JPH05213758A - 血小板増多剤 - Google Patents

血小板増多剤

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JPH05213758A
JPH05213758A JP2098192A JP2098192A JPH05213758A JP H05213758 A JPH05213758 A JP H05213758A JP 2098192 A JP2098192 A JP 2098192A JP 2098192 A JP2098192 A JP 2098192A JP H05213758 A JPH05213758 A JP H05213758A
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methyloctanoyloxy
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increasing agent
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JP2098192A
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Takafumi Furuhama
孝文 古浜
Akio Shiraishi
明郎 白石
Kazuo Yamashita
和男 山下
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Sankyo Co Ltd
Original Assignee
Sankyo Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】本発明は、2−ピラノン誘導体類及びその塩類
を有効成分とする血小版板増多剤を提供するものであ
る。 【構成】すなわち、本発明は、一般式(I): 【化10】 (式中、Rは水素原子、ブチリルオキシ基、イソブチリ
ルオキシ基、イソバレリルオキシ基、2−メチルブチリ
ルオキシ基、シクロヘキサンカルボニルオキシ基、4−
メチルヘキサノイルオキシ基、5−メチルヘキサノイル
オキシ基、6−メチルヘプタノイルオキシ基、シクロヘ
キシルエチルカルボニルオキシ基、オクタノイルオキシ
基、6−メチルオクタノイルオキシ基又は7−メチルオ
クタノイルオキシ基を示す。)で表される化合物又はそ
の薬理上許容される塩を有効成分とする血小板増多剤に
関するものである。 【効果】本発明の血小板増多剤は、免疫異常あるいは癌
化学療法又は放射線療法の副作用等による血小板症の治
療に有効である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は2−ピラノン誘導体類お
よびその薬理上許容される塩を有効成分とする血小板増
多剤に関する。
【0002】本発明を利用することにより、免疫異常あ
るいは癌化学療法又は放射線療法の副作用等による血小
板減少症の治療が可能になる。
【0003】
【従来の技術】免疫異常あるいは癌の化学療法又は放射
線療法等の各種原因による血小板減少症は、これが悪化
した場合には身体各所での出血を引き起こし、生体を死
に至らしめることもある重篤な疾患である。現在の所で
は、該疾患に対する有効な治療法は血小板輸血による対
症療法のみしか知られておらず、有効な治療薬を求めて
開発研究が進められている。
【0004】近年インターロイキン6(以下、「IL−
6」という。)、インターロイキン11(以下、「IL−
11」という。)やロイケミアインヒビトリーファクター
(以下、「LIF」という。)と命名されたサイトカイ
ン類が、血小板増加作用を有することが見い出され、こ
れら蛋白質の臨床上の有効性が期待されている (Ishibasi等、Blood 、74巻、1241-1244 頁、(1989):
Asano 等、Blood 、75巻、1602-1605 頁、(1990):岡田
全司等、血液・腫瘍科、22巻、23-31 頁、(1991))。
【0005】これらのサイトカインは生体に各種の投与
方法で与えた場合、一定の薬理作用を示す事がわかって
いるが、本来は生体内のある種の細胞(IL−6はリン
パ球・単球・線維芽細胞・血管内皮細胞・ストローマ細
胞、IL−11はストローマ細胞、LIFはリンパ球・線
維芽細胞)により複雑な調節機構によって産生され、生
体のホメオスターシスを司っているものと考えられてい
る。
【0006】血小板産生に関しては、いずれのサイトカ
インがいかなる生理的役割を果たしているかは明かでな
く未知の因子の存在も示唆されている。しかし、血小板
産生の場は他の血液細胞と同様に骨髄内に限られてお
り、骨髄内における、上記因子を含むいくつかの因子の
分泌により血小板の産生が調節されている事が推察され
る。しかも、これらの因子の分泌は、生体内の制御機構
により微妙に調節されていると考えられる。
【0007】従って、上記因子を生体外より投与した場
合には、これらの調節機構の微妙なバランスは全く考慮
されず、このバランスのくずれが原因と思われる副作用
が認められる。このような副作用としては、例えば急性
期蛋白誘導作用をはじめとする肝傷害等があげられる。
【0008】他方、低分子で血小板の産生を刺激する物
質も知られている。
【0009】ムラミルディペプタイド(以下、「MD
P」という。)等の誘導体はサルの血小板数を増加させ
る事が報告されている(R. Nakajima 等、Arzneim.-For
sch./Drug Res. 41 巻、60-65 頁、(1989))。これらの
薬剤は単球・マクロファージを活性化しIL−6等の産
生を介して血小板数を増加させると考えられている。し
かし、投与と同時にマクロファージの活性化に基づく他
の生理作用、たとえばIL−1(インターロイキン−
1)・TNF(Tumor Necrosis Factor :腫瘍壊死因
子)などのモノカイン産生が起こり発熱等の副作用が起
こることが知られている(日本医学放射線学会誌、48、
(4) 、514 、(1988))。
【0010】血小板を含む血球の産生メカニズムについ
ては造血幹細胞と呼ばれる共通の前駆細胞からさまざま
な造血因子や細胞間相互作用を介して各種成熟血液細胞
