JP5792567B2 - 酸素還元能を有する電極触媒 - Google Patents

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Description

本発明は、酸素還元能を有する電極触媒に関し、さらに詳しくは、固体高分子形燃料電池用電極の触媒として好ましく用いられ、触媒活性及び耐久性をより向上させることができる酸素還元能を有する電極触媒に関する。
固体高分子形燃料電池(PEFC)は、小型軽量で高出力を発揮できるため、主に燃料電池自動車や家庭用のコージェネレーション電源として注目を集めている。こうした固体高分子形燃料電池は、水素と酸素の化学反応を利用した地球に優しい新エネルギー源として期待されている。その基本構造は、負極(燃料極)、電解質(固体高分子膜)及び正極(空気極)を貼り合わせて一体化した膜/電極接合体(Membrane Electrode Assembly:MEAともいう。)を、反応ガスの供給流路が形成されたバイポーラプレート(bipolar plate。「導電板」ともいう。)で挟んで1つの基本単位(「単セル(single cell)」ともいう。)が構成されている。そして、その単セルを積層して直列接続したセルスタック(fuel cell stack)構造にして高電圧を得ている。
負極では、水素やメタノール等の燃料が供給され、水素イオンと電子に分解し、生成した水素イオンは固体電解質膜内を移動し、電子は導線内を通って正極へと移動する。この負極では、一般にカーボンブラック担体上に白金触媒を担持したものや、カーボンブラック担体上にルテニウム−白金合金触媒を担持したものが用いられている。また、固体高分子膜は、負極で生成した水素イオンを正極に移動するように作用し、ナフィオン(Nafion、デュポン社の登録商標)等が用いられている。そして、水素イオンは水和され、固体電解質膜中の水分が負極から正極に移動することになる。また、正極では、固体電解質膜内を移動した水素イオンと、導線内を移動した電子とが空気中の酸素に反応して水を生成する。
こうした構成の固体高分子形燃料電池では、理論上は高い電圧が得られるが、電極反応の損失等で実際の電圧が低くなってしまうという問題がある。また、燃料効率、触媒の耐性を含む電極寿命、触媒として使用する白金コストと入手性等の問題がある。
こうした中、本発明者は、固体高分子形燃料電池用電極の触媒(以下「電極触媒」ともいう。)として、カーボンブラック担体上に白金触媒を担持した電極触媒に、酸化ルテニウムナノシート(「ルテニウム酸ナノシート」ともいう。)を添加した複合電極触媒を用い、電極を作製した(特許文献1)。また、本発明者は、その酸化ルテニウムナノシート及びその製造方法についても検討している(特許文献2)。
特開2004−315347号公報(実施例8) 特開2010−280977号公報
上記した固体高分子形燃料電池では、電極触媒に高価な白金を用いることによるコスト削減に対する障害や、電極触媒自体の耐性が十分ではないという問題がある。しかし、電極触媒を構成する白金の実質的な使用量を低減できない場合であっても、できるだけ触媒活性を向上させたり、耐性を向上させたりすることができれば、相対的に白金の使用量を低減させることができることになる。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、固体高分子形燃料電池用電極の触媒として好ましく用いられ、触媒活性及び耐久性をより向上させることができる酸素還元能を有する電極触媒を提供することにある。
本発明者は、固体高分子形燃料電池用電極に用いる電極触媒について検討している過程で、触媒活性及び耐久性をより向上させることができる電極触媒の寸法依存性を見出した。そして、そうした電極触媒は固体高分子形燃料電池用の電極触媒として効果があるとともに、酸素還元能を有する電極触媒として広く応用可能であることを見出し、本発明を完成させた。
