JP3369236B2 - シチジンジリン酸コリンの製造法 - Google Patents
シチジンジリン酸コリンの製造法Info
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Description
るシチジンジリン酸コリン(以下「CDP-コリン」と略記
する)の酵素的な製造方法に関する。CDP-コリンはリン
脂質であるホスファチジルコリン(レシチン)の生合成中
間体であり、頭部外傷、脳手術に伴う意識障害、パーキ
ンソン病、脳卒中片マヒ等の治療に用いられている。
合成法(特公昭39-6541号公報、特公昭42-1384号公報、
特公昭63-6558号公報等)、酵母などの微生物菌体を用い
る酵素法(特公昭48-2358号公報、特公昭48-40757号公
報、特公昭48-40758号公報、特開昭53-109996号公報、
特開昭54-14593号公報、特開昭63-313594号公報等)の2
種が知られている。
ン-5'-モノリン酸(以下「CMP」と略記する)、シチジン-
5'-ジリン酸(以下「CDP」と略記する)、シチジン-5'-ト
リリン酸(以下「CTP」と略記する)、シトシン等のシト
シン系ヌクレオチドおよびその前駆体が用いられている
点が共通している。これらの原料のうち、基本的な原料
であるCMPは主にRNA(リボ核酸)分解法により製造されて
いるが、この方法では4種のヌクレオチドが同時に得ら
れるためCMPのみを選択的に得ることができず、効率的
な方法ではない。
品として有用なCDP-コリンの効率的な製造方法を提供す
ることにある。
系ヌクレオチドおよびその前駆体からではなく、工業的
に入手の容易なオロット酸から一段階の酵素処理により
CDP-コリンを効率良く製造する方法を提供することがで
きる。オロット酸はピリミジン系ヌクレオチドの前駆物
質であり、強肝剤として用いられている。コリネバクテ
リウム属に属する微生物を用いた発酵法による工業的に
適用可能なオロット酸の生産方法が知られている(特開
平1-104189号公報)。本発明者らはこの点に着目し、オ
ロット酸を原料としたCDP-コリンの生産について鋭意研
究を行った。
ランスフェラーゼ(以下「CCT」と略記する)、コリンキ
ナーゼ(以下「CKI」と略記する)、およびCTPシンセター
ゼ(以下「pyrG」と略記する)をコードする遺伝子を含む
DNA断片をベクターDNAに組み込んで調製した組換え体DN
Aを保有する微生物と、オロット酸からUTPを生成する活
性の高い微生物を混合し、これらを酵素源とし用いて、
オロット酸とコリンおよび/またはホスホリルコリンを
基質として反応することにより、著量のCDP-コリンが生
成することを見出し、本発明を完成するに至った。
は、オロット酸とコリンおよび/またはホスホリルコリ
ンからシチジンジリン酸コリンを生産する能力を有する
微生物の培養液またはその処理物を酵素源として用い、
オロット酸とコリンおよび/またはホスホリルコリンを
基質として用いて酵素反応を行い、反応液中にCDP-コリ
ンを生成蓄積させ、該反応液からCDP-コリンを採取する
ことを特徴とするCDP-コリンの製造方法を提供する。
とした場合、CDP-コリンは次式に示すように、(1)から
(6)の6段階の酵素反応により生成する。また、オロット
酸およびコリンを基質とした場合、これにさらに(7)の
反応が必要となる。
る。 OMP: オロチジン-5'-モノリン酸 UMP: ウリジン-5'-モノリン酸 UDP: ウリジン-5'-ジリン酸 UTP: ウリジン-5'-トリリン酸
以下のとおりである。 (1): オロテ-トホスホリボシルトランスフェラ-ゼ(EC
2.4.2.10) (2): OMPデカルボキシラ-ゼ(EC 4.1.1.23) (3): ヌクレオシドモノホスフェ-トキナ-ゼ(EC 2.7.4.
