JP2021084986A - 光硬化性樹脂組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】有毒なアンチモン系カチオン重合開始剤を含まず、安全性、取り扱い性に優れ、靭性に優れていて丈夫で破損しにくく、さらに高い熱変形温度を有していて耐熱性に優れる立体造形物を製造することができ、しかも光硬化感度が高くて、短縮された光造形時間で立体造形物を生産性良く製造することができ、更に寸法精度、その他の力学的特性、耐熱性、透明性などにも優れる光硬化性樹脂組成物の提供。【解決手段】カチオン重合性有機化合物、ラジカル重合性有機化合物、カチオン重合開始剤およびラジカル重合開始剤を含有し、カチオン重合開始剤(C)として、下記の一般式(C−1)で表されるオニウムボレート塩を含有する光硬化性樹脂組成物。[(R5)n+1−E]+[ (R1)( R2)( R3)( R4)B]−(C−1)[式(C−1)中、R1〜R4は、互いに独立して、炭素数1〜18のアルキル基またはArであるが、但し、少なくとも1つが、Arであり、Arは、炭素数6〜14(以下の置換基の炭素数は含まない)のアリール基であって、アリール基中の水素原子の一部が、炭素数1〜18のアルキル基等で置換されていてもよく、Eは15族〜17族(IUPAC表記)の原子価nの元素を表し、nは1〜3の整数であり、R5はEに結合している有機基である。]【選択図】なし

Description

本発明は、オニウムボレート塩を含有する光硬化性樹脂組成物に関する。より詳細には、本発明は、安全性に優れ且つ環境汚染のない、非アンチモン系のカチオン重合開始剤を含有する光硬化性樹脂組成物に関するものである。
カチオン重合性有機化合物およびカチオン重合開始剤を含有する光硬化性樹脂組成物、ラジカル重合性有機化合物およびラジカル重合開始剤を含有する光硬化性樹脂組成物、カチオン重合性有機化合物、ラジカル重合性有機化合物、カチオン重合開始剤およびラジカル重合開始剤を含有する光硬化性樹脂組成物などの種々の光硬化性樹脂組成物が従来から色々提案されている。
そのうち、エポキシ化合物などのカチオン重合性有機化合物を含有する光硬化性樹脂組成物では、系内に存在するカチオン重合開始剤が光照射によりカチオン種(H)を生成し、それが連鎖的にエポキシ化合物などのカチオン重合性有機化合物に関与してカチオン重合性有機化合物が開環して反応が進む。エポキシ化合物などのカチオン重合性有機化合物をベースとする光硬化性樹脂組成物を用いると、一般に、ラジカル重合性有機化合物をベースとする光硬化性樹脂組成物を用いた場合に比べて、得られる光硬化物の収縮率が小さく、寸法精度の良い造形物が得られる。
カチオン重合性有機化合物を光重合させるためのカチオン重合開始剤としては、第VIIa族元素の芳香族スルホニウム塩(特許文献1を参照)、VIa族元素の芳香族オニウム塩(特許文献2を参照)、第Va族元素の芳香族オニウム塩(特許文献3を参照)などよりなる光カチオン重合開始剤が知られている。そのうちでも、カチオン重合性有機化合物を含む光硬化性樹脂組成物では、光カチオン重合開始剤として、アンチモンを含むスルホニウム塩が汎用されてきた。
しかし、アンチモン化合物は、一般に有毒で、ヒ素や水銀と似た毒作用を示すことから、取り扱いに細心の注意を払う必要があり、しかも作業環境や地球環境の汚染などの心配がある。
かかる点から、従来汎用されていたアンチモン系のカチオン重合開始剤の代わりに、リンを含むスルホニウム塩からなるカチオン重合開始剤を用いた光硬化性樹脂組成物が提案されている(特許文献4、5、6を参照)。
しかし、リンを含むスルホニウム塩からなるカチオン重合開始剤は、アンチモン系のカチオン重合開始剤に比べて光照射によって発生する酸(カチオン種)の酸性度が低いために、光照射したときにカチオン重合開始剤としての触媒活性が低くて、満足のゆく物性を備えた立体造形物が得られないことが多い。
特公昭52−14277号公報 特公昭52−14278号公報 特公昭52−14279号公報 特開2007−262401号公報 特開2007−238828号公報 特開2011−89088号公報
本発明の目的は、カチオン重合開始剤として、有毒なアンチモン系カチオン重合開始剤を含まず、それによって安全性および取り扱い性に優れ、靭性に優れていて丈夫で破損しにくく、さらに高い熱変形温度を有していて耐熱性に優れる立体造形物を製造することができ、しかも光硬化感度が高くて、短縮された光造形時間で立体造形物を生産性良く製造することができ、更に寸法精度、その他の力学的特性、耐熱性、透明性などにも優れる立体造形物を形成することのできる光硬化性樹脂組成物を提供することである。
本発明者らは、上記の目的を達成すべく種々研究を重ねてきた。その結果、カチオン重合性有機化合物、ラジカル重合性有機化合物、カチオン重合開始剤およびラジカル重合開始剤を含有する光硬化性樹脂組成物において、カチオン重合開始剤としてオニウムボレート塩を用いることで、アンチモン系のカチオン重合開始剤を用いた場合と同等の高い触媒活性を発揮しながら、強度、弾性特性、耐衝撃性、靭性などの力学的特性に優れる立体造形物が得られることを見出した。
更に、本発明者らは、その際に、光硬化性樹脂組成物に紫色染料および青色染料から選ばれる少なくとも1種の染料を更に含有させると、黄色度がより低減して無色透明性という特性がより向上した立体造形物が得られることを見出した。
また、本発明者らは、上記した光硬化性樹脂組成物において、カチオン重合性有機化合物の一部として、オキセタン化合物を含有させると、高い光硬化感度で、色調、力学的特性、耐熱性などに優れる立体造形物を与える光硬化性樹脂組成物が得られることを見出し、それらの知見に基づいて本発明を完成した。
すなわち、本発明は、カチオン重合性有機化合物(A)、ラジカル重合性有機化合物(B)、カチオン重合開始剤(C)およびラジカル重合開始剤(D)を含有する光硬化性樹脂組成物であって;
カチオン重合開始剤(C)として、下記の一般式(C−1)で表されるオニウムボレート塩を含有することを特徴とする光硬化性樹脂組成物。
[(R5n+1−E] [ (R1)( R2)( R3)( R4)B] (C−1)
[式(C−1)中、R〜Rは、互いに独立して、炭素数1〜18のアルキル基またはArであるが、但し、少なくとも1つが、Arであり、
Arは、炭素数6〜14(以下の置換基の炭素数は含まない)のアリール基であって、アリール基中の水素原子の一部が、炭素数1〜18のアルキル基、ハロゲン原子が置換した炭素数1〜8のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、炭素数2〜18のアルキニル基、炭素数6〜14のアリール基、ニトロ基、水酸基、シアノ基、−ORで表されるアルコキシ基若しくはアリールオキシ基、RCO−で表されるアシル基、RCOO−で表されるアシロキシ基、−SRで表されるアルキルチオ基若しくはアリールチオ基、−NR1011で表されるアミノ基、又はハロゲン原子で置換されていてもよく、R〜Rは炭素数1〜8のアルキル基又は炭素数6〜14のアリール基、R10及びR11は水素原子、炭素数1〜8のアルキル基又は炭素数6〜14のアリール基であり;
Eは15族〜17族(IUPAC表記)の原子価nの元素を表し、nは1〜3の整数であり、RはEに結合している有機基であり、Rの個数はn+1であり、(n+1)個のRはそれぞれ互いに同一であっても異なっても良く、2個以上のRが互いに直接または-O-、-S-、-SO-、-SO-、-NH-、-CO-、-COO-、-CONH-、アルキレン基もしくはフェニレン基を介して元素Eを含む環構造を形成しても良い。]
また、本発明は、光硬化性樹脂組成物を用いて光学的立体造形を行って立体造形物を製造する方法である。
本発明の光硬化性樹脂組成物は、有毒なアンチモン系のカチオン重合開始剤を含有せず、カチオン重合開始剤(C)として、一般式(C−1)で表されるオニウムボレート塩を含有しているため、安全性および取り扱い性に優れている。
本発明の光硬化性樹脂組成物では、一般式(C−1)で表されるオニウムボレート塩を含有するカチオン重合開始剤(C)を含有しているために、カチオン重合開始剤としてリン系の芳香族スルホニウム化合物を含有する光硬化性樹脂組成物に比べて、強度、弾性特性、耐衝撃性、靭性などの力学的特性に優れる立体造形物を製造することができる。
一般式(C−1)で表されるオニウムボレート塩と共に、紫色染料および青色染料から選ばれる少なくとも1種の染料を含有する本発明の光硬化性樹脂組成物を用いることにより、黄色度が低くて、無色透明性に優れる立体造形物を製造することができる。
本発明の光硬化性樹脂組成物を用いて光造形することによって、黄色度が低く且つ光透過度が高くて無色透明またはそれに近い良好な色調と外観を有し、しかも強度、弾性特性、耐衝撃性、靭性などの力学的特性に優れる立体造形物を製造することができるので、本発明の光硬化性樹脂組成物は、高い透明度を有し且つ黄色着色のない外観および色調に優れる立体造形物や強度、弾性特性、耐衝撃性、靭性などの力学的特性に優れる立体造形物が求められている、設計の途中で各種工業製品の外観デザインを検証するためのモデル、部品の機能性をチェックするためのモデル、鋳型を製作するための樹脂型、金型を製作するためのベースモデル、自動車やオートバイのレンズ、美術品の復元、模造や現代アート、ガラス張りの建築物のデザインプレゼンテーションモデルのような美術工芸品分野、精密部品、電気・電子部品、家具、建築構造物、自動車用部品、各種容器類、鋳物などのモデルなどの種々の用途に有効に使用することができる。
以下に本発明について詳細に説明する。
本発明の光硬化性樹脂組成物は、光などの活性エネルギー線の照射によって重合する活性エネルギー線重合性化合物として、カチオン重合性有機化合物(A)およびラジカル重合性有機化合物(B)を含有する。
なお、本明細書でいう「活性エネルギー線」とは、紫外線、電子線、X線、放射線、高周波などのような光硬化性樹脂組成物を硬化させ得るエネルギー線をいう。
本発明の光硬化性樹脂組成物では、カチオン重合性有機化合物(A)として、一般式(C−1)で表されるオニウムボレート塩を含有するカチオン重合開始剤(C)の存在下に活性エネルギー線を照射したときに、カチオン重合反応および/またはカチオン架橋反応を生ずる有機化合物であれば、いずれの化合物も使用できる。
本発明で用い得るカチオン重合性有機化合物(A)の代表例としては、エポキシ化合物、オキセタン化合物やその他の環状エーテル化合物、環状アセタール化合物、環状ラクトン化合物、スピロオルソエステル化合物、ビニルエーテル化合物、オキソラン化合物、チイラン化合物、チエタン化合物、エチレン性不飽和化合物などを挙げることができ、これらのカチオン重合性有機化合物は単独で使用しても、または2種以上を併用してもよい。