が産生されると考えられているが、その詳しいメカニズ
ムについては殆ど明らかにされていない。しかし、既知
の低分子化合物で血小板増多作用を持つ化合物は上記M
DP類の他はほとんど知られていなく、もしサイトカイ
ン並みの血小板増多作用を有する低分子化合物を発見で
きれば、遺伝子組換え製剤の一般的欠点(生産大腸菌に
よるLPS混在の危険性)や、上述した、上記サイトカ
インやMDP類の欠点を克服した薬剤を開発できる可能
性がある。
【0011】従って低分子の血小板増多作用を有する化
合物を見い出すことができれば、各種原因(免疫異常あ
るいは癌化学療法又は放射線療法の副作用等)による血
小板減少症の治療を目的とした臨床的利用が可能にな
る。
【0012】なお、特開平1-304893号、特開平2-186 号
及びザ・ジャーナル・オブ・アンティビオティックス
[(The Journal of Antibiotics)42 巻,1331〜1343頁,
(1989)] にはストレプトマイセス(Streptomyces)属の放
線菌の代謝物として2−ピラノン誘導体類が知られてい
る。しかしながらその作用については一部化合物におい
て植物病原カビに対する抗菌活性と白血病細胞に対する
細胞毒性が知られるのみであり本発明における生理作用
については全く知られていない。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】本発明者等は癌化学療
法・放射線療法の副作用軽減作用を有する治療剤開発を
目的として種々の化合物を鋭意研究した結果、2−ピラ
ノン誘導体類が、顕著な血小板増多作用を有する事を見
い出して本発明を完成した。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明は、 一般式(I):
【0015】
【化4】
【0016】(式中、Rは水素原子、ブチリルオキシ
基、イソブチリルオキシ基、イソバレリルオキシ基、2
−メチルブチリルオキシ基、シクロヘキサンカルボニル
オキシ基、4−メチルヘキサノイルオキシ基、5−メチ
ルヘキサノイルオキシ基、6−メチルヘプタノイルオキ
シ基、シクロヘキシルエチルカルボニルオキシ基、オク
タノイルオキシ基、6−メチルオクタノイルオキシ基又
は7−メチルオクタノイルオキシ基を示す。)で表され
る化合物又はその薬理上許容される塩を有効成分とする
血小板増多剤に関し、好適には、 一般式(I):
【0017】
【化5】
【0018】(式中、Rは水素原子、5−メチルヘキサ
ノイルオキシ基、6−メチルオクタノイルオキシ基又は
7−メチルオクタノイルオキシ基を示す。)で表される
化合物またはその薬理上許容される塩を有効成分とする
血小板増多剤に関し、さらに好適には、一般式(I):
【0019】
【化6】
【0020】(式中、Rは水素原子又は6−メチルオク
タノイルオキシ基を示す。)で表される化合物又はその
薬理上許容される塩を有効成分とする血小板増多剤に関
する。なお、本発明において、上記式中のRが、 水素原子の化合物を 化合物1、 ブチリルオキシ基の化合物を 化合物2、 イソブチリルオキシ基の化合物を 化合物3、 イソバレリルオキシ基の化合物を 化合物4、 2−メチルブチリルオキシ基の化合物を 化合物5、 シクロヘキサンカルボニルオキシ基の化合物を 化合物6、 4−メチルヘキサノイルオキシ基の化合物を 化合物7、 5−メチルヘキサノイルオキシ基の化合物を 化合物8、 6−メチルヘプタノイルオキシ基の化合物を 化合物9、 シクロヘキシルエチルカルボニルオキシ基の化合物を 化合物10、 オクタノイルオキシ基の化合物を 化合物11、 6−メチルオクタノイルオキシ基の化合物を 化合物12、 7−メチルオクタノイルオキシ基の化合物を 化合物13、 とそれぞれ定義する。
【0021】本発明において「血小板増多剤」とは、該
薬剤を人体に投与する事により体内における血小板産生
を誘導し、免疫異常あるいは癌化学療法又は放射線療法
の副作用等による血小板減少症の治療を可能ならしめる
薬剤をいう。本発明の前記式を有する2−ピラノン誘導
体類は薬理上許容される無毒性の塩の形で使用すること
ができる。そのような塩としては、例えばナトリウム、
カリウムのようなアルカリ金属;リジン、アルギニンの
ような塩基性アミノ酸;などとの塩をあげる事ができ
る。更に、本発明の前記式を有する2−ピラノン誘導体
類は薬理上許容される無毒性の酸付加塩の形で使用する
ことができる。そのような酸付加塩としては、例えば塩
酸、硫酸、硝酸、燐酸のような無機酸;酢酸、コハク
酸、マレイン酸、フマール酸、リンゴ酸、グルタミン
酸、アスパラギン酸、p−トルエンスルホン酸、メタン
スルホン酸のような有機酸;などとの酸付加塩をあげる
事ができる。
【0022】しかしながら、本発明の薬理上許容される
塩はこれらに限定されるものではない。
【0023】本発明の前記式を有する2−ピラノン誘導
体類は種々の異性体を有する。前記式においては、これ
ら異性体およびこれら異性体の混合物がすべて単一の式
で示されている。従って本発明においてはこれら異性体
およびこれら異性体の混合物もすべて含むものである。
【0024】本発明の前記式を有する2−ピラノン誘導
体類のうちRが水素原子またはブチリルオキシ基、イソ
ブチリルオキシ基、イソバレリルオキシ基、2−メチル
ブチリルオキシ基、シクロヘキサンカルボニルオキシ
基、4−メチルヘキサノイルオキシ基、6−メチルヘプ
タノイルオキシ基、シクロヘキシルエチルカルボニルオ
キシ基またはオクタノイルオキシ基の化合物はいずれも
公知の化合物であり、例えばRが水素原子またはイソブ
チリルオキシ基、イソバレリルオキシ基、シクロヘキサ
ンカルボニルオキシ基、4−メチルヘキサノイルオキシ
基の化合物は J. Antibiotics (vol.42、pp.1019-1036(1989))に
記載されており、また、Rが水素原子またはブチリルオ
キシ基、イソブチリルオキシ基、イソバレリルオキシ
基、2−メチルブチリルオキシ基、シクロヘキサンカル
ボニルオキシ基、4−メチルヘキサノイルオキシ基、6
−メチルヘプタノイルオキシ基、シクロヘキシルエチル
カルボニルオキシ基またはオクタノイルオキシ基の化合
物は特開平1-304893号に開示されている。
【0025】一方、Rが5−メチルヘキサノイルオキシ
