JPH0343109Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は車輌、特に自動二輪車のシート構造に
関する。

（従来技術及びその問題点） 車輌、特に自動二輪車等はその構造上シートが
露出しているため、美観上その表皮に縫合部を形
成し、ミシン糸等によつて表皮を互いに縫合する
ようにしたものが多い。

このようにシートの表皮に縫合部を形成する例
においては従来、第３図に示すように底板１上に
載置されたクツシヨン本体２を、連続する凹凸模
様を着座部にもつ表皮３と、該表皮３の着座部裏
面側から弾性部材４を保持する内皮５と、前記表
皮３と共に縫合部Ａを形成する表皮６とによつて
被覆している。この縫合部Ａは一般にシートの側
面所定箇所に全周に亘つて形成される。

ところで自動二輪車等においては、前述のよう
にシートが露出する構造であるため、シートが直
接雨水にさらされ、シートの表皮上に降つた雨水
が前記縫合部Ａの糸の縫い目等からシート内に浸
入するおそれがある。このため、ビニールシート
等から成る防水カバー７を前記内皮５、表皮３及
び６とクツシヨン本体２との間に装着して、クツ
シヨン本体２への雨水の浸入防止を図つている。

しかしながらかかる従来例においては、防水の
ための専用部品として防水カバーを使用するので
部品点数を多く必要とし、そのためシート内部の
構造が複雑化し、製造工程数も増え、コスト高に
もなつていた。また内皮５を外皮３に高周波溶着
等によつて取付けるため、組付性も悪いという不
具合があつた。

（考案の目的） 本考案は上記事情に鑑みてなされたもので、部
品点数を低減して構造を簡略化し、製造工程数を
低減し、組付性を向上させた安価な自動二輪車の
シート構造を提供することを目的とする。

（考案の概要） 上記目的を達成するために本考案においては、
シート形状に形成されたクツシヨン本体を表皮と
内皮とによつて被覆し、表皮はシート外周で縫合
部を有し、内皮は前記表皮の裏面に弾性部材を表
皮裏面側から被覆する自動二輪車のシート構造に
おいて、前記内皮の周縁を前記表皮に沿わせて延
長させ、前記クツシヨン本体を一体的に覆うよう
にした構成とするものである。

（考案の実施例） 以下本考案の一実施例を添付図面に基づいて説
明する。

第１図は自動二輪車のシートの外観を示す図
で、このシート１０は第２図に示すように底板１
１、底板１１上に載置されるクツシヨン本体１
２、クツシヨン本体１２を覆う内皮１３、該内皮
１３を覆う外皮１４，１５、内皮１３と外皮１４
とによつて囲繞される弾性部材１６等により構成
されている。底板１１は硬質の合成樹脂部材で形
成されており、クツシヨン本体１２は略シート１
０形状をなし、ウレタン等の合成樹脂部材で形成
されている。

内皮１３はクツシヨン本体１２の表面を一体的
且つ全面的に覆つて配設されている。内皮１３の
上面１３ａは凹凸が交互に連続形成されるパター
ン模様を形成している。内皮１３の側面１３ｂの
下端１３ｃは後述するように底板１１の周縁１１
ａに沿つて上方に巻き上げられて当該周縁１１ａ
に全周に亘り周接される。

外皮１４はビニール等の合成樹脂部材で形成さ
れ、内皮１３の上方及び側方を一体的に覆うよう
に配設されている。外皮１４の上面１４ａは着座
面をなし、該着座面１４ａは内皮１３の上面に形
成された前記凹凸部に対応して、内皮１３の凹部
対応箇所には凸部が、凸部対応箇所には凹部が
夫々形成され、内皮１３の凸部上面と外皮１４の
凹部下面とは溶着等の手段により溶着接合されて
いる。この外皮１４と内皮１３との凹凸部によつ
て形成される間隙には、搭乗者の乗り心地を良く
するために、スポンジ等の極めて変形しやすい弾
性部材１６が包含されている。外皮１４の側面１
４ｂは内皮１３の側面１３ｂの上半略1/2を全周
に亘つて覆つている。

