JPH0518783A - 光学式エンコーダ - Google Patents

光学式エンコーダ

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JPH0518783A
JPH0518783A JP17131191A JP17131191A JPH0518783A JP H0518783 A JPH0518783 A JP H0518783A JP 17131191 A JP17131191 A JP 17131191A JP 17131191 A JP17131191 A JP 17131191A JP H0518783 A JPH0518783 A JP H0518783A
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JP
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light
sin
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JP17131191A
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Motoshi Momoi
元士 桃井
Fusao Kosaka
扶佐夫 幸坂
Hiroshi Nakayama
博史 中山
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Yokogawa Electric Corp
Original Assignee
Yokogawa Electric Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は光学式エンコーダに関し、その目的
は、コード板の偏心を自己検出できる光学式エンコーダ
を提供することにある。 【構成】 回転軸に対して対称の位置に配置した2つの
光源と対応した受光アレイのそれぞれの出力(sinθ
a,sinθ´)を演算器で演算してコード板の偏心の
大きさを求め、外部機器に偏心の状態を知らせるように
構成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は光学式エンコーダに関
し、更に詳しくは、コード板の偏心検出に関する。
【0002】
【従来の技術】図8〜図10を用いて、従来の光学式エ
ンコーダを説明する。図8は光学式エンコーダの位相情
報θを検出する要部を示した図、図9はフォトダイオー
ドが4素子の場合の出力信号を示した図、図10はコー
ド板の構成例図である。
【0003】図8において、光源1から光をコード板2
へ照射する。該コード板2は光を通過させるスリット2
bと光を遮断する遮光部2aとが交互に配列された板で
ある。光源1から照射する光が散乱光であるとすれば、
例えば光電変換素子のアレイ3(以下、受光アレイ3と
記す…なお光電変換素子として例えばフォトダイオード
を用いることができる)には、図8中に示すような正弦
波状に照度が分布する光が加えられる。該受光アレイ3
に照射された正弦波状照度分布波形の位相θはコード板
2の位置(又は角度)に応じて定まり、コード板2が移
動するとθの値も変化する。そこで、図8では、受光ア
レイ3に照射された正弦波状照度分布の位相θを検出
し、該位相θをもってコード板2の位置(又は角度)の
測定に代えている。
【0004】受光アレイ3を構成する各フォトダイオー
ドH1〜H4の出力電流I1〜I4は、正弦波状照度分
布光の強度に応じた値となる。該出力電流I1〜I4を
アンプU1〜U4を用いて電圧に変換し、該変換電圧を
スイッチ手段SW1〜SW4を用いて角速度ωでスキャ
ンするとサンプル値の時系列になり、図9の破線で示す
正弦波状の出力VがアンプUの出力として得られ
る。ただし、図9の破線で示すように滑らかな正弦波の
出力を得るにはフォトダイオードの数をもっと増やす必
要がある。該図9の波形は図8の波形に相当するもので
あり、コード板2の移動に伴ってその位相θがシフトす
るので、アンプUの出力Vからコード板2の位置ま
たは角度が求められる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、このように
構成されるエンコーダのコード板をモータのシャフトに
取り付けるのにあたって、コード板の中心とシャフトの
回転中心とを一致させるのが理想であるが、現実には図
11に示すように両者の中心は異なることが多い。図1
