JPH05219978A - 核酸関連物質の酵素的製造法及びそれに使用する酵素調製物 - Google Patents

核酸関連物質の酵素的製造法及びそれに使用する酵素調製物

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JPH05219978A
JPH05219978A JP4027903A JP2790392A JPH05219978A JP H05219978 A JPH05219978 A JP H05219978A JP 4027903 A JP4027903 A JP 4027903A JP 2790392 A JP2790392 A JP 2790392A JP H05219978 A JPH05219978 A JP H05219978A
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enzyme
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Toshitada Noguchi
利忠 野口
Takeshi Marumo
剛 丸茂
Kiyoshi Okuyama
潔 奥山
Yuichiro Midorikawa
祐一朗 緑川
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Yamasa Shoyu KK
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Yamasa Shoyu KK
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 核酸関連物質を酵素的に製造する方法、及び
その製造法に使用する酵素調製物が提供される。 【構成】 ポリヌクレオチドあるいはイノシン、2’,
3’−ジデオキシイノシンなどの核酸関連物質の製造に
不可欠な酵素、例えばポリヌクレオチドホスホリラーゼ
あるいはアデノシンデアミナーゼなどを組換えDNA手
法により微生物内で大量に調製し、該微生物から得られ
る酵素調製物を用いて核酸関連物質を製造することによ
り、ポリヌクレオチドあるいはイノシン、2’,3’−
ジデオキシイノシンなどの核酸関連物質を大量にかつ工
業的に有利に製造することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、核酸関連物質を酵素的
に製造する方法であって、組換えDNA手法により合成
目的の核酸関連物質の製造に不可欠な酵素を微生物内で
大量に調製し、該微生物から得られる酵素調製物を用い
る核酸関連物質の製造法、及びその製造法に使用する酵
素調製物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】アデニン、グアニン、ウラシル、チミ
ン、ヒポキサンチン、アデノシン、グアノシン、イノシ
ン、チミジン、ウリジン、アデニル酸、イノシン酸、グ
アニル酸、ADP、ATP、3’−アジドチミジン(A
ZT)、2’,3’−ジデオキシイノシン(DDI)、
2’,3’−ジデオキシアデノシン(DDA)、3’−
デオキシ−2’,3’−ジデヒドロチミジン(DH
T)、9−(β−D−アラビノフラノシル)アデニン
(araA)、ポリイノシン酸(polyI)、ポリシ
チジル酸(polyC)、ポリアデニル酸(poly
A)などの化合物に代表される核酸関連物質は、種々の
生理活性物質の合成原料として重要であるばかりでな
く、それ自体医薬品として開発され、既に市販されてい
るものもある。このため、核酸関連物質を工業的な規模
で大量に収率よく製造する方法を確立することは産業上
極めて有益であり、この方面の研究も数多く報告されて
いる。たとえば、ポリヌクレオチドとDDIとを例に挙
げ、現在まで報告された研究の概要を説明する。
【0003】A.ポリヌクレオチド ポリヌクレオチドは、1955年にオチアヨらにより初
めて実験室的に合成され、その後この物質が種々の生理
活性を有することが明らかとなった。特に、インターフ
ェロン産生誘導能の証明は、この物質の医薬品としての
開発を加速させた。ポリヌクレオチドの合成法として
は、化学的方法と酵素的方法の2種類の方法が考えられ
る。しかし、ポリヌクレオチドはモノヌクレオチドの重
合体であるため、現在の技術レベルから考えて経済的な
大量製造に化学的合成法を適用することは困難である。
【0004】また、ポリヌクレオチドを酵素的に合成す
る際に使用するポリヌクレオチドホスホリラーゼは微生
物に広く存在することが知られており、ポリヌクレオチ
ド合成時に使用する酵素調製物としては微生物由来のも
のを用いるのが有利である。このため、ポリヌクレオチ
ドの工業的製造に適した微生物のスクリーニングが多く
の研究者によって行われた。たとえば、1975年に六
川らは、ヌクレアーゼ、ヌクレオシド二りん酸分解酵素
などのポリヌクレオチド合成阻害酵素の活性が微弱でポ
リヌクレオチドホスホリラーゼ活性の比較的高い菌株、
Achromobactersp. KR170-4 を見いだし、これを報告し
ている(Agric. Biol. Chem., 39, 1455(1975))。しか
しながら、該菌株は、ポリヌクレオチドホスホリラーゼ
の生産性が低く、ポリヌクレオチドの工業的製造に応用
できるような最適な酵素源とはなり得ない。また、該菌
株より調製した酵素を用いてポリウリジル酸やポリグア
ニル酸を合成することは困難であった。
