JP4926730B2 - 固体高分子型燃料電池セパレーター用チタン材およびその製造方法、このチタン材を用いてなるセパレーター、ならびにこのセパレーターを用いてなる固体高分子型燃料電池 - Google Patents

固体高分子型燃料電池セパレーター用チタン材およびその製造方法、このチタン材を用いてなるセパレーター、ならびにこのセパレーターを用いてなる固体高分子型燃料電池 Download PDF

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本発明は、自動車および小規模発電システムなどに用いられる、低接触抵抗かつ低イオン溶出性の固体高分子型燃料電池セパレーター用チタン材およびその製造方法、このチタン材を用いてなるセパレーター、ならびにこのセパレーターを用いてなる固体高分子型燃料電池に関するものである。
固体高分子型燃料電池は、燃料として、純水素、アルコール類を改質して得られる水素ガスなどを用い、水素と空気中の酸素との反応を電気化学的に制御することによって、電力を取り出すシステムである。
固体高分子型燃料電池は、固体の水素イオン選択透過型有機物膜を電解質として用いるため、従来のアルカリ型燃料電池、燐酸型燃料電池、溶融炭酸塩型燃料電池、固体電解質型燃料電池などのような、電解質として水溶液系電解質や溶融塩系電解質などの流動性媒体を用いる燃料電池に比べてコンパクト化が可能となり、電気自動車用などへの応用に向けた開発が進められている。
代表的な固体高分子型燃料電池の構成を図1に示す。すなわち、固体高分子型燃料電池1は、電解質となる固体高分子膜2と、この固体高分子膜2の両面に設けられた炭素微粒子と貴金属超微粒子からなる触媒電極部3と、この触媒電極部3で発生した電力を電流として取り出すとともに、触媒電極部3へ反応ガスである酸素主体ガスまたは水素主体ガスを供給する機能を持ったフェルト状炭素繊維集合体からなるカレントコレクター(通称カーボンペーパー4)と、カーボンペーパー4から電流を受けるとともに、酸素主体ガスと水素主体ガスを隔離するセパレーター5とが積層されて構成されている。
固体高分子型燃料電池1の基本原理は、概略以下の通りである。すなわち、固体高分子型燃料電池1において、燃料である水素ガス(H2)8はアノード側から供給され、ガス拡散層であるカーボンペーパー4、触媒電極部3を通過して水素イオン(H+)となって電解質である固体高分子膜2を透過し、カソード側の触媒電極部3において、水素イオン(H+)と、カソード側から供給された空気9中の酸素(O2)との酸化反応(2H++2e-+1/2O2→H2O)が生じ、水(H2O)が生成される。この酸化反応の際にアノード側の触媒電極部3で生成した電子をカーボンペーパー4を介してアノード側のセパレーター6からカソード側のセパレーター7に電子10が流れることにより、両極間に電流、電圧が発生するというものである。
固体高分子膜2は、強酸性を有する電解質が膜中に固定されており、電池内の露点を制御することによって水素イオン(H+)を透過させる電解質として機能する。
固体高分子型燃料電池1の構成部材であるセパレーター5は、2種の反応ガスであるカソード側の空気9とアノード側の水素ガス8とを隔離するとともに、それぞれの反応ガスを供給する流路としての役割と、反応により生成した水をカソード側から排出する役割を担っている。また、一般に、固体高分子型燃料電池1は、強酸性を示す電解質からなる固体高分子膜が用いられ、反応により約150℃以下の温度で稼動し、水が生成する。このため、固体高分子型燃料電池用のセパレーター5は、その材質特性として、耐食性と耐久性が要求されるとともに、カーボンペーパー4を介して電流を効率的に通電させるための良好な導電性と、カーボンペーパーとの接触抵抗が低いことが要求される。
従来、固体高分子型燃料電池用のセパレーターの材料として、炭素系材料が多く使用されていた。しかし、炭素系材料からなるセパレーターは、脆性の問題から厚さを薄くできないためコンパクト化に支障をきたしている。近年、割れにくい炭素系材料からなるセパレーターも開発されつつあるが、コスト的に高価であるため経済性で不利である。
一方、金属材料を用いたセパレーターは、炭素系材料に比べて脆性に対する問題がないため、特に、固体高分子型燃料電池システムのコンパクト化や、低コスト化が可能となる。そこで、チタンなどの金属材料を用いたセパレーターが多数開発され、提案されている(例えば、特許文献1、2参照。)。
しかし、純チタンまたはチタン合金製セパレーターは、発電中にこれらの表面に形成される不動態皮膜に起因してカーボンペーパーとの接触抵抗が大きくなり、燃料電池のエネルギー効率を大幅に低下させることが問題であった。
このため、従来からチタン製セパレーターに対して、部材表面とカーボンペーパーとの接触抵抗を低減させるための方法が、数多く提案されている。