1において、O1はシャフトの回転中心、O2はコード
板の中心であり、両中心O1,O2の間には距離rの偏
心が存在する。SAは偏心がないときのスリットを示
し、SBは偏心があるときのスリットを示している。
【0006】このような偏心は固定配置されている受光
アレイの出力信号に対して、コード板の回転角度に応じ
た正弦波状の変動を与えることになり、測定誤差になっ
てしまう。
【0007】本発明の目的は、コード板の中心とシャフ
トの回転中心とのずれ(偏心)を精度よく検出できる光
学式エンコーダを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を解
決するために、スリットと遮光部が交互に設けられたコ
ード板と、該コード板の回転軸に対して対称な位置に配
置され、コード板に光を照射する2つの光源と、前記コ
ード板の裏側に生じる正弦波状照度分布の1周期を4等
分する位置に配列された4個の光電変換素子よりなる2
つの受光アレイと、各受光アレイ毎に、それぞれの光電
変換素子の出力のうち、互いに180°位相が異なる出
力同士を減算する第1,第2の減算手段と、これら4つ
の減算手段の同一時刻の出力をディジタル値に変換する
AD変換手段と、前記各光源を点灯,消灯に駆動する手
段と、点灯時と消灯時における各第1減算手段のディジ
タル値の差分(sinθa,sinθa´)を演算し、
点灯時と消灯時における各第2減算手段のディジタル値
の差分(cosθa,cosθa´)を演算し、sin
θa,cosθaから一方の受光アレイ上の正弦波状照
度分布波形の位相θaを演算し、sinθa´,cos
θa´から他方の受光アレイ上の正弦波状照度分布波形
の位相θa´を演算し、(sinθa−sinθa´)
または(θa−θa´)からコード板の偏心を演算する
手段、を備えたものである。
【0009】
【作用】点灯時における第1減算手段と第2減算手段の
出力{例えば、2a・sinθa+(ε1−ε3)…
(5) 式参照}には、コード板の位相θaを表す信号の他
に、光電変換素子のオフセット(暗電流)と回路系のオ
フセット(ε1−ε3)が重畳されている。
【0010】一方、消灯時における第1減算手段と第2
減算手段の出力は、光電変換素子のオフセットと回路系
のオフセットとを加算したものである。演算器は、点灯
時と消灯時における第1減算手段の出力の差分と第2減
算手段の出力の差分{例えば、2a・sinθa、2a
・cosθa…(13)、(14)式参照}を演算するので、該
差分には上記光電変換素子と回路系のオフセットは含ま
れない。
【0011】従って、これら2つの差分から求められた
正弦波状照度分布波形の位相θaは、オフセットに影響
されず正確である。これらの関係は光源と受光アレイの
各系統について同様であり、他方の系統から2a´・s
inθa´,2a´・cosθa´が得られる。
【0012】そして、これら4つのデータ2a・sin
θa,2a・cosθa,2a´・sinθa´,2a
´・cosθa´からそれぞれの振幅2a,2a´を求
めた後、(sinθa−sinθa´)または(θa−
θa´)に基づいて偏心の演算を行う。
【0013】
【実施例】以下、図面を参照して、本発明の実施例を詳
細に説明する。図1は本発明に係る光学式エンコーダの
原理構成図、図2は図1装置の各部の信号のタイミング
チャート、図3は光電変換素子の出力波形図、図4は本
発明の一実施例を示す構成図、図5は図4の装置の信号
処理回路の一実施例図、図6は図5の回路のタイミング
チャート、図7は偏心がある場合のコード板の回転角θ
と光強度分布波形の位相θa,θa´の対応関係図であ
る。
【0014】図1において、光源1は発光ダイオードま
たは白熱電球で構成され、散乱光を図10に示すコード
板2に照射する。コード板2は図10のようにスリット
2bと遮光部2aが交互に設けられた板であり、その中
心部は回転シャフト40に取り付けられる。
【0015】受光アレイ3は、図3に示すように4個の
光電変換素子H1〜H4で構成される。光電変換素子H
1〜H4は例えばフォトダイオードで構成され、照射さ
れた光の強さを電流に変換して出力する。
【0016】これら光源1とコード板2と受光アレイ3
の位置関係は従来例と同様であり、図9のように受光ア
レイ3の受光面に正弦波状照度分布が生じるようにそれ
ぞれが配置される。そして、各受光素子H1〜H4は、
図3のように正弦波状照度分布の1周期を4等分する位
置に配列されるので、各光電変換出力は90°ずつ位相
が異なる。