【0005】大腸菌のポリヌクレオチドホスホリラーゼ
は基質特異性が広く、種々のポリヌクレオチド合成に有
用であることが知られている。しかし、該酵素の菌体内
における存在量は極めて少なく、ポリヌクレオチド合成
阻害酵素も酵素抽出液中にかなり混在するため、ポリヌ
クレオチドの製造に好適な高度に精製されたポリヌクレ
オチドホスホリラーゼを大量に調製することは困難であ
った。このような理由から、大腸菌由来のポリヌクレオ
チドホスホリラーゼを用いてポリヌクレオチドを工業的
に大量に製造しようとする試みは行われていない。
【0006】Portier らは大腸菌ポリヌクレオチドホス
ホリラーゼをコードするpnp 遺伝子のプラスミドへのク
ローン化を行い、ポリヌクレオチドホスホリラーゼの生
産量の増大を試みた結果、親株の約10〜20倍程度の
ポリヌクレオチドホスホリラーゼの生産性の向上が認め
られたことを報告している(Chem. Abst., 99, 51863k
(1982) )。しかし、この程度生産量を上昇させたとし
てもポリヌクレオチドの製造において従来法では得られ
ない技術上のメリットをもたらすものではなく、また、
この組換え菌から酵素標品を調製する簡便な手法が確立
されていないなどの理由により、組換え菌を用いたポリ
ヌクレオチドの製造法は実用化までには至っていない。
【0007】B.DDI DDIは、強い坑ウイルス活性を有し、インフルエンザ
ウイルス、エイズウイルスなどに起因するウイルス性疾
患の治療薬として期待されている。2’,3’−ジデオ
キシヌクレオシドを合成する方法としては、化学的な合
成法と酵素的な合成法の2種類の方法が知られている。
化学的な合成法は、反応工程が長かったり、合成収率が
低いといった問題点を有し、必ずしも満足できる方法で
はない。また、酵素的合成法としては、たとえば、微生
物菌体中のヌクレオシドホスホリラーゼを用いてDD
I、DDAなどの2’,3’−ジデオキシヌクレオシド
を製造する方法が知られている(特開昭62−1498
93号)が、DDIの合成収率が低いという欠点を有し
ていた。
【0008】この欠点を克服するため、動物臓器由来の
アデノシンデアミナーゼを用いて、比較的収率よく調製
できるDDAをDDIに変換する試みもなされている
(WebbII, R. R., et al., Nucleoside and Nucleotide
s, 7, 147(1988); Beach, C.M., et al., Nucleoside
and Nucleotides, 10, 1499 (1991) )が、酵素源が動
物であるため供給量およびコスト面での問題が残る。ま
た、DDAをDDIに変換する活性を有する微生物を培
養し、その洗浄生菌体を用いてDDAをDDIに変換す
る方法も報告されているが(特開平2−291291
号)、大量の生菌体を必要とするなど、工業的レベルで
のDDIの製造に最適のものではなかった。
【0009】また、微生物菌体からアデノシンデアミナ
ーゼを抽出し、これをDDAからDDIに変換する反応
に適用しようとしても、該酵素の菌体内における存在量
は極めて少なく、得られる粗酵素液にはアデノシンデア
ミナーゼのほかにヌクレオシダーゼ、ヌクレオシドホス
ホリラーゼなどの副反応を触媒する酵素も含有されてい
るため、DDIの製造に好適な高度に精製されたアデノ
シンデミナーゼを大量に調製することは困難であった。
【0010】
【本発明が解決しようとする課題】上述のように、核酸
関連物質を酵素的に製造しようとする場合、合成目的の
核酸関連物質の種類に関係なく、(1)菌体内に存在す
る合成目的の核酸関連物質の製造に不可欠な酵素の量が
十分でない、(2)微生物から抽出した粗酵素液には好
ましくない副反応を触媒する酵素がかなり混在し、この
ままでは酵素調製物として使用できない、(3)核酸関
連物質の製造に不可欠な酵素は菌体内酵素である場合が
ほとんどであり、これらの酵素を高度に精製するのが非
常に困難である、などの共通する問題を有し、核酸関連
物質を大量に製造する方法として必ずしも満足できるも
のではなかった。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上述した
核酸関連物質の酵素的製造法に共通する問題を克服し、
核酸関連物質を工業的に大量に製造する方法を開発すべ
く鋭意研究を行った。その結果、組換えDNA手法を用
いて合成目的の核酸関連物質の製造に不可欠な酵素を人
為的に大量発現させることにより宿主微生物内に目的の
酵素を大過剰に蓄積させ、この形質転換体から簡便な方
法で核酸関連物質の製造に好適な酵素調製物を大量に調
製できることを発見した。さらに、このようにして得た
酵素調製物を核酸関連物質の製造に用いると、極めて収
率よく、かつ短時間に目的とする核酸関連物質を合成で
きることを知見し、本発明を完成させた。
【0012】したがって、本発明は下記の工程からなる
核酸関連物質の酵素的製造法に関するものである。 (A)合成目的の核酸関連物質の製造に不可欠な酵素の
遺伝子をクローニングし、該遺伝子の発現が高効率で起
こるように適当な発現制御シグナルと連結して発現ベク
ターを構築する工程; (B)A工程で得られたベクターを用いて微生物を形質
転換する工程; (C)B工程で得られた形質転換体を当該微生物が増殖
可能な培地中で増殖させ、さらにクローニングした酵素
の遺伝子の発現を誘導して合成目的の核酸関連物質の製
造に不可欠な酵素が菌体内に大量に蓄積するまで培養を