4) (4): ヌクレオシドジホスフェ-トキナ-ゼ(EC 2.7.4.6) (5): CTPシンセタ-ゼ(EC 6.3.4.2) (6): コリンホスフェ-トシチジリルトランスフェラ-ゼ
(EC 2.7.7.15) (7): コリンキナ-ゼ(EC 2.7.1.32)
シルピロリン酸(以下「PRPP」と略記する)を消費しピロ
リン酸を生じる反応であり、(3)、(4)、(5)、(7)はアデ
ノシン-5'-トリリン酸(以下「ATP」と略記する)を消費
しアデノシン-5'-ジリン酸(以下「ADP」と略記する)を
生じる反応である。
は、前式における(1)から(7)の酵素活性を持ち、更にPR
PP供給能力、ATP再生能力を有していることが望まし
い。この条件を満たす限り、用いる微生物の数はいくつ
でも構わない。
活性を2種の微生物に分担せしめ、これを混合して用い
る方法も可能である。すなわち、前式(5)と(6)および/
または(7)との酵素活性を有する微生物(以下、微生物A1
という)または前式(5)と(6)との酵素活性を有する微生
物(以下、微生物A2という。また、微生物A1と微生物A2
を合わせて微生物Aという)と前式の(1)から(4)の活性
が十分にあり、オロット酸からUTPを蓄積することが可
能であり、望ましくは同時にPRPP供給能とATP再生能が
強い微生物(以下、微生物Bという)を用いる方法であ
る。
株は、遺伝子組換えによりこれら酵素活性を発現強化し
たエシェリヒア属に属する微生物で、さらに具体的に
は、サッカロミセス・セレビシエ(以下「酵母」と略記
する)由来のCCTおよびCKI遺伝子、エシェリヒア・コリ
(以下「大腸菌」と略記する)由来のpyrG遺伝子を含む組
換え体DNA(pCKG55)を保有する大腸菌MM294株(FERM BP-5
26、ATCC33625)があげられる。
子欠損変異の相補を指標にクローン化され、その全塩基
配列が決定されている[Eur. J. Biochem.、169巻、477
-486頁、1987年]。CCT遺伝子の給源としては、大腸菌
ベクターpUC18[Gene、33巻、103-119頁、1985年]のマ
ルチクローニングサイトのSmaI部位に酵母由来のCCT遺
伝子を含む1296ベースペア(以下「bp」と略記する)のDr
aI断片が挿入されたプラスミドpCC41[生化学, 60, 701
(1988)]などがあげられる。
ン化され、その全塩基配列が決定されている[J. Biol.
Chem.、264巻、2053-2059頁、1989年]。CKI遺伝子の
給源としては、酵母と大腸菌のシャトルベクターYEpM4
[Mol. Cell. Biol.、7巻、3629-3636頁、1987年]に酵
母由来のCKI遺伝子を含む2692bpのPstI-HindIII断片が
挿入されたプラスミドpCK1Dなどがあげられる。
され、その全塩基配列が決定されている[J. Biol. Che
m.、261巻、5568-5574頁、1986年]。pyrG遺伝子の給源
としては、大腸菌ベクターpUC8[Gene、19巻、259-268
頁、1982年]のマルチクローニングサイトのSmaI-PstI
部位に大腸菌由来のpyrG遺伝子を含む2426bpのNruI-Pst
I断片が挿入されたプラスミドであるpMW6などがあげら
れる。
プラスミドDNAの単離精製は公知の方法[Nuc. Acids Re
s.、7巻、1513-1523頁、1979年]で行うことができる。
また、プラスミドDNAの制限酵素による切断、切断したD
NA断片の単離精製、DNA断片の酵素的結合、組換え体DNA
を用いた宿主大腸菌の形質転換など、遺伝子組換えに関
する種々の操作は公知の方法[例えば、T.Maniatisらの
成書; MolecularCloning, A Laboratory Manual, Cold
Spring Harbor Laboratory,(1982)]に従って行うこと
ができる。
能なものであれば特に限定されないが、大腸菌を宿主と
した場合、pUC8、pBR322[Gene、2巻、95-113頁、1977
年]などがあげられる。宿主微生物としては、組換え体