【0017】図3は、各光電変換素子H1〜H4と、そ
の出力電流を電圧に変換変換するアンプU1〜U4の接
続を示している。図1では、光電変換素子とアンプのペ
アをまとめて光電変換器A1〜A4として描いている。
【0018】各減算器4,5は例えば差動アンプで構成
され、光電変換出力のうち、互いに180°位相が異な
るものを減算する。すなわち、減算器4は光電変換器A
1とA3の差演算を行い、減算器5は光電変換器A2と
A4の差演算を行う。
【0019】サンプルホールド回路(以下単にS/H回
路と記す)6,7は、シーケンスコントローラ11から
信号bが加えられるたびに同時刻に減算器4,5の出力
データをサンプリングしてホールドするものである。マ
ルチプレクサ8は、シーケンスコントローラ11から加
えられる信号cにより、S/H回路6,7でホールドし
た結果を順次切り替えて取り出し、A/D変換器(以下
ADCという)9へ加える。ADC9は、導入されたア
ナログ信号をデジタル信号に変換する。つまり、これら
S/H回路6,7とマルチプレクサ8とADC9は、2
つの減算器4,5の同一時刻の出力をデジタル値に変換
するAD変換手段を構成している。
【0020】ドライバ12は、シーケンスコントローラ
11からの制御信号aにより光源1に加える電流をオ
ン,オフし、これを点灯したり、消灯したりする。演算
器10は、点灯時と消灯時における減算器4の出力の差
分を演算するとともに、点灯時と消灯時における減算器
5の出力の差分を演算する。そして、この2つの差分か
ら正弦波状照度分布波形の位相θを演算する。
【0021】シーケンスコントローラ11は、S/H回
路6,7とマルチプレクサ8とADC9と演算器10と
ドライバ12を制御する。以上のように構成された図1
の動作を説明する。
【0022】光源1の光はコード板2のスリット2bを
通過して、受光アレイ3上に図3のような正弦波状照度
分布を生じさせる。該照度分布はコード板2の動きに応
じて受光アレイ3上を移動する。光電変換器A1〜A4
の光電変換素子H1〜H4は上述のように90°ずつ位
相がずれているため、各光電変換器A1〜A4の出力は
次式のようになる。
【0023】A1=a(sinθ)+b+ε1…(1) A2=a(cosθ)+b+ε2…(2) A3=a(−sinθ)+b+ε3…(3) A4=a(−cosθ)+b+ε4…(4) θ:正弦波状照度分布波形の位相、すなわちコード板2
の位置に応じた変数 a:受光アレイ3上での光パワーの振幅 b:光バイアス分 ε1〜ε4:オフセット なお、光バイアス分bは、光源1から受光アレイ3に照
射する光パワーの平均値である。オフセットε1〜ε4
は、光電変換素子H1〜H4のオフセット(暗電流)と
図3に示すアンプU1〜U4のオフセットなどを含むも
のである。
【0024】減算器4は、180°位相が異なる光電変
換器A1とA3の出力の差分を演算するので、 A1−A3=2a・sinθ+(ε1−ε3)…(5) を出力し、減算器5は、180°位相が異なる光電変換
器A2とA4の出力の差分を演算するので、 A2−A4=2a・cosθ+(ε2−ε4)…(6) を出力する。
【0025】S/H回路6,7は、シーケンスコントロ
ーラ11から同一のS/H信号bが加えられるたびに同
期して、(5) 式,(6) 式で示す減算器4,5の出力をサ
ンプリングする。
【0026】S/H回路6,7の内容はマルチプレクサ
8によりそれぞれ選択されてADC9に加えられ、それ
ぞれデジタル値に変換される。該デジタル値は演算器1
0にに加えられて位相θを求めるための演算が施され
る。
【0027】ところが、(5) 式,(6) 式にはオフセット
ε1〜ε4が含まれているので、何等の対策を施すこと
なくこれら(5) 式,(6) 式の出力に基づいて位相θを算
出しても高精度な位相測定は行えない。
【0028】そこで、次のようにしてオフセットの影響
を除去する。演算器10は、上述した点灯時の測定デー
タ、すなわち(5) 式,(6) 式に基づく(A1−A3)と
(A2−A4)のデジタルデータを内蔵するメモリに格
納しておく。
【0029】次に、ドライバ12から光源1に加える電
流をオフにして光源1を消灯させる。この時、(1) 式〜
(4) 式における光成分は全てなくなるので、各光電変換
器A1〜A4から出力される信号B1〜B4は(7)式〜
(10)式に示すようにオフセット成分のみになる。
