JP6570011B2 - 光学的立体造形用樹脂組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、光学的立体造形用樹脂組成物およびそれを用いて光学的立体造形物を製造する方法に関する。
より詳細には、本発明は、粘度が低くて光学的立体造形を行う際の取り扱い性に優れ、活性エネルギー線による硬化感度が高くて短縮された光学的立体造形時間で目的とする立体造形物を生産性よく製造することができ、しかも熱変形温度が高くて耐熱性に優れると共に機械的強度にも優れる立体造形物を製造することのできる光学的立体造形用樹脂組成物および当該光学的立体造形用樹脂組成物を用いて立体造形物を製造する方法に関する。
近年、光学的立体造形用樹脂組成物を用いて三次元CADに入力されたデータに基づいて光学的立体造形を行って立体造形物を製造する方法が、金型などを作製することなく目的とする立体造形物を良好な寸法精度で製造し得ることから、広く採用されるようになっている。
光学的立体造形法の代表的な例としては、容器に入れた液状の光学的立体造形用樹脂組成物の液面に所望のパターンが得られるようにコンピューターで制御された紫外線レーザーを選択的に照射して所定厚みを硬化させ、ついで該硬化層の上に1層分の光学的立体造形用樹脂組成物を供給し、同様に紫外線レーザーで前記と同様に照射硬化させ、連続した硬化層を得る積層操作を繰り返すことによって最終的に立体造形物を得る方法を挙げることができる。この光学的立体造形方法により、形状のかなり複雑な立体造形物をも容易に且つ比較的短時間に製造することができる(以下、光学的立体造形を「光造形」ということがある)。
光学的立体造形用樹脂組成物については、低粘度で光造形時の取り扱い性に優れること、活性エネルギー線による硬化感度が高くて短い光造形時間で立体造形物を製造できることが求められている。
光学的立体造形用樹脂組成物としては、従来、ラジカル重合性有機化合物を含む光硬化性樹脂組成物、カチオン重合性の光硬化性樹脂組成物、ラジカル重合性有機化合物とカチオン重合性化合物の両方を含むハイブリッドタイプの光硬化性樹脂組成物などの種々の光硬化性樹脂組成物が提案されて用いられている。その際に、ラジカル重合性有機化合物としては、例えば(メタ)アクリレート系化合物、ウレタン(メタ)アクリレート系化合物、ポリエステル(メタ)アクリレート系化合物、ポリエーテル(メタ)アクリレート系化合物、エポキシ(メタ)アクリレート系化合物などが用いられている。また、カチオン重合性有機化合物としては、例えば、各種エポキシ化合物、環状アセタール系化合物、ビニルエーテル系化合物、ラクトン類、オキセタン化合物などが用いられている。
上記したうちで、カチオン重合性有機化合物を含む光学的立体造形用樹脂組成物では、系内に存在する活性エネルギー線感受性カチオン重合開始剤が光照射によりカチオン種(H+)を生成し、それが連鎖的にエポキシ基などのカチオン重合性基を攻撃し、カチオン重合性基が開環して重合反応が進む。エポキシ化合物などのカチオン重合性有機化合物をベースとする光学的立体造形用樹脂組成物を用いると、一般に、ラジカル重合性有機化合物をベースとする光学的立体造形用樹脂組成物を用いた場合に比べて、得られる立体造形物の収縮率が小さく、寸法安定性、寸法精度に優れる造形物が得られる。
今日では、ラジカル重合性有機化合物とカチオン重合性化合物の両方を含むハイブリッド型の光学的立体造形用樹脂組成物が、造形速度と造形精度とのバランスに優れることから主に用いられている。
光学的立体造形用樹脂組成物を用いて光造形を行って得られる立体造形物は、部品の形状や機能性をチェックするためのモデル、設計の途中で各種工業製品の外観デザインを検証するためのモデル、鋳型を製作するための樹脂型、金型を製作するためのベースモデルなどの種々の用途に用いられている。
特に、光学的立体造形用樹脂組成物を光造形して得られる立体造形物が、熱媒体や熱流体を通すための管や部品の形状や性能などを検証するためのモデル、光源やエンジン、モーター周辺部品などのような、機能や形状を評価するためのモデルである場合には、高温に曝されても変形や変化の生じない、高い耐熱性が要求され、それと同時に機械的強度にも優れていて、丈夫で破損しにくいことが求められている。
従来一般的に用いられている光学的立体造形用樹脂組成物から得られる光学的立体造形物の熱変形温度(荷重1.81MPaの高荷重時)は一般に50℃以下であり、高い耐熱性が要求される用途での要求特性を十分に満たしているとはいい難いものであった。
耐熱性に優れる立体造形物を与える光学的立体造形用樹脂組成物については、これまで種々の提案がなされているが(例えば、特許文献1〜4を参照)、粘度が高くて光造形を行う際の取り扱い性に劣ったり、光硬化感度が低く光造形に時間がかかったり、光造形して得られる立体造形物の耐熱性などが未だ不十分であるなどして、十分に満足のゆくものではなかった。
かかる点から、粘度が低くて光造形を行う際の取り扱い性に優れ、活性エネルギー線による硬化感度が高くて短縮された光造形時間で目的とする立体造形物を生産性よく製造することができ、しかも熱変形温度が高くて耐熱性に優れ且つ機械的強度にも優れる立体造形物を製造することのできる光学的立体造形用樹脂組成物が求められていた。
特開平09−194540号公報 特開平10−077331号公報 特開平10−259219号公報 特開2011−089088号公報
本発明の目的は、粘度が低くて光学的立体造形を行う際の取り扱い性に優れ、活性エネルギー線による硬化感度が高くて短縮された光造形時間で目的とする立体造形物を生産性よく製造することができ、しかも熱変形温度が高くて耐熱性に優れ且つ機械的強度にも優れていて破損しにくい立体造形物を製造することのできる光学的立体造形用樹脂組成物を提供することである。
本発明の目的は、上記した光学的立体造形用樹脂組成物を用いて、耐熱性および機械的強度に優れる立体造形物を製造する方法を提供することである。
上記の課題を解決すべく本発明者は鋭意検討を重ねてきた。その結果、カチオン重合性有機化合物、ラジカル重合性有機化合物、カチオン重合開始剤およびラジカル重合開始剤を含有する光学的立体造形用樹脂組成物において、カチオン重合性有機化合物の一部として、3,4,3’,4’−ジエポキシビシクロヘキシルを含有させると、粘度が低くて光学的立体造形を行う際の取り扱い性に優れ、しかも活性エネルギー線による硬化感度が高くて短縮された光造形時間で立体造形物を生産性よく製造できる光学的立体造形用樹脂組成物が得られることを見出した。そして、本発明者が当該光学的立体造形用樹脂組成物を用いて光造形を行って立体造形物を製造したところ、それにより得られる立体造形物は、高い熱変形温度を有していて耐熱性に優れ、しかも機械的強度にも優れていて破損しにくいものであった。
さらに、本発明者は、カチオン重合性有機化合物の一部として3,4,3’,4’−ジエポキシビシクロヘキシルを含有する前記した光学的立体造形用樹脂組成物において、カチオン重合性有機化合物の一部として、特定の脂環式グリシジルエーテルおよび特定の芳香族ジグリシジルエーテルの少なくとも1種を更に含有させると、耐水性や機械的物性の向上などの効果が得られることを見出した。
また、本発明者は、カチオン重合性有機化合物の一部として3,4,3’,4’−ジエポキシビシクロヘキシルを含有する前記した光学的立体造形用樹脂組成物、或いはカチオン重合性有機化合物の一部として、3,4,3’,4’−ジエポキシビシクロヘキシルと共に特定の脂環式グリシジルエーテルおよび特定の芳香族ジグリシジルエーテルの少なくとも1種を含有する前記した光学的立体造形用樹脂組成物において、カチオン重合性有機化合物の一部として、オキセタン化合物を更に含有させると、組成物の低粘度化が図れるとともに反応性の向上、靭性の向上などの効果が得られることを見出した。
