JPH0517890A - 電解電極材及びその製造方法 - Google Patents

電解電極材及びその製造方法

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JPH0517890A
JPH0517890A JP3169844A JP16984491A JPH0517890A JP H0517890 A JPH0517890 A JP H0517890A JP 3169844 A JP3169844 A JP 3169844A JP 16984491 A JP16984491 A JP 16984491A JP H0517890 A JPH0517890 A JP H0517890A
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amorphous alloy
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metal
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JP3169844A
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Tokiaki Hayashi
常昭 林
Shuji Hida
修司 飛田
Susumu Kurosawa
進 黒沢
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LIMES KK
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LIMES KK
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Abstract

(57)【要約】 【目的】比較的低い陽極電位において高い電流効率を示
し、かつ優れた耐食性及び耐久性を有する電解電極材を
得る。 【構成】金属基材の表面に鉄族元素と特定の金属元素と
白金族元素との合金中に窒素及び酸素のいずれか一方又
は両方の元素を含有させたアモルファス合金層を形成
し、かつ前記アモルファス合金層に表面活性化処理を施
す。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は電解電極材及びその製造
方法に関する。
【0002】
【従来の技術及び課題】例えば、海水を電解して次亜塩
素酸(NaClO)を発生させ、該海水をプラントの冷
却水、下水道などの滅菌に使用して水路が海洋生物によ
り閉塞されるのを防ぐ方法は、広く採用されている。こ
の電解においては、陽極で塩素を発生させて次亜塩素酸
ナトリウムが生成されるが、同時に酸素発生を起こし易
いため、電解に用いる電極材は激しい腐蝕性環境に曝さ
れ、しかも高い電極活性が求められる。かかる環境に耐
える結晶質金属としては、従来より白金族金属が使用さ
れている。しかしながら、白金族金属は高価であるた
め、経済性の観点から他の代替材料の開発が要望されて
いる。
【0003】このようなことから、電解電極材をアモル
ファス合金により製造することが検討されている。アモ
ルファス合金の中には、極めて高い耐食性を有するもの
があり、塩素を含む環境下でも腐蝕劣化を抑制できるこ
とが知られている。しかしながら、アモルファス合金は
通常、液体急冷法で作られているため、その手法から形
状的に薄帯、細線、粉末等に制約される。このため、目
的とする電解電極材を製造することが困難であった。
【0004】一方、活性の高いTi基材をPt−Irか
らなる合金層で被覆したTi系電解電極材が知られてい
るが、電流効率が80%程度に止まるという問題があっ
た。また、高活性である酸化ルテニウム、酸化イリジウ
ム又は酸化スズからなる酸化物層でTi基材を被覆した
Ti系電解電極材が知られており、この電極材では85
%以上の電流効率を示すものの、前記酸化物膜の基材か
らの離脱による経時変化が認められ、使用初期のみにし
