JPH0518958B2 - - Google Patents

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JPH0518958B2
JPH0518958B2 JP60021350A JP2135085A JPH0518958B2 JP H0518958 B2 JPH0518958 B2 JP H0518958B2 JP 60021350 A JP60021350 A JP 60021350A JP 2135085 A JP2135085 A JP 2135085A JP H0518958 B2 JPH0518958 B2 JP H0518958B2
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JP
Japan
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sheet
resin layer
plasma
value
electrode
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JP60021350A
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JPS61186578A (ja
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Takao Akagi
Itsuki Sakamoto
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Kuraray Co Ltd
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Kuraray Co Ltd
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Publication date
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Priority to CA000501048A priority patent/CA1276586C/en
Priority to DE8686101423T priority patent/DE3681803D1/de
Priority to EP19860101423 priority patent/EP0190721B1/en
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Description

【発明の詳細な説明】
ポリエステル繊維はイージーケアー性に代表さ
れるようにすぐれた長所を有する繊維である。し
かし市場に出回つている透湿防水布、コーテイン
グ布、ラミネート布等の樹脂加工製品にポリエス
テル繊維を使用している例は極めて少ない。この
分野の主流はナイロン繊維による布帛である。ポ
リエステル繊維が使用されない理由は上記樹脂加
工製品をポリエステル繊維を使用して作成する
と、ポリエステルを染色している分散染料が樹脂
層を通して移行し、反物の保存中、あるいは縫製
時、または着用中に染料による汚染が生じるため
である。これはナイロンがイオン性染料により染
色され、ナイロンと染料が化学的に結合されてい
るのに対し、ポリエステルの場合は分散染料が化
学的結合をしていないためと考えられる。さらに
本発明者等の検討で明らかになつたことである
が、分散染料の溶解度パラメーターは、ポリエス
テルより樹脂加工に使用される樹脂、たとえば、
ポリウレタン、ポリアクリル酸エステル、ポリ塩
化ビニル等の溶解度パラメーターに近く、ポリエ
ステルに対する親和性より、樹脂層に対する親和
性の方がより大きいためと考えられる。 分散染料の移行昇華を防止する試みは従来まつ
たくないわけではない。例えば、特開昭59−
82469号にみられるごとく、繊維構造物にメラミ
ン系モノマーを付与し、熱により架橋させ、染料
の拡散速度を下げ、染料が通り抜けにくい層を作
成し、その後ポリエステル等のコーテイングを行