また、本発明者は、カチオン重合性有機化合物の一部として3,4,3’,4’−ジエポキシビシクロヘキシルを少なくとも含有する前記した光学的立体造形用樹脂組成物を用いて光造形して得られる立体造形物を熱処理すると、立体造形物の熱変形温度が一層高くなり、しかも当該熱処理時の立体造形物の収縮が小さいことを見出し、それらの知見に基づいて本発明を完成した。
すなわち、本発明は、
(1) カチオン重合性有機化合物(a)、ラジカル重合性有機化合物(b)、活性エネルギー線感受性カチオン重合開始剤(c)および活性エネルギー線感受性ラジカル重合開始剤(d)を含有する光学的立体造形用樹脂組成物であって、カチオン重合性有機化合物(a)の一部として、下記の化学式(a−1);
Figure 0006570011

で表される3,4,3’,4’−ジエポキシビシクロヘキシルを、カチオン重合性有機化合物(a)の全質量に基づいて10〜90質量%の割合で含有することを特徴とする光学的立体造形用樹脂組成物である。
そして、本発明は、
(2) カチオン重合性有機化合物(a):ラジカル重合性有機化合物(b)の含有割合が40:60〜90:10(質量比)であり、活性エネルギー線感受性カチオン重合開始剤(c)をカチオン重合性有機化合物(a)の全質量に基づいて0.1〜10質量%の割合で含有し、活性エネルギー線感受性ラジカル重合開始剤(d)をラジカル重合性有機化合物(b)の全質量に基づいて0.1〜10質量%の割合で含有する、前記(1)の光学的立体造形用樹脂組成物である。
また、本発明は、
(3) カチオン重合性有機化合物(a)の一部として、下記の一般式(a−2);
Figure 0006570011

(式中、R1は、脂環式ジグリシジルエーテルまたは芳香族ジグリシジルエーテルから2個のグリシジルオキシ基を除いた残基を示す。)
で表されるジグリシジルエーテル化合物(a−2)の1種または2種以上を、カチオン重合性有機化合物(a)の全質量に基づいて10〜90質量%の割合で更に含有する、前記した(1)または(2)の光学的立体造形用樹脂組成物;
(4) カチオン重合性有機化合物(a)の一部として、オキセタン化合物を、カチオン重合性有機化合物(a)の全質量に基づいて1〜30質量%の割合で更に含有する、前記した(1)〜(3)のいずれかの光学的立体造形用樹脂組成物;および、
(5) 活性エネルギー線感受性カチオン重合開始剤(c)として、非アンチモン型の芳香族スルホニウム化合物を用いる、前記(1)〜(4)のいずれかの光学的立体造形用樹脂組成物;
である。
そして、本発明は、
(6) 前記(1)〜(5)のいずれかの光学的立体造形用樹脂組成物を用いて光学的立体造形を行うことを特徴とする光学的立体造形物の製造方法;および、
(7) 前記(6)の製造方法で得られる光学的立体造形物を熱処理する方法;
である。
カチオン重合性有機化合物(a)、ラジカル重合性有機化合物(b)、カチオン重合開始剤(c)およびラジカル重合開始剤(d)を含有する光学的立体造形用樹脂組成物中に、カチオン重合性有機化合物(a)の一部として、上記の化学式(a−1)で表される3,4,3’,4’−ジエポキシビシクロヘキシルを含有する本発明の光学的立体造形用樹脂組成物は、粘度が低いので、良好な取り扱い性および作業性で光造形を円滑に行うことができ、しかも活性エネルギー線による硬化感度が高いので、短縮された光造形時間で目的とする立体造形物を生産性よく製造することができる。
しかも、本発明の光学的立体造形用樹脂組成物を用いて光造形して得られる立体造形物は、高い熱変形温度を有していて耐熱性に優れると共に、機械的強度にも優れていて破損しにくい。
さらに、カチオン重合性有機化合物の一部として、3,4,3’,4’−ジエポキシビシクロヘキシルと共に、前記した一般式(IIa)で表されるジグリシジルエーテル化合物(a−2)の少なくとも1種を更に含有する本発明の光学的立体造形用樹脂組成物は、立体造形物の吸水率の低減や機械物性の向上などの点でも優れている。
また、カチオン重合性有機化合物の一部として、3,4,3’,4’−ジエポキシビシクロヘキシルと共に、或いは3,4,3’,4’−ジエポキシビシクロヘキシルおよびジグリシジルエーテル化合物(a−2)と共に、オキセタン化合物を更に含有する本発明の光学的立体造形用樹脂組成物は、低粘度化が可能であり、塗膜形成性、反応性の向上の点でも優れている。
また、カチオン重合性有機化合物の一部として3,4,3’,4’−ジエポキシビシクロヘキシルを少なくとも含有する本発明の光学的立体造形用樹脂組成物を用いて光造形して立体造形物を製造し、それにより得られる立体造形物を熱処理する本発明の方法による場合は、熱処理時の立体造形物の収縮を防ぎながら、熱変形温度がより高くて耐熱性に一層優れる立体造形物を円滑に製造することができる。
本発明の光学的立体造形用樹脂組成物は、前記した特性を活かして、高い耐熱性、高い機械的強度、高い寸法精度などが求められる立体造形物、例えば、設計の途中で外観デザインを検証するための形状確認モデル、部品の機能性をチェックするための機能試験モデル、鋳型を制作するためのマスターモデル、金型を制作するためのマスターモデル、試作金型用の直接型、最終製品、特に、精密部品、電気・電子部品、家具、建築構造物、自動車用部品、各種容器類、鋳物などのモデル、母型、加工用品などの製造に有効に用いることができる。
以下に本発明について詳細に説明する。
本発明の光学的立体造形用樹脂組成物は、光などの活性エネルギー線を照射して光造形を行って立体造形物を製造するのに用いる活性エネルギー線硬化性の樹脂組成物である。
本発明の光学的立体造形用樹脂組成物は、光などの活性エネルギー線の照射によって重合する活性エネルギー線重合性化合物として、カチオン重合性有機化合物(a)およびラジカル重合性有機化合物(b)を含有する。
ここで、本明細書における「活性エネルギー線」とは、紫外線、電子線、X線、放射線、高周波などのような光学的立体造形用樹脂組成物を硬化させ得るエネルギー線をいう。
本発明で用いるカチオン重合性有機化合物(a)は、活性エネルギー線感受性カチオン重合開始剤(c)[以下、単に「カチオン重合開始剤(c)」または「カチオン重合開始剤」ということがある]の存在下に光などの活性エネルギー線を照射したときに重合反応および/または架橋反応を生ずる化合物である。
本発明の光学的立体造形用樹脂組成物は、カチオン重合性有機化合物(a)の一部として、下記の化学式(a−1);
Figure 0006570011

で表される3,4,3’,4’−ジエポキシビシクロヘキシルを含有する。
本発明で用いる3,4,3’,4’−ジエポキシビシクロヘキシルは、「セロキサイド8000」(商品名;株式会社ダイセル製)などとして市場で販売されている。
本発明の光学的立体造形用樹脂組成物は、光学的立体造形用樹脂組成物に含まれるカチオン重合性有機化合物(a)の全質量に基づいて、3,4,3’,4’−ジエポキシビシクロヘキシルを10〜90質量%の割合で含有する。
3,4,3’,4’−ジエポキシビシクロヘキシルを前記した割合で含有する本発明の光学的立体造形用樹脂組成物は、一般に500mP・s以下の低い粘度(25℃)を有しており、光造形時の取り扱い性に極めて優れている。
本発明の光学的立体造形用樹脂組成物は、光学的立体造形用樹脂組成物に含まれるカチオン重合性有機化合物(a)の全質量に基づいて、3,4,3’,4’−ジエポキシビシクロヘキシルを20〜90質量%の割合で含有することが好ましく、25〜90質量%の割合で含有することがより好ましく、30〜85質量%の割合で含有することが更に好ましい。
3,4,3’,4’−ジエポキシビシクロヘキシルの含有割合が少なすぎると、低粘度の光学的立体造形用樹脂組成物が得られなくなり、光学的立体造形用樹脂組成物の活性エネルギー線による硬化感度が低下し、しかも光造形して得られる立体造形物の耐熱性が低下する。
一方、3,4,3’,4’−ジエポキシ)ビシクロヘキシルの含有割合が、カチオン重合性有機化合物(a)の全質量に対して90質量%を超えると、立体造形物の物性の低下という問題を生ずる。
