JPH05186580A - ポリアリーレンサルファイド−ポリエステルグラフト共重合体の製造方法 - Google Patents

ポリアリーレンサルファイド−ポリエステルグラフト共重合体の製造方法

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JPH05186580A
JPH05186580A JP1958192A JP1958192A JPH05186580A JP H05186580 A JPH05186580 A JP H05186580A JP 1958192 A JP1958192 A JP 1958192A JP 1958192 A JP1958192 A JP 1958192A JP H05186580 A JPH05186580 A JP H05186580A
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JP
Japan
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polyester
polyarylene sulfide
epoxy
pas
amino group
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Application number
JP1958192A
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English (en)
Inventor
Satoshi Inoue
井上  敏
Naohiro Mikawa
直浩 三川
Ichigen Watanabe
一玄 渡辺
Tadao Ikeda
忠生 池田
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Tonen General Sekiyu KK
Original Assignee
Tonen Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 エポキシ基を有するポリアリーレンサルファ
イド(PAS)樹脂とポリエステルを極性有機溶媒中で
反応させると次式(II)または(III ) 【化1】 (式中、R1 は有機基、R2 はポリエステル残基、R3
は水素または低級アルキル基)で表わされるグラフト鎖
を有するPAS樹脂が得られる。上記エポキシ基を有す
るPAS樹脂はアミノ基を有するPAS樹脂と分子中に
少くとも2つのエポキシ基を有するエポキシ樹脂との反
応により得られる。別法として、グラフト鎖(II)また
は(III )を有するPAS樹脂は、アミノ基を有するP
AS樹脂、ポリエステルおよび分子中に少くとも2つの
エポキシ基を有するエポキシ樹脂の三者を反応させて得
られる。 【効果】 上記グラフト鎖を有するPAS樹脂は、他の
樹脂との相溶性に優れ、そのポリマーアロイは機械的特
性に優る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はポリアリーレンサルファ
イド−ポリエステルグラフト共重合体の製造方法に関す
る。さらに詳しくは、本発明は、他の樹脂との相溶性に
優れ、他の樹脂とのポリマーアロイが耐衝撃性その他の
機械的特性に優れ、構造材料用または機械部品などとし
て有用なポリアリーレンサルファイド−ポリエステルグ
ラフト共重合体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリフェニレンサルファイド(以下、
「PPS」という)によって代表されるポリアリーレン
サルファイド(以下、「PAS」という)は耐熱性およ
び耐薬品性に優れているが、耐衝撃性に劣っている。ま
た、PASは極性基を有していないため、他のエンジニ
アリングプラスチックその他の樹脂との相溶性に劣ると
いう問題点があり、また、耐衝撃性を向上させる目的で
ポリマーアロイ化を行っても、相溶性が悪いため、機械
的特性に優れ且つ物性バランスのよいポリマーアロイが
得難いという問題点がある。
【0003】PASの耐衝撃性およびその他の特性を向
上させる目的で他のエンジニアリングプラスチックとの
ポリマーブレンドが数多く提案されている。例えば、ポ
リカーボネートとのブレンド(特開昭51−59952