行う工程; (D)C工程で培養を終えた菌体を回収し、合成目的の
核酸関連物質の製造に不可欠な酵素を抽出、精製して酵
素調製物を調製する工程;および (E)D工程で得られた酵素調製物を用いて合成目的の
核酸関連物質を製造する工程
【0013】また、本発明は下記の工程から調製され
る、核酸関連物質の酵素的製造法に使用する酵素調製物
に関するものである。 (A)合成目的の核酸関連物質の製造に不可欠な酵素の
遺伝子をクローニングし、該遺伝子の発現が高効率で起
こるように適当な発現制御シグナルと連結して発現ベク
ターを構築する工程; (B)A工程で得られたベクターを用いて微生物を形質
転換する工程; (C)B工程で得られた形質転換体を当該微生物が増殖
可能な培地中で増殖させ、さらにクローニングした酵素
の遺伝子の発現を誘導して合成目的の核酸関連物質の製
造に不可欠な酵素が菌体内に大量に蓄積するまで培養を
行う工程;および (D)C工程で培養を終えた菌体を回収し、合成目的の
核酸関連物質の製造に不可欠な酵素を抽出、精製して酵
素調製物を調製する工程
【0014】本明細書において、「核酸関連物質」とは
ある特定の化合物を指称するものではなく、核酸塩基、
ヌクレオシド、ヌクレオチド、ポリヌクレオチド、およ
びそれらの化合物から誘導されることが知られている、
あるいはこれから知られるであろう化合物群を総称した
ものである。また、「核酸関連物質の製造に不可欠な酵
素」とは、たとえばアデノシンデアミナーゼ、ポリヌク
レオチドホスホリラーゼ、ヌクレオシドホスホリラー
ゼ、ヌクレオシダーゼ、ヌクレオシドオキシダーゼなど
のように核酸関連物質に作用して他の化合物に変換する
ことのできる酵素を総称したものである。
【0015】本発明の方法を実施するに際し、合成目的
の核酸関連物質、その製造に不可欠な酵素及び原料化合
物の最適な組合せを設定することが必要である。たとえ
ば、合成目的の核酸関連物質がポリヌクレオチドの場
合、ポリヌクレオチドの製造に不可欠な酵素と原料化合
物はポリヌクレオチドホスホリラーゼとヌクレオシド二
りん酸になる。また、合成目的の核酸関連物質がDDI
の場合、DDIの製造に不可欠な酵素としてアデノシン
デアミナーゼを使用すれば、原料化合物はDDAとな
り、酵素としてヌクレオシドホスホリラーゼを使用すれ
ば、原料化合物はヒポキサンチンと2’,3’−ジデオ
キシヌクレオシドもしくは2,3−ジデオキシリボース
−1−りん酸となる。このように、合成目的の核酸関連
物質、その製造に不可欠な酵素、及び原料化合物の三者
を照らし合わせて最も合理的な組合せを合目的的に選択
すればよい。
【0016】以下、本発明方法を工程順に説明する。 1.A工程 A工程は、合成目的の核酸関連物質の製造に不可欠な酵
素の遺伝子をクローニングし、該遺伝子の発現が高効率
で起こるように適当な発現制御シグナルと連結して発現
ベクターを構築する工程である。遺伝子をクローニング
する際の対象微生物は特に限定されないが、後述のB工
程で宿主として使用する微生物と同じものを対象にす
る、いわゆるセルフクローニングが本発明では有利であ
る。酵素をコードする遺伝子が既にクローン化され、そ
の一次構造が明らかとなっている場合、該遺伝子の塩基
配列と相補的な塩基配列を持つオリゴデオキシヌクレオ
チドを合成し、それをプローブとして、微生物の染色体
から常法により当該酵素の遺伝子をクローン化すること
ができる。また、ポリメラーゼ連鎖反応(以後、PCR
と略称する)によりクローン化することも可能である。
さらに、報告されたDNA塩基配列に基づき該遺伝子を
化学的に合成することもできる。酵素をコードする遺伝
子の一次構造が不明な場合であっても、必要により酵素
のアミノ酸配列の一部を既知の方法で求め、部分的なア
ミノ酸配列に相当する塩基配列を明らかにすることによ
り、一次構造が知られている場合と同様に酵素の遺伝子
をクローン化することができる。
【0017】クローン化した酵素の遺伝子は、酵素の発
現の人為的制御が可能となるように発現制御シグナル
(転写開始シグナルおよび翻訳開始シグナル)とベクタ
ー上で連結する。本発明者らは、発現量の上昇と後述の
D工程における酵素精製の容易さとの関連に関して研究
した結果、親株より50倍以上、好ましくは100倍以
上発現量を上昇させることにより、後述するようにD工
程における酵素の精製が極めて容易になることを見いだ
した。したがって、発現制御シグナルとしてはクローン
化した酵素遺伝子由来の発現制御シグナルを使用するこ
とも可能であるが、酵素遺伝子の発現量を飛躍的に上昇
させるような強力な転写開始ならびに翻訳開始シグナル
を用いることが望ましい。このような発現制御シグナル
としては、宿主として大腸菌を用いる場合には、lac
ロモーター、trp プロモーター、tac プロモーター(de
r Boer et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 80, 21
(1983) ;Russell and Bennett, Gene, 20, 231 (198
2))などを、宿主として酵母を用いる場合には、グリセ
ルアルデヒド−3−ホスフェート・デヒドロゲナーゼ
(J. Biol. Chem., 254, 9837 (1979))、3−ホスホグ
リセレートキナーゼ(J. Biol. Chem., 255, 2073 (19
80))および抑制性酸性ホスファターゼ(Nucl. Acids Re
