JPH05175032A - Ni−Cu−Zn系フェライト焼結体、それを用いた積層インダクタ、複合積層部品および磁心 - Google Patents
Ni−Cu−Zn系フェライト焼結体、それを用いた積層インダクタ、複合積層部品および磁心Info
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Abstract
体は、焼結が、空気より酸素濃度の低い雰囲気中で行わ
れたことを特徴とするものである。 【効果】 Ni−Cu−Zn系フェライト、特にNiO
量が多く、ZnO量の少ない高周波領域(30〜70MH
z )用の組成においては、低酸素濃度雰囲気で焼成する
と、フェライト焼結体の密度、比抵抗が向上し、Q特性
が高くなる。これは、フェライト焼結体の比抵抗が向上
することにより、フェライトの磁気損失中の渦電流損失
が小さくなるためと考えられる。
Description
ェライト焼結体、それを用いた積層インダクタ、複合積
層部品および磁心に関する。
は、積層インダクタ、複合積層部品、および磁心等に使
用される。
内部導体とから構成されるものである。また、複合積層
部品は、セラミック誘電体層と内部電極層とを積層して
構成されるコンデンサチップ体すなわち積層コンデンサ
と、セラミック磁性層と内部導体とを積層して構成され
るインダクタチップ体すなわち上記積層インダクタとを
一体的に形成したものである。
牢性および信頼性が高いことなどから、各種電子機器に
多用されている。
通常、内部導体用ペースト、磁性層用ペースト、誘電体
層用ペーストおよび内部電極層用ペーストを厚膜技術に
よって積層一体化した後、焼成し、得られた焼結体表面
に外部電極用ペーストを印刷ないし転写した後、焼成す
ることにより製造される。この場合、磁性層に用いられ
る磁性材料としては、低温焼成が可能であることからN
i−Cu−Znフェライトが一般に用いられている。
−Zn系フェライト焼結体を用いた電子部品の磁気特性
の向上を図ることを目的とするものである。
(1)〜(7)の本発明によって達成される。 (1) 焼結が、空気より酸素濃度の低い雰囲気中で行
われたことを特徴とするNi−Cu−Zn系フェライト
焼結体。
の雰囲気中で、焼結が行われた上記(1)のNi−Cu
−Zn系フェライト焼結体。
フェライト焼結体の原料が、46〜49mol%のFe
2 O3 、37〜48mol%のNiO、6〜10mol
%のCuO、4mol%以下のZnO、および1000
〜3000ppmのCoOからなる組成である上記
(1)または(2)のNi−Cu−Zn系フェライト焼
結体。
Oを1000ppm以下、P2 O5 を100ppm以下
含んでいる上記(3)のNi−Cu−Zn系フェライト
焼結体。
のNi−Cu−Zn系フェライト焼結体で形成された磁
性層を備えている積層インダクタ。
よび積層コンデンサを備えている複合積層部品。
上記(1)のNi−Cu−Zn系フェライト焼結体で形
成された磁心。
は、焼結の際、大気より酸素濃度が低い雰囲気中で熱処
理される。
O量が多く、ZnO量の少ない高周波領域(30〜70
MHz)用の組成においては、低酸素濃度雰囲気で焼成
すると、フェライト焼結体の密度、比抵抗が向上し、Q
特性が高くなる。これは、フェライト焼結体の比抵抗が
向上することにより、フェライトの磁気損失中の渦電流
損失が小さくなるためと考えられる。
ライトを用いて、積層インダクタ、複合積層部品、磁心
を形成した場合、高Qの電子部品を作成することができ
る。
に説明する。 <フェライトの組成>本発明で用いるNi−Cu−Zn
フェライトに特に制限はなく、目的に応じて種々の組成
のものを選択すればよいが、例えば、NiOの含有量
は、37〜48mol%、CuOの含有量は、6〜10
モル%、ZnOの含有量は4mol%以下の30〜70
MHzの高周波のものとすることが望ましい。30MH
z以下の周波数の場合には、効果が顕著でなく、一方、
70MHz以上であると、共鳴が生じ、(磁界の変化に
追随できないために、磁化に基よしなくなり)透磁率、
Q特性が極端に低下する。また、Q特性のピーク周波数
とその値からCoOを1000〜3000ppmの範囲
で含んでいることが望ましい。更にまた、原料には、不
純物としてMnO、P2 O5 を含んでいてもよいが、M
nOが1000ppm、P2 O5 が100ppm以下と
なるようにすることが望ましい。それぞれ、上記値以上
であると、Q特性が低下してしまう。
素濃度の低い雰囲気中で行われる。このときの酸素濃度
は、0.5〜10%の範囲が望ましく、特に5%付近が
望ましい。0.5%より低い酸素濃度では、フェライト
焼結体の密度、比抵抗の低下により、Q特性も低下す
る。これはFeOの生成やCuOからCu2 Oの相変化
などが原因と考えられ、空気中焼成よりQ特性が悪くな
る。
成に比較し、フェライト焼結体の密度、比抵抗に顕著な
改善が見られないためQ特性はあまり変わらない。
は、本発明の積層インダクタすなわち積層型インダクタ
の好適例が示される。
電体層3とが交互に積層一体化されて構成されるチップ
体10を有する。
れるとともに、隣接する導電体層3は、第2図に示され
るように、互いに導通しており、これによりコイルが形
成されている。
電体層3と導通する外部電極5が設けられている。
なく、用途等に応じて適宜選択すればよいが、通常、外
形はほぼ直方体状の形状とし、寸法は(1.0〜5.
