JPH0517240U - 車両用デイスクブレーキ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 ピストンの摩擦パッド押圧面に形成した凹部
に摩擦パッドを磁着する磁石を収容保持した車両用ディ
スクブレーキにおいて、磁石が抜け落ちる心配のない構
造を提供する。 【構成】 磁石１１を収容したリテーナ１０の外周に突
設した弾性係止爪１０ｄを、ピストン６の摩擦パッド押
圧面６ａに形成した凹部６ｂの内周壁６ｃに形成した係
止段部６ｄに係合させる構成とすることにより、ピスト
ン６の摩擦パッド押圧面６ａに磁石を容易且つ抜けるこ
とがなく確実に収容保持させる。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、自動二輪車等の各種の走行車両に用いられるディスクブレーキであ って、詳しくは、ピストンに備えた磁石により摩擦パッドを磁着する車両用ディ スクブレーキに関する。

【０００２】

【従来の技術】

キャリパのシリンダ孔に内挿したピストンの摩擦パッド押圧面に凹部を形成し 、該凹部に摩擦パッドを磁着する磁石を収容保持した車両用ディスクブレーキが 知られている（実開昭６４−２４７３４号公報参照）。

【０００３】 かかる車両用ディスクブレーキはピストンの摩擦パッド押圧面に摩擦パッドが 磁着しているため、例えば車輪の脱着時などにディスクロータの摩擦パッド間へ の挿入を容易にすることができるなどの利点を有している。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

ところが、前記従来の車両用ディスクブレーキはピストンの押圧面に凹部を形 成し、該凹部に、磁石を収容したスペーサーを圧入保持させた構成であるため、 制動時に摩擦熱によりピストンの温度が上昇したときに、ピストンとスペーサー との熱膨脹の違いによって磁石を収容したスペーサーが抜けてしまうことがあり 、また、スペーサーが合成樹脂により作られている場合には溶けてしまうという 問題がある。

【０００５】 本考案は、このような実情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは 、ピストンの摩擦パッド押圧面に形成した凹部に摩擦パッドを磁着する磁石を収 容保持した車両用ディスクブレーキにおいて、磁石が抜け落ちる心配のない構造 を提供することにある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】

本考案は、キャリパのシリンダ孔に内挿したピストンの摩擦パッド押圧面に凹 部を形成し、該凹部に摩擦パッドを磁着する磁石を収容保持する車両用ディスク ブレーキにおいて、前記凹部の内周壁に係止段部を形成するとともに、磁石収容 部の外周に複数の弾性係止爪を突設した磁性体からなるリテーナを、前記磁石収 容部に磁石を収容して前記凹部に嵌装し、前記弾性係止爪を前記係止段部に係合 させたことを特徴とする。

【０００７】

【作用】

かかる構成によれば、磁石を収容したリテーナの外周に突設した弾性係止爪を ピストンの摩擦パッド押圧面に形成した凹部の内周壁に形成した係止段部に係合 することで抜けるのを防止する。

【０００８】

【実施例】

以下、本考案を対向ピストン型キャリパを有する車両用ディスクブレーキにつ いて実施した一実施例を図面に基づいて説明する。

【０００９】 キャリパ１は、車輪と一体に回転するディスクロータ２の両側に一対の作用部 ３，３を対向配置して、ディスクロータ２の外周を跨ぐブリッジ部４の両側部で 連結し、作用部３，３に対向して設けられたシリンダ孔５，５にピストン６，６ がそれぞれ内挿されている。

【００１０】 ブリッジ部４には、天井開口部７が形成されており、該天井開口部７にハンガ ーピン８が架設され、該ハンガーピン８にはディスクロータ２の両側に配置され ディスクロータ軸方向へ移動可能な摩擦パッド９，９が吊持されている。該摩擦 パッド９，９はライニング９ａと磁性体からなる裏板９ｂとから構成される。ま た、各ピストン６の摩擦パッド押圧面６ａには円筒状の凹部６ｂが形成され、該 凹部６ｂの内周壁６ｃには環状溝状の係止段部６ｄが形成されている。