DNAが発現でき、CDP-コリンの生成反応に利用できるも
のならいかなる微生物も使用できるが、具体的には大腸
菌MM294株(前出)があげられる。
ネバクテリウム属に属する微生物で、さらに具体的には
コリネバクテリウム・アンモニアゲネス(旧名ブレビバ
クテリウム・アンモニアゲネス)ATCC21170があげられ
る。微生物A1、微生物A2および微生物Bの培養に用いら
れる培地は、炭素源、窒素源、無機物、アミノ酸、ビタ
ミンなどを程よく含有する培地であれば、天然培地、人
工培地のいずれでもよく、好気的条件下で温度、pHなど
を調節しつつ、通常の方法で培養を行えばよい。
ス、シュークロース、マルトース、マンニトール、ソル
ビトールなどの炭水化物、糖アルコール、グリセロー
ル、澱粉加水分解物、糖蜜など、さらにピルビン酸、乳
酸、クエン酸などの各種有機酸、グルタミン酸、メチオ
ニン、リジンなどの各種アミノ酸が使用できる。また、
白糠、キャッサバ、バガス、コーン・スチープ・リカー
などの天然有機栄養源も用いることができる。
アンモニウム、硫酸アンモニウム、炭酸アンモニウム、
酢酸アンモニウムなどの各種無機および有機アンモニウ
ム塩類、グルタミン酸、グルタミン、メチオニンなどの
アミノ酸、あるいはペプトン、NZアミン、コーン・スチ
ープ・リカー、肉エキス、酵母エキス、カゼイン加水分
解物、フィッシュミールあるいはその消化物、サナギ加
水分解物などの含窒素有機物などの種々の物が使用可能
である。
ム、リン酸二ナトリウム、硫酸マグネシウム、塩化ナト
リウム、塩化カルシウム、塩化鉄、硫酸銅、塩化マンガ
ン、モリブデン酸アンモン、硫酸亜鉛などを必要に応じ
て添加する。ビタミン、アミノ酸、核酸その他のものは
必要に応じて添加するが、前記したような他の培地成分
に伴って培地に供給されれば特に加えなくてもよい。
どの好気的条件下で行う。培養温度は15〜40℃が良く、
20〜35℃がより好ましい。培養中の培地のpHは中性付近
に維持することが好ましい。培養時間は通常5〜72時間
である。
ンからCDP-コリンを生成する能力を有する微生物Aと、
オロット酸からUTPを生成する能力を有する微生物Bを混
合する際には、それぞれを別個に培養し、培養終了後混
合してもよいし、一つの培養器に同時に植菌し、混合培
養してもよい。さらに、いずれかの微生物の培養中もし
くは培養終了時にもう一方の微生物を植菌し、培養を行
ってもよい。
培養液は、そのままか、または種々の処理を施したのち
CDP-コリンの生成反応を行う。CDP-コリンの生成反応
は、微生物Aおよび微生物Bの培養液もしくはその処理物
の混合物にオロット酸とコリンおよび/またはホスホリ
ルコリンと接触させてもよいし、微生物Bの培養液もし
くはその処理物にオロット酸を接触し、UTPを生成せし
めた後、微生物Aの培養液もしくはその処理物とコリン
および/またはホスホリルコリンを添加してもよい。
物、もしくは乾燥物、培養液を遠心分離して得られる菌
体、菌体の乾燥物、界面活性剤および/または有機溶剤
処理物、溶菌酵素処理物、固定化菌体あるいは菌体から
の抽出酵素標品などがあげられる。
応基質の混合物に、さらに反応に必要な成分を添加し
て、pHを6〜10、より好ましくは7〜8に調節しつつ、20
〜50℃に2〜48時間保ちつつ行わせる。反応に必要な成
分としては、ATP再生に必要なエネルギー供与体、リン
酸イオン、マグネシウムイオン、アンモニウムイオン、
さらには界面活性剤および有機溶剤などがあげられる。
これらの成分は上記微生物の培養液から必要量が持ち込
まれる場合はあらためて添加する必要はない。
もよいし、微生物のオロット酸発酵液やその粗精製物な
どのオロット酸を含有するもので、反応を阻害しないも
のであればいずれでもよい。オロット酸は0.01〜1.0mol
/L、より好ましくは0.01〜0.3mol/Lの濃度で用いられ
る。また、コリンおよび/またはホスホリルコリンは純
品を用いてもよいし、コリンおよび/またはホスホリル
コリンを含有するもので、夾雑物が反応を阻害しないも
のであれば用いることができる。コリンおよび/または
ホスホリルコリンは0.01〜3.0mol/L、より好ましくは0.
