JPH05211006A - 高周波誘電体材料ならびに共振器およびその製造方法 - Google Patents

高周波誘電体材料ならびに共振器およびその製造方法

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JPH05211006A
JPH05211006A JP4231390A JP23139092A JPH05211006A JP H05211006 A JPH05211006 A JP H05211006A JP 4231390 A JP4231390 A JP 4231390A JP 23139092 A JP23139092 A JP 23139092A JP H05211006 A JPH05211006 A JP H05211006A
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oxide
high frequency
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glass
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敬三 川村
Makoto Furubayashi
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 高周波用共振器の共振周波数の温度係数τf
を零に近づける。 【構成】 ガラスと、誘電率の温度係数τεが正の酸化
物骨材と、τεが負の酸化物骨材とを用い、これらを所
定の体積比に配合し、高周波誘電体材料のτεを−12
ppm/℃程度に近づける。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、高周波用共振器に適し
た高周波誘電体材料と、共振器とその製造方法とに関す
る。
【0002】
【従来の技術】電気・電子機器の配線基板などに用いる
基板材料として、低温で焼成可能なものが開発されてお
り、これにより基板材料、導体、抵抗体等を例えば10
00℃以下の低温で同時一体焼成することが可能となっ
ている。このような低温焼成基板は、低周波領域例え
ば、周波数0.5GHz 程度以下で使用され、基板材料に
は、一般に、軟化点700〜900℃程度のガラスと、
Al23 骨材とを含む低温焼結材料が用いられいる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、上記の
低温焼結材料を用いて形成した誘電体層を積層し、この
誘電体層間にストリップ線路を形成してトリプレート回
路とし、高周波用共振器を試作した。
【0004】しかし、上記の低温焼結材料を用いて形成
した誘電体層の誘電率は、温度により変化し、例えば周
波数2GHz における誘電率の温度係数τεは、130pp
m /℃程度ある。このため、高周波領域、例えば周波数
0.5GHz 以上で使用すると、温度変化により共振周波
数が大幅に変化してしまい、実用化が困難であることが
判明した。
【0005】本発明の目的は、高周波用共振器の共振周
波数の温度特性を改善した高周波誘電体材料と、このよ
うな高周波誘電体材料を用いた共振器とを提供すること
にある。
【0006】
【課題を解決するための手段】このような目的は、下記
(1)〜(12)の本発明により達成される。
【0007】(1)ガラスと、誘電率の温度係数τεが
正の酸化物骨材と、誘電率の温度係数τεが負の酸化物
骨材とを含有(ただし、酸化アルミニウムと酸化チタン
とをともに含有することはない)する高周波誘電体材
料。
【0008】(2)前記τεが正の酸化物骨材は、酸化
アルミニウムおよびチタン酸マグネシウムの1種以上で
あり、前記τεが負の酸化物骨材は、チタン酸カルシウ
ム、チタン酸ストロンチウムおよび酸化チタンの1種以
上であり、酸化アルミニウムと酸化チタンとをともに含
有するものではない上記(1)の高周波誘電体材料。
【0009】(3)前記τεが負の酸化物骨材としてチ
タン酸カルシウム、また前記τεが正の酸化物骨材とし
てチタン酸マグネシウムまたは酸化アルミニウムを含有
し、酸化物骨材中のチタン酸カルシウムの含有量が5〜
20体積%である上記(2)の高周波誘電体材料。
【0010】(4)前記τεが負の酸化物骨材としてチ
タン酸ストロンチウム、また前記τεが正の酸化物骨材
としてチタン酸マグネシウムまたは酸化アルミニウムを