なうものであるが、メラミン糸の膜は繊維構造物
の風合を硬く変化させるとともにメラミンと樹脂
層の接着性が悪く、さらにメラミン系の溶解度パ
ラメーターSP値は8〜9.5(cal/cm21/2と分散染料
のSP値とほとんど同じであり、染料の移行昇華
防止効果は少ない。 また繊維構造物にシリコンエマルジヨンやフツ
素系エマルジヨンを付与することも考えられる
が、繊維表面を完全に被覆することが難しく、移
行昇華防止効果も少なく樹脂層との接着性が著し
く悪く製品としてのメリツトはない。 また特開昭58−214587号にみられるごとく、繊
維構造物を樹脂加工後、膜を形成させることも考
えられるが、従来の方法では膜を形成させること
は非常に難しい。それはこれらの樹脂加工は、溶
剤系のものが主体であり、樹脂加工表面は一般的
に親油性となつている。そのため通常の水分散エ
マルジヨンは、はじかれ膜形成性がない。さらに
親油性面に接着させるために溶剤型樹脂を考えた
としても、その溶剤がすでに形成された樹脂を溶
解させるものであつてはならず、まつたく樹脂を
膨潤させないものであると接着性がでないといつ
たふうに、溶剤の選択が著しく困難であるためで
ある。そのため特別な前処理工程を必要とし、工
程が複雑になる上、やはり接着力が劣る。 また、特開昭53−16085号、特開昭53−8669号
には、ポリ塩化ビニル樹脂中に含まれる可塑剤の
溶出防止のために、ガス状フルオロカーボンやガ
ス状有機ケイ素化合物を不活性ガスプラズマと接
触させ前記表面を緻密な重合体で被覆することが
述べられている。このように、低温プラズマ放電
によるプラズマ重合法で、塩ビ表面に、プラズマ
重合膜を形成することは公知であるが、この技術
は、可塑剤の溶出を防止する技術にとどまる。 本発明者等は、ポリエステル繊維中の分散染料
の移行昇華防止にはじめてSP値の概念を導入し、
プラズマ重合法により非常に優れた防止効果を有
するシート状構造物及びその製造方法を見い出し
た。本発明者等はSP値以外にも薄膜のガラス転
移温度Tg効果について詳細な検討を行なつたが、
SP値の効果ほどの防止効果は見い出せなかつた。 すなわち本発明は、分散染料によつて染色され
たポリエステル繊維を10重量%以上含む繊維構造
物の少なくとも片面にポリウレタン系樹脂層が被
覆され、その少なくとも片面樹脂層の表面に膜厚
100〜10000Åのフツ素含有化合物またはケイ素含
有化合物からなるプラズマ重合薄膜層が形成され
ていることを特徴とする、分散染料移行昇華防止
効果の優れたシート状構造物に関するものであ
り、また分散染料によつて染色されたポリエステ
ル繊維を10重量%以上含む繊維構造物の少なくと
も片面にポリウレタン樹脂層を被覆したシート状
構造物に、前記分散染料の溶解度パラメーター
SP値より0.5(cal/cm21/2以上異なつたSP値を持
つフツ素含有モノマーまたはケイ素含有モノマー
の低温プラズマ重合加工を行なうことにより、該
シート状構造物の少なくとも該樹脂層の表面に膜
厚100〜10000Åの薄膜層を形成させることを特徴
とする、分散染料移行昇華防止効果の優れたシー
ト状構造物の製造方法に関するものである。 本発明で言う繊維構造物とは、製編織された布
帛、不織布等を言い、当然のことながらこれらに
一次帯電防止加工、撥水加工、吸水加工等をほど
こしたものも含む。 分散染料とは、S.D.C及びA.A.T.C.C.共編のカ
ラーインデツクスに分散染料として所属する染料
を意味し、アゾ系、アンスラキノン系、キノリン
系、キノン系、フタロン系などがあり、これらの
1種以上の染料を配合したかたちで使用してもよ
い。 本発明で言うポリエステルとは、テレフタル
酸、イソフタル酸、ナフタリン−2,6−ジカル
ボン酸などの芳香族ジカルボン酸、フタール酸、
アジピン酸、セバシン酸などの脂肪族ジカルボン
酸またはこれらのエステル類とエチレングリコー
ル、ジエチレングリコール、1−4−ブタンジオ
ール、ネオペンチルグリコール、ジクロルヘキサ
ン−1,4−ジメタノールなどのジオール化合物
とから合成されるポリエステルであり、特に反復
構造単位の80%以上がエチレンテレフタレート単