か高電流効率を実現できないという問題があった。
【0005】本出願人は、前記問題を解決すべく、金属
基材の表面に鉄族元素とバルブメタル(Ti、Zr、N
b、Ta)と白金族元素との合金からなるアモルファス
合金層を形成した電解電極材が比較的低い陽極電位にお
いて高い電流効率を示し、かつ耐食性及び耐久性に優れ
ることを見い出し、その製造方法について既に提案した
(特公平3−6234号)。
【0006】しかしながら、前記電解電極材は、アモル
ファス合金層自体に優れた耐食性や耐久性を有するもの
の、その製造工程における該合金層形成時にピンホール
が発生することがある。こうしてアモルファス合金層に
ピンホールが発生した電解電極材では、使用中にピンホ
ールを通して電解液が侵入することによって金属基材の
界面で腐食が進行して該金属基材からアモルファス合金
層が剥離する。このため、十分満足し得る耐食性及び耐
久性を有する電解電極材が必ずしも得られないという問
題点があった。
【0007】本発明は、従来の問題点を解決するために
なされたもので、比較的低い陽極電位において高い電流
効率を示し、かつ十分満足し得る耐食性及び耐久性を有
する電解電極材及びその製造方法を提供しようとするも
のである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、少なくとも1
種以上の鉄族元素とTi、Zr、Nb及びTaから選ば
れる少なくとも1種以上の金属元素と少なくとも1種以
上の白金族元素との合金中に窒素及び酸素のいずれか一
方又は両方の元素を含有させたアモルファス合金層を金
属基材の表面に形成し、かつ前記アモルファス合金層に
表面活性化処理を施したことを特徴とする電解電極材で
ある。前記鉄族元素としては、Fe、Ni、Coを挙げ
ることができる。前記白金族元素としては、Pt、P
d、Ir、Rh、Ru、Osを挙げることができる。
【0009】前記アモルファス合金層を形成する合金中
には、前記窒素及び酸素の他に炭素を含有してもよい。
前記アモルファス合金層の表面活性化処理の手段として
は、アモルファス合金層を酸で処理する手段を挙げるこ
とができる。
【0010】前記金属基材のアモルファス合金層との界
面には、Ti、Zr、Nb、Ta及び鉄族元素から選ば
れる少なくとも1種以上の元素を有するイオン注入層が
形成されることを許容する。上述した電解電極材は、以
下に説明する3つの方法により製造できる。
【0011】(1)金属基材の表面に前記鉄族元素、金
属元素及び白金族元素を窒素及び酸素のいずれか一方又
は両方の元素を含む雰囲気中で蒸着することによりアモ
ルファス合金層を形成する。前記蒸着手段としては、各
種の蒸着法を採用し得るが、特に高真空度での成膜が可
能な電子ビームによる真空蒸着又はターゲットを利用し
たイオンビームスパッタ法が好ましい。つづいて、前記
アモルファス合金層に表面活性化処理を施すことにより
電解電極材を製造する。
【0012】(2)金属基材の表面に前記鉄族元素、金
属元素及び白金族元素を窒素及び酸素のいずれか一方又
は両方の元素を含む雰囲気中で蒸着すると同時に前記鉄
族元素、金属元素、白金族元素又は不活性ガスのイオン
を照射するイオンビームミキシング法によりアモルファ
ス合金層を形成する。つづいて、前記アモルファス合金
層に表面活性化処理を施すことにより電解電極材を製造
する。
【0013】(3)金属基材の表面に前記鉄族元素、金
属元素及び白金族元素を蒸着すると同時に窒素及び酸素
のいずれか一方又は両方の元素のイオンを照射するイオ
ンビームミキシング法によりアモルファス合金層を形成
する。つづいて、前記アモルファス合金層に表面活性化
処理を施すことにより電解電極材を製造する。
【0014】前記(1)〜(3)の方法において、金属
基材表面にアモルファス合金層を形成した後、表面活性
化処理を施す前に前記アモルファス合金層に前記白金族
元素のイオンを照射してイオン注入層を形成することを
許容する。
【0015】また、前記(1)〜(3)の方法におい
て、金属基材表面へのアモルファス合金層の形成に先立
