より、主発光波長400nm、照度1mW/cmのUV光を、120秒間照射した。樹脂シートは、半硬化した。
3)微細パターン樹脂の取り出し:
鋳型の微細パターンに応じた形状が転写された半硬化組成物部材を、カバーフィルムごと、鋳型より剥離した。なお、半硬化組成物部材の表面タックは、8であった。
4.流路の作成:
カバーフィルム付きの半硬化組成物部材を、半硬化組成物部材面が合わさるように、基板であるポリメタクリル酸メチル板(三菱レイヨン社製、サイズ幅50mm、長さ100mm、厚み2mm)に、貼り合わせた。半硬化組成物部材の表面のタックが小さいため、基板への貼り合わせ位置の調整や修正が可能であった。
次に、カバーフィルム面より、主発光波長365nm、照度24mW/cmのUV光を、120秒間照射した。半硬化組成物部材が硬化し、かつ硬化後の樹脂シートは、基板に接着し、剥がれなくなった。これによって、微細パターンを持つ中空流路が、基板上に形成された。なお、樹脂シートの基板への接着強度は、0.08N/cmであった。
(a)〜(e)は、本発明の第1の実施形態に係る樹脂積層体の製造方法を説明するための各正面断面図である。 (a)〜(e)は、本発明の第2の実施形態に係る樹脂積層体の製造方法を説明するための各正面断面図である。
符号の説明
1…支持基板
2…フォトレジスト層
2a,2b…開口部
2A…フォトレジスト層
2B…フォトレジスト層
2c…突出部
2d〜2f…開口部
3…マスクパターン
3a〜3c…透光部
4…パターニング材
5…硬化性組成物層
5a…凹部
5A…半硬化組成物部材
5B…樹脂シート
6…基板
7…マスクパターン
7a〜7d…透光部
8…パターニング材
9a,9b…貫通部
9A…半硬化組成物部材
9B…樹脂シート
10…樹脂積層体
11…シート

Claims (2)

  1. 第1のトリガーが与えられた際に硬化する第1の樹脂と、第1のトリガーとは異なる第2のトリガーが与えられた際に硬化する第2の樹脂とを含む硬化性組成物を、前記凹部もしくは貫通部に相当する部分が上面に突出部として形成されたパターニング材の上面に塗布する工程と、
    前記第1のトリガーを与えて、前記硬化性組成物中の第1の樹脂を硬化させ、前記パターニング材に塗布された硬化性組成物を半硬化し、前記パターニング材の突出部に対して反転した形状を有する半硬化組成物部材を用意する工程と、
    前記半硬化組成物部材を基板の上面に載置する工程と、
    前記第2のトリガーを付与し、前記半硬化組成物部材中の第2の樹脂を硬化させることにより、基板の上面に接合されており、かつ基板側に向かって開いた凹部または貫通部を有する樹脂シートを形成する工程とを備え、基板と、基板の上面に接合されており、基板側に向かって開いた凹部もしくは貫通部を有する樹脂シートとを有する樹脂積層体の製造方法に用いられる硬化性組成物であって、
    (A)ラジカル重合性樹脂と、
    (B)光ラジカル発生剤と、
    (C)イオン重合性樹脂と、
    (D)光イオン重合触媒とを含み、
    前記第1のトリガーが光であり、前記第2のトリガーが前記第1のトリガーとは波長が異なる光であり、前記第2のトリガーとしての光の印加エネルギー総量の前記第1のトリガーとしての光の印加エネルギー総量に対する比が1倍〜100倍の範囲にある、硬化性組成物。
  2. 前記(B)光ラジカル発生剤が(B−1)波長400nm以上の光が与えられた際にラジカルを発生する光ラジカル発生剤であり、前記(D)光イオン重合触媒が(D−1)波長400nm以下の光が照射された際に活性化されるイオン重合触媒であり、前記第1のトリガーとしての光の波長が、前記第2のトリガーとしての光の波長よりも長波長である、請求項1に記載の硬化性組成物。
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