02〜1.0mol/Lの濃度で用いられる。
ラクトース、シュークロースなどの炭水化物、糖蜜、澱
粉加水分解物など、ピルビン酸、乳酸、酢酸、α-ケト
グルタル酸などの有機酸、グリシン、アラニン、アスパ
ラギン酸、グルタミン酸などのアミノ酸が用いられる。
これらは0.02〜2.0mol/Lの濃度で用いられる。
酸、トリポリリン酸、テトラポリリン酸、テトラポリメ
タリン酸などのポリリン酸、ポリメタリン酸、リン酸一
カリウム、リン酸二カリウム、リン酸一ナトリウム、リ
ン酸二ナトリウムなどの無機のリン酸塩などがいずれも
用いられる。これらはおよそ0.01〜0.5mol/Lの濃度で用
いられる。
ウム、硝酸マグネシウム、塩化マグネシウムなどの無機
のマグネシウム塩、クエン酸マグネシウムなどの有機の
マグネシウム塩などが用いられる。添加量は通常0.005
〜0.2mol/Lである。アンモニウムイオンとしてはアンモ
ニア水、アンモニアガス、各種無機、有機のアンモニウ
ム塩、グルタミンもしくは酵母エキス、カザミノ酸、コ
ーン・スチープ・リカーなどのグルタミン含有天然物な
どが用いられる。添加量はおよそ0.01〜2.0mol/Lであ
る。
コハク酸ナトリウム(例えばラピゾールB-80、日本油脂
社製)、ラウロイル・ザルコシネートなどの陰イオン性
界面活性剤、ポリオキシエチレン・セチルエーテル(例
えばノニオンP-208、日本油脂社製)などの非イオン性界
面活性剤、アルキルジメチルアミン(例えば三級アミンF
B、日本油脂社製)などの三級アミン類など、CDP-コリン
の生成を促進するものであればいずれでも使用できる。
これらは通常0.1〜50g/L、好ましくは1〜20g/Lの濃度に
て用いられる。
脂肪族アルコール、アセトン、酢酸エチルなどがあげら
れ、これらは通常0.1〜50mL/L、好ましくは1〜20mL/Lの
濃度で用いられる。反応液中に生成したCDP-コリンの採
取は、活性炭やイオン交換樹脂などを用いる通常の方法
によって行うことができる。
造成:CCT、CKI、pyrGを同時に発現する組換え体プラス
ミドpCKG55の造成方法について以下に述べる。なお造成
工程は第1図にまとめて示した。 1)CCT/CKI融合蛋白の発現:
スミドpCC41を保有している大腸菌MM294/pCC41株(以
下、プラスミド保有株は「宿主株名/プラスミド名」の
形で表記する)を、バクトトリプトン(ディフコ社製)10g
/L、酵母エキス(ディフコ社製)5g/L、NaCl 5g/Lを含
み、pHを7.2に調整したL培地400mLに植菌し、30℃で18
時間培養した。得られた培養菌体から、公知の方法(前
述)に従ってプラスミドpCC41を単離精製した。酵母染色
体由来のCKI遺伝子を有するプラスミドpCK1Dも、同様の
方法でその保有株である大腸菌MM294/pCK1D株より単離
精製した。
トリス-塩酸(pH7.5)、50mM NaCl、7mM MgCl2および6mM
2-メルカプトエタノールを含む緩衝液(以下、制限酵素
で消化反応を行う緩衝液はNaClの濃度の値に応じて「Y-
50緩衝液」といった形で称す)50μLに溶かし、20単位の
HindIII(宝酒造社製、以下制限酵素類はすべて宝酒造社
製を用いた)と20単位のHpaIを加え、37℃にて2時間消化
反応を行った。この消化物をアガロースゲルにて電気泳
動を行った後、ゲルから抽出して大きい方のDNA断片(38
08bp)を単離した。一方、pCK1DプラスミドDNA 5μgも同
様にしてHindIIIとHpaIで消化後、2297bpのDNA断片を精
製単離した。
由来のDNA断片と、約0.05μgのpCK1D由来のDNA断片を20
mMトリス-塩酸(pH7.6)、10mM MgCl2、10mMジチオスレイ
トールおよび0.5mM ATPを含む緩衝液(以下「T4リガーゼ
緩衝液」と称す)40μL中にて2単位のT4リガーゼ(宝酒造
社製)を加え、4℃にて18時間結合反応を行った。このよ
うにして得られた組換え体DNAを用い、大腸菌MM294株を
形質転換し、アンピシリン(50μg/mL)に耐性の形質転換
株を得た。