基、6−メチルオクタノイルオキシ基、7−メチルオク
タノイルオキシ基の化合物は新規化合物である。
【0026】本発明の一般式(I)を有する2−ピラノ
ン誘導体類のうち化合物7〜化合物13は、ストレプトマ
イセス・プラテンシス(Streptomyces platensis)SA
NK60191(微工研条寄第3288号)を培養し、
その培養液より分取することができる。
【0027】以下に、ストレプトマイセス・プラテンシ
スSANK 60191の菌学的性状を示す。
【0028】1.形態学的特徴 ISP[インターナショナル・ストレプトマイセス・プ
ロジェクト(International Streptomyces Project)]
規定の寒天培地上 28 ℃、14日間培養後、顕微鏡下観
察では、SANK 60191の基生菌糸は良好に伸
長、分岐し、黄味灰ないし薄黄味橙色を示すが、ノカル
ディア(Nocardia)属菌株様の断裂やジグザグ伸長は観
察されない。気菌糸は単純分岐である。胞子鎖の形態は
ゆるい螺旋状を示し、10ないし50またはそれ以上の
胞子の連鎖を形成する。走査型電子顕微鏡による観察で
は、胞子の表面構造は平滑(Smooth)状を示す。胞子は
卵形ないし楕円形で、その大きさは 0.5 〜 0.6 x
0.6 〜1.3 μm である。また気菌糸の車軸分岐、菌
核、菌糸の断裂、胞子のうなどの特殊器官は観察されな
い。
【0029】2.各種培養基上の諸性質 各種培養基上で 28 ℃、14日間培養後の性状は表1に
示すとおりである。色調の表示は日本色彩研究所版、”
標準色表”のカラーチップ・ナンバーを表す。本菌株は
培養時間の経過とともに湿潤化し、黒味を帯びてくる。
【0030】
【表1】 培地の種類 項目 SANK 60191株の性状 シュクロース・ G: 良好、平坦、薄黄味橙(2-9-9) 硝酸塩寒天 AM: 良好にビロード状、明るい茶味灰(2-7-8) R: 薄茶(2-8-9) SP: 産生せず グルコース・ G: 良好、平坦、薄黄味橙(2-9-9) アスパラギン寒天 AM: 余り良くない、ビロード状、白 R: 薄茶(2-8-9) SP: 産生せず グリセリン・ G: 非常に良好、平坦、薄黄味橙(2-9-9) アスパラギン寒天 AM: 余り良くない、ビロード状、茶味灰(2-6-8) (ISP 5) R: 薄黄味茶(4-8-9) SP: 産生せず 澱粉・無機塩寒天 G: 良好、平坦、薄黄味橙(2-9-9) (ISP 4) AM: 良好、ビロード状、茶味白(1−6−6) R: 茶味灰(2−5−9) SP: 産生せず SC: 気菌糸は黒湿化する チロシン寒天 G: 非常に良好、平坦、薄黄味橙(2-9-9) (ISP 7) AM: 良好、ビロード状、白、明るい茶味灰(2-7-8) 班点 R: 薄黄味茶(4-8-9) SP: 産生せず 栄養寒天 G: 良好、平坦、薄黄味橙(2-9-9) (DIFCO) AM: 余り良くない、ビロード状、白 R: 薄黄味茶(4-8-9) SP: 産生せず イーストエキス・ G: 非常に良好、平坦、薄黄味橙(2-9-9) 麦芽エキス寒天 AM: 豊富に形成、ビロード状、明るい茶味白(1-7-6 ) (ISP 2) R: 薄黄味茶(6-7-9) SP: 産生せず SC: 気菌糸は黒湿化する オートミール寒天 G: 良好、平坦、薄黄味橙(2-9-9) (ISP 3) AM: 良好、ビロード状、暗い茶味灰(1-4-6) R: 黄味茶(4-6-9) SP: 産生せず 水寒天 G: 余り良くない、平坦、黄味灰(1-9-10) AM: 余り良くない、ビロード状、茶味灰(2−5−
8) R: 明るい茶味灰(2−7−8) SP: 産生せず ポテトエキス・ G: 余り良くない、平坦、黄味灰(1-9-10) 人参エキス寒天 AM: 余り良くない、ビロード状、茶味灰(2-5-8) R: 明るい茶味灰(2-7-8) SP: 産生せず G:生育,AM:気菌糸,R:裏面,SP:可溶性色
素、SC:特殊性状 3.生理学的性質 28℃で培養後、2ないし21日間に観察した SAN
K 60191株の生理学的性質は表2に示したとおり
である。
【0031】
【表2】 *:培地1;トリプトン・イーストエキス・ブロス(ISP
1) 2;ペプトン・イーストエキス・鉄寒天(ISP 6) 3;チロシン寒天(ISP 7) 4;イーストエキス・麦芽エキス寒天(ISP 2) また、プリドハム・ゴトリーブ寒天培地(ISP 9 )を使
用して、28℃、14日間培養後に観察した SANK
60191株の炭素源の資化性は表3に示すとおりで
ある。
【0032】
【表3】 D−グルコース + D−フルクトース + L−アラビノース − L−ラムノース − D−キシロース − シュクロース + イノシトール + ラフィノース + D−マンニトール + 対 照 − +:利用する、−:利用しない 4.菌体成分について SANK 60191株の細胞壁はビー・ベッカーらの
方法〔B. Becker et al.,Applied Microbiology, 12
巻、 421〜423 頁、1984 年〕に従い検討した結果、L
L−ジアミノピメリン酸およびグリシンが検出されたこ
とから細胞壁タイプIであることが確認された。また、
SANK 60191株の全細胞壁中の糖成分をエム・
ピー・レシェバリエの方法〔M. P. Lechevalier, Jou
rnal of Laboratory & Clinical Medicine, 71 巻、83
4 頁、1968 年〕に従い検討した結果、特徴的なパター
ンは認められなかった。
【0033】以上の菌学的性質から、本菌株は放線菌の
中でもストレプトマイセス (Streptomyces)属に属する放線菌であることが明らか
にされた。シャーリングとゴットリーブによるISP菌
株記載[(E. B. Shirling and D. Gottlieb)、インタ
ーナショナル・ジャーナル・オブ・システマティック・
バクテリオロジー(International Journal of Systema
tic Bacteriology)第 18 巻、68-189 頁( 1968
年)、第 18 巻、279-392 頁( 1968 年)、第 19 巻、
391-512 頁( 1969 年)、第 22 巻、265-394 頁( 197
2 年)]、ワックスマン著、ジ・アクチノミセテス(S.