s., 11, 1657 (1983))に対するプロモーターなどを例示
することができる。
【0018】ベクターとしては、種々のプラスミドベク
ター、ファージベクターなどが使用可能であるが、微生
物菌体内で複製可能であり、特定の制限酵素切断部位を
有し、菌体内のコピー数の高いプラスミドベクターを使
用するのが望ましい。具体的に宿主として大腸菌を使用
する場合には、pBR322(Boliveret al., Gene, 2, 95(1
975))、pUC18 、pUC19 (Messing, J., Methods in Enz
ymology, 101, 20 (1983))などが例示することができ
る。また、酵母を宿主とする場合には、YEp13(AT
CC 37115)、YEp24(ATCC 37051)などを例示する
ことができる。酵素遺伝子のクローニング、クローニン
グした遺伝子と発現制御シグナルの連結および融合DN
Aをベクターに挿入する方法は、一般の技術者、特に分
子生物学、遺伝子工学の分野に属する技術者にとっては
周知の技術であり、具体的には、例えば「Molecular Cl
oning 」(Maniatisら編、Cold Spring Harbor、New Yo
rk (1982) )に記載の方法に従って行うことができる。
【0019】2.B工程 B工程はA工程で得られたベクターを用いて微生物を形
質転換する工程である。B工程で使用する微生物として
は、安全性が高く扱いやすいものであれば、特に限定さ
れない。たとえば、大腸菌、酵母などDNA組換え操作
に常用されている微生物を使用することができる。その
中でも、大腸菌が取扱い上有利であり、たとえば組換え
DNA実験に使用されるC600菌、JM105 菌、JM105 菌、
MC1061菌などが使用可能である。微生物を形質転換する
方法は既に多くの方法が報告されており、宿主として使
用する微生物の種類に応じて適宜選択すればよい。たと
えば大腸菌を宿主として使用する場合、低温下、塩化カ
ルシウム処理して菌体内にプラスミドを移入する方法
(Mandel and Higa, J. Mol. Biol., 53, 159 (1970)
)により、大腸菌を形質転換することができる。ま
た、酵母を宿主として使用する場合には、プロトプラス
ト法(Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 75,1929 (197
8))、アルカリ金属処理法(J. Bacteriol., 153, 163
(1983) )などの方法を採用することができる。
【0020】3.C工程 C工程は、B工程で得られた形質転換体を当該微生物が
増殖可能な培地中で増殖させ、さらにクローニングした
酵素の遺伝子の発現を誘導して菌体内に該酵素が大量に
蓄積するまで培養を行う工程である。形質転換体の培養
は、炭素源、窒素源などの微生物の増殖に必要な栄養源
を含有する培地を用いて常法に従って行えばよい。たと
えば、宿主として大腸菌を使用した場合、培地としては
2xYT培地(Messing, J., Method in Enzymology,10
0, 20 (1983))、LB培地、M9CA培地(Maniatis
ら、Molecular Cloning、前述)などの大腸菌の培養に
常用されている培地を用い、20〜40℃の培養温度で
必要により通気、撹袢しながら培養することができる。
また、ベクターとしてプラスミドを用いた場合には、培
養中におけるプラスミドの脱落を防ぐために適当な抗生
物質(プラスミドの薬剤耐性マーカーに応じ、アンピシ
リン、テトラサイクリンなど)の薬剤を適当量培養液に
加えて培養する。
【0021】培養中に酵素遺伝子の発現を誘導する必要
がある場合には、用いたプロモーターで常用されている
方法で酵素の発現を誘導する。たとえば、lac プロモー
ターやtac プロモーターを使用した場合には、培養中期
に発現誘導剤であるイソプロピル−β−D−チオガラク
トピラノシド(以下、IPTGと略称する)を適当量培
養液に添加する。また、使用するプロモーターが構成的
に転写活性を有する場合には、特に発現誘導剤を添加す
る必要はない。酵素遺伝子の発現を誘導した後、酵素遺
伝子産物(合成目的の核酸関連物質の製造に不可欠な酵
素)を菌体内に大量に蓄積させるため、さらに数時間培
養を継続する。
【0022】4.D工程 D工程は、C工程で培養を終えた菌体を回収し、合成目
的の核酸関連物質の製造に不可欠な酵素を抽出、精製し
て酵素調製物を調製する工程である。上述したように本
発明の方法においては目的の酵素が微生物菌体内に過剰
量生産されているため、培養して得られた菌体からの目
的とする酵素の調製は極めて簡単である。たとえば、回
収した菌体を適当な緩衝液に懸濁し、超音波処理、フレ
チプレス処理などの方法により物理的に菌体を破壊し、
菌体残渣を除去して得た無細胞抽出液そのものを酵素調
製物として使用することもできる。さらに精製が必要と
される場合であっても、硫酸アンモニウムによる塩析処
理、透析処理、エタノールなどの溶媒処理、各種クロマ
トグラフィー処理などの酵素に精製に通常使用されてい
る処理を単独で、またはせいぜい2種類の処理を組み合
わせただけの簡便な手段で核酸関連物質の合成に好適な
高度に精製された(90%以上)酵素調製物を調製する
ことができる。
【0023】5.E工程 E工程は、D工程で得られた酵素調製物を用いて合成目
的の核酸関連物質を製造する工程である。核酸関連物質