精製し、該DNAをHindIII、HpaI、KpnIなどの制限酵素で
消化することによりプラスミドの構造解析を行った結
果、目的とする構造を有する6.1キロベース(以下「Kb」
と略記する)のプラスミドが構築されていることを確認
した。該プラスミドをpCK1と名付けた(第1図参照)。
白の構造を第2図に示した。pCC41は大腸菌ベクターpUC1
8のマルチクローニングサイトのSmaI部位に酵母染色体
由来の1296bpからなるDraI断片が挿入された構造を有し
ている。DraI消化の際に、本来のCCT遺伝子のN末24アミ
ノ酸が除去され、代わりにベクターlacZ遺伝子由来の11
アミノ酸が接続された形となっている(第3図参照)。ま
た、HpaIによる切断と結合の結果、CCT遺伝子のC末14ア
ミノ酸およびCKI遺伝子のN末31アミノ酸が除去されて結
合された形で、合計948アミノ酸からなる融合蛋白とな
っている。
測定系で反応を行ったところ、CTPとホスホリルコリン
を基質としてCDP-コリンが生成し、さらに、同じ系で5m
Mホスホリルコリンを5mM塩化コリンに置き換え、5mM AT
Pを添加した場合でも同様にCDP-コリンが生成した。す
なわち、pCK1保有株はCCT、CKI両活性を併せもっている
ことが確認された。 2)CCT/CKI融合蛋白のN末部分欠失体の取得:CCT/CKI融合
蛋白の発現量を増大させる目的で、以下に述べるように
CCT/CKI融合蛋白のN末部分の欠失体の取得を行った。
μLに溶かし、15単位のKpnIを加え、37℃にて2時間消化
反応を行った。この消化物に5倍濃度のBal31緩衝液[10
0mMトリス-塩酸(pH8.0)、60mM MgCl2、60mM CaCl2、3M
NaCl]20μL、蒸留水46μL、および0.1単位のBal31ヌク
レアーゼ(宝酒造社製)を加え、30℃にて3分間消化反応
を行った。
ム(容量比1: 1)混合液を入れ、十分に攪拌して反応を停
止させた後、遠心分離し、上層を採取した(以下この操
作を「フェノール: クロロホルム抽出」と呼ぶ)。採取
した水層に対し、2倍容量の氷冷エタノールを加え、-80
℃にて30分静置した。このエタノール混合物を遠心分離
後、上清を捨て、沈澱を減圧下で乾燥した(以下この操
作を「エタノール沈澱」と呼ぶ)。得られた沈澱にT4リ
ガーゼ緩衝液50μLを加えて溶解した後、1単位のT4リガ
ーゼを加えて、4℃で18時間結合反応を行った。
94株を形質転換し、アンピシリン耐性の形質転換株を選
択した。得られたアンピシリン耐性株を培養し、後述す
るCCT活性測定系にてCCT活性を測定し、最も活性の高い
株を選択した。この株よりプラスミドDNAを単離精製
し、該DNAをHindIII、HpaI、PvuIIなどの制限酵素で切
断することにより、目的とする構造を有することを確認
した。該プラスミドをpCK55と名付けた(第1図参照)。
塩基配列をF.Sangerらのダイデオキシ法[J. Mol. Bio
l.、143巻、161-178頁、1980年]により決定したとこ
ろ、第3図に示す塩基配列を有していた。すなわち、Bal
31ヌクレアーゼ消化により、KpnI部位から上流および下
流方向に合計36bpが失われており、そのため大腸菌ベク
ターpUC18由来の9アミノ酸とCCT遺伝子由来の3アミノ酸
の合計12アミノ酸が欠失し結合した936アミノ酸からな
る融合蛋白として発現していることがわかった。 3)CCT、CKI、pyrG同時発現プラスミドの造成:大腸菌染
色体由来のpyrG遺伝子を有するプラスミドpMW6を保有し
ている大腸菌MM294/pMW6株より、プラスミドDNAを単離
精製した。調製したpMW6プラスミドDNA5μgをY-150緩衝
液50μLに溶かし、20単位のMluIを加え、37℃にて2時間
消化反応を行った。続いて、フェノール: クロロホルム
抽出とエタノール沈澱後、DNA断片を全量50μLのDNAポ
リメラーゼ緩衝液[50mM トリス-塩酸(pH8.8)、7mM MgC
l2、6mM 2-メルカプトエタノール、7μM EDTA、0.25mM