外皮１５は外皮１４と同質部材から成り、内皮
１３の下半略1/2を全周に亘つて覆つている。こ
の外皮１５の上端１５ａ近傍は全周に亘つて内側
へ折曲されてヘミング部を形成し、該ヘミング部
と表皮１４の側面１４ｂの下端１４ｃとによつて
縫合部Ｂが形成されている。

縫合部Ｂにおいては、外皮１５の折り返し部分
の外側面と外皮１４の下端１４ｃの外側面とを当
接させ、まず外皮１５のヘミング部の折り返し部
分基部１５ｂと該基部１５ｂに対応する外皮１４
の下端１４ｃ近傍の所定箇所とを堅牢なミシン糸
２０によつて縫合し、次に外皮１５のヘミング部
と外皮１４の下端１４ｃとを外方から堅牢なミシ
ン糸２１によつて縫合し、外皮１４と外皮１５と
を縫合固定している。

上述のように、縫合部Ｂにおいてはミシン糸２
１の縫い目及び縫穴が外部に露出しているが、前
述した通り内皮１３がクツシヨン本体１２を一体
的且つ全面的に覆つていることにより、逢合部Ｂ
のミシン糸２１による縫い目から雨水等がシート
１０内に浸入しても、クツシヨン本体１２が浸入
水にされされることはない。

外皮１５の下端１５ｃは止め具１８の一端１８
ａに堅牢な糸２２によつて縫合固定され、底板１
１の周縁１１ａに沿つて内皮１３の下端１３ｃと
一体的に上方に巻き上げられ、該止め具１８の他
端１８ｂは後述する止め金２３によつて底板１１
の周縁１１ａの下部に押圧されている。この止め
具１８の略中央は止め金２３によつて底板１１の
周縁１１ａに固着され、内皮１３の下端１３ｃは
底板１１の周縁１１ａと外皮１５の下端１５ｃと
の間に圧着挾持される。。これにより、内皮１３
及び外皮１５の各下端１３ｃ，１５ｃが共に底板
１１の周縁１１ａに一体的に固着される。外皮１
４と外皮１５とは縫合部Ｂによつて縫合固着され
ているため、外皮１４，１５及び内皮１３は一体
的に底板１１に固着される。なお、止め具１８の
他端１８ｂは糸２４によつて折曲部を形成して厚
肉とされ、該折曲部が底板１１の周縁１１ａに押
圧され密着性の向上が図られている。

（考案の効果） 以上詳述したように本考案によれば、シート形
状に形成されたクツシヨン本体を表皮と内皮とに
よつて被覆し、表皮はシート外周で縫合部を有
し、内皮は前記表皮の裏面に弾性部材を表皮裏面
側から被覆する自動二輪車のシート構造におい
て、前記内皮の周縁を前記表皮に沿わせて延長さ
せ、前記クツシヨン本体を一体的に覆うようにし
たので、部品点数が低減でき、構造が簡略化され
るため製造工程数が低減し、組付性の向上、コス
トダウン等の効果がある。また縫合部をどこに設
けても同一の内部構造で同一の防水効果が容易に
得られる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係るシートの外観図、第２図
は本考案に係るシートの要部断面図、第３図はシ
ートの従来例を示す要部断面図である。 １０……シート、１２……クツシヨン本体、１
３……内皮、１４，１５……外皮、１６……弾性
部材、Ｂ……縫合部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. シート形状に形成されたクツシヨン本体を表皮
   と内皮とによつて被覆し、表皮はシート外周で縫
   合部を有し、内皮は前記表皮の裏面に弾性部材を
   表皮裏面側から被覆する自動二輪車のシート構造
   において、前記内皮の周縁を前記表皮に沿わせて
   延長させ、前記クツシヨン本体を一体的に覆うよ
   うにしたことを特徴とする自動二輪車のシート構
   造。