位であるポリエステルが好ましい。また上記ポリ
エステル成分にポリアルキレングリコール、グリ
セリン、ペンタエリスリトール、メトキシポリア
ルキレングリコール、ビスフエノールA、スルホ
イソフタル酸などを共重合したものあるいは艶消
剤、熱安定剤、顔料等を混合したものでもよく、
当然これらに限定されるものではない。 またポリエステル繊維とは、短繊維であるか長
繊維であるかはもちろん問わないし、ポリエステ
ル系と他繊維のコンジユゲート、芯鞘繊維、ある
いは多芯芯鞘繊維等をも意味するものである。 要するにポリエステル繊維が分散染料に染色さ
れており、該繊維を10重量%以上含む繊維構造物
を対象とする。10重量%以上含むとは、混繊、混
紡、交編織等各種手法が考えられる。10重量%よ
り小では分散染料の移行昇華は大きい問題とはな
らない。10重量%以上でこの発明の効果が顕著と
なる。 樹脂加工とは、一般的に行なわれる樹脂加工を
言うが、繊維構造物の少なくとも片面に、特に限
定されないが、デイツプニツプ方式、浸漬方式、
コーテイング方式、ラミネート方式等の方法によ
り行なう。 本発明の効果から言うと、移行昇華のはげしい
ポリウレタンのコーテイング物、ラミネート物に
特に有効である。それは分散染料の溶解度パラメ
ーターのSP値と、これらの樹脂のSP値が近似し
ているためと考えられる。またこれらの樹脂加工
は一種類の樹脂に限定されるものではなく、混合
樹脂あるいは1回以上くり返し樹脂加工してもよ
く、これから形成される層を樹脂層とよぶため、
樹脂層は多層になることもある。しかし本明細書
においては、これらは樹脂層として一層と考え
る。 溶解度パラメーターSP値とは、ポリマーハン
ドブツク−337〜−359頁の−339頁B2又は
B1記載のGroup Molar Attraotion Constants(G)
と分子量(M)、密度(d)を用いて構造式よりSP=
dΣG/M式を用いて計算される値〔(cal/cm21/2
であるが、代表的物質のSP値計算結果を示すと、
ポリエチレンテレフタレート(10.7)、ポリウレ
タン(8〜10)、分散染料(8.3〜9.7)となる。 このように分散染料のSP値はポリエステルの
SP値よりポリウレタンのSP値に近似しており、
分散染料はより相溶性のよい樹脂層に移行するわ
けである。 染料の溶解度パラメーターSP値より0.5以上異
なつたSP値をもつモノマーとは、分散染料が1
種の場合はそのSP値を基準とするが、染料が1
種以上配合された場合は、それぞれの染料のSP
値に配合比率を乗じ加えた値を平均SP値として
そのSP値より0.5以上異なつたSP値をもつモノマ
ーとする。もちろん染料が1種以上配合されてい
る場合は、各染料のSP値の中で最も小さいSP値
より0.5以上小さいSP値をもつモノマーあるいは
染料の最も高いSP値より0.5以上大きいSP値を持
つモノマーを使用すれば移行昇華防止効果はさら
に顕著となる。またモノマーを混合して使用する
場合も分散染料の配合と同様に考え平均SP値を
使用する。これらのモノマーの例としては、脂肪
族フツ化炭素(5.5〜6.2)、芳香族フツ化炭素
(7.5〜8.2)、各種シランカツプリング剤(4.7〜
8.4)、飽和炭化水素(8以下)、不飽和炭化水素
(8以下)、エーテル(8以下)、アンモニア
(16.3)、脂肪族低級アルコール(11〜14.5)等ガ
ス状物あるいは液状物があるが本発明者等の検討
結果によると理由は明確ではないが、フツ素系又
はケイ素系モノマーが特に効果が優れている。フ
ツ素系モノマーとしてはCF4、C2F4、C3F6、フレ
オン、C3F6等のガス又はフツ化アルキルのアク
リレート等の溶液がある。ケイ素系モノマーとし
てはビニルトリメトキシシラン等各種シランカツ
プリング剤等がある。 これらのモノマーを使用し、少なくとも片面樹
脂層上に膜厚100〜10000Åのプラズマ重合薄膜層
を形成させる。これら一連の操作によつて得られ
た少なくとも三層構造からなるシート状構造物は
まつたく新規な構造物である。プラズマ重合法に
よつてのみ得られる100〜10000Åの薄膜は風合、
外観をそこなわないばかりか、シート状物の耐水