例えば、チタンまたはステンレス表面に貴金属または貴金属合金を付着させることにより、カーボンペーパーとの接触抵抗を低下させることができる固体高分子型燃料電池用のセパレーターが提案されている(例えば、特許文献3参照。)。しかし、これらの方法は、チタンまたはステンレス表面に、導電性を付与するための金メッキなどの高価な貴金属層を形成する表面処理が必要であるため、セパレーターの製造コストが増大するという問題があった。
一方、高価な貴金属の使用量を低減するか、あるいは用いずに、セパレーター部材表面とカーボンペーパーとの接触抵抗を低減するための方法も種々提案されている。導電性を有する硬質微粉末をショットブラストなどにより基材表面に固着させる方法も提案されている。これらの導電性を有する硬質微粉末をショットブラストなどにより基材表面に固着させる方法は、加熱処理や真空蒸着による方法に比べて、生産性を低下させず、製造コストが安い、簡便な方法である点で有利な方法である。
特開2000−260439号公報 特開2000−256808号公報 特開2001−006713号公報
しかしながら、上記の従来技術のような、セパレーター表面の接触抵抗を低減するために、基材表面に導電性化合物を固着したチタンなどのメタルセパレーターでは、燃料電池使用時に、基材表面の導電性化合物からMEA(固体高分子型電解質膜と電極の複合体)中に金属イオンが溶出し、起電力低下などの電池特性の劣化が生じ、発電能力を低下させる問題があることが判明した。さらに、発電中にチタン表面から溶出したチタンイオンが導電粒子表面にチタン酸化物として析出し、接触抵抗を増大させることも判明した。
そこで、本発明は、上記従来技術の現状に鑑みて、燃料電池内環境において、イオン溶出性が低く、かつチタン酸化物の析出を生じにくい、すなわち発電後の接触抵抗の増加を抑制することが可能な、低接触抵抗かつ低イオン溶出性の固体高分子型燃料電池セパレーター用チタン材およびその製造方法、このチタン材を用いてなるセパレーター、ならびにこのセパレーターを用いてなる固体高分子型燃料電池を提供することを目的とする。
本発明は、上記の課題を解決するものであり、その要旨とするところは、以下の通りである。
(1)固体高分子型燃料電池のセパレーター素材用の純チタンまたはチタン合金製チタン材であって、該チタン材の表面酸化物の厚みが5〜25nmの範囲にあり、該チタン材の酸化物層を含めた最外表面から100nmの深さの範囲での平均炭素濃度が0.02〜6at%であり、かつ平均窒素濃度が0.02〜6at%であり、さらに前記酸化物中のフッ素濃度が7at%以下であることを特徴とする、固体高分子型燃料電池セパレーター用チタン材。
(2)前記チタン材中の鉄含有量が0.001質量%以上0.1質量%以下で、酸素含有量が0.001質量%以上0.05質量%以下であることを特徴とする、前記(1)に記載の固体高分子型燃料電池セパレーター用チタン材。
(3)前記チタン材の表層部に、Au、Pt、Pd、Ruのいずれかの貴金属のうち1種以上および不可避的不純物からなる貴金属粒子または貴金属合金粒子、および導電性化合物粒子のうちのいずれか1種または2種以上の導電粒子が、固着されていることを特徴とする、前記(1)または(2)に記載の固体高分子型燃料電池セパレーター用チタン材。
(4)前記導電性化合物粒子が、Cr2N、CrSi2、VB、V87、VN、TaN、TaC、WC、WNのうちの1種または2種以上からなり、平均粒径が0.01〜20μmであることを特徴とする、前記(3)に記載の固体高分子型燃料電池セパレーター用チタン材。
(5)固体高分子型燃料電池のセパレーター素材用の純チタンまたはチタン合金製チタン材を、濃度15〜59質量%、温度40〜120℃の硝酸水溶液に、5秒以上115分以下の間、塗布または浸漬処理により浸し、その後、洗浄することを特徴とする、前記(1)に記載の固体高分子型燃料電池セパレーター用チタン材の製造方法。
(6)前記洗浄後のチタン材に、Au、Pt、Pd、Ruのいずれかの貴金属のうち1種以上および不可避的不純物からなる貴金属粒子または貴金属合金粒子、および導電性化合物粒子のうちのいずれか1種または2種以上の導電粒子が、平均粒径100〜300μmの炭化タングステン製の超硬コア粒子の外側に被覆された導電粒子被覆超硬粒子を、0.03〜0.05MPaの投射圧力で打ち込むことを特徴とする、前記(5)に記載の固体高分子型燃料電池セパレーター用チタン材の製造方法。
(7)Au、Pt、Pd、Ruのいずれかの貴金属のうち1種以上および不可避的不純物からなる貴金属粒子または貴金属合金粒子、および導電性化合物粒子のうちのいずれか1種または2種以上の導電粒子が、平均粒径100〜300μmである炭化タングステン製の超硬コア粒子の外側に被覆された導電粒子被覆超硬粒子を、固体高分子型燃料電池のセパレーター素材用の純チタンまたはチタン合金製チタン材に、0.03MPa〜0.05MPaの投射圧力で打ち込み、さらに、該チタン材を、濃度15〜59質量%、温度40〜120℃の硝酸水溶液に、5秒以上115分以下の間、塗布または浸漬処理により浸し、その後、洗浄することを特徴とする、前記(3)に記載の固体高分子型燃料電池セパレーター用チタン材の製造方法。