dATP、0.25mM dCTP、0.25mM dGTP、0.25mM dTTP]に溶
かし、5単位のT4 DNAポリメラーゼ(宝酒造社製)を加
え、37℃にて2時間反応を行い、MluI消化によって生じ
た5'-突出末端を平滑末端とした。反応液をフェノール:
クロロホルム抽出、エタノール沈澱の後、得られたDNA
断片をY-50緩衝液50μLに溶かし、15単位のHindIIIを加
え、37℃にて2時間消化反応を行った。この消化物をア
ガロースゲルにて電気泳動を行った後、大きい方のDNA
断片(4652bp)をゲルから抽出して単離した。
保持株(MM294/pCK55)から単離精製した。調製したpCK55
プラスミドDNA 5μgをY-50緩衝液50μLに溶かし、20単
位のHindIIIと20単位のPvuIIを加え、37℃にて2時間消
化反応を行った。この消化物をアガロースゲル電気泳動
後、CCT/CKI遺伝子を含む大きい方のDNA断片(3610bp)を
単離精製した。
由来のDNA断片と、約0.2μgのpCK55由来のDNA断片を50
μLのT4リガーゼ緩衝液中で2単位のT4リガーゼにより、
4℃にて18時間結合反応を行った。得られた組換え体DNA
を用い、大腸菌MM294株を形質転換し、アンピシリン耐
性の形質転換株を得た。
精製し、該DNAをHindIII、HpaI、KpnIなどの制限酵素で
消化することにより、プラスミドの構造解析を行った結
果、目的とする8.3Kbのプラスミドが構築されたことが
確認された。該プラスミドをpCKG55と名付けた(第1図参
照)。
性:組換え体DNAを保有する株のCCT、pyrG活性の測定は
以下に述べる方法で行った。活性測定実験に供する大腸
菌をアンピシリン50μg/mLを含むL培地10mLの入った大
型試験管に接種し、25℃にて18時間振盪培養した。この
種培養液100μLをアンピシリン50μL/mLを含むL培地10m
Lの入った大型試験管に接種し、33℃にて10時間振盪培
養した。得られた培養液500μLを遠心分離後、上清を捨
て、菌体を20mMリン酸カリウム緩衝液(pH7.0) 500μLに
懸濁し、これにキシレン5μLを加えて攪拌し、30℃にて
10分間処理した。このようにして得られたキシレン処理
物を粗酵素液として用い、以下に述べる方法に従って酵
素活性を測定した。
緩衝液(pH7.5)、25mM 塩化マグネシウム、5mM CTP、5mM
ホスホリルコリンおよび粗酵素液からなる500μLの反応
液を、30℃にて2時間反応を行った。反応液を経時的に5
0μLずつ採取し、0.2M 酢酸50μLを添加後、100℃にて2
分間の熱処理により反応を止めた。この処理物を遠心分
離後、上清を適宜蒸留水にて希釈し、高速液体クロマト
グラフィーにて生成したCDP-コリンを定量した。毎分1
μmolのCDP-コリンを生成する酵素量を1ユニット(U)と
して、酵素活性を算出した。
7.1)、10mM 塩化マグネシウム、1mM ATP、1mM UTP、0.2
mM GTP、2mM グルタミン、8mM ホスホエノールピルビン
酸および粗酵素液からなる2mLの反応液を38℃にて60分
間反応を行った。反応液は経時的に200μLずつ採取し、
3.5%過塩素酸1.8mLと混合することによって反応を止め
た。
1nmの吸光度を比色計により測定した。3.5%過塩素酸中
において、基質であるUTPには291nmで吸収がほとんどな
いが、生成物であるCTPには吸収がある。従って、291nm
での吸収を測定することによりCTPの生成量を知ること
ができる。毎分1μmolのCTPを生成する酵素量を1ユニッ
ト(U)として、酵素活性を算出した。
およびpyrG活性の測定結果を第1表に示した。活性の値
は培養液1mLあたりの酵素活性(U)で表した。なお、pCKG
55を保有する大腸菌菌株(Escherichia coli MM294/pCK
G55)は、平成4年1月27日付で工業技術院微生物工業
技術研究所にブダペスト条約の条件でFERM BP-3717とし
て寄託されている。
5株をアンピシリン50μg/mLを含むL培地10mLの入った大