A. Waksman 、The Actinomycetes )第 2 巻、ブキャ
ナンとギボンズ編、バージーズ・マニュアル(R. E. Bu
chanan and N. E. Gibbons、Bergey's Manual of Deter
minative Bacteriology )第 8 版( 1974 年)、バー
ジーズ・マニュアル(Bergey's Manual of Systematic
Bacteriology)第 4 巻(1989 年)、およびストレプ
トマイセス(Streptomyces)属放線菌に関する最近の文
献に記載されている菌種と比較したところ、ストレプト
マイセス・プラテンシス(Streptomyces platensis)に
極めて近縁であることが判明した。さらに、SANK
60191株はイースト・デキストロース培地による液
体培養において鮮明な赤味茶色の可溶性色素を産生し、
0.05N HClの添加により黄色系に変化し、0.
05N NaOHの添加により何らの変化も生じなかっ
た。しかしながら、ストレプトマイセス・プラテンシス
(Streptomyces platensis)はイースト麦芽寒天、オー
トミール寒天、澱粉無機塩寒天、グリセリン・アスパラ
ギン寒天培地上では赤色系または黄色系色素を産生する
がSANK 60191株はほとんど産生しない点にお
いて差異が認められた。このような菌学的特徴を有する
SANK 60191株は明らかにストレプトマイセス
・プラテンシス(Streptomyces platensis)とは異なる
新菌株であると思われるが、可溶性色素の生産性の差の
みを持って種を区別することはできないため本SANK
60191株はストレプトマイセス・プラテンシス
(Streptomyces platensis)と同定された。
【0034】本菌株は、平成3年(1991年)2月1
9日に、微生物工業技術研究所に寄託され、寄託番号と
して、微工研条寄第3288号(FERM BP−32
88号)が付与された。
【0035】本発明の2−ピラノン誘導体類のうち、化
合物7〜13の化合物を得るため、この微生物の培養は他
の発酵生産物を発酵生成物を生産するために用いられる
ような培地中で行われる。このような培地には、微生物
が資化できる炭素源、窒素源および無機塩を含有する。
【0036】一般に、炭素源としてグルコース、フラク
トース、マルトース、シュークロース、マンニトール、
グリセロール、デキシトリン、オート麦、ライ麦、トウ
モロコシデンプン、ジャガイモ、トウモロコシ粉、大豆
粉、綿実油、糖蜜、クエン酸、酒石酸などを単一に、あ
るいは併用して用いる事ができる。一般には培地量の1-
10 重量%で変量する。
【0037】窒素源としては、一般に蛋白質を含有する
物質を発酵工程に用いる。適当な窒素源としては、大豆
粉、フスマ、落花生粉、綿実油、綿実粉、カゼイン加水
分解物、ファーマミン、魚粉、コーンスチープリカー、
ペプトン、肉エキス、イースト、イーストエキス、マル
トエキス、硝酸ナトリウム、硝酸アンモニウム、硫酸ア
ンモニルム等である。窒素源は、単一または併用して培
地量の 0.2-6 重量%の範囲で用いる。
【0038】培地中に取り入れる栄養無機塩は、ナトリ
ウム、アンモニウム、カルシウム、フォスフェート、サ
ルフェート、クロライド、カーボネート等のイオンを得
ることのできる通常の塩類である。また、カリウム、カ
ルシウム、コバルト、マンガン、鉄、マグネシウム等の
微量の金属も含む。
【0039】液体培養に際しては、消泡剤としてシリコ
ン油、植物油、界面活性剤等が使用される。
【0040】ストレプトマイセス・プラテンシス(Stre
ptomyces platensis)SANK 60191株を培養
し、前述の2−ピラノン誘導体類を生産する培地の pH
は、5.0-7.0 に変化させる事が出来る。
【0041】菌の生育温度は 9 ℃ から 37 ℃ まで
であるが 20 ℃ から 35 ℃ の範囲が生育良好であ
り、更に2−ピラノン誘導体類の生産には、22 ℃ か
ら30 ℃ が好適である。
【0042】2−ピラノン誘導体類は、好気的に培養し
て得られるが通常用いられる好気的培養法、例えば個体
培養法、振とう培養法、通気撹拌培養法等が用いられ
る。
【0043】小規模な培養においては、28 ℃ で数日
間振とう培養を行うことが良好である。
【0044】培養は、バッフル(水流調節壁)のついた
三角フラスコ中、1−2段階の種の発育工程により開始
する。種発育段階の培地は、炭素源および窒素源を併用
できる。種フラスコは定温インキュベーター中で 28
℃、 3 日間振とうするか、または充分に成長するまで
振とうする。成長した種は第二の種培地、または生産培
地に接種するのに用いる。中間の発育工程を用いる場合
には、本質的に同様の方法で成長させ、生産培地に接種
するためにそれを部分的に用いる。接種したフラスコを
一定温度で数日間振とうし、インキュベーションが終わ
ったらフラスコの含有物を遠心分離またはろ過する。
【0045】大量培養の場合には、撹拌機、通気装置を
付けた適当なタンクで培養するのが好ましい。この方法
によれば、栄養培地をタンクの中で作成出来る。栄養培
地を125℃ まで加熱して滅菌し、冷却後、滅菌培地に
あらかじめ成長させてあった種を接種する。培養は 28
℃ で通気撹拌して行う。この方法は、多量の化合物を
得るのに適している。
【0046】培養の経過に伴って生産される2−ピラノ
ン誘導体類の量の経時変化は、高速液体クロマトグラフ
ィーを用いて測定することが出来る。通常は、48 時間
から96 時間の培養で2−ピラノン誘導体類の生産量は
最高値に達する。
【0047】培養終了後、培養液中の液体部分及び菌体
内に存在する2−ピラノン誘導体類を、その物理化学的
性状を利用し抽出精製することにより得られる。例え
ば、ろ液または上清中に存在する2−ピラノン誘導体類
は、酸性 pH 条件下で水と混和しない有機溶剤、例えば
酢酸エチル、クロロホルム、塩化エチレン、塩化メチレ
