JPH0523102Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は自動車用シートなどに付設されるアー
ムレストにおいてアームレスト本体を覆うアーム
レストの表皮構造に関するものである。

（従来の技術） 自動車用シートに付設されるアームレストは、
アームレスト本体をシートバツク本体に取付けた
後に袋状の表皮で覆うものと、袋状に形成した表
皮で先にアームレスト本体を覆つてからシートバ
ツク本体に取付けるものとがある。

後者では、第５図に示すように袋状に形成した
表皮ａに、アームレスト本体ｂの図示しないシー
トバツク本体に対する取付部ｃ用の取付用開口部
ｄを設けると共に、アームレスト基端部にアーム
レスト本体ｂに被着する際の被着用開口部ｅを設
け、この両衝合辺間にスライドフアスナｆを取付
けて前記被着用開口部ｅを閉止するようにしたも
の（従来例１）がある。

前者では、第６図に示すように表皮ａの取付用
開口部ｄからアームレスト基端部にかけて被着用
開口部ｇを設け、且つ被着用開口部ｇの前記取付
用開口部ｄ以外の両重ね面間に面フアスナｈを設
けることにより、前記被着用開口部ｇのアームレ
スト基端部の部位を閉止するようにしたもの（従
来例２）がある。

（考案が解決しようとする課題） しかし上記従来例１，２では何れも車室内に露
呈するアームレスト基端部に被着用開口部が位置
するため、表皮の表面意匠が損なわれ、且つスラ
イドフアスナや面フアスナなど表皮と異なる部材
が前記被着用開口部での見栄えの悪さを際立たせ
るという問題がある。

又従来例１，２の表皮を基本的に構成する表皮
材が２枚の側面用表皮材a₁，a₂及び１枚の周面用
表皮材a₃の外余分に最低２枚a₄，a₅必要で、表皮
材点数やその縫合工程の増加に伴いコストアツプ
するという問題もある。

更に従来例１では、アームレスト本体ｂをシー
トバツク本体にボルト締めなどで取付けた後、取
付作業用の開口部ｉをキヤツプ材ｊで隠す必要が
あるが、このキヤツプ材ｊも前記表皮ａの表面意
匠を損なうという問題がある。

本考案は上記問題点に鑑み、アームレスト基端
部に被着用開口部を設けることなくアームレスト
本体に被着することができ、しかも表皮材の点数
増加を抑えることができるアームレストの表皮構
造を提供することを目的とする。

（課題を解決するための手段） 本考案は上記目的を達成するため、シートバツ
ク本体の外側面にアームレスト本体の基部内側面
を間〓を置いて対向させた状態で、アームレスト
本体をシートバツク本体に取付手段を介して取付
け、アームレスト本体の全周を覆うように袋状に
形成されると共に前記取付手段を挿通させるため
の取付用開口部が開設され、かつ被着用開口部を
備えたアームレスト表皮を、前記被着用開口部を
利用してアームレスト本体に被着したシートにお
けるアームレストの表皮構造において、アームレ
スト表皮の基部内側面に被着用開口部を兼ねる取
付用開口部を設け、この取付用開口部の周囲の少
なくとも一部分を伸縮布で形成し、この取付用開
口部をアームレスト本体が通される大きさに拡大
可能に構成したことを特徴とする。

（作用） 上記構成によれば、取付用開口部の縁部を伸縮
布で形成しているので、この取付用開口部をアー
ムレスト本体が通される大きさに拡大することに
より、表皮をシートバツク本体に取付けられたア
ームレスト本体に被着することができる。被着
後、この取付用開口部は元の大きさに復帰する。
前記伸縮布は取付用開口部の縁部に位置し、シー
トバツク本体との間に隠れてしまうので外部に露
呈せず、表皮の表面意匠を損なわない。

又取付用開口部を利用してアームレスト本体が
通される被着用開口部を得ることができ、被着用
開口部自体が不要なので、表皮を基本的に構成す
る表皮材の点数は側面用表皮材２枚及び周面用表
皮材１枚の３枚でよく、従つて表皮材点数やその
縫合工程の増加に伴うコストアツプを回避するこ
とができる。尚、本考案の表皮はシートバツク本
体に取付けた後のアームレスト本体に被着するの
で、従来例１のような取付作業のための開口部や
この開口部を隠すキヤツプ材も不要である。

（実施例） 第１図ないし第４図は、本考案を自動車用シー
トのシートバツク本体１に起伏回動可能に支持さ
れるアームレスト本体２を覆うアームレストの表
皮構造に適用した実施例を示している。

アームレスト本体２を覆うレザー製の表皮３
は、第２図に示すように、アームレスト本体２の
両側を覆う側面用表皮材３ａ，３ｂとその周面を
覆う周面用表皮材３ｃとを備えている。前記側面
用表皮材３ａ，３ｂの内、シートバツク本体１側
に配される側面用表皮材３ａには、アームレスト
本体２のシートバツク本体１への取付部（取付手
段）４に対向する部位、すなわち表皮３の基部内
側面に取付用開口部５が設けられている。これら
表皮材３ａ，３ｂ，３ｃは周辺部で夫々縫合され
ている。

