JPH05170919A - ポリアリーレンサルファイド−ポリエステルグラフト共重合体の製造方法 - Google Patents

ポリアリーレンサルファイド−ポリエステルグラフト共重合体の製造方法

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JPH05170919A
JPH05170919A JP3354765A JP35476591A JPH05170919A JP H05170919 A JPH05170919 A JP H05170919A JP 3354765 A JP3354765 A JP 3354765A JP 35476591 A JP35476591 A JP 35476591A JP H05170919 A JPH05170919 A JP H05170919A
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polyester
pas
group
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polyarylene sulfide
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JP3354765A
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English (en)
Inventor
Satoshi Inoue
井上  敏
Naohiro Mikawa
直浩 三川
Ichigen Watanabe
一玄 渡辺
Tadao Ikeda
忠生 池田
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Tonen General Sekiyu KK
Original Assignee
Tonen Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 イソシアネート基を有するポリアリーレンサ
ルファイド(PAS)樹脂と末端に水酸基を有するポリ
エステルを極性有機溶媒中で反応させると次式(II) 【化1】 (式中、Rは有機基であり、R2 はポリエステル残基で
ある。)で表わされるグラフト鎖を有するPAS樹脂が
得られる。上記イソシアネート基を有するPAS樹脂は
アミノ基を有するPAS樹脂とジイソシアネート化合物
(OCN−R−NCO)との反応により得られる。別法
として、グラフト鎖(II)を有するPAS樹脂は、アミ
ノ基を有するPAS樹脂、末端に水酸基を有するポリエ
ステルおよび上記ジイソシアネート化合物の3者を反応
させて得られる。 【効果】 グラフト鎖(II)を有するPAS樹脂は、他
の樹脂との相溶性に優れ、そのポリマーアロイは機械的
特性に優る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はポリアリーレンサルファ
イド−ポリエステルグラフト共重合体の製造方法に関す
る。さらに詳しくは、本発明は、耐衝撃性および他のエ
ンジニアリングプラスチックその他の樹脂、特にポリエ
ステルとの相溶性に優れ、構造材料用または機械部品等
として有用なポリアリーレンサルファイド−ポリエステ
ルグラフト共重合体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリフェニレンサルファイド(以下、
「PPS」という)によって代表されるポリアリーレン
サルファイド(以下、「PAS」という)は耐熱性およ
び耐薬品性に優れているが、耐衝撃性に劣っている。ま
た、PASは極性基を有していないため、他のエンジニ
アリングプラスチックその他の樹脂との相溶性に劣ると
いう問題点があり、また、耐衝撃性を向上させる目的で
ポリマーアロイ化を行っても、相溶性が悪いため、機械
的特性に優れ且つ物性バランスのよいポリマーアロイが
得難いという問題点がある。
【0003】PASの耐衝撃性およびその他の特性を向
上させる目的で他のエンジニアリングプラスチックとの
ポリマーブレンドが数多く提案されている。例えば、ポ
リカーボネートとのブレンド(特開昭51−59952
および同59−155461)、ナイロンとのブレンド
(特開昭53−69255および同59−15546
2)、ポリエステルとのブレンド(特開昭59−646
57)、熱可塑性エラストマーとのブレンド(特開昭6
1−207462)などである。これらのブレンドは未
変性PASと他のポリマーとの単純なブレンドであっ
て、このようなブレンドにおいては、PASと他のポリ
マーとの相溶性がよくないために満足すべき耐衝撃性そ
の他の特性は得られていない。PASにアミノ基を導入
することも提案されており(特開昭61−207462
号)、アミノ基の導入によって他の樹脂との相溶性が、
或る程度改良されるものの、依然他の樹脂との相溶性は