上記課題を解決するための本発明の第1の観点に係る酸素還元能を有する電極触媒は、白金系電極触媒とともに用いられる酸化ルテニウムナノシートかならなる電極触媒であって、前記酸化ルテニウムナノシートが、鱗片形状からなり、最大長さと該最大長さの中点で直交する長さとの平均を該酸化ルテニウムナノシートの寸法としたとき、該寸法が50nm以上350nm以下のものが全体の65%以上であり、且つモード径が100nm以上250nm以下であることを特徴とする。
この発明によれば、上記寸法の酸化ルテニウムナノシートからなる電極触媒を白金系触媒の電極触媒とともに用いて複合電極触媒とすれば、その複合電極触媒からなる電極触媒、好ましくは固体高分子形燃料電池用電極触媒の耐性をより向上させることができる。その結果、この酸化ルテニウムナノシートを用いれば、相対的に白金の使用量を低減させることができる。
上記課題を解決するための本発明の第2の観点に係る酸素還元能を有する電極触媒は、白金系電極触媒と、酸化ルテニウムナノシート触媒とを有する複合電極触媒であって、前記酸化ルテニウムナノシートが、鱗片形状からなり、最大長さと該最大長さの中点で直交する長さとの平均を該酸化ルテニウムナノシートの寸法としたとき、該寸法が50nm以上350nm以下のものが全体の65%以上であり、且つモード径が100nm以上250nm以下であることを特徴とする。
この発明によれば、白金系電極触媒と上記寸法の酸化ルテニウムナノシートとを有する複合電極触媒であるので、酸素還元能を有する電極触媒、好ましくは固体高分子形燃料電池用の電極触媒の耐性をより向上させることができる。
本発明に係る酸素還元能を有する電極触媒において、前記白金系触媒が、カーボンブラック担体上に白金触媒を担持した電極触媒であることが好ましい。
本発明に係る酸素還元能を有する電極触媒は、固体高分子形燃料電池用の負極に用いられることが好ましい。
本発明に係る酸素還元能を有する電極触媒によれば、その酸化ルテニウムナノシートを白金系電極触媒とともに用いることにより、酸素還元能を有する電極触媒、好ましくは固体高分子形燃料電池用電極触媒の耐性をより向上させることができる。その結果、この酸化ルテニウムナノシートを用いれば、相対的に白金の使用量を低減させることができる。
本発明に係る電極触媒である酸化ルテニウムナノシートのAFM像である。 本発明に係る複合電極触媒とPt/C単独触媒の場合の、3100rpm、2200rpm、1600rpm、1200rpm、800rpm及び400rpmにおける0.8V(vsRHE)の電流密度の逆数を、ω−1/2に対してプロットしたグラフである。
以下、本発明に係る酸素還元能を有する電極触媒について詳しく説明するが、本発明は、その技術的範囲に含まれる範囲において下記の説明に限定されない。
本発明に係る酸素還元能を有する電極触媒は、固体高分子形燃料電池用の電極触媒として好ましく用いられるものであって、(1)酸化ルテニウムナノシートからなる電極触媒、及び、(2)酸化ルテニウムナノシートからなる電極触媒と白金系電極触媒とからなる複合電極触媒、を包含するものである。前者の酸化ルテニウムナノシートからなる電極触媒は、白金系電極触媒の添加触媒として作用する。
酸化ルテニウムナノシートは、厚さが理論的には約0.25nm〜0.40nmであり、測定ではnmオーダー〜サブnmオーダーの鱗片形状の化合物であり、縦と横がそれぞれ数百nm〜μmオーダーのサイズのシート状の結晶性ルテニウム酸化合物である。この酸化ルテニウムナノシートは、電気泳動法等で容易に積層させることができる。本発明では、酸素還元能を有する電極触媒、具体的には固体高分子形燃料電池の負極触媒として利用しているが、正極触媒としても利用でき、さらには擬似二重層キャパシタとしても利用できる。