側面用表皮材３ａの前記取付用開口部５のアー
ムレスト基端側の縁部は、ゴムを編込んだ伸縮布
６で形成されている。そしてこの伸縮布６の部位
を引き伸ばすことにより、前記取付用開口部５の
大きさを拡大することができ、アームレスト本体
２を通して袋状表皮３の内部に入れることが可能
となる。伸縮布６は上下両辺部で側面用表皮材３
ａに縫着され、アームレスト基端側辺部は前記周
面用表皮材３ｃに縫着されている。

アームレスト本体２は、第４図に示すように、
断面形状のアームレストフレーム７がアームレ
ストパツド８で被覆されてなる。アームレストフ
レーム７の前記取付部４に、アームレスト本体２
をシートバツク本体１に取付ける取付ボルト９の
挿通孔１０が設けられている。尚、１１はこの取
付ボルト９をボルト締めするときの作業穴、１２
はワツシヤ、１３は樹脂ブツシユである。

一方、シートバツク本体１はシートバツクフレ
ーム１４を被覆するシートバツクパツド１５が表
皮１６で覆われてなつている。このシートバツク
フレーム１４に、アームレスト本体２が取付けら
れる取付ブラケツト１７を溶着固定している。取
付ブラケツト１７には前記取付ボルト９が螺合す
るウエルドナツト１８が固定されている。又取付
ブラケツト１７の上部背面側部位（第３図参照）
に位置決めピン１９が側方に向けて突設されてい
る。この位置決めピン１９は、前記アームレスト
フレーム７に固設されたストツパプレート２０に
当接してアームレスト本体２の起伏回動の規制を
行う。

以上の構成において表皮３をアームレスト本体
２に被着するには、先ずアームレスト本体２を、
その基部内側面がシートバツク本体１の外側面に
間〓を置いて対向する状態で、取付ボルト９を用
いて取付ける（第３図、第４図参照）。次に表皮
３の取付用開口部５を前記アームレスト本体２の
先端部に当てがい、取付用開口部５の大きさを拡
大する。このとき取付用開口部５の縁部に位置す
る伸縮布６が引き伸ばされるので、前記取付用開
口部５を通してアームレスト本体２をその先端部
から袋状表皮３の内部に入り込ませることができ
る。そして表皮３をアームレスト本体２に被せな
がら、取付用開口部５がアームレスト本体２の取
付部４に対応する位置まで引き寄せる。このよう
にして表皮３をアームレスト本体２に被着するこ
とができる。

被着後、前記取付用開口部５は元の大きさに復
帰し、シートバツク本体１との間に隠れる。従つ
てアームレストが例伏位置（第３図実線）にあつ
てアームレスト基端部が後方から見える場合で
も、表皮３の周面用表皮材３ｃの縫合部２１（第
１図参照）が見えるだけで、表皮３の表面意匠を
損なうことはない。

本考案は上記実施例に示す外、種々の態様に構
成することができる。

上記実施例では、取付用開口部の基端側の縁部
を伸縮布で形成しているが、シートバツク本体と
の間で隠れる部位であれば取付用開口部の縁部の
任意の部位を伸縮布で形成することができる。従
つて縁部全体を伸縮布で形成することも可能であ
る。又上記実施例では本考案を起伏回動式のアー
ムレストに適用しているが、本考案を固定式のア
ームレストに適用してもよい。

尚、アームレスト本体、シートバツク本体、表
皮などの具体的構成は上記実施例に示すものに限
定されず、適宜設計することができるのは勿論で
ある。例えば表皮を構成する表皮材の形状や点数
は、アームレスト本体の形状や意匠目的などに応
じて設定することができる。

（考案の効果） 本考案によれば、アームレストの表面意匠を損
なうことがなく、しかもコストアツプを招かない
アームレストの表皮構造を提供することができ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の実施例を示すアームレストの
基端部側から見た斜視図、第２図は表皮の分解斜
視図、第３図はアームレストの起伏回動を示す側
面図、第４図は第３図の−断面図、第５図は
従来例１の斜視図、第６図は従来例２の斜視図で
ある。 １……シートバツク本体、２……アームレスト
本体、３……表皮、４……取付部、５……取付用
開口部、６……伸縮布。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. シートバツク本体の外側面にアームレスト本体
   の基部内側面を間〓を置いて対向させた状態で、
   アームレスト本体をシートバツク本体に取付手段
   を介して取付け、アームレスト本体の全周を覆う
   ように袋状に形成されると共に前記取付手段を挿
   通させるための取付用開口部が開設され、かつ被
   着用開口部を備えたアームレスト表皮を、前記被
   着用開口部を利用してアームレスト本体に被着し
   たシートにおけるアームレストの表皮構造におい
   て、アームレスト表皮の基部内側面に被着用開口
   部を兼ねる取付用開口部を設け、この取付用開口
   部の周囲の少なくとも一部分を伸縮布で形成し、
   この取付用開口部をアームレスト本体が通される
   大きさに拡大可能に構成したことを特徴とするア
   ームレストの表皮構造。