含有し、酸化物骨材中のチタン酸ストロンチウムの含有
量が2〜10体積%である上記(2)の高周波誘電体材
料。
【0011】(5)前記τεが負の酸化物骨材として酸
化チタン、また前記τεが正の酸化物骨材としてチタン
酸マグネシウムを含有し、酸化物骨材中の酸化チタンの
含有量が10〜20体積%である上記(2)の高周波誘
電体材料。
【0012】(6)前記ガラスの組成が、 SiO2 :50〜70モル%、Al23 :5〜20モ
ル% B23 :0〜10モル%およびアルカリ土類金属酸化
物の1種以上:25〜45モル%である上記(1)ない
し(5)のいずれかの高周波誘電体材料。
【0013】(7)前記ガラスの2GHz 、−40〜12
5℃における誘電率の温度係数τεが150〜170pp
m/℃、40〜290℃における平均熱膨張係数が5.5
〜6.5×10-6deg-1 である上記(1)ないし(6)
のいずれかの高周波誘電体材料。
【0014】(8)誘電率の温度係数τεが、−40〜
+20ppm/℃である上記(1)ないし(7)のいずれか
の高周波誘電体材料。
【0015】(9)前記酸化物骨材およびガラス全体に
対する前記ガラスの含有量が50〜80体積%であり、
前記ガラスの軟化点が700〜900℃である上記
(1)ないし(8)のいずれかの高周波誘電体材料。
【0016】(10)上記(1)ないし(9)のいずれ
かの高周波誘電体材料を用いて形成した誘電体層を積層
し、少なくともこの誘電体層間にストリップ線路を形成
したことを特徴とする共振器。
【0017】(11)2GHz 、−40〜125℃におけ
る誘電率の温度係数τεが150〜170ppm/℃、40
〜290℃における平均熱膨張係数が5.5〜6.5×
10-6deg-1 のガラスと、酸化アルミニウム骨材と、酸
化チタン骨材とを用い、ガラス/(ガラス+骨材)量が
50〜80体積%、酸化チタン/(酸化チタン+酸化ア
ルミニウム)量が40〜60体積%となるように混合し
て高周波誘電体用材料を得、この高周波誘電体用材料を
用いて誘電体層の積層体を形成するとともに、この積層
体中に導体材料のストリップ線路を形成して焼成して共
振器を得、誘電率の温度係数τεが−40〜+20ppm/
℃の誘電体層として共振周波数の温度係数τfを低下さ
せる共振器の製造方法。
【0018】(12)前記ガラスの組成が、 SiO2 :50〜70モル%、Al23 :5〜20モ
ル% B23 :0〜10モル%およびアルカリ土類金属酸化
物の1種以上:25〜45モル%であり、その軟化点が
700〜900℃である上記(11)の共振器の製造方
法。
【0019】
【作用】本発明では、誘電率の温度係数τεが正の酸化
物骨材と、τεが負の酸化物骨材と、ガラスとを所定の
配合比に混合して高周波誘電体材料を構成し、高周波誘
電体材料のτεを零に近づける。このような高周波誘電
体材料を用いることにより共振器の共振周波数の温度係
数τfを零に近づけることができる。このため、高周波
領域、例えば周波数0.5GHz 以上で使用しても温度変
化による共振周波数の変動が小さい高周波用共振器が実
現する。
【0020】
【具体的構成】以下、本発明の具体的構成について詳細
に説明する。
【0021】本発明の高周波誘電体材料は、1000℃
程度以下、例えば800〜1000℃程度の低温で焼成
でき、周波数0.5GH以上、例えば0.5GHz 〜2GH
z の高周波領域で使用される共振器の基板材料であり、
ガラスと、酸化物骨材とを含有する。酸化物骨材として
は、誘電率の温度係数τεが正の酸化物骨材と、τεが
負の酸化物骨材とを用いる。
【0022】τεが正の酸化物骨材としては、例えばチ
タン酸マグネシウム(MgTiO3)、酸化アルミニウ
ム(Al23 )、R2 Ti27 (Rはランタノイド
元素の1種以上)、Ca2 Nb27 、SrZrO3
を挙げることができ、これらを単独で用いても、2種以
上併用してもよいが、このうち焼成の際ガラスと反応し
にくい等の点から、MgTiO3 、Al23 、R2
27 およびSrZrO3 の1種以上、特にMgTi
3 またはAl23 が好ましい。これらの2GHz での
−40〜125℃におけるτεは80〜300ppm /℃
程度であり、MgTiO3 のτεは+100ppm/℃程
度、Al23 のτεは120ppm /℃程度である。
【0023】また、これらの40〜290℃における平
均熱膨張係数αは6〜12×10-6deg-1 、特に6〜1
0×10-6deg-1 程度であり、MgTiO3 のαは9.