型試験管に接種し、25℃で24時間300rpmにて振盪培養し
た。この培養液20mLをアンピシリン50μg/mLを含むL培
地400mLの入った2Lバッフル付き三角フラスコに接種
し、25℃にて16時間、190rpmで回転振盪培養した。
菌)、ペプトン(極東製薬工業社製)5g/L、Na2HPO4 6g/
L、KH2PO4 3g/L、NaCl 5g/L、NH4Cl 1g/L、MgSO4・7H
2O 250mg/L(別殺菌)およびビタミンB1 4mg/L(別殺菌)
の組成からなる液体培地(pH無調整)2.5Lの入った5L容培
養槽に接種し、25℃にて11時間、その後32℃にて13時
間、攪拌600rpm、通気量2.5L/分の培養条件下、14%アン
モニア水にてpH7.0に調整しつつ培養を行った。培養
中、培養11時間目から24時間目までの間、グルコース16
7g/L、ペプトン167g/Lの組成からなるフィード液をペリ
スタポンプにより30mL/時間の速度にて流加した。
ネスATCC21170株を、グルコース50g/L、ポリペプトン
(大五栄養化学社製)10g/L、イーストエキス(大五栄養化
学社製)10g/L、尿素5g/L、(NH4)2SO4 5g/L、KH2PO4 1g
/L、K2HPO4 3g/L、MgSO4・7H2O1g/L、CaCl2・2H2O 0.1g
/L、FeSO4・7H2O 10mg/L、ZnSO4・7H2O 10mg/L、MnSO 4・
4〜6H2O 20mg/L、L-システイン20mg/L、D-パントテン
酸カルシウム10mg/L、ビタミンB1 5mg/L、ニコチン酸5
mg/L、およびビオチン30μg/L(苛性ソーダでpH7.2に調
整)の組成からなる液体培地10mLの入った大型試験管に
接種し、28℃にて24時間、300rpmで往復振盪培養した。
地230mLの入った2L容バッフル付き三角フラスコに接種
し、28℃で24時間190rpmにて回転振盪培養した。この培
養液250mLを、グルコース100g/L、肉エキス10g/L、ポリ
ペプトン10g/L、KH2PO4 1g/L、K2HPO4 1g/L、MgSO4.7
H2O 1g/L、CaCl2・2H2O 0.1g/L、FeSO 4・7H2O 20mg/
L、ZnSO4・7H2O 10mg/L、MnSO4・4〜6H2O 20mg/L、β-
アラニン15mg/L、L-システイン20mg/L、ビオチン100μg
/L、尿素2g/L(別殺菌)およびビタミンB1 5mg/L(別殺
菌)(苛性ソーダでpH7.2に調整)の組成からなる液体培地
2.5Lの入った5L容培養槽に接種し、32℃にて攪拌600rp
m、通気量2.5L/分の培養条件下、濃アンモニア水でpHを
6.8に調整しつつ種培養を行った。
された時点で、培養液を350mL無菌的に採取し、グルコ
ース180g/L、KH2PO4 10g/L、K2HPO4 10g/L、MgSO4・7H
2O10g/L、CaCl2・2H2O 0.1g/L、FeSO4・7H2O 20mg/L、Z
nSO4・7H2O 10mg/L、MnSO4・4〜6H2O 20mg/L(別殺菌)、
β-アラニン15mg/L、L-システイン20mg/L、グルタミン
酸ナトリウム1g/L、ビオチン100μg/L、尿素2g/L(別殺
菌)およびビタミンB15mg/L(別殺菌)(苛性ソーダでpH7.2
に調整)の組成からなる液体培地2.5Lの入った5L容培養
槽に接種し、32℃にて攪拌600rpm、通気量2.5L/分の培
養条件下、濃アンモニア水でpH6.8に調整しつつ本培養
を行った。培養液上清中のグルコースが消費された時点
で培養を終了した。
55株培養液360mLとコリネバクテリウム・アンモニアゲ
ネスATCC21170株培養液360mLを2L容培養槽に入れ、これ
にグルコース100g/L、オロット酸10g/L(47mM)、塩化コ
リン8.4g/L(60mM)、MgSO4・7H2O 5g/L、キシレン20mL/L
を添加し、蒸留水を加え全量を800mLとした。この混合
液を、32℃にて攪拌800rpm、通気量0.8L/分の条件下、1
0規定苛性ソーダでpHを7.2に調整しつつ反応を行った。