そのうちでも、本発明では、カチオン重合性有機化合物(A)としてエポキシ化合物およびオキセタン化合物が好ましく用いられる。
本発明においてカチオン重合性有機化合物(A)として用い得るエポキシ化合物としては、脂環族エポキシ化合物、脂肪族エポキシ化合物、芳香族エポキシ化合物などのエポキシ化合物を挙げることができる。
前記した脂環族エポキシ化合物としては、少なくとも1個の脂環族環を有する多価アルコールのポリグリシジルエーテル、或いはシクロヘキセン環含有化合物またはシクロペンテン環含有化合物を過酸化水素、過酸等の適当な酸化剤でエポキシ化して得られるシクロヘキセンオキサイド構造含有化合物またはシクロペンテンオキサイド構造含有化合物などを挙げることができる。より具体的には、脂環族エポキシ化合物として、例えば、下記の一般式(A−1);
Figure 2021084986
(式中、R12は、水素添加ビスフェノールA残基、水素添加ビスフェノールF残基、水素添加ビスフェノールS残基、水素添加ビスフェノールZ残基、水素添加ビスフェノールAD残基、シクロヘキサンジメタノール残基またはトリシクロデカンジメタノール残基を示す。)で表される脂環式ジグリシジルエーテル化合物[以下「脂環式ジグリシジルエーテル化合物(A−1)」という]としては、水素添加ビスフェノールAジグリシジルエーテル、水素添加ビスフェノールFジグリシジルエーテル、水素添加ビスフェノールSジグリシジルエーテル、水素添加ビスフェノールADジグリシジルエーテル、水素添加ビスフェノールZジグリシジルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテル、トリシクロデカンジメタノールジグリシジルエーテル)を挙げることができる。
また、シクロヘキセンオキサイド構造含有化合物またはシクロペンテンオキサイド構造含有化合物としては、例えば、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、3,4−エポキシ−1−メチルシクロヘキシル−3,4−エポキシ−1−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、6−メチル−3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−6−メチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、3,4−エポキシ−3−メチルシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシ−3−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、3,4−エポキシ−5−メチルシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシ−5−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル−5,5−スピロ−3,4−エポキシ)シクロヘキサン−メタジオキサン、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、ビス( 3 , 4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジペート、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルカルボキシレート、ジシクロペンタジエンジエポキサイド、エチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート)、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジオクチル、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジ−2−エチルヘキシルなどを挙げることができる。
また、株式会社ダイセルから販売されている、ε−カプロラクトン変性3’,4’−エポキシシクロヘキシルメチル3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、トリメチルカプロラクトン変性3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、β−メチル−δ−バレロラクトン変性3 ,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、メチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサン)、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−1−ブタノールの1,2−エポキシー4−(2−オキシラニル)シクロヘキサン付加物も挙げることができる。
さらに、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシル)メタン、2,2−ビス(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロパン、1,1−ビス(3,4−エポキシシクロヘキシル)エタン、アルファピネンオキサイド、カンファレンアルデヒド、リモネンモノオキサイド、リモネンジオキサイド、4−ビニルシクロヘキセンモノオキサイド、4−ビニルシクロヘキセンジオキサイドなども挙げることができる。
また、カチオン重合性有機化合物(A)として用い得る上記した脂肪族エポキシ化合物は特に限定されず、脂肪族エポキシ化合物としては、例えば、脂肪族多価アルコールまたはそのアルキレンオキサイド付加物のポリグリシジルエーテル、脂肪族長鎖多塩基酸のポリグリシジルエステル、グリシジルアクリレートまたはグリシジルメタクリレートのビニル重合により合成したホモポリマー、グリシジルアクリレートおよび/またはグリシジルメタクリレートとその他のビニルモノマーとのビニル重合により合成したコポリマーなどを挙げることができる。
代表的な化合物としては、例えば、ブチルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、高級アルコールのグリシジルエーテル、アルキレンジオールのジグリシジルエーテル(例えば、エチレングリコールのジ(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)エーテル、1,4−ブタンジオールのジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールのジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールのジグリシジルエーテルなど)、グリセリンのトリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンのジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンのトリグリシジルエーテル、ソルビトールのテトラグリシジルエーテル、ジペンタエリスリトールのヘキサグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールのジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールのジグリシジルエーテル、ポリテトラメチレングリコールのジグリシジルエーテルなどの多価アルコールのグリシジルエーテルを挙げることができる。
さらに、プロピレン、トリメチロールプロパン、グリセリンなどの脂肪族多価アルコールに1種または2種以上のアルキレンオキサイドを付加することにより得られるポリエーテルポリオールのポリグリシジルエーテル、脂肪族長鎖二塩基酸のジグリシジルエステルなどが挙げられる。
さらに、脂肪族高級アルコールのモノグリシジルエーテル、フェノール、クレゾール、ブチルフェノールまたはこれらにアルキレンオキサイドを付加することによって得られるポリエーテルアルコールのモノグリシジルエーテル、高級脂肪酸のグリシジルエステル、エポキシ化大豆油、エポキシステアリン酸ブチル、エポキシステアリン酸オクチル、エポキシ化アマニ油、エポキシ化ポリブタジエン、エポキシノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、グリシジル化ポリブタジエンなどを挙げることができる。
また、エポキシアルカンとしては、1,2−エポキシデカン、1,2−エポキシドデカン、1,2−エポキシテトラデカン、1,2−エポキシセタン、1,2−エポキシオクタデカン、1,2−エポキシイコサンを挙げることができる。上記の市販品の例としてはGrilonit F713(EMS−CHEMI社製)を挙げることができる。
また、前記芳香族エポキシ化合物としては特に制限されず、例えば、多価フェノールまたはそのアルキレンオキサイド付加物のポリグリシジルエーテル、ポリグリシジルエステルなどを挙げることができ、具体的には、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールE、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ビスフェノールAD、ビスフェノールZ、臭素化ビスフェノールA、臭素化ビスフェノールF、臭素化ビスフェノールSまたはこれらに更にエチレンオキサイドやプロピレンオキサイドなどのアルキレンオキサイドを付加した化合物のグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、tert−ブチルフェニルグリシジルエーテル、レゾルシノールジグリシジルエーテル、テトラフェノールエタンのテトラグリシジルエーテル、トリフェノールメタンのトリグリシジルエーテル、フェノール類またはナフトール類とアルデヒド類との縮合物(例えばフェノール樹脂やノボラック樹脂)のグリシジル化物、フェノール類とイソプロペニルアセトフェノンとの縮合物のグリシジル化物、フェノール類とジシクロペンタジエンの反応物ノグリシジル化物、テレフタル酸のジグリシジルエステル、イソフタル酸のジグリシジルエステル、o−フタル酸のジグリシジルエステルなどを挙げることができる。
さらに、ビフェノールのジグリシジルエーテル、テトラメチルビフェノールのジグリシジルエーテル、株式会社プリンテックより発売されているEPOX−MK R710,R1710、下記の化学式で表されるVG3101Lやその他の芳香族エポキシ化合物などを挙げることができる。
Figure 2021084986
本発明では、カチオン重合性有機化合物(A)として、上記したエポキシ化合物の1種または2種以上を用いることができ、カチオン重合性有機化合物(A)の全重量に基づいて、1分子中に2個以上のエポキシ基を有するポリエポキシ化合物を30重量%以上の割合で含むことが好ましい。
本発明の光硬化性樹脂組成物中に、カチオン重合性有機化合物(A)の一部として上記の一般式(A−1)で表される脂環式ジグリシジルエーテル化合物(A−1)を含有させると、一般に光造形して得られる立体造形物の透明性が一層向上し、黄色度が一層低下し、経時寸法安定性、耐水性、耐湿性、耐熱性などが優れたものとなる。
また、本発明の光硬化性樹脂組成物に、カチオン重合性有機化合物(A)の一部として、下記の式(A−2a)で表されるグリシジルエーテル化フェノール基を3個以上有する芳香族化合物[以下「芳香族化合物(A−2)」という]を含有させると、熱変形温度が高くて耐熱性に優れる立体造形物を与える光硬化性樹脂組成物を得ることができる。
光造形して得られる立体造形物の耐熱性を向上させるためにカチオン重合性有機化合物(A)の一部として芳香族化合物(A−2)を含有させる場合は、芳香族化合物(A−2)の含有量は、カチオン重合性有機化合物(A)の全重量に基づいて、5〜80重量%であることが好ましく、10〜50重量%であることがより好ましく、20〜40重量%であることが更に好ましい。
Figure 2021084986
グリシジルエーテル化フェノール基を3個以上有する芳香族化合物(A−2)としては、当該芳香族化合物(A−2)を含有しても光硬化性樹脂組成物の粘度を光学的立体造形に適する粘度に維持し得るものであればいずれでも使用でき、例えば、ノボラック樹脂やレゾール樹脂などのフェノール樹脂のポリグリシジルエーテル、テトラフェノールエタンのテトラグリシジルエーテル、トリフェノールメタンのトリグリシジルエーテル、上記したVG3101L、すなわち、2−[4−(2,3−エポキシプロポキシ)フェニル]−2−[4−[1,1−ビス[4−([2,3−エポキシプロポキシ]フェニル]エチル]フェニル]プロパンなどを挙げることができる。
上記したVG3101L、すなわち、2−[4−(2,3−エポキシプロポキシ)フェニル]−2−[4−[1,1−ビス[4−([2,3−エポキシプロポキシ]フェニル]エチル]フェニル]プロパンをカチオン重合性有機化合物の一部として光硬化性樹脂組成物に含有させると、光造形して得られる立体造形物の熱変形温度が高くなって耐熱性が向上する。光造形して得られる立体造形物の耐熱性を向上させるためにカチオン重合性有機化合物(A)の一部としてVG3101Lを含有させる場合は、VG3101Lの含有量は、カチオン重合性有機化合物(A)の全重量に基づいて、1.5〜80重量%が好ましく、5〜50重量%がより好ましく、20〜40重量%がより好ましい。
本発明の光硬化性樹脂組成物は、光硬化性樹脂組成物の光硬化性能や、低粘度化による造形性の向上などの点から、光硬化性樹脂組成物に含まれるカチオン重合性有機化合物(A)の全重量に基づいて、オキセタン化合物(A−3)を1〜35重量%の割合で含有することが好ましく、5〜20重量%の割合で含有することがより好ましい。
また、オキセタン化合物[以下「オキセタン化合物(A−3)」ということがある]としては、1分子中にオキセタン基を1個有するモノオキセタン化合物および1分子中にオキセンタン基を2個以上有するポリオキセタン化合物のうちの1種または2種以上を用いることができる。
特に、カチオン重合性有機化合物(A)の一部としてオキセタン化合物(A−3)を用い、その際にオキセタン化合物(A−3)として、1分子中にオキセタン基を1個有するモノオキセタン化合物(A−3a)と1分子中にオキセンタン基を2個以上有するポリオキセタン化合物(A−3b)を、モノオキセタン化合物(A−3a):ポリオキセタン化合物(A−3b)=95:5〜5:95の重量比、更には10:90〜90:10の重量比、特に20:80〜20:80の重量比で用いると、高湿度状態での光硬化性樹脂組成物の水分および湿気の吸収率が少なくなり、当初の高い硬化感度を長期にわたって維持することができ、しかも光造形して得られる立体造形物の靭性が向上する。
その際に、モノオキセタン化合物(A−3a)としては、1分子中にオキセタン基を1個有する化合物であればいずれも使用できるが、特に1分子中にオキセタン基を1個有し且つアルコール性水酸基を1個有するモノオキセタンモノアルコール化合物が好ましく用いられる。
そのような、モノオキセタンモノアルコール化合物のうちでも、入手の容易性、高反応性、粘度が低いなどの点から、下記の一般式(A−3a1)および下記の一般式(A−3a2)で表される化合物が好ましく用いられる。
Figure 2021084986
(式中、R13およびR14は炭素数1〜5のアルキル基、R15はエーテル結合を有していてもよい炭素数2〜10のアルキレン基を示す。)
上記の一般式(A−3a1)において、R13の例としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチルを挙げることができる。
モノオキセタンアルコール(A−3a1)の具体例としては、3−ヒドロキシメチル−3−メチルオキセタン、3−ヒドロキシメチル−3−エチルオキセタン、3−ヒドロキシメチル−3−プロピルオキセタン、3−ヒドロキシメチル−3−ノルマルブチルオキセタン、3−ヒドロキシメチル−3−プロピルオキセタンなどを挙げることができ、これらの1種または2種以上を用いることができる。そのうちでも、入手の容易性、反応性などの点から、3−ヒドロキシメチル−3−メチルオキセタン、3−ヒドロキシメチル−3−エチルオキセタンがより好ましく用いられる。
上記の一般式(A−3a2)において、R14の例としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチルを挙げることができる。
また、上記の一般式(A−3a2)において、R15は炭素数2〜10のアルキレン基であれば、鎖状のアルキレン基または分岐したアルキレン基のいずれであってもよく、或いはアルキレン基(アルキレン鎖)の途中にエーテル結合(エーテル系酸素原子)を有する炭素数2〜10の鎖状または分岐状のアルキレン基であってもよい。R15の具体例としては、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、ヘプタメチレン基、3−オキシペンチレン基などを挙げることができる。そのうちでも、R15はトリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基またはヘプタメチレン基であることが、合成の容易性、化合物が常温で液体である取り扱い易いなどの点から好ましい。
また、ポリオキセタン化合物(A−3b)としては、オキセタン基を2個有する化合物、オキセタン基を3個以上有する化合物、オキセタン基を4個以上有する化合物のいずれもが使用できるが、オキセタン基を2個有するジオキセタン化合物が好ましく用いられ、そのうちでも下記の一般式(A−3b0)で表されるジオキセタン化合物が、入手性、反応性、低吸湿性、硬化物の力学的特性などの点から好ましく用いられる。
Figure 2021084986
(式中、2個のR16は互いに同じかまたは異なる炭素数1〜5のアルキル基、R17は芳香環を有しているかまたは有していない2価の有機基、nは0または1を示す。)
上記の一般式(A−3b0)において、R16の例としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチルを挙げることができる。また、R17の例としては、炭素数1〜12の直鎖状または分岐状のアルキレン基(例えばエチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ネオペンチレン基、n−ペンタメチレン基、n−ヘキサメチレン基など)、式:−CH−Ph−CH−または−CH−Ph−Ph−CH−で表される2価の基、水素添加ビスフェノールA残基、水素添加ビスフェノールF残基、水素添加ビスフェノールS残基、水素添加ビスフェノールZ残基、シクロヘキサンジメタノール残基、トリシクロデカンジメタノール残基、テレフタル酸残基、イソフタル酸残基、o−フタル酸残基などを挙げることができる。
ジオキセタン化合物(A−3b0)の具体例としては、下記の式(A−3b1)または式(A−3b2)で表されるジオキセタン化合物を挙げることができる。
Figure 2021084986
(式中、2個のR18は互いに同じかまたは異なる炭素数1〜5のアルキル基、R19は芳香環を有しているかまたは有していない2価の有機基を示す。)
上記の式(A−3b1)で表されるジオキセタン化合物の具体例としては、ビス(3−メチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ビス(3−プロピル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ビス(3−ブチル−3−オキセタニルメチル)エーテルなどを挙げることができる。
また、上記の式(A−3b2)で表されるジオキセタン化合物の具体例としては、上記の式(A−3b2)において2個のR18が共にメチル、エチル、プロピル、ブチルまたはペンチル基で、R19がエチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ネオペンチレン基、n−ペンタメチレン基、n−ヘキサメチレン基など)、式:−CH−Ph−CH−または−CH−Ph−Ph−CH−で表される2価の基、水素添加ビスフェノールA残基、水素添加ビスフェノールF残基、水素添加ビスフェノールS残基、水素添加ビスフェノールZ残基、シクロヘキサンジメタノール残基、トリシクロデカンジメタノール残基であるジオキセタン化合物を挙げることができる。
そのうちでも、ジオキセタン化合物(A−3b0)としては、上記の式(A−3b1)において、2個のR18が共にメチル基またはエチル基であるビス(3−メチル−3−オキセタニルメチル)エーテルおよび/またはビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテルが、入手の容易性、低吸湿性、硬化物の力学的特性などの点から好ましく用いられ、特にビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテルがより好ましく用いられる。
また、本発明の光硬化性樹脂組成物にアルキレンジオールのジグリシジルエーテルを含有させると、光造形して得られる立体造形物の靭性が向上する。アルキレンジオールのジグリシジルエーテルとしては、エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ブタンジオールジグリシジルエーテル、ペンタンジオールジグリシジルエーテル、ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、へプタンジオールジグリシジルエーテル、オクタンジオールジグリシジルエーテル、ノナンジオールジグリシジルエーテル、デカンジオールジグリシジルエーテルなどの炭素数2〜10のアルキレンジオールのジグリシジルエーテルが好ましく、これらの1種または2種以上を用いることができる。そのうちでも、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテルが硬化性能の点からより好ましく用いられる。
光造形して得られる立体造形物の靭性を向上させるために、本発明の光硬化性樹脂組成物にアルキレンジオールのジグリシジルエーテルを含有させる場合は、アルキレンジオールのジグリシジルエーテルの含有量は、光硬化性樹脂組成物に含まれるカチオン重合性有機化合物(A)の全重量に基づいて、0.1〜20重量%であることが好ましく、0.5〜10重量%であることがより好ましく、1〜5重量%であることが更に好ましい。
ラジカル重合性有機化合物(B)の代表例としては、(メタ)アクリレート基を有する化合物、不飽和ポリエステル化合物、アリルウレタン系化合物、ポリチオール化合物などを挙げることができ、前記したラジカル重合性有機化合物の1種または2種以上を用いることができる。そのうちでも、1分子中に少なくとも1個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物が好ましく用いられ、具体例としては、エポキシ化合物と(メタ)アクリル酸との反応生成物、アルコール類の(メタ)アクリル酸エステル、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレートなどを挙げることができる。
上記したエポキシ化合物と(メタ)アクリル酸との反応生成物としては、芳香族エポキシ化合物、脂環族エポキシ化合物および/または脂肪族エポキシ化合物と、(メタ)アクリル酸との反応により得られる(メタ)アクリレート系反応生成物を挙げることができ、具体例としては、ビスフェノールAやビスフェノールSなどのビスフェノール化合物またはベンゼン環がアルコキシ基などによって置換されているビスフェノールAやビスフェノールSなどのビスフェノール化合物或いは前記したビスフェノール化合物または置換ビスフェノール化合物のアルキレンオキサイド付加物とエピクロルヒドリンなどのエポキシ化剤との反応によって得られるグリシジルエーテルを(メタ)アクリル酸と反応させて得られる(メタ)アクリレート、エポキシノボラック樹脂と(メタ)アクリル酸を反応させて得られる(メタ)アクリレート系反応生成物などを挙げることができる。
また、上記したアルコール類の(メタ)アクリル酸エステルとしては、分子中に少なくとも1個の水酸基をもつ芳香族アルコール、脂肪族アルコール、脂環族アルコールおよび/またはそれらのアルキレンオキサイド付加体と、(メタ)アクリル酸との反応により得られる(メタ)アクリレートを挙げることができる。
より具体的には、例えば、ビスフェノールAやビスフェノールSなどのビスフェノール化合物またはベンゼン環がアルコキシ基などによって置換されているビスフェノールAやビスフェノールSなどのビスフェノール化合物のジ(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート[例えば、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレートなど]、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどの3個以上の水酸基を有する多価アルコールのポリ(メタ)アクリレート、前記したジオール、トリオール、テトラオール、ヘキサオールなどの多価アルコールのアルキレンオキシド付加物の(メタ)アクリレートなどを挙げることができる。
また、上記したウレタン(メタ)アクリレートとしては、例えば、水酸基含有(メタ)アクリル酸エステルとイソシアネート化合物を反応させて得られる(メタ)アクリレートを挙げることができる。前記水酸基含有(メタ)アクリル酸エステルとしては、脂肪族2価アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル化反応によって得られる水酸基含有(メタ)アクリル酸エステルが好ましく、具体例としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートなどを挙げることができる。また、前記イソシアネート化合物としては、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどのような1分子中に2個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物が好ましい。
さらに、上記したポリエステル(メタ)アクリレートとしては、水酸基含有ポリエステルと(メタ)アクリル酸との反応により得られるポリエステル(メタ)アクリレートを挙げることができる。 また、上記したポリエーテル(メタ)アクリレートとしては、水酸基含有ポリエーテルとアクリル酸との反応により得られるポリエーテルアクリレートを挙げることができる。
光硬化性樹脂組成物に、ラジカル重合性有機化合物(B)の一部として、ラジカル重合性有機化合物(B)の重量に基づいて、ポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレートなどのポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレートを1〜40重量%、特に5〜20重量%の量で含有させると、光硬化性樹脂組成物から得られる立体造形物の靭性が向上する。但し、ポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレートの含有量が多すぎると、得られる立体造形物の熱変形温度が低くなり、耐熱性が低下する。
本発明の光硬化性樹脂組成物は、カチオン重合開始剤(C)として、下記の一般式(C−1)で表されるオニウムボレート塩(C−1)を含有する。
[(R5n+1−E] [ (R1)( R2)( R3)( R4)B] (C−1)
[式(C−1)中、R〜Rは、互いに独立して、炭素数1〜18のアルキル基またはArであるが、但し、少なくとも1つが、Arであり、
Arは、炭素数6〜14(以下の置換基の炭素数は含まない)のアリール基であって、アリール基中の水素原子の一部が、炭素数1〜18のアルキル基、ハロゲン原子が置換した炭素数1〜8のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、炭素数2〜18のアルキニル基、炭素数6〜14のアリール基、ニトロ基、水酸基、シアノ基、−ORで表されるアルコキシ基若しくはアリールオキシ基、RCO−で表されるアシル基、RCOO−で表されるアシロキシ基、−SRで表されるアルキルチオ基若しくはアリールチオ基、−NR1011で表されるアミノ基、又はハロゲン原子で置換されていてもよく、R〜Rは炭素数1〜8のアルキル基又は炭素数6〜14のアリール基、R10及びR11は水素原子、炭素数1〜8のアルキル基又は炭素数6〜14のアリール基であり;
Eは15族〜17族(IUPAC表記)の原子価nの元素を表し、nは1〜3の整数であり、RはEに結合している有機基であり、Rの個数はn+1であり、(n+1)個のRはそれぞれ互いに同一であっても異なっても良く、2個以上のRが互いに直接または-O-、-S-、-SO-、-SO-、-NH-、-CO-、-COO-、-CONH-、アルキレン基もしくはフェニレン基を介して元素Eを含む環構造を形成しても良い。]
上記の一般式(C−1)中、R〜Rにおける、炭素数1〜18のアルキル基としては、直鎖アルキル基(メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、n−ペンチル、n−オクチル、n−デシル、n−ドデシル、n−テトラデシル、n−ヘキサデシル及びn−オクタデシル等)、分岐アルキル基(イソプロピル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、イソペンチル、ネオペンチル、tert−ペンチル、イソヘキシル、2−エチルヘキシル及び1,1,3,3−テトラメチルブチル等)、シクロアルキル基(シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル及びシクロヘキシル等)及び架橋環式アルキル基(ノルボルニル、アダマンチル及びピナニル等)が挙げられる。
カチオン重合反応における触媒活性の観点から、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基で置換されているものが好ましく、中でもフッ素原子で置換されたものがより好ましい。
一般式(C−1)中、R〜Rにおける、炭素数6〜14(以下の置換基の炭素数は含まない)のアリール基としては、単環式アリール基(フェニル等)、縮合多環式アリール基(ナフチル、アントラセニル、フェナンスレニル、アントラキノリル、フルオレニル及びナフトキノリル等)及び芳香族複素環炭化水素基(チエニル、フラニル、ピラニル、ピロリル、オキサゾリル、チアゾリル、ピリジル、ピリミジル、ピラジニル等単環式複素環;及びインドリル、ベンゾフラニル、イソベンゾフラニル、ベンゾチエニル、イソベンゾチエニル、キノリル、イソキノリル、キノキサリニル、キナゾリニル、カルバゾリル、アクリジニル、フェノチアジニル、フェナジニル、キサンテニル、チアントレニル、フェノキサジニル、フェノキサチイニル、クロマニル、イソクロマニル、クマリニル、ジベンゾチエニル、キサントニル、チオキサントニル、ジベンゾフラニル等縮合多環式複素環)が挙げられる。
アリール基としては、以上の他に、アリール基中の水素原子の一部が炭素数1〜18のアルキル基、ハロゲン原子が置換した炭素数1〜8のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、炭素数2〜18のアルキニル基、炭素数6〜14のアリール基、ニトロ基、水酸基、シアノ基、−ORで表されるアルコキシ基若しくはアリールオキシ基、RCO−で表されるアシル基、RCOO−で表されるアシロキシ基、−SRで表されるアルキルチオ基若しくはアリールチオ基、−NR1011で表されるアミノ基、又はハロゲン原子で置換されていてもよい。
上記置換基において、炭素数2〜18のアルケニル基としては、直鎖又は分岐のアルケニル基(ビニル、アリル、1−プロペニル、2−プロペニル、1−ブテニル、2−ブテニル、3−ブテニル、1−メチル−1−プロペニル、1−メチル−2−プロペニル、2−メチル−1−プロペニル及び2−メチル−2−プロぺニル等)、シクロアルケニル基(2−シクロヘキセニル及び3−シクロヘキセニル等)及びアリールアルケニル基(スチリル及びシンナミル等)が挙げられる。
上記置換基において、炭素数2〜18のアルキニル基としては、直鎖又は分岐のアルキニル基(エチニル、1−プロピニル、2−プロピニル、1−ブチニル、2−ブチニル、3−ブチニル、1−メチル−2−プロピニル、1,1−ジメチル−2−プロピニル、1−ぺンチニル、2−ペンチニル、3−ペンチニル、4−ペンチニル、1−メチル−2−ブチニル、3−メチル−1−ブチニル、1−デシニル、2−デシニル、8−デシニル、1−ドデシニル、2−ドデシニル及び10−ドデシニル等)及びアリールアルキニル基(フェニルエチニル等)が挙げられる。
上記置換基において、ハロゲン原子が置換した炭素数1〜8のアルキル基としては、直鎖アルキル基(トリフルオロメチル、トリクロロメチル、ペンタフルオロエチル、2,2,2−トリクロロエチル、2,2,2−トリフルオロエチル、1,1−ジフルオロエチル、ヘプタフルオロ−n−プロピル、1,1−ジフルオロ−n−プロピル、3,3,3−トリフルオロ−n−プロピル、ノナフルオロ−n−ブチル、3,3,4,4,4−ペンタフルオロ−n−ブチル、パーフルオロ−n−ペンチル、パーフルオロ−n−オクチル、等)、分岐アルキル基(ヘキサフルオロイソプロピル、ヘキサクロロイソプロピル、ヘキサフルオロイソブチル、ノナフルオロ−tert−ブチル等)、シクロアルキル基(ペンタフルオロシクロプロピル、ノナフルオロシクロブチル、パーフルオロシクロペンチル及びパーフルオロシクロヘキシル等)及び架橋環式アルキル基(パーフルオロアダマンチル等)が挙げられる。
上記置換基において、−ORで表されるアルコキシ基、RCO−で表されるアシル基、RCOO−で表されるアシロキシ基、−SRで表されるアルキルチオ基、−NR1011で表されるアミノ基の、R〜R11としては炭素数1〜8のアルキル基が挙げられ、具体的には上記のアルキル基のうち炭素数1〜8のアルキル基が挙げられる。
上記置換基において、−ORで表されるアリールオキシ基、RCO−で表されるアシル基、RCOO−で表されるアシロキシ基、−SRで表されるアリールチオ基、−NR1011で表されるアミノ基の、R〜R11としては炭素数6〜14のアリール基が挙げられ、具体的には上記の炭素数6〜14のアリール基が挙げられる。
−ORで表されるアルコキシ基としては、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、iso−プロポキシ、n−ブトキシ、sec−ブトキシ、tert−ブトキシ、n−ペントキシ、iso−ペントキシ、neo−ペントキシ及び2−メチルブトキシ等が挙げられる。
−ORで表されるアリールオキシ基としては、フェノキシ、ナフトキシ等が挙げられる。
CO−で表されるアシル基としては、アセチル、プロパノイル、ブタノイル、ピバロイル及びベンゾイル等が挙げられる。
COO−で表されるアシロキシ基としては、アセトキシ、ブタノイルオキシ及びベンゾイルオキシ等が挙げられる。
−SRで表されるアルキルチオ基としては、メチルチオ、エチルチオ、ブチルチオ、ヘキシルチオ及びシクロヘキシルチオ等が挙げられる。
−SRで表されるアリールチオ基としては、フェニルチオ、ナフチルチオ等が挙げられる。
−NR1011で表されるアミノ基としては、メチルアミノ、エチルアミノ、プロピルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、メチルエチルアミノ、ジプロピルアミノ、ジプロピルアミノ及びピペリジノ等が挙げられる。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子等が挙げられる。
これら置換基において、カチオン重合反応における触媒活性の観点から、ハロゲン原子が置換した炭素数1〜8のアルキル基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基が好ましく、フッ素原子が置換した炭素数1〜8のアルキル基およびフッ素原子がより好ましい。
式(C−1)中のRはEに結合している有機基を表し、同一であっても異なってもよい。Rとしては、炭素数6〜14のアリール基、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基および炭素数2〜18のアルキニル基が挙げられ、アリール基はさらに炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、炭素数2〜18のアルキニル基、炭素数6〜14のアリール基、ニトロ基、水酸基、シアノ基、−ORで表されるアルコキシ基若しくはアリールオキシ基、RCO−で表されるアシル基、RCOO−で表されるアシロキシ基、−SRで表されるアルキルチオ基若しくはアリールチオ基、−NR1011で表されるアミノ基、又はハロゲン原子で置換されていてもよい。
上記有機基の炭素数6〜14のアリール基、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基および炭素数2〜18のアルキニル基としては、一般式(1)中のR〜Rで説明したものと同じものが挙げられる。
また2個以上のRが互いに直接または-O-、-S-、-SO-、-SO-、-NH-、-CO-、-COO-、-CONH-、アルキレン基もしくはフェニレン基を介して元素Aを含む環構造を形成しても良い。
式(C−1)中のEは、15族〜17族(IUPAC表記)の原子価nの元素を表し、有機基Rと結合してオニウムイオン[E]を形成する。15族〜17族の元素のうち好ましいのは、O(酸素)、N(窒素)、P(リン)、S(硫黄)またはI(ヨウ素)であり、対応するオニウムイオンとしてはオキソニウム、アンモニウム、ホスホニウム、スルホニウム、ヨードニウムである。中でも、安定で取り扱いが容易な、アンモニウム、ホスホニウム、スルホニウム、ヨードニウムが好ましく、カチオン重合性能や架橋反応性能に優れるスルホニウム、ヨードニウムがさらに好ましい。
nは元素Eの原子価を表し、1〜3の整数である。
オキソニウムイオンの具体例としては、トリメチルオキソニウム、ジエチルメチルオキソニウム、トリエチルオキソニウム、テトラメチレンメチルオキソニウムなどのオキソニウム;4−メチルピリリニウム、2,4,6−トリメチルピリリニウム、2,6−ジ−tert−ブチルピリリニウム、2,6−ジフェニルピリリニウムなどのピリリニウム;2,4−ジメチルクロメニウム、1,3−ジメチルイソクロメニウムなどのクロメニウムおよびイソクロメニウムが挙げられる。
アンモニウムイオンの具体例としては、テトラメチルアンモニウム、エチルトリメチルアンモニウム、ジエチルジメチルアンモニウム、トリエチルメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウムなどのテトラアルキルアンモニウム;N,N−ジメチルピロリジニウム、N−エチル−N−メチルピロリジニウム、N,N−ジエチルピロリジニウムなどのピロリジニウム;N,N'−ジメチルイミダゾリニウム、N,N'−ジエチルイミダゾリニウム、N−エチル−N'−メチルイミダゾリニウム、1,3,4−トリメチルイミダゾリニウム、1,2,3,4−テトラメチルイミダゾリニウムなどのイミダゾリニウム;N,N'−ジメチルテトラヒドロピリミジニウムなどのテトラヒドロピリミジニウム;N,N'−ジメチルモルホリニウムなどのモルホリニウム;N,N'−ジエチルピペリジニウムなどのピペリジニウム;N−メチルピリジニウム、N−ベンジルピリジニウム、N−フェナシルピリジウムなどのピリジニウム;N,N'−ジメチルイミダゾリウム、などのイミダゾリウム;N−メチルキノリウム、N−ベンジルキノリウム、N−フェナシルキノリウムなどのキノリウム;N−メチルイソキノリウムなどのイソキノリウム;ベンジルベンゾチアゾニウム、フェナシルベンゾチアゾニウムなどのチアゾニウム;ベンジルアクリジウム、フェナシルアクリジウムなどのアクリジウムが挙げられる。
ホスホニウムイオンの具体例としては、テトラフェニルホスホニウム、テトラ−p−トリルホスホニウム、テトラキス(2−メトキシフェニル)ホスホニウム、テトラキス(3−メトキシフェニル)ホスホニウム、テトラキス(4−メトキシフェニル)ホスホニウムなどのテトラアリールホスホニウム;トリフェニルベンジルホスホニウム、トリフェニルフェナシルホスホニウム、トリフェニルメチルホスホニウム、トリフェニルブチルホスホニウムなどのトリアリールホスホニウム;トリエチルベンジルホスホニウム、トリブチルベンジルホスホニウム、テトラエチルホスホニウム、テトラブチルホスホニウム、テトラヘキシルホスホニウム、トリエチルフェナシルホスホニウム、トリブチルフェナシルホスホニウムなどのテトラアルキルホスホニウムなどが挙げられる。
スルホニウムイオンの具体例としては、トリフェニルスルホニウム、トリ−p−トリルスルホニウム、トリ−o−トリルスルホニウム、トリス(4−メトキシフェニル)スルホニウム、1−ナフチルジフェニルスルホニウム、2−ナフチルジフェニルスルホニウム、トリス(4−フルオロフェニル)スルホニウム、トリ−1−ナフチルスルホニウム、トリ−2−ナフチルスルホニウム、トリス(4−ヒドロキシフェニル)スルホニウム、4−(フェニルチオ)フェニルジフェニルスルホニウム、4−(p−トリルチオ)フェニルジ−p−トリルスルホニウム、4−(4−メトキシフェニルチオ)フェニルビス(4−メトキシフェニル)スルホニウム、4−(フェニルチオ)フェニルビス(4−フルオロフェニル)スルホニウム、4−(フェニルチオ)フェニルビス(4−メトキシフェニル)スルホニウム、4−(フェニルチオ)フェニルジ−p−トリルスルホニウム、[4−(4−ビフェニリルチオ)フェニル]−4−ビフェニリルフェニルスルホニウム、[4−(2−チオキサントニルチオ)フェニル]ジフェニルスルホニウム、ビス[4−(ジフェニルスルホニオ)フェニル]スルフィド、ビス〔4−{ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]スルホニオ}フェニル〕スルフィド、ビス{4−[ビス(4−フルオロフェニル)スルホニオ]フェニル}スルフィド、ビス{4−[ビス(4−メチルフェニル)スルホニオ]フェニル}スルフィド、ビス{4−[ビス(4−メトキシフェニル)スルホニオ]フェニル}スルフィド、4−(4−ベンゾイル−2−クロロフェニルチオ)フェニルビス(4−フルオロフェニル)スルホニウム、4−(4−ベンゾイル−2−クロロフェニルチオ)フェニルジフェニルスルホニウム、4−(4−ベンゾイルフェニルチオ)フェニルビス(4−フルオロフェニル)スルホニウム、4−(4−ベンゾイルフェニルチオ)フェニルジフェニルスルホニウム、7−イソプロピル−9−オキソ−10−チア−9,10−ジヒドロアントラセン−2−イルジ−p−トリルスルホニウム、7−イソプロピル−9−オキソ−10−チア−9,10−ジヒドロアントラセン−2−イルジフェニルスルホニウム、2−[(ジ−p−トリル)スルホニオ]チオキサントン、2−[(ジフェニル)スルホニオ]チオキサントン、4−(9−オキソ−9H−チオキサンテン−2−イル)チオフェニル−9−オキソ−9H−チオキサンテン−2−イル フェニルスルホニウム、4−[4−(4−tert−ブチルベンゾイル)フェニルチオ]フェニルジ−p−トリルスルホニウム、4−[4−(4−tert−ブチルベンゾイル)フェニルチオ]フェニルジフェニルスルホニウム、4−[4−(ベンゾイルフェニルチオ)]フェニルジ−p−トリルスルホニウム、4−[4−(ベンゾイルフェニルチオ)]フェニルジフェニルスルホニウム、5−(4−メトキシフェニル)チアアンスレニウム、5−フェニルチアアンスレニウム、5−トリルチアアンスレニウム、5−(4−エトキシフェニル)チアアンスレニウム、5−(2,4,6−トリメチルフェニル)チアアンスレニウムなどのトリアリールスルホニウム;ジフェニルフェナシルスルホニウム、ジフェニル4−ニトロフェナシルスルホニウム、ジフェニルベンジルスルホニウム、ジフェニルメチルスルホニウムなどのジアリールスルホニウム;フェニルメチルベンジルスルホニウム、4−ヒドロキシフェニルメチルベンジルスルホニウム、4−メトキシフェニルメチルベンジルスルホニウム、4−アセトカルボニルオキシフェニルメチルベンジルスルホニウム、4−ヒドロキシフェニル(2−ナフチルメチル)メチルスルホニウム、2−ナフチルメチルベンジルスルホニウム、2−ナフチルメチル(1−エトキシカルボニル)エチルスルホニウム、フェニルメチルフェナシルスルホニウム、4−ヒドロキシフェニルメチルフェナシルスルホニウム、4−メトキシフェニルメチルフェナシルスルホニウム、4−アセトカルボニルオキシフェニルメチルフェナシルスルホニウム、2−ナフチルメチルフェナシルスルホニウム、2−ナフチルオクタデシルフェナシルスルホニウム、9−アントラセニルメチルフェナシルスルホニウムなどのモノアリールスルホニウム;ジメチルフェナシルスルホニウム、フェナシルテトラヒドロチオフェニウム、ジメチルベンジルスルホニウム、ベンジルテトラヒドロチオフェニウム、オクタデシルメチルフェナシルスルホニウムなどのトリアルキルスルホニウムなどが挙げられる。
ヨードニウムイオンの具体例としては、ジフェニルヨードニウム、ジ−p−トリルヨードニウム、ビス(4−ドデシルフェニル)ヨードニウム、ビス(4−メトキシフェニル)ヨードニウム、(4−オクチルオキシフェニル)フェニルヨードニウム、ビス(4−デシルオキシ)フェニルヨードニウム、4−(2−ヒドロキシテトラデシルオキシ)フェニルフェニルヨードニウム、4−イソプロピルフェニル(p−トリル)ヨードニウムおよび4−イソブチルフェニル(p−トリル)ヨードニウムなどのヨードニウムイオンが挙げられる。
上記の一般式(C−1)で表されるオニウムボレート塩のアニオン構造としては、たとえば、以下化学式(a−1)〜(a−9)で表されるものが好ましく例示できる。
Figure 2021084986
本発明の光硬化性樹脂組成物は、ラジカル重合開始剤(D)として、光などの活性エネルギー線を照射したときにラジカル重合性有機化合物(B)のラジカル重合を開始させ得る重合開始剤のいずれもが使用でき、例えば、ベンジルまたはそのジアルキルアセタール系化合物、フェニルケトン系化合物、アセトフェノン系化合物、ベンゾインまたはそのアルキルエーテル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、チオキサントン系化合物などを挙げることができる。
具体的には、ベンジルまたはそのジアルキルアセタール系化合物としては、例えば、ベンジルジメチルケタール、ベンジル−β−メトキシエチルアセタールなどを挙げることができる。
フェニルケトン系化合物としては、例えば、1−ヒドロキシ−シクロヘキシルフェニルケトンなどを挙げることができる。
また、アセトフェノン系化合物としては、例えば、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシメチル−1−フェニルプロパン−1−オン、4′−イソプロピル−2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオフェノン、p−ジメチルアミノアセトフェノン、p−tert−ブチルジクロロアセトフェノン、p−tert−ブチルトリクロロアセトフェノン、p−アジドベンザルアセトフェノンなどを挙げることができる。
そして、ベンゾイン系化合物としては、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインノルマルブチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテルなどを挙げることができる。
また、ベンゾフェノン系化合物としては、例えば、ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、ミヒラースケトン、4,4′−ビスジエチルアミノベンゾフェノン、4,4′−ジクロロベンゾフェノンなどを挙げることができる。
そして、チオキサントン系化合物としては、例えば、チオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−エチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントンなどを挙げることができる。
本発明では、1種または2種以上のラジカル重合開始剤(D)を所望の性能に応じて配合して使用することができる。
そのうちでも、本発明ではラジカル重合開始剤(D)として、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンが、光造形して得られる立体造形物の強度、耐熱性がすぐれており、反応性も良好で、しかも得られる立体造形物の色相が良好(黄色度が小さいなど)である点から好ましく用いられる。
本発明の光硬化性樹脂組成物は、光硬化性能、造形速度、得られる立体造形物の寸法安定性、力学的特性などの点から、カチオン重合性有機化合物(A)およびラジカル重合性有機化合物(B)を、カチオン重合性有機化合物(A):ラジカル重合性有機化合物(B)=30:70〜90:10、更には50:50〜90:10、特に60:40〜90:10の重量比で含有することが好ましい。
また、本発明の光硬化性樹脂組成物は、カチオン重合開始剤(C)をカチオン重合性有機化合物(A)の重量に基づいて0.1〜10重量%、特に1〜5重量%の割合で含有し、ラジカル重合開始剤(D)をラジカル重合性有機化合物(B)の重量に基づいて0.1〜10重量%、特に1〜5重量%の割合で含有することが好ましい。
本発明の光硬化性樹脂組成物は、場合によりポリアルキレンエーテル系化合物を含有することができ、ポリアルキレンエーテル系化合物を含有していると、得られる立体造形物の靭性が向上して、丈夫で破損しにくくなる。
ポリアルキレンエーテル系化合物としては、特に下記の一般式(E)で表されるポリアルキレンエーテル系化合物[以下「ポリアルキレンエーテル系化合物(E)」という]が好ましく用いられる。
Q−O−(R20−O−)q−(R21−O−)r−Q’ (E)
[式中、R20およびR21は互いに異なる直鎖状または分岐状の炭素数2〜5のアルキレン基、QおよびQ’はそれぞれ独立して水素原子、アルキル基、フェニル基、アセチル基またはベンゾイル基を示し、qおよびrはそれぞれ独立して0または1以上の整数(但しqとrの両方が同時に0にはならない)を示す。]
上記の一般式(E)で表されるポリアルキレンエーテル系化合物(E)において、qおよびrの両方が1以上の整数で且つqとrの合計が3以上である場合には、オキシアルキレン単位(アルキレンエーテル単位):−R20−O−およびオキシアルキン単位(アルキレンエテール単位):−R21−O−はランダム状に結合していてもよいし、ブロック状に結合してもよいし、またはランダム結合とブロック状結合が混在していてもよい。
上記のポリアルキレンエーテル系化合物(E)において、R20およびR21の具体例としては、エチレン基、n−プロピレン基、イソプロピレン基、n−ブチレン基(テトラメチレン基)、イソブチレン基、tert−ブチレン基、直鎖状または分岐状のペンチレン基[例えば−CHCHCHCHCH−,−CHCHCH(CH)CH−など]など]などを挙げることができる。そのうちでも、R20およびR21は、エチレン基、n−プロピレン基、イソプロピレン基、n−ブチレン基(テトラメチレン基)、n−ペンチレン基、式:−CHCHCH(CH)CH−で表される分岐状のペンチレン基のいずれかであることが好ましい。
また、上記のポリアルキレンエーテル系化合物(E)において、QおよびQ’の具体例としては、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、フェニル基、アセチル基、ベンゾイル基などを挙げることができ、そのうちでもQおよびQ’の少なくとも一方、特に両方が水素原子であることが好ましい。QおよびQ’の少なくとも一方が水素原子であると、ポリアルキレンエーテル系化合物(E)を含有する光硬化性樹脂組成物に活性エネルギー線を照射して硬化した際に、ポリアルキレンエーテル系化合物(F)の両端の水酸基がカチオン重合性有機化合物やラジカル重合開始剤などと反応して、ポリアルキレンエーテル系化合物(E)が硬化した樹脂中で結合した状態になり、耐衝撃性などの特性がより向上する。
上記のポリアルキレンエーテル系化合物(E)において、オキシアルキレン単位の繰り返し数を示すq及びrは、ポリアルキレンエーテル系化合物の数平均分子量が500〜10,000、特に500〜5,000の範囲内になるような数であることが好ましい。
上記のポリアルキレンエーテル系化合物(E)の好適な例としては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリエチレンオキサイド−ポリプロピレンオキサイドブロック共重合体、エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドのランダム共重合体、式:−CHCHCH(R22)CHO−(式中R22は低級アルキル基であり、好ましくはメチルまたはエチル基)で表されるアルキル置換基を有するオキシテトラメチレン単位(アルキル置換基を有するテトラメチレンエーテル単位)が結合したポリエーテル、前記オキシテトラメチレン単位と前記した式:−CHCHCH(R23)CHO−(式中R23は低級アルキル基)で表されるアルキル置換基を有するオキシテトラメチレン単位がランダムに結合したポリエーテルなどを挙げることができる。島部は前記したポリアルキレンエーテル系化合物の1種または2種以上からなっていることができる。そのうちでも、数平均分子量が上記した500〜10,000の範囲にあるポリテトラメチレングリコールおよび/またはテトラメチレンエーテル単位と式:−CHCHCH(R23)CHO−(式中R23は低級アルキル基)で表されるアルキル置換基を有するテトラメチレンエーテル単位がランダムに結合したポリエーテルが好ましく用いられ、その場合には、吸湿性が低くて寸法安定性や物性の安定性に優れる光造形物を得ることができる。
本発明の光硬化性樹脂組成物がポリアルキレンエーテル系化合物を含有する場合は、ポリアルキレンエーテル系化合物の含有量は、光硬化性樹脂組成物の全重量に対して0.5〜30重量%であることが好ましく、1〜20重量%であることがより好ましく、1〜15重量%であることが更に好ましい。また、前記含有量を超えない範囲で、同時に2種類以上のポリアルキレンエーテル系化合物を含有していてもよい。
本発明の光硬化性樹脂組成物は、場合により炭素数4〜10のアルキレンジオール[以下「アルキレンジオール(F)」という]を含有していてもよく、アルキレンジオール(F)を含有すると、光硬化性樹脂組成物を用いて得られる立体造形物の靭性が良好になり、しかも希釈剤(粘度低下剤)となり、光硬化性樹脂組成物の造形性が向上する。
炭素数4〜10のアルキレンジオール(F)としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、エプタンジオール、オクタンジオール、ノナンジオール、デカンジオールを挙げることができ、これらの1種または2種以上を用いることができる。そのうちでも、1,6−ヘキサンジオールが、光硬化性能の点から好ましく用いられ、光硬化性樹脂組成物が炭素数4〜10のアルキレンジオール(F)を含有する場合は、光硬化性樹脂組成物の全重量に基づいて、炭素数4〜10のアルキレンジオール(F)を0.3〜10重量%の割合で含有することが好ましく、0.5〜5重量%の割合で含有することがより好ましい。アルキレンジオール(F)の含有量が多すぎると、光造形して得られる立体造形物の熱変形温度が低くなり、耐熱性が低下するので望ましくない。
本発明の光硬化性樹脂組成物は、紫色染料および青色染料から選ばれる少なくとも1種の染料[以下「染料(G)」という]を更に含有することができる。本発明の光硬化性樹脂組成物は紫色染料および青色染料から選ばれる少なくとも1種の染料(G)を含有していても含有しなくてもよいが、紫色染料および青色染料から選ばれる少なくとも1種の染料(G)の適切少量を含有させることによって、光造形して得られる立体造形物の高い透明性を維持しながら、黄色度を一層低減させることができ、それによって無色透明性に一層優れる立体造形物を得ることができる。
紫色染料および青色染料から選ばれる染料(G)としては、光硬化性樹脂組成物の光硬化感度を低減させず、且つ得られる立体造形物の透明性を損なわない紫色染料および/または青色染料であればいずれも使用でき、例えば、メチルバイオレット10B、メチルバイオレット2B(クリスタルバイオレット)、紫色染料I[1,3−ジオキソインダン−2−イリデン)(カルボキシメチル)(ヒドロキシオキシラトホスフィニルメチル)イミニウム]、紫色401号、青色1号(ブリリアントブルーFCF)、青色2号(インジゴカーミン)、ポテントブルーVIなどを挙げることができる。
本発明の光硬化性樹脂組成物は、紫色染料のみを含有していてもよいし、青色染料のみを含有していてもよいし、または紫色染料と青色染料の両方を含有していてもよい。
光硬化性樹脂組成物に紫色染料および青色染料から選ばれる少なくとも1種の染料(G)を含有させる場合の含有量は、光硬化性樹脂組成物の重量に基づいて0.02〜5ppmであることが好ましく、0.1〜1ppmであることがより好ましい、染料(G)の含有量が多すぎると、光造形して得られる立体造形物の色調が紫色になり、無色透明になりにくくなる。また、また、紫色染料および青色染料から選ばれる染料(G)ではなくて、紫色顔料および/または青色顔料を用いると、立体造形物の透明性が低下する。
本発明の光硬化性樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない限り、必要に応じて、消泡剤、レベリング剤、増粘剤、難燃剤、酸化防止剤、改質用樹脂などの1種または2種以上を適量含有していてもよい。
本発明の光硬化性樹脂組成物を用いて光学的に立体造形を行うに当たっては、従来既知の光学的立体造形方法および装置のいずれもが使用できる。好ましく採用され得る光学的立体造形法の代表例としては、液状をなす本発明の光硬化性樹脂組成物に所望のパターンを有する硬化層が得られるように活性エネルギー線を選択的に照射して硬化層を形成し、次いでこの硬化層に未硬化の液状光硬化性樹脂組成物を供給し、同様に活性エネルギー光線を照射して前記の硬化層と連続した硬化層を新たに形成する積層操作を繰り返すことによって最終的に目的とする立体的造形物を得る方法を挙げることができる。
その際の活性エネルギー線としては、上述のように、紫外線、電子線、X線、放射線、高周波などを挙げることができる。そのうちでも、300〜400nmの波長を有する紫外線が経済的な観点から好ましく用いられ、その際の光源としては、紫外線レーザー(例えば半導体励起固体レーザー、Arレーザー、He−Cdレーザーなど)、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、低圧水銀ランプ、キセノンランプ、ハロゲンランプ、メタルハライドランプ、紫外線LED(発光ダイオード)、紫外線蛍光灯などを使用することができる。
光硬化性樹脂組成物よりなる造形面に活性エネルギー線を照射して所定の形状パターンを有する各硬化樹脂層を形成するに当たっては、レーザー光などのような点状に絞られた活性エネルギー線を使用して点描または線描方式で硬化樹脂層を形成してもよいし、または液晶シャッターまたはデジタルマイクロミラーシャッター(DMD)などのような微小光シャッターを複数配列して形成した面状描画マスクを通して造形面に活性エネルギー線を面状に照射して硬化樹脂層を形成させる造形方式を採用してもよい。
本発明の光硬化性樹脂組成物の具体的な用途としては、塗料、コーティング剤、各種被覆材料(ハードコート、耐汚染被覆材、防曇被覆材、耐触被覆材、光ファイバー等)、粘着テープの背面処理剤、粘着ラベル用剥離シート(剥離紙、剥離プラスチックフィルム、剥離金属箔等)の剥離コーティング材、印刷板、歯科用材料(歯科用配合物、歯科用コンポジット)インキ、インクジェットインキ、ポジ型レジスト(回路基板、CSP、MEMS素子等の電子部品製造の接続端子や配線パターン形成等)、レジストフィルム、液状レジスト、ネガ型レジスト(半導体素子及びFPD用透明電極(ITO,IZO、GZO)等の表面保護膜、層間絶縁膜、平坦化膜等の永久膜材料等)、MEMS用レジスト、ポジ型感光性材料、ネガ型感光性材料、各種接着剤(各種電子部品用仮固定剤、HDD用接着剤、ピックアップレンズ用接着剤、FPD用機能性フィルム(偏向板、反射防止膜等)用接着剤、回路形成用および半導体封止用絶縁フィルム、異方導電性接着剤(ACA)、フィルム(ACF)、ペースト(ACP)等)、ホログラフ用樹脂、FPD材料(カラーフィルター、ブラックマトリックス、隔壁材料、ホトスペーサー、リブ、液晶用配向膜、FPD用シール剤等)、光学部材、成形材料(建築材料用、光学部品、レンズ)、注型材料、パテ、ガラス繊維含浸剤、目止め材、シーリング材、フリップチップ、COF等のチップ封止材、CSPあるいはBGA等のパッケージ用封止材、光半導体(LED)封止材、光導波路材料、ナノインプリント材料、光造形用、及びマイクロ光造形用材料等が挙げられる。
特に得られた硬化物は強度、弾性特性、耐衝撃性、靭性などの力学的特性、耐熱性及び透明性に優れるため、光造形用途(光学的立体造形用樹脂用途、光学的立体造形用放射線硬化性液状樹脂用途)に最適である。
以下に本発明を実施例によって具体的に説明するが、本発明は実施例に何ら限定されるものではない。なお、以下特記しない限り、部は重量部、%は重量%を意味する。
以下の例中、光硬化性樹脂組成物の粘度、光硬化性樹脂組成物を用いて光造形して得られた光造形物の力学的特性[引張り特性(引張破断強度、引張破断伸度、引張弾性率)、曲げ特性(曲げ強度、曲げ弾性率)、衝撃強度]、熱変形温度および透明性(外観)の測定は、次のようにして行なった。
(1)光造形物の引張り特性(引張破断強度、引張破断伸度、引張弾性率):
以下の実施例または比較例で作製した光造形物(JIS K−7113に準拠したダンベル形状の試験片)を用いて、株式会社島津製作所のオートグラフ「AGS−10kNX」を使用して、JIS K−7113にしたがって、試験片の引張破断強度(引張強度)、引張破断伸度(引張伸度)および引張弾性率を測定した。
(2)光造形物の曲げ特性(曲げ強度、曲げ弾性率):
以下の実施例または比較例で作製した光造形物(JIS K−7171に準拠したバー形状の試験片)を用いて、JIS K−7171にしたがって、試験片の曲げ強度および曲げ弾性率を測定した。
(3)光造形物の衝撃強度:
株式会社安田精機製作所の衝撃試験機「No.258−D」を使用して、JIS K−7110に準じて、ノッチ付きでアイゾット衝撃強度を測定した。
(4)光造形物の熱変形温度:
以下の実施例または比較例で作製した光造形物(JIS K−7171に準拠したバー形状の試験片)を用い、株式会社安田精機製作所のヒートデストーションテスター「No.148−HDPC3」を使用して、試験片に1.81MPaの荷重を加えてJIS K−7207(A法)に準拠して試験片の熱変形温度を測定し、さらに試験片に0.45MPaの荷重を加えてJIS K−7207(B法)に準拠して試験片の熱変形温度を測定した。
(5)透明性(外観):
以下の実施例または比較例で作製した光造形物を用い、色相を目視で評価した。評価基準は下記の通り。
(評価基準)
◎:無色(黄変なし)
○:淡黄色〜黄色
×:褐色
(合成例1)オニウムボレート塩(C−1a)の合成
CPI−110P(10部、19mmol)(サンアプロ社製)、10%Naボレート水溶液(140部、20mmol)及びジクロロメタン75.6部を混合し、30分撹拌した。分液操作により水層を除去し、ジクロロメタン層を水(12.4部)及びメタノール(30.3部)の混合溶媒で3回洗浄した後、ジクロロメタン層をロータリーエバポレーターに移して、溶媒を留去し、白色固体を得た。
Figure 2021084986
<光硬化性樹脂組成物の調整−1>
(実施例1〜2及び比較例1)
(1)カチオン重合性有機化合物(A)、ラジカル重合性有機化合物(B)、カチオン重合開始剤(C)を50重量%の濃度で含有するかつオン重合開始剤溶液、ラジカル重合開始剤(D)、ポリアルキレンエーテル系化合物(E)、アルキレンジオール(F)および染料(G)を表1に示した配合量で均一混合して、光硬化性樹脂組成物を得た。
(2)上記(1)で得られた光硬化性樹脂組成物を用いて、ガラス基板に塗布した後、ガラス基板に紫外線照射装置を用いて、フィルターによって波長を限定した紫外光を照射した(500mJ/cm)。なお、フィルターは365フィルター(アイグラフィックス株式会社製、365nm未満の光をカットするフィルター)を使用した。照射後、100℃で2時間加熱して後硬化させ、物性測定用の試験片(JIS K−7113に準拠したダンベル形状の試験片とJIS K−7171に準拠したバー形状の試験片、JIS K−7110に準拠したアイゾット衝撃試験用の試験片)、透明性(外観)用の5mm厚の試験片を作製した。
後硬化後の試験片を用いて力学的特性、熱変形温度および透明性(外観)を上記した方法で測定した。
その結果を下記の表1に示す。
Figure 2021084986
A−1:3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート(株式会社ダイセル製「Cel−2021P」)
A−2b:[2−[4−(2,3−エポキシプロポキシ)フェニル]−2−[4−[1,1−ビス[4−([2,3−エポキシプロポキシ]フェニル]エチル]フェニル]プロパン](株式会社プリンテック製「VG3101L」)
A−3:水素化ビスフェノールAジグリシジルエーテル(新日本理化株式会社製「HBE−100」)
A−4:3−エチル−3−ヒドロキシメチルキセタン(東亞合成株式会社製「OXT101」)
A−5:ビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル(東亞合成株式会社製「OXT221」)
A−6:1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル(ナガセケムテックス株式会社製「EX−212」)
B−1:ジペンタエリスリトールペンタアクリレート(新中村化学工業株式会社製「A−9550W」)
B−2:ラウリルアクリレート(新中村化学工業株式会社製「NKエステル−LA」)
C−2:トリアリールスルホニウム塩(サンアプロ株式会社製「CPI−110P」)
D−1:1−ヒドロキシ−シクロヘキシルフェニルケトン(BASF社製「イルガキュア−184」)
E−1:ポリテトラメチレンエーテルグリコール(保土谷化学株式会社製「PTG−850SN」)
F−1:1,6−ヘキサンジオール
G−1:メチルバイオレット10B(和光純薬工業株式会社製「クリスタルバイオレット」)
表1の結果より、本発明によって得られる、オニウムボレート塩からなるカチオン重合開始剤を含有する光硬化性樹脂組成物は、有毒なアンチモン系のカチオン重合開始剤を含有しないため、安全性および取り扱い性に優れており、靭性に優れていて丈夫で破損しにくく、さらに高い熱変形温度を有していて耐熱性に優れる立体造形物を製造することができ、しかも光硬化感度が高くて、短縮された光造形時間で立体造形物を生産性良く製造することができ、更に寸法精度、その他の力学的特性、耐熱性及び透明性などにも優れるので、光硬化性樹脂組成物として極めて有用である。
塗料、コーティング剤、各種被覆材料(ハードコート、耐汚染被覆材、防曇被覆材、耐触被覆材、光ファイバー等)、粘着テープの背面処理剤、粘着ラベル用剥離シート(剥離紙、剥離プラスチックフィルム、剥離金属箔等)の剥離コーティング材、印刷板、歯科用材料(歯科用配合物、歯科用コンポジット)インキ、インクジェットインキ、ポジ型レジスト(回路基板、CSP、MEMS素子等の電子部品製造の接続端子や配線パターン形成等)、レジストフィルム、液状レジスト、ネガ型レジスト(半導体素子及びFPD用透明電極(ITO,IZO、GZO)等の表面保護膜、層間絶縁膜、平坦化膜等の永久膜材料等)、MEMS用レジスト、ポジ型感光性材料、ネガ型感光性材料、各種接着剤(各種電子部品用仮固定剤、HDD用接着剤、ピックアップレンズ用接着剤、FPD用機能性フィルム(偏向板、反射防止膜等)用接着剤、回路形成用および半導体封止用絶縁フィルム、異方導電性接着剤(ACA)、フィルム(ACF)、ペースト(ACP)等)、ホログラフ用樹脂、FPD材料(カラーフィルター、ブラックマトリックス、隔壁材料、ホトスペーサー、リブ、液晶用配向膜、FPD用シール剤等)、光学部材、成形材料(建築材料用、光学部品、レンズ)、注型材料、パテ、ガラス繊維含浸剤、目止め材、シーリング材、フリップチップ、COF等のチップ封止材、CSPあるいはBGA等のパッケージ用封止材、光半導体(LED)封止材、光導波路材料、ナノインプリント材料、光造形用、及びマイクロ光造形用材料等が挙げられる。
特に得られた硬化物は強度、弾性特性、耐衝撃性、靭性などの力学的特性、耐熱性及び透明性に優れるため、光造形用途(光学的立体造形用樹脂用途、光学的立体造形用放射線硬化性液状樹脂用途)に最適である。

Claims (9)

  1. カチオン重合性有機化合物(A)、ラジカル重合性有機化合物(B)、カチオン重合開始剤(C)およびラジカル重合開始剤(D)を含有する光硬化性樹脂組成物であって;
    カチオン重合開始剤(C)として、下記の一般式(C−1)で表されるオニウムボレート塩を含有することを特徴とする光硬化性樹脂組成物。
    [(R5n+1−E] [ (R1)( R2)( R3)( R4)B] (C−1)
    [式(C−1)中、R〜Rは、互いに独立して、炭素数1〜18のアルキル基またはArであるが、但し、少なくとも1つが、Arであり、
    Arは、炭素数6〜14(以下の置換基の炭素数は含まない)のアリール基であって、アリール基中の水素原子の一部が、炭素数1〜18のアルキル基、ハロゲン原子が置換した炭素数1〜8のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、炭素数2〜18のアルキニル基、炭素数6〜14のアリール基、ニトロ基、水酸基、シアノ基、−ORで表されるアルコキシ基若しくはアリールオキシ基、RCO−で表されるアシル基、RCOO−で表されるアシロキシ基、−SRで表されるアルキルチオ基若しくはアリールチオ基、−NR1011で表されるアミノ基、又はハロゲン原子で置換されていてもよく、R〜Rは炭素数1〜8のアルキル基又は炭素数6〜14のアリール基、R10及びR11は水素原子、炭素数1〜8のアルキル基又は炭素数6〜14のアリール基であり;
    Eは15族〜17族(IUPAC表記)の原子価nの元素を表し、nは1〜3の整数であり、RはEに結合している有機基であり、Rの個数はn+1であり、(n+1)個のRはそれぞれ互いに同一であっても異なっても良く、2個以上のRが互いに直接または-O-、-S-、-SO-、-SO-、-NH-、-CO-、-COO-、-CONH-、アルキレン基もしくはフェニレン基を介して元素Eを含む環構造を形成しても良い。]
  2. 上記の一般式(C−1)における、EがS、I、N又はPである請求項1に記載の光硬化性樹脂組成物。
  3. 上記の一般式(C−1)における、R、R、R、Rがパーフルオロアルキル基又はフッ素原子で置換されたフェニルである請求項1又は2に記載の光硬化性樹脂組成物。
  4. 上記の一般式(C−1)における、R、R、R、Rがペンタフルオロフェニル基又はビス(トリフルオロメチル)フェニル基である請求項1〜3のいずれか1項に記載の光硬化性樹脂組成物。
  5. 上記の一般式(C−1)における、[ (R)( R)( R)( R)B]で表されるボレートアニオンが[B(C4]又は、[B((CF4]である請求項1〜4のいずれか1項に記載の光硬化性樹脂組成物。
  6. オキセタン化合物を、カチオン重合性有機化合物(A)の重量に基づいて、1〜35重量%の割合で含有する請求項1〜5のいずれか1項に記載の光硬化性樹脂組成物。
  7. カチオン重合性有機化合物(A):ラジカル重合性有機化合物(B)の含有割合が30:70〜90:10(重量比)であり、カチオン重合開始剤(C)をカチオン重合性有機化合物(A)の重量に基づいて0.1〜10重量%の割合で含有し、ラジカル重合開始剤(D)をラジカル重合性有機化合物(B)の重量に基づいて0.1〜10重量%の割合で含有する請求項1〜6のいずれか1項に記載の光硬化性樹脂組成物。
  8. 紫色染料および青色染料から選ばれる少なくとも1種の染料を、光硬化性樹脂組成物の全重量に基づいて、0.02〜5ppmの量でさらに含有する請求項1〜7のいずれか1項に記載の光硬化性樹脂組成物。
  9. 請求項1〜8のいずれか1項に記載の光硬化性樹脂組成物を用いて光学的立体造形を行って立体造形物を製造する方法。
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