7×10-6deg-1 程度、Al23 のαは7.2×10
-6deg-1 程度である。
【0024】また、τεが負の酸化物骨材としては、例
えばチタン酸カルシウム(CaTiO3 )、チタン酸ス
トロンチウム(SrTiO3 )、酸化チタン(TiO
2 )、SnO2 ・TiO2 、ZrTiO4 、Ba2 Ti
920、Sr2 Nb27 、SrSnO3 等を挙げるこ
とができ、これらを単独で用いても2種以上併用しても
よいが、このうち焼成の際ガラスと反応しにくい等の点
からCaTiO3 、SrTiO3 およびTiO2 の1種
以上が好ましい。これらの2GHz でのτεは−30〜−
4000ppm /℃程度であり、CaTiO3 のτεは−
1600/℃程度、SrTiO3 のτεは−3400/
℃程度、TiO2 のτεは−920ppm /℃程度であ
る。
【0025】また、これらの40〜290℃における平
均熱膨張係数αは6〜12×10-6deg-1 程度であり、
CaTiO3 のαは11.2×10-6deg-1 程度、Sr
TiO3 のαは9.4×10-6deg-1 程度、TiO2
αは7.1×10-6deg-1 程度である。
【0026】これらの場合、用いる酸化物骨材は、化学
量論組成から多少偏倚した組成であってもよく、偏倚し
た組成のものとの混合物、あるいは偏倚した組成のもの
同志の混合物であってもよい。なお、この出願の先願で
ある特開平4−82297号にはAl23 とTiO2
との併用によって、共振周波数の温度係数τfを小さな
ものとする旨の提案がなされている。そこで、この出願
で請求する高周波誘電体材料からは、この併用組み合せ
を除く。ただし、この併用組み合せに関する特殊な使用
方法についての提案は行う。
【0027】本発明において、τεが正の酸化物骨材
と、τεが負の酸化物骨材との混合比には特に制限がな
く、用いる酸化物骨材のτε、ガラスのτε、酸化物骨
材とガラスとの含有比等に応じ、高周波誘電体材料のτ
εが所定値に近づくように、すなわち共振器の共振周波
数の温度係数τf が零に近づくように適宜決定すればよ
い。
【0028】酸化物骨材の平均粒径には特に制限はない
が、0.5〜3μm 程度が好ましい。前記範囲未満では
シート形成が困難となり、前記範囲を超えると共振器素
体の強度不足となってくる。
【0029】本発明の高周波誘電体材料は、前記のとお
り1000℃以下で焼成されるため、ガラスには軟化点
が700〜900℃程度のガラスを用いることが好まし
い。軟化点が900℃を超えると1000℃以下の温度
での焼成が困難となり、軟化点が700℃未満では、シ
ート成形時のバインダーが抜けにくく、絶縁性に問題が
出てくる。
【0030】用いるガラスの組成には特に制限はない
が、1000℃以下の焼成温度で高強度の基板が得られ
る等の点から、下記の組成が好ましい。
【0031】 SiO2 :50〜70モル% Al23 :5〜20モル% アルカリ土類金属酸化物の1種以上:25〜45モル
%、 B23 :0〜10モル%、
【0032】この場合、記アルカリ土類金属酸化物とし
ては、SrO、CaOおよびMgOの1種以上、特に前
記3種を併用することが好ましく、3種を併用する場
合、SrOの含有量は15〜30モル%、CaOの含有
量は1〜8モル%、MgOの含有量は1〜7モル%が好
ましい。
【0033】このような組成のガラスの40〜290℃
における平均熱膨張係数αは、5.5〜6.5×10-6
deg-1 程度であり、周波数2GHz 、−40〜125℃に
おける誘電率の温度係数τεは、150〜170ppm/℃
程度である。そして、このようなガラスを用いたときの
誘電体材料ないし誘電体層のτεの低減のさせ方、およ
び共振器のτfの低下のさせ方については、前記公報に
示されていない。
【0034】軟化点や熱膨張係数αは、示差熱膨張計を
用いて測定すればよい。また、τεは、実際に誘電体共
振器を作製し、共振周波数の温度係数τfを求め、下記
式から算出して求める。 式 τε=−2(τf+α)
【0035】この場合、τfは、恒温槽を用い、−50
℃〜+50℃、10℃きざみで共振周波数を測定して求
める。この他、例えば、1.4mm角、60mm程度の所定
の形状のサンプルとしたのち、摂動法で誘電率を求め、
これからτεを算出してもよい。これらの場合、酸化物
骨材やガラスのαやτεは骨材単独の焼結体やガラスを
