JPH05208989A - マルトオリゴ糖誘導体およびその製造法 - Google Patents

マルトオリゴ糖誘導体およびその製造法

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JPH05208989A
JPH05208989A JP22763292A JP22763292A JPH05208989A JP H05208989 A JPH05208989 A JP H05208989A JP 22763292 A JP22763292 A JP 22763292A JP 22763292 A JP22763292 A JP 22763292A JP H05208989 A JPH05208989 A JP H05208989A
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宣洋 桑原
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Koji Hara
浩司 原
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真一 手嶋
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【構成】 式(I) (式中、R1 ,R2 水素,β−ガラクトピラノシル基
を、nは1〜7の整数。)で表わされるマルトオリゴ糖
誘導体およびその製造法並びにマルトオリゴ糖誘導体を
含有するα−アミラーゼ活性測定用試薬。 【効果】 マルトオリゴ糖誘導体は、水溶性に優れ、α
−グルコシダーゼやグルコアミラーゼ等の追随酵素の作
用を殆ど受けないので、基質と酵素とを一液化した製剤
とすることが容易であり、測定精度が良好なα−アミラ
ーゼ活性測定用試薬が得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、新規なマルトオリゴ糖
誘導体およびその製造法ならびに該マルトオリゴ糖誘導
体を基質として用いるα−アミラーゼ活性測定試薬に関
する。
【0002】
【従来の技術】膵液や尿などの体液に含有されるα−ア
ミラーゼの活性を測定することにより、各種疾患の診断
が行われている。α−アミラーゼの活性測定法には、例
えばマルトオリゴ糖(マルトテトラオース、マルトペン
タオース、マルトヘキサオースなど)を基質とする方法
がある。この方法では、α−アミラーゼ含有試料に該マ
ルトオリゴ糖とα−グルコシダーゼとを作用させて基質
からグルコースを遊離させ、グルコースの量を測定する
ことにより、α−アミラーゼの活性値を知る。生成した
グルコースは、例えばグルコースオキシダーゼ/パーオ
キシダーゼ/色素系を利用する定量法:ヘキソキナーゼ
/ホスフォグルコムターゼ/グルコース−6−ホスフェ
ートデヒドロゲナーゼ/NADH系を利用する測定法な
どにより測定される。
【0003】α−グルコシダーゼはマルトペンタオース
などの四糖以上のオリゴ糖に作用しにくくマルトースや
マルトトリオースなどの三糖以下のオリゴ糖に良好に作
用するため、上記基質を使用してグルコースを測定する
ことによりα−アミラーゼの活性を測定することができ
る。しかし、α−グルコシダーゼはわずかではあるが基
質であるマルトペンタオースに作用するため、測定のブ
ランク値が上昇し、その結果、測定値の誤差が大きくな
るという欠点がある。α−グルコシダーゼの基質分解作
用のため、α−グルコシダーゼと基質とを一液化するこ
とは、試薬としての安定性が損なわれるため好ましくな
い。
【0004】マルトオリゴ糖の還元性末端にフェニル
基、ナフチル基、またはそれらの誘導体をアグリコンと
して結合させた基質を用いる方法も提案されている。例
えば、基質としてp−ニトロフェニルマルトペンタオシ
ド(特公昭57−53079号公報)、p−ニトロフェ
ニルマルトヘキサオシド(特公昭57−53079号公
報)、p−ニトロフェニルマルトヘプタオシド(特公昭
62−50119号公報)、2,4−ジクロロフェニル
マルトペンタオシド(特公昭59−13199号公報)
などが利用されている。これらの基質を用いると、アグ
リコンが遊離し、遊離したアグリコン、例えばp−ニト
ロフェノールを光学的に測定することにより、α−アミ
ラーゼの活性を容易に測定することができる。上記方法
においても、α−グルコシダーゼがわずかではあるが基
質に作用するため、ブランク値が上昇する欠点がある。
α−グルコシダーゼの基質分解作用のため、前記グルコ
ースを測定する方法と同様にα−グルコシダーゼと基質
とを一液化することは難しい。
【0005】このような欠点を解消するため、マルトオ
リゴ糖の非還元性末端のグルコースの6位のヒドロキシ
ル基が修飾されたタイプの基質を用いる方法が提案され
ている。例えば特開昭60−237998号公報には非
還元性末端のグルコースの6位のOH基を、例えばハロ
ゲン原子、−OR、−OCOR、−OSO2 R−、−N
HR(Rはアルキル基、フェニル基、ピリジル基など)
で置換し、還元性末端のグルコースに置換または未置換
のフェニル基がアグリコンとして結合したマルトオリゴ
シドが基質として開示されている。非還元性末端グルコ
ースの6位のOH基が置換されているとα−グルコシダ
ーゼによる基質の分解が起こらない。しかし、このよう
に6位のみに置換基が導入された基質は、化学合成が困
難であり、収率も悪いという欠点がある。
【0006】また特開昭60−54395号公報には非
還元性末端のグルコースの4位および6位のOH基をア