(8)前記導電性化合物粒子が、Cr2N、CrSi2、VB、V87、VN、TaN、TaC、WC、WNのうちの1種または2種以上からなり、平均粒径が0.01〜20μmであることを特徴とする、前記(6)または(7)に記載の固体高分子型燃料電池セパレーター用チタン材の製造方法。
(9)前記チタン材中の鉄含有量が0.001質量%以上0.1質量%以下であり、酸素含有量が0.001質量%以上0.05質量%以下であることを特徴とする、前記(5)〜(8)のいずれかに記載の固体高分子型燃料電池セパレーター用チタン材の製造方法。
(10)固体高分子型燃料電池を構成するセパレーターであって、該セパレーターに前記(1)〜(4)のいずれか1項に記載の固体高分子型燃料電池セパレーター用チタン材が用いられていることを特徴とする、固体高分子型燃料電池用セパレーター。
(11)前記固体高分子型燃料電池用セパレーターに、厚さ0.1μm以上の導電性塗料被膜が被覆されていることを特徴とする、前記(10)記載の固体高分子型燃料電池用セパレーター。
(12)固体高分子膜、触媒電極部、カーボンペーパー、セパレーターからなる固体高分子型燃料電池において、前記セパレーターの一部または全部が前記(10)または(11)に記載の固体高分子型燃料電池用セパレーターであることを特徴とする、固体高分子型燃料電池。
本発明によれば、固体高分子型燃料電池の使用時に、チタン表面からのイオン溶出性が低く、かつ溶出したチタンイオンがチタン表面にチタン酸化物として析出し、接触抵抗を増大させることを抑制していることから、使用時のイオン溶出性が低く、かつ接触抵抗の劣化およびこれによる起電力の低下を有利に回避することができ、延いては高性能、長寿命の固体高分子型燃料電池を提供できることから、その産業上の効果は計り知れない。
本発明について以下詳細に説明する。
前述の通り、図1に示す固体高分子型燃料電池1の構成部材であるセパレーター5は、その基本特性として、導電性、特にカーボンペーパー4からの電流を受ける際に、セパレーター5表面とカーボンペーパー4との接触抵抗が小さいことが要求される。
また、固体高分子型燃料電池1は、強酸性を有する電解質である固体高分子膜2を有し、約150℃以下の温度で進行する反応により水を生成するため、セパレーター5の材質として、これらの温度、酸性水溶液での腐食環境で十分耐えられる耐食性と耐久性が要求される。
以上の点を踏まえて、上記環境で十分な耐食性を有するチタンをベースとして、低イオン溶出性およびチタン酸化物の析出抑制特性を確保するために、チタン表面の酸化物厚み、ならびに、チタン表層部の炭素、窒素およびフッ素濃度を制御することを本発明の基本思想とする。
先ず、本発明の基本思想および発明の主要部について説明する。
本発明者らは、従来技術の確認試験などから、従来から知られるチタン表層部に導電性化合物粒子を固着したセパレーターは、固体高分子型燃料電池の使用経過とともに、セパレーター表面とカーボンペーパーとの接触抵抗が大きくなり、これに起因して燃料電池の起電力が低下することを確認した。そして、この起電力の低下原因は、燃料電池の使用時に、チタン製セパレーター表面より溶出したチタンイオンが、チタン表層部に固着した導電性化合物粒子表面にチタン酸化物を形成することにより、導電性化合物粒子の導電性が劣化するためであることを見出した。
初期の接触抵抗を十分に低く抑え、かつ使用時のチタンからの溶出による導電粒子状のチタン酸化物の析出による接触抵抗の増加を抑制するには、チタン表面のチタン酸化物の厚みが重要な因子となる。酸化膜が厚いほど、チタンの溶解に対する抑制効果は増大するが、逆に初期の接触抵抗値は増加する。すなわち、初期の接触抵抗値を10(mΩ・cm2)未満に抑え、5,000時間発電後の接触抵抗を20(mΩ・cm2)未満とするために、チタン表面の酸化物厚みは、5nmから25nmの範囲が適切であることがわかった。なお、実発電環境で、5,000時間を越える寿命を得、かつ初期接触抵抗値を安定的に9(mΩ・cm2)より低くするためには、チタン表面の酸化物厚みは、好ましくは、12nm超から20nmの範囲である。
さらに、本発明者らは、導電粒子表面へのチタン酸化物の析出には、チタン表面の炭化チタンが影響しており、チタン表面の炭素濃度の低減が有効に働くことを見出した。この効果を得るためには、酸化物層を含めたチタン最外表面から、100nmの範囲にある平均の炭素濃度を6at%以下にする必要がある。さらに、実発電環境で、5,000時間を越える寿命を得るためには、より好ましくは3.5at%未満である。しかしながら、0.02at%未満では、その効果が飽和することと、また工業的に極めて困難であることから、炭素濃度は0.02at%以上とする。
チタン表面の炭素濃度を低減する方法としては、不活性ガス中あるいは真空中で焼鈍するか、あるいは通常の焼鈍後、酸洗処理あるいは研磨処理する等の手段によって達成される。酸洗と熱処理を組み合わせても良い。