用いて測定すればよい。
【0036】ガラスの平均粒径には特に制限はないが、
通常成形性等を考慮して1〜2.5μm 程度のものを用
いる。
【0037】酸化物骨材およびガラス全体に対するガラ
スの含有量は、50〜80体積%、特に65〜75体積
%が好ましい。少なすぎると、焼結性が悪化し、多すぎ
ると誘電体の抗析強度が低下してくる。
【0038】また、前記組成のガラス(τε>0)を用
いる際、Al23 骨材(τε>0)と、TiO2 骨材
(τε<0)とを用いるときには、Al23 骨材およ
びTiO2 骨材全体に対するTiO2 骨材の含有量は4
0〜60体積%、特に45〜55体積%が好ましい。T
iO2 骨材の含有量が前記範囲を超えると、高周波誘電
体材料のτεが小さくなりすぎ、例えば−40ppm/℃未
満になり、TiO2 の含有量が前記範囲未満では、高周
波誘電体材料のτεが大きく成りすぎ、例えば20ppm/
℃を超えてしまう。
【0039】また、好ましい態様においては、MgTi
3 またはAl23 の骨材(τε>0)と、CaTi
3 骨材(τε<0)とを用いるが、このときには酸化
物骨材中のCaTiO3 含有量は、同様の理由で5〜2
0体積%であることが好ましい。さらに、MgTiO3
またはAl23 の骨材(τε>0)とSrTiO3
材(τε<0)とを用いることも好ましい。酸化物骨材
中のSrTiO3 含有量は、同様の理由で2〜10体積
%であることが好ましい。さらにはMgTiO3 骨材
(τε>0)とTiO2 骨材(τε<0)との組み合せ
も好ましいが、酸化物骨材中のTiO2 含有量は、同様
の理由で10〜20体積%であることが好ましい。
【0040】このように本発明では、ガラスのτεや
α、ガラスの含有量、τε>0の酸化物骨材のτεや
α、τε<0の酸化物骨材のτεやα等に応じて、τε
>0の酸化物骨材と、τε<0の酸化物骨材との体積比
を所定の値に調整することにより、高周波誘電体材料の
τεを所定値に近づけ、共振器のτfを小さなものとす
るのである。
【0041】この場合、高周波誘電体材料の周波数2GH
z 、−40〜125℃における誘電率の温度係数τεを
−40〜20ppm/℃、特に−25〜+5ppm/℃とするこ
とが好ましく、理想的には、τε=−2(τf+α)の
式に従ってτf=0になるτεが好ましい。例えば、誘
電体のαが6.0×10-6deg-1 程度の場合、τεは−
12ppm/℃程度が好ましい。なお、τfとしては−15
〜+15ppm/℃、特に−10〜+10ppm/℃、さらには
−5〜+5ppm/℃とすることができる。また、本発明の
高周波誘電体材料を焼結して得られる誘電体層ないし基
板の40〜290℃における平均熱膨張係数αは6.3
〜6.7×10-6deg-1 程度、比誘電率は8〜20、特
に8〜12、さらには10〜11程度である。
【0042】このような高周波誘電体材料は、焼結前ビ
ヒクルを加えてスラリーとされる。ビヒクルとしては、
エチルセルロース、ポリビニルブチラール、メタクリル
樹脂、ブチルメタアクリレート等のバインダ、テルピネ
オール、ブチルカルビトール、ブチルカルビトールアセ
テート、アセテート、トルエン、アルコール、キシレン
等の溶剤、その他各種分散剤、活性剤、可塑剤等が挙げ
られ、これらのうち任意のものが目的に応じて適宜選択
される。ビヒクルの添加量は、酸化物骨材とガラスの合
計量100重量部に対し、65〜85重量%程度とする
ことが好ましい。
【0043】次に、本発明の高周波誘電体材料を用いて
誘電体層を形成した共振器を有する電圧制御発振器(V
CO)について、図1に示される好適例に従って説明す
る。なお、図1は、電圧制御発振器の部分断面図であ
る。
【0044】本発明の共振器を用いた電圧制御発振器1
は、周波数0.5GHz 以上、特に0.5〜2GHz で使用
されるものであり、図示されるように誘電体層21、2
3、25、27を積層一体化した積層体2を有し、少な
くともこの積層体2の誘電体層23、25間にストリッ
プ線路3を有する。ストリップ線路の形状、寸法、数等
には特に制限がなく、目的等に応じて適宜決定すればよ
い。
【0045】また、誘電体層23、25間には、必要に
応じて内部導体7が形成される。この場合内部導体7
は、例えば、コイルの導体、コンデンサの電極等種々の
目的や用途に応じて所望のパターンに形成される。