度、撥水度を向上させたり、透湿度、通気度を十
分維持して低下させない。このような薄膜で染料
移行昇華が防止できるのは、プラズマ重合膜がい
かに均一な膜厚となり、斑づきしていないかを物
語つている。また従来の方法では樹脂層との接着
が非常に悪かつたが、プラズマ重合法によると接
着性はきわめて良好である。 膜厚が10000Åを越えると風合がやや硬くなる
傾向があり、100Åより小となると摩擦、すれな
どにより膜が破損したりして、その部分の移行昇
華防止効果がそこなわれやすい。即ち膜厚は100
〜10000Åが好ましく、より好ましい膜厚として
は500〜3000Åである。 またこのシート状物は前記y>−x+500なる
式を満足すれば、耐水度、撥水度、通気度、透湿
性のすぐれた防水、透湿性の機能を有する構造物
となる。膜厚が10000Åを越えると耐水度はます
が、透湿度が減少し、上式を満足しなくなる傾向
がある。また膜厚が100Åより小だと耐水度の向
上効果がやや少ない。 分散染料により染色されたポリエステル繊維を
含む樹脂層が被覆されたシート状構造物の最表面
層に極薄膜を有し、染料移行昇華もなく、透湿防
水機能を有する構造物はこれが最初であろう。 また本発明で言う低温プラズマ重合法(加工)
とは、低温プラズマ放電を利用した重合法をい
い、放電時にモノマーを1種以上供給し、非重合
性ガスの存在下又は非存在下で1段重合させる場
合(A法)、又は樹脂加工された繊維構造物を非
重合性ガスの存在下低温プラズマ放電しラジカル
を発生させ、酸素にあまりふれさせることなく1
種以上の重合性モノマーを含む雰囲気中に導き重
合させる場合(B法)、又は樹脂加工された繊維
構造物を酸素ガス又は非重合性ガスの存在下低温
プラズマ放電させ酸素を含む雰囲気中にさらしラ
ジカルをパーオキサイド類に変化させ、1種以上
の重合性モノマーを含む雰囲気中に導き、重合さ
せる場合等のパーオキサイド法(C法)等を含
む。 低温プラズマとは、放電中で生成されるプラズ
マが平均電子エネルギー10eV(104〜105K)、電子
密度109〜1012cm-3で特徴づけられると同時に、
電子温度とガス温度との間に平衡が成立しない由
に、非平衡プラズマとも言われる。放電では生成
されるプラズマ中には電子、イオン、原子、分子
等が混在している。 電圧をかける電源としては任意の周波数のもの
が使用できる。放電の持続性及び均一性から言う
と1KHz〜10GHzが望ましい。また電極の巾方向
のプラズマ均一性から言うと1KHz〜1MHzが好ま
しく、1MHz以上になると電極の長さが1mをこえ
ると長さ方向に処理斑が生じやすい。また100Hz
以下は電極のエツヂ効果が生じやすく、エツヂ部
分でアーク放電が生じやすい。また電流としては
交流、直流、バイアスとかけた交流、パルス波等
が使用できる。電極は真空系内に配置された内部
電極方式と真空系外に配置された外部電極方式と
にわかれるが、外部電極方式は装置が大型化する
と、特に被処理物表面にプラズマが移動している
間に活性を失なつたり、プラズマが散乱しプラズ
マ濃度が希釈されるため処理効果が少ない。一方
内部電極方式は被処理物の近くに放電電極を設置
させることが可能なため、外部電極方式に比較す
ると処理効果は大きい。 電極形状は対称と非対称にわけられる。被処理
物の処理巾が大きく、従つて大きな電極が必要と
なる大型のプラズマ処理装置の場合は対称電極の
方がデメリツトが多い。例えば、大きな電極間に
ガスを均一に流すことはほとんど不可能に近く、
さらに大きな電極の端部が電界が乱れたりして、
処理斑が生じやすい。そのため大型のプラズマ処
理装置の場合は、非対称電極が好ましいことがわ
かつた。被処理物は前記電極間の任意の位置にセ
ツトし移動させることができるが、一方の電極に
接した方がしわ発生が少なく処理効果が大きい場
合がある。 被処理物が接触しない側の電極の形状としては
円柱状のもの、あるいは鋭角な断面を有する断面
多角形の棒状のもの等を1本以上任意に選定でき
るが、電極本数によつても処理効果は異なり、少
なすぎると処理効果は小さくなる。形状は円柱状
のものが好ましい。また被処理物が接触する可能