ン、ブタノール等の単独または、それらの組み合わせに
より抽出精製することができる。また塩基性 pH 条件
下で上記有機溶剤の単独または、それらの組み合わせに
より不純物の抽出除去を行い、精製することができる。
あるいは吸着剤として、例えば活性炭または吸着用樹脂
であるアンバーライトXAD−2、XAD−4(ローム
・アンド・ハース社製)等や、ダイアイオンHP−1
0、HP−20、CHP−20、HP−50(三菱化成
(株)製)等が使用される。2−ピラノン誘導体類を含
む液を上記のごとき吸着剤の層を通過させて不純物を吸
着させて取り除くか、または2−ピラノン誘導体類を吸
着させた後、メタノール水、アセトン水、n−ブタノー
ル水などを用いて溶出させることにより得られる。ま
た、菌体内に存在する2−ピラノン誘導体類は、 50-90
%の含水アセトンまたは含水メタノールにより抽出し
有機溶剤を除去した後、ろ液と同様な抽出精製操作を行
うことにより得られる。
【0048】このようにして得られた2−ピラノン誘導
体類は、更にシリカゲル、マグネシウム−シリカゲル系
のフロリジルのような担体を用いた吸着カラムクロマト
グラフィー、セファデックスLH−20(ファルマシア
社製)などを用いた分配カラムクロマトグラフィー、お
よび順層、逆層カラムを用いた高速液体クロマトグラフ
ィー等で精製することが出来る。
【0049】以上の分離、精製の手段を単独または適宜
組み合わせ反復用いることにより2−ピラノン誘導体類
を分離精製することが出来る。
【0050】また、本発明の一般式(I)を有する2−
ピラノン誘導体類のうち、化合物1〜7及び化合物9〜
11をストレプトマイセス・プラテンシス(Streptomyces
platensis )SANK62491(微工研条寄3704
号:FERM BP−3704)を培養した培養液よ
り分取することがでできる。
【0051】本菌株は、微生物工業技術研究所にストレ
プトマイセス・プラテンシス (Streptomyces platensis )SAM−0654株(微
工研条寄1668号:FERM BP−1668)の菌
名にて寄託されていた菌株の分譲を受け、同一の菌株に
ついて平成4年(1992年)1月8日に菌名ストレプ
トマイセス・プラテンシス(Streptomyces platensis
)SANK62491株として微生物工業技術研究所
に再寄託され、寄託番号として、微工研条寄第3704
号(FERM BP−3704)が付与されたものであ
る。
【0052】該菌株の菌学的性状は、特開平1-304893号
に記載されている。
【0053】また、本発明の一般式(I)を有する2−
ピラノン誘導体類のうち、化合物1〜7及び化合物9〜
11をストレプトマイセス・プラテンシス(Streptomyces
platensis )SANK62491(微工研条寄3704
号:FERM BP−3704)を培養した培養液よ
り分取する方法も、特開平1-304893号に記載されてい
る。
【0054】各種2−ピラノン誘導体類の血小板増多活
性は、基本的にはIshibashi 等の方法(Blood、 74巻、
1241-1244 巻、1989年)により測定できる。すなわち、
血小板測定の動物として、例えばC57BL マウスを用い、
まず検討する薬剤の適用濃度を原則として生理的食塩水
に溶解し、腹腔内投与する。投与回数は通常12時間から
24時間間隔で 5日間連続投与し、最終投与後12時間から
24時間後に採血し血小板を測定する。測定に用いる動物
は、他の系統のマウスを用いてもよいし、またラット、
イヌ、サル等の他のいかなる系統のものを用いてもよ
い。
【0055】検討する薬剤が生理的食塩水に溶解しにく
いときは、少量の溶解補助剤または懸濁剤等を用いても
よい。
【0056】かかる活性測定における投与方法として
は、経口投与、あるいは、静脈内、筋肉内又は皮下にお
ける注射などの非経口投与等いかなる方法を用いてもよ
い。投与間隔、投与回数、投与日数も検討する薬剤によ
って適宜変更してもよい。血小板数の測定は、多項目自
動血球計数装置(たとえば、SYSTEM-9000 : Serono-Ba
ker Diagnostics 社製)を用いた電気抵抗法により測定
する方法が簡便だが、他のいかなる方法を用いてもよ
い。
【0057】本発明の前記式を有する化合物は種々の形
態で投与される。その投与形態としては例えば錠剤、カ
プセル剤、顆粒剤、散剤、シロップ剤等による経口投与
または注射剤(静脈内、筋肉内、皮下)、点滴剤、座剤
等による非経口投与をあげることができる。これらの各
種製剤は、常法に従って主薬に賦形剤、結合剤、崩壊
剤、滑沢剤、矯味矯臭剤、溶解補助剤、懸濁剤、コーテ
ィング剤などの医薬の製剤技術分野において通常使用し
うる既知の補助剤を用いて製剤化する事ができる。その
使用量は症状、年齢、体重、投与方法によって異なる
が、通常は成人に対して1日 1 mg から 200 mg を投与
する事ができる。
【0058】
【実施例】以下に参考例、実施例、製剤例をあげて本発
明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらに限定さ
れるものではない。
【0059】参考例1. 2−ピラノン誘導体類の製造
法(培養と単離) A)培養 ストレプトマイセス・プラテンシス(Streptomyces pla
tensis)SANK 60191株(微工研条寄第328
8号)と命名した2−ピラノン誘導体類産生株を無菌的
に滅菌した後述の組成の培地 100 ml を含むバッフル付
の 500 ml 三角フラスコに 1 白金耳接種し、28 ℃で
200 rpm (7 cm の回転半径)のロータリー振盪培養
機で 3 日間培養した。
【0060】4 基の 30 L ステンレス製ジャーファーメ
ンター中に、各々 15 L づつの種培養と同一の組成の培
地を入れ、これを 120 ℃ で 30 分間加熱殺菌した。
次いで、これに上述の種培養液を 150 ml 入れ、28 ℃
で 3 日間、15 L/分の空気流量で溶存酸素濃度を 5