【0046】また、誘電体層23、21間および誘電体
層27上にはグランドプレーン4が形成されている。こ
の場合、グランドプレーン4、4間にストリップ線路3
を位置させる。
【0047】また、積層体2上には外部導体6が形成さ
れ、この外部導体6と、前記ストリップ線路3、グラン
ドプレーン4および内部導体7とがそれぞれスルホール
5内の導体を介して電気的に接続される。
【0048】ストリップ線路3、グランドプレーン4、
内部導体7およびスルーホール5内の導体には、それぞ
れ、導電性が良いこと等を優先させる点からAgまたは
Cuを主体とする導体、特に酸素含有雰囲気、例えば空
気中で焼成する場合にはAgを用いることが好ましい。
また、外部導体6には、耐マイグレーション性、半田喰
われ性、半田濡れ性等の点からAgまたはCuを主体と
する導体、特に酸素含有雰囲気、例えば空気中で焼成す
る場合にはAgと、Pdおよび/またはPtとを含有す
る導体を用いることが好ましい。
【0049】このような共振器は、例えば以下のように
して製造する。まず、内部導体用ペーストおよび外部導
体用ペーストをそれぞれ作製する。これらのペースト
は、導電粒子と、導電粒子に対し、1〜5重量%程度の
ガラスフリットと、ビヒクルとを含有する。次いで、誘
電体層材料となるグリーンシートを作製する。この場
合、前述した本発明の高周波誘電体材料のスラリーを用
い、例えばドクターブレード法により所定枚数作製す
る。
【0050】次いで、グリーンシート上にパンチングマ
シーンや金型プレスを用いてスルーホール5を形成し、
その後、内部導体用ペーストを各グリーンシート上に、
例えばスクリーン印刷法により印刷し、所定のパターン
の内部導体7、ストリップ線路3、グランドプレーン4
を形成するとともにスルーホール5内に充填する。
【0051】次いで、各グリーンシートを重ね合せ、熱
プレス(約40〜120℃、50〜1000Kgf/cm2)を
加えてグリーンシートの積層体とし、必要に応じて脱バ
インダー処理、切断用溝の形成等を行なう。
【0052】次いで、グリーンシートの積層体を通常空
気中で、1000℃程度以下、特に800〜1000℃
程度の温度で10分間程度焼成、一体化し、誘電体層2
3、25間にストリップ線路3が形成された共振器を得
る。そして、外部導体用ペーストをスクリーン印刷法等
により印刷し、焼成して外部導体6を形成する。この場
合、好ましくは、これら外部導体6を誘電体層21、2
3、25、27と一体同時焼成して形成する。
【0053】その後、所定の表面実装部品8を外部導体
6に半田付けし、必要に応じ、絶縁被覆層を形成して図
2に示す電圧制御発振器(VCO)1が得られる。
【0054】上述した共振器は、本発明の1例であり、
少なくとも誘電体層間にTEM線路等のストリップ線路
を有し、周波数0.5GHz 以上で使用されるものであれ
ば特に制限がなく種々のものであってよい。この場合共
振周波数は通常0.5〜2GHz 程度とする。具体的に
は、本発明の共振器は、ハイパスフィルタ、ローパスフ
ィルタ、バンドパスフィルタ、バンドエリミネーション
フィルタ等の各種フィルタ、これらのフィルタを組み合
わせた分波フィルタ、ディプレクサ、電圧制御発振器等
に応用が可能である。
【0055】
【実施例】以下、本発明の具体的実施例を挙げ、本発明
をさらに詳細に説明する。
【0056】実施例1 平均粒径1.9μm のガラス粒子:70体積%、平均粒
径1.5μm のAl23 粒子:15体積%および平均
粒径1.0μm のTiO2 粒子:15体積%を有する本
発明の高周波誘電体材料No. 1を作製した。そしてこの
高周波誘電体材料100重量部に対し、ビヒクルを73
重量部添加し、ボールミルで混合してスラリー化し、ス
ラリーを得た。ビヒクルには、バインダとしてアクリル
系樹脂、溶剤としてエチルアルコールおよびトルエン、
可塑剤としてフタル酸エステルを用いた。また、ガラス
粒子の組成は、SiO2 :62モル%、Al23 :8
モル%、B23 :3モル%、SrO:20モル%、C
aO:4モル%、MgO:3モル%であり、軟化点は8
15℃であった。
【0057】なお、Al23 、TiO2 およびガラス
をそれぞれ単独で焼結し、αと2GHz での比誘電率ε
r 、τεを求めたところ、Al23 のαは7.2×1
-6deg-1 、τεは、+120ppm /℃、εr は9.
