JPH06111828A - 燃料電池用燃料極材及びその製造方法 - Google Patents

燃料電池用燃料極材及びその製造方法

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JPH06111828A
JPH06111828A JP4280984A JP28098492A JPH06111828A JP H06111828 A JPH06111828 A JP H06111828A JP 4280984 A JP4280984 A JP 4280984A JP 28098492 A JP28098492 A JP 28098492A JP H06111828 A JPH06111828 A JP H06111828A
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amorphous alloy
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fuel cell
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JP4280984A
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Susumu Kurosawa
進 黒澤
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Mitsubishi Materials Corp
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    • Y02E60/30Hydrogen technology
    • Y02E60/50Fuel cells

Abstract

(57)【要約】 【目的】 メタノールの酸化に対する触媒活性が白金黒
より高く、かつ使用環境下において十分な耐食性及び耐
久性を有する。触媒担体と一体となった任意の大きさ又
は形状を有し、かつ触媒担体の界面における腐食や剥離
等がない。 【構成】 金属基材11とこの金属基材11の表面に形
成されたアモルファス合金層12とを備えた燃料電池用
燃料極材10であって、アモルファス合金層12は1種
又は2種以上の鉄族元素とTi,Zr,Nb及びTaか
ら選ばれた1種又は2種以上の金属元素と1種又は2種
以上の白金族元素との合金中に窒素又は酸素のいずれか
一方又は両方を含有し、かつアモルファス合金層12の
表面が活性化処理される。金属基材11とアモルファス
合金層12との界面にTi,Zr,Nb,Ta及び鉄族
元素から選ばれた1種又は2種以上の元素を有するイオ
ン注入層13を形成してもよい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は燃料電池に用いられる燃
料極材及びその製造方法に関する。更に詳しくはメタノ
ール、ホルムアルデヒド、ギ酸等のメタノール系燃料を
用いる燃料電池に好適な燃料極材及びその製造方法に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】例えば、メタノールを燃料とするこの種
のメタノール燃料電池は、燃料極でメタノールを酸化し
その酸化反応で放出される化学的エネルギを、直接かつ
連動的に電気エネルギに変換する電池であり、清浄なエ
ネルギ変換システムとして期待されている。この電池の
電解質は強酸或いは強アルカリであり、燃料極はメタノ
ールの酸化に対し高い触媒活性を備え、かつ強酸或いは
強アルカリに侵されない耐食性を有する必要がある。従
来、メタノールを酸化させる燃料極として、比表面積が
極めて大きく活性が高い微粉末の白金黒を金網や多孔質
炭素板上に塗布した燃料極が一般的に用いられている。
しかし、白金黒を触媒として使用するとメタノールの酸
化による中間体が白金触媒に吸着してこの中間体が脱離
し難くなるため、触媒活性が急激に低下してしまう問題
点がある。