本発明の光学的立体造形用樹脂組成物は、カチオン重合性有機化合物(a)として、3,4,3’,4’−ジエポキシビシクロヘキシルと共に他のカチオン重合性有機化合物を含有する。
他のカチオン重合性有機化合物としては、3,4,3’,4’−ジエポキシビシクロヘキシル以外の化合物であって、カチオン重合開始剤(c)の存在下に活性エネルギー線を照射したときに、カチオン重合反応および/またはカチオン架橋反応を生ずる有機化合物であればいずれの化合物を含有してもよい。
本発明の光学的立体造形用樹脂組成物が含有し得る他のカチオン重合性有機化合物としては、3,4,3’,4’−ジエポキシビシクロヘキシル以外のエポキシ化合物、オキセタン化合物、環状エーテル化合物、環状アセタール化合物、環状ラクトン化合物、スピロオルソエステル化合物、ビニルエーテル化合物などを挙げることができ、これらの1種または2種類以上を含有することができる。
そのうちでも、本発明の光学的立体造形用樹脂組成物は、カチオン重合性有機化合物(a)として、3,4,3’,4’−ジエポキシビシクロヘキシルと共に、下記の一般式(a−2);
Figure 0006570011

(式中、R1は、脂環式ジグリシジルエーテルまたは芳香族ジグリシジルエーテルから2個のグリシジルオキシ基を除いた残基を示す。)
で表されるジグリシジルエーテル化合物(a−2)を含有することが、立体造形物の吸水率の低減や機械物性の向上などの点から好ましい。
本発明の光学的立体造形用樹脂組成物が、カチオン重合性有機化合物(a)として、3,4,3’,4’−ジエポキシビシクロヘキシルと共に上記のジグリシジルエーテル化合物(a−2)を含有する場合は、ジグリシジルエーテル化合物(a−2)の含有割合は、光学的立体造形用樹脂組成物に含まれるカチオン重合性有機化合物(a)の全質量に基づいて、10〜90質量%であることが好ましく、10〜70質量%であることがより好ましく、15〜65質量%であることが更に好ましい。
ジグリシジルエーテル化合物(a−2)の具体例としては、水素添加ビスフェノールAジグリシジルエーテル、水素添加ビスフェノールFジグリシジルエーテル、水素添加ビスフェノールZジグリシジルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテル、トリシクロデカンジメタノールジグリシジルエーテル)などの脂環式ジグリシジルエーテル;ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、ビスフェノールZジグリシジルエーテル、ビスフェノールA、F、Zなどのビスフェノール類にエチレンオキサイドやプロピレンオキサイドなどのアルキレンオキサイドを付加した化合物のジグリシジルエーテルなどの芳香族ジグリシジルエーテルなどを挙げることができ、本発明の光学的立体造形用樹脂組成物は、これらの1種または2種以上を含有することができる。ジグリシジルエーテル化合物(a−2)がここで具体的に挙げた前記脂環式ジグリシジルエーテルのいずれかである場合は、上記の一般式(a−2)におけるR1はそれぞれの脂環式ジグリシジルエーテルから2個のグリシジルオキシ基を除いた残基であり、またジグリシジルエーテル化合物(a−2)がここで具体的に挙げた前記芳香族ジグリシジルエーテルのいずれかである場合は、上記の一般式(a−2)におけるR1はそれぞれの芳香族ジグリシジルエーテルから2個のグリシジルオキシ基を除いた残基である。
そのうちでも、ジグリシジルエーテル化合物(a−2)としては、水素化ビスフェノールAジグリシジルエーテル、トリシクロデカンジメタノールジグリシジルエーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物のジグリシジルエーテルが、入手性、造形物の物性(特に求められる機械物性や耐熱性の点)などの点から好ましく用いられる。
また、本発明の光学的立体造形用樹脂組成物は、カチオン重合性有機化合物(a)の一部として、3,4,3’,4’−ジエポキシビシクロヘキシルと共に、或いは3,4,3’,4’−ジエポキシビシクロヘキシルおよびジグリシジルエーテル(a−2)と共に、必要に応じて、オキセタン化合物を更に含有することができる。オキセタン化合物を含有することによって、反応速度が向上するとともに光学的立体造形用樹脂組成物の粘度が低下して、光造形時の塗膜層の形成性の改善が図れ、かつ光造形して得られる立体造形物の靭性が増し、衝撃、曲げなどの応力が加えられても破損しにくくなり、耐久性が向上する。
本発明の光学的立体造形用樹脂組成物が、カチオン重合性有機化合物(a)として、オキセタン化合物を更に含有する場合は、オキセタン化合物の含有割合は、光学的立体造形用樹脂組成物に含まれるカチオン重合性有機化合物(a)の全質量に基づいて、1〜30質量%であることが好ましく、2〜20質量%であることがより好ましく、3〜15質量%であることが更に好ましい。
オキセタン化合物としては、光学的立体造形用樹脂組成物において従来から用い得ることが知られているオキセタン化合物のいずれもが使用できる。
そのうちでも、オキセタン化合物としては、下記の一般式(a−3);
Figure 0006570011

(式中、nは1または2であって、nが1のときに、R2は炭素数1〜5のアルキル基、R3は水素原子、アルキル基、ヒドロキシアルキル基またはベンジル基を示し、nが2のときに、R2は炭素数1〜5のアルキル基、R3はアルキレン基または直接結合を示す。)
で表されるモノオキセタン化合物(nが1のとき)およびジオキセタン化合物(nが2のとき)の1種または2種以上が好ましく用いられる。
上記の一般式(a−3)においてnが1であるモノオキセタン化合物としては、R3が水素原子であるかまたはヒドロキシアルキル基であるモノオキセタンモノアルコール化合物が入手の容易性、高反応性、粘度が低いなどの点から好ましく用いられる。
当該モノオキセタンアルコールの具体例としては、3−ヒドロキシメチル−3−メチルオキセタン、3−ヒドロキシメチル−3−エチルオキセタン、3−ヒドロキシメチル−3−プロピルオキセタン、3−ヒドロキシメチル−3−ノルマルブチルオキセタン、3−ヒドロキシメチル−3−プロピルオキセタンなどを挙げることができ、これらの1種または2種以上を用いることができる。そのうちでも、入手の容易性、反応性などの点から、3−ヒドロキシメチル−3−メチルオキセタン、3−ヒドロキシメチル−3−エチルオキセタンがより好ましい。
また、上記の一般式(a−3)においてnが2であるジオキセタン化合物の具体例としては、ビス(3−メチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ビス(3−プロピル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ビス(3−ブチル−3−オキセタニルメチル)エーテルなど(いずれも、R3が直接結合であるジオキセンタン)、R2がメチル、エチル、プロピル、ブチルまたはペンチル基で、R3がエチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ネオペンチレン基、n−ペンタメチレン基、n−ヘキサメチレン基などであるジオキセタン化合物を挙げることができる。
そのうちでも、ジオキセタン化合物としては、ビス(3−メチル−3−オキセタニルメチル)エーテルおよび/またはビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテルが、入手の容易性、低吸湿性、硬化物の力学的特性などの点から好ましく用いられ、特にビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテルがより好ましく用いられる。
本発明の光学的立体造形用樹脂組成物は、上記したカチオン重合性有機化合物以外の他のカチオン重合性有機化合物を必要に応じて含有することができる。