ルキル基、アルコイル基またはフェニル基で置換し、還
元性末端のグルコースにアグリコンを結合させたマルト
オリゴ糖を基質として用いることが開示されている。非
還元性末端グルコースの4位および6位のOH基が置換
されているとα−グルコシダーゼによる基質の分解が生
じ難い。しかし、このような基質は2つのOH基が置換
されているため、水溶性が悪く高濃度溶液の調製が不可
能であり、α−アミラーゼ活性測定に十分な濃度を溶解
することができないという欠点がある。
【0007】この欠点を改善するものとして、3−ケト
ブチリデン基、2−ケトブチリデン基、2−ケトプロピ
リデン基、4−ケトペンチリデン基、メチルスルフィニ
ルエチリデン基、エチルスルフィニルエチリデン基、メ
タンスルホニルエチリデン基、エタンスルホニルエチリ
デン基の如き水溶性の高い修飾基を非還元性末端グルコ
ースに導入した基質を用いる方法が提案されている(特
開平1−157996号)。しかし、これらの基質は水
溶性には優れているが、澱粉やアミロース等のグルコー
ス鎖を認識して、その結合を切断するα−アミラーゼの
作用様式を純粋に反映していない欠点がある。
【0008】一方、p−ニトロフェニル α−マルトペ
ンタオサイドの非還元性末端グルコースにガラクトース
をβ結合させた基質を用いる方法が報告されている(日
本農芸化学会誌講演要旨集第65巻、第3号、第117
頁、1991年、及び特開平3−264596号公
報)。しかしながら、この基質を用いる場合、発色基と
して用いたp−ニトロフェノールのα−アミラーゼ活性
測定域(pH7.0)付近におけるモル吸光係数(以
下、εという)が、最大εの約半分しかなく、しかもわ
ずかなpH変動によってεが大きく変化したり、温度、
塩化ナトリウム量またはアルブミン量が変化するとεも
変動するため測定誤差が生ずるというような問題がある
上に、アミラーゼ活性測定試薬として用いるときの感度
が十分でないという欠点もある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記従来のα
−アミラーゼ活性測定基質の欠点、従来のα−アミラー
ゼ活性測定試薬の欠点などを解消しようとするものであ
り、その目的とするところは、基質と追随酵素の一液化
条件においてα−グルコシダーゼなどの追随酵素の作用
を受けず、合成が容易であり、水溶性に優れ、かつアミ
ラーゼの作用様式をより純粋に反映する基質としての新
規マルトオリゴ糖誘導体およびその製造法を提供するこ
とであり、また当該新規マルトオリゴ糖誘導体を基質と
して用いて体液中のα−アミラーゼ活性を精度よく簡単
な操作で測定する試薬を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、以下の要旨を
有するものである。
【0011】(1) 一般式(I)
【0012】
【化17】
【0013】(式中、R1 およびR2 は互いに異なる水
素またはβ−ガラクトピラノシル基を、nは1〜7の整
数を示す。)で表わされるマルトオリゴ糖誘導体。
【0014】(2) 一般式(I):
【0015】
【化18】
【0016】(式中、R1 およびR2 は互いに異なる水
素またはβ−ガラクトピラノシル基を、nは1〜7の整
数を示す。)で表わされるマルトオリゴ糖誘導体を含有
することを特徴とするα−アミラーゼ活性測定用試薬。
【0017】(3) 一般式(II) :
【0018】
【化19】
【0019】(式中、nは1〜7の整数を示す。)で表
わされるマルトオリゴ糖誘導体とラクトースとをβ−ガ
ラクトシダーゼの存在下に反応させることを特徴とする
下記一般式(I):
【0020】
【化20】
【0021】(式中、R1 およびR2 は互いに異なる水
素またはβ−ガラクトピラノシル基を、nは1〜7の整
数を示す。)で表わされるマルトオリゴ糖誘導体の製造
法。
【0022】(4) 一般式(III) または一般式(IV):
【0023】
【化21】
【0024】
【化22】
【0025】(式中、nは1〜7の整数を示す。)で表
されるマルトオリゴ糖誘導体の製造法において、一般式
(V) または一般式(VI):
【0026】
【化23】
【0027】
【化24】
【0028】(式中、nは1〜7の整数を示す。)で表
されるガラクトシルマルトオリゴ糖を有機媒体の存在
下、もしくは無溶媒の下に、アルカリ及び無水酢酸とと
もに加熱してアセチル化する工程、得られた一般式(VI
I) または一般式 (VIII):
【0029】
【化25】
【0030】
【化26】
【0031】(式中、nは1〜7の整数を示す。Acは
アセチル基を示す。)で表されるアセチル化ガラクトシ
ルマルトオリゴ糖と2−クロロ−4−ニトロフェノール
を有機溶媒中、酸触媒とともに加熱する工程、次いで得
られた反応生成物のアセチル基を脱離する工程を含むこ
とを特徴とするマルトオリゴ糖誘導体の製造法。
【0032】(5)一般式(III) または一般式(IV):
【0033】
【化27】
【0034】
【化28】
【0035】(式中、nは1〜7の整数を示す。)で表
されるマルトオリゴ糖誘導体の製造法において、マルト
オリゴ糖およびラクトースをβ−ガラクトシダーゼの存
在下に反応させて得られた一般式(V) または一般式(V
I):
【0036】
【化29】
【0037】
【化30】
【0038】(式中、nは1〜7の整数を示す。) で表
されるガラクトシルマルトオリゴ糖を有機媒体の存在
下、もしくは無溶媒の下に、アルカリ及び無水酢酸とと
もに加熱してアセチル化する工程、得られた一般式(VI
I) または一般式 (VIII):
【0039】
【化31】