反応中、反応液上清中のリン酸濃度がKH2PO4として1〜5
g/Lに保たれるように適宜途中添加を行った。23時間反
応を行ったところCDP-コリンが11.0g/L(21.5mM)生成し
た。なお、大腸菌MM294/pCKG55株培養液を添加せず、代
わりに蒸留水360mLを加えて反応を行った場合、CDP-コ
リンはまったく生成しなかった。また、コリネバクテリ
ウム・アンモニアゲネスATCC21170株培養液の代わりに
蒸留水360mLを加えて反応を行った場合、CDP-コリンの
生成量は0.7g/L(1.4mM)であった。
代わりにホスホリルコリン16.5g/L(50mM)を用いた以外
は、実施例2と同様に反応を行った所、反応23時間でCDP
-コリン9.5g/L(18.6mM)が生成した。
び/またはホスホリルコリンから、CDP-コリンを工業的
に製造する方法が提供される。
revisiae) 株名: X2180-1 配列 ATGACCATGATTACGAATTCGAGCTCGGTACCCAAAAAAAATAAAAATAAAAGA 54
revisiae) 株名: X2180-1 配列 ATGACTAAAAATAAAAGA 18
融合蛋白の構造を示す。
れるCCT/CKI融合蛋白遺伝子のN末部分の塩基配列を示
す。
Claims (7)
- 【請求項1】 シチジン-5'-トリリン酸シンセターゼ
(以下、pyrGという)とコリンホスフェートシチジルトラ
ンスフェラーゼ(以下、CCTという)とコリンキナーゼ(以
下、CKIという)との酵素活性を有する微生物(以下、微
生物A1という)および/またはpyrGとCCTとの酵素活性
を有する微生物(以下、微生物A2という)、ならびにオ
ロット酸からウリジン-5'-トリリン酸を生成する活性を
有する微生物(以下、微生物Bという)の培養液または
その処理物を酵素源として用い、オロット酸とコリンお
よび/またはホスホリルコリンを基質として酵素反応を
行い、反応液中にシチジンジリン酸コリンを生成蓄積さ
せ、該反応液からシチジンジリン酸コリンを採取するこ
とを特徴とするシチジンジリン酸コリンの製造方法。 - 【請求項2】 微生物A1がpyrG、CCTおよびCKIをコード
する遺伝子を含むDNA断片とベクターとの組換え体DNAを
保有するものであることを特徴とする請求項1記載の方
法。 - 【請求項3】 微生物A2がpyrGおよびCKIをコードする
遺伝子を含むDNA断片とベクターとの組換え体DNAを保有
するものであることを特徴とする請求項1記載の方法。 - 【請求項4】 該DNA断片のうち、CCTおよびCKIをコー
ドする遺伝子がサッカロミセス・セレビシエ(Saccharom
yces cerevisiae)由来であり、pyrGをコードする遺伝子
がエシェリヒア・コリ(Escherichia coli)由来であるこ
とを特徴とする請求項2または3記載の方法。 - 【請求項5】 微生物A1または微生物A2がエシェリヒア
属に属する微生物であり、微生物Bがコリネバクテリウ
ム属に属する微生物であることを特徴とする請求項1〜
4いずれか1項に記載の方法。 - 【請求項6】 微生物A1がエシェリヒア・コリ MM294/
pCKG55(FERM BP-3717)であることを特徴とする請求項5
記載の方法。 - 【請求項7】 微生物Bがコリネバクテリウム・アンモ
ニアゲネス ATCC21170であることを特徴とする請求項5
記載の方法。
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-
1993
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J.Bacteriol.,173(6),2134−2136(1991) |
J.Biol.Chem.,261(12),5568−5574(1986) |
J.Biol.Chem.,264(4),2053−2059(1989) |
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