ppm に保つため撹拌速度を 100−300 rpm の範囲で自
動的にコントロールし撹拌培養した。
【0061】 B)単離 得られた培養液 60 L にろ過助剤としてセライト 545
(米国ジョーンズ・マンビル・プロジェクト・コーポレ
ーション製)を 2.4 kg 加えてろ過を行い、菌体7.2kg
を得た。得られた菌体は 50 % アセトン 30 L で 1
回、80 % アセトン20L でさらに 2 回抽出し、抽出
液を合併後ロータリーエバポレーターで有機溶媒を除去
し、さらに塩酸で pH 2.0 に調整し、酢酸エチル 10 L
で 2 回抽出した。得られた酢酸エチル層に 1 % 重炭
酸ソーダ 10 L を添加し、活性画分を水層に転溶させ、
酢酸エチル層はもう一度 1 % 重炭酸ソーダ 5 L を添
加、抽出した。得られた重炭酸ソーダ液を合併後、塩酸
で pH 2.0 に調整し酢酸エチル10 L で2回抽出した。
【0062】得られた酢酸エチル層は順次、水、飽和食
塩水で洗浄し、さらに無水硫酸ナトリウムで乾燥した
後、ロータリーエバポレーターで減圧下、メタノールを
添加しながら濃縮して 10 ml の油状物を得た。
【0063】得られた油状物を 100 ml の60 % メタノ
ールに溶解し、セップパックバックC18 20 cc(米国ウ
ォーターズ社製)に吸着させ、ついで不用物を 30 ml
の 60 % メタノールで溶出し、その後 100 % メタノー
ル 15 ml で2−ピラノン誘導体類を溶出させ濃縮し、
油状物800 mg を得た。得られた油状物をメタノール10
ml に溶解し、高速液体クロマトグラフィーを用いて
分取を行った。以下の分取条件で分取を行い、13分、19
分、24分付近のピークをそれぞれ集め粗画分A、粗画分
Bおよび粗画分Cとした。
【0064】分取条件 カラム:ラジアルパック 25 x 10 (米国ウォーターズ
社製) 溶離液:50 % アセトニトリル− 0.5 %トリエチルアミ
ン−燐酸緩衝液 pH 3.0 流速: 9 ml/min 測定波長: 230 nm 各ピークをそれぞれ濃縮後、さらに高速液体クロマトグ
ラフィーを用いて分取を行った。粗画分Aは以下の分取
条件で分取を行い 53 分付近と56分付近のピークを集
め、セップパックにて脱塩、濃縮し、化合物7と化合物
8の2−ピラノン誘導体をそれぞれ 22.03mg, 11.66 mg
得る事ができた。
【0065】粗画分Aの分取条件 カラム:コスモシール 5C 18-AR 20 x 250 mm (ナカラ
イテスク社製) 溶離液:42 % アセトニトリル− 0.5 %トリエチルアミ
ン−燐酸緩衝液 pH 3.0 流速: 9 ml/min 測定波長: 230 nm 化合物7について構造式及び理化学的性状を同定したと
ころ、特開平1−304893号に記載されている化合
物と同一の化合物であることが判明した。
【0066】化合物8については、以下の構造式及び理
化学的性状が見出された。
【0067】1)構造式
【0068】
【化7】
【0069】2)物質の性状: 酸性脂溶性 3)物質の色: 淡黄色の油状 4)分子式: C325210NP 5)分子量: 641(FAB-MS法により測定) 6)紫外吸収スペクトル:メタノール中で234 nm の
極大吸収を示す。
【0070】7)赤外吸収スペクトル:薄膜法(Neat)
で測定した赤外吸収スペクトルは、以下の極大吸収を示
す(νcm-1)。
【0071】 2933、2867、1728、1464、1383、1248、1176、1056、969 8) 1H−核磁気共鳴スペクトル:重メタノール中、内
部基準にテトラメチルシランを使用して測定した核磁気
共鳴スペクトル(270 MHz )は、いかに示す通りであ
る。
【0072】7.08(1H,dd,J=9.8オヨヒ゛4.9Hz)、 6.21-6.35
(2H,m)、 6.06(1H,dd,J=15.6オヨヒ゛6.1Hz)、 6.02(1H,dd,J=9.8オヨヒ゛1.4Hz)、 5.94(1H,d,J=15.6Hz)、
5.46(1H,m)、 5.31(1H,m)、 5.10(1H,dd,J=6.1オヨヒ゛4.4Hz)、 4.94(1H,m)、 4.72(1H,
m)、 4.29(1H,td,J=10.1,10.1オヨヒ゛2.4Hz)、 2.93-3.15(2H,m)、
2.50-2.71(2H,m)、 2.25(2H,t,J=7.6Hz)、 2.16(1H,m)、 0.99-2.01(18H,m)、
0.95(3H,t,J=7.6Hz)、0.89(6H,d,J=6.8Hz) 9)13C−核磁気共鳴スペクトル:(δ:ppm ) 重メタノール中、内部基準にテトラメチルシランを使用
して測定した核磁気共鳴スペクトル(270 MHz )は、次
に示す通りである。
【0073】11.4(q) 、22.7(t) 、22.9(q) 、22.9(q)
、24.0(t) 、24.7(t) 、28.9(d) 、32.4(t) 、33.1(t)
、34.3(t) 、35.7(t) 、36.1(d) 、37.1(t) 、39.4(t)
、39.5(t) 、40.6(d) 、40.6(t) 、64.7(d) 、73.9(d)
、77.8(s) 、78.5(d) 、82.3(d) 、121.1(d)、123.7
(d)、124.3(d)、127.7(d)、135.3(d)、137.3(d)、138.2
(d)、152.7(d)、166.3(s)、175.0(s) 10)溶解性:メタノール、エタノール、ブタノール等
のアルコール類、アセトン、クロロホルム、酢酸エチ
ル、ジメチルスルホキシドに可溶、水に難溶、n−ヘキ
サンに不溶。
【0074】11)呈色反応:硫酸、ヨード、ニンヒド
リン、モリブデン酸アンモニウム過塩素酸反応に陽性。
【0075】12)高速液体クロマトグラフィー: 分離カラム; コスモシール 5C18−AR (カラムサイズ、φ4.6x250mm 、ナカライテスク社製) 溶媒; 45 %アセトニトリル−トリエチルアミン(0.
