JPH052039Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 「産業上の利用分野」 本考案は苗載台から一株分の苗を植付爪でもつ
て取出し順次圃場に植付けていく田植機に関し、
植付伝動ケースの出力軸に複数の植付爪を有する
ロータリケースを支持させ、該ロータリケースの
回転運動でもつて各植付爪による苗植え作業を行
うようにしたロータリ式植付装置に関する。

「従来の技術」 従来、特開昭60−199309号公報に示す如く、ロ
ータリケースは植付ケースの出力軸に一体的に固
定されている。

「考案が解決しようとする課題」 前記従来技術は、植付ケースに対するロータリ
ケースの取付間隙幅が正確でない場合、前記出力
軸とロータリケースの間にシムなどの調節板を介
挿させて取付け位置調節を行うようにしていた
が、調節板の脱着などが面倒で正確な調節も容易
に行い得ない等の取扱い上の問題があつた。

そこで、ロータリケースを出力軸に対して取付
け位置調節自在に設けるのにコツターピンを使用
する技術が開発されたが、コツターピンは、ロー
タリケースと出力軸を固定する機能を備えるだけ
であるから、コツターピンを緩めてロータリケー
スの位置調節を行い、さらにコツターピンを固定
する操作を行うとき、ロータリケースが位置変更
し易く、またロータリケース位置の微調節を容易
に行い得ず、さらにコツターピンを固定するナツ
トが外面に常時露出する等の不具合がある。

「問題点を解決するための手段」 然るに、本考案は、複数の植付爪を装設させる
ロータリケースを植付ケースに出力軸を介して取
付ける田植機の植付装置において、出力軸軸芯方
向の取付け位置調節を行うロータリケース位置調
節用ナツトをロータリケースに螺着させると共
に、ロータリケース離脱防止用ナツトを前記出力
軸に螺着させ、ロータリケース位置調節用ナツト
の外側にロータリケース離脱防止用ナツトを配設
させたことを特徴とするものである。

「作用」 従つて、ロータリケース位置調節用ナツトの螺
出入によつてロータリケース取付け位置の微調節
を容易に行い得ると共に、ロータリケース位置調
節用ナツトの外側にロータリケース離脱防止用ナ
ツトを設けるから、ロータリケース位置調節用ナ
ツトが保護されて該ナツトの損傷防止並びに外圧
などによる緩み誤動作防止などを容易に行い得、
従来に比べてロータリケース位置調節の機能向上
並びに安全性の向上などを容易に図り得るもので
ある。

「実施例」 以下本考案の実施例を図面に基づいて詳述す
る。第１図はロータリケース部の断面説明図、第
２図は乗用田植機の側面図、第３図は同平面図を
示し、図中１は作業者が搭乗する走行車であり、
エンジン２を搭載する車体フレーム３後端をミツ
シヨンケース４に連設させ、前記ミツシヨンケー
ス４の前部両側にフロントアクスルケース５を介
して水田走行用前輪６を支持させると共に、前記
ミツシヨンケース４の後部両側に車軸ケースであ
る伝動ケース７を連設し、前記伝動ケース７後端
部に水田走行用後輪８を支持させる。そして前記
エンジン２を覆うボンネツト９両側外方に予備苗
載台１０を取付けると共に、ステツプ11を形成す
る車体カバー１２によつて前記伝動ケース７等を
覆い、前記車体カバー１２上部に運転席１３を取
付け、其の運転席１３の前方で前記ボンネツト９
後部に操向ハンドル１４を設ける。

更に図中１５は多条植え用の苗載台１６並びに
複数の植付爪１７…などを具有する植付部であ
り、前高後低の後傾式の苗載台１６を案内レール
１８及びガイドレール１９を介して植付伝動ケー
スである植付ケース２０に左右往復摺動自在に支
持させると共に、第４図にも示す如く、一方向に
等速回転させるロータリケース２１を前記植付ケ
ース２０にこの回転軸芯を中心に対称位置に爪ケ
ース２２，２２配設し、その爪ケース２２先端に
植付爪１７を取付ける。また前記植付ケース２０
の前側に回動支点軸２３を介して支持フレーム２
４を設け、トツプリンク２５及びロワーリンク２
６を含む三点リンク機構２７を介して走行車１後
側に支持フレーム２４を連結させ、前記リンク機
構２７を介して植付部１５を昇降させる昇降シリ
ンダ２８を備え、上記前後輪６，８を走行駆動し
て略定速で移動すると同時に、左右に往復摺動さ
せる苗載台１６から一株分の苗を植付爪１７によ
つて取出し、連続的に苗植え作業を行うように構
成する。

また、図中２９は走行変速レバー、３０は植付
昇降レバー、３１は植付け感度調節レバー、３２
は走行クラツチペダル、３３，３３は左右ブレー
キペダル、３４…は田面均平用フロートであり、
植付深さ調節リンク３５などを介して植付ケース
２０下側に前記フロート３４…を支持している。