さらに、本発明者らは、表層の窒素が接触抵抗の増大に悪影響を及ぼすことを見出した。窒素の悪影響は、固溶窒素あるいは各種の窒化チタンによるものかについては、未だに不明な点もあるが、表層部の窒素濃度を低減することによって、発電時の接触抵抗の増大を抑制することができる。この効果を得るためには、酸化物層を含めたチタン最外表面から、100nmの範囲にある平均の窒素濃度を6at%以下にする必要がある。実発電環境で、5,000時間を越える寿命を得るためには、より好ましくは4at%以下である。しかしながら、0.02at%未満では、その効果が飽和することと、また工業的に極めて困難であることから、窒素濃度は0.02at%以上とする。チタン表面の窒素濃度を低減する方法としては、不活性ガス中あるいは真空中で焼鈍するか、あるいは通常の焼鈍後、酸洗処理あるいは研磨処理する等の手段によって達成される。酸洗と熱処理を組み合わせても良い。なお、窒素は大気中に約80%含有されており、熱処理を用いる場合は、大気中からの窒素の混入を十分防止する必要がある。
また、本発明者らは、機構は不明であるが、チタン表面の酸化物中のフッ素が発電時の接触抵抗の上昇を招くことを見出した。すなわち、5,000時間発電後も接触抵抗を、実質的に発電に影響の少ない20(mΩ・cm2)未満に抑えるために、チタン酸化物中のフッ素濃度は、7at%以下とする必要があることがわかった。チタン表面の酸化物中にフッ素が取り込まれる工程は、チタンの酸洗工程で、これは、チタンを酸洗するには工業的には硝酸水溶液とフッ酸水溶液が混合された酸洗液が使用されることに起因する。酸化物中のフッ素濃度を低減するには、フッ酸濃度を低減するか、あるいは硝酸濃度を低減する等の酸洗条件の最適化が重要である。
なお、チタン最外表面から100nmの範囲における平均の炭素および窒素濃度、チタン表面のチタン酸化物の厚み、チタン酸化物中の平均のフッ素濃度ともオージェ電子分光分析器あるいはこれに相当する性能を有する表面解析装置を用いることによって測定できる。
より具体的には、Arイオンスパッタリングとオージェ分析を組み合わせた方法により、チタン表面より深さ方向への分析の間隔を、たとえば0.1nmから0.6nm範囲で適切な間隔を選択してオージェ分析を行い、少なくとも100nm以上のスパッタリング深さまで測定を実施する。測定間隔は、短い方が正確な測定ができるため、0.1nm間隔で測定することが望ましいが、分析装置の制約から、0.1nmの間隔での測定が行えない場合もあるため、測定間隔を0.1nmから0.6nmの範囲とした。この範囲であれば、十分な測定点を得ることができるため、十分、再現性の高い測定を行うことができる。
炭素および窒素濃度の平均値は、チタン最外表面から、所定の深さまでの測定点での濃度の算術和を測定点で割ることによって求めることができる。
なお、表面からのスパッタリング深さについては、エリプソメーターを用いて厚みが既知なSiO2膜に対して同一Arイオンスパッタリング条件で実施して求めたSiO2のスパッタリング速度(nm/min)を、チタン表面のスパッタリング速度に適用して求めている。
すなわち、チタン酸化物の厚みの算定は、チタン表面の酸素濃度が半減する位置でのスパッタリング時間を求め、上述のSiO2を用いて求めたスパッタリング速度と上記のスパッタリング時間を掛け、酸化膜厚みを算出することとする。ここで、チタン表面の酸素濃度が半減する位置としたのは、分析装置内の真空度に依らず、再現性の高い測定を行うことができることによる。チタン酸化物中の平均のフッ素濃度は、上記によって求められた酸化物層の平均のフッ素濃度として炭素あるいは窒素と同様な方法で求めることができる。
さらに本発明者らは、純チタンあるいはチタン合金中の鉄および酸素濃度を本発明の範囲内に制御することによって、発電による接触抵抗の増大を抑制することができることを見出した。鉄および酸素はいずれもチタン中に含有される微量元素であり、そのメカニズムには、不明な点が多いが、いずれも燃料電池内環境におけるチタンの溶出を促進するものと推定している。
この効果が現れる鉄の濃度は0.1質量%以下である。なお、5,000時間を超える発電後も接触抵抗を、実質的に発電に影響の少ない20(mΩ・cm2)未満に抑えるために、より好ましくは、0.035%未満である。ただし、0.001質量%未満に低減すると、焼鈍時の結晶粒の粗大化等の別の問題が生じるため、下限を0.001質量%とする。上記効果が現れる酸素濃度は、0.05質量%以下である。実発電環境で、5,000時間を越える寿命を得るためには、より好ましくは0.03質量%以下である。ただし、焼鈍時の結晶粒の粗大化を抑えるために、下限を0.001質量%とする。
なお、公知の方法によって本発明の鉄濃度、酸素濃度を実現することができる。例えば、原料のチタンを厳選することによって鉄濃度を本発明範囲内とすることができる。また、溶解前に真空にしておき、吸着している水分を除ける電子ビーム溶解を利用することにより、酸素濃度を本発明範囲内とすることができる。