6)mm×(0.5〜5.0)×(0.6〜1.9)mm程
度とすればよい。
しては、Ni−Cu−Zn系フェライトを使用する。N
i−Cu−Zn系フェライト焼結体は、低温焼成材料で
あり、このような磁性層を用いたとき、本発明の積層型
インダクタは焼成時液相の生成が無く、しかも電気抵抗
の点で、より優れたものとなる。
mの範囲で含まれていることが望ましい。更にこの他、
MnOが1000ppm以下、P2 O5 が100ppm
以下含有されていてもよい。それぞれこの範囲である
と、Q特性向上の効果を発揮する。
は、後記の導電体層用ペーストと800〜950℃、特
に850〜900℃の焼成温度にて同時焼成して形成で
きる。
ないが、通常ベース厚は、250〜500μm 程度、導
電体層3、3間の磁性体層厚は、10〜100μm 程度
とする。
電体層材質は何れも使用できる。
等を用いればよいが、このうち、AgまたはAg合金、
特にAgが好適である。
含むAg−Pd合金等が好適である。
導電体層用ペーストを塗布した後、焼成して形成される
ものである。
電体層3内部に、空孔が形成されることが多い。
磁性体層2内にて、通常スパイラル状に配置され、その
両端部は一対の各外部電極5、5に接続されている。
ン、すなわち閉磁路形状は種々のパターンとすることが
でき、また、その巻数、厚さ、ピッチ等も用途に応じ適
宜選択すればよい。
μm 程度、巻線ピッチは、通常40〜100μm 程度、
巻数は、通常1.5〜50.5ターン程度とすればよ
い。
特に制限がなく、各種導電体材料、例えばAg、Ni、
Cu等あるいはAg−Pd等のこれらの合金などの印刷
膜、メッキ膜、蒸着膜、イオンプレーティング膜、スパ
ッタ膜あるいはこれらの積層膜などいずれも使用可能で
ある。
や用途に応じ適宜決定すればよいが、通常5〜30μm
程度である。
発明の積層型インダクタの製造方法について説明する。
まず、磁性体層用ペースト、導電体層用ペーストおよび
外部電極用ペーストをそれぞれ製造する。
トは、通常の方法で製造すればよい。例えば、フェライ
トペーストを製造するには、所定量のNiO、ZnO、
CuO、Fe2 O3 等のフェライト原料粉末をボールミ
ル等により湿式混合する。用いる各原料粉末の平均粒径
は通常0.1〜10μm 程度とする。
ードライヤー等により乾燥させ、その後仮焼する。これ
を通常は、平均粒径が0.01〜0.1μm 程度になる
までボールミル等にて湿式粉砕し、スプレードライヤー
等により乾燥する。
ルロース、アクリル樹脂等のバインダーと、テルピネオ
ール、ブチルカルビトール等の溶媒とを混合し、例えば
3本ロール等で混練してペースト(スラリー)とする。
化物を含有させることができる。
子を用いることも可能である。
トは、通常、導電性粒子と、バインダーと、溶剤とを含
有する。
ストに用いられるものであれば特に制限がなく、金属や
金属酸化物等の焼成後に金属になるものを用いればよ
い。
u、Pd等の1種以上を含む金属単体、あるいはこれら
の合金が好ましい。
化物が好適である。
いが、ほぼ球状の形状が好ましい。また、導電性粒子の
平均粒径Dは、0.1〜1μm 、特に0.1〜0.4μ
mであることが好ましい。
り、また、印刷に適切でない。
成できない。
布がシャープなものを用いることが好ましい。
するとき、D/2〜2Dの粒径の粒子が、全体の30重
量%以上、特に40重量%以上存在することが好まし
い。
ため、30〜60重量%、特に40〜60重量%とする
ことが好ましい。
できない。
察し、粒子の投影面積から円換算して算出すればよい。
ばエチルセルロース、アクリル樹脂、ブチラール樹脂等
公知のものはいずれも使用可能である。
量%程度とする。
チルカルビトール、ケロシン等公知のものはいずれも使
用可能である。
とする。この他、総計10重量%程度以下の範囲で、必
要に応じ、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪
酸エステル等の分散剤や、ジオクチルフタレート、ジブ
チルフタレート、ブチルフタリルグリコール酸ブチル等
の可塑剤や、デラミ防止、焼結抑制等の目的で、誘電