さらに第５図に示す如く、苗載台１６下端に設
けるガイドレール１９における苗取出板３６の苗
取出口３７に対し、爪ケース２２，２２を介して
ロータリケース２１に設けた２本の植付爪１７，
１７を交互に移動させ、ロータリケース２１の１
回転で２本の植付爪１７，１７により２株の苗を
植付けるように構成している。

第６図に示す如く、前記植付ケース２０後端に
出力軸である植付爪駆動軸３８を回転自在に軸支
し、その駆動軸３８両端にロータリケース２１，
２１を対称に固定支持させている。また前記ロー
タリケース２１内の植付爪駆動軸３８にサンギヤ
３９を遊嵌させ、位相調節レバー４０を介して前
記サンギヤ３９を植付ケース２０に位相調節自在
に位置固定させると共に、前記サンギヤ３９と同
一歯数のアイドルギヤ４１及びプラネタリギヤ４
２を備え、中間軸４３を介してアイドルギヤ４１
を、また爪ケース２２にボルト４４でもつて固定
した爪ケース軸４５を介してプラネタリギヤ４２
を前記ロータリケース２１内に軸支させている。
前記各ギヤ３９，４１，４２は各軸３８，４３，
４５に一定寸法偏心させて軸支させると共に、中
央のサンギヤ３９に対称にアイドルギヤ４１，４
１を介し二つのプラネタリギヤ４２，４２を一列
状に常噛させたもので、植付ケース２０にサンギ
ヤ３９を固定支持し、植付爪駆動軸３８を介して
ロータリケース２１を等速回転させ、ロータリケ
ース２１両端の植付爪１７，１７を交互に苗載台
１６傾斜下端の前記苗取出口３７に下降移動させ
るように設けている。そして前記ロータリケース
２１の回転と連動させて前記各ギヤ３９，４１，
４２を介して爪ケース軸４５を不等速回転させ、
苗載台１６の苗切取り後から田面に至る間でロー
タリケース２１の回転よりも爪ケース軸４５の回
転を早くし、田面に苗植付け後から苗取出口３７
に至る間でロータリケース２１の回転よりも爪ケ
ース軸４５の回転を遅くし、苗取出口３７付近並
びに田面植付近辺でロータリケース２１の回転と
爪ケース軸４５の回転を略等しくして、植付爪１
７による植付軌跡ｌがロータリケース２１前方で
縦長の長円形を描くように構成している。

また、前記爪ケース軸４５はカム軸４６を遊転
自在に貫挿させるもので、該カム軸４６の一端を
位置調節板４７及びボルト４８を介してロータリ
ケース２１に回転調節自在に固定支持させると共
に、カム軸４６の他端を爪ケース２２内の強制植
付用押出爪１７ａに連結したプツシユロツド４９
に、プツシユアーム５０及び押出カム５１を介し
て連結させ、植付爪１７が田面に突入したときに
プツシユロツド４９を進出させ植付爪１７に挾ん
だ苗を押出爪１７ａにより土中に押出すように構
成している。

第７図乃至第８図に示す如く、前記ロータリケ
ース２１は前記植付爪駆動軸３８にネジ結合部材
である相対位置調節ナツト５２及びロツクナツト
５３を介し固定支持させたもので、前記調節ナツ
ト５２は外周雄ネジ部５２ａをロータリケース２
１の雌ネジ部５４に結合させると共に、ロータリ
ケース２１に係合させる前記駆動軸３８の廻り止
め用四角軸部３８ａの端面に、前記ナツト５２の
内側面を当接係止させるように設けている。また
前記駆動軸３８の四角軸部３８ａより外側にボル
ト部３８ｂを延設していて、前記ロツクナツト５
３の形中心部を該ボルト部３８ｂに結合させて
いる。前記ロツクナツト５３は調節ナツト５２の
ロータリケース２１より露出する部分を覆うもの
で、ロータリケース２１の雌ネジ部５４を形成す
るボス２１ａ端面に前記ロツクナツト５３の輪状
端面を当接係止させ、前記駆動軸３８に対しロー
タリケース２１の植付ケース２０方向の移動を前
記調節ナツト５２で、また植付ケース２０とは反
対方向の移動を前記ロツクナツト５３で規制する
ように構成している。

上記から明らかなように、複数の植付爪１７，
１７を装設させるロータリケース２１を植付ケー
ス２０に出力軸である植付爪駆動軸３８を介して
取付ける田植機の植付装置において、駆動軸３８
軸芯方向の取付け位置調節を行うロータリケース
２１位置調節用ナツト５２をロータリケース２１
に螺着させると共に、ロータリケース２１離脱防
止用ナツト５３を前記駆動軸３８に螺着させ、ロ
ータリケース２１位置調節用ナツト５２の外側に
ロータリケース２１離脱防止用ナツト５３を配設
させるもので、位置調節用ナツト５２の螺出入に
よつてロータリケース２１取付け位置の微調節を
可能にしていると共に、離脱防止用ナツト５３に
よつて位置調節用ナツト５２を保護するように構
成している。