8、TiO2 のαは7.1×10-6deg-1 、τεは−9
20ppm /℃、εr は104、ガラスのαは6.0×1
-6deg-1 、τεは+160ppm /℃、εr は6.5で
あった。
【0058】この高周波誘電体材料のペーストを用い、
ドクターブレード法により厚さ0.25mmのグリーンシ
ートを作製した。
【0059】次いで各グリーンシートにAg内部導体ペ
ーストをスクリーン印刷法により印刷し、ストリップ線
路、グランドプレーンを形成した後、熱プレスにより積
層してグリーンシート積層体を得た。そして、この積層
体を脱脂後、空気中で温度900℃で10分間同時焼成
した。
【0060】次いで、グランドプレーン用Agペースト
をスクリーン印刷法により印刷し、空気中で温度850
℃で10分間焼成して共振周波数約2GHz の共振器サン
プルNo. 1を得た。サンプルNo. 1の寸法は10mm×1
0mm×2mmであった。
【0061】また、比較用に、高周波誘電体材料No. 1
において、Al23 粒子:15体積%およびTiO2
粒子:15体積%の混合酸化物骨剤を、Al23
子:30体積%に換えた他は同様にして高周波誘電体材
料No. 2を得た。そして、共振器サンプルNo. 1におい
て、高周波誘電体材料No. 2を用いた他は同様にして、
共振周波数約2GHz の共振器サンプルNo. 2を作製し
た。サンプルNo. 2の寸法は10mm×10mm×2mmであ
った。
【0062】得られた各サンプルの−40〜125℃に
おける共振周波数の温度係数τfを求めたところ表1に
示されるとおりであった。
【0063】また、各高周波誘電体材料を焼結して得ら
れた誘電体層の熱膨張係数αを求め、下記式から誘電率
の温度係数τεを算出したところ−40〜125℃にお
けるτεおよび平均熱膨張係数αは表1に示されるとお
りであった。 式: τε=−2(τf+α)
【0064】また、各高周波誘電体材料の周波数2GHz
、25℃における比誘電率εr を摂動法により求めた
ところ表1に示されるとおりであった。
【0065】
【表1】
【0066】表1に示される結果から本発明の効果が明
らかである。
【0067】実施例2 実施例1のAl23 、TiO2 およびガラスの粒子に
加え、平均粒径2.0μm CaTiO3 (τε=−16
00ppm /℃、α=11.2×10-6deg-1 )、平均粒
径2.0μm のSrTiO3 (τε=−3400ppm /
℃、α=9.4×10-6deg-1 )、平均粒径2.0μm
のMgTiO3 (τε=+100ppm /℃、α=9.7
×10-6deg-1 )を用い、これを表2に示される混合比
で混合し、実施例1と同様にして共振器を得た。結果を
表2に示す。
【0068】
【表2】
【0069】表2に示される結果から本発明の効果が明
らかである。
【0070】
【発明の効果】本発明の共振器は、温度変化による共振
周波数の変動が小さい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の共振器を用いた電圧制御発振器が示さ
れる部分断面図である。
【図2】本発明の共振器を用いた電圧制御発振器が示さ
れる斜視図である。
【符号の説明】
1 電圧制御発振器 2 積層体 21、23、25、27 誘電体層 3 ストリップ線路 4 グランドプレーン 5 スルーホール 6 外部導体 7 内部導体 8 表面実装部品

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ガラスと、誘電率の温度係数τεが正の
    酸化物骨材と、誘電率の温度係数τεが負の酸化物骨材
    とを含有(ただし、酸化アルミニウムと酸化チタンとを
    ともに含有することはない)する高周波誘電体材料。
  2. 【請求項2】 前記τεが正の酸化物骨材は、酸化アル
    ミニウムおよびチタン酸マグネシウムの1種以上であ