酸化ルテニウムナノシートは、後述の実施例で説明するように、酸化ルテニウムナノシートが積層して形成された層状ルテニウム酸化合物、例えば層状酸化ルテニウム(水素型:H0.2RuO2.1)の層間にアルキルアンモニウムイオンを含むアルキルアンモニウム−層状ルテニウム酸層間化合物を提供することにより、剥離して得ることができる。
この酸化ルテニウムナノシートは、最大長さと該最大長さの中点で直交する長さとの平均を該酸化ルテニウムナノシートの寸法としたとき、その寸法が50nm以上350nm以下のものが全体の65%以上であり、且つモード径が100nm以上250nm以下であることに特徴がある(以下、この寸法範囲を「寸法C」ともいう。)。なお、「モード径」とは、出現比率がもっとも大きい粒子径チャンネル、すなわち粒子分布の極大値のことである。
上記範囲内の寸法を持つ酸化ルテニウムナノシートを電極触媒とし、白金系触媒の電極触媒とともに用いて複合電極触媒とすれば、その複合電極触媒からなる酸素還元能を有する電極触媒、具体的には固体高分子形燃料電池用電極触媒の耐性をより向上させることができる。その結果、この酸化ルテニウムナノシートを用いれば、相対的に白金の使用量を低減させることができる。
一方、酸化ルテニウムナノシートの寸法が上記範囲外の場合には、その範囲内のものと比較して、酸素還元能を有する電極触媒、具体的には固体高分子形燃料電池用の電極触媒の耐性が低下する。具体的には、後述の実験例で詳しく説明するが、寸法が100nm以上450nm以下の酸化ルテニウムナノシートが全体の65%以上であり且つモード径が150nm以上350nm以下である場合(以下、この寸法範囲を「寸法B」ともいう。)や、寸法が150nm以550nm以下の酸化ルテニウムナノシートが全体の70%以上であり且つモード径が200nm以上450nm以下である場合(以下、この寸法範囲を「寸法A」ともいう。)は、上記本発明の範囲のものと比べて、固体高分子形燃料電池用の電極触媒の耐性が低下する。
こうした寸法の酸化ルテニウムナノシートは、酸素還元能を有する電極触媒であれば例えば固体高分子形燃料電池用の電極触媒等に利用できるが、通常は、白金系電極触媒、具体的にはカーボンブラック担体上に白金触媒を担持した電極触媒への添加触媒として好ましく用いられる。
以下、実験例により本発明を具体的に説明する。
[酸化ルテニウムナノシートの作製]
最初に、酸化ルテニウムナノシートを得るための層状酸化ルテニウムを作製した。層状酸化ルテニウムは、酸化ルテニウムとアルカリ金属(ナトリウム、カリウム等)との複合酸化物であり、中でもK0.2RuO2.1・nH2O、及びNa0.2RuO2・nH2Oは、イオン交換能を利用することで層一枚単位にまで層剥離することが可能であるので、これにより酸化ルテニウムナノシートを得ることができる。
具体的には、先ず、酸化ルテニウム(RuO2)と炭酸カリウム(K2CO3)とをモル比8:5の割合となるように量り取り、メノウ乳鉢を用いてアセトン中で1時間湿式混合した。その後、錠剤成形器を用いて混合粉末をペレット化した。このペレットをアルミナボートにのせ、管状炉にてアルゴン流通下で850℃、12時間焼成した。焼成後、ペレットを粉砕し、イオン交換蒸留水で洗浄し、上澄み液を取り除いた。この操作を上澄み液が中性になるまで繰り返したものを層状酸化ルテニウム(カリウム型)とした。
次に、層状酸化ルテニウム(カリウム型)に1MのHClを加え、60℃のウォーターバス内で72時間酸処理をして、層状酸化ルテニウム(カリウム型)に含まれるKイオンを水素イオン(プロトン)に置換した。その後、イオン交換蒸留水で洗浄し上澄み液を取り除いた。この操作を上澄み液が中性になるまで繰り返し、ろ過後に、層状酸化ルテニウム(水素型:H0.2RuO2.1)の粉末を得た。