【００１１】 上記凹部６ｂには、リテーナ１０に収容された磁石１１が装着されている。

【００１２】 リテーナ１０は、所定形状に打ち抜いた磁性体からなる適宜厚さの板材を折曲 して形成され、前記凹部６ｂよりも小径の底板１０ａの外周縁に複数個の突片１ ０ｂを形成した磁石収容部１０ｃと、突片１０ｂの先端を一つ置きに基端側へ折 曲して外方へ突出させた弾性係止爪１０ｄとからなり、該磁石収容部１０ｃに、 磁石１１およびこれと同径の合成樹脂製の円板１２が磁石１１をリテーナ１０の 底板１０ａ側として収容し、これを底板１０ａが摩擦パッド９の裏板９ｂ側にな るようにしてピストン６の摩擦パッド押圧面６ａに形成した凹部６ｂに嵌装する とともに、弾性係止爪１０ｄを係止段部６ｄに係合することにより収容保持され ている。

【００１３】 このように構成される本実施例の車両用ディスクブレーキはピストン６の摩擦 パッド押圧面６ａに摩擦パッド９が常に磁着しているので、例えば車輪の脱着、 摩擦パッド９やピストンシール１２の交換時などにディスクロータ２の摩擦パッ ド９，９間への挿入を容易にし、また、制動時の引き摺りを防止することができ る。

【００１４】 殊に、磁石１１を収容したリテーナ１０をピストン６の摩擦パッド押圧面６ａ に形成した凹部６ｂに嵌装収容するともに、リテーナ１０の外周に突設した弾性 係止爪１０ｄを凹部６ｂの内周壁６ｃに形成した係止段部６ｄに係合した構成で あるため、確実に保持され、たとえ制動時に摩擦熱によりピストン６の温度が上 昇してピストン６とリテーナ１０との間に熱膨脹の違いが生じても抜けてしまう 心配がない。

【００１５】 また、磁石１１を収容したリテーナ１０を凹部６ｂに差込むだけの簡単な作業 で装着することができ組立てもきわめて容易である。更に、本実施例は磁石１１ がリテーナ１０の底板１０ａ、突片１０ｂおよび弾性係止爪１０ｄによって覆わ れているため磁石１１に鉄粉や埃などが付着することがないとともに、磁石１１ が摩擦パッド９に直接接触しないため破損する心配もない。

【００１６】

【考案の効果】

本考案は以上説明したように、磁石を収容したリテーナをピストンの摩擦パッ ド押圧面に形成した凹部に嵌装するとともに、リテーナの外周に突設した弾性係 止爪をピストンの摩擦パッド押圧面に形成した凹部の内周壁に形成した係止段部 に係合することにより収容保持させるものであり、ピストンの摩擦パッド押圧面 に磁石を容易に且つ抜けることがなく取付けることができ、常に摩擦パッドをピ ストンに磁着させておくことができるものである。従って、車輪の脱着、摩擦パ ッドやピストンシールの交換時などにディスクロータの摩擦パッド間への挿入を 容易にし、また、制動時の引き摺りを防止することができるものである。また、 制動時にピストンに摩擦熱が加わってピストンとリテーナとの間に熱膨脹の違い いに隙間を生じても抜ける心配がなく、常にピストンの摩擦パッド押圧面に摩擦 パッドを磁着させておくことができるものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本実施例の要部を示す分解斜視図

【図２】 ディスクブレーキの縦断面図

【符号の説明】

１…キャリパ、２…ディスクロータ、５，５…シリンダ
孔、６，６…ピストン、６ａ…押圧面、６ｂ…凹部、６
ｃ…係止段部、９…摩擦パッド、１０…リテーナ、１０
ｃ…磁石収容部、１０ｄ…弾性係止片、１１…磁石。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 キャリパのシリンダ孔に内挿したピスト
   ンの摩擦パッド押圧面に凹部を形成し、該凹部に摩擦パ
   ッドを磁着する磁石を収容保持する車両用ディスクブレ
   ーキにおいて、前記凹部の内周壁に係止段部を形成する
   とともに、磁石収容部の外周に複数の弾性係止爪を突設
   した磁性体からなるリテーナを、前記磁石収容部に磁石
   を収容して前記凹部に嵌装し、前記弾性係止爪を前記係
   止段部に係合させたことを特徴とする車両用ディスクブ
   レーキ。