の合成は、使用する酵素の最適条件を予備試験により設
定し、この条件下で原料化合物と酵素を反応させること
により実施することができる。たとえば、大腸菌のポリ
ヌクレオチドホスホリラーゼを用いるポリヌクレオチド
を合成は、反応温度0〜70℃、反応pH7〜12、マ
グネシウムイオン、マンガンイオン、コバルトイオン、
亜鉛イオンなどの二価陽イオン濃度0.1〜50mMの
範囲内から適宜最適条件を選択し、適当な緩衝液にヌク
レオシド二りん酸(原料化合物)、二価陽イオンおよび
酵素調製物を添加し、設定した条件下で反応させること
により行うことができる。反応終了後、合成された核酸
関連物質は、核酸関連物質の精製法として通常使用され
ている方法を適宜組み合わせ、精製単離する。
【0024】
【発明の効果】本発明は、組換えDNA手法を用いて目
的とする酵素を微生物菌体内に過剰量蓄積せしめること
により、簡便な方法で高度に精製された酵素調製物の大
量調製を初めて可能にしたものである。このようにして
得た酵素調製物は、簡便な精製手段であるにもかかわら
ず、高度に精製されたものである。また、酵素調製物中
に副反応を触媒する酵素が存在していたとしても、目的
とする酵素と副反応を触媒する酵素との存在比が格段に
相違するため、核酸関連物質の合成になんら悪影響を及
ぼさない。したがって、核酸関連物質の合成に好適な酵
素調製物を調製するために従来のような煩雑な精製操作
を全く必要としない。このように、本発明は、核酸関連
物質の工業的な大量製造を初めて実用化するものであっ
て、産業上、きわめて有益なものである。
【0025】
【実施例】以下、ポリヌクレオチドホスホリラーゼを用
いたポリヌクレオチドの合成とアデノシンデアミナーゼ
を用いたDDIの合成の2種類の実施例をあげ、本発明
を具体的に説明する。また、本実施例におけるDNAの
調製、制限酵素による切断、T4DNAリガーゼによる
DNA連結、並びに大腸菌の形質転換法は全て「Molecu
lar Cloning」(Maniatisら編、Cold Spring Harbor La
boratory, Cold Spring Harbor, NewYork (1982))に従
って行った。また、制限酵素 BamHI、AmpliTaq DNA
ポリメラーゼ、T4DNAリガーゼ、並びにクローニン
グベクター pUC18は全て宝酒造(株)より入手した。
【0026】実施例1;ポリヌクレオチドホスホリラー
ゼを用いたポリヌクレオチドの製造 (1)大腸菌ポリヌクレオチドホスホリラーゼをコード
する pnp遺伝子のクローニングと発現ベクターpDR-PNP
の構築 大腸菌 K12株C600菌(工業技術院微生物工業研究所寄
託、第8037号)の染色体DNAを斎藤と三浦の方法
(Biochim. Biophis. Acta.,72, 619(1963) )で調製し
た。このDNAをテンペレートとして、以下に示す2種
類のプライマーDNAを合成し、PCR法により大腸菌
pnp遺伝子を増幅した。プライマーDNAは、Gene Ass
embler Plus DNA synthesizer (Pharmacia 社)を用い
て、GeneAssembler Plus Owner's Manual (Pharmacia
社)に従って合成、精製した。
【0027】
【化1】プライマー(A); 5'-ACAGGATCCTACATTGCTTA
ATCCGATCGT-3' プライマー(B); 5'-TATGGATCCTAACAAGGCGTCCTGCCCG
GT-3'
【0028】PCRによるpnp 遺伝子の増幅は、反応液
100μl中〔50mM塩化カリウム、10mMトリス
−塩酸(pH8.3)、1.5mM塩化マグネシウム、
0.001%ゼラチン、テンペレートDNA 0.1μ
g、プライマーDNA(A)(B)各々1.0μM、デ
オキシヌクレオチド三りん酸(dATP、dCTP、d
GTP、dTTP)各々0.2mM、AmpliTaq DNA
ポリメラーゼ2.5ユニット〕をPerkin-Elmer Cetus I
nstrument 社製DNA Thermal Cyclerを用いて、熱変性
(94℃、1分)、アニーリング(55℃、2分)、ポ
リメライゼーション(72℃、3分)のステップを25
回繰り返すことにより行った。遺伝子増幅後、反応液を
フェノール/クロロホルム(1:1)混合液で処理し、
水溶性画分に2倍溶のエタノールを添加しDNAを沈澱
させた。沈澱回収したDNAを文献(Molecular Clonin
g、前述) の方法に従ってアガロースゲル電気永動によ
り分離し、2.2kb相当のDNA断片を精製した。該
DNAを制限酵素BamHIで切断し、制限酵素 BamHIで切
断したプラスミドpDR540(Russell and Bennett, Gene,
20, 231 (1982):Pharmacia 社より入手)とT4DN
Aリガーゼを用いて連結した。連結反応液を用いて大腸
菌JM105 菌(Pharmacia 社より入手)を形質転換し、得
られたアンピシリン耐性形質転換体よりプラスミド pDR
-PNPを調製した。pDR-PNP は、プラスミドpDR540の tac
プロモーター下流の BamHI切断部位に大腸菌pnp 遺伝子
を含有する BamHI DNA断片がその転写方向が tac
ロモーターと一致して挿入されたものである(図1参
照)。
【0029】(2)大腸菌ポリヌクレオチドホスホリラ
ーゼの大量調製 プラスミドpDR-PNP を保持する大腸菌JM105 菌を、10