得られた層状酸化ルテニウム(水素型:H0.2RuO2.1)に、酸化ルテニウムナノシートを得る剥離剤としての10%TBAOH水溶液を加えた。層状酸化ルテニウム(水素型:H0.2RuO2.1)の濃度を、TBAOHとプロトンとの割合で、TBA/H=1.5、5、10に変えてそれぞれ用いた。それぞれについて、層状酸化ルテニウム(水素型:H0.2RuO2.1)を蒸留水に加え、大きいサイズ(寸法A)のナノシートを得るために5日間振とうさせ、普通サイズ(寸法B)のナノシートを得るために10日間振とうさせ、小さいサイズ(寸法C)のナノシートを得るために10日間振とうさせた後さらに3時間超音波処理を行った。この方法で単層剥離させた酸化ルテニウムナノシートを2000rpmで30分間遠心分離した後、上澄み液を回収して、超純水にて濃度を0.02g/Lまで希釈した酸化ルテニウムナノシート水分散液を得た。
[作製された酸化ルテニウムナノシートの寸法]
図1は、この方法で単層剥離させた酸化ルテニウムナノシートのAFM像である。このAFM像は、先ず、シリコンウエハを1質量%ポリビニルアルコール−ポリジアリルアミン共重合ポリマー水溶液中に10分間浸漬した後、水で数回洗浄し、乾燥した。次に、0.08mg/mLのナノシート水分散液に2分浸漬後、水で数回洗浄し、乾燥した。この過程をそれぞれの酸化ルテニウムナノシートについて同じように行った。酸化ルテニウムナノシートの寸法A〜Cは、このAFM層の観察画像から測定した。具体的には、鱗片形状の酸化ルテニウムナノシートについて、最大長さとその最大長さの中点で直交する長さとを測定し、それらの平均を出して「寸法」とした。これを70〜80箇所繰り返した。
その結果、大きいサイズ(寸法A)のナノシートを得るために5日間振とうさせた場合の酸化ルテニウムナノシートの寸法は、150nm以550nm以下の酸化ルテニウムナノシートが全体の70%以上であり且つモード径が200nm以上450nm以下であった。また、普通サイズ(寸法B)のナノシートを得るために10日間振とうさせた場合の酸化ルテニウムナノシートの寸法は、100nm以上450nm以下の酸化ルテニウムナノシートが全体の65%以上であり且つモード径が150nm以上350nm以下であった。また、小さいサイズ(寸法C)のナノシートを得るために10日間振とうさせた後さらに3時間超音波処理を行った場合の酸化ルテニウムナノシートの寸法は、50nm以上350nm以下のものが全体の65%以上であり、且つモード径が100nm以上250nm以下であった。
こうした寸法の酸化ルテニウムナノシートが分散した3種の酸化ルテニウムナノシート水分散液として、下記の実験に用いた。
[実験1/複合電極触媒の調製]
酸化ルテニウムナノシートをPt/C(カーボンブラック担体上に白金触媒を担持した電極触媒)と組み合わせるために、先ず、約10mg/mLのPt/Cを超純水中に加え、攪拌及び超音波処理を行って分散させた。この溶液に、適量の酸化ルテニウム水分散液を、攪拌しながらゆっくり滴下した。酸化ルテニウムナノシート水分散液の濃度は任意に調整できるが、ここでは10mg/mLとした。こうした濃度の酸化ルテニウムナノシート水分散液を滴下して、複合電極触媒のモル比が、酸化ルテニウム:Pt=0.3:1となるように調整した。
さらに、均一な反応を確保するために、撹拌、超音波処理及び超純水洗浄を行い、過剰なTBAOHを除去した後、懸濁液を120℃で一晩乾燥させて電極触媒紛体を得た。酸化ルテニウムナノシートとPt/Cとの均一化は、懸濁液を攪拌した後、数時間静置して沈殿させ、液の色が黒から透明になることによって判断した。この段階では、酸化ルテニウムナノシートもPt/Cも安定していることを確認した。得られた複合電極触媒は、窒素雰囲気下で保存した。
このように、TBA/H比が1.5、5、10の3種で、TBA/H=1.5の場合はナノシートサイズ大(寸法A)、普通(寸法B)及び小(寸法C)の3つ、TBA/H=5の場合もナノシートサイズ大(寸法A)、普通(寸法B)及び小(C)の3つ、TBA/H=10の場合はナノシートサイズ普通(B)及び小(寸法C)の2つの、合計8つの異なる酸化ルテニウムナノシート水分散液を用いて、Pt/C触媒と混合させて複合電極触媒を得た。