【0003】上記問題点を解決するために、Ni,Co
の1種以上と、Ti,Zr又はNb,Taの1種以上の
特定量からなるアモルファスを含む合金に、特定量のP
tを添加した「メタノール系燃料電池電極用表面活性化
アモルファス合金」が提案されている(特開昭63−1
1647)。この燃料極材は、高価なPtの添加量が極
めて低いにも拘らず燃料電池の電気化学的酸化に対して
極めて高い電極触媒活性を有するとともに、電解条件下
の強酸或いは強アルカリ環境下で高耐食性を有する特長
がある。また、アモルファス化することで白金の電子状
態が僅かに変わることから、中間体の結合力が弱まり長
寿命で活性のある燃料極が得られる利点もある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、特開昭63−
11647号公報に示されるアモルファス合金は液体急
冷法で作製されるため、その手法から合金形状は薄い帯
材、細い線材、粉末等に制限され、任意の大きさ又は形
状の燃料極材を製造することが困難であった。この点を
解消するために、ステンレス鋼のような金属基材の表面
にイオンビームスパッタリング法によりターゲットとほ
ぼ同じ組成のアモルファス合金層を形成することが考え
られるが、この方法で作製された燃料極材は薄膜形成過
程で生じる空孔(ピンホール)等の膜の欠陥を通して、
メタノール酸化中に金属基板とアモルファス合金層との
界面が腐食するため、アモルファス合金層が剥離して電
極寿命が長くない欠点があった。
【0005】本発明の目的は、メタノールの酸化に対す
る触媒活性が白金黒より高く、かつ使用環境下において
十分な耐食性及び耐久性を有する燃料電池燃料極材及び
その製造方法を提供することにある。本発明の別の目的
は、触媒担体と一体となった任意の大きさ又は形状を有
し、かつ触媒担体の界面における腐食や剥離等のない燃
料極材及びその製造方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
の本発明の構成を図1及び図2により説明する。図1に
示すように、本発明の第1燃料電池燃料極材は、金属基
材11とこの金属基材11の表面に形成されたアモルフ
ァス合金層12とを備えた燃料電池用燃料極材10であ
って、アモルファス合金層12は1種又は2種以上の鉄
族元素とTi,Zr,Nb及びTaから選ばれた1種又
は2種以上の金属元素と1種又は2種以上の白金族元素
との合金中に窒素又は酸素のいずれか一方又は両方を含
有し、かつアモルファス合金層12の表面が活性化処理
されたことを特徴とする。
【0007】また図2に示すように、本発明の第2燃料
電池燃料極材は、金属基材11とこの金属基材11の表
面に形成されたアモルファス合金層12とこのアモルフ
ァス合金層12の表面に形成された1種又は2種以上の
白金族元素のイオンが照射された表面層14とを備えた
燃料電池用燃料極材20であって、アモルファス合金層
12は1種又は2種以上の鉄族元素とTi,Zr,Nb
及びTaから選ばれた1種又は2種以上の金属元素との
合金中に窒素又は酸素のいずれか一方又は両方を含有
し、イオンが照射された表面層14が活性化処理された
ことを特徴とする。第1及び第2燃料電池燃料極材と
も、金属基材11とアモルファス合金層12との界面に
Ti,Zr,Nb,Ta及び鉄族元素から選ばれた1種
又は2種以上の元素を有するイオン注入層13を形成し
てもよい。
【0008】本発明の第1燃料電池燃料極材10は以下
に説明するA法により、また第2燃料電池燃料極材20
は以下に説明するB法により、それぞれ作られる。A法
及びB法ともそれぞれ3つの製法があり、結果として本
発明には合計6つの製法がある。 <A−(1)法>図1に示すように、金属基材11の表
面に鉄族元素とTi,Zr,Nb及びTaから選ばれた
金属元素と白金族元素とを窒素又は酸素のいずれか一方
又は両方を含む雰囲気中で蒸着することによりアモルフ
ァス合金層12を形成する。続いて、アモルファス合金
層12の表面を活性化処理することにより燃料電池燃料
極材10を製造する。