限定されるものではないが、本発明の光学的立体造形用樹脂組成物が必要に応じて含有し得る他のカチオン重合性有機化合物としては、例えば、3,4,3’,4’−ジエポキシビシクロヘキシルおよびジグリシジルエーテル化合物(a−2)以外の脂環族エポキシ化合物、脂肪族エポキシ化合物、芳香族エポキシ化合物などを挙げることができる。他のエポキシ化合物としては、1分子中に2個以上のエポキシ基を有するポリエポキシ化合物がより好ましく用いられる。
他のカチオン重合性有機化合物として用い得る上記した脂環族エポキシ化合物としては、例えば、少なくとも1個の脂環族環を有する多価アルコールのポリグリシジルエーテル、或いはシクロヘキセンまたはシクロペンテン環含有化合物を過酸化水素、過酸等の適当な酸化剤でエポキシ化して得られるシクロヘキセンオキサイドまたはシクロペンテンオキサイド含有化合物などを挙げることができる。より具体的には、例えば、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、3,4−エポキシ−1−メチルシクロヘキシル−3,4−エポキシ−1−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、6−メチル−3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−6−メチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、3,4−エポキシ−3−メチルシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシ−3−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、3,4−エポキシ−5−メチルシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシ−5−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル−5,5−スピロ−3,4−エポキシ)シクロヘキサン−メタジオキサン、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルカルボキシレート、ジシクロペンタジエンジエポキサイド、エチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート)、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジオクチル、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジ−2−エチルヘキシルなどを挙げることができる。
また、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシル)メタン、2,2−ビス(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロパン、1,1−ビス(3,4−エポキシシクロヘキシル)エタンなども挙げることができる。
他のカチオン重合性有機化合物として必要に応じて用い得る上記した脂肪族エポキシ化合物としては、例えば、脂肪族多価アルコールまたはそのアルキレンオキサイド付加物のポリグリシジルエーテル、脂肪族長鎖多塩基酸のポリグリシジルエステル、グリシジルアクリレートまたはグリシジルメタクリレートのビニル重合により合成したホモポリマー、グリシジルアクリレートおよび/またはグリシジルメタクリレートとその他のビニルモノマーとのビニル重合により合成したコポリマーなどを挙げることができる。具体的には、例えば、1,4−ブタンジオールのジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールのジグリシジルエーテル、グリセリンのトリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンのジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンのトリグリシジルエーテル、ソルビトールのテトラグリシジルエーテル、ジペンタエリスリトールのヘキサグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールのジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールのジグリシジルエーテルなどの多価アルコールのグリシジルエーテル、プロピレングリコール、トリメチロールプロパン、グリセリンなどの脂肪族多価アルコールに1種または2種以上のアルキレンオキサイドを付加することにより得られるポリエーテルポリオールのポリグリシジルエーテル、脂肪族長鎖二塩基酸のジグリシジルエステル、高級脂肪酸のグリシジルエステル、エポキシ化大豆油、エポキシ化ポリブタジエン、エポキシステアリン酸ブチル、などを挙げることができる。
他のカチオン重合性有機化合物として必要に応じて用い得る上記した芳香族エポキシ化合物としては、例えば、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェニルグリシジルエーテル、tert−ブチルフェニルグリシジルエーテル、テトラフェノールエタンのテトラグリシジルエーテル、トリフェノールメタンのトリグリシジルエーテル、フェノール類またはナフトール類とアルデヒド類との縮合物(例えばフェノール樹脂やノボラック樹脂)のグリシジル化物、フェノール類とイソプロペニルアセトフェノンとの縮合物のグリシジル化物、フェノール類とジシクロペンタジエンの反応物のグリシジル化物、テレフタル酸のジグリシジルエステル、イソフタル酸のジグリシジルエステル、o−フタル酸のジグリシジルエステルなどを挙げることができる。
本発明の光学的立体造形用樹脂組成物は、必要に応じて、これらの1種または2種以上を含有することができる。
本発明の光学的立体造形用樹脂組成物は、カチオン重合性有機化合物(a)として、3,4,3’,4’−ジエポキシビシクロヘキシルとジグリシジルエーテル化合物(a−2)の2者を含有するか、または3,4,3’,4’−ジエポキシビシクロヘキシルとジグリシジルエーテル化合物(a−2)とオキセタン化合物の3者を含有することが、低粘度、活性エネルギー線に対する硬化感度、硬化速度、光造形して得られる立体造形物の耐熱性、寸法精度、機械的強度、靭性、経時安定性などの点からより好ましい。
本発明の光造形用樹脂組成物では、ラジカル重合性有機化合物(b)として、活性エネルギー線感受性ラジカル重合開始剤(d)[以下単に「ラジカル重合開始剤(d)」または「ラジカル重合開始剤」という]の存在下に、紫外線やその他の活性エネルギー線を照射したときにラジカル重合および/または架橋する有機化合物のいずれもが使用できる。
ラジカル重合性有機化合物(b)の代表例としては、(メタ)アクリレート系化合物、不飽和ポリエステル化合物、ポリチオール化合物などを挙げることができ、これらのラジカル重合性有機化合物は単独で使用しても、または2種以上を併用してもよい。
そのうちでも、本発明ではラジカル重合性有機化合物(b)として、1分子中に少なくとも1個以上の(メタ)アクリル基を有するアクリル系化合物が好ましく用いられ、具体例としては、エポキシ化合物と(メタ)アクリル酸との反応生成物、アルコール類(1価アルコール、多価アルコール)の(メタ)アクリル酸エステル、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、ポリオールの(メタ)アクリル酸エステルなどを挙げることができる。