満足できるものではなく、物性のバランスのよいポリマ
ーアロイとはならない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
のような従来の技術の欠点を解消して、他の樹脂との相
溶性に優れ、他の樹脂、特にエンジニアリングプラスチ
ックとのポリマーアロイが機械的特性に優るという特性
をもつPASを提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、側鎖および/
または末端にイソシアネート基を有する変性ポリアリー
レンサルファイドと末端に水酸基を有するポリエステル
とを極性有機溶媒中で反応させることを特徴とするポリ
アリーレンサルファイド−ポリエステルグラフト共重合
体の製造方法(以下、第1の製造方法という。)を提供
する。
【0006】上記第1の製造方法において使用されるイ
ソシアネート基を有する変性ポリアリーレンサルファイ
ドは側鎖および/または末端にアミノ基を有するPAS
とジイソシアネート化合物とを極性有機溶媒中で反応さ
せることによって得られる。
【0007】さらに、本発明は、側鎖および/または末
端にアミノ基を有するPASと末端に水酸基を有するポ
リエステルとジイソシアネート化合物とを極性有機溶媒
中で反応させることを特徴とするポリアリーレンサルフ
ァイド−ポリエステルグラフト共重合体の製造方法(以
下、第2の製造方法という。)を提供する。
【0008】上記第1の製造方法においてイソシアネー
ト変性PASの製造原料として用いる側鎖および/また
は末端にアミノ基を有するPAS、ならびに第2の製造
方法において用いる側鎖および/または末端にアミノ基
を有するPASは、例えば、次の(a)成分と(b)成
分とを反応させることにより合成することができる。 (a)アルカリ金属サルファイド(代表的には硫化ソー
ダ) (b)ジハロゲン化物とアミノ基を置換基として有する
ハロゲン化物の混合体 ここで、原料として使用されるジハロゲン化物の例とし
ては、下記の式で示されるジハロゲン化ベンゼンが挙げ
られる。
【0009】
【化1】 (式中R1 は炭素原子1〜3個のアルキルもしくはアル
コキシ基を示し、nは0〜3の整数を示し、Xはハロゲ
ン原子を示す)。
【0010】かかるジハロゲン化ベンゼンの具体例とし
ては、次の式で示される化合物が挙げられる。但し、こ
れらの式において、X1 はハロゲン原子であって、その
例としてはClまたはBrが挙げられる。
【0011】
【化2】
【0012】また、上記において、原料として使用され
るアミノ基を置換基として有するハロゲン化物の例とし
ては、次式で示されるハロゲン化アミノベンゼンが挙げ
られる。
【化3】 (式中、R1 およびnは前述したものと同一意義を有
し、R3 は水素原子または炭素原子1〜3個のアルキル
基を示し、Yはハロゲン原子を示し、mは1または2を
示す)
【0013】かかるハロゲン化アミノベンゼンの具体例
としては、下記の式で示されるハロゲン化アミノベンゼ
ン化合物が挙げられる。但し、これらの式において、Y
1 の例としては、ClまたはBrが挙げられる。
【0014】
【化4】
【0015】側鎖および/または末端にアミノ基を有す
るPASの製造に使用する、上記のジハロゲン化物とア
ミノ基を置換基として有するハロゲン化物の混合体
(b)中のジハロゲン化物(b1)とアミノ基を置換基
として有するハロゲン化物(b2)との割合は格別限定
されるものではないが、他のポリマーとの相溶性および
金属その他の無機基材との接着性の向上という見地か
ら、該混合物中に(b2)が0.2〜25モル%含まれ
ることが望ましい。また、この混合物中にパラ体のジハ
ロゲン化物が85モル%以上含まれることが好ましい。
【0016】イソシアネート変性PASの製造に使用す
る側鎖および/または末端にアミノ基を有するPAS
は、その骨格は次の式(IV)で表わされるアリーレンサ
ルファイド結合からなるか、または該アリーレンサルフ
ァイド結合(IV)を主成分とし、
【0017】
【化5】 (式中、R1 およびnは前述したものと同一の意義を有
する。)次の式(V)で示されるエーテル結合、次の式
(VI)で示されるスルホン結合、次の式(VII )で示さ
れるビフェニル結合、次の式(VIII)で示される置換フ
ェニルスルフィド結合(但し、式(VIII)中、R4 はア
ルキル、ニトロ、フェニル、アルコキシ、カルボキシル
基を示す。)、次の式(IX)で示される3官能結合で例
示されるような共重合成分から導かれる結合を劣成分と
して含有していてもよい。但し、当該共重合成分は、3
0モル%未満であることが好ましい。
【0018】
【化6】
【0019】アミノ基を有するPASと反応せしめるジ
イソシアネート化合物は次式(III)で表わされる。
【化7】 式(III)において、Rは二価の有機基、例えば脂肪族基