[実験2/触媒インク及び電極の準備]
イソプロピルアルコール/超純水溶液(75/25体積割合)25mLに、18.5mgの複合電極触媒を混合して、触媒インクを準備した。電極に対して良好な密着性を確保するために、プロトン伝導性バインダーとして、5質量%のナフィオン(Nafion、デュポン社の登録商標)溶液100μLを加えた。この触媒インクを30分間超音波処理して分散させた。
予め0.05μmのアルミナ粉末を用いてバフ研磨した直径6mmのグラッシーカーボンを、真空中で60℃で乾燥させた。こうしたグラッシーカーボンに触媒インクを塗布して固体高分子形燃料電池用の電極を作製した。なお、触媒インクの塗布は、電極上に設けられた複合電極触媒に含まれる酸化ルテニウムナノシートの含有量に関わらず、白金含有量が17.3μgとなるように塗布した。
[実験3/電気化学的測定]
回転ディスク電極(RDE)測定は、標準的な3電極電気化学セルで行った。カウンター電極として、炭素繊維(TohoTenax社製、HTA−3K、フィラメント番号:3000)を用い、参照電極として可逆水素電極(RHE)を用いた。RDE測定は、0.5Mの硫酸電解液中で行った。電極表面は、予め掃引速度50mV/秒、0.05V〜1.2V(vsRHE)、窒素バブリング下、25℃で、30サイクルした後に試料に供した。この前処理を行った後、脱気した0.5M硫酸電解液での直線走査ボルタンメトリーを、10mV/秒、1.2V〜0.05V(vsRHE、負方向掃)で、回転速度(ω)3100、2200、1600、1200、800及び400rpmで行い、耐性テスト前のLSV曲線を得た。
その後、50mV/秒、0.05V〜0.9V(vsRHE)間で3サイクル繰り返し掃引した。3回目のサイクルは、電気化学活性比表面積(ECSA)評価のために使用した。ECSAは、水素吸着波の吸着電気量から算出した。酸化還元反応(ORR)は、酸素飽和0.5M硫酸での10mV/秒、1.2V〜0.05V(vsRHE)、各回転速度でのLSV(2サイクル)で特定した。脱気電解液で得られたLSVデータを、酸素飽和0.5M硫酸で得られたデータから差し引いた。
電極触媒の耐性は、100mV/秒、酸素飽和0.5M硫酸、1600rpmでの1.2〜0.6V(vsRHE)の300CVサイクルを実行することにより評価した。なお、バックグラウンドとしてのLSVを再び窒素下で測定し、酸素下で同じパラメータで測定したLSVによってORRを評価した。
[実験結果]
(ORR活性に対する酸化ルテニウムナノシートのサイズの影響)
Koutecky-Levitchプロットを式(1)によって得た。式(1)中、nは酸素分子の電子数を表し、Fはファラデー定数を表し、Cはバルク酸素濃度を表し、Dは酸素の拡散係数を表し、vは電解質の粘性を表し、ωは電極の回転速度を表す。
図2は、Pt/C系電極触媒の場合の、3100rpm、2200rpm、1600rpm、1200rpm、800rpm及び400rpmにおける0.8V(vsRHE)の電流密度の逆数を、ω−1/2に対してプロットしたグラフである。ここでの結果は、図2中に黒塗り記号(●、◆、■、▲)で示した。また、図2の活性化支配電流密度jkは、式(1)によるKoutecky-Levichプロットから求めた。
表1は、酸化ルテニウムナノシートの寸法とTBA/H比とで影響される初期活性値を示したものである。Pt/Cのみの電極触媒の初期質量活性は225AgPt −1であった。TBA/H比が1.5の場合の初期質量活性は、大(寸法A)、普通(寸法B)及び小(寸法C)のそれぞれについて、241AgPt −1、391AgPt −1及び407AgPt −1に増加した。普通サイズ(寸法B)の酸化ルテニウムナノシートの初期質量活性は、TBA/H比が10、5及び1.5のそれぞれについて、215AgPt −1、327A−1及び391AgPt −1に増加した。TBA/H比が1.5で、小サイズ(寸法C)の酸化ルテニウムナノシート−Pt/Cが、最も高い質量活性を示し、酸化ルテニウムナノシートを有しない電極触媒よりも80%高い407AgPt −1を示した。TBAの含有量が少なく、酸化ルテニウムナノシートの寸法が小さいほど質量活性が増加する傾向にあった。