体、磁性体、絶縁体等の各種セラミック粉体等を添加す
ることもできる。
ロール等で混練してペースト(スラリー)とする。
粒子が過不足なくペースト内に分散されるように混練す
る。
等の基材上に、混練後の導電体層用ペーストを塗布し、
塗膜の最上面を2000〜10000倍のSEM像に
て、観察したとき、塗膜の最外面に導電性粒子が存在し
ない領域の面積比が20〜60%、好ましくは30〜5
0%、特に好ましくは35〜45%となるまで混練す
る。
平均粒径Dの1〜5倍程度の領域である。
と、間隙6内にて、導電体層3が占める断面面積比が8
5%をこえ、また、磁性体層2と、導電体層3との接触
率が50%をこえ、また、導電体層3の空孔率が50%
をこえる。
用ペーストを得るには、例えば3本ロールのロール間
隙、粘度、混練時間等を適宜調整すればよい。
粉末を含有する通常のペーストを用いればよい。
用ペーストは、印刷法、転写法、グリーンシート法等に
より、積層される。
焼成を行なう。
適宜決定すればよいが、通常下記のとおりである。
合は、非酸化性雰囲気とし、このほか、Ag、Pd等を
用いる場合は大気中でよい。
る積層セラミックLC複合部品を図3に示す。
ミック誘電体層21と内部電極層25とを積層して構成
されるコンデンサチップ体CTと、セラミック磁性層31
と内部導体35とを積層して構成されるインダクタチッ
プ体ITを一体化したものであり、表面に外部電極51を
有する。なお、インダクタチップ体IT自体は、上記積層
インダクタ1のチップ体10と同じであってよいので、
ここではその説明を省略する。
体CTのセラミック誘電体層21には特に制限がなく種々
の誘電体材料を用いてよいが、焼成温度が低いことか
ら、酸化チタン系誘電体を用いることが好ましい。ま
た、その他、チタン酸系複合酸化物、ジルコン酸系複合
酸化物、あるいはこれらの混合物を用いることもでき
る。また、焼成温度を低下させるために、ホウケイ酸ガ
ラス等のガラスを含有させてもよい。
に応じNiO、CuO、Mn3 O4、Al2 O3、Mg
O、SiO2 等、特にCuOを含むTiO2 等が、チタ
ン酸系複合酸化物としては、BaTiO3 、SrTiO
3、 CaTiO3 、MgTiO3 やこれらの混合物等
が、ジルコン酸系複合酸化物としては、BaZrO3 、
SrZrO3 、CaZrO3 、MgZrO3 やこれらの
混合物等が挙げられる。
層25を構成する導電材に特に制限はなく、Ag、P
t、Pd、Au、Cu、Niや、例えばAg−Pd合金
など、これらを1種以上含有する合金等から選択すれば
よいが、特にAg、Ag−Pd合金などのAg合金等が
好適である。
プ体2は、従来公知の構造とすればよく、外形は通常ほ
ぼ直方体状の形状とする。そして図1に示されるよう
に、内部電極層25の一端は外部電極51に接続されて
いる。
に制限はなく、用途等に応じ適宜選択すればよい。
て定めればよいが、通常1〜100程度である。また、
誘電体層21の一層あたりの厚さは、通常20〜150
μm程度であり、内部電極層25の一層あたりの厚さ
は、通常5〜30μm程度である。
品1の外部電極51を構成する導電材に特に制限はな
く、例えば、Ag、Pt、Pd、Au、Cu、NiやA
g−Pd合金などのこれらを1種以上含有する合金等か
ら選択すればよいが、特にAg、Ag−Pd合金などの
Ag合金等が好適である。また、外部電極51の形状や
寸法等には特に制限がなく、目的や用途等に応じて適宜
決定すればよいが、厚さは、通常100〜2500μm
程度である。
部品1の寸法には特に制限がなく、目的や用途等に応じ
て適宜選択すればよいが、通常(2.0〜10.0mm)
×(1.2〜15.0mm)×(1.2〜5.0mm)程度
である。
フェライト焼結体の材料組成を用いる。
は、まず、材料として、上記の本発明のフェライト材料
を用意する。これらの主成分は、磁性材料の最終組成と
して前記の量比になるように混合され、原料として供さ
れる。これをスプレードライヤー等にて80〜200μ
m 程度の径の顆粒とする。そして、これに適当なバイン
ダー、例えばポリビニルアルコールを少量、例えば0.