および同155461)、ナイロンとのブレンド(特開
昭53−69255および同59−155462)、ポ
リエステルとのブレンド(特開昭59−64657)、
熱可塑性エラストマーとのブレンド(特開昭61−20
7462)などである。さらに、これらの提案の中に
は、PASと他の樹脂との相溶性を高めるために組成物
中にエポキシ樹脂を混入することが報示されている(特
開昭59−64657、同59−155461および同
59−155462)。これらのブレンドは未変性PA
Sと他のポリマーとの単純なブレンドであって、このよ
うなブレンドにおいては、PASと他のポリマーとの相
溶性がよくないために満足すべき耐衝撃性その他の特性
は得られていない。PASにアミノ基および/またはア
ミド基を導入することも提案されており(特開昭61−
207462号)、アミノ基やアミド基の導入によって
他の樹脂との相溶性が、或る程度改良されるものの、依
然他の樹脂との相溶性は満足できるものではなく、物性
のバランスのよいポリマーアロイとはならない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
のような従来の技術の欠点を解消して、金属との接着性
に優るとともに、他の樹脂との相溶性に優れ、他の樹
脂、特にエンジニアリングプラスチックとのポリマーア
ロイが機械的特性に優るという特性をもつ変性PASを
提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、側鎖および/
または末端にエポキシ基を有する変性ポリアリーレンサ
ルファイドとポリエステルとを極性有機溶媒中で反応さ
せることを特徴とするポリアリーレンサルファイド−ポ
リエステルグラフト共重合体の製造方法(以下、第1の
製造方法という。)を提供する。
【0006】上記第1の製造方法において使用されるエ
ポキシ基を有する変性ポリアリーレンサルファイドは、
側鎖および/または末端にアミノ基を有するPASと、
分子中に少くとも2つのエポキシ基を有するエポキシ樹
脂とを極性有機溶媒中で反応させることによって得られ
る。
【0007】側鎖および/または末端にアミノ基を有す
るPASと分子中に少くとも2つのエポキシ基を有する
エポキシ樹脂とから側鎖および/または末端にエポキシ
基を有する変性PASを合成し、さらに、上記第1の製
造方法に従って、該エポキシ変性PASとポリエステル
とからPAS−ポリエステルグラフト共重合体を合成す
る代表的な反応は次の反応式(イ)および/または
(ロ)で表わすことができる。なお、ポリエステルは、
通常その分子鎖の末端に水酸基および/またはカルボキ
シル基を有しており、反応式(イ)は末端が水酸基の場
合、反応式(ロ)は末端がカルボキシル基の場合をそれ
ぞれ示す。
【0008】
【化1】 上記式中のR1 は2価の有機基、R2 はポリエステル残
基、R3 は水素または炭素数1〜3のアルキル基を表わ
す。
【0009】さらに、本発明は、側鎖および/または末
端にアミノ基を有するPASとポリエステルと分子中に
少くとも2つのエポキシ基を有するエポキシ樹脂とを極
性有機溶媒中で反応させることを特徴とするポリアリー
レンサルファイド−ポリエステルグラフト共重合体の製
造方法(以下、第2の製造法という。)を提供する。
【0010】上記第2の製造方法に従って、側鎖および
/または末端にアミノ基を有するPASとポリエステル
と分子中に少くとも2つのエポキシ基を有するエポキシ
樹脂とからPAS−ポリエステルグラフト共重合体を合
成する代表的な反応は次の反応式(イ)および/または
(ロ)で表わすことができる。
【0011】
【化2】 上記式中のR1 、R2 およびR3 は前記と同様な意義を
有する。
【0012】上記第1の製造方法において用いるエポキ
シ変性PASの製造原料である側鎖および/または末端
にアミノ基を有するPAS、ならびに第2の製造方法に
おいて用いる側鎖および/または末端にアミノ基を有す
るPASは、例えば、次の(a)成分と(b)成分とを
反応させることにより合成することができる。 (a)アルカリ金属サルファイド(代表的には硫化ソー
ダ) (b)ジハロゲン化物とアミノ基を置換基として有する
ハロゲン化物の混合体 ここで、原料として使用されるジハロゲン化物の例とし
ては、下記の式で示されるジハロゲン化ベンゼンが挙げ
られる。
【0013】