【0040】
【化32】
【0041】(式中、nは1〜7の整数を示す。Acは
アセチル基を示す。)で表されるアセチル化ガラクトシ
ルマルトオリゴ糖と2−クロロ−4−ニトロフェノール
を有機溶媒中、酸触媒とともに加熱する工程、次いで得
られた反応生成物のアセチル基を脱離する工程を含むこ
とを特徴とするマルトオリゴ糖誘導体の製造法。
【0042】本発明におけるマルトオリゴ糖誘導体
(I)〔以下、一般式(III) 及び一般式(IV)で表される
マルトオリゴ糖誘導体を含めてマルトオリゴ糖誘導体
(I)という。〕の骨格となるマルトオリゴ糖は、3〜
10個の糖〔式(I)のn=1〜7に相当〕から形成さ
れる。マルトオリゴ糖としては、マルトトリオース、マ
ルトテトラオース、マルトペンタオース、マルトヘキサ
オース、マルトヘプタオースなどがあり、特にマルトテ
トラオース、マルトペンタオース、マルトヘキサオー
ス、マルトヘプタオースが好適である。これらの中で
も、マルトテトラオース骨格を有するマルトオリゴ糖
は、膵臓由来α−アミラーゼ、唾液由来α−アミラーゼ
による水解切断酵素が一箇所であり、反応機序が明確で
あり、膵臓由来α−アミラーゼ、唾液由来α−アミラー
ゼの基質水解作用に差がない。
【0043】マルトオリゴ糖の非還元性末端グルコース
の修飾基であるガラクトースは、非還元性末端グルコー
スの4位または6位の水酸基にβ型で結合している。
【0044】本発明のマルトオリゴ糖誘導体(I)は新
規な化合物であり、還元性末端を2−クロロ−4−ニト
ロフェノールで置換されたマルトオリゴ糖誘導体(II)
とラクトースをβ−ガラクトシダーゼ共存下に反応させ
て製造することができる。反応は、pH3〜10、好ま
しくは5〜8、温度0〜80℃、好ましくは30〜50
℃で1分以上、好ましくは20〜120分間行なう。次
いで、酵素反応を止めた後、反応液を分取用HPLC等
により分別し、精製することによって本発明のマルトオ
リゴ糖誘導体(I)が得られる。ここで用いるβ−ガラ
クトシダーゼの起源については特に限定はなく、動植
物、微生物などから得られるものがいずれも使用でき
る。
【0045】また本発明のマルトオリゴ糖誘導体(I)
は、非還元性末端グルコースがガラクトース修飾された
マルトオリゴ糖誘導体を2−クロロ−4−ニトロフェノ
ールと反応させることにより合成することもできる。
【0046】非還元性末端がガラクトース修飾されたガ
ラクトシルマルトオリゴ糖と2−クロロ−4−ニトロフ
ェノールとの反応は、まず該ガラクトシルマルトオリゴ
糖を通常の方法によってアセチル化し、このアセチル化
ガラクトシルマルトオリゴ糖と2−クロロ−4−ニトロ
フェノールとを例えば塩化亜鉛の存在下に沸騰水浴中で
1時間程度反応させることによって行うことができる。
その後冷却し、ベンゼンで抽出して、これを水、5%カ
セイソーダ、水で順次洗浄した後、乾燥し、無水アルコ
ールにより再結晶させる。次いで、無水メタノールに溶
解させ、ナトリウムメチラートを加えて微煮沸すれば脱
アセチル化されるので、溶媒を留去し、熱水より再結晶
すれば本発明のマルトオリゴ糖誘導体(I)が得られ
る。
【0047】具体的には、以下の方法が挙げられる。一
般式(V) または一般式(VI)で表されるガラクトシルマル
トオリゴ糖を有機媒体の存在下、もしくは無溶媒の下
に、アルカリおよび無水酢酸とともに加熱してアセチル
化する。該反応により、一般式(VII) または一般式(VII
I)で表されるアセチル化ガラクトシルマルトオリゴ糖が
得られる。
【0048】この場合の有機媒体としては、塩化メチレ
ン、クロロホルム、ベンゼン、トルエン、エーテル、酢
酸エチルエステル、DMF、DMSOなどが用いられ
る。アルカリとしては、酢酸ナトリウム、トリエチルア
ミン、ピリジンなどが用いられる。アセチル化反応の条
件は、室温〜150℃で、好ましくは酢酸ナトリウムを
用いた場合、90〜120℃、ピリジンを用いた場合、
室温〜60℃である。
【0049】次に、得られた一般式(VII) または一般式
(VIII)で表されるアセチル化ガラクトシルマルトオリゴ
糖を2−クロロ−4−ニトロフェノールとともに有機溶
媒中、酸触媒の存在下で加熱する。該反応により、2−
クロロ−4−ニトロフェニル基が還元性末端グルコース
にα結合あるいはβ結合した反応生成物(2−クロロ−
4−ニトロフェニル(CNP化)ガラクトシルマルトオ
リゴ糖保護体ともいう。)が得られる。
【0050】この場合の有機溶媒としては、塩化メチレ
ン、クロロホルム、ベンゼン、トルエン、エーテル、酢
酸エチルエステルなどが用いられる。酸触媒としては、
ZnCl2 、SnCl4 、TiCl4 などのルイス酸も
しくは、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸な
どの有機スルホン酸などが用いられる。上記反応条件
は、室温〜200℃、好ましくは30〜120℃であ
る。2−クロロ−4−ニトロフェニル基は反応条件によ
りα結合あるいはβ結合させることができる。
【0051】本発明では、さらに上記工程で得られた反
応生成物のアセチル基をメタノール中で触媒量のナトリ
ウムメチラートによる公知の脱保護反応により脱離し
て、一般式(III) または一般式(IV)で表されるマルトオ
リゴ糖誘導体を得る。他の脱離反応としては、無水メタ
ノール中、陰イオン交換樹脂あるいは無水メタノール
中、トリエチルアミンを用いる方法が挙げられる。
【0052】上記反応で使用される一般式(V) または一
般式(VI)で表されるガラクトシルマルトオリゴ糖は、例