上記したエポキシ化合物と(メタ)アクリル酸との反応生成物としては、芳香族エポキシ化合物、脂環式エポキシ化合物および脂肪族エポキシ化合物の1種または2種以上と、(メタ)アクリル酸との反応により得られる(メタ)アクリレート系反応生成物を挙げることができる。当該(メタ)アクリレート系反応生成物のうちでも、芳香族エポキシ化合物と(メタ)アクリル酸との反応により得られる(メタ)アクリレート系反応生成物が好ましく用いられ、具体例としては、ビスフェノールAやビスフェノールSなどのビスフェノール化合物またはそのアルキレンオキサイド付加物とエピクロルヒドリンなどのエポキシ化剤との反応によって得られるグリシジルエーテルを、(メタ)アクリル酸と反応させて得られるエポキシ(メタ)アクリレート、エポキシノボラック樹脂と(メタ)アクリル酸を反応させて得られるエポキシ(メタ)アクリレート系反応生成物などを挙げることができる。
また、上記したアルコール類の(メタ)アクリル酸エステルとしては、分子中に少なくとも1個の水酸基をもつ芳香族アルコール、脂肪族アルコール、脂環式アルコールおよび/またはそれらのアルキレンオキサイド付加体と、(メタ)アクリル酸との反応により得られる(メタ)アクリレートを挙げることができる。より具体的には、例えば、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、前記したジオール、トリオール、テトラオール、ヘキサオールなどの多価アルコールのアルキレンオキシド付加物の(メタ)アクリレートなどを挙げることができる。そのうちでも、アルコール類の(メタ)アクリレートとしては、多価アルコールと(メタ)アクリル酸との反応により得られる1分子中に2個以上の(メタ)アクリル基を有する(メタ)アクリレートが好ましく用いられる。
上記したポリエステル(メタ)アクリレートとしては、水酸基含有ポリエステルと(メタ)アクリル酸との反応により得られるポリエステル(メタ)アクリレートを挙げることができる。
また、上記したポリエーテル(メタ)アクリレートとしては、水酸基含有ポリエーテルとアクリル酸との反応により得られるポリエーテルアクリレートを挙げることができる。
本発明の光学的立体造形用樹脂組成物で用い得るカチオン重合開始剤(c)としては、芳香族スルホニウム塩化合物、ヨードニューム塩化合物などが挙げられる。
芳香族スルホニウム塩化合物としては、一般式:[(R4)(R5)(R6)S+][式中、R4、R5およびR6はそれぞれ独立して硫黄(S)に結合した1価の有機基]で表されるスルホニウムイオンが、一般式:[(Rf)mPF6-m -](式中、Rfはフルオロアルキル基、mは0〜6の整数)で表される陰イオン(ホスフェートイオン)、式:[SbF6 -]で表される陰イオン、式:[BF4 -]で表される陰イオン、式:[AsF6 -]で表される陰イオンなどと結合したカチオン重合開始剤、または一般式:[(R7)(R8)I+][式中、R7およびR8はそれぞれ独立してヨウ素(I)に結合した1価の有機基]で表されるヨードニウムイオンが、式:[PF6 -]で表される陰イオン、式:[SbF6 -]で表される陰イオン、式:[B(C654 -]で表される陰イオン、式[N(SO2492 -]で表される陰イオンなどと結合したカチオン重合開始剤などを挙げることができる。
具体例としては、アンチモン型のものとしてサンアプロ社のCPI−101Aが挙げられ、非アンチモン型のものとしてサンアプロ社のCPI−100P、CPI−200Kなどが挙げられる。非アンチモン型のヨードニューム塩化合物の具体例としては和光純薬製のWPI−113、WPI−169、WPI−170、WPI−124などが挙げられる。
また、本発明の光学的立体造形用樹脂組成物では、ラジカル重合性有機化合物(b)を重合および/または架橋させるためのラジカル重合開始剤(d)として、活性エネルギー線を照射したときにラジカル重合性有機化合物(b)のラジカル重合を開始させ得る重合開始剤のいずれもが使用でき、例えば、ベンジルまたはそのジアルキルアセタール系化合物、ベンゾイル化合物、アセトフェノン系化合物、ベンゾインまたはそのアルキルエーテル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、チオキサントン系化合物などを挙げることができる。
具体的には、ベンジルまたはそのジアルキルアセタール系化合物としては、例えば、ベンジルジメチルケタール、ベンジル−β−メトキシエチルアセタールなどを挙げることができる。ベンゾイル化合物としては、例えば1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンなどを挙げることができる。
また、アセトフェノン系化合物としては、例えば、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシメチル−1−フェニルプロパン−1−オン、4’−イソプロピル−2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオフェノン、p−ジメチルアミノアセトフェノン、p−tert−ブチルジクロロアセトフェノン、p−tert−ブチルトリクロロアセトフェノン、p−アジドベンザルアセトフェノンなどを挙げることができる。
また、ベンゾイン系化合物としては、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインノルマルブチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテルなどを挙げることができる。
また、ベンゾフェノン系化合物としては、例えば、ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、ミヒラースケトン、4,4’−ビスジエチルアミノベンゾフェノン、4,4’−ジクロロベンゾフェノンなどを挙げることができる。
そして、チオキサントン系化合物としては、例えば、チオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−エチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントンなどを挙げることができる。
本発明では、1種または2種以上のラジカル重合開始剤(d)を所望の性能に応じて配合して使用することができる。
本発明の光学的立体造形用樹脂組成物においては、造形速度の点から、カチオン重合性有機化合物(a):ラジカル重合性有機化合物(b)の含有割合が、40:60〜90:10(質量比)であることが好ましく、50:50〜85:15(質量比)であることがより好ましい。
また、本発明の光学的立体造形用樹脂組成物は、カチオン重合開始剤(c)を、カチオン重合性有機化合物(a)の質量に基づいて、0.1〜10質量%、特に1〜5質量%の割合で含有し、ラジカル重合開始剤(d)を、ラジカル重合性有機化合物(b)の質量に基づいて、0.1〜20質量%、特に1〜10質量%の割合で含有していることが好ましい。
本発明の光学的立体造形用樹脂組成物は、反応速度を向上させる目的で、前記したカチオン重合開始剤(c)およびラジカル重合開始剤(d)と共に、必要に応じて光増感剤、例えばジブトキシアントラセンなどのジアルコキシアントラセン、チオキサントンなどを含有していてもよい。
本発明の光学的立体造形用樹脂組成物は、場合によってポリアルキレンエーテル系化合物を含有することができる。ポリアルキレンエーテル系化合物を含有すると、光造形して得られる立体造形物の耐衝撃性などの物性がより向上する。