0μg/mlのアンピシリンを含有する2xYT培地5
00mlに植菌し、37℃で振とう培養した。4x10
8 菌/mlに達した時点で、培養液に集濃度1mMにな
るようにIPTGを添加し、さらに37℃で24時間振
とう培養を続けた。培養終了後、遠心分離(9000
g、10分)により菌体を回収し、60mlの緩衝液
(50mMトリス塩酸(pH7.8)、5mM塩化マグ
ネシウム、10mM 2−メルカプトエタノール)に菌
体を懸濁した。菌体懸濁液を超音波処理することで、菌
体を破壊し遠心分離(20000g、10分)により菌
体残査を除去した。このようにして得られた上清画分を
菌体抽出液とした。菌体抽出液におけるポリヌクレオチ
ドホスホリラーゼ活性を対照菌(pDR540を保持する大腸
菌JM105 菌)と共に下記表に示す。尚、ポリヌクレオチ
ドホスホリラーゼ活性(イノシン二りん酸のポリメライ
ゼーション活性)は、六川らの方法(Agric. Biol.Che
m., 39, 1455 (1975) )に従って測定した。ただし、反
応液組成は50mMトリス塩酸(pH9.0)、9mM
塩化マグネシウム、36mMイノシン二りん酸に変更し
た。下記表から明らかなように、発現ベクター pDR-PNP
保持菌からは対照菌の100倍以上のポリヌクレオチド
ホスホリラーゼの生産が確認された。
【0030】
【表1】 ──────────────────────────────── 菌/プラスミド ポリヌクレオチドホスホリラーゼ活性 ──────────────────────────────── JM105/pDR540 0.02(ユニット/mg蛋白質) ──────────────────────────────── JM105/pDR-PNP 3.17 ──────────────────────────────── 1ユニット=1μmole IDP polymerized/分 (at 37℃)
【0031】得られた菌体抽出液に23gの硫酸アンモ
ニウムを加え、塩析した画分を遠心分離(20000
g、15分)により回収し、さらに緩衝液(50mMト
リス塩酸(pH7.8)、5mM塩化マグネシウム、1
mM 2−メルカプトエタノール)に懸濁し、同じ組成
の緩衝液に対して1晩透析した。この透析内液を粗酵素
調製物とした。粗酵素調製物は、次に50mMトリス塩
酸(pH7.8)、5mM塩化マグネシウム、10mM
2−メルカプトエタノール、5%グリセロールで平衡
化したDEAEセファデックスA−50(Pharmacia 社
より入手)カラム(25mm diameter x 250 mm)に適し、
吸着した酵素を塩化ナトリウムを0.1〜0.4M含む
同一組成の緩衝液を用いたリニアグラジエント法で溶出
した。溶出した活性画分(44ml)を集め、30gの
硫酸アンモニウムを加えた。塩析した画分を先と同様遠
心分離(20000g、15分)により回収し、さらに
緩衝液(50mMトリス塩酸(pH7.8)、5mM
塩化マグネシウム、1mM 2−メルカプトエタノー
ル、5%グリセロール)に懸濁し、同じ組成の緩衝液に
対して1晩透析し、最終的な酵素調製物(900ユニッ
ト)を得た。
【0032】(3)ポリヌクレオチドの合成 A.poly Iの合成 イノシン二りん酸三ナトリウム塩5.3g、塩化マグネ
シウム0.54gを50mM トリス塩酸(pH9.
0)300mlに溶解し、50ユニットの上記酵素調製
物(大腸菌ポリヌクレオチドホスホリラーゼ)を加え、
32℃で3時間合成反応を行わせた(合成率50%)。
反応終了後、冷エタノールを加え poly Iを沈澱させ
た。常法により poly Iを精製したところ、S値13.
0の高分子poly Iを1.83g得た。
【0033】B.poly A、poly C、pol
y G及びpoly Uの合成 上記粗酵素調製物を用いて、下記表に示す基質及び二価
陽イオンを含有する50mMトリス塩酸(pH9.0)
緩衝液中、表に示した酵素量および反応温度で3時間反
応させ、poly A、poly C、poly G及
びpoly Uを合成した。下記表に示されているよう
に、いずれのホモポリヌクレオチドも40%以上の高い
効率で合成され、ヌクレアーゼなどの共雑酵素によって
もたらされる化合物は全く検出されなかった。
【0034】
【表2】 ──────────────────────────────────── 基 質 二価陽イオン 合成温度 酵素量 合成率 (℃) (ユニット/ml) (%) ──────────────────────────────────── poly A 24mM ADP 5mM 37 0.33 71.6 ──────────────────────────────────── poly C 24mM CDP 17mM 37 0.33 50.1 ──────────────────────────────────── poly G 24mM GDP 3mM 65 0.33 86.3 ──────────────────────────────────── poly U 24mM UDP 11mM 45 0.33 42.3 ──────────────────────────────────── 註 Mg2+;poly A、poly Cおよびpoly U Mn2+;poly G
【0035】実施例2;アデノシンデアミナーゼを用い
たDDIの製造 (1)大腸菌アデノシンデアミナーゼをコードする add