    り、前記τεが負の酸化物骨材は、チタン酸カルシウ
    ム、チタン酸ストロンチウムおよび酸化チタンの1種以
    上であり、酸化アルミニウムと酸化チタンとをともに含
    有するものではない請求項1の高周波誘電体材料。
  3. 【請求項3】 前記τεが負の酸化物骨材としてチタン
    酸カルシウム、また前記τεが正の酸化物骨材としてチ
    タン酸マグネシウムまたは酸化アルミニウムを含有し、
    酸化物骨材中のチタン酸カルシウムの含有量が5〜20
    体積%である請求項2の高周波誘電体材料。
  4. 【請求項4】 前記τεが負の酸化物骨材としてチタン
    酸ストロンチウム、また前記τεが正の酸化物骨材とし
    てチタン酸マグネシウムまたは酸化アルミニウムを含有
    し、酸化物骨材中のチタン酸ストロンチウムの含有量が
    2〜10体積%である請求項2の高周波誘電体材料。
  5. 【請求項5】 前記τεが負の酸化物骨材として酸化チ
    タン、また前記τεが正の酸化物骨材としてチタン酸マ
    グネシウムを含有し、酸化物骨材中の酸化チタンの含有
    量が10〜20体積%である請求項2の高周波誘電体材
    料。
  6. 【請求項6】 前記ガラスの組成が、 SiO2 :50〜70モル%、Al23 :5〜20モ
    ル% B23 :0〜10モル%およびアルカリ土類金属酸化
    物の1種以上:25〜45モル%である請求項1ないし
    5のいずれかの高周波誘電体材料。
  7. 【請求項7】 前記ガラスの2GHz 、−40〜125℃
    における誘電率の温度係数τεが150〜170ppm/
    ℃、40〜290℃における平均熱膨張係数が5.5〜
    6.5×10-6deg-1 である請求項1ないし6のいずれ
    かの高周波誘電体材料。
  8. 【請求項8】 誘電率の温度係数τεが、−40〜+2
    0ppm/℃である請求項1ないし7のいずれかの高周波誘
    電体材料。
  9. 【請求項9】 前記酸化物骨材およびガラス全体に対す
    る前記ガラスの含有量が50〜80体積%であり、前記
    ガラスの軟化点が700〜900℃である請求項1ない
    し8のいずれかの高周波誘電体材料。
  10. 【請求項10】 請求項1ないし9のいずれかの高周波
    誘電体材料を用いて形成した誘電体層を積層し、少なく
    ともこの誘電体層間にストリップ線路を形成したことを
    特徴とする共振器。
  11. 【請求項11】 2GHz 、−40〜125℃における誘
    電率の温度係数τεが150〜170ppm/℃、40〜2
    90℃における平均熱膨張係数が5.5〜6.5×10
    -6deg-1 のガラスと、酸化アルミニウム骨材と、酸化チ
    タン骨材とを用い、 ガラス/(ガラス+骨材)量が50〜80体積%、酸化
    チタン/(酸化チタン+酸化アルミニウム)量が40〜
    60体積%となるように混合して高周波誘電体用材料を
    得、 この高周波誘電体用材料を用いて誘電体層の積層体を形
    成するとともに、この積層体中に導体材料のストリップ
    線路を形成して焼成して共振器を得、 誘電率の温度係数τεが−40〜+20ppm/℃の誘電体
    層として共振周波数の温度係数τfを低下させる共振器
    の製造方法。
  12. 【請求項12】 前記ガラスの組成が、 SiO2 :50〜70モル%、Al23 :5〜20モ
    ル% B23 :0〜10モル%およびアルカリ土類金属酸化
    物の1種以上:25〜45モル%であり、その軟化点が
    700〜900℃である請求項11の共振器の製造方
    法。
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