ち、該基材表面にTi、Zr、Nb、Ta及び鉄族元素
から選ばれる少なくとも1種以上の元素のイオンを照射
してイオン注入層を形成することを許容する。
【0016】一方、本発明に係る別の発明は、少なくと
も1種以上の鉄族元素とTi、Zr、Nb及びTaから
選ばれる少なくとも1種以上の金属元素との合金中に窒
素及び酸素のいずれか一方又は両方の元素を含み、かつ
表面に少なくとも1種以上の白金族元素のイオン注入層
を有するアモルファス合金層を金属基材の表面に形成
し、更に前記アモルファス合金層に表面活性化処理を施
したことを特徴とする電解電極材である。かかる電解電
極材は、以下に説明する3つの方法により製造できる。
【0017】(a)金属基材の表面に前記鉄族元素及び
金属元素を窒素及び酸素のいずれか一方又は両方の元素
を含む雰囲気中で蒸着することによりアモルファス合金
層を形成した後、該アモルファス合金層に前記白金族元
素のイオンを照射する。つづいて、前記アモルファス合
金層に表面活性化処理を施すことにより電解電極材を製
造する。
【0018】(b)金属基材の表面に前記鉄族元素及び
金属元素を窒素及び酸素のいずれか一方又は両方の元素
を含む雰囲気中で蒸着すると同時に前記鉄族元素、金属
元素又は不活性ガスのイオンを照射するイオンビームミ
キシング法によりアモルファス合金層を形成した後、該
アモルファス合金層に前記白金族元素のイオンを照射す
る。つづいて、前記アモルファス合金層に表面活性化処
理を施すことにより電解電極材を製造する。
【0019】(c)金属基材の表面に前記鉄族元素及び
金属元素を蒸着すると同時に窒素及び酸素のいずれか一
方又は両方の元素のイオンを照射するイオンビームミキ
シング法によりアモルファス合金層を形成した後、該ア
モルファス合金層に前記白金族元素のイオンを照射す
る。つづいて、前記アモルファス合金層に表面活性化処
理を施すことにより電解電極材を製造する。
【0020】前記(a)〜(c)の方法において、金属
基材表面へのアモルファス合金層の形成に先立ち、該基
材表面にTi、Zr、Nb、Ta及び鉄族元素から選ば
れる少なくとも1種以上の元素のイオンを照射してイオ
ン注入層を形成することを許容する。
【0021】
【作用】本発明によれば、少なくとも1種以上の鉄族元
素とTi、Zr、Nb及びTaから選ばれる少なくとも
1種以上の金属元素と少なくとも1種以上の白金族元素
との合金中に窒素及び酸素のいずれか一方又は両方の元
素を含有させたアモルファス合金層を金属基材の表面に
形成し、かつ前記アモルファス合金層に表面活性化処理
を施すことにより、比較的低い陽極電位において高い電
流効率を示し、かつ優れた耐食性及び耐久性を有する電
解電極材を得ることができる。
【0022】即ち、前記アモルファス合金層に窒素及び
酸素のいずれか一方又は両方の元素を含有させることに
より、該合金層形成時のピンホール欠陥の発生を抑制で
き、良質な厚膜を形成できる。こうして形成されたアモ
ルファス合金層を酸で処理することによって、該合金表
面において白金属元素は腐蝕されず、他の金属成分のみ
が選択的かつ均一に腐蝕、溶出して表面に白金属元素が
均一に露出する。つまり、前記アモルファス合金層に表
面活性化処理が施される。その結果、極めて表面活性が
高く、かつピンホール欠陥のないアモルファス合金層を
電極膜として基材表面上に形成できる。従って、比較的
低い陽極電位において高い電流効率を示し、かつ優れた
耐食性及び耐久性が付与され、更に形状的な制約のない
任意形状の電解電極材を得ることができる。
【0023】更に、前記金属基材のアモルファス合金層
との界面にTi、Zr、Nb、Ta及び鉄族元素から選
ばれる少なくとも1種以上の元素を有するイオン注入層
を形成すれば、イオン注入の打ち込み効果と基材の深さ
方向に成分組成が段階的に変化した構造によって金属基
材とアモルファス合金層との密着性が一層向上した電解
電極材を得ることができる。
【0024】前記(1)の方法によれば、金属基材の表
面に前記鉄族元素、金属元素及び白金族元素を窒素及び