1〜1.0wt%加えて成型する。
バインダのための初期焼成として400〜500℃の範
囲内の所定温度まで、例えば60℃/hr程度の昇温速度
で徐熱する。次いで酸素濃度を0.5〜10%の範囲で
制御した雰囲気化において、所望の焼成温度850〜9
00℃まで50〜300℃/hrの昇温速度で徐熱し、そ
の温度で一定時間、好ましくは0.5時間以上保持す
る。
0%の雰囲気化で冷却速度100−〜500℃/hrで常
温まで冷却する。以上の焼成方法により、高密度、かつ
低損失という極めて高性能な特性が得られるものであ
る。
い実施例であるチップインダクタおよびトロイダル形状
の磁心について説明する。なお、本明細書においては、
チップインダクタで効果を特定できるので、複合積層部
品についての実施例は省略する。
3 が47mol%、NiOが44mol%、CuOが7
mol%、ZnOが2mol%となるように原料を混合
し、同時にCoOを2000ppm添加した。なお、フ
ェライトに含まれるMnO量は500ppm以下、P2
O5 は全く含まれない原料を用いた。原料の混合は、ボ
ールミルを用いて湿式混合する。
を乾燥し、700℃において仮焼を行った。仮焼材は、
ボールミルを用いて粉砕し、最終粒径が0.1〜0.3
μmの粉体を作成した。
5形状に成型した。この成型品を焼成温度870℃で2
時間焼成して磁心を作製した。焼成条件は、図4に示し
たように、AIR中で脱バインダのための初期焼成を行
い、続いて焼成雰囲気の組成を、表1−A、1−Bに示
すように、大気(AIR)〜N2 の範囲で変えて本焼き
を行い、10個のサンプルを作製した。
ペーストを作成し、このペーストを印刷法にて4532
−4.5Ts形状とし、これを、T−5形状と同様(表
2−A、2−B参照)に焼成を行い、10個のチップイ
ンダクタのサンプルを作製した。これらのサンプルにつ
き、収縮率、焼結密度、比抵抗、μi、Q、温度特性を
測定し、あるいは計算した。その結果を表1−A、表1
−B、表2−A、2−Bに示した。
酸素濃度が空気のそれより低いとき、特に0.5〜10
%のとき、Qが磁心において118.0以上となり、ま
たチップインダクタにおいて57.9以上となり望まし
かった。
7mol%、NiOが45mol%、CuOが6mol
%、ZnOが2mol%となるように原料を混合した原
料を用いたこと以外は実施例1と同様にして、10個の
磁心のサンプルと、10個のインダクタのサンプルを作
製し、実施例1の場合と同様にQ等を測定あるいは計算
した。その結果を表1−B、2−Bに示した。
は多少落ちるが、上記の表から分かるように焼成雰囲気
の酸素濃度が空気のそれより低いときQ特性の向上が見
られた。特に、0.5〜10%のとき、Qが磁心におい
て110.0以上となり、またチップインダクタにおい
て61.0以上となり望ましかった。
である。
る。
示した斜視図である。
Claims (7)
- 【請求項1】 焼結が、空気より酸素濃度の低い雰囲気
中で行われたことを特徴とするNi−Cu−Zn系フェ
ライト焼結体。 - 【請求項2】 酸素濃度が0.5〜10%の範囲の雰囲
気中で、焼結が行われた請求項1のNi−Cu−Zn系
フェライト焼結体。 - 【請求項3】 請求項1のNi−Cu−Zn系フェライ
ト焼結体の原料が、46〜49mol%のFe2 O3 、
37〜48mol%のNiO、6〜10mol%のCu
O、4mol%以下のZnO、および1000〜300
0ppmのCoOからなる組成である請求項1または2
のNi−Cu−Zn系フェライト焼結体。 - 【請求項4】 原料が、更に不純物として、MnOを1
000ppm以下、P2 O5 を100ppm以下含んで
いる請求項3のNi−Cu−Zn系フェライト焼結体。
- 【請求項5】 請求項1乃至4の何れかのNi−Cu−
Zn系フェライト焼結体で形成された磁性層を備えてい
る積層インダクタ。 - 【請求項6】 請求項5の積層インダクタ、および積層
コンデンサを備えている複合積層部品。 - 【請求項7】 請求項1乃至4の何れかの請求項1のN
i−Cu−Zn系フェライト焼結体で形成された磁心。
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