えばマルトテトラオース、マルトペンタオース等のグル
コース数2〜9個からなるマルトオリゴ糖を原料とし、
基質としてラクトースを用いたβ−ガラクトシダーゼ反
応の結果切断されて生じるガラクトシル基をマルトオリ
ゴ糖の非還元性末端グルコースの4位あるいは6位に導
入することによって得ることができる。
【0053】β−ガラクトシダーゼを使用する条件は、
pH5〜9の緩衝液、好ましくはpH6〜8の緩衝液
中、温度15〜60℃、反応時間約10〜100時間で
ある。反応条件により4位あるいは6位に選択的にβ−
ガラクトシル基を導入することができる。
【0054】本発明のα−アミラーゼ活性測定用試薬
は、上記マルトオリゴ糖誘導体(I)を基質として含有
するものである。また通常当該試薬は、さらにα−グル
コシダーゼ、グルコアミラーゼおよびβ−グルコシダー
ゼを適宜組み合わせた酵素系(追随酵素系)、および必
要に応じてその他の添加剤を含有していてもよい。
【0055】本発明のα−アミラーゼ活性測定用試薬に
おいては、2−クロロ−4−ニトロフェニル基とグルコ
ース鎖のグリコシド結合はα型、β型どちらでもかまわ
ないが、α型結合のものより、β型結合のものの方が水
溶性に優れるため、基質の製剤化に有利である。
【0056】本発明のα−アミラーゼ活性測定用試薬に
おいて用いられるα−グルコシダーゼの起源は、特に限
定されない。動物、植物、微生物などから得られるα−
グルコシダーゼが利用され得る。特に、酵母起源のα−
グルコシダーゼは、マルトトリオシド以下のグリコシド
によく作用し、かつマルトテトラオシド以上のグリコシ
ドには作用しにくい点、およびアグリコンの特異性が広
い点から好適に使用されうる。
【0057】本発明のα−アミラーゼ活性測定用試薬に
おいて用いられるβ−グルコシダーゼおよびグルコアミ
ラーゼの起源も特に限定されない。例えば、アーモンド
から得られるβ−グルコシダーゼやリゾプスデレマー
(Rhiz. delemar)から得られるグルコアミラーゼが好適
に使用されうる。
【0058】本発明のα−アミラーゼ活性測定用試薬を
用いたα−アミラーゼ活性の測定は、例えば次のように
して行われる。即ち、α−アミラーゼ活性測定用試薬に
α−アミラーゼを含む試料を作用させる。
【0059】追随酵素系としては、α−グルコシダーゼ
および/またはグルコアミラーゼおよび必要によりβ−
グルコシダーゼが使用される。
【0060】本発明のα−アミラーゼ活性測定用試薬を
使用する測定方法における基質分解の反応式を、2−ク
ロロ−4−ニトロフェニル 4−O−β−D−ガラクト
ピラノシル−β−マルトペンタオシドを基質とする場合
を例にあげて説明する。
【0061】
【化33】
【0062】上記反応にて遊離した2−クロロ−4−ニ
トロフェノールを適当な手段により測定することによっ
てα−アミラーゼの活性を測定することができる。遊離
する2−クロロ−4−ニトロフェノールが基質とは異な
るスペクトル吸収を示す場合には、反応混合物のスペク
トルを直接測定する。
【0063】2−クロロ−4−ニトロフェノールの測定
方法としては、α−アミラーゼの反応を連続的に追跡す
るレート法および一定時間反応させた後、反応を止めて
測定するエンドポイント法のいずれもが使用されうる。
【0064】前記の酵素反応時には、グルコアミラーゼ
はα−グルコシダーゼとほぼ同等の働きを有する。ただ
し、α−グルコシダーゼがマルトトリオシド以下の低分
子グリコシドにはよく作用するが、マルトテトラオシド
以上のグリコシドには作用しにくいのに対して、グルコ
アミラーゼはマルトテトラオシド以上のグリコシドにも
作用する。例えば基質としてマルトヘプタオシド以上の
高分子グリコシドを用いると、α−グルコシダーゼの作
用によりマルトテトラオシド以上のグリコシドが生成す
ることがある。このようなマルトテトラオシド以上のグ
リコシドは、α−グルコシダーゼでは分解されにくい
が、グルコアミラーゼを用いるとグルコース単位にまで
容易に分解される。そのため測定系の感度が上昇すると
いう利点があるので、α−グルコシダーゼおよびグルコ
アミラーゼを共存させて必要によりβ−グルコシダーゼ
を共に用いる追随酵素系は好適に利用される。
【0065】
【発明の効果】本発明の試薬によれば、非還元性末端グ
ルコースの4位または6位のOH基がガラクトースで修
飾されたα−またはβ−マルトオリゴシド、即ちマルト
オリゴ糖誘導体(I)を基質として利用するため、α−
グルコシダーゼやグルコアミラーゼなどの追随酵素系と
基質を一液化した試薬を調製、保存してもこれらの酵素
が基質を分解することがほとんどない。そのため、試薬
ブランク値の上昇が抑制され、精度よくα−アミラーゼ
活性を測定することができる。本発明のα−アミラーゼ
活性測定用試薬の基質であるマルトオリゴ糖誘導体
(I)は、非還元性末端グルコースの4位または6位の
水酸基に結合したガラクトースが水溶性基であるため、
水に対する溶解性が優れている。また、本発明の基質
は、酵素を用いて選択的に収率良く合成することができ
るため、安価に提供され得る。更に、本発明のα−アミ
ラーゼ活性測定用試薬の基質であるマルトオリゴ糖誘導
体(I)は、非還元性末端の修飾基がガラクトースであ
るため、α−アミラーゼの当該誘導体に対する作用様式
は、澱粉やアミロース等のグルコース鎖を認識してその
結合を切断するα−アミラーゼ本来の作用様式に近い状
態で反映され、中でも非還元性末端グルコースの4位の
OH基が、ガラクトースで修飾されたマルトオリゴ糖誘
導体を基質とした場合、6位のOH基がガラクトースで
修飾されたマルトオリゴ糖誘導体よりも、α−アミラー