酸素のいずれか一方又は両方の元素を含む雰囲気中で蒸
着することによりアモルファス合金層を形成することに
よって、アモルファス合金層に窒素及び酸素のいずれか
一方又は両方の元素を含有させて該合金層形成時のピン
ホール欠陥の発生を抑制できる。こうして形成されたア
モルファス合金層に表面活性化処理を施すことによって
比較的低い陽極電位において高い電流効率を示し、かつ
優れた耐食性及び耐久性が付与され、更に形状的な制約
のない任意形状の電解電極材を製造できる。
【0025】前記(2)の方法によれば、窒素及び酸素
のいずれか一方又は両方の元素を含む雰囲気中で蒸着す
ると同時に前記鉄族元素、金属元素、白金族元素又は不
活性ガスのイオンを照射するイオンビームミキシング法
によりアモルファス合金層を形成することによって、ア
モルファス合金層に窒素及び酸素のいずれか一方又は両
方の元素を含有させて該合金層形成時のピンホール欠陥
の発生を抑制できる。更にイオンビームミキシングによ
ってアモルファス合金層の基材に対する密着性を向上で
き、しかも該合金層の緻密化、平滑化等が達成し易くな
る。このため、より高活性で耐食性及び耐久性に優れた
電解電極材を製造できる。
【0026】前記(3)の方法によれば、蒸着すると同
時に窒素及び酸素のいずれか一方又は両方の元素のイオ
ンを照射するイオンビームミキシング法によりアモルフ
ァス合金層を形成することによって、アモルファス合金
層に窒素及び酸素のいずれか一方又は両方の元素を含有
させて該合金層形成時のピンホール欠陥の発生を抑制で
きる。更にイオンビームミキシングによってアモルファ
ス合金層の基材に対する密着性を向上でき、しかも該合
金層の緻密化、平滑化等が達成し易くなる。このため、
より高活性で耐食性及び耐久性に優れた電解電極材を製
造できる。
【0027】前記(1)〜(3)の方法において、前記
アモルファス合金層を形成した後、表面活性化処理を施
す前に前記アモルファス合金層に前記白金族元素のイオ
ンを照射すれば、アモルファス合金層の表層の白金族元
素量を富化させて高活性化できると共に、白金族元素の
総使用量を減らして製造コストを低減できる。
【0028】また、前記(1)〜(3)の方法におい
て、前記アモルファス合金層の形成に先立ち、金属基材
表面にTi、Zr、Nb、Ta及び鉄族元素から選ばれ
る少なくとも1種以上の金属元素のイオンを照射すれ
ば、イオン注入の打ち込み効果と基材の深さ方向に成分
組成が段階的に変化した構造を有する密着性の優れたイ
オン注入層(界面層)を形成できるため、この後にアモ
ルファス層を形成し、酸で処理することにより、基材に
対して表面に白金属元素が均一に露出したアモルファス
合金層を一層密着性よく、かつ全体的に耐剥離性の富ん
だ電解電極材を製造できる。
【0029】一方、本発明に係る別の発明によれば、少
なくとも1種以上の鉄族元素とTi、Zr、Nb及びT
aから選ばれる少なくとも1種以上の金属元素との合金
中に窒素及び酸素のいずれか一方又は両方の元素を含
み、かつ表面に少なくとも1種以上の白金族元素のイオ
ン注入層を有するアモルファス合金層を金属基材の表面
に形成し、更に前記アモルファス合金層に表面活性化処
理を施す。これにより、前述した発明の電解電極材と同
様に比較的低い陽極電位において高い電流効率を示し、
かつ優れた耐食性及び耐久性を有する電解電極材を得る
ことができる。
【0030】前記(a)〜(c)の方法によれば、前述
した(1)〜(3)の方法と同様に比較的低い陽極電位
において高い電流効率を示し、かつ優れた耐食性及び耐
久性が付与され、更に形状的な制約のない任意形状の電
解電極材を製造できる。また、金属基材の表面にアモル
ファス合金層を形成した後、表面活性化処理を施す前に
前記アモルファス合金層に前記白金族元素のイオンを照
射しているため、アモルファス合金層の表層の白金族元
素量を富化させて高活性化できると共に、白金族元素の
総使用量を減らして製造コストを低減できる。
【0031】前記(a)〜(c)の方法において、前記