および/または芳香族基を有する二価の有機基であり、
その代表例として次式(IX)〜(XIII)で表わされる二
価の有機基が挙げられる。
【0020】
【化8】
【0021】式(IX)〜(XIII)において、R5
6 ,R7 ,R8 ,R9 およびR10は水素もしくはメチ
ル基を、また、X1 およびX2 は単結合、−CH2 −、
酸素原子、硫素原子、−SO2 −,−CO−もしくは次
式(XIV)で表わされる基を表わす。
【化9】
【0022】ジイソシアネート化合物の具体例として
は、m−フェニレンジイソシアネート、2,4−トリレ
ンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネー
ト、p−フェニレンジイソシアネート、1,5−ナフタ
レンジイソシアネート、4,4′−ビフェニルジイソシ
アネート、トリジンジイソシアネート、4,4′−ジフ
ェニルメタンジイソシアネート、4,4′−ジフェニル
エーテルジイソシアネート、4,4′−ジフェニルチオ
エーテルジイソシアネート、4,4′−ジフェニルスル
ホンジイソシアネート、4,4′−ベンゾフェノンジイ
ソシアネート、4,4′−ジフェニルイソプロピリデン
ジイソシアネート、4,4′−ジシクロヘキシルメタン
ジイソシアネート、m−キシリレンジイソシアネート、
p−キシリレンジイソシアネート、3,3′−ジメトキ
シ−4,4′−ビフェニレンジイソシアネート、4−
(4−イソシアネートシクロヘキシル)フェニルイソシ
アネート、4−イソシアネートベンジルイソシアネー
ト、テトラフルオロ−p−フェニレンジイソシアネー
ト、テトラフルオロ−m−フェニレンジイソシアネー
ト、4,4′−ジイソシアネートオクタフルオロ−ビフ
ェニルおよびデュレンジイソシアネート;3,3′−ジ
メチル−4,4′−メチレンビス(シクロヘキシルイソ
シアネート)、1,4−ジイソシアネートシクロヘキサ
ンおよびイソホロンジイソシアネート;ヘキサメチレン
ジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネートお
よび2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシア
ネートなどのアルキレン基、アリーレン基、シクロアル
キレン基およびこれらから誘導される基を主鎖とするジ
イソシアネート化合物、ならびにアルキル基が二価の基
もしくは原子で結合されたジ−(3−イソシアネートプ
ロピルエーテル)などの主鎖に脂肪族炭化水素基を有す
るジイソシアネート化合物を挙げることができる。
【0023】アミノ基を有するPASと式(III )で表
わされるジイソシアネート化合物との反応に反応媒体と
して用いられる極性有機溶媒としては、例えば、N−メ
チル−2−ピロリドン、ジメチルアセトアミド、ジメチ
ルホルムアミドなどが挙げられる。反応温度および反応
時間は一般に0℃〜300℃、好ましくは15〜280
℃および30分〜50時間の範囲で選ぶことができる。
アミノ基を有するPASとジイソシアネート化合物との
使用割合は、得られるイソシアネート基を有するPAS
中のイソシアネート単位が0.1〜25モル%となるよ
うに両者の量を設定すればよく、その量の範囲はアミノ
基を有するPAS100重量部に対してジイソシアネー
ト化合物が通常0.5重量部以上、望ましくは1〜70
重量部である。
【0024】反応終了後、反応生成物を濾別し、アセト
ンで洗浄し、次いで加熱乾燥することによって分子鎖中
に下記式(I)で表わされるイソシアネート基を有する
PASが得られる。
【化10】 式(I)においてRは前述と同じ意義を有する。
【0025】次いで、第1の製造方法においては、分子
鎖中に前記式(I)で表わされるイソシアネート基を有
するPASと末端に水酸基を有するポリエステルとを反
応させる。ここで使用するポリエステルは、前記式
(I)で表わされるイソシアネート基に結合してグラフ
ト鎖を形成するために、末端に水酸基をもたねばならな
い。末端に水酸基を有するポリエステルとしては、例え
ば、テレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、ナ
フタレンジカルボン酸、4,4′−ジフェニルカルボン
酸、ジフェニルエーテルカルボン酸、α,β−ビス(4
−カルボキシフェノキシ)エタン、アジピン酸、セバシ
ン酸、アゼライン酸、デカンジカルボン酸、ドデカンジ
カルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、ダイマー酸
などのジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体と
エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジ
オール、ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、