5 % )燐酸緩衝液(pH3) 流速; 1 ml/分 波長; 230 nm 保持時間; 9.06分および9.16分 粗画分Bは以下の分取条件で分取を行い 74 分、79分お
よび82分付近のピークを集め、セップパックにてそれぞ
れ脱塩、濃縮し、化合物9、化合物10、化合物11の2−
ピラノン誘導体をそれぞれ、26.16 mg、23.24 mg、3.24
mg 得る事ができた。
【0076】粗画分Bの分取条件 カラム:コスモシール 5C 18-AR 20 x 250 mm (ナカラ
イテスク社製) 溶離液:45 % アセトニトリル− 0.5 %トリエチルアミ
ン−燐酸緩衝液、pH 3.0 流速: 9 ml/min 測定波長: 230 nm 化合物 9、10及び11について構造式及び理化学的性状を
同定したところ、特開平1-304893号に記載されている化
合物と同一の化合物であることが判明した。
【0077】粗画分Cは以下の分取条件で分取を行い、
47 分および51分付近のピークを集め、セップパックに
てそれぞれ脱塩、濃縮し、化合物12と化合物13の2−ピ
ラノン誘導体をそれぞれ、9.83 mg 、5.22 mg 得る事が
できた。 粗画分Cの分取条件 カラム:コスモシール 5C 18−AR 20 x
250 mm (ナカライテスク社製) 溶離液:47 % アセトニトリル− 0.5 %トリエチルアミ
ン−燐酸緩衝液 pH 3.0 流速: 9 ml/min 測定波長: 230 nm 化合物12については、以下の構造式及び理化学的性状が
見出された。
【0078】1)構造式
【0079】
【化8】
【0080】2)物質の性状: 酸性脂溶性 3)物質の色: 淡黄色の油状 4)分子式: C345610NP 5)分子量: 669(FAB-MS法により測定) 6)紫外吸収スペクトル:メタノール中で234 nm の
極大吸収を示す。
【0081】7)赤外吸収スペクトル:薄膜法(Neat)
で測定した赤外吸収スペクトルは、以下の極大吸収を示
す(νcm-1)。
【0082】 2927、2855、1729、1463、1380、1250、1172、1056、968 8) 1H−核磁気共鳴スペクトル:重メタノール中、内
部基準にテトラメチルシランを使用して測定した核磁気
共鳴スペクトル(270 MHz )は以下に示す通りである。
【0083】7.09(1H,dd,J=9.8オヨヒ゛4.9Hz)、 6.21-6.35
(2H,m)、 6.07(1H,dd,J=15.6オヨヒ゛6.1Hz)、 6.02(1H,dd,J=9.8オヨヒ゛
1.5Hz)、 5.94(1H,d,J=15.6Hz)、 5.46(1H,m)、 5.31(1H,m)、 5.10
(1H,dd,J=6.1オヨヒ゛4.4Hz) 4.94(1H,m)、 4.72(1H,m)、 4.29(1H,td,J=9.9,9.9オヨヒ゛2.
6Hz)、 2.93-3.15(2H,m)、 2.50-2.71(2H,m)、 2.27(2H,t,J=7.3H
z)、 2.17(1H,m)、 1.00-2.01(22H,m)、 0.95(3H,t,J=7.5Hz)、 0.87(3H,t,J=6.8Hz)、 0.86(3H,d,J=6.6Hz) 9)13C−核磁気共鳴スペクトル:(δ:ppm ) 重メタノール中、内部基準にテトラメチルシランを使用
して測定した核磁気共鳴スペクトル(270 MHz )は次に
示す通りである。
【0084】11.4(q) 、11.7(q) 、19.6(q) 、22.7(t)
、24.7(t) 、26.4(t) 、27.6(t) 、30.6(t) 、32.4(t)
、33.1(t) 、34.1(t) 、35.5(t) 、35.5(d) 、36.1(d)
、37.1(t) 、37.3(t) 、39.4(t) 、40.6(d) 、40.6(t)
、64.7(d) 、73.9(d) 、77.8(s) 、78.5(d) 、82.3(d)
、121.0(d)、123.7(d)、124.3(d)、127.7(d)、135.2
(d)、137.4(d)、138.2(d)、152.7(d)、166.4(s)、175.1
(s) 10)溶解性:メタノール、エタノール、ブタノール等
のアルコール類、アセトン、クロロホルム、酢酸エチ
ル、ジメチルスルホキシドに可溶、水に難溶、n−ヘキ
サンに不溶。
【0085】11)呈色反応:硫酸、ヨード、ニンヒド
リン、モリブデン酸アンモニウム過塩素酸反応に陽性。
【0086】12)高速液体クロマトグラフィー: 分離カラム; コスモシール 5C18−AR (カラムサイズ、φ4.6x250mm 、ナカライテスク社製) 溶媒; 45 %アセトニトリル−トリエチルアミン(0.