アモルファス合金層の形成に先立ち、金属基材表面にT
i、Zr、Nb、Ta及び鉄族元素から選ばれる少なく
とも1種以上の金属元素のイオンを照射すれば、イオン
注入の打ち込み効果と基材の深さ方向に成分組成が段階
的に変化した構造を有する密着性の優れたイオン注入層
(界面層)を形成できるため、この後にアモルファス層
を形成し、更に白金族元素イオンを照射し、酸で処理す
ることにより、基材に対して表面に白金属元素が均一に
露出したアモルファス合金層を一層密着性よく、かつ全
体的に耐剥離性の富んだ電解電極材を製造できる。
【0032】
【実施例】以下、本発明の実施例を詳細に説明する。 実施例1〜25
【0033】まず、基材としての20×20×2mmの
寸法のTi板を用意し、この片面を鏡面研磨し、超音波
洗浄を施した後、イオン照射と蒸着機能とを備えた真空
チャンバ内に設置した。つづいて、このチャンバ内を5
×10-6torrに真空引きした後、イオン源からAr
イオンを加速電圧5keVの条件でTi板の鏡面に5分
間照射して表面清浄化のための前処理を施した。
【0034】次いで、前記Ti板の表面に下記表1〜表
6に示す形成条件で厚さ3μmのアモルファス合金層が
被覆された複合材料を得た。但し、下記表1〜表6中、
スパッタ蒸着でのArイオンの照射は加速電圧3ke
V、イオン電流1.5Aの条件で行なった。また、ミキ
シングためのOイオン又はNイオンの照射は加速電圧2
0keV、イオン電流15mAの条件で、同ミキシング
ためのNi、Nb、Pt、Pdの金属イオンの照射は加
速電圧120〜150keV、イオン電流0.2〜0.
5mAの条件で、夫々行なった。更に、成膜前後のイオ
ン注入層形成のためのイオン注入は120〜150ke
V、ビーム電流0.2〜0.5mAの条件で行なった。
次いで、前記Ti板上の各アモルファス合金層を3重量
%濃度のフッ酸溶液に数分間浸漬して処理することによ
って25種の電解電極材を製造した。 比較例1
【0035】実施例1と同様な研磨、表面清浄化処理を
施したTi板を市販のマグネトロンスパッタ装置により
厚さ3μmのNi−40at%Nb−1.5at%Pd
のアモルファス合金層を形成して複合材料を得た。つづ
いて、Ti板上のアモルファス合金層を3重量%濃度の
フッ酸溶液に数分間浸漬して処理することによって電解
電極材を製造した。 比較例2
【0036】実施例1と同様な研磨、表面清浄化処理を
施したTi板の表面にNi−40at%Ta−1.5a
t%Ptの組成のタ―ゲットを用いて加速電圧3ke
V、イオン電流1.5AのArイオンでイオンビ―ムス
パッタ蒸着を行なうと同時に別のイオン源からArイオ
ンを引きだし、加速電圧150keV、イオン電流2.
0mAの条件でイオン照射して前記ターゲットとほぼ同
組成のアモルファス合金層が被覆された複合材料を得
た。つづいて、Ti板上のアモルファス合金層を3重量
%濃度のフッ酸溶液に数分間浸漬して処理することによ
って電解電極材を製造した。 比較例3
【0037】実施例1と同様な研磨、表面清浄化処理を
施したTi板の表面に厚さ3μmのPt−Ir合金層を
イオンビームスパッタ蒸着法により形成して複合材料を
得た。つづいて、Ti板上のPt−Ir合金層を3重量
%濃度のフッ酸溶液に数分間浸漬して処理することによ
って電解電極材を製造した。
【0038】実施例1〜25及び比較例1〜3の電解電
極材を電解槽内の海水電解の条件を擬似した3重量%N
aCl水溶液中にそれぞれ浸漬し、この電解槽を超音波
水槽内に設置した後、電流密度5000A/m2 で15
日間電解する試験を行なった。これら電解電極材の断面
組織を走査電子顕微鏡(SEM)で観察し、Ti基材界
面での腐食の有無を調べた。これらの結果を下記表1〜
表7に示す。
【0039】更に、実施例1〜25及び比較例1〜3の
電解電極材について、以下に説明する試験(1)により
電流効率を測定した。これらの結果を下記表1〜表7に
併記する。 (1)電流効率の測定試験
【0040】海水電解の条件を擬似した3重量%NaC
l水溶液(温度:25〜30℃)を電解液とし、陽極に