【0030】B1=ε1…(7) B2=ε2…(8) B3=ε3…(9) B4=ε4…(10) 従って、消灯時における減算器4の出力は、 B1−B3=(ε1−ε3)…(11) になり、減算器5の出力は、 B2−B4=(ε2−ε4)…(12) になる。これら(11)式,(12)式の測定データも上述と同
様にS/H回路6,7で同時サンプルされ、マルチプレ
クサ8とADC9を経てそれぞれデジタル値に変換され
た後、演算器10に加えられる。
【0031】演算器10は、内蔵メモリに格納していた
(5) 式,(6) 式で表される測定データを読み出して、点
灯時と消灯時における減算器4の差分を求める(13)式お
よび減算器5の差分を求める(14)式の演算を行う。
【0032】 (A1−A3)−(B1−B3)=2a・sinθ…(13) (A2−A4)−(B2−B4)=2a・cosθ…(14) これら(13)式,(14)式の演算を行うことにより、オフセ
ットε1〜ε4が除去された位相θのみのデータを得る
ことができる。
【0033】しかし、振幅“a”は、光源1の温度特性
や経時変化、光電変換素子の温度特性等で変動するた
め、(13)式,(14)式から“a”を除去することが望まし
い。そこで、演算器10で比演算を行うことによりaを
除去した(sinθ/cosθ)を用いて位相θを算出
する。
【0034】すなわち、演算器10は、(15)式により、
オフセットの影響がなく、かつ光源1と光電変換素子の
温度特性の影響もない状態で、正弦波状照度分布波形の
位相θを演算できる。
【0035】 θ=tan−1(sinθ/cosθ)…(15) また、AD変換手段で2つの減算器の同一時刻の出力を
デジタル値に変換しているので、高速回転しているコー
ド板の位相θも正確に測定できる。以下にその理由を説
明する。
【0036】もし、2つの減算器の出力である(5) 式,
(6) 式の値のサンプリングに時間のズレがあると、誤差
が生じる。例えば、コード板2のスリット数が1000
で回転数が3000rpmとすると、(5) 式,(6) 式の
sinθ,cosθは50KHzになる。これは、周期
が20μsであり、1/100の位相測定を行うことを
考えると、この同時性は20μs/100=0.2μs
が必要になる。
【0037】図2はコード板2が回転(正弦波状照度分
布が時間的に変化)している時の図1の各部の信号のタ
イミングチャートであり、この図を参照して各部動作の
タイミングを説明する。なお、上述では、初めに(5)
式,(6) 式で示される点灯時の測定データを取り込み、
次に(11)式,(12)式で示される消灯時の測定データを取
り込むとして説明したが、この順序が逆になってもよ
い。
【0038】図2では、シーケンスコントローラ11か
ら加える制御信号aにより光源1をまず消灯(LOW)
して消灯時の測定データ(オフセットデータ)を取り込
み、次に点灯(HIGH)して点灯時の測定データを得
ている(図2(1) 参照)。従って、消灯時と点灯時にお
ける減算器4,5の出力は、図2(2),(3) のようにな
る。すなわち、消灯時には減算器4から(11)式のオフセ
ットを意味する電圧V f1(=ε1−ε3)が出力さ
れ、減算器5から(12)式のオフセットを意味する電圧V
of2(=ε2−ε4)が出力される。また、点灯時に
は、コード板2の回転とともに(5) 式,(6) 式で示され
る波形が出力される。
【0039】S/H回路6,7には消灯時に図2(4) に
示すタイミングでS/H信号bがシーケンスコントロー
ラ11から加えられるので、S/H回路6は図2(2) に
示すデータD1を、S/H回路7は図2(3) に示すデー
タD3を、同一時刻にサンプリングする。
【0040】これらサンプリングデータD1,D3はマ
ルチプレクサ8により順次取り出され、ADC9へ入力
される。すなわち、図2(5) に示すシーケンスコントロ
ーラ11の信号cがHIGHのときS/H回路6が選択
され、LOWのときS/H回路7が選択される。ADC
9は、マルチプレクサ8がHIGHの期間にシーケンス
コントローラ11からAD変換コマンド信号dが加えら
れることによりS/H回路6がサンプリングしているオ
フセットデータD1をデジタル値に変換し、マルチプレ
クサ8がLOWの期間にシーケンスコントローラ11か
らAD変換コマンド信号dが加えられることによりS/
H回路7がサンプリングしているオフセットデータD3
をデジタル値に変換する(図2(6) 参照)。
【0041】演算器10は、図2(7) に示すシーケンス
コントローラ11からのデータ取得コマンド信号eのタ
イミングによりデジタルデータD1,D3を取り込み、
図示しないメモリに格納する。