【0009】<A−(2)法>金属基材11の表面に鉄
族元素とTi,Zr,Nb及びTaから選ばれた金属元
素と白金族元素とを窒素又は酸素のいずれか一方又は両
方を含む雰囲気中で蒸着すると同時に鉄族元素、前記金
属元素、白金族元素又は不活性ガスのいずれか1種又は
2種以上のイオンを照射するイオンビームミキシング法
によりアモルファス合金層12を形成する。続いて、ア
モルファス合金層12の表面を活性化処理することによ
り燃料電池燃料極材10を製造する。
【0010】<A−(3)法>金属基材11の表面に鉄
族元素とTi,Zr,Nb及びTaから選ばれた金属元
素と白金族元素とを蒸着すると同時に、窒素又は酸素の
いずれか一方又は両方のイオンをイオンビームミキシン
グ法により照射してアモルファス合金層12を形成す
る。続いて、アモルファス合金層12の表面を活性化処
理することにより燃料電池燃料極材10を製造する。A
−(1)〜(3)の方法において、金属基材11の表面
にアモルファス合金層12を形成した後、この合金層1
2の表面を活性化処理する前にアモルファス合金層12
の表面に白金族元素のイオンを照射してもよい。
【0011】<B−(1)法>図2に示すように、金属
基材11の表面に鉄族元素とTi,Zr,Nb及びTa
から選ばれた金属元素とを窒素又は酸素のいずれか一方
又は両方を含む雰囲気中で蒸着することによりアモルフ
ァス合金層12を形成した後、アモルファス合金層に白
金族元素のイオンを照射する。続いて、アモルファス合
金層12の表面層14を活性化処理することにより燃料
電池燃料極材20を製造する。
【0012】<B−(2)法>金属基材11の表面に鉄
族元素とTi,Zr,Nb及びTaから選ばれた金属元
素とを窒素又は酸素のいずれか一方又は両方を含む雰囲
気中で蒸着すると同時に鉄族元素,Ti,Zr,Nb及
びTaから選ばれた金属元素又は不活性ガスのイオンを
イオンビームミキシング法により照射してアモルファス
合金層12を形成した後、このアモルファス合金層12
に白金族元素のイオンを照射する。続いて、アモルファ
ス合金層12の表面層14を活性化処理することにより
燃料電池燃料極材20を製造する。
【0013】<B−(3)法>金属基材11の表面に鉄
族元素とTi,Zr,Nb及びTaから選ばれた金属元
素とを蒸着すると同時に窒素又は酸素のいずれか一方又
は両方のイオンをイオンビームミキシング法により照射
してアモルファス合金層12を形成した後、このアモル
ファス合金層12に白金族元素のイオンを照射する。続
いて、アモルファス合金層12の表面層14を活性化処
理することにより燃料電池燃料極材20を製造する。
【0014】A−(1)〜(3)の方法及びB−(1)
〜(3)の方法において、図1及び図2に示すように金
属基材11の表面にアモルファス合金層12を形成する
のに先立ち、金属基材11の表面にTi,Zr,Nb,
Ta及び鉄族元素からなる群より選ばれた1種又は2種
以上の元素のイオンを照射してイオン注入層13を形成
してもよい。
【0015】本発明の金属基材としては、比較的耐食性
を有し安価であることからステンレス鋼が好ましい。更
に耐食性の向上を考えた場合には、Ti,Nb,Zr及
びTa等の高耐食性金属が好ましい。アモルファス合金
層を構成する鉄族元素としては、Fe,Co及びNi
を、また白金族元素として、Pt,Pd,Ir,Rh,
Ru及びOsをそれぞれ挙げることができる。鉄族元素
はTi,Zr,Nb及びTaから選ばれた金属元素とと
もに合金層をアモルファス構造にする上で必要である。
また白金族元素は燃料電池の電気化学的酸化活性のため
に必要な元素であって、中でもPt,Pdが好ましい。
A法ではアモルファス合金層が鉄族元素とTi等の
特定の金属元素と白金族元素とを蒸着することにより
金属基材の表面に形成され、B法では鉄族元素とT
i等の特定の金属元素とを蒸着することにより金属基材
の表面に形成される。蒸着手段としては、各種の蒸着法
を採用し得るが、特に高真空度での成膜が可能な電子ビ
ームによる真空蒸着又はターゲットを利用したイオンビ