請求項1または2に示した純チタンまたはチタン合金製チタン材は、固体高分子型燃料電池のセパレーター素材として適したものであるが、カーボンペーパーと前記の純チタンまたはチタン合金製チタン材との接触抵抗は若干高く、更に接触抵抗を低減するためには、前記の純チタンまたはチタン合金製チタン材の表面に導電粒子を固着することが有効となる。
この導電粒子としては、Au、Pt、Pd、Ruのいずれかの貴金属のうち1種以上および不可避的不純物からなる貴金属粒子または貴金属合金粒子、および後述の導電性化合物粒子が、燃料電池使用環境下にあっても安定で、前記接触抵抗を低減するために適している。
すなわち、貴金属粒子および貴金属合金粒子は、チタン材とカーボンペーパーとの電子の通路となり、固体高分子燃料電池内環境のような強酸中で化学的に十分安定な性質が要求されることから、Au、Pt、Pd、Ruのいずれかの貴金属のうち1種以上および不可避的不純物からなる貴金属粒子または貴金属合金粒子が適している。貴金属粒子または貴金属合金粒子の平均粒径の下限は、十分な接触面積が得られるように0.01μm以上あると良い。一方、貴金属粒子または貴金属合金粒子の平均粒径の上限は、ハンドリングやチタン材への付着歩留まりの観点から、300μmである。なお、チタン材との安定した付着のために、より好ましくは20μm未満である。
導電性化合物粒子も、チタン材とカーボンペーパーとの電子の通路となり、固体高分子燃料電池内環境のような強酸中で化学的に十分安定な性質が要求されることから、Cr2N、CrSi2、VB、V87、VN、TaN、TaC、WCまたはWNのうちの1種または2種以上からなる導電性化合物が適している。なお、5,000時間発電後も接触抵抗を、実質的に発電に影響の少ない20(mΩ・cm2)未満に抑えるために、より好ましくは、窒化物系の導電性化合物粒子であり、これらを含むものが良い。また、平均粒径は、0.01〜20μmである。上記導電性化合物粒子の平均粒径の下限は、強酸での処理中に溶出しないために0.01μmとする。一方、導電性化合物粒子の平均粒径の上限は、平均粒径が20μmを超えると、導電性化合物粒子とチタン材との接触面積が低下することから20μmとする。なお、チタン材との安定した付着のために、より好ましくは2μm未満である。
チタン材表面に、Au、Pt、Pd、Ruのいずれかの貴金属粒子、それら貴金属のうち1種以上および不可避的不純物からなる貴金属粒子または貴金属合金粒子、および導電性化合物粒子のうちのいずれか1種または2種以上の導電粒子をチタン材表面に付着させ、脱落しにくくための一方法として、前記導電粒子をチタン材表面に機械的に食い込ませる方法が、効果的であり、低コストで行えることがわかった。このためには、ある程度の運動エネルギーまたは運動量を導電粒子に与える必要と、チタン材表面に食い込める硬度が必要である。ここで、炭化タングステンは、必要な硬度と形状を有しており、この炭化タングステン製超硬コア粒子の外側に導電粒子を被覆してチタン材表面に投射する方法を見出した。なお、必要な運動量を得るために、炭化タングステンの平均粒径と投射圧力は、互いの最適範囲が、相互に関連性を持つ。しかし、炭化タングステンの平均粒径100μm未満では十分な運動量が得られず、一方平均粒径300μm越えでは、前記導電粒子をチタン材表面に十部な深さまで食い込ませることができず、導電粒子がチタン材表面から脱落し易くなる。また、その投射圧力が、0.03MPa未満では前記導電粒子をチタン材表面に十分な深さまで食い込ませることができず、導電粒子が剥離しやすくなる。一方、投射圧力0.05MPa超えでは、チタン材に大きな歪を与え、反りや捻りを生じさせてしまう場合がある。
したがって、チタン材表面に前記導電粒子を効率良く付着させる方法として、前記導電粒子が、平均粒径100〜300μmの炭化タングステン製の超硬コア粒子の外側に被覆された導電粒子被覆超硬粒子を、0.03〜0.05MPaの投射圧力でチタン材表面に打ち込むことが、最適であることを見出した。なお、超硬コア粒子として、炭化タングステン以外の物質を用いても、同じ効果が得られる場合は、その物質を用いても良い。その場合は、別途、その物質の最適粒径、形状および投射圧力を決定する必要がある。
本発明者らは、請求項1または2に記載した、低イオン溶出性で、接触抵抗の増大を抑制できる純チタンまたはチタン合金製チタン材の製造方法として、純チタンまたはチタン合金を硝酸水溶液中に浸漬するか、または塗布することが極めて有効であることを見出した。硝酸濃度としては、その効果を発現するためには少なくとも15質量%以上が必要となる。ただし、硝酸濃度が59%を超えるとチタンの溶解性が増大することから59%を上限とする。
処理温度については、反応を生じさせるためにある程度の熱エネルギーが必要であり、少なくとも40℃以上は必要となる。処理温度は、高い方が、短時間で十分な効果を上げることができるが、120℃を超えた処理は、圧力容器等を用いて実施する必要も生じてくること、また、処理時間を短縮する効果もほぼ飽和するため、処理温度の上限は、120℃とする。処理時間については、少なくとも所望する効果を得るには、5秒以上の処理時間が必要となる。なお、処理時間については長時間とすることによって、特性が劣化することはない。しかしながら、115分を超えて処理しても、特性の向上代は、ほぼ飽和することから115分を上限とする。なお、60℃以上で処理する場合は、作業効率を考慮すると、より好ましくは30分以下である。硝酸水溶液による処理は、浸漬あるいは塗布の両者ともほぼ同様な効果を得ることができる。また、硝酸処理後は、チタン表面に硝酸水溶液が残存しないように十分に洗浄する。
請求項3に記載の導電粒子を純チタンまたはチタン合金の表面に付着させる前または後で、上記硝酸処理を行えば、請求項3に記載したチタン材を得ることができる。
純チタンについては、通常、加工性の最も優れたJIS1種(JIS H4600)の純チタンを使用することが望ましい。なお、本発明は、チタン合金についても適用できる。ここで、チタン合金とは、たとえば耐食性を向上させるために、微量の貴金属系の元素(パラジウム、白金、ルテニウム等)を添加したJIS11種から23種(JIS H 4600)等が挙げられる。ただし、白金属系の合金元素を添加したチタン合金については、表面で水素が発生しやすくなることから、アノード極での水素脆化の懸念を検討して適用する必要が出てくる。
本発明の固体高分子型燃料電池用セパレーターは、該セパレーターに請求項1〜4に記載の固体高分子型燃料電池セパレーター用チタン材を用いることにより、長時間にわたり低接触抵抗かつ低イオン溶出性のセパレーターが得られることを見出した。
さらに発明者らは、請求項1〜4に記載のチタン材表面に、前記導電粒子すなわち、Au、Pt、Pd、Ruのいずれかの貴金属粒子、それら貴金属のうち1種以上および不可避的不純物からなる貴金属粒子もしくは貴金属合金粒子、または導電性化合物粒子のうちのいずれか1種または2種以上の導電粒子を、導電性フィラーとして含む合成樹脂および溶剤からなる導電性塗料を塗布し、乾燥固化させることで、長時間にわたり低接触抵抗かつ低イオン溶出性のセパレーターが得られることを見出した。ただし、導電性塗料皮膜が0.1μm以上形成されていないと、導電粒子が容易に脱落することがある。このため、導電性塗料皮膜の厚さを0.1μm以上とした。
本発明の固体高分子型燃料電池は、固体高分子膜、触媒電極部、カーボンペーパー、セパレーターからなり、セパレーターの一部または全部が請求項10または11に記載の低接触抵抗かつ低イオン溶出性の固体高分子型燃料電池用セパレーターとすることにより、燃料電池使用時に、基材表面の導電性化合物からMEA中に金属イオンが溶出せず、起電力低下などの電池特性の劣化を生じさせず、発電能力の低下を防止することができる。さらに、発電中にチタン表面からチタンイオンが溶出しないので、接触抵抗増大を防止することができる。
以下、実施例により本発明を詳細に説明する。長さ70mm、幅70mm、厚さ0.2mmのJIS1種の純チタン冷延焼鈍板と冷延焼鈍酸洗板の2種類を試験材の基材として用いた。焼鈍条件は、焼鈍温度を600℃から790℃まで変化させると共に(保持時間は5時間)、雰囲気を真空、各種濃度の窒素を含むアルゴンガス中で行うことによって、チタン酸化物層の厚み、表層部の炭素および窒素濃度を変化させた。また、酸洗については、硝酸とフッ酸の混合水溶液を用いたが、それぞれの酸の濃度、酸洗温度、時間を変化させることによって、酸化膜中のフッ素濃度と共に酸化膜厚み、表面層の炭素および窒素濃度を変化させた。
燃料電池のセパレーターとして必要な流路を加工した後、平均粒径が0.01μmから20μmのCr2N、CrSi2、VB、V87、VN、TaN、TaC、WCまたはWNおよびそれらの混合物を、平均粒径が100μm〜300μmである炭化タングステン製の超硬コア粒子に、バインダーとしてCuを導電性化合物に対して1質量%混合して被覆し、上記の試験基材に0.03MPa〜0.05MPaの投射圧力で打ち込み、試験材とした。
Figure 0004926730
Figure 0004926730
Figure 0004926730
表1は、本発明材と比較材を、固体高分子型燃料電池の単セルにセパレーター部材として、これらの材料を組み込み、それぞれ、5000時間まで発電したときの接触抵抗の変化を測定した。MEAは、パーフルオロスルホン酸膜を固体高分子膜として用いたもので、触媒は、カソード極、アノード極とも白金を用いた。坦持量は、0.5mg/cm2である。電極面積は、10cm×10cmで、電流密度は、0.3A/cm2で発電を行った。電池の温度は、70℃である。
カソード極のガスには空気を用い、ガスの利用率は60%、露点は60℃であり、アノード極には純水素を用い、ガスの利用率は70%、露点は70℃である。
接触抵抗は、発電後のカソード側のチタンセパレーターについて、MEAと接触していた面の対カーボンペーパー接触抵抗値を、面圧1.0MPa(10kgf/cm2)において測定した。発電前および5000時間の発電後の接触抵抗を測定した。
