JPH0523129A - 固型化植物ペースト及びその製造方法 - Google Patents

固型化植物ペースト及びその製造方法

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JPH0523129A
JPH0523129A JP3203543A JP20354391A JPH0523129A JP H0523129 A JPH0523129 A JP H0523129A JP 3203543 A JP3203543 A JP 3203543A JP 20354391 A JP20354391 A JP 20354391A JP H0523129 A JPH0523129 A JP H0523129A
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昌市 桜下
Fujihiko Shibutami
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 被加工植物を細断して得られたペーストと、
該ペースト中の水分を結晶水として含有する塩類とから
成る固型化植物ペースト。このものは、被加工植物を細
断して得られたペーストに、結晶水を保持しうる塩類の
無水物を添加し、該ペースト中の水分を塩類の結晶水と
して封鎖してペーストを固化させることにより、製造す
ることができる。 【効果】 長期間にわたって変質することなく保存しう
る上、少量の水を加えるだけでただちに使用することが
でき、かつ製造コストが低く、食品、医薬品、化粧品な
どの分野において好適に用いられる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、新規な固型化植物ペー
スト及びその製造方法に関するものである。さらに詳し
くいえば、本発明は、長期間にわたって変質することな
く保存しうる上、少量の水を加えるだけでただちに使用
することができ、例えば食品、医薬品、化粧品などの分
野で有用な固型化植物ペースト及びこのものを効率よく
製造する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、薬用や食用などに供する有用植物
は、温室栽培などにより通年栽培され、季節に関係なく
提供されるようになってきている。しかしながら、この
ような温室栽培植物は露地栽培植物に比べて品質に劣
り、商品価値が低くなるのを免れない。またわさびや茶
木のように温室栽培に不向きな植物もあり、このため、
薬用や食用などに供せられる植物の中で、かなりのもの
が露地栽培されている。
【0003】ところで、露地栽培植物は一定期間に収穫
の時期が限定されているのに対し、その需要は季節に限
定されないことが多く、したがって、該需要に対応する
には、一定期間に収穫された植物又はその加工品を通年
保存しておくことが必要となる。
【0004】生鮮植物の場合、低温保存法や脱エチレン
保存法など、種々の有効な保存法が知られているが、加
工品、中でも大根おろし、練りわさび、あるいは草餅な
どの菓子類に用いられるよもぎ葉や茶葉のペーストな
ど、微小に細断されたペースト状加工品の場合、香気の
散逸や酸敗など変質が生じやすく、生鮮植物に比べて保
存が困難である。
【0005】これまで、このようなペースト状に加工さ
れた植物の保存法としては従来(1)乾燥保存法、
(2)冷凍保存法、(3)密閉保存法(缶詰、レトルト
など)などが行われているが、(1)の乾燥保存法は、
変質の原因となる水分を除去する方法であって、古くか
ら用いられているが、乾燥速度を速めるために加熱する
と、むしろ変質が促進されることが多く、また乾燥によ
って風味が著しくそこなわれたり、全く別の風味を生じ
るなどの欠点を有している。また、カードドライ法、ス
プレイドライ法、凍結乾燥法など、新しい乾燥方式も試
みられているが、カードドライ法やスプレイドライ法に
おいては、乾燥を促進するための接触面積の拡大システ
ムそのものが品質変化を促進させる傾向があるし、一方
凍結乾燥においては、低温処理のため変質は一応抑えら
れるものの、吸引操作による揮発性成分の喪失が免れな
い。
【0006】前記(2)の冷凍保存法は、品質保持の面
からは良好な方法であるといえるが、使用時の解凍に時
間を要し、かつ固型成分の分離が起こりやすい上、冷凍
保存装置の管理維持に多額の費用を要し、しかも解凍使
用残品を再び凍結しても著しく品質の劣化をもたらし、
再使用に供することができないなどの欠点を有してい
る。
【0007】一方、缶詰やレトルトなどの密閉保存方法
は、完全殺菌及び完全密閉が行われなければならなら
ず、いずれか一方が不十分な場合でも腐敗が起こり、ま
た、一旦開封すると全品を速やかに使用しなければ腐敗
するので、少量単位の厳重梱包とならざるをえず、経済