【化3】 (式中R4 は炭素原子1〜3個のアルキルもしくはアル
コキシ基を示し、nは0〜3の整数を示し、Xはハロゲ
ン原子を示す。)
【0014】かかるジハロゲン化ベンゼンの具体例とし
ては、次の式で示される化合物が挙げられる。但し、こ
れらの式において、X1 はハロゲン原子であって、その
例としてはClまたはBrが挙げられる。
【0015】
【化4】
【0016】また、上記において、原料として使用され
るアミノ基を置換基として有するハロゲン化物の例とし
ては、次式で示されるハロゲン化アミノベンゼンが挙げ
られる。
【化5】 (式中、R4 、nおよびR3 は前述したものと同一意義
を有し、Yはハロゲン原子を示し、mは1または2を示
す)
【0017】かかるハロゲン化アミノベンゼンの具体例
としては、下記の式で示されるハロゲン化アミノベンゼ
ン化合物が挙げられる。但し、これらの式において、Y
1 の例としては、ClまたはBrが挙げられる。
【0018】
【化6】
【0019】側鎖および/または末端にアミノ基を有す
るPASの製造に使用する、上記のジハロゲン化物とア
ミノ基を置換基として有するハロゲン化物の混合体
(b)中のジハロゲン化物(b1)とアミノ基を置換基
として有するハロゲン化物(b2)との割合は格別限定
されるものではないが、他のポリマーとの相溶性および
金属その他の無機基材との接着性の向上という見地か
ら、該混合物中に(b2)が0.2〜25モル%含まれ
ることが望ましい。また、この混合物中にパラ体のジハ
ロゲン化物が85モル%以上含まれることが好ましい。
【0020】エポキシ変性PASの製造に使用する側鎖
および/または末端にアミノ基を有するPASは、その
骨格は次の式(IV)で表わされるアリーレンサルファイ
ド結合からなるか、または該アリーレンサルファイド結
合(IV)を主成分とし、
【0021】
【化7】 次の式(V)で示されるエーテル結合、次の式(VI)で
示されるスルホン結合、次の式(VII )で示されるビフ
ェニル結合、次の式(VIII)で示される置換フェニルス
ルフィド結合(但し、式(VIII)中、R5 はアルキル、
ニトロ、フェニル、アルコキシ、カルボキシル基を示
す。)、次の式(IX)で示される3官能結合で例示され
るような共重合成分から導かれる結合を劣成分として含
有していてもよい。但し、当該共重合成分は、30モル
%未満であることが好ましい。
【0022】
【化8】
【0023】アミノ基を有するPASと反応せしめる分
子中に少くとも2つのエポキシ基を有するエポキシ樹脂
の具体例としては、共役または非共役ジエン、共役また
は非共役環状ジエンまよび共役または非共役ジエンを有
する不飽和カルボン酸エステルなどのエポキシ化物、脂
肪族ジオール、脂肪族の多価アルコール、ビスフェノー
ル類、フェノールノボラックおよびクレゾールノボラッ
クなどとエピクロルヒドリンまたはβ−メチルエピクロ
ルヒドリンとを反応させて得られるポリグリシジルエー
テル、ジカルボン酸とエピクロルヒドリンまたはβ−メ
チルエピクロルヒドリンとを反応して得られるポリグリ
シジルエステルなどが挙げられる。これらのエポキシ樹
脂は単独でもまたは2種以上を組合せ用いてもよい。
【0024】次いで、第1の製法においては、上記のよ
うにして得られた側鎖および/または末端にエポキシ基
を有するPASとポリエステルとを反応させる。ここで
使用するポリエステルは、エポキシ基に結合してグラフ
ト鎖を形成するために、少くとも一方の末端に水酸基ま
たはカルボキシル基をもたねばならない。ここで使用す
るポリエステルとしては、例えば、テレフタル酸、イソ
フタル酸、オルソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、
4,4′−ジフェニルカルボン酸、ジフェニルエーテル
カルボン酸、α,β−ビス(4−カルボキシフェノキ
シ)エタン、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、
デカンジカルボン酸、ドデカンジカルボン酸、シクロヘ
キサンジカルボン酸、ダイマー酸などのジカルボン酸ま
たはそのエステル形成性誘導体とエチレングリコール、
プロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオ
ール、ネオペンジルグリコール、ヘキサンジオール、オ
クