JP2000277124A - 燃料電池および燃料電池の電極の製造方法 - Google Patents

燃料電池および燃料電池の電極の製造方法

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JP2000277124A
JP2000277124A JP11077773A JP7777399A JP2000277124A JP 2000277124 A JP2000277124 A JP 2000277124A JP 11077773 A JP11077773 A JP 11077773A JP 7777399 A JP7777399 A JP 7777399A JP 2000277124 A JP2000277124 A JP 2000277124A
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ions
fuel cell
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Kenji Kajiyama
健二 梶山
Yutaka Hibino
豊 日比野
Shinya Iwamoto
信也 岩本
Yoshinori Nakato
義禮 中戸
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ION KOGAKU KENKYUSHO KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 電圧降下が抑制された発電効率の高い燃料電
池およびその電極の製造方法を提供することである。 【解決手段】 Pt、Pd、Ir、Rh、Ni等の金
属、またはRuO2 、TiO2 、(Ti,Ru)O2
(Ti,Cox )O2 、(Ti,Mnx )O2 、NiO
等の金属酸化物からなる酸素電極の電極膜に、Co、M
n、Ru、OまたはTiのイオンをイオン注入する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、燃料電池および燃
料電池の電極の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】燃料電池は、外部から燃料ガスと酸化剤
ガスとを供給し、両者を電気化学的に反応させることに
より電流を発生する装置である。燃料ガスとして水素を
用い、酸化剤ガスとして酸素を用いた場合の燃料電池に
おいては、水素と酸素が反応して水が生成するととも
に、電流および熱が発生する。
【0003】上記のような燃料電池においては、SOX
やNOX 等の有害物質の発生が少ない。このため、地球
環境の保全の点で優れている。また、化学エネルギーを
直接、電気エネルギーに変換可能であるため、火力発電
と比較して高い発電効率での発電が可能である。また、
外部から活物質として燃料および酸化剤を連続的に補給
することにより、電流を連続的にあるいは需要に応じて
発生させることが可能である。さらに、小型化および軽
量化が可能であるので、自動車などの輸送機器あるいは
家庭などの小規模消費拠点における送電不要の分散型電
源としても有用である。以上の点から、将来性の高い電
池として燃料電池に対する期待が高まっている。
【0004】燃料電池は、基本的には電解質とこれを挟
む2つの電極とから構成され、この2つの電極に外部か
ら燃料および酸化剤がそれぞれ供給される。以下、燃料
が供給される電極を還元電極と呼び、酸化剤が供給され
る電極を酸化電極と呼ぶ。
【0005】供給された燃料中の原子は、還元電極にお
いて電子を放出する。放出された電子は、負荷に供給さ
れ、さらに酸化電極に向かって移動する。移動してきた
電子は、酸化電極において、供給された酸素と反応す
る。このような電気化学的な反応により、酸化電極が陽
極になるとともに還元電極が陰極になり、電流が酸化電
極から負荷を通して還元電極に向かって流れる。
【0006】還元電極および酸化電極は、集電体として
作用すると同時に、より大きな反応の場を提供すること
により反応を促進させる必要がある。このため、電極構
成材料としては、機械的な強度が大きくかつ電解液等に
よって侵されない良導電体であり、さらに適当な多孔度
を有する表面の面積の大きな材料が用いられる。
【0007】例えばアルカリ性電解液を用いた燃料電池
においては、電極構成材料としてC、Ni、Ag等が用
いられる。このような燃料電池においては、還元電極お
よび酸化電極の各々において、以下に示す反応が起こ
る。
【0008】
【化1】
【0009】上記の反応により、理論的に1.23Vの
起電力が生じる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、実際の
燃料電池においては、電極の表面が不活性であるため、
電極における反応が活性化エネルギーを必要とし、この
活性化エネルギーを電圧で補うために活性化過電圧が生
じる。
【0011】このように、還元電極および酸化電極にお
いて活性化過電圧による電圧降下が生じるため、実際の
燃料電池においては端子電圧が1.23Vよりも小さく
なる。それにより、発電効率が低下する。特に、酸化電
極においては還元電極に比べて電圧降下が大きいため、
発電効率に与える影響が大きくなる。
【0012】本発明の目的は、電圧降下が抑制された発
電効率の高い燃料電池を提供することである。
【0013】本発明のさらに他の目的は、電圧降下が抑
制された発電効率の高い燃料電池の電極の製造方法を提
供することである。
【0014】
【課題を解決するための手段および発明の効果】本発明
に係る燃料電池は、酸化電極と還元電極とを有し、少な
くとも一方の電極の電極材料に所定の元素のイオンが注
入されたものである。
【0015】特に、所定の元素のイオンが、電極構成元
素のイオンであることが好ましい。酸化電極の電極材料
は、ルテニウム、チタン、コバルト、マンガンおよびニ
ッケルのうち少なくとも1つを含む金属酸化物、または
白金、パラジウム、イリジウム、ロジウムもしくはニッ
ケルであることが好ましい。さらに、還元電極の電極材
料が、白金、イリジウム、ロジウムまたはニッケルであ
ることが好ましい。
【0016】本発明に係る燃料電池においては、電極の
電極材料に所定の元素のイオンが注入されることによ
り、電極が高い活性を示す。それにより、活性化過電圧
による電圧降下が抑制され、発電効率が向上する。
【0017】本発明に係る燃料電池の電極の製造方法
は、燃料電池の電極の製造方法であって、電極の電極材
料に所定の元素のイオンを注入するものである。
【0018】特に、所定の元素のイオンが、電極構成元
素のイオンであることが好ましい。電極が酸化電極であ
る場合、酸化電極の電極材料が、ルテニウム、チタン、
コバルト、マンガンおよびニッケルのうち少なくとも1
つを含む金属酸化物、または白金、パラジウム、イリジ
ウム、ロジウムもしくはニッケルであることが好まし
い。電極が還元電極である場合、還元電極の電極材料
が、白金、イリジウム、ロジウムまたはニッケルである
ことが好ましい。さらに、電極の表面が非晶質状態にな
るように所定の元素のイオンの注入エネルギーおよび注
入量を設定することが好ましい。
【0019】本発明に係る製造方法により製造された燃
料電池の電極においては、所定の元素がイオン注入され
ることにより、高い活性を示す。したがって、その電極
を燃料電池に用いることにより、活性化過電圧による電
圧降下が抑制され、燃料電池の発電効率が向上する。
【0020】
【発明の実施の形態】本発明に係る燃料電池は、基本的
には電解質とこれを挟む2つの電極、すなわち還元電極
および酸化電極とから構成される。電解質としてはアル
カリ性電解質等が用いられる。また、還元電極は、P
t、Ir、RhまたはNi等から構成される。
【0021】酸化電極は、金属等からなる電極基板上に
金属または金属酸化物からなる電極膜が積層されてな
る。電極膜の材料としては、Pt、Pd、Ir、Rh、
Ni等の金属、またはRuO2 、TiO2 、(Ti,R
u)O2 、(Ti,Cox )O 2 、(Ti,Mnx )O
2 、NiO等の金属酸化物が用いられる。このような電
極膜の材料において、RuO2 膜は最も高活性な電極材
料である。なお、電極基板の材料は特に限定されない
が、例えばPt板、グラファイト板、カーボンファイバ
のメッシュ、ITO膜で被覆されたガラス基板が用いら
れる。
【0022】上記の酸化電極の電極膜においては、C
o、Zn、Ru、OまたはTiのイオンが注入される。
また、イオンの注入に伴って電極膜の表面には複数のバ
ルク型の欠陥(atomic gap)が生じている。
この欠陥が活性な反応サイトになるため、イオンが注入
された酸化電極においては活性の向上が図られる。
【0023】還元電極は、金属等からなる電極基板上に
金属からなる電極膜が積層されてなる。電極膜の材料と
しては、Pt、Ir、Rh、Ni等の金属が用いられ
る。なお、電極基板の材料は特に限定されないが、例え
ばPt板、グラファイト板、カーボンファイバのメッシ
ュ、ITO膜で被覆されたガラス基板が用いられる。
【0024】上記の還元電極の電極膜においては、P
t、Ir、RhまたはNiのイオンが注入される。ま
た、イオンの注入に伴って電極膜の表面には複数のバル
ク型の欠陥(atomic gap)が生じている。こ
の欠陥が活性な反応サイトになるため、イオンが注入さ
れた還元電極においては活性の向上が図られる。
【0025】なお、イオンを注入することにより酸化電
極または還元電極が高活性となるのは、イオンの注入に
より生じた物理的な欠陥によるものであり、注入したイ
オンの化学的な性質によるものではない。したがって、
質量数のほぼ等しいイオン、例えばCoのイオンとZn
のイオンとを同じ注入エネルギーおよび注入量で注入し
た場合、各々のイオンが注入された酸化電極は同様の高
い活性を示す。なお、注入するイオンの種類によって欠
陥の生じ方が異なる。このため、イオンの種類に応じ
て、欠陥を生じる最適な条件の下でイオンを注入するこ
とが好ましい。
【0026】上記のような高活性な酸化電極および還元
電極は以下のようにして作製する。スピンコーティング
法等により電極基板上に電極膜を形成し、さらに、イオ
ン注入法により電極膜にイオンを注入する。なお、イオ
ンの注入の際の注入エネルギーおよび注入量は、電極膜
の表面が非晶質状態となる程度とする。
【0027】以上のように、イオンが注入された酸化電
極または還元電極を有する燃料電池においては、酸化電
極または還元電極が高活性となるため、活性化過電圧に
よる電圧降下を抑制することが可能となる。それによ
り、燃料電池の発電効率が向上し、端子電圧が理論上の
起電力1.23Vに近くなる。
【0028】
【実施例】以下の実施例では、本発明に係る燃料電池の
電極の活性を調べるために水の電気分解実験を行った。
【0029】[実施例1]以下のようにして、本発明に
係る燃料電池の酸化電極として試料1〜6の各々を作製
した。
【0030】4gのRuCl3 ・nH2 Oを溶解させた
10mlのエタノール溶液に、0.848mlのTiC
4 溶液を添加し、さらに0.1MのHNO3 水溶液を
10ml加えて混合した。このようにしてRuO2 およ
びTiO2 のコロイドが溶液中に分散したRux Tiy
2 のコロイド溶液を得た。なお、この場合、Ru
2 :TiO2 =2:1とし、x=2/3およびy=1
/3とした。
【0031】次に、界面活性剤としてtritonXを
上記のコロイド溶液に添加し、ITO膜で表面が被覆さ
れた1cm×2cmのガラスからなる電極基板上に、ス
ピンコート法により、上記のコロイド溶液を厚さ約0.
1μm塗布し、これを150℃で10分間熱処理した。
この操作を3回繰り返して行うことにより、(Ru
2 2/3 (TiO2 1/3 から構成される厚さ約0.
3μmの電極膜を電極基板上に作製し、これを600℃
の空気雰囲気中で120分間乾燥した。
【0032】続いて、上記の電極膜に、表1に示す条件
でイオンを注入した。その後、電極膜の面積1×1cm
2 の領域を残して、これ以外の領域の電極膜および電極
基板をエポキシ樹脂により被覆した。このようにして、
(RuO2 2/3 (TiO21/3 からなる電極膜を電
極基板上に積層してなる酸化電極の各試料1〜6を作製
した。
【0033】
【表1】
【0034】次に、各試料1〜6を用いた酸素発生反応
における電流−電位特性を、三極一室セルを用いたフロ
ーティング電極法により測定した。なお、比較のために
イオン注入を行わない点を除いて試料1〜6と同様の構
造を有する電極の試料を作製し、これを試料7とした。
測定条件は以下の表2に示す通りとし、常時、攪拌を行
った状態で測定した。
【0035】
【表2】
【0036】なお、この場合における酸素発生の平衡電
極電位は+0.27Vと推定される。
【0037】図1は試料1〜3および7の電流−電位特
性の測定結果を示す図である。図1においては、イオン
の注入エネルギーおよび注入量の異なる試料1〜3につ
いて比較を行った。
【0038】図1に示すように、Coイオンを注入した
試料1〜3では、Coイオンを注入していない試料7に
比べて、電流がより負の電位から流れ始めた。このこと
から、Coイオンの注入により、試料1〜3が高活性と
なり、電圧降下が抑制されることが示された。
【0039】また、5keVのエネルギーで2×1015
cm-2のイオンが注入された試料1は、10keVのエ
ネルギーで5×1015cm-2のイオンが注入された試料
2および100keVのエネルギーで2×1016cm-2
のイオンが注入された試料3に比べて、電流がより負の
電位から流れ始めた。このように、試料1〜3において
は、イオンの注入エネルギーおよび注入量の最も小さい
試料1の活性が最も高く、続いて試料2および試料3の
順であった。
【0040】以上のことから、電極の活性はイオンの注
入エネルギーおよび注入量に依存しており、イオンの注
入エネルギーおよび注入量が小さいほど活性が高いこと
が示された。
【0041】図2は試料2、4、5および7の電流−電
位特性の測定結果を示す図である。図2においては、イ
オンの注入エネルギーが10keVで等しく注入量が異
なる試料2、4、および5について比較を行った。
【0042】図2に示すように、Coイオンの注入量が
2×1015cm-2と最も小さい試料4は、イオンの注入
量が5×1015cm-2および2×1016cm-2である試
料2および試料5に比べて電流がより負の電位から流れ
始めた。このように、試料2、4および5においては、
イオンの注入量の最も小さい試料4の活性が最も高く、
続いて試料2および5の順であった。
【0043】以上のことから、イオンの注入エネルギー
を一定とした場合においては、電極の活性はイオンの注
入量に依存しかつイオンの注入量が小さいほど活性が高
いことが示された。
【0044】図3は、試料2、6および7の電流−電位
特性の測定結果を示す図である。図3においては、とも
にイオンの注入エネルギーが10keVでありイオンの
注入量が5×1015cm-2であるが種類の異なるイオ
ン、すなわちCoイオンおよびZnイオンをそれぞれ注
入した試料2および6について比較を行った。
【0045】図3に示すように、Coイオンを注入した
試料2とZnイオンを注入した試料6とでは差がほとん
ど見られなかった。なお、Coイオンの質量数とZnイ
オンの質量数とはほぼ等しいが、Coイオンは触媒活性
を有するのに対し、Znイオンは触媒活性を有さない。
このように触媒活性を有さないZnイオンを注入した試
料6においても、触媒活性を有するCoイオンを注入し
た試料2と同様に活性が向上したことから、活性の向上
は注入したイオンの触媒活性等の化学的な性質によるも
のではないことが示された。
【0046】さらに、試料2、3および7について、溶
液として0.5MのNa2 SO4 水溶液(pH5.9)
を用いた場合の酸素発生反応における電流−電位特性を
測定した。なお、この場合の電流−電位特性の測定方法
および測定条件は、溶液として1MのNaOH水溶液
(pH13.9)を用いた場合と同様とした。
【0047】図4はNa2 SO4 水溶液を溶液として用
いた場合の試料2、3および7の電流−電位特性の測定
結果を示す図である。この場合における酸素発生の平衡
電極電位は+0.74Vと推定される。
【0048】図4に示すように、NaSO4 溶液(pH
5.09)においても、図1に示すNaOH溶液(pH
13.9)の場合と同様、Coイオンを注入した試料2
および試料3は、イオンを注入しない試料7に比べて活
性が高くなることが示された。また、試料2と試料3を
比較すると、イオンの注入エネルギーが5keVの試料
2の方が、注入エネルギーが10keVの試料3に比べ
て活性が高くなることが示された。
【0049】以上のことから、溶液として中性溶液およ
びアルカリ溶液のいずれを用いた場合においても、イオ
ンを注入することにより試料2および試料3の活性が向
上するとともに、注入エネルギーの小さな試料2ほど活
性が向上することが示唆された。
【0050】各試料1〜6の電極膜を走査型電子顕微鏡
(SEM)により観察した結果、各試料1〜6の電極膜
は、平均粒子径が数10nmの微粒子により構成されて
いることが確認された。このことから、(RuO2
2/3 (TiO2 1/3 からなる試料1〜6の電極膜は、
ルチル型結晶構造を有するRuO2 (格子定数a=0.
401nm)およびTiO2 (格子定数a=0.423
8nm)の固溶体であると考えられる。
【0051】さらに、試料1〜3の表面から深さ方向に
おけるCoイオンの密度分布および表面の損傷密度(イ
オンの注入により変位した原子の密度)を計算により求
めた。その結果を図5および図6に示す。
【0052】図5に示すように、100keVで2×1
16cm-2のCoイオンが注入された試料3は、5ke
Vで2×1015cm-2のイオンが注入された試料1およ
び10keVで5×1015cm-2のイオンが注入された
試料2に比べて表面から離れた深い部分にもイオンが注
入される。
【0053】また、図6に示すように、各試料1〜3の
表面の損傷密度は試料3において最も大きく、続いて試
料2および試料1の順となった。特に、試料3において
は、表面から離れた深い部分においても損傷密度が大き
いことが示された。
【0054】さらに、試料1〜3について、TRIM9
6により損傷密度の計算を行った結果、試料1〜3の表
面が非晶質化していることが示された。また、試料3に
おいてはスパッタ量が大きく表面が粗くなるのに対し、
試料1および試料2においてはスパッタ量が小さく表面
の形状がほとんど変化していないことが分かった。前述
の図1および図4に示すように、表面が粗くなっていな
い試料1および試料2において、表面が粗くなった試料
3よりも高い活性が得られたことから、表面が粗くなっ
た試料が活性化するのではないことが示された。したが
って、イオンの注入エネルギーは、試料の表面が粗くな
ることなく非晶質化する程度とすることが好ましいこと
が示唆された。
【0055】一方、図5および図6に示す試料1〜3の
場合と同様の計算方法により、試料6の表面から深さ方
向におけるZnイオンの密度分布および表面の損傷密度
を求めた。その結果、図7および図8に示す。
【0056】図7および図8に示すように、10keV
で5×1015cm-2のZnイオンを注入した試料6で
は、図5および図6に示す10keVのエネルギーで5
×10 15cm-2のCoイオンを注入した試料2と同様の
イオンの密度分布および表面の損傷密度であった。前述
した図3に示すように、このような試料6および試料2
においては同様の高い活性が示されることから、注入さ
れたイオンによる物理的な構造変化により電極の活性が
向上することがさらに示唆された。
【0057】[実施例2]実施例2においては、本発明
に係る燃料電池の酸化電極として、Tiからなる電極基
板上にRuイオンを注入したRuO2 からなる電極膜を
積層してなる試料10〜12を作製した。なお、試料1
0〜12は以下の点を除いて実施例1の試料1〜6と同
様の作製方法により作製した。
【0058】4gのRuCl3 ・nH2 Oを溶解させた
10mlのエタノール溶液に、0.1MのHNO3 水溶
液を10ml加えて混合した。このようにして、RuO
2 のコロイド溶液を調整した。これを用いて、実施例1
と同様にスピンコート法により繰り返し塗布した後に加
熱し、Tiからなる電極基板上にRuO2 からなる厚さ
約0.3μmの電極膜を形成した。さらに、電極膜に表
3に示す条件でRuイオンを注入した。
【0059】
【表3】
【0060】以上のようにして作製した試料10〜12
を用いた酸素発生反応において、実施例1と同様の測定
方法および測定条件により電流−電位特性を測定した。
なお、比較のために、イオン注入を行わない点を除いて
試料10〜12と同様の構造を有する試料を作製し、こ
れを試料13とした。なお、この場合における酸素発生
の平衡電極電位は+0.27Vと推定される。
【0061】図9は試料10〜13の電流−電位特性の
測定結果を示す図である。図9に示すように、Ruイオ
ンを注入した試料10〜12は、Ruイオンを注入して
いない試料13に比べて、電流がより負の電位から流れ
始めた。このことから、RuO2 からなる電極膜にRu
イオンを注入した試料10〜12においても活性が向上
し、電圧降下が抑制されることが示された。
【0062】試料10〜12において、電流−電位特性
はほぼ同じになり、注入量の違いは見られなかった。C
oイオンの注入では注入量が多すぎると、活性が低下し
たが、Ruイオンの注入では注入量の増加による活性の
低下は見られなかった。これは、CoOx がRuOx
比べて触媒活性が低いことが原因と考えられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】試料を1〜3および7の電流−電位特性の測定
結果を示す図である。
【図2】試料2、4、5および7の電流−電位特性の測
定結果を示す図である。
【図3】試料2、6および7の電流−電位特性の測定結
果を示す図である。
【図4】0.5MのNa2 SO4 水溶液を用いた場合の
試料2、3および7の電流−電位特性の測定結果を示す
図である。
【図5】試料1〜3の表面から深さ方向におけるCoイ
オンの密度分布を示す図である。
【図6】試料1〜3の表面から深さ方向における損傷密
度を示す図である。
【図7】試料6の表面から深さ方向におけるZnイオン
の密度分布を示す図である。
【図8】試料6の表面から深さ方向における損傷密度を
示す図である。
【図9】試料10〜13の電流−電位特性の測定結果を
示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 岩本 信也 大阪府枚方市津田山手2−8−1 株式会 社イオン工学研究所内 (72)発明者 中戸 義禮 大阪府豊中市待兼山町1−3 大阪大学内 Fターム(参考) 5H018 AA03 AS01 BB00 DD08 EE02 EE03 5H026 AA03 BB00 CX04 EE02

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 酸化電極と還元電極とを有し、少なくと
    も一方の電極の電極材料に所定の元素のイオンが注入さ
    れたことを特徴とする燃料電池。
  2. 【請求項2】 前記所定の元素のイオンが、電極構成元
    素のイオンであることを特徴とする請求項1記載の燃料
    電池。
  3. 【請求項3】 前記酸化電極の電極材料は、ルテニウ
    ム、チタン、コバルト、マンガンおよびニッケルのうち
    少なくとも1つを含む金属酸化物、または白金、パラジ
    ウム、イリジウム、ロジウムもしくはニッケルであるこ
    とを特徴とする請求項1または2記載の燃料電池。
  4. 【請求項4】 前記還元電極の電極材料が、白金、イリ
    ジウム、ロジウムまたはニッケルであることを特徴とす
    る請求項1〜3のいずれかに記載の燃料電池。
  5. 【請求項5】 燃料電池の電極の製造方法であって、 前記電極の電極材料に所定の元素のイオンを注入するこ
    とを特徴とする燃料電池の電極の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記所定の元素のイオンが、電極構成元
    素のイオンであることを特徴とする請求項5記載の燃料
    電池の電極の製造方法。
  7. 【請求項7】 前記電極は酸化電極であり、前記酸化電
    極の電極材料が、ルテニウム、チタン、コバルト、マン
    ガンおよびニッケルのうち少なくとも1つを含む金属酸
    化物、または白金、パラジウム、イリジウム、ロジウム
    もしくはニッケルであることを特徴とする請求項5また
    は6記載の燃料電池の電極の製造方法。
  8. 【請求項8】 前記電極は還元電極であり、前記還元電
    極の電極材料が、白金、イリジウム、ロジウムまたはニ
    ッケルであることを特徴とする請求項5または6記載の
    燃料電池の電極の製造方法。
  9. 【請求項9】 前記電極の表面が非晶質状態になるよう
    に前記所定の元素のイオンの注入エネルギーおよび注入
    量を設定することを特徴とする請求項5〜8のいずれか
    に記載の燃料電池の電極の製造方法。
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