的に不利である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明はこのような事
情のもとで、長期間にわたって変質することなく保存し
うる上、使用が簡単で、かつ経済的に有利であって、例
えば食品、医薬品、化粧品分野などにおいて好適に用い
られる固型化植物ペーストを提供することを目的として
なされたものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは長期間にわ
たって変質することなく保存することができ、かつ使用
が簡単で経済的に有利な固型化植物ペーストを開発すべ
き鋭意研究を重ねた結果、被加工植物を細断して得られ
たペーストに、結晶水を保持しうる塩類の無水物を添加
し、ペースト中の水分を塩類の結晶水として封鎖するこ
とにより固化された固型化植物ペーストは、長期間にわ
たって変質することなく保存しうる上、少量の水を加注
するだけでただちに使用することができ、かつ製造コス
トが低く、前記目的に適合しうることを見出し、この知
見に基づいて本発明を完成するに至った。
【0010】すなわち、本発明は、被加工植物を細断し
て得られたペーストと、該ペースト中の水分を結晶水と
して含有する塩類とから成る固型化植物ペーストを提供
するものである。
【0011】本発明に従えば、前記固型化植物ペースト
は、被加工植物をペースト状に細断したのち、これに結
晶水を保持しうる塩類の無水物を添加し、該ペースト中
の水分を塩類の結晶水として封鎖してペーストを固化さ
せることにより、製造することができる。
【0012】本発明において用いられる被加工植物につ
いては、食用や薬用に供される植物で、摩砕によりペー
ストとなるものであればよく特に制限されず、例えばだ
いこん、にんじん、きゅうり、わさび、よもぎ葉、茶葉
などを用いることができる。
【0013】これらの植物をペースト状に摩砕する方法
としては、少量製造する場合には、包丁でたたくか、お
ろし金や乳鉢を使用する方法などが用いられ、多量に製
造する場合には高速で回転するチョッパーを利用する方
法などが有利である。また、摩砕は、通常常温で行われ
るが、必要に応じ、加熱して行うこともできる。
【0014】このようにして、被加工植物を微小に摩砕
してペーストを作製したのち、このペーストに結晶水を
保持しうる塩類の無水物を添加するが、この塩類の無水
物としては、吸水反応が急激であると植物組織が破壊さ
れるおそれがあるので、吸水反応が比較的ゆるやかで、
かつ吸水量が相対的に多く、しかも人体に対して無害な
ものが望ましい。
【0015】このようなものとしては、例えば無水硫酸
ナトリウムや無水酢酸ナトリウムが好適である。硫酸ナ
トリウムは1分子中に10分子の結晶水を保持すること
ができ、一方酢酸ナトリウムは1分子中に3分子の結晶
水を保持することができる。また、これらはいずれも食
品添加物として認可されている。該固型化植物ペースト
を食用目的に供する場合には、わずかな苦味を有するも
のの、呈味性の少ない無水酢酸ナトリウムの使用が有利
である。
【0016】これらの塩類の無水物は、該ペースト中の
水分に対して、化学量論的な量より若干過剰に用いるの
が望ましい。また、この際、該ペーストに、所望に応じ
糖質、アミノ酸、香料、色素などを添加することができ
る。
【0017】前記ペーストに塩類の無水物を添加する
と、該無水物がペースト中の水に溶解し、発熱が起こ
り、この発熱が完了した時点でペーストが固化するの
で、流動性を有している間に、所望の型枠の中にペース
トを流し込み、固化させる。この際、まず周辺部から固
化が生じるので、一部固化しはじめたペーストをヘラな
どを用いて平坦にならすことが望ましい。
【0018】また、固型化ペーストの形状については特
に制限はなく、そのまま砕いて使用しうる板チョコ状で
あってもよいし、粉粒状に粉砕しやすい形状であっても
よく、用途に応じて型枠を適宜選べばよい。
【0019】このようにして、被加工植物を摩砕して得
られたペーストと、該ペースト中の水分を結晶水として
含有する塩類とから成る固型化植物ペーストが得られ
る。
【0020】
【発明の効果】本発明の固型化植物ペーストは、被加工
植物を摩砕して得られたペーストに、結晶水を保持しう
る塩類の無水物を添加し、ペースト中の水分を塩類の結
晶水として封鎖することにより、固化されたものであっ
て、長期間にわたって変質することなく保存しうる上、
少量の水を加注するだけでただちに使用することがで
き、かつ製造コストが低いなどの特徴を有し、例えば食
品、医薬品、化粧品などの分野において好適に用いられ
る。また、本発明によると、これまでの粉砕方法では微
粉末にすることができなかった、しなやかな植物性繊維
でも容易に微粉化することができる。
【0021】
【実施例】次に、実施例により本発明をさらに詳細に説
明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定され
るものではない。
【0022】実施例1 新鮮なきゅうり(含有水分量96.3wt%)1,00
0gをよく洗浄し、D‐グルコース65gを加えてチョ
ッパーでペースト状に粉砕したのち、これに無水硫酸ナ
トリウム800gを加えて混合したところ、発熱して均
質なペーストが得られた。次いでこのペーストを型枠に
流し込み、放冷、固化させたのち、型枠から取り出し、
クラッシャーで粒状に粉砕した。この粒状の固型化植物
ペースト30gをスプーンでガーゼに取り、噴霧器で湿
潤させて咽喉の外用シップ薬を調製した。
【0023】実施例2 わさび根部(含有水分量78.7wt%)1,000g
をよく洗い、チョッパーでペースト状に粉砕したのち、
これに無水酢酸ナトリウム1,250gを加えてよく混
合し、次いで、このペーストを流動性を有している間に
板チョコ状型枠に流し込み、固化させ、板状の固型化植
物ペーストを作製した。この板状の固型化植物ペースト
の一片約3gを小皿に割り取って、醤油を加注し、生食
用魚肉片のつけ汁であるわさび醤油を調製した。
【0024】実施例3 よもぎ葉1,000gをよく水洗し、脱水してから電子
レンジで5分間加熱して蒸煮し(含有水分量87.6w
t%)、D‐グルコース80gを加えてチョッパーで細
断したのち、これに無水酢酸ナトリウム1,400gを
加えて混合し、次いでこのペーストを型枠に流し込んで
冷却固化させた。次に、固型化物を型枠から取り出し粉
砕機で粒状に粉砕して、粒状の固型化植物ペーストを作
製した。この粒状の固型化植物ペーストを餅に3重量%
程度混合してつき上げ、草餅を作製した。
【0025】試験例1 実施例1で得られた固型化おろしきゅうり加工品と天然
のおろしきゅうり及び実施例3で得られた固型化よもぎ
ペーストと天然のよもぎペーストとの経時による品質変
化の比較を求めた。その結果を表1に示す。
【表1】
【0026】表1から分かるように、天然品の無加工お
ろしきゅうり及びよもぎペーストは、いずれも120時
間経過後完全に腐敗したが、本発明の加工品は、120
時間経過しても、いずれも少量の水でもどすと加工前の
状態となんら異なることがなかった。
【0027】試験例2 実施例1で得られた固型化おろしきゅうり加工品と天然
のおろしきゅうり冷凍品及び実施例3で得られた固型化
よもぎペーストと天然のよもぎペーストをそのまま冷凍
したものとの品質の変化を、香気、腐敗、分離の3点で
比較した。この結果を表2に示す。
【表2】 表2から分かるように、本発明の加工品は、いずれも冷
凍品に比べて品質保持の面において若干優れている。
【0028】本発明の加工品は常温保存であるので、冷
凍品に比べて維持管理上優れており、また冷凍品は解凍
して使用に供した残品を再凍結しても再使用に耐えうる
品質を維持することは困難であるが、本発明の加工品は
必要量だけ必要な時に任意に使用しうるというメリット
がある。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 被加工植物を摩砕して得られたペースト
    と、該ペースト中の水分を結晶水として含有する塩類と
    から成る固型化植物ペースト。
  2. 【請求項2】 被加工植物をペースト状に摩砕したの
    ち、これに、結晶水を保持しうる塩類の無水物を添加
    し、該ペースト中の水分を塩類の結晶水として封鎖して
    ペーストを固化させることを特徴とする請求項1記載の
    固型化植物ペーストの製造方法。
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Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN103404662A (zh) * 2013-08-14 2013-11-27 杨振东 一种淮山药保健袋泡茶及其制备方法
CN103404665A (zh) * 2013-08-19 2013-11-27 北京绿源求证科技发展有限责任公司 一种保护胃黏膜的食品养生茶冲剂
CN103404668A (zh) * 2013-08-19 2013-11-27 北京绿源求证科技发展有限责任公司 一种滋阴润肺的食品养生茶冲剂
CN103404640A (zh) * 2013-07-26 2013-11-27 袁伟中 一种扶肝养胃茶及其制备方法
CN103404672A (zh) * 2013-08-28 2013-11-27 北京绿源求证科技发展有限责任公司 一种滋阴润肺的食品养生茶冲剂
CN103444958A (zh) * 2013-09-06 2013-12-18 四川大学 微纳米枣仁百合安神茶冲剂及其制备方法

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