ポリアルキレンエーテル系化合物の好適な例としては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリエチレンオキサイド−ポリプロピレンオキサイドブロック共重合体、エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドのランダム共重合体、式:−CH2CH2CH(R9)CH2O−(式中R9は炭素数1〜5のアルキル基、好ましくはメチル基またはエチル基)で表されるアルキル置換基を有するオキシテトラメチレン単位(アルキル置換基を有するテトラメチレンエーテル単位)が結合したポリエーテル、前記オキシテトラメチレン単位と前記した式:−CH2CH2CH(R9)CH2O−(式中R9は炭素数1〜5のアルキル基)で表されるアルキル置換基を有するオキシテトラメチレン単位がランダムに結合したポリエーテルなどを挙げることができる。そのうちでも、数平均分子量が500〜10,000の範囲にあるポリテトラメチレングリコール並びにテトラメチレンエーテル単位と式:−CH2CH2CH(R9)CH2O−(式中R9は炭素数1〜5のアルキル基)単位がランダムに結合したポリエーテルの1種または2種以上が好ましく用いられ、その場合には、吸湿性が低くて寸法安定性や物性の安定性に優れる光造形物を得ることができる。
本発明の光学的立体造形用樹脂組成物がポリアルキレンエーテル系化合物を含有する場合は、ポリアルキレンエーテル系化合物の含有量は、光学的立体造形用樹脂組成物の全質量に対して1〜30質量%であることが好ましく、2〜20質量%であることがより好ましい。また、前記含有量を超えない範囲で、同時に2種類以上のポリアルキレンエーテル系化合物を含有していてもよい。
本発明の光学的立体造形用樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない限り、必要に応じて、顔料や染料などの着色剤、消泡剤、レベリング剤、増粘剤、難燃剤、酸化防止剤、UV吸収剤、充填剤(架橋ポリマー、シリカ、ガラス粉、セラミックス粉、金属粉など)、改質用樹脂などの1種または2種以上を適量含有していてもよい。
本発明の光学的造形用樹脂組成物を用いて光学的立体造形を行うに当たっては、従来既知の光学的立体造形方法および装置のいずれもが使用できる。好ましく採用され得る光学的立体造形法の代表例としては、液状をなす本発明の光学的造形用樹脂組成物に所望のパターンを有する硬化層が得られるように活性エネルギー線を選択的に照射して硬化層を形成し、次いでこの硬化層に未硬化の液状光学的造形用樹脂組成物を供給し、同様に活性エネルギー光線を照射して前記の硬化層と連続した硬化層を新たに形成する積層操作を繰り返すことによって最終的に目的とする立体的造形物を得る方法を挙げることができる。
その際の活性エネルギー線としては、紫外線、電子線、X線、放射線、高周波などを挙げることができる。そのうちでも、300〜410nmの波長を有する紫外線が経済的な観点から好ましく用いられ、その際の光源としては、紫外線レーザー(例えば半導体励起固体レーザー、Arレーザー、He−Cdレーザー、LDレーザーなど)、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、低圧水銀ランプ、キセノンランプ、ハロゲンランプ、メタルハライドランプ、紫外線LED(発光ダイオード)、紫外線蛍光灯などを使用することができる。
光学的立体造形用樹脂組成物よりなる造形面に活性エネルギー線を照射して所定の形状パターンを有する各硬化樹脂層を形成するに当たっては、レーザー光などのような点状に絞られた活性エネルギー線を使用して点描または線描方式で硬化樹脂層を形成してもよいし、または液晶シャッターまたはデジタルマイクロミラーシャッター(DMD)などのような微小光シャッターを複数配列して形成した面状描画マスクを通して造形面に活性エネルギー線を面状に照射して硬化樹脂層を形成させる造形方式を採用してもよい。
本発明の光学的立体造形用樹脂組成物を用いて光造形して得られる立体造形物は、熱処理などを行わずにそのまま用いてもよいが、上記した工程によって光造形を行った後、それにより得られる立体造形物[生の(グリーン体)立体造形物]を熱処理することによって、熱変形温度が一層高くなり、耐熱性がより向上する。
その際の熱処理温度としては、100℃以上の温度、特に110〜180℃の温度が好ましい。熱処理時間は、立体造形物のサイズ、形状などに応じて適宜選択することができる。
熱処理は、光造形によって得られる立体造形物を加熱室に入れて加熱する方法、シリコーンオイルなどの熱媒体により加熱する方法などによって行うことができる。
本発明の光学的造形用樹脂組成物は、光学的立体造形分野に幅広く用いることができ、何ら限定されるものではないが、代表的な応用分野としては、設計の途中で外観デザインを検証するための形状確認モデル、部品の機能性をチェックするための機能試験モデル、鋳型を制作するためのマスターモデル、金型を製作するためのマスターモデル、試作金型用の直接型、最終製品などを挙げることができる。
特に、本発明の光学的造形用樹脂組成物は、精密な部品などの形状確認モデルや機能試験モデルや高い耐熱性と靭性を利用して最終製品作製に威力を発揮する。より具体的には、例えば、精密部品、電気・電子部品、家具、建築構造物、自動車用部品、各種容器類、鋳物などのモデル、母型、加工用などの様々な用途に有効に用いることができる。
以下に本発明を実施例によって具体的に説明するが、本発明は実施例に何ら限定されるものではない。
以下の例中、光学的立体造形用樹脂組成物の粘度、光造形用樹脂組成物を用いて光造形して得られた立体造形物の力学的特性[引張り特性(引張破断強度、引張破断伸度、引張弾性率)、曲げ特性(曲げ強度、曲げ弾性率)、衝撃強度]、熱変形温度および吸水率の測定は、次のようにして行なった。
(1)光学的立体造形用樹脂組成物の粘度:
光学的立体造形用樹脂組成物を25℃の恒温槽に入れて、当該光学的立体造形用樹脂組成物の温度を25℃に調節した後、B型粘度計(株式会社東京計器製)を使用して測定した。
(2)立体造形物の引張り特性(引張破断強度、引張破断伸度、引張弾性率):
以下の実施例で作製した立体造形物(JIS K−7113に準拠したダンベル形状の試験片)[熱処理を施す前の立体造形物および120℃で2時間熱処理を施した立体造形物(引張破断伸度の測定のみ)]用いて、JIS K−7113にしたがって、試験片の引張破断強度、引張破断伸度および引張弾性率を測定した。
(3)立体造形物の曲げ特性(曲げ強度、曲げ弾性率):
以下の実施例で作製した立体造形物(JIS K−7171に準拠したバー形状の試験片;」熱処理を施す前の立体造形物)を用いて、JIS K−7171にしたがって、試験片の曲げ強度および曲げ弾性率を測定した。
(4)立体造形物の衝撃強度:
以下の実施例で作製した立体造形物(JIS K−7110に準拠したノッチ付き試験片)(熱処理を施す前の光造形物および120℃で2時間熱処理を施した立体造形物)を用いて、東洋精機株式会社製のデジタル・インパクト・テスター「型式DG−18」を使用して、JIS K−7110に準じて、ノッチ付きでアイゾット衝撃強度を測定した。
(5)立体造形物の熱変形温度:
以下の実施例で作製した光造形物(JIS K−7171に準拠したバー形状の試験片)(熱処理を施す前の立体造形物および120℃で2時間熱処理を施した立体造形物)を用いて、東洋精機株式会社製「HDTテスタ6M−2」を使用して、試験片に1.81MPaの荷重を加えてJIS K−7207(A法)に準拠して試験片の熱変形温度を測定した。
(6)立体造形物の吸水率(%):
以下の実施例で作製した試験片[長方形状の紐状光造形物、長さ×幅×厚さ=50mm×10mm×1mm、重さ=W0(g)]を、水中に入れ、温度25℃でそのまま1日間放置した後、取り出して重さ(W1)(g)を測定して、下記の数式(I)により吸水率(%)を求めた。
吸水率(%)={(W1−W0)/W0}×100 (I)
《実施例1》
(1) 3,4,3’,4’−ジエポキシビシクロヘキシル(ダイセル社製「セロキサイド8000」)80質量部、ビスフェノールAジグリシジルエーテル20質量部、3−ヒドロキシメチル−3−エチルオキセタン10質量部、ジペンタエリスリトールポリアクリレート(新中村化学工業株式会社製「NKエステルA−9530」)20質量部、非アンチモン型のリン系芳香族スルホニウム化合物(サンアプロ株式会社製「CPI−200K」)(カチオン重合開始剤)5質量部および1−ヒドロキシ−シクロヘキシルフェニルケトン(BASF社製「イルガキュア−184」、ラジカル重合開始剤)2質量部を室温下(25℃)によく混合して、光学的立体造形用樹脂組成物を調製した。この光学的立体造形用樹脂組成物の粘度を上記した方法で測定したところ220mPa・s(25℃)であった。