ゼの反応性は高くなり好ましい。また、本発明のマルト
オリゴ糖誘導体(I)から遊離する発色基は、2−クロ
ロ−4−ニトロフェノールであり、従来の基質から生じ
るp−ニトロフェノールで問題となっていたαアミラー
ゼ測定域、pH7.0付近での感度、pH、塩化ナトリ
ウム濃度、アルブミン濃度などの変動等による測定誤差
などの問題が解消される。
【0066】なお本発明試薬によれば、自動分析機を用
いての連続測定も可能であり、簡便かつ安価にα−アミ
ラーゼ活性の測定がなされうる。
【0067】またマルトオリゴ糖誘導体(I)の製造法
において、本発明で示すラクトースを基質とするβ−ガ
ラクトシダーゼの酵素反応を用いたガラクトシルマルト
オリゴ糖の合成は、p−ニトロフェニルマルトペンダオ
シドを原料とする従来の反応と比べて、ガラクトシル基
が2個導入される副反応がはるかに少ない。また、得ら
れるガラクトシルマルトオリゴ糖の収率も大幅に上昇
し、従来法と違って副生物との分離精製も容易である。
更に、次のアセチル化反応においては副反応が少なく、
得られる本発明の2−クロロ−4−ニトロフェニル(C
NP化)ガラクトシルマルトオリゴ糖保護体は、未反応
の原料と極性が離れているため、精製が容易で1回のシ
リカゲルカラムクロマトグラフィーによって十分精製さ
れる。本発明ではガラクトシル基を非還元性末端グルコ
ースの4位あるいは6位にβ結合したマルトオリゴ糖
(V) または(VI)を原料にすることにより、マルトオリゴ
糖誘導体(I)の収率が上昇し、副生物もしくは未反応
の原料の混入による精製の困難さが解消された。
【0068】すなわち本発明により得られるマルトオリ
ゴ糖誘導体(I)は、マルトオリゴ糖の非還元性末端グ
ルコースの4位または6位にガラクトシル基をβ−ガラ
クトシダーゼにより導入した原料(V) また(VI)を使用
し、第一工程でアセチル基によりヒドロキシル基を保護
し、第二工程で2−クロロ−4−ニトロフェノールを作
用させた後、アセチル基を脱離して目的物が得られる方
法であって、従来法で問題となっていた精製除去の困難
な副生物が少なく、収率のよい製造法である。
【0069】
【実施例】以下、実施例により本発明を更に詳細に説明
するが、本発明がこれら実施例に限定されるものでない
ことは言うまでもない。
【0070】実施例1(合成例) 2−クロロ−4−ニトロフェニル 4−O−β−D−ガ
ラクトピラノシル−β−マルトペンタオシドの製造例:
2−クロロ−4−ニトロフェニル−β−マルトペンタオ
シド1gおよびラクトース1gを50mMアセテート緩
衝液(pH6.0)5mlに溶解した。Bacilluscirculan
s由来のβ−ガラクトシダーゼ溶液(65u/ml)25
0μlを加えて、40℃、90分インキュベーションし
た。100℃で10分間処理して酵素反応を止めた。こ
の酵素反応液を分取用HPLCで精製した。図1は、上
記の酵素反応液の精製前の分析用HPLCのチャートで
ある。分取用HPLCによる精製は、図1における分析
用HPLCのリテンションタイム27.24分のピーク
に相当するフラクションを集め、ロータリーエバポレー
ターでメタノールを減圧留去し、残った水溶液を凍結乾
燥することにより行って無色または淡黄色の粉末を得
た。
【0071】以下に分取および分析用HPLCの条件を
示す。 (分取条件) カラム :SH-345-5 S-5 120A AQ (22×500mm) 溶出溶媒 :メタノール/水=20/80 流速 :7ml/分 カラム温度:45℃ (分析条件) カラム :ODS-AQ (4.6 ×250mm) 溶出溶媒 :メタノール/水=20/80 流速 :0.5ml/分 カラム温度:45℃
【0072】500MHz 1H−NMR;δ値(分裂
型、相対プロトン数) 3.5 〜4.0 (多重線,36) 4.453 (二重線,1) 注:β−ガラクトシル基のアノマー水素 5.343 (二重線,1) 注:β−グルコシル基のアノマー水素 5.385 (二重線,1) 注:α−グルコシル基のアノマー水素 5.389 (二重線,1) 注:α−グルコシル基のアノマー水素 5.393 (二重線,1) 注:α−グルコシル基のアノマー水素 5.445 (二重線,1) 注:α−グルコシル基のアノマー水素 7.42 (二重線,1) 8.24 (ダブル二重線,1) 8.43 (二重線,1)
【0073】実施例2(合成例) 2−クロロ−4−ニトロフェニル 6−O−β−D−ガ
ラクトピラノシル−β−マルトペンタオシドの製造例:
2−クロロ−4−ニトロフェニル−β−マルトペンタオ
シド1gおよびラクトース1gを50mMアセテート緩
衝液(pH6.0)5mlに溶解した。Bacilluscirculan
s由来のβ−ガラクトシダーゼ溶液(195u/ml)2
50μlを加えて、40℃、90分インキュベーション
した。100℃で10分間処理して酵素反応を止めた。
この酵素反応液を分取用HPLCで精製した。図2は、
上記の酵素反応液の精製前の分析用HPLCのチャート
である。分取用HPLCによる精製は、図2における分
析用HPLCのリテンションタイム24.29分のピー
クに相当するフラクションを集め、ロータリーエバポレ
ーターでメタノールを減圧留去し、残った水溶液を凍結
乾燥することにより行って無色または淡黄色の粉末を得
た。
【0074】以下に分取および分析用HPLCの条件を
示す。 (分取条件) カラム :SH-345-5 S-5 120A AQ (22×500mm) 溶出溶媒 :メタノール/水=20/80 流速 :7ml/分 カラム温度:45℃ (分析条件) カラム :ODS-AQ (4.6 ×250mm) 溶出溶媒 :メタノール/水=20/80 流速 :0.6ml/分 カラム温度:45℃