遺伝子のクローニングと発現ベクターpDR-add の構築 大腸菌 K12株C600菌(工業技術院微生物工業研究所寄
託、第8037号)の染色体DNAを斎藤と三浦の方法
(Biochim. Biophis. Acta., 72, 619 (1963))で調製
した。このDNAをテンペレートとして、以下に示す2
種類のプライマーDNAを合成し、PCR法により大腸
add遺伝子を増幅した。プライマーDNAは、Gene A
ssembler Plus DNA synthesizer (Pharmacia 社)を用
いて、GeneAssembler Plus Owner's Manual (Pharmaci
a 社)に従って合成、精製した。
【0036】
【化2】プライマー(A);5'-TAGGATCCACCATGATTGATA
CCACCCTG-3' プライマー(B);5'-AAGGATCCTTTGTGCCTTGCATGAAAAAT
-3'
【0037】PCRによるadd 遺伝子の増幅は、反応液
100μl中〔50mM塩化カリウム、10mMトリス
−塩酸(pH 8.3)、5mM塩化マグネシウム、0.00
1%ゼラチン、テンペレートDNA 0.1μg、プラ
イマー(A)(B)それぞれ1.0μM、デオキシヌク
レオチド三りん酸(dATP, dCTP, dGTP, dCTP)それぞれ
0.2mM、AmpliTaq DNAポリメラーゼ2.5ユニ
ット〕をPerkin-ElmerCetus Instrument 社製 DNA Ther
mal Cycler を用いて、熱変性(94℃、1分)、アニ
ーリング(55℃、2分)、ポリメライゼーション(7
2℃、3分)のステップを25回繰り返すことにより行
った。遺伝子増幅終了後、反応液をフェノール/クロロ
ホルム(1:1)混合液で処理し、水溶性画分に2倍量
のエタノールを添加しDNAを沈澱させた。沈澱回収し
たDNAを文献(Molecular Cloning 、前述)の方法に
従ってアガロースゲル電気泳動により分離し、1.0k
b相当のDNA断片を精製した。該DNAを制限酵素 B
amHIで切断し、制限酵素 BamHIで切断したプラスミド p
DR540 DNA(Russell and Bennet, Gene, 20, 231
(1982) ;Pharmacia 社より入手)とT4DNAリガー
ゼを用いて連結した。連結反応液を用いて大腸菌JM109
(宝酒造 (株) より入手)を形質転換し、得られたアン
ピシリン耐性形質転換体よりプラスミド pDR-addを調製
した。pDR-add は、プラスミド pDR540 の tacプロモー
ター下流の BamHI切断部位に大腸菌add 遺伝子を含有す
BamHI DNA断片がその転写方向が一致して挿入さ
れたものである(図2参照)。
【0038】(2)組換え大腸菌アデノシンデアミナー
ゼの調製 プラスミド pDR-addを保持する大腸菌 JM109菌を、10
0μg/mlのアンピシリンを含有する2xYT培地1
00mlに植菌し、37℃で振とう培養した。4x10
8 菌/mlに達した時点で培養液に終濃度1mMになる
ようにイソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシド
を添加し、さらに7時間、37℃で振とう培養を続け
た。培養終了後、遠心分離(8000g,10分)によ
り菌体を回収し、20mlの緩衝液(20mMトリス−
塩酸 (pH 8.2) )、10%エチレングリコール、1mM
フェニルメチルスルフォニルフルオライド(PMSF))に菌
体を懸濁した。菌体懸濁液を超音波処理することで菌体
を破壊し、遠心分離(12、000g、10分)により
菌体残査を除去した。回収した無細胞抽出液は、緩衝液
(10mMトリス−塩酸 (pH 8.2) 、1%エチレングリ
コール、2mM CaCl2 、0.05mMエチレンジ
アミン四酢酸)に対して一晩透析した。この透析内液を
酵素調製物とした。酵素調製物におけるアデノシンデア
ミナーゼを Nygaardらの方法(Methods Enzymol., 51,
508 (1987))に従って測定した。また、2’,3’−ジ
デオキシアデノシンデアミナーゼ活性もNygaardらの方
法を改変して測定した。すなわち、基質として2’,
3’−ジデオキシアデノシンを用い、さらに反応液と等
量の0.1N NaOHを添加することで反応を停止さ
せた。測定結果を下記表に示す。発現ベクター pDR-add
を保持する菌からの酵素調製物は、対照菌株(pDR540を
保持する大腸菌 JM109菌)の200倍以上のアデノシン
デアミナーゼおよび2’,3’−ジデオキシアデノシン
デアミナーゼ活性が検出された。
【0039】
【表3】 ────────────────────────────────── アデノシン 2',3'-ジデオキシアデノ 菌/プラスミド デアミナーゼ活性 シンデアミナーゼ活性 ────────────────────────────────── JM109/pDR540 186 ユニット/mg蛋白 4 ユニット/mg 蛋白 ────────────────────────────────── JM109/pDR-add 44,646 4,882 ────────────────────────────────── 1ユニット=1 nmole deamination/分 at 37℃
【0040】(3)大腸菌アデノシンデアミナーゼを用
いたDDAからのDDIへの変換 10mlの緩衝液(25mMトリス−コハク酸(pH 7.