(2)上記(1)で得られた光学的立体造形用樹脂組成物を用いて、超高速光造形システム(ナブテスコ株式会社製「SOLIFORM500B」)を使用して、半導体レーザー(定格出力1000mW;波長355nm;スペクトラフィジックス社製「半導体励起固体レーザーBL6型)で、液面500mW、液面照射エネルギー80mJ/cm2の条件下に、スライスピッチ(積層厚み)0.10mm、1層当たりの平均造形時間2分で光学的立体造形を行って、物性測定用のJIS K−7113に準拠したダンベル形状の試験片、JIS K−7171に準拠したバー形状の試験片および長方形の紐状造形物を作製し、熱処理理を施す前の試験片についてその物性を上記した方法で測定した。
また、熱変形温度の測定用の試験片、衝撃強度測定用の試験片および引張破断伸度測定用の試験片については、光造形して得られた試験片を120℃の恒温槽に入れて2時間熱処理を行って、その熱変形温度、衝撃強度および引張破伸度を上記した方法で測定した。
その結果を下記の表1に示す。
《実施例2》
(1) ビスフェノールAジグリシジルエーテル20質量部の代わりに、水素添加ビスフェノールAジグリシジルエーテル20質量部を用いた以外は、実施例1の(1)と同様に行って、光学的立体造形用樹脂組成物を調製した。この光学的立体造形用樹脂組成物の粘度を上記した方法で測定したところ130mPa・s(25℃)であった。
(2)上記(1)で得られた光学的立体造形用樹脂組成物を用いて、実施例1の(1)と同様に行って、物性測定用のそれぞれの試験片を作製し、熱処理理を施す前の試験片についてその物性を上記した方法で測定した。
また、熱変形温度の測定用の試験片については、光造形して得られた試験片を120℃の恒温槽に入れて2時間熱処理を行って、熱変形温度を上記した方法で測定した。
その結果を下記の表1に示す。
《実施例3》
(1) 3,4,3’,4’−ジエポキシビシクロヘキシル80質量部の代わりに、3,4,3’,4’−ジエポキシビシクロヘキシル60質量部と水素添加ビスフェノールAジグリシジルエーテル20質量部を用いた以外は、実施例1の(1)と同様に行って、光学的立体造形用樹脂組成物を調製した。この光学的立体造形用樹脂組成物の粘度を上記した方法で測定したところ180mPa・s(25℃)であった。
(2)上記(1)で得られた光学的立体造形用樹脂組成物を用いて、実施例1の(1)と同様に行って、物性測定用のそれぞれの試験片を作製し、熱処理理を施す前の試験片についてその物性を上記した方法で測定した。
また、熱変形温度の測定用の試験片、衝撃強度測定用の試験片および引張破断伸度測定用の試験片については、光造形して得られた試験片を120℃の恒温槽に入れて2時間熱処理を行って、その熱変形温度、衝撃強度および引張破伸度を上記した方法で測定した。
その結果を下記の表1に示す。
《実施例4》
(1) 3,4,3’,4’−ジエポキシビシクロヘキシル80質量部の代わりに、3,4,3’,4’−ジエポキシビシクロヘキシル60質量部と水素添加ビスフェノールAジグリシジルエーテル20質量部を用い、更にビスフェノールAジグリシジルエーテル20質量部の代わりに、クレゾールノボラック樹脂[DIC社製「エピクロン(登録商標)N−665−EPX」]20質量部を用いた以外は、実施例1の(1)と同様に行って、光学的立体造形用樹脂組成物を調製した。この光学的立体造形用樹脂組成物の粘度を上記した方法で測定したところ320mPa・s(25℃)であった。
(2)上記(1)で得られた光学的立体造形用樹脂組成物を用いて、実施例1の(1)と同様に行って、物性測定用のそれぞれの試験片を作製し、熱処理理を施す前の試験片についてその物性を上記した方法で測定した。
また、熱変形温度の測定用の試験片については、光造形して得られた試験片を120℃の恒温槽に入れて2時間熱処理を行って、熱変形温度を上記した方法で測定した。
その結果を下記の表1に示す。
《比較例1》
(1)カチオン重合性有機化合物として3,4,3’,4’−ジエポキシビシクロヘキシルを含有せず、その代わりに水素添加ビスフェノールAジグリシジルエーテル80質量部を用い、その他の点では実施例1と同様の組成の光学的立体造形用樹脂組成物を用いて比較例1の光学的立体造形用樹脂組成物を調製した。この光学的立体造形用樹脂組成物の粘度を上記した方法で測定したところ650mPa・s(25℃)であった。
(2)上記(1)で得られた光学的立体造形用樹脂組成物を用いて、実施例1の(1)と同様に行って、物性測定用のそれぞれの試験片を作製し、熱処理理を施す前の試験片についてその物性を上記した方法で測定した。
また、熱変形温度の測定用の試験片については、光造形して得られた試験片を120℃の恒温槽に入れて2時間熱処理を行って、熱変形温度を上記した方法で測定した。
その結果を下記の表1に示す。
《実施例5》
(1) 3,4,3’,4’−ジエポキシビシクロヘキシル(ダイセル社製「セロキサイド8000」)40質量部、水素添加ビスフェノールAジグリシジルエーテル40質量部、ビスフェノールAジグリシジルエーテル20質量部、3−ヒドロキシメチル−3−エチルオキセタン10質量部、ジペンタエリスリトールポリアクリレート(新中村化学工業株式会社製「NKエステルA−9530」)30質量部、非アンチモン型のリン系芳香族スルホニウム化合物(CPI−200K)(カチオン重合開始剤)5質量部および1−ヒドロキシ−シクロヘキシルフェニルケトン(BASF社製「イルガキュア−184」、ラジカル重合開始剤)2質量部を室温下(25℃)によく混合して、光学的立体造形用樹脂組成物を調製した。この光学的立体造形用樹脂組成物の粘度を上記した方法で測定したところ280mPa・s(25℃)であった。
(2)上記(1)で得られた光学的立体造形用樹脂組成物を用いて、実施例1の(1)と同様に行って、物性測定用のそれぞれの試験片を作製し、熱処理理を施す前の試験片についてその物性を上記した方法で測定した。
また、熱変形温度の測定用の試験片については、光造形して得られた試験片を120℃の恒温槽に入れて2時間熱処理を行って、熱変形温度を上記した方法で測定した。
その結果を下記の表2に示す。
《実施例6》
(1) ビスフェノールAジグリシジルエーテル20質量部の代わりに、クレゾールノボラック樹脂[「エピクロン(登録商標)N−665−EPX」]20質量部を用いた以外は、実施例5の(1)と同様に行って、光学的立体造形用樹脂組成物を調製した。この光学的立体造形用樹脂組成物の粘度を上記した方法で測定したところ320mPa・s(25℃)であった。
(2)上記(1)で得られた光学的立体造形用樹脂組成物を用いて、実施例1の(1)と同様に行って、物性測定用のそれぞれの試験片を作製し、熱処理理を施す前の試験片についてその物性を上記した方法で測定した。
また、熱変形温度の測定用の試験片については、光造形して得られた試験片を120℃の恒温槽に入れて2時間熱処理を行って、熱変形温度を上記した方法で測定した。
その結果を下記の表2に示す。
《実施例7》
(1) 3,4,3’,4’−ジエポキシビシクロヘキシル(ダイセル社製「セロキサイド8000」)の配合量を40質量部から30質量部に変え、水素添加ビスフェノールAジグリシジルエーテルの配合量を40質量部から50質量部に変えた以外は、実施例5の(1)と同様に行って、光学的立体造形用樹脂組成物を調製した。この光学的立体造形用樹脂組成物の粘度を上記した方法で測定したところ350mPa・s(25℃)であった。
(2)上記(1)で得られた光学的立体造形用樹脂組成物を用いて、実施例1の(1)と同様に行って、物性測定用のそれぞれの試験片を作製し、熱処理理を施す前の試験片についてその物性を上記した方法で測定した。