ームスパッタリング法が好ましい。
【0016】本発明のアモルファス合金層を形成する合
金中には窒素又は酸素のいずれか一方又は両方を含む。
窒素又は酸素の含有により、真空蒸着で問題となる合金
層形成時のピンホール欠陥の発生を抑制でき、良質な膜
厚を有する薄膜を形成できる。窒素又は酸素の他にアモ
ルファス化に寄与する炭素を含有してもよい。アモルフ
ァス合金層中に含有させるための窒素又は酸素のイオン
照射、アモルファス合金層を成膜する前のイオン注入層
を形成するためのTi,Zr,Nb,Ta又は鉄族元素
のイオン照射、アモルファス合金層の表面への白金族元
素のイオン照射等は、蒸着機構とともに設けられるイオ
ン注入機構により行われる。アモルファス合金層は蒸着
条件又はイオン注入条件に応じて3〜300μmの厚さ
に成膜することができる。アモルファス合金層の表面を
活性化処理するには、アモルファス合金層を酸で処理す
るのが好ましい。酸としては、鉄族元素とともに、T
i,Zr,Nb及びTa等の金属元素の溶解が均一に行
なわれるようフッ酸を用いることが好ましい。
【0017】
【作用】本発明のA法によれば、金属基材の表面に鉄
族元素とTi等の特定の金属元素と白金族元素とを
蒸着することにより触媒活性が高く、アモルファス構造
の合金層を形成することができる。また本発明のB法に
よれば、金属基材の表面に鉄族元素とTi等の特定
の金属元素とを蒸着してアモルファス構造の合金層を形
成した後、このアモルファス合金層の表面に白金族元
素をイオン照射することにより、白金族元素がより一層
アモルファス合金層の表面層に集まり、少量の白金族金
属量で触媒活性を得ることができる。この蒸着時に併せ
て窒素又は酸素のいずれか一方又は両方を3通りの方法
で含有させることにより、窒素又は酸素のいずれか一方
又は両方の原子が蒸着原子と衝突する。この結果、蒸着
原子は変位を与えられ再配列化し、またそれに続く原子
のマイグレーション効果から、形成されるアモルファス
合金層のピンホール中に窒素、酸素または蒸着原子のい
ずれかが落下するので、この合金層のピンホールの発生
を抑制できる。
【0018】アモルファス合金層が形成された金属基材
を酸に浸漬すると、白金族元素を除く他の金属成分のみ
が選択的かつ均一に溶出し、有効表面積が増大するとと
もに表面に白金族元素が均一に露出する。これによりメ
タノールの酸化に対する触媒活性が白金黒より高く、か
つ使用環境下において優れた耐食性及び耐久性を有する
燃料電池燃料極材が得られる。また成膜法が蒸着である
ので、任意の大きさ又は形状の燃料電池燃料極材が得ら
れる。またA−(2)法及びB−(2)法で蒸着と同時
に蒸着する元素と同一元素と不活性ガスのイオンをイオ
ンビームミキシング法により照射することにより、金属
基材とアモルファス合金層との密着性を向上でき、しか
も合金層の緻密化、平滑化し易くなる。またA法及びB
法とも、金属基材とアモルファス合金層との界面にT
i,Zr,Nb,Ta及び鉄族元素から選ばれた1種又
は2種以上の元素を有するイオン注入層を形成すれば、
イオン注入による打ち込み効果と基材の深さ方向に成分
組成が段階的に変化した構造によって金属基材とアモル
ファス合金層との密着性が一層向上し、アモルファス合
金層が剥離しにくくなる。更にA法において、B法と同
様にアモルファス合金層を形成した後、合金層の表面を
活性化処理する前にこのアモルファス合金層に白金族元
素のイオンを照射すれば、アモルファス合金層の表層の
白金族元素量を富化させて高活性化できる。
【0019】
【実施例】以下、本発明の実施例を詳細に説明するが、
本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。 <実施例1〜25>まず、金属基材として縦20mm、
横20mm、及び厚さ2mmのステンレス鋼板(SUS
304)を用意し、この片面を鏡面研磨して超音波洗浄
を施した後、イオン照射機構と蒸着機構を備えた真空チ
ャンバ内に設置した。続いて、このチャンバ内を真空度
が5×10-6Torrになるまで真空引きした後、イオ