性のある側の電極の形状としては、ドラム状のも
の、あるいは板状のもの、あるいはそれら変形形
状のもの等を用いることができるが、その形状も
その組合せもこれらに限定されるものではない。
また電極の材質はステンレス、銅、鉄、アルミニ
ウム等の金属が使用でき、必要に応じてガラス、
セラミツクス等でコーテイングしてもよい。当然
必要に応じてこれらの電極は水冷されてもよく、
その冷却温度は被処理物によつて適宜選ばれる。
冷却水は、できる限り不純物の少ない水が望まし
いが、これら不純物による電気漏洩がさほど問題
にならない場合には特にこの限りではない。 次に真空系に導入するガスは、真空ポンプによ
る排気口より、なるべく遠くに供給口をつけて必
要に応じて分配しながら導入すべきである。また
電極間に導入してもよい。これは真空系内でのガ
スのシヨートパスをさける意味で重要であると同
時に、被処理物の処理斑を生じさせないためにも
重要である。 真空系に導入するモノマーを含むガスは、モノ
マーのガス、モノマーのガスと非重合性ガス、モ
ノマーのガスと重合性ガスのいずれでもよい。モ
ノマーのガスは、常温ですでにガス状のもの、液
体状のものいずれでも良い。非重合性ガスあるい
は重合性ガスとモノマーガスの混合は、モノマー
ガスの反応性、形成した薄膜の性能等により任意
に選択することが出来る。モノマーガス同志及び
モノマーガスとその他のガスは、真空系に別々に
導入して系内で混合したり、あらかじめ混合して
おいて、同時に導入してもなんらさしつかえない
し、非重合性ガスでの放電下、モノマーガスを導
入してもよい。 低温プラズマを生じさせる真空度としては、通
常0.001〜5.0Torrが用いられるが、本発明者等の
検討結果によると0.01〜50Torrが望ましい。真
空度0.01Torr以下になるとイオン、電子の平均
自由工程は大きくなり加速粒子のエネルギーは増
大するが、被処理物へ到達する加速粒子個数の総
数が少なく、処理効率はやや低くなる。しかも大
型の処理室をガスを導入しながら0.01Torr以下
に保つには非常に排気量の大きい真空ポンプが必
要となり、設備コストから考えても望ましいもの
でない。真空度が5Torr以上になると、イオン、
電子等の平均自由工程は小さくなり、加速粒子の
エネルギーは小さくなり、加速粒子個数の総数は
多いにもかかわらず処理効率は低くなる。 さらに電極間に配置するシート状構造物の相対
的な位置については前にも述べたが、一方の電極
に接触して配置させるのが一般的には処理効率は
良い。また構造物に張力をあまりかけたくない場
合や、構造物にシワを入れたくない場合は、構造
物と電極が一緒に移動できるタイプのもの、例え
ばドラム電極上に構造物を接触させて配置し、ド
ラムを回転させながら構造物を移動させるような
ものが望ましい。実際微少なシワが処理斑を引き
おこすことがよくある。張力やシワにあまり注意
をはらわなくてよい場合には、例えばプレート電
極上に構造物を接触して配置し、構造物を電極上
を滑らせて走行移動させてもよい。当然片面処理
後さらに電極を構造物に対して逆配置した所を通
せば両面処理が可能となる。通常の場合、片面の
みの処理効果で十分な場合が多いのでこのタイプ
が処理効率から言つても望ましい。しかしどうし
ても両面の処理効果を1対の電極のみで得ようと
すれば両電極間の間の位置にシート状構造物を配
置し、構造物を走行移動させればよい。この場合
は、電極に接して配置した場合に比較して処理効
果は一般的に小さくなる。この現象を放電特性か
ら考えてみると、両電極間の電圧降下特性で説明
できる。両電極間の電圧降下特性は、低電圧側電
極付近がもつとも大きく、次いで高電圧側であ
り、両電極の中間付近の電圧降下は少ないと言わ
れており、この電圧降下がすなわち電界の強さに
比例しており、電圧降下の大きい部分の方が荷電
粒子により大きなエネルギーを与えることができ
るからであろう。直流方式の場合は、低電圧側電
極と高電圧側電極とが容易に決定されるが、交流
方式の場合は、低電圧側と高電圧側とが時間的に
入れかわるため、低電圧側電極と高電圧側電極と
を区別して言えない。しかしいずれにしろ電極に