6))に4.7mgのDDAを溶解し、上記酵素調製物
(アデノシンデアミナーゼ8710ユニット、粗酵素蛋
白質量200μg;1ユニット=1nmolイノシン生
成/分)を添加し、37℃で30分間反応させた。反応
終了後、常法により高速液体クロマトグラフィーで反応
液中のDDIを定量したところ、DDAは完全にDDI
に変換されていた。また、アデニン並びにイノシンの生
成は認められなかった。
【0041】(4)プラスミドpDR-add 保持菌を用いた
DDAからのDDIへの変換 本発明で造成された大腸菌アデノシンデアミナーゼ生産
株(JM105[pDR-add]、JM105 菌はPharmacia 社より入
手)を用いてDDAからDDIへの微生物変換を横関ら
の方法(特開平2−291291)に従って行った。但
し、菌体はIPTG添加培養後5時間の菌体を用いた。
また、プラスミドpDR540を保持する大腸菌JM105 菌を対
照とした。その結果、対照菌においては、反応40分後
に6.2mg/dl、反応90分後に9.0mg/dl
のDDIが生成した。一方、JM105[pDR-add] 菌におい
ては、反応2分後に9.2mg/dlのDDIが生成し
た。
【0042】
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、発現ベクターpDR-PNP の構築法を示
す。
【図2】図2は、発現ベクターpDR-add の構築法を示
す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C12N 15/55 C12P 19/40 7432−4B //(C12N 9/12 C12R 1:19) (C12N 9/78 C12R 1:19) (C12N 15/54 C12R 1:19) (C12N 15/55 C12R 1:19)

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記の工程からなる核酸関連物質の酵素
    的製造法。 (A)合成目的の核酸関連物質の製造に不可欠な酵素の
    遺伝子をクローニングし、該遺伝子の発現が高効率で起
    こるように適当な発現制御シグナルと連結して発現ベク
    ターを構築する工程; (B)A工程で得られたベクターを用いて微生物を形質
    転換する工程; (C)B工程で得られた形質転換体を当該微生物が増殖
    可能な培地中で増殖させ、さらにクローニングした酵素
    の遺伝子の発現を誘導して合成目的の核酸関連物質の製
    造に不可欠な酵素が菌体内に大量に蓄積するまで培養を
    行う工程; (D)C工程で培養を終えた菌体を回収し、合成目的の
    核酸関連物質の製造に不可欠な酵素を抽出、精製して酵
    素調製物を調製する工程;および (E)D工程で得られた酵素調製物を用いて合成目的の
    核酸関連物質を製造する工程
  2. 【請求項2】 合成目的の核酸関連物質がポリヌクレオ
    チドであり、該核酸関連物質の製造に不可欠な酵素がポ
    リヌクレオチドホスホリラーゼである、請求項1記載の
    製造法。
  3. 【請求項3】 合成目的の核酸関連物質がイノシンまた
    はその誘導体であり、該核酸関連物質の製造に不可欠な
    酵素がアデノシンデアミナーゼである、請求項1記載の
    製造法。
  4. 【請求項4】 合成目的の核酸関連物質が2’,3’−
    ジデオキシイノシンであり、該核酸関連物質の製造に不
    可欠な酵素がアデノシンデアミナーゼである、請求項1
    記載の製造法。
  5. 【請求項5】 合成目的の核酸関連物質の製造に不可欠
    な酵素の遺伝子が大腸菌由来のものであり、形質転換に
    用いる宿主細胞も大腸菌である、請求項1記載の製造
    法。
  6. 【請求項6】 下記の工程から調製される、核酸関連物
    質の酵素的製造法に使用する酵素調製物。 (A)合成目的の核酸関連物質の製造に不可欠な酵素の
    遺伝子をクローニングし、該遺伝子の発現が高効率で起
    こるように適当な発現制御シグナルと連結して発現ベク
    ターを構築する工程; (B)A工程で得られたベクターを用いて微生物を形質
    転換する工程; (C)B工程で得られた形質転換体を当該微生物が増殖
    可能な培地中で増殖させ、さらにクローニングした酵素
    の遺伝子の発現を誘導して合成目的の核酸関連物質の製
    造に不可欠な酵素が菌体内に大量に蓄積するまで培養を
    行う工程;および (D)C工程で培養を終えた菌体を回収し、合成目的の
    核酸関連物質の製造に不可欠な酵素を抽出、精製して酵
    素調製物を調製する工程
  7. 【請求項7】 合成目的の核酸関連物質がポリヌクレオ
    チドであり、該核酸関連物質の製造に不可欠な酵素がポ
    リヌクレオチドホスホリラーゼである、請求項6記載の
    酵素調製物。
  8. 【請求項8】 合成目的の核酸関連物質がイノシンまた
    はその誘導体であり、該核酸関連物質の製造に不可欠な
    酵素がアデノシンデアミナーゼである、請求項6記載の
    酵素調製物。
  9. 【請求項9】 合成目的の核酸関連物質が2’,3’−
    ジデオキシイノシンであり、該核酸関連物質の製造に不
    可欠な酵素がアデノシンデアミナーゼである、請求項6
    記載の酵素調製物。
  10. 【請求項10】 合成目的の核酸関連物質の製造に不可
    欠な酵素の遺伝子が大腸菌由来のものであり、形質転換
    に用いる宿主細胞も大腸菌である、請求項6記載の酵素
    調製物。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2006080326A1 (ja) * 2005-01-25 2006-08-03 Ajinomoto Co., Inc. ヌクレオシド誘導体の製造方法
JP2011055719A (ja) * 2009-09-07 2011-03-24 Masami Moriyama ポリヌクレオチドの合成法

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