ン源からアルゴン(Ar)イオンを加速電圧5keVの
条件でステンレス鋼板の鏡面に5分間照射して表面洗浄
化のための前処理を施した。
【0020】次いで、下記の表1〜5に示す膜の形成条
件で、厚さ3μmのアモルファス合金層がステンレス鋼
板の表面に被覆された複合材料を得た。なお、下記の表
1〜5において、スパッタリング蒸着(イオンビームス
パッタリング)でのアルゴン(Ar)イオンの照射は加
速電圧3keV、イオン電流1.5Aの条件で行った。
また、イオンビームミキシングのための酸素(O)イオ
ン又は窒素(N)イオンの照射は加速電圧20keV、
イオン電流15mAの条件で、イオンビームミキシング
のためのNi,Nb,Pt,Pdの金属イオンの照射は
加速電圧120〜150keV、イオン電流0.2〜
0.5mAの条件で、それぞれ行った。更に、成膜前後
のイオン注入層形成のためのイオン注入は加速電圧12
0〜150keV、ビーム電流0.2〜0.5mAの条
件で行った。更に、ステンレス鋼板上の各アモルファス
合金層を市販の46重量%濃度のフッ酸溶液に数分間浸
漬して処理することによって25種の燃料電池用燃料極
材を製造した。
【0021】<比較例1>実施例1と同様な研磨、表面
洗浄化処理を施したステンレス鋼板上に、汎用されてい
るマグネトロンスパッタリング装置により厚さが3μm
で、組成がNi−40原子%Nb−1.5原子%Pd
(窒素原子含有)のアモルファス合金層を形成して複合
材料を得た。続いて、ステンレス鋼板上のアモルファス
合金層を市販の46重量%濃度のフッ酸溶液に数分間浸
漬して処理することによって燃料電池用燃料極材を製造
した。
【0022】<比較例2>実施例1と同様な研磨、表面
洗浄化処理を施したステンレス鋼板の表面に、Ni−4
0原子%Ta−1.5原子%Pd(窒素原子含有)の組
成のターゲットを用いて、加速電圧3keV、イオン電
流1.5AのArイオンでイオンビームスパッタリング
蒸着を行うと同時に別のイオン源からArイオンを引出
し、加速電圧150keV、イオン電流2.0mAの条
件でイオン照射してターゲットとほぼ同組成のアモルフ
ァス合金層が被覆された複合材料を得た。続いて、ステ
ンレス鋼板上のアモルファス合金層を市販の46重量%
濃度のフッ酸溶液に数分間浸漬して処理することによっ
て燃料電池用燃料極材を製造した。
【0023】<比較例3>実施例1と同様な研磨、表面
洗浄化処理を施したステンレス鋼板に厚さ3μmのPt
−Ir合金層をイオンビームスパッタリング蒸着法によ
り形成して複合材料を得た。続いて、ステンレス鋼板上
のPt−Ir合金層を市販の46重量%濃度のフッ酸溶
液に数分間浸漬して処理することによって燃料電池用燃
料極材を製造した。
【0024】実施例1〜25及び比較例1〜3の燃料電
池用燃料極材を電解槽内の0.5モルH2SO4+1モル
CH3OH溶液にそれぞれ浸漬し、0.4V(SCE、
標準分極電位)の分極電位においてメタノールの酸化速
度を電気化学的に測定した。更にその分極電位で放置し
て、酸化速度が減速するまでの時間を測定し寿命とし
た。また、これら使用後の燃料電池用燃料極材の断面組
織を走査電子顕微鏡(SEM)で観察し、ステンレス鋼
基材界面での腐食の有無を調べた。これらの結果を下記
の表1〜6に示す。 (以下、本頁余白)
【0025】
【表1】
【0026】
【表2】
【0027】
【表3】
【0028】
【表4】
【0029】
【表5】
【0030】
【表6】
【0031】表1〜6の結果より、本発明の燃料電池用
燃料極材は比較品と比べてメタノール酸化速度が速く、
また電極寿命が15日以上と長く、更に燃料極材が金属
基板の表面で腐食したりアモルファス合金層が金属基板
から剥離していないことが判る。
【0032】
【発明の効果】本発明で得られる燃料電池用燃料極材
は、以下の効果を奏する。 (a) メタノールの酸化に対する触媒活性が白金黒より高
く、かつ使用環境下において優れた耐食性及び耐久性が
付与され、更に形状的な制約のない任意形状の燃料電池