【0075】500MHz 1H−NMR;δ値(分裂
型、相対プロトン数) 3.5 〜4.0 (多重線,35) 4.20 (ダブル二重線,1) 注:ジェミナルカッ
プリングしているため6位の水素の片方であり、通常よ
り低磁場シフトしているため、β(1−6)結合してい
ることが証明できる。また、もう一方の6−位の水素
は、COSYスペクトル実験よりδ値3.88と帰属した。) 4.424 (二重線,1) 注:β−ガラクトシル基のアノマー水素 5.342 (二重線,1) 注:β−グルコシル基のアノマー水素 5.366 (二重線,1) 注:α−グルコシル基のアノマー水素 5.373 (二重線,1) 注:α−グルコシル基のアノマー水素 5.389 (二重線,1) 注:α−グルコシル基のアノマー水素 5.445 (二重線,1) 注:α−グルコシル基のアノマー水素 7.42 (二重線,1) 8.24 (ダブル二重線,1) 8.43 (二重線,1)
【0076】実施例3 前記実施例1および2で得られたマルトオリゴ糖誘導体
(表1に記載)を基質として用い、下組組成からなるα
−アミラーゼ活性測定試薬をそれぞれ調製した。 試薬組成A: 50mMグッドバッファー(pH7.0) α−グルコシダーゼ 90u/ml β−グルコシダーゼ 12u/ml CaCl2 1mM 基質 2mM 試薬組成B: 50mMグッドバッファー(pH7.0) グルコアミラーゼ 2u/ml α−グルコシダーゼ 90u/ml β−グルコシダーゼ 12u/ml CaCl2 1mM 基質 2mM なお比較例1、2及び3として表1に示した基質を用い
て上記と同様の試薬を調製した。
【0077】
【表1】
【0078】実験例1 表1に示された各試薬3mlに三種類の血清1、2および
3をそれぞれ0.25ml添加し、37℃にて3分間放置した
のち、415nmにおける吸光度の変化を測定し、1分
間当たりの吸光度の変化を算出した。その結果を表2に
示した。なお、表2には試薬ブランクの1分間当たりの
吸光度の変化も併せて記載した。
【0079】
【表2】
【0080】表2に示した結果から明らかな如く、本発
明の試薬は試薬ブランクにおける1分間当たりの吸光度
変化が比較例、特に比較例1aおよび1bに比べて非常
に低く、本発明のマルトオリゴ糖誘導体の非還元性末端
がブロックされているため追随酵素の作用を受けていな
いことが判る。また、本発明の試薬の測定感度が、比較
例2aおよび2bよりもそれぞれ高いことから、本発明
のマルトオリゴ糖誘導体は、3−ケトブチリデン 2−
クロロ−4−ニトロフェニル β−マルトペンタオシド
よりもアミラーゼに対する反応性が高いことが判るが、
これは本発明のマルトオリゴ糖誘導体の非還元性末端
が、より天然の基質に近いガラクトースであるため、α
−アミラーゼの作用様式をより純粋に反映しているから
であると考えられる。
【0081】実験例2 基質製剤化の適性を調べるため、後記表3に示した各基
質の水溶性を調べた。実施例3で示した試薬組成Aにお
いて、基質の濃度が100mMとなるように、表3の各
基質を溶解させた。その結果を表3に示した。
【0082】
【表3】
【0083】上記の結果より、本発明のマルトオリゴ糖
誘導体が水溶性に優れ、基質製剤化に好適であることが
判る。
【0084】次の実施例4において、β−ガラクトース
が1,4−結合された化合物を示すが、反応条件により
1,6−結合した化合物も得られる。
【0085】実施例4 (A) β−(1,4)−ガラクトシルマルトテトラオ
ースの製造 マルトテトラオース1gおよびラクトース1gを50m
M酢酸緩衝液(pH6.0)5mlに溶解した。バチル
ス・サーキュランス(Basillus circulans)由来のβ−ガ
ラクトシダーゼ溶液(65単位/ml)250μlを加
えて、40℃、90分インキュベートした。100℃で
10分間処理し酵素反応を止めた。この酵素反応液を、
トヨパールHW−40Sカラムで精製した後(溶離液:
水、流速1.4ml/分)凍結乾燥し、250mgの白
色粉末を得た。得られた反応生成物は、β−(1,4)
−ガラクトシルマルトテトラオース(一般式(VI)、n=
2、100%)であった。得られたβ−(1,4)−ガ
ラクトシルマルトテトラオースのHPLC分析の結果を
図3に示す。図3には還元性末端グルコースがα−D−
グルコピラノースである化合物とβ−D−グルコピラノ
ースである化合物が示され、2個のガラクトシル基が入
ってないことが明らかである。なお、分析条件はカラ
ム:YMC-PACK AQ-303 4.6×25cm、溶離液:水、流速:
1.0ml/分、温度:室温、検出器:RIである。
【0086】(B) β−(1,4)−ガラクトシルマ
ルトテトラオース保護体の製造 上記工程で得られたβ−(1,4)−ガラクトシルマル
トテトラオシド1gおよび酢酸ナトリウム200mgを
酢酸無水物に懸濁し、100℃〜110℃で5時間加熱
してアセチル化した。冷却後、冷水に注ぎ、一夜放置し
た。析出する結晶を吸引濾過し、真空下でよく乾燥させ
た。収率約100%。 200MHz 1H−NMR:δCDCl3 (分裂型、相対プロトン数) 1.95〜2.35(多重線、51H) 注:アセチル基 3.68〜5.5(多重線、34H) 5.76(二重線、1H) 注:J=8.1Hz 非還元性末端のアノマー水素 該反応により得られた反応生成物は、β−(1,4)−
ガラクトシルマルトテトラオース保護体(一般式VIII、
n=2、100%)であった。