本発明にしたがったものは、いずれも接触抵抗が20mΩ・cm2以下と発電後の比較例がその10倍以上の接触抵抗を示していることに比べて著しく改善していることが判る。
表2は、表1に示した本発明2,5,8,16,17,18,22,23,24,28,29,30,43,47のそれぞれについて、本発明にしたがって、硝酸処理した時に、初期の接触抵抗と上記と同様の条件で発電した後の接触抵抗の測定結果を示す。なお、ここでは、前記酸洗後、導電粒子付着工程の前に硝酸処理を行ったものと、前記酸洗後、硝酸処理を行った後、導電粒子付着工程を行ったものを実施した。各硝酸処理件は、表2のとおりであり、導電粒子付着工程の条件は、それぞれ対応する表1の各本発明番号と同一にした。発電試験条件も、前記と同一である。初期の接触抵抗は若干、増加するが、発電後の接触抵抗は表1に示した発電後の接触抵抗よりも低くなっており、硝酸水溶液での処理の効果が明確に現れている。
β型チタン合金素材として、Moを15質量%、Zrを5質量%含有し、残部Tiおよび不可避的不純物からなる厚さ5mmのチタン合金材をAr雰囲気中730℃、1時間保持後、水冷し、続けて平坦な耐火物上においてAr雰囲気中で300℃、5時間および475℃、2時間保持後、空冷した。
また、α+β型チタン合金素材として、Alを6質量%、Vを4質量%含有し、残部Tiおよび不可避的不純物からなる厚さ5mmのチタン合金材をAr雰囲気中970℃、1時間保持後、水冷し、続けて平坦な耐火物上においてAr雰囲気中にて540℃4時間保持後、空冷した。
次に、前記β型チタン合金およびα+β型チタン合金素材のそれぞれの表面を切削加工して厚さ3.5mmとし、長さ70mm、幅70mmに切りそろえたものを複数個用意した。前記2種類のチタン合金材の両面に、深さ1.3mm幅2mm長さ70mmの直線溝を、1mm間隔で23本ずつ平行に切削加工した。その後、前記β型チタン合金およびα+β型チタン合金素材のそれぞれで、濃度20質量%、温度80℃の硝酸水溶液に、5分間、浸漬処理により浸し、続いて蒸留水で洗浄して、試験基材としたものと、33質量%硝酸と1.6質量%フッ酸の60℃混合水溶液に5分間浸し、続いて蒸留水で洗浄して、試験基材としたものの2種類ずつ計4種類の試験基材を用意した。
この4種類の試験基材の表面をそれぞれ、Arイオンスパッタリングとオージェ分析を併用して表面の成分分析を実施したところ、表面から100nmの平均炭素量がいずれも、2at.%未満、平均窒素濃度が3at.%未満であったが、濃度20質量%、温度80℃の硝酸水溶液に、5分間、浸漬した前記β型チタン合金およびα+β型チタン合金基材ともフッ素濃度が1at.%未満であったのに対し、硝酸とフッ酸の混合液に浸した試験基材では、いずれも、10at.%超であった。
続いて、平均粒径が0.01μmから20μmのTaNを、平均粒径が100μm〜300μmである炭化タングステン製の超硬コア粒子に、バインダーとしてCuを導電性化合物に対して1質量%混合して被覆し、前記4種類の試験基材の、直線溝を穿った両側表面に0.03MPa〜0.05MPaの投射圧力で打ち込み、試験材とした。
Figure 0004926730
本発明材と比較材を、固体高分子型燃料電池の単セルにセパレーター部材として、これらの材料を組み込み、それぞれ、5000時間まで発電したときの接触抵抗の変化を測定した結果を表3に示す。MEAは、パーフルオロスルホン酸膜を固体高分子膜として用いたもので、触媒は、カソード極、アノード極とも白金を用いた。坦持量は、0.5mg/cm2である。電極面積は、10cm×10cmで、電流密度は、0.3A/cm2で発電を行った。電池の温度は、70℃である。
カソード極のガスには空気を用い、ガスの利用率は60%、露点は60℃であり、アノード極には純水素を用い、ガスの利用率は70%、露点は70℃である。
接触抵抗は、発電後のカソード側のチタンセパレーターについて、MEAと接触していた面の対カーボンペーパー接触抵抗値を、面圧1.0MPa(10kgf/cm2)において測定した。発電前および5000時間の発電後の接触抵抗を測定した。
本発明にしたがったものは、いずれも接触抵抗が20mΩ・cm2未満であるが、発電後の比較例は、その数十倍の接触抵抗を示している。本発明により接触抵抗が著しく改善することが判る。
Figure 0004926730
表4は、本発明に示す各種チタン材の表面に導電性塗装を施したチタン材製セパレーターを固体高分子型燃料電池に組み込み、それぞれ、5000時間まで発電したときの接触抵抗の変化を測定した。MEAは、パーフルオロスルホン酸膜を固体高分子膜として用いたもので、触媒は、カソード極、アノード極とも白金を用いた。坦持量は、0.5mg/cm2である。電極面積は、10cm×10cmで、電流密度は、0.3A/cm2で発電を行った。電池の温度は、70℃である。導電塗装を施す前に導電粒子を表面に打ち込んだものは、実施例1と同様な条件で行った。