【0042】点灯時には上述と同様な動作により位相デ
ータD2とD4が演算器10のメモリに取り込まれる。
その後、演算器10にはシーケンスコントローラ11か
ら図2(8) に示す演算コマンドfが加えられ、演算器1
0はこれを起点にして上述した演算を行い、オフセット
と温度特性に影響されない位相θを算出する。
【0043】図4において、コード板2には半径の異な
る3つの同心円のスリット列A,B,Cが設けられてい
て、半径の一番大きなスリット列Aのスリット数を例え
ばn個とすると、中間の半径のスリット列Bのスリット
数は(n−m)個に設定されて半径の一番小さなスリッ
ト列Cのスリット数は(n−m−1)個に設定され、各
スリット列A,B,Cを構成するスリットの配列周期も
それぞれ異なっている。ここで、nとmはn=kmの関
係があり、k,n,mは自然数である。
【0044】これにより、最大半径のスリット列Aによ
り360°をn等分してこの360/nの中(例えばn
=180であれば2°)を極めて高い分解能で測定でき
て他のスリット列B,Cでその2°が360°の中のど
の位置に該当するかを特定でき、コード板2のアブソリ
ュートの角度を測定できる。
【0045】コード板2の回転軸40に対して対称な位
置にはコード板2に光を照射する2つの光源1,1´が
配置され、コード板2の各スリット列A,B,Cの裏側
にはそれぞれ正弦波状照度分布の1周期を4等分する位
置に配列された4個の光電変換素子よりなる2つの受光
アレイ3,3´が配置されている。すなわち、符号にダ
ッシュ「´」を付けた系統が追加配置されている。
【0046】図5では図4の任意の1スリット列の信号
処理系統のみを示していて、追加された系統部分の減算
器,S/H回路の符号にはダッシュ「´」を付けてい
る。これら追加された系統のS/H回路6´,7´の出
力信号も共通のマルチプレクサ8を介してADC9に加
えられデジタル信号に変換される。
【0047】図6でも、追加された系統部分の信号には
ダッシュ「´」を付けている。このような構成におい
て、追加された系統部分の動作は図1の回路の動作と同
様なのでそれらの説明は省略し、偏心の検出動作につい
て説明する。なお、以下の説明では、受光アレイ3上の
正弦波状照度分布波形の位相をθa、受光アレイ3´上
の正弦波状照度分布波形の位相をθa´とする。
【0048】 (1) sinθa,sinθa´による偏心検出 上述のように、一方の光源1の消灯時の減算器4,5の
出力からデジタルデータD1,D3を求めてオフセット
データとし、光源1の点灯時の減算器4,5の出力から
デジタルデータD2,D4を求めて位相データとして、
これらデジタルデータD1〜D4から2a・sinθa
及び2a・cosθaを求める。
【0049】2a・sinθa=D2−D1…(16) 2a・cosθa=D4−D3…(17) 同時に、他方の光源1´を用いてオフセットデータD1
´,D3´及び位相データD2´,D4´を求め、これ
らデジタルデータD1´〜D4´から2a・sinθa
´及び2a・cosθa´を求める。
【0050】 2a´・sinθa´=D2´−D1´…(18) 2a´・cosθa´=D4´−D3´…(19) これら4つのデータから、振幅2a,2a´を求める。
【0051】 2a={(2a・sinθa)+(2a・cosθa)1/2…(20) 2a´={(2a´・sinθa´) +(2a´・cosθa´)1/2…(21) そして、これら振幅2a,2a´と2a・sinθa,
2a´・sinθa´から次の演算を行う。
【0052】 C=|2a・sinθa/(2a)−2a´・sinθa´/(2a´)| =|sinθa−sinθa´|…(22) または、 C={2a・sinθa/(2a)−2a´・sinθa´/(2a´)} ={sinθa−sinθa´}…(23) コード板2の偏心がなく、θaとθa´の位相が完全に
一致していればC=0になるが、コード板2に偏心があ
る場合にはθaとθa´との間の位相差は例えば図7の
ように変動し、C>0になる場合が発生する。このCの
最大値は位相差が大きいほど大きい値になるので、Cの
値から偏心の大きさを知ることができる。
【0053】演算器10は、許容できる偏心量に対応し
たCの値Cmと演算により求めたCの値を比較し、C>
Cmのような状況が発生した場合には異常情報を外部に
出力して偏心過大を知らせる。
【0054】(2) θa,θa´による偏心検出 θa=atan(sinθa/cosθa)…(24) θa´=atan(sinθa´/cosθa´)…(25) で求められるθa,θa´を用いても偏心の判定ができ