燃料極材が得られる。 (b) イオン注入による打ち込み効果と基材の深さ方向に
成分組成が段階的に変化した構造を有する密着性の優れ
たイオン注入層(界面層)を形成できるため、この後に
アモルファス層を形成し、更に白金族元素イオンを照射
し、酸で処理することにより、表面に白金族元素が均一
に露出したアモルファス合金層と金属基材との密着性が
一層よく、かつ全体的に耐剥離性に富んだ燃料電池燃料
極材を製造できる。 (c) アモルファス合金層の表面を活性化処理する前にこ
の合金層に白金族元素のイオンを照射することにより、
アモルファス合金層の表層の白金族元素を富化させて高
活性化できるとともに、白金族元素の総使用量を減らし
て製造コストを低減できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1燃料電池燃料極材の構成を示す要
部拡大断面図。
【図2】本発明の第2燃料電池燃料極材の構成を示す要
部拡大断面図。
【符号の説明】
10,20 燃料電池燃料極材 11 金属基材 12 アモルファス合金層 13 イオン注入層 14 アモルファス合金層の表面層

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属基材(11)と、 前記金属基材(11)の表面に形成されたアモルファス合金
    層(12)とを備えた燃料電池用燃料極材(10)であって、 前記アモルファス合金層(12)は1種又は2種以上の鉄族
    元素とTi,Zr,Nb及びTaから選ばれた1種又は
    2種以上の金属元素と1種又は2種以上の白金族元素と
    の合金中に窒素又は酸素のいずれか一方又は両方を含有
    し、かつ前記アモルファス合金層(12)の表面が活性化処
    理されたことを特徴とする燃料電池用燃料極材。
  2. 【請求項2】 金属基材(11)とアモルファス合金層(12)
    との界面にTi,Zr,Nb,Ta及び鉄族元素から選
    ばれた1種又は2種以上の元素を有するイオン注入層(1
    3)が形成された請求項1記載の燃料電池用燃料極材。
  3. 【請求項3】 金属基材(11)の表面に1種又は2種以上
    の鉄族元素とTi,Zr,Nb及びTaから選ばれた1
    種又は2種以上の金属元素と1種又は2種以上の白金族
    元素とを窒素又は酸素のいずれか一方又は両方を含む雰
    囲気中で蒸着することによりアモルファス合金層(12)を
    形成する工程と、 前記アモルファス合金層(12)の表面を活性化処理する工
    程とを含む燃料電池用燃料極材の製造方法。
  4. 【請求項4】 金属基材(11)の表面に1種又は2種以上
    の鉄族元素とTi,Zr,Nb及びTaから選ばれた1
    種又は2種以上の金属元素と1種又は2種以上の白金族
    元素とを窒素又は酸素のいずれか一方又は両方を含む雰
    囲気中で蒸着すると同時に前記鉄族元素,金属元素,白
    金族元素又は不活性ガスのいずれか1種又は2種以上の
    イオンをイオンビームミキシング法により照射してアモ
    ルファス合金層(12)を形成する工程と、 前記アモルファス合金層(12)の表面を活性化処理する工
    程とを含む燃料電池用燃料極材の製造方法。
  5. 【請求項5】 金属基材(11)の表面に1種又は2種以上
    の鉄族元素とTi,Zr,Nb及びTaから選ばれた1
    種又は2種以上の金属元素と1種又は2種以上の白金族
    元素とを蒸着すると同時に窒素又は酸素のいずれか一方
    又は両方のイオンをイオンビームミキシング法により照
    射してアモルファス合金層(12)を形成する工程と、 前記アモルファス合金層(12)の表面を活性化処理する工
    程とを含む燃料電池用燃料極材の製造方法。
  6. 【請求項6】 金属基材(11)の表面にアモルファス合金
    層(12)を形成した後、表面を活性化処理する前に前記ア
    モルファス合金層(12)に1種又は2種以上の白金族元素