ヘキサンジオール、オクタンジオール、デカンジオー
ル、シクロヘキサンジメタノール、ハイドロキノン、ビ
スフェノールA、2,2−ビス(4−ヒドロキシエトキ
シフェニル)プロパン、キシリレングリコール、ポリエ
チレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコ
ール、両末端が水酸基である脂肪酸ポリエステルオリゴ
マーなどのグリコールとの重縮合;グリコール酸、ヒド
ロキシ酢酸、ヒドロキシ安息香酸、ヒドロキシフェニル
酢酸、ナフチルグリコール酸などのようなヒドロキシカ
ルボン酸の重縮合;プロピオラクトン、ブチロラクト
ン、バレロラクトン、カプロラクトンのようなラクトン
化合物の重縮合;ならびに上記ジカルボン酸とジオール
とヒドロキシカルボン酸および/またはラクトン化合物
との共重合により得られるポリエステルが挙げられる。
【0026】上記ポリエステルは、コモノマー成分とし
て、熱可塑性を保持し得る範囲内でトリメチロールプロ
パン、トリメチロールエタン、グリセリン、ペンタエリ
スリトール、トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリ
ット酸のような多官能性エステル形成性成分を含んでい
てもよい。また、ジブロモテレフタル酸、テトラブロモ
テレフタル酸、テトラブロモフタル酸、ジクロロテレフ
タル酸、テトラクロロテレフタル酸、1,4−ジメチロ
ールテトラブロモベンゼン、テトラブロモビスフェノー
ルA、テトラブロモビスフェノールAのエチレンオキサ
イド付加物のような芳香族核に塩素や臭素のようなハロ
ゲンを置換基として有し、かつエステル形成性基を有す
るハロゲン化合物を共重合した熱可塑性ポリエステル樹
脂も含まれる。
【0027】末端に水酸基を有するポリエステルの特に
好ましい例としては、ポリエチレンテレフタレート、ポ
リブチレンテレフタレート、ポリヘキサメチレンテレフ
タレート、ポリ(エチレン・ブチレンテレフタレー
ト)、ポリ(シクロヘキサンジメチレンテレフタレー
ト)、ポリ(ブチレン・テトラメチレン・テレフタレー
ト)、2,2−ビス(β−ヒドロキシエトキシテトラブ
ロモフェニル)プロパンとの共重合ポリブチレンテレフ
タレートなどが挙げられる。
【0028】第1の製造方法における上記イソシアネー
ト変性PPSと水酸基末端ポリエステルとの反応は極性
有機溶媒中で行われる。極性有機溶媒としては、例え
ば、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルアセトアミ
ド、ジメチルホルムアミドなどが挙げられる。反応温度
および反応時間は一般に150〜300℃、好ましくは
180〜280℃および0.5〜10時間の範囲で選ぶ
ことができる。イソシアネート変性PASと水酸基末端
ポリエステルの使用割合は任意に設定できるが、該変性
PASが通常1〜99重量%、好ましくは5〜95重量
%、該ポリエステルが通常99〜1重量%、好ましくは
95〜5重量%である。かくして、次式(II)で表わさ
れるグラフト鎖を有するPASが得られる。
【0029】
【式11】式(II)中、Rは前記と同じであり、R2
ポリエステル残基を表わす。
【0030】第2の製造方法においては、側鎖および/
または末端にアミノ基を有するPASと末端に水酸基を
有するポリエステルと前記式(III )で表わされるジイ
ソシアネート化合物の3成分を反応させて、側鎖および
/または末端に前記式(II)で表わされるグラフト鎖を
有するポリアリーレンサルファイド−ポリエステルグラ
フト共重合体を直接得ることができる。第2の製造方法
において用いる側鎖および/または末端にアミノ基を有
するPAS、末端に水酸基を有するポリエステルおよび
式(III )で表わされるジイソシアネート化合物の3反
応成分の具体例としては第1の製造方法において示した
ものが挙げられる。
【0031】第2の製造方法において用いられる極性有
機溶媒としては第1の製造方法において例示したものと
同様なものを用いることができる。第2の製造方法にお
ける反応温度および反応時間は一般に室温〜300℃好
ましくは180〜280℃および0.5〜50時間の範
囲で選ぶことができる。アミノ基末端PAS、水酸基末
端ポリエステルおよびジイソシアネート化合物の使用割
合に関し、アミノ基末端PASとジイソシアネート化合
物の使用割合はアミノ基末端PAS100重量部に対し
てジイソシアネート化合物が0.5重量部以上、好まし
くは1〜70重量部である。また、アミノ基末端PAS
と水酸基末端ポリエステルの使用量の割合は該PASが
通常1〜99重量%、好ましくは5〜95重量%、該ポ
リエステルが通常99〜1、好ましくは95〜5重量%
である。
【0032】第1および第2の両製造方法において、反
応終了後、生成物を濾別し、アセトンなどで洗浄し、次
いで加熱乾燥することによって、式(II)で表わされる
グラフト鎖を有するポリアリーレンサルファイド−ポリ
エステルグラフト共重合体が得られる。ポリエステルの
グラフト率は通常0.5モル%以上であるが、1〜70
モル%が好ましい。グラフト率が0.5モル%未満では
本発明の目的を達成し得ない。このグラフト共重合体の
生成は、後記実施例に示すように、反応生成物からポリ
エステルを溶剤で抽出除去した後その不溶部の赤外吸収
スペクトルを測定し、ポリエステル成分に起因する吸収
の有無を観察することによって確認される。
【0033】本発明の方法で得られたグラフト共重合体
は、諸物性を付与する目的から、必要に応じてガラス繊
維、炭素繊維、金属繊維、アラミド繊維、繊維状チタン
酸カリウム、アスベストおよび炭化ケイ素や窒化ケイ素
等を初めとする各種のウイスカー等の繊維状無機充填
剤、グラファイト、炭酸カルシウム、マイカ、シリカ、
窒化ホウ素、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、カオリ
ン、クレー、バィロフィライト、ベントナイト、セリサ
イト、ゼオライト、雲母、ネフェリンシナイト、フェラ
イト、アタパルジャイト、ウォラストナイト、ケイ酸カ
ルシウム、炭酸マグネシウム、ドロマイト、三酸化アン
チモン、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化チタン、酸
化鉄、二硫化モリブデン、黒鉛、石こう、ガラス粉、ガ
ラスビーズ、石英、石英ガラス、鉄、亜鉛、銅、アルミ
ニウム、ニッケル等の無機充填剤を一種または二種以上
配合することができる。
【0034】
【実施例】以下、実施例について本発明のポリアリーレ
ンサルファイド−ポリエステルグラフト共重合体の製法
を具体的に説明する。参考例1 (側鎖にアミノ基を有するポリフェニレンサルファイド
(PPS)の合成)容量1リットルの撹拌機付のオート
クレーブ中に、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)
250mlとNa2 S(含水量40重量%)127g
(0.98モル)とNaOH0.31gを仕込み、窒素
雰囲気中で撹拌しながら約2時間かけて205℃にまで
徐々に昇温させて脱水した。その後、反応系を150℃
にまで冷却し、反応系にパラジクロルベンゼン140g
(0.95モル)、P−ジクロルアニリン8g(0.0
5モル)と1,2,4−トリクロルベンゼン0.5g
(0.003モル)をNMP80g中に溶解した溶液を
加え、更に1時間かけて250℃にまで昇温し、2時間
反応を行った。反応終了後、オートクレーブを室温にま
で冷却し、内容物を濾別し、反応生成物である濾過ケー
キを50℃で脱イオン水で3回洗浄し、副生した食塩や
その他の未反応物を除き100℃で乾燥してアミノ基を
有するPPS樹脂を得た。
【0035】参考例2 (側鎖にイソシアネート基を有するPPSの合成)4,
4′−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)
1.21g(アミノ化PPSのアミノ基に対して2倍モ
ル)にN−メチル−2−ピロリドン(NMP)50ml
を加え、溶解したのち、アミノ基を有するPPS 7.
50gを加え、室温で24時間撹拌を行いながら反応を
行った。室温にまで冷却したのち、反応スラリーを濾過
して得たケーキをアセトンで十分洗浄し、150℃で1
晩減圧乾燥して、反応生成物を得た。
【0036】その生成物についてフィルム法で赤外吸収
スペクトルを測定した。得られたチャートを図1に示
す。比較のために、アミノ化PPS(イソシアネート未
変性PPS)について同様に得た赤外吸収スペクトルを
図2に示す。反応前のアミノ基を有するPPSに見られ
た3400cm-1付近のアミノ基のN−H伸縮振動に起
因する赤外吸収が減少し、イソシアネート基のC=N伸
縮振動およびウレア結合のC=O伸縮振動に基づく吸収
が2300および1710cm-1付近に見られ、PPS
側鎖にイソシアネート基が導入されたことが確認され
た。
【0037】得られた変性PPSのイソシアネート基量
はジ−n−ブチルアミンを用い、電位差滴定により求め
た。すなわち、秤量した試料1gにNMP50mlとジ
−n−ブチルアミン0.5mlを加え、室温で30分間
撹拌したのち、イオン交換水10mlを加えた。未反応
で残っているジ−n−ブチルアミンを0.5N塩酸を用
いて電位差滴定して、滴定値より変性PPSのイソシア
ネート基量を求めたところ1.2モル%であった。
【0038】実施例1〜4 参考例2の反応で得た側鎖にイソシアネート基を有する
変性PPSとポリブチレンテレフタレート(PBT、帝
人(株)製TRB−K)をN−メチル−2−ピロリドン
(NMP)100ml中に表1に示す所定量を加え、表
1に示した所定の条件で加熱撹拌して反応を行った。得