る。偏心がある場合、θa,θa´に生じる誤差は符号
が逆になる(図11参照)。
【0055】この場合、 Cp=|θa−θa´|…(26) または、 Cp=(θa−θa´)…(27) で求められるCpの最大値が許容できる偏心量に対応し
たCpの値Cpmと演算により求めたCpの値を比較
し、Cp>Cpmのような状況が発生した場合には異常
情報を外部に出力して偏心過大を知らせるようにする。
【0056】
【発明の効果】以上述べたように、本発明によれば、次
の効果が得られる。 (1) 各基本回路は、180°位相の異なる信号の差をと
る構成のため、光バイアス分b((1) 式〜(4) 式)が除
去できる。すなわち、光源の光パワー変動に伴う光バイ
アスbの変化を自動的に除去できる。 (2) 各基本回路は、光源をオン,オフし、オフセットを
計測できる構成のため、光電変換素子のオフセットと回
路系のオフセットを除去でき、高精度な位相計測が行え
る。 (3) 各基本回路は、4つの減算器の出力を同時サンプリ
ングし、1個のADC9を共用してデジタル変換するた
め、ADC9のゲイン特性に基づく位相演算誤差がな
い。 (4) コード板が許容できる偏心量を越えていることを外
部機器が知ることができることから、故障の検出及びエ
ンコーダを組み込んだシステムの誤動作を防止できる。 (5) また、本発明で検出できる他の異常モードとしては
以下のようなものがある。
【0057】光源:断線などによる点灯不能,光量低
下,光量異常増加 受光アレイ:断線,受光素子の感度バラツキの悪化,ゴ
ミなどによる感度バラツキの悪化 回路:出力低下,異常増加,出力バラツキの悪化,電源
電圧低下による回路出力クリップ
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る光学式エンコーダの原理構成図で
ある。
【図2】図1装置の各部の信号のタイミングチャートで
ある。
【図3】光電変換素子の出力波形図である。
【図4】本発明の一実施例を示す構成図である。
【図5】図4の装置の信号処理回路の一実施例図であ
る。
【図6】図5の回路のタイミングチャートである。
【図7】偏心がある場合のコード板の回転角θと光強度
分布波形の位相θa,θa´の対応関係図である。
【図8】光学式エンコーダの位相情報θを検出する要部
を示した図である。
【図9】フォトダイオードが4素子の場合の出力信号を
示した図である。
【図10】コード板の構成例図である。
【図11】コード板偏心の説明図である。
【符号の説明】
1,1´ 光源 2 コード板 3,3´ 受光アレイ 4,5,4´,5´ 減算器 6,7,6´,7´ S/H回路 8 マルチプレクサ 9 ADC 10 演算器 11 シーケンスコントローラ 12 ドライバ

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 【請求項1】 スリットと遮光部が交互に設けられたコ
    ード板と、 該コード板の回転軸に対して対称な位置に配置され、コ
    ード板に光を照射する2つの光源と、 前記コード板の裏側に生じる正弦波状照度分布の1周期
    を4等分する位置に配列された4個の光電変換素子より
    なる2つの受光アレイと、 各受光アレイ毎に、それぞれの光電変換素子の出力のう
    ち、互いに180°位相が異なる出力同士を減算する第
    1,第2の減算手段と、 これら4つの減算手段の同一時刻の出力をディジタル値
    に変換するAD変換手段と、 前記各光源を点灯,消灯に駆動する手段と、 点灯時と消灯時における各第1減算手段のディジタル値
    の差分(sinθa,sinθa´)を演算し、点灯時
    と消灯時における各第2減算手段のディジタル値の差分
    (cosθa,cosθa´)を演算し、sinθa,
    cosθaから一方の受光アレイ上の正弦波状照度分布
    波形の位相θaを演算し、sinθa´,cosθa´
    から他方の受光アレイ上の正弦波状照度分布波形の位相
    θa´を演算し、(sinθa−sinθa´)または
    (θa−θa´)からコード板の偏心を演算する手段、 を備えた光学式エンコーダ。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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