    のイオンを照射する工程を含む請求項3ないし5いずれ
    か記載の燃料電池用燃料極材の製造方法。
  7. 【請求項7】 金属基材(11)の表面にアモルファス合金
    層(12)を形成する前に、前記金属基材(11)の表面にT
    i,Zr,Nb,Ta及び鉄族元素から選ばれた1種又
    は2種以上の元素のイオンを照射してイオン注入層(13)
    を形成する工程を含む請求項3ないし6いずれか記載の
    燃料電池用燃料極材の製造方法。
  8. 【請求項8】 金属基材(11)と、 前記金属基材(11)の表面に形成されたアモルファス合金
    層(12)と、 前記アモルファス合金層(12)の表面に形成された1種又
    は2種以上の白金族元素のイオンが照射された表面層(1
    4)とを備えた燃料電池用燃料極材(20)であって、 前記アモルファス合金層(12)は1種又は2種以上の鉄族
    元素とTi,Zr,Nb及びTaから選ばれた1種又は
    2種以上の金属元素との合金中に窒素又は酸素のいずれ
    か一方又は両方を含有し、かつ前記表面層(14)が活性化
    処理されたことを特徴とする燃料電池用燃料極材。
  9. 【請求項9】 金属基材(11)とアモルファス合金層(12)
    との界面にTi,Zr,Nb,Ta及び鉄族元素から選
    ばれた1種又は2種以上の元素を有するイオン注入層(1
    3)が形成された請求項8記載の燃料電池用燃料極材。
  10. 【請求項10】 金属基材(11)の表面に1種又は2種以
    上の鉄族元素とTi,Zr,Nb及びTaから選ばれた
    1種又は2種以上の金属元素とを窒素又は酸素のいずれ
    か一方又は両方を含む雰囲気中で蒸着することによりア
    モルファス合金層(12)を形成する工程と、 前記アモルファス合金層(12)の表面に1種又は2種以上
    の白金族元素のイオンを照射する工程と、 前記イオンが照射されたアモルファス合金層(12)の表面
    層(14)を活性化処理する工程とを含む燃料電池用燃料極
    材の製造方法。
  11. 【請求項11】 金属基材(11)の表面に1種又は2種以
    上の鉄族元素とTi,Zr,Nb及びTaから選ばれた
    1種又は2種以上の金属元素とを窒素又は酸素のいずれ
    か一方又は両方を含む雰囲気中で蒸着すると同時に前記
    鉄族元素,金属元素又は不活性ガスのいずれか1種又は
    2種以上のイオンをイオンビームミキシング法により照
    射してアモルファス合金層(12)を形成する工程と、 前記アモルファス合金層(12)の表面に1種又は2種以上
    の白金族元素のイオンを照射する工程と、 前記イオンが照射されたアモルファス合金層(12)の表面
    層(14)を活性化処理する工程とを含む燃料電池用燃料極
    材の製造方法。
  12. 【請求項12】 金属基材(11)の表面に1種又は2種以
    上の鉄族元素とTi,Zr,Nb及びTaから選ばれた
    1種又は2種以上の金属元素とを蒸着すると同時に窒素
    又は酸素のいずれか一方又は両方のイオンをイオンビー
    ムミキシング法により照射してアモルファス合金層(12)
    を形成する工程と、 前記アモルファス合金層(12)の表面に1種又は2種以上
    の白金族元素のイオンを照射する工程と、 前記イオンが照射されたアモルファス合金層(12)の表面
    層(14)を活性化処理する工程とを含む燃料電池用燃料極
    材の製造方法。
  13. 【請求項13】 金属基材(11)の表面にアモルファス合
    金層(12)を形成する前に、前記金属基材(11)の表面にT
    i,Zr,Nb,Ta及び鉄族元素から選ばれた1種又
    は2種以上の元素のイオンを照射してイオン注入層(13)
    を形成する工程を含む請求項10ないし12いずれか記
    載の燃料電池用燃料極材の製造方法。
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