本発明にしたがって導電塗膜を塗装したものは、5000時間の発電後も接触抵抗が 20mΩ・cm2未満と優れた特性を示すことが判る。
固体高分子型燃料電池の構成を説明する図である。
符号の説明
1 固体高分子型燃料電池
2 固体高分子膜
3 触媒電極部
4 カーボンペーパー
5 セパレーター
6 アノード側セパレーター
7 カソード側セパレーター
8 水素ガス
9 空気
10 電子

Claims (12)

  1. 固体高分子型燃料電池のセパレーター素材用の純チタンまたはチタン合金製チタン材であって、該チタン材の表面酸化物の厚みが5〜25nmの範囲にあり、該チタン材の酸化物層を含めた最外表面から100nmの深さの範囲での平均炭素濃度が0.02〜6at%であり、かつ平均窒素濃度が0.02〜6at%であり、さらに前記酸化物中のフッ素濃度が7at%以下であることを特徴とする、固体高分子型燃料電池セパレーター用チタン材。
  2. 前記チタン材中の鉄含有量が0.001質量%以上0.1質量%以下で、酸素含有量が0.001質量%以上0.05質量%以下であることを特徴とする、請求項1に記載の固体高分子型燃料電池セパレーター用チタン材。
  3. 前記チタン材の表層部に、Au、Pt、Pd、Ruのいずれかの貴金属のうち1種以上および不可避的不純物からなる貴金属粒子または貴金属合金粒子、および導電性化合物粒子のうちのいずれか1種または2種以上の導電粒子が、固着されていることを特徴とする、請求項1または2に記載の固体高分子型燃料電池セパレーター用チタン材。
  4. 前記導電性化合物粒子が、Cr2N、CrSi2、VB、V87、VN、TaN、TaC、WC、WNのうちの1種または2種以上からなり、平均粒径が0.01〜20μmであることを特徴とする、請求項3に記載の固体高分子型燃料電池セパレーター用チタン材。
  5. 固体高分子型燃料電池のセパレーター素材用の純チタンまたはチタン合金製チタン材を、濃度15〜59質量%、温度40〜120℃の硝酸水溶液に、5秒以上115分以下の間、塗布または浸漬処理により浸し、その後、洗浄することを特徴とする、請求項1に記載の固体高分子型燃料電池セパレーター用チタン材の製造方法。
  6. 前記洗浄後のチタン材に、Au、Pt、Pd、Ruのいずれかの貴金属のうち1種以上および不可避的不純物からなる貴金属粒子または貴金属合金粒子、および導電性化合物粒子のうちのいずれか1種または2種以上の導電粒子が、平均粒径100〜300μmの炭化タングステン製の超硬コア粒子の外側に被覆された導電粒子被覆超硬粒子を、0.03〜0.05MPaの投射圧力で打ち込むことを特徴とする、請求項5に記載の固体高分子型燃料電池セパレーター用チタン材の製造方法。
  7. Au、Pt、Pd、Ruのいずれかの貴金属のうち1種以上および不可避的不純物からなる貴金属粒子または貴金属合金粒子、および導電性化合物粒子のうちのいずれか1種または2種以上の導電粒子が、平均粒径100〜300μmである炭化タングステン製の超硬コア粒子の外側に被覆された導電粒子被覆超硬粒子を、固体高分子型燃料電池のセパレーター素材用の純チタンまたはチタン合金製チタン材に、0.03MPa〜0.05MPaの投射圧力で打ち込み、さらに、該チタン材を、濃度15〜59質量%、温度40〜120℃の硝酸水溶液に、5秒以上115分以下の間、塗布または浸漬処理により浸し、その後、洗浄することを特徴とする、請求項3に記載の固体高分子型燃料電池セパレーター用チタン材の製造方法。
  8. 前記導電性化合物粒子が、Cr2N、CrSi2、VB、V87、VN、TaN、TaC、WC、WNのうちの1種または2種以上からなり、平均粒径が0.01〜20μmであることを特徴とする、請求項6または7に記載の固体高分子型燃料電池セパレーター用チタン材の製造方法。
  9. 前記チタン材中の鉄含有量が0.001質量%以上0.1質量%以下であり、酸素含有量が0.001質量%以上0.05質量%以下であることを特徴とする、請求項5〜8のいずれか1項に記載の固体高分子型燃料電池セパレーター用チタン材の製造方法。
  10. 固体高分子型燃料電池を構成するセパレーターであって、該セパレーターに請求項1〜4のいずれか1項に記載の固体高分子型燃料電池セパレーター用チタン材が用いられていることを特徴とする、固体高分子型燃料電池用セパレーター。
  11. 前記固体高分子型燃料電池用セパレーターに、厚さ0.1μm以上の導電性塗料被膜が被覆されていることを特徴とする、請求項10記載の固体高分子型燃料電池用セパレーター。
  12. 固体高分子膜、触媒電極部、カーボンペーパー、セパレーターからなる固体高分子型燃料電池において、前記セパレーターの一部または全部が請求項10または11に記載の固体高分子型燃料電池用セパレーターであることを特徴とする、固体高分子型燃料電池。
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