また、熱変形温度の測定用の試験片については、光造形して得られた試験片を120℃の恒温槽に入れて2時間熱処理を行って、熱変形温度を上記した方法で測定した。
その結果を下記の表2に示す。
《実施例8》
(1) 3,4,3’,4’−ジエポキシビシクロヘキシル(ダイセル社製「セロキサイド8000」)の配合量を40質量部から30質量部に変え、ビスフェノールAジグリシジルエーテル20質量部の代わりにクレゾールノボラック樹脂[「エピクロン(登録商標)N−665−EPX」]30質量部を用いた以外は、実施例5の(1)と同様に行って光学的立体造形用樹脂組成物を調製した。この光学的立体造形用樹脂組成物の粘度を上記した方法で測定したところ380mPa・s(25℃)であった。
(2)上記(1)で得られた光学的立体造形用樹脂組成物を用いて、実施例1の(1)と同様に行って、物性測定用のそれぞれの試験片を作製し、熱処理理を施す前の試験片についてその物性を上記した方法で測定した。
また、熱変形温度の測定用の試験片については、光造形して得られた試験片を120℃の恒温槽に入れて2時間熱処理を行って、熱変形温度を上記した方法で測定した。
その結果を下記の表2に示す。
《実施例9》
(1) 3,4,3’,4’−ジエポキシビシクロヘキシル(ダイセル社製「セロキサイド8000」)を70質量部、ビスフェノールAジグリシジルエーテル20質量部、3−ヒドロキシメチル−3−エチルオキセタン10質量部、ジペンタエリスリトールポリアクリレート(新中村化学工業株式会社製「NKエステルA−9530」)30質量部、保土ヶ谷化学社製ポリテトラメチレングリコール2000(PTG−2000SN)10重量部、非アンチモン型のリン系芳香族スルホニウム化合物(CPI−200K)(カチオン重合開始剤)5質量部および1−ヒドロキシ−シクロヘキシルフェニルケトン(BASF社製「イルガキュア−184」、ラジカル重合開始剤)2質量部を室温下(25℃)によく混合して、光学的立体造形用樹脂組成物を調製した。この光学的立体造形用樹脂組成物の粘度を上記した方法で測定したところ310mPa・s(25℃)であった。
(2)上記(1)で得られた光学的立体造形用樹脂組成物を用いて、実施例1の(1)と同様に行って、物性測定用のそれぞれの試験片を作製し、熱処理理を施す前の試験片についてその物性を上記した方法で測定した。
また、熱変形温度の測定用の試験片については、光造形して得られた試験片を120℃の恒温槽に入れて2時間熱処理を行って、熱変形温度を上記した方法で測定した。
その結果を下記の表2に示す。
Figure 0006570011
Figure 0006570011
上記の表1および表2にみるように、実施例1〜9の光学的立体造形用樹脂組成物は、カチオン重合性有機化合物(a)、ラジカル重合性有機化合物(b)、カチオン重合開始剤(c)およびラジカル重合開始剤(d)を含有する光学的立体造形用樹脂組成物において、カチオン重合性有機化合物(a)の一部として、3,4,3’,4’−ジエポキシビシクロヘキシルを用いていることにより、粘度が低くて光造形時の取り扱い性に優れている。
しかも、実施例1〜9の光学的立体造形用樹脂組成物を用いて光造形して得られた立体造形物は、1.81MPaの高荷重下で測定した熱変形温度が熱処理を施す前の段階で58℃〜72℃であって、通常よりも熱変形温度が高く、120℃で熱処理することによって高荷重下で測定したときの熱変形温度が70℃〜120℃に上昇し、耐熱性がより向上している。
また、実施例1〜9の光学的立体造形用樹脂組成物を用いて光造形して得られた立体造形物は、衝撃強度の値が熱処理前および熱処理後の両方で40J/m以上と高くて靭性に優れ、耐久性に優れている。
それに対して、比較例1の光学的立体造形用樹脂組成物はカチオン重合性有機化合物(a)の一部として3,4,3’,4’−ジエポキシビシクロヘキシルを含有していないために、粘度が650mP・sと高くて光造形時の作業性に劣っている。
しかも、比較例1の光学的立体造形用樹脂組成物を用いて光造形して得られた立体造形物は、1.81MPaの高荷重下で測定した熱変形温度が熱処理を施す前の段階で48℃と低く、また120℃で熱処理した後でも高荷重下で測定したときの熱変形温度が53℃と低い。
本発明の光学的立体造形用樹脂組成物は、活性エネルギー線による硬化感度が高く、低粘度で造形時の取り扱い性に優れ、造形物の解像度が高く造形精度に優れるという光学的立体造形用樹脂組成物において必要な基本的な物性を備えると共に、光造形することによって高い熱変形温度を有していて耐熱性に優れ、耐衝撃性や破断強度などの力学的特性に優れる立体造形物を与え、しかも当該立体造形物を熱処理することによってその熱変形温度が更に上昇して耐熱性が一層向上するため、本発明の光学的立体造形用樹脂組成物は、高い耐熱性を有し、且つ機械的強度、寸法精度などに優れることが求められる、設計の途中で外観デザインを検証するための形状確認モデル、部品の機能性をチェックするための機能試験モデル、鋳型を制作するためのマスターモデル、金型を制作するためのマスターモデル、試作金型用の直接型、最終製品、特に、精密部品、電気・電子部品、家具、建築構造物、自動車用部品、各種容器類や、鋳物などのモデル、母型、加工用品などの製造に有効に用いることができる。

Claims (5)

  1. (A) カチオン重合性有機化合物(a)、ラジカル重合性有機化合物(b)、活性エネルギー線感受性カチオン重合開始剤(c)および活性エネルギー線感受性ラジカル重合開始剤(d)を含有する光学的立体造形用樹脂組成物であって
    (B) カチオン重合性有機化合物(a)の一部として、下記の化学式(a−1);
    Figure 0006570011

    で表される3,4,3’,4’−ジエポキシビシクロヘキシルを、カチオン重合性有機化合物(a)の全質量に基づいて10〜85質量%の割合で含有し;
    C) カチオン重合性有機化合物(a)の一部として、下記の一般式(a−2);
    Figure 0006570011
    (式中、R 1 は、脂環式ジグリシジルエーテルまたは芳香族ジグリシジルエーテルから2個のグリシジルオキシ基を除いた残基を示す。)
    で表されるジグリシジルエーテル化合物(a−2)の1種または2種以上を、カチオン重合性有機化合物(a)の全質量に基づいて10〜70質量%の割合で含有し;
    (D) カチオン重合性有機化合物(a)の一部として、オキセタン化合物を、カチオン重合性有機化合物(a)の全質量に基づいて1〜30質量%の割合で含有し;且つ、
    (E) 分子内に脂環エポキシ基およびカルボニル基を有する化合物を含有しない;
    ことを特徴とする光学的立体造形用樹脂組成物。
  2. カチオン重合性有機化合物(a):ラジカル重合性有機化合物(b)の含有割合が40:60〜90:10(質量比)であり、活性エネルギー線感受性カチオン重合開始剤(c)をカチオン重合性有機化合物(a)の全質量に基づいて0.1〜10質量%の割合で含有し、活性エネルギー線感受性ラジカル重合開始剤(d)をラジカル重合性有機化合物(b)の全質量に基づいて0.1〜10質量%の割合で含有する、請求項1に記載の光学的立体造形用樹脂組成物。
  3. 活性エネルギー線感受性カチオン重合開始剤(c)として、非アンチモン型の芳香族スルホニウム化合物を用いる、請求項1または2に記載の光学的立体造形用樹脂組成物。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の光学的立体造形用樹脂組成物を用いて光学的立体造形を行うことを特徴とする光学的立体造形物の製造方法。
  5. 請求項4の製造方法で得られる光学的立体造形物を熱処理する方法。
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