実施例1〜25の各電解電極材を、陰極にステンレス板
(縦2cm×横4cm)を用いて直流電流密度1500
A/m2 、電気量1000クーロン/リットルの条件で
電解した後、電解液中の次亜塩素酸濃度をヨウ素滴定法
によって測定し、その結果から塩素発生効率(%)を計
算することにより電流効率を求めた。なお、前記直流電
流密度を得るに必要な陽極電位は、飽和かんこう電極
(SCE)を基準電位とし、電解開始5分間後に電位計
を用いて測定した。
【0041】
【表1】
【0042】
【表2】
【0043】
【表3】
【0044】
【表4】
【0045】
【表5】
【0046】
【表6】
【0047】
【表7】
【0048】表1〜表7から明らかなように実施例1〜
25の電解電極材は、Ti基材界面での腐食が観察され
ず、優れた耐食性及び耐久性を有することがわかる。こ
れは、アモルファス合金層に窒素又は酸素を含有させて
いるため該合金層でのピンホールの発生が抑制されてい
ることによるものである。また、飽和かんこう電極を基
準電位とした時の陽極電位が1.00〜1.20V/S
CEの範囲において電流効率がいずれも85%以上であ
り、比較的低い陽極電位において高い電流効率を示すこ
とがわかる。
【0049】これに対し、比較例1,2の電解電極材
は、アモルファス合金層に窒素又は酸素を含有しないた
め該合金層にピンホールが発生し、このピンホールを通
して電解液が侵入してTi基材界面で腐食が進行してい
る。また、比較例3の電解電極材は、Pt−Ir合金層
自体の耐食性や耐久性が劣るためTi基材界面での腐食
が大きく進行してPt−Ir合金層の剥離にまで至って
いる。
【0050】
【発明の効果】以上詳述した如く、本発明によれば比較
的低い陽極電位において高い電流効率を示し、かつ優れ
た耐食性及び耐久性を有する電解電極材及びその製造方
法を提供することができる。

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも1種以上の鉄族元素とTi、
    Zr、Nb及びTaから選ばれる少なくとも1種以上の
    金属元素と少なくとも1種以上の白金族元素との合金中
    に窒素及び酸素のいずれか一方又は両方の元素を含有さ
    せたアモルファス合金層を金属基材の表面に形成し、か
    つ前記アモルファス合金層に表面活性化処理を施したこ
    とを特徴とする電解電極材。
  2. 【請求項2】 前記金属基材のアモルファス合金層との
    界面にTi、Zr、Nb、Ta及び鉄族元素から選ばれ
    る少なくとも1種以上の元素を有するイオン注入層を形
    成したことを特徴とする請求項1記載の電解電極材。
  3. 【請求項3】 金属基材の表面に少なくとも1種以上の
    鉄族元素とTi、Zr、Nb及びTaから選ばれる少な
    くとも1種以上の金属元素と少なくとも1種以上の白金
    族元素とを窒素及び酸素のいずれか一方又は両方の元素
    を含む雰囲気中で蒸着することによりアモルファス合金
    層を形成する工程と、前記アモルファス合金層に表面活
    性化処理を施す工程とを具備することを特徴とする請求
    項1記載の電解電極材の製造方法。
  4. 【請求項4】 金属基材の表面に少なくとも1種以上の
    鉄族元素とTi、Zr、Nb及びTaから選ばれる少な
    くとも1種以上の金属元素と少なくとも1種以上の白金
    族元素とを窒素及び酸素のいずれか一方又は両方の元素
    を含む雰囲気中で蒸着すると同時に前記鉄族元素、金属
    元素、白金族元素又は不活性ガスのイオンを照射するイ
    オンビームミキシング法によりアモルファス合金層を形
    成する工程と、前記アモルファス合金層に表面活性化処
    理を施す工程とを具備することを特徴とする請求項1記
    載の電解電極材の製造方法。
  5. 【請求項5】 金属基材の表面に少なくとも1種以上の
    鉄族元素とTi、Zr、Nb及びTaから選ばれる少な