(触媒耐性に対する酸化ルテニウムナノシートサイズの影響)
上記した「ORR活性に対する酸化ルテニウムナノシートのサイズの影響」の検討と同様にして評価した。1600rpmでの耐性テスト(60℃、酸素下で300サイクル、0.6〜1.2V vsRHE)後のKoutecky-Levichプロットは、図2中に示した。ここでの結果は、図2中に白抜き記号(○、◇、□、△)で示した。
表2は、酸化ルテニウムナノシートの寸法とTBA/H比とで影響される耐性試験後の活性値を示したものである。耐性試験後、TBA/H+比が1.5で、寸法Cの酸化ルテニウムナノシートを用いた複合電極触媒が最も高い質量活性を示し、酸化ルテニウムナノシートを有さない電極触媒よりも130%高い数値である234AgPt −1を示した。活性の保持は、耐久後の質量活性を初期質量活性で割って算出した。
以上の実験結果より、Pt/C触媒への酸化ルテニウムナノシートの添加は、初期質量活性と触媒の耐性の両方を向上させた。酸化ルテニウムナノシートは、触媒の全体的な電気抵抗を減少させるとともに、プロトン伝導性を向上する効果を奏し、その結果、好ましい結果が得られたより小さい寸法Cの酸化ルテニウムナノシートは、シート自体の重なり合いが減ること、及びその初期活性による三相界面の改善によって、より均一な複合電極触媒をえることができたと考えられた。TBA/H+比が1.5で、酸化ルテニウムナノシートの寸法C(小さい)場合のPt/C複合電極触媒は、Pt/C単独触媒よりも130%高い活性を示し、長期耐性に明確な差が認められた。なお、現時点での考察では、酸化ルテニウムナノシートを添加した複合電極触媒の耐性が向上する理由としては、負に帯電した酸化ルテニウムが、陽イオンのPt種の拡散を防ぐためであると考えられる。酸化ルテニウムは、Ptの溶解種として考えられているPtn+の捕獲サイトとして作用し得る。また、カーボンが腐食されると、酸化ルテニウムは、良い電子伝導体であり、Ptが沈殿物であるとしても、ORRに活性とすることができるので、Pt粒子の二次サポートとして機能することができると考えられる。

Claims (4)

  1. 白金又は白金合金を含む白金系電極触媒とともに用いられる酸化ルテニウムナノシートかならなる電極触媒であって、
    前記酸化ルテニウムナノシートが、鱗片形状からなり、最大長さと該最大長さの中点で直交する長さとの平均を該酸化ルテニウムナノシートの寸法としたとき、該寸法が50nm以上350nm以下のものが全体の65%以上であり、且つモード径が100nm以上250nm以下であることを特徴とする酸素還元能を有する電極触媒。
  2. 白金又は白金合金を含む白金系電極触媒と、酸化ルテニウムナノシート触媒とを有する複合電極触媒であって、
    前記酸化ルテニウムナノシートが、鱗片形状からなり、最大長さと該最大長さの中点で直交する長さとの平均を該酸化ルテニウムナノシートの寸法としたとき、該寸法が50nm以上350nm以下のものが全体の65%以上であり、且つモード径が100nm以上250nm以下であることを特徴とする酸素還元能を有する電極触媒。
  3. 前記白金系電極触媒が、カーボンブラック担体上に白金触媒を担持した電極触媒である、請求項2に記載の酸素還元能を有する電極触媒。
  4. 固体高分子形燃料電池用の負極に用いられる、請求項1〜3のいずれか1項に記載の酸素還元能を有する電極触媒。
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