られた反応スラリーを濾過したのち、得られたケーキを
アセトンで洗浄し150℃で1晩減圧乾燥した。
【0039】乾燥後得られた粉末をPBTの選択的な溶
媒である1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2
−プロパノールでソックスレー抽出を行い、その不溶部
の赤外吸収スペクトルを測定したところ、図3に示すと
おり、PPSの吸収の他にPBTに起因する吸収が29
70,1730,1280,900cm-1付近などに見
られ、グラフト共重合体の生成が確認された。
【0040】グラフト率〔(グラフトしたPBTの重量
/幹のPPSの重量)×100%〕は次の方法により、
赤外吸収スペクトルから求めた。あらかじめ未変性のP
PSとPBTを種々の割り合いで混合したブレンド物か
ら作成した検量線を用いてPBTのC=O伸縮振動に基
づく1720cm-1とベンゼン環のC=C伸縮振動に基
づく1580cm-1の吸光度の比からグラフト率を求め
た。また、反応生成物を熱プレスしフィルム状に成形し
た長さ80mm、幅10mm、厚み50μmの試験片に
ついてチャック間距離40mm、引張速度20mm/分
で引張試験を行った。得られた引張強度および破断点伸
度を表1に示す。
【0041】
【表1】
【0042】実施例5〜7 4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート0.40
gにNMP100mlを加え溶解したのち、アミノ基を
有するPPS2.50gとPBT(帝人(株)製TRB
−K)2.50gを加え、所定温度で3時間加熱撹拌し
て反応を行った。得られた反応スラリーを濾過したの
ち、得られたケーキをアセトンで洗浄し、150℃で1
晩減圧乾燥した。グラフト率の測定および引張試験は実
施例1と同様に行った。結果を表2に示す。
【0043】
【表2】
【0044】比較例1 参考例1で得たアミノ基を有するPPS2.50gとパ
ウダー状に粉砕したPBT(帝人(株)製TRB−K)
2.50gをパウダーのままヘンシェルミキサーでドラ
イブレンドした。得られたブレンドから成形したフィル
ム状試験片について引張試験を実施例1と同様に行っ
た。結果を表1および表2に示す。
【0045】比較例2 参考例1と同様にして得たアミノ基を有するPPS25
0gとPBT(帝人(株)製 TRB−K)250gと
MDI40gを良くドライブレンドした後、異方向回転
型20mm押出機を用いて300℃で溶融混練を行った
が、ゲル化して成形できなかった。
【0046】
【発明の効果】本発明の製造方法により得られるポリア
リーレンサルファイド−ポリエステルグラフト共重合体
は、他の樹脂との相溶性に優れ、他の樹脂、特にエンジ
ニアリングプラスチックとのポリマーアロイは引張強
度、耐衝撃性その他の機械的特性に優る。従って、本発
明のグラフト共重合体を含むポリマーアロイは構造材料
用または機械部品などとして有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】イソシアネート変性PPSの赤外吸収スペクト
ル。
【図2】アミノ化PPS(イソシアネート未変性PP
S)の赤外吸収スペクトル。
【図3】PPS−ポリエステルグラフト共重合体の赤外
吸収スペクトル。
【化11】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 池田 忠生 埼玉県入間郡大井町西鶴ケ岡一丁目3番1 号 東燃株式会社総合研究所内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 側鎖および/または末端にイソシアネー
    ト基を有する変性ポリアリーレンサルファイドと末端に
    水酸基を有するポリエステルとを極性有機溶媒中で反応
    させることを特徴とするポリアリーレンサルファイド−
    ポリエステルグラフト共重合体の製造方法。
  2. 【請求項2】 側鎖および/または末端にアミノ基を有
    するポリアリーレンサルファイドと末端に水酸基を有す
    るポリエステルとジイソシアネート化合物とを極性有機
    溶媒中で反応させることを特徴とするポリアリーレンサ
    ルファイド−ポリエステルグラフト共重合体の製造方
    法。
JP3354765A 1991-12-19 1991-12-19 ポリアリーレンサルファイド−ポリエステルグラフト共重合体の製造方法 Pending JPH05170919A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005263958A (ja) * 2004-03-18 2005-09-29 Dainippon Ink & Chem Inc 熱可塑性樹脂組成物

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