    くとも1種以上の金属元素と少なくとも1種以上の白金
    族元素とを蒸着すると同時に窒素及び酸素のいずれか一
    方又は両方の元素のイオンを照射するイオンビームミキ
    シング法によりアモルファス合金層を形成する工程と、
    前記アモルファス合金層に表面活性化処理を施す工程と
    を具備することを特徴とする請求項1記載の電解電極材
    の製造方法。
  6. 【請求項6】 金属基材の表面にアモルファス合金層を
    形成した後、表面活性化処理を施す前に前記アモルファ
    ス合金層に少なくとも1種以上の白金族元素のイオンを
    照射することを特徴とする請求項3乃至請求項5のいず
    れか1項記載の電解電極材の製造方法。
  7. 【請求項7】 金属基材表面へのアモルファス合金層の
    形成に先立ち、該基材表面にTi、Zr、Nb、Ta及
    び鉄族元素から選ばれる少なくとも1種以上の元素のイ
    オンを照射してイオン注入層を形成することを特徴とす
    る請求項3乃至請求項6のいずれか1項記載の電解電極
    材の製造方法。
  8. 【請求項8】 少なくとも1種以上の鉄族元素とTi、
    Zr、Nb及びTaから選ばれる少なくとも1種以上の
    金属元素との合金中に窒素及び酸素のいずれか一方又は
    両方の元素を含み、かつ表面に少なくとも1種以上の白
    金族元素のイオン注入層を有するアモルファス合金層を
    金属基材の表面に形成し、更に前記アモルファス合金層
    に表面活性化処理を施したことを特徴とする電解電極
    材。
  9. 【請求項9】 金属基材の表面に少なくとも1種以上の
    鉄族元素とTi、Zr、Nb及びTaから選ばれる少な
    くとも1種以上の金属元素とを窒素及び酸素のいずれか
    一方又は両方の元素を含む雰囲気中で蒸着することによ
    りアモルファス合金層を形成した後、該アモルファス合
    金層に少なくとも1種以上の白金族元素のイオンを照射
    する工程と、前記アモルファス合金層に表面活性化処理
    を施す工程とを具備することを特徴とする請求項8記載
    の電解電極材の製造方法。
  10. 【請求項10】 金属基材の表面に少なくとも1種以上
    の鉄族元素とTi、Zr、Nb及びTaから選ばれる少
    なくとも1種以上の金属元素とを窒素及び酸素のいずれ
    か一方又は両方の元素を含む雰囲気中で蒸着すると同時
    に前記鉄族元素、金属元素又は不活性ガスのイオンを照
    射するイオンビームミキシング法によりアモルファス合
    金層を形成した後、該アモルファス合金層に少なくとも
    1種以上の白金族元素のイオンを照射する工程と、前記
    アモルファス合金層に表面活性化処理を施す工程とを具
    備することを特徴とする請求項8記載の電解電極材の製
    造方法。
  11. 【請求項11】 金属基材の表面に少なくとも1種以上
    の鉄族元素とTi、Zr、Nb及びTaから選ばれる少
    なくとも1種以上の金属元素とを蒸着すると同時に窒素
    及び酸素のいずれか一方又は両方の元素のイオンを照射
    するイオンビームミキシング法によりアモルファス合金
    層を形成した後、該アモルファス合金層に少なくとも1
    種以上の白金族元素のイオンを照射する工程と、前記ア
    モルファス合金層に表面活性化処理を施す工程とを具備
    することを特徴とする請求項8記載の電解電極材の製造
    方法。
  12. 【請求項12】 金属基材表面へのアモルファス合金層
    の形成に先立ち、該基材表面にTi、Zr、Nb、Ta
    及び鉄族元素から選ばれる少なくとも1種以上の元素の
    イオンを照射してイオン注入層を形成することを特徴と
    する請求項9乃至請求項11のいずれか1項記載の電解
    電極材の製造方法。
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