近いほど電圧降下が大きく処理効果は大となると
考えられる。 次に処理の均一性の面から言うと、両電極は平
行に保持される必要があり、しかも被処理繊維構
造物質の進行方向に直角に配置されなければなら
ない。この条件が満足されないと、構造物の巾方
向に処理斑を生じさせることになる。 さらに両電極の巾は被処理繊維構造物の巾より
少なくとも5cm以上長くしておく必要がある。こ
れは電極の端部の電界不均一性を除くためであ
る。この長さが5cm以下になると構造物の巾方
向、特に両サイドが中央付近と比較して処理効果
が異なり好ましくない。 本発明で言うシート状構造物が移動するという
ことは、この装置が大気にあるシート状構造物を
連続的に真空系内に移動し処理できるもの及びシ
ート状構造物が予備真空系内に配置され処理室に
移動できるもの、さらには処理室内にシート状構
造物が間仕切りして配置されてるもの等を言う
が、要するにシート状構造物が連続的に移動でき
るものであればよい。プラズマ出力は放電部分に
作用する出力として0.1〜5ワツト/cm2が望まし
い。この場合、放電部面積としては、放電部に存
在するシート状構造物の面積、あるいは対電極の
どちらかの表面積でプラズマ放電部出力の値を割
つた場合にどれかの数値が0.1〜5ワツト/cm2
なればよい。放電部出力は放電部の電圧、電流を
測定すれば容易に算出できるが、一つの目安とし
てプラズマ電源の出力の30〜70%と考えてもよ
い。プラズマ出力が0.1ワツト/cm2以下の場合プ
ラズマ重合処理に時間がかかるし、重合膜の厚さ
も十分ではない。プラズマ出力が5ワツト/cm2
上になるとやや放電が不安定になり、重合以外に
エツチングもおこりやすくなる。 処理時間は5〜600秒程度が望ましいが、この
範囲に必ずしも限定されるものではない。5秒未
満の処理では、重合膜の膜厚がやや低く、600秒
を越えると重合膜の膜厚は十分であるが、着色し
たり、やや表面が硬くなつたり、もろくなつて繊
維本来の性能と違つてくる場合がある。 前記方法により形成した薄膜の膜厚は多重干渉
顕微鏡又は電子顕微鏡により測定した。その結果
分散染料の平均SP値より0.5以上はなれた平均SP
値を有するモノマーを使用し100〜10000Åの膜厚
を有する薄膜であれば、染料の移行昇華を完全に
防止することが出来ることが判明した。膜厚が
100Å以下でも効果はあるが摩擦耐久性にやや難
点がある。また十分な耐久性を得るためには好ま
しくは500Å以上の膜厚があれば、良い。しかし、
単量体や樹脂の種類によつては100Åで十分な耐
久性を有するものもある。 本発明で言う非接地式電極は、放電電極及び放
電回路が接地された缶体から絶縁され、非接地状
態となつているものである。この場合はシート状
構造物と接触している電極電位と缶体の電位(接
地してあるので大地電位)は異なり、缶体が電極
として作用することはなく、放電は両電極間内で
主におこる。そのためプラズマは有効に希釈され
ることなくシート状構造物に作用し処理効果は著
しく上ると同時に、少ない放電電力で処理効果は
従来の接地方式に比較して著しく大きく、短時間
の処理で所定の効果が得られるため、装置の小型
化、言いかえると設備費用も少なくてよく、しか
も放電電力が少なくてすむためランニングコスト
も数分の1程度になる。 プラズマ重合によつて得られた膜を、繊維構造
物の樹脂加工面に形成させたシート状構造物は、
意外にも繊維構造物の樹脂加工品が保有している
通気性及び透湿性をそこなうことなくフツ素系又
はケイ素系モノマーを使用して得た重合膜の場合
は耐水性、撥水性まで向上した。 以下実施例によつて詳細な説明を行なう。なほ
撥水性、耐水性、通気度、透湿度はJIS L−092
(スプレー法)、JIS L−1092(A法)、JIS L−
1096A法(フラジール法)、JIS Z−0208法によ
りそれぞれ測定し、洗濯はJIS L−0217−103法
により10回行ない耐久性を評価した。また移行昇
華については、サンプルのプラズマ重合面とサン
プルと同一種の白地の樹脂加工布の加工面とを密
着させステンレス板に挾みこみ、100g/cm2の荷
重下120℃の雰囲気中に80分おき、白地への汚染