5 % )燐酸緩衝液(pH3) 流速; 1 ml/分 波長; 230 nm 保持時間; 20.62 分および20.87 分 化合物13については、以下の構造式及び理化学的性状が
見出された。
【0087】1)構造式
【0088】
【化9】
【0089】2)物質の性状: 酸性脂溶性 3)物質の色: 淡黄色の油状 4)分子式: C345610NP 5)分子量: 669(FAB-MS法により測定) 6)紫外吸収スペクトル:メタノール中で234 nm の
極大吸収を示す。
【0090】7)赤外吸収スペクトル:薄膜法(Neat)
で測定した赤外吸収スペクトルは、以下の極大吸収を示
す(νcm-1)。
【0091】 2930、2856、1728、1464、1382、1252、1172、1056、968 8) 1H−核磁気共鳴スペクトル:重メタノール中、内
部基準にテトラメチルシランを使用して測定した核磁気
共鳴スペクトル(270 MHz )は以下に示す通りである。
【0092】7.08(1H,dd,J=9.8オヨヒ゛4.9Hz)、 6.21-6.35
(2H,m)、 6.07(1H,dd,J=15.6オヨヒ゛6.1Hz)、 6.02(1H,dd,J=9.8オヨヒ゛1.5Hz)、 5.94(1H,d,J=15.6Hz)、
5.46(1H,m)、 5.31(1H,m)、 5.10(1H,dd,J=6.1オヨヒ゛4.9Hz)、 4.94(1H,m)、 4.72(1H,
m)、 4.28(1H,td,J=10.1,10.1オヨヒ゛2.4Hz)、 2.93-3.15(2H,m)、
2.50-2.71(2H,m)、 2.27(2H,t,J=7.3Hz)、 2.16(1H,m)、 1.00-2.01(22H,m)、 0.95(3H,t,J=7.3Hz)、 0.88(6H,d,J=6.3Hz) 9)13C−核磁気共鳴スペクトル:(δ:ppm ) 重メタノール中、内部基準にテトラメチルシランを使用
して測定した核磁気共鳴スペクトル(270 MHz )は次に
示す通りである。 11.4(q) 、22.7(t) 、23.1(q) 、23.1(q) 、24.7(t) 、
26.2(t) 、28.2(t) 、29.1(d) 、30.4(t) 、32.4(t) 、
33.1(t) 、34.2(t) 、35.4(t) 、36.1(d) 、37.1(t) 、
39.4(t) 、40.0(t) 、40.6(d) 、40.6(t) 、64.6(d) 、
73.9(d) 、77.8(s) 、78.4(d) 、82.3(d) 、121.1(d)、
123.7(d)、124.3(d)、127.7(d)、135.2(d)、137.3(d)、
138.2(d)、152.7(d)、166.4(s)、175.0(s) 10)溶解性:メタノール、エタノール、ブタノール等
のアルコール類、アセトン、クロロホルム、酢酸エチ
ル、ジメチルスルホキシドに可溶、水に難溶、n−ヘキ
サンに不溶。
【0093】11)呈色反応:硫酸、ヨード、ニンヒド
リン、モリブデン酸アンモニウム過塩素酸反応に陽性。
【0094】12)高速液体クロマトグラフィー: 分離カラム; コスモシール 5C18−AR (カラムサイズ、φ4.6x250mm 、ナカライテスク社製) 溶媒; 45 %アセトニトリル−トリエチルアミン(0.
5 % )燐酸緩衝液(pH3) 流速; 1 ml/分 波長; 230 nm 保持時間; 21.90 分および22.19 分 参考例2. 2−ピラノン誘導体類の製造法(培養と単
離) ストレプトマイセス・プラテンシス(Streptomyces pla
tensis)SANK−62491(微工研条寄第3704
号)を特開平1-304893号に記載されている方法で培養
し、その培養液より特開平1-304893号に記載されている
方法で分取することができる。本方法により化合物1〜
7および化合物9〜11を得る事が出来る。
【0095】実施例1.2−ピラノン誘導体腹空内投与
によるマウス血小板増多作用 C57BL マウス(雄 7週齢)に2−ピラノン誘導体(0.00
6 % メタノール含有生理食塩水溶液)またはコントロー
ルとして0.006 % メタノール生理的食塩水を腹空内に24
時間ごとに3 〜6 日間連続投与し、最終投与24時間後に
採血し血小板数を測定した。血小板数は多項目自動血球
計数装置(SYSTEM-9000 Serono-BakerDiagnostics 社
製)により電気抵抗法により測定した。その結果として
2−ピラノン誘導体のうち化合物12を使用して検討した
例を表4に示す。
【0096】
【表4】 2−ピラノン誘導体のin vivo における血小板増多作用 R(化合物の側鎖) 投与量 投与日数 血小板数 ( mg/kg ) (日間) (MEAN ± S.E.M x 104) コントロール 0 3 84.00 ± 1.10 0 4 81.14 ± 2.19 0 5 78.54 ± 4.24 0 6 88.68 ± 1.20 化合物12 0.1 3 82.78 ± 4.49 0.1 4 88.58 ± 1.39 0.1 5 110.06 ± 2.62 0.1 6 115.16 ± 2.95 0.3 3 76.62 ± 7.48 0.3 4 101.78 ± 5.33 0.3 5 125.04 ± 2.24 0.3 6 152.22 ± 8.13 この結果2−ピラノン誘導体類はマウスにおいて明かな
血小板増多作用を有し投与量依存的に作用する事が判明
した。
【0097】毒性試験 BALB/c マウスを用い、2−ピラノン誘導体類をそれぞ
れ 2 mg/kg腹空内投与したが死亡例はなかった。
【0098】製剤例1.カプセル剤 処方 2−ピラノン誘導体 100 mg (化合物3) 乳糖 100 mg トウモロコシ澱粉 148.8 mg ステアリン酸マグネシウム 1.2 mg 全量 350 mg 上記処方の粉末を混合し、20 メッシュのふるいを通し
た後、この粉末 350mg を 2 号ゼラチンカプセルに
入れ、カプセル剤とした。
【0099】
【発明の効果】本発明の2−ピラノン誘導体類はin viv
o において顕著な血小板増多作用を有し、免疫異常ある
いは癌化学療法または放射線療法の副作用等による血小
板減少症の治療剤として有用である。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式(I): 【化1】 (式中、Rは水素原子、ブチリルオキシ基、イソブチリ
    ルオキシ基、イソバレリルオキシ基、2−メチルブチリ
    ルオキシ基、シクロヘキサンカルボニルオキシ基、4−
    メチルヘキサノイルオキシ基、5−メチルヘキサノイル
    オキシ基、6−メチルヘプタノイルオキシ基、シクロヘ
    キシルエチルカルボニルオキシ基、オクタノイルオキシ
    基、6−メチルオクタノイルオキシ基又は7−メチルオ
    クタノイルオキシ基を示す。)で表される化合物又はそ
    の薬理上許容される塩を有効成分とする血小板増多剤。
  2. 【請求項2】一般式(I): 【化2】 (式中、Rは水素原子、5−メチルヘキサノイルオキシ
    基、6−メチルオクタノイルオキシ基又は7−メチルオ
    クタノイルオキシ基を示す。)で表される化合物または
    その薬理上許容される塩を有効成分とする血小板増多
    剤。
  3. 【請求項3】一般式(I): 【化3】 (式中、Rは水素原子又は6−メチルオクタノイルオキ
    シ基を示す。)で表される化合物又はその薬理上許容さ
    れる塩を有効成分とする血小板増多剤。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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EP0622372A1 (en) * 1993-04-23 1994-11-02 Sankyo Company Limited New compound, leustroducsin H, its preparation and its therapeutic use
WO1997014704A1 (fr) * 1995-10-17 1997-04-24 Suntory Limited Medicament contre la thrombopenie

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