なお、前記ボルト部３８ｂのネジ山は駆動軸３
８の回転方向に対し逆ネジとなるように形成さ
れ、単一のロツクナツト５３による弛み防止を図
つている。また前記調節ナツト５２の外側面には
該ナツト５２のネジ込み用操作孔５５を設けてい
る。さらに前記調節ナツト５２及びロツクナツト
５３にはこれらナツト５２，５３自体の弛みをよ
り一層防止するための安全ナツト５６及び袋ナツ
ト５７を設けている。

本実施例は上記の如く構成しており、植付爪駆
動軸３８によりこれを中心に機体前後方向にロー
タリケース２１を一方向に連続して等速回転させ
ることにより、各ギヤ３９，４１，４２を介して
爪ケース軸４５が不等速回転し、苗取出口３７の
手前で植付爪１７を苗切取り姿勢に、また田面に
突入状態で植付爪１７を植付け姿勢に夫々移行さ
せ、ロータリケース２１の半回転で１株の苗を植
付けるものである。

而して今植付ケース２０に対しロータリケース
２１の相対取付位置の調節を行う場合には、先ず
調節ナツト５２の操作でもつて前記四角軸部３８
ａの端面を基準としたロータリケース２１の取付
位置の調節を行うもので、この調節完了後は前記
ロツクナツト５３でもつてロータリケース２１の
位置固定を行うものである。つまり前記調節ナツ
ト５２は四角軸部３８ａの端面に当接させた状態
でロータリケース２１を引き寄せた場合植付ケー
ス２０との取付間隙を大とする一方、ロータリケ
ース２１を引き離す場合植付ケース２０との取付
間隙を小とするもので、ロツクナツト５３による
位置固定後にあつてはロータリケース２１の植付
ケース２０方向の移動は調節ナツト５２で、また
植付ケース２０とは反対方向の移動はロツクナツ
ト５３で規制され、その取付位置に確実に保持さ
れる。またロータリケース２１の回転運動中もロ
ツクナツト５３は駆動軸３８とは逆ネジで締り勝
手となるため弛むことなく確実にロータリケース
２１を位置保持する。

「考案の効果」 以上実施例から明らかなように本考案は、複数
の植付爪１７，１７を装設させるロータリケース
２１を植付ケース２０に出力軸３８を介して取付
ける田植機の植付装置において、出力軸３８軸芯
方向の取付け位置調節を行うロータリケース２１
位置調節用ナツト５２をロータリケース２１に螺
着させると共に、ロータリケース２１離脱防止用
ナツト５３を前記出力軸３８に螺着させ、ロータ
リケース２１位置調節用ナツト５２の外側にロー
タリケース２１離脱防止用ナツト５３を配設させ
たもので、ロータリケース２１位置調節用ナツト
５２の螺出入によつてロータリケース２１取付け
位置の微調節を容易に行うことができると共に、
ロータリケース２１位置調節用ナツト５２の外側
にロータリケース２１離脱防止用ナツト５３を設
けるから、ロータリケース２１位置調節用ナツト
５２が保護されて該ナツト５２の損傷防止並びに
外圧などによる緩み誤動作防止などを容易に行う
ことができ、従来に比べてロータリケース２１位
置調節の機能向上並びに安全性の向上などを容易
に図ることができるものである。

【図面の簡単な説明】

第１図はロータリケース部の断面説明図、第２
図は全体の側面図、第３図は同平面図、第４図は
植付部の平面説明図、第５図はロータリケース部
の側面説明図、第６図は同内部説明図、第７図は
同取付状態を示す説明図、第８図は前図の−
線視図である。 １７……植付爪、２０……植付伝動ケース（植
付ケース）、２１……ロータリケース、３８……
出力軸（植付爪駆動軸）、５２，５３……ネジ結
合部材（ナツト）。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 複数の植付爪１７，１７を装設させるロータリ
   ケース２１を植付ケース２０に出力軸３８を介し
   て取付ける田植機の植付装置において、出力軸３
   ８軸芯方向の取付け位置調節を行うロータリケー
   ス２１位置調節用ナツト５２をロータリケース２
   １に螺着させると共に、ロータリケース２１離脱
   防止用ナツト５３を前記出力軸３８に螺着させ、
   ロータリケース２１位置調節用ナツト５２の外側
   にロータリケース２１離脱防止用ナツト５３を配
   設させたことを特徴とする田植機の植付装置。