【0087】(C) 2−クロロ−4−ニトロフェニル
−β(1,4)−ガラクトシルマルトテトラオース保護
体の製造 上記工程で得られたβ−(1,4)−ガラクトシルマル
トテトラオース保護体1gを塩化メチレン5mlに溶解
し、SnCl4 600mgを加えた。2−クロロ−4−
ニトロフェノール500mgを加え、60℃の油浴で1
0時間還流させた。冷却後、トリクロロメタンで抽出し
濃縮乾固後、ヘキサン/酢酸エチル(6:4)を溶離液
としてシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製
し、白色粉末350mgを得た。 200MHz 1H−NMR:δ(分裂型、相対プロトン数) 1.95〜2.20(多重線、48H) 注:アセチル基 3.68〜5.50(多重線、35H) 7.29(二重線、1H) 注:J=8.1Hz CNPの環プロトン 8.17(ダブル二重線、1H) 同上 8.31(二重線、1H) 同上 該反応により得られた生成物は、2−クロロ−4−ニト
ロフェニル−β(1,4)−ガラクトシルマルトテトラ
オース保護体(CNP化ガラクトシルマルトオリゴ糖保
護体、CNP基がβ結合したもの、100%)である。
該CNP化ガラクトシルマルトオリゴ糖保護体は、副反
応が少なく、未反応の原料と極性が離れているため、精
製が容易で1回のシリカゲルカラムクロマトグラフィー
による精製で十分であった。
【0088】(D) 2−クロロ−4−ニトロフェニル
−β(1,4)−ガラクトシルマルトテトラオースの製
造 上記で得られた2−クロロ−4−ニトロフェニル−β
(1,4)−ガラクトシルマルトテトラオース保護体1
gを無水メタノール10mlに溶解した。ナトリウムメ
チラート5mgを添加し、一夜放置した。酢酸1mlを
加え中和し、ロータリーエバポレーターで濃縮した。シ
リカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:酢酸エチ
ル/メタノール/水=8:2:1)で精製し、凍結乾燥
することにより白色粉末620mgを得た。 500MHz 1H−NMR:δCDCl3 PPM (分裂型、相対プロトン数) 3.5〜4.0(多重線、28H) 4.45(二重線、1H) 注:β−ガラクトシル基のアノマー水素 5.34(二重線、1H) 注:β−グルコシル基のアノマー水素 5.38(二重線、1H) 注:α−グルコシル基のアノマー水素 5.39(二重線、1H) 注:α−グルコシル基のアノマー水素 5.45(二重線、1H) 注:α−グルコシル基のアノマー水素 7.42(二重線、1H) CNPの環プロトン 8.24(ダブル二重線、1H) 同上 8.43(二重線、1H) 同上 得られた2−クロロ−4−ニトロフェニル−β(1,
4)−ガラクトシルマルトテトラオース(一般式(IV):
n=2、CNP基がβ結合したもの、100%)のHP
LC分析を図4に示す。なお、分析条件はカラム:TS
K−GEL、NH2-60、溶媒:アセトニトリル−水
(7:3)、流速:1ml/分、検出器:UV280n
mである。他のマルトオリゴ糖誘導体との比較を図5に
示す。図5中、(a)は2−クロロ−4−ニトロフェニ
ルマルトテトラオース、(b)は2−クロロ−4−ニト
ロフェニルマルトペンタオースを示す。
【0089】上記の結果より、本発明の製法によると、
各工程の副反応が少なく、精製が容易であり、収率よ
く、ガラクトシルマルトオリゴ糖が製造できた。
【0090】実施例5および比較例4 2−クロロ−4−ニトロフェニル−β(1,4)−ガラ
クトシルマルトテトラオースを用いたα−アミラーゼの
測定例 試薬組成A(実施例5) 50mM グッド緩衝液(pH7.0) α−グルコシダーゼ 90u/ml β−グルコシダーゼ 12u/ml CaCl2 1mM 2−クロロ−4−ニトロフェニルβ(1,4)−ガラクトシルマルトテト ラオース(以下、β(1,4)−Gal−G4−CNPと略記) 2mM 試薬組成B(比較例4) 50mM グッド緩衝液(pH7.0) α−グルコシダーゼ 90u/ml β−グルコシダーゼ 12u/ml CaCl2 1mM 3−ケトブチリデン−2−クロロ−4−ニトロフェニル−β−マルトペン タオシド(以下、3−KB−G5−CNPと略記) 2mM 上記各試薬3mMにサンプル0.25mlを添加し、3
7℃において3分間放置したのち、415nmにおける
吸光度の変化を測定し、1分間当たりの吸光度の変化量
からα−アミラーゼ活性を算出した。また唾液由来のア
ミラーゼ(以下、P型アミラーゼと表現)及び膵液由来
のアミラーゼ(以下、S型アミラーゼと表現)の標準品
を用いてその両者の測定値の比であるP/S(P型アミ
ラーゼ/S型アミラーゼの比)を求めた。
【0091】
【表4】
【0092】初期吸光度から見て、3KB−G5−CN
Pよりも純度の高いものが製造でき、かつブランクの上
昇も低いことから、安定度もよいことが明らかである。
また、血清測定値の感度もよく、P/S比が3KB−G
5−CNPを用いて測定した値が0.86なのに対し、
β(1,4)−Gal−G4−CNPを用いた場合は、
0.92と1に近く、よりα−アミラーゼの作用様式を
純粋に反映していると考えられる。
【0093】実施例6 表5に示した基質それぞれについて、ヒト膵臓由来α−
アミラーゼ、ヒト唾液腺由来α−アミラーゼによる水解
機序を下記条件で検討した。
【0094】
【表5】
【0095】[反応条件] 基質 2mg/ml MES 0.05M CaCl2 0.4mM α−アミラーゼ 20U/ml [分析条件] HPLC使用 カラム TSKgel NH2−60 溶出液 CH3 CN:水=7:3 流速 1ml/min 検出波長 280nm
【0096】反応開始から30分経過後の反応液をカラ
ムに添加した。得られたクロマトデータより反応生成物
の反応液中の残存率を求め、その結果から更に、α−ア
ミラーゼによってそれぞれの基質のどの箇所がどれだけ
の割合で水解されているかを計算した。その結果を図6
に示す。図6に示した結果から明らかな如く、比較例の
基質のα−アミラーゼによる水解箇所が複数あるのに対
し、本発明の基質では水解箇所の数が1である。このた
め反応機序が単純化されよりリーズナブルな形となって
いる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1の合成例における酵素反応液の精製前
の分析用HPLCチャートである。
【図2】実施例2の合成例における酵素反応液の精製前
の分析用HPLCチャートである。
【図3】β(1,4)−ガラクトシルマルトテトラオー
スのHPLC分析の結果を示す。
【図4】2−クロロ−4−ニトロフェニルβ−(1,
4)−ガラクトシルマルトテトラオースのHPLC分析
を示す。
【図5】他のマルトオリゴ糖誘導体のHPLC分析にお
ける結果を示す。(a)は2−クロロ−4−ニトロフェ
ニルマルトテトラオース、(b)は2−クロロ−4−ニ
トロフェニルマルトペンタオースを示す。
【図6】表5に示したマルトオリゴ糖誘導体を基質とし
たヒト膵臓由来α−アミラーゼ、ヒト唾液腺由来α−ア
ミラーゼによる水解機序を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 桑原 宣洋 神奈川県藤沢市藤沢2493−10 ドルミ藤沢 D−801 (72)発明者 藤田 孝輝 神奈川県横浜市港南区港南台2丁目2番7 −1006 (72)発明者 原 浩司 大阪府泉佐野市上町2丁目6番23号101号 室 (72)発明者 馬島 肇一 福井県敦賀市東洋町10番24号 東洋紡績株 式会社敦賀酵素工場内 (72)発明者 濱田 芳男 福井県敦賀市東洋町10番24号 東洋紡績株 式会社敦賀酵素工場内 (72)発明者 手嶋 真一 福井県敦賀市東洋町10番24号 東洋紡績株 式会社敦賀酵素工場内 (72)発明者 林 勇藏 大阪市北区堂島浜二丁目2番8号 東洋紡 績株式会社内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式(I) 【化1】 (式中、R1 およびR2 は互いに異なる水素またはβ−
    ガラクトピラノシル基を、nは1〜7の整数を示す。)
    で表わされるマルトオリゴ糖誘導体。
  2. 【請求項2】 一般式(I) 【化2】 (式中、R1 およびR2 は互いに異なる水素またはβ−
    ガラクトピラノシル基を、nは1〜7の整数を示す。)
    で表わされるマルトオリゴ糖誘導体を含有することを特
    徴とするα−アミラーゼ活性測定用試薬。
  3. 【請求項3】 一般式(II) 【化3】 (式中、nは1〜7の整数を示す。)で表わされるマル
    トオリゴ糖誘導体とラクトースとをβ−ガラクトシダー
    ゼの存在下に反応させることを特徴とする下記一般式
    (I)で表わされるマルトオリゴ糖誘導体の製造法。 【化4】 (式中、R1 およびR2 は互いに異なる水素またはβ−
    ガラクトピラノシル基を、nは1〜7の整数を示す。)
  4. 【請求項4】 一般式(III) または一般式(IV): 【化5】 【化6】 (式中、nは1〜7の整数を示す。)で表されるマルト
    オリゴ糖誘導体の製造法において、一般式(V) または一
    般式(VI): 【化7】 【化8】 (式中、nは1〜7の整数を示す。)で表されるガラク
    トシルマルトオリゴ糖を有機媒体の存在下、もしくは無
    溶媒の下に、アルカリ及び無水酢酸とともに加熱してア
    セチル化する工程、得られた一般式(VII) または一般式
    (VIII): 【化9】 【化10】 (式中、nは1〜7の整数を示す。Acはアセチル基を
    示す。)で表されるアセチル化ガラクトシルマルトオリ
    ゴ糖と2−クロロ−4−ニトロフェノールを有機溶媒
    中、酸触媒とともに加熱する工程、次いで得られた反応
    生成物のアセチル基を脱離する工程を含むことを特徴と
    するマルトオリゴ糖誘導体の製造法。
  5. 【請求項5】 一般式(III) または一般式(IV): 【化11】 【化12】 (式中、nは1〜7の整数を示す。)で表されるマルト
    オリゴ糖誘導体の製造法において、マルトオリゴ糖およ
    びラクトースをβ−ガラクトシダーゼの存在下に反応さ
    せて得られた一般式(V) または一般式(VI): 【化13】 【化14】 (式中、nは1〜7の整数を示す。) で表されるガラク
    トシルマルトオリゴ糖を有機媒体の存在下、もしくは無
    溶媒の下に、アルカリ及び無水酢酸とともに加熱してア
    セチル化する工程、得られた一般式(VII) または一般式
    (VIII): 【化15】 【化16】 (式中、nは1〜7の整数を示す。Acはアセチル基を
    示す。)で表されるアセチル化ガラクトシルマルトオリ
    ゴ糖と2−クロロ−4−ニトロフェノールを有機溶媒
    中、酸触媒とともに加熱する工程、次いで得られた反応
    生成物のアセチル基を脱離する工程を含むことを特徴と
    するマルトオリゴ糖誘導体の製造法。
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