程度をグレースケールにて判定した。測定はドラ
イの状態とウエツト状態の二通り行ない評価し
た。又実施例に使用したプラズマ装置は、ベルジ
ヤー型タイプで500KHzの高周波を電源に採用し、
電極は対称円板電極である。実施例表中の重合法
A法、B法、C法は特許明細書中のプラズマ重合
法A法、B法、C法に相当し、A法は通常プラズ
マ重合、B法は2段グラフト法、C法はパーオキ
サイド法と呼ばれる方法である。 モノマーの略称としてC2F4は4フツソ化エチ
レン、TMCSはトリメチルクロロシラン、
VDEMSはビニルジエチルメチルシラン、CH4
メタン、VTASはビニルトリアセトキシシラン
である。 非重合性ガスArはアルゴン、O2は酸素を示す。
又耐久性は洗濯10回後に初期性能の9割以上の性
能を有するものを〇とした。 表1中の比較例1と実施例1,2,4および比
較例2から、C2F4のプラズマ重合により膜厚100
Å以上で良好な染料移行昇華性を示すことがわか
る。又耐水圧、撥水度等の性質も向上しているこ
とがわかる。 実施例2と3からプラズマ照射装置の電極板を
缶体から絶縁することにより効率よく膜形成がお
こなわれていることがわかる。 実施例5,6,7と比較例1よりTMCS、
VDEMSのプラズマ重合によつても染料移行昇華
性、耐水圧、撥水度が向上していることがわか
る。 実施例8はArガス放電でシート状構造物表面
に活性点を形成し、引き続きVDEMSモノマーを
導入して活性点よりグラフト反応を行なわせたも
のである。実施例9はO2ガス放電でシート状構
造物表面にパーオキサイドを形成させ、引き続き
VDEMSを導入させ電極板を80℃に加熱してグラ
フト反応を行なわせた。実施例8,9とも良好な
染料移行昇華性、耐水性、撥水性を示した。 実施例11、12はモノマーの種類を変えて分散染
料の平均SP値とモノマーの平均SP値との差を変
化させてプラズマ重合を行なつた結果である。
VTASは分散染料の平均SP値より0.6低いSP値を
もつが、分散染料の最小SP値との差が0.1しかな
いため他のVDEMSに比較して染料移行昇華改良
効果がやや低くなつているが、比較例3より格段
に向上している。
【表】
【表】
【表】

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1 分散染料によつて染色されたポリエステル繊
    維を10重量%以上含む繊維構造物の少なくとも片
    面にポリウレタン系樹脂層が被覆され、その少な
    くとも片面の樹脂層の表面に膜厚100〜10000Åの
    フツ素含有化合物またはケイ素含有化合物からな
    るプラズマ重合薄膜層が形成されていることを特
    徴とする、分散染料移行昇華防止効果の優れたシ
    ート状構造物。 2 シート状構造物が下記の式を満足することを
    特徴とする特許請求の範囲第1項記載のシート状
    構造物。 y>−x+500(x≧0 y≧0) y:シート状構造物の透湿度、g/m2/24h (JIS Z−0208) x:シート状構造物の耐水圧、mm (JIS L−1092) 3 分散染料によつて染色されたポリエステル繊
    維を10重量%以上含む繊維構造物の少なくとも片
    面にポリウレタン樹脂層を被覆したシート状構造
    物に、前記分散染料の溶解度パラメーターSP値
    より0.5(cal/cm21/2以上異なつたSP値を持つフツ
    素含有モノマーまたはケイ素含有モノマーの低温
    プラズマ重合加工を行なうことにより、該シート
    状構造物の少なくとも該樹脂層の表面に膜厚100
    〜10000Åの薄膜層を形成させることを特徴とす
    る、分散染料移行昇華防止効果の優れたシート状
    構造物の製造方法。 4 低温プラズマ重合を、電極が缶体に対して絶
    縁された非接地式電極を有する低温プラズマ装置
    にて行なうことを特徴とする特許請求の範囲第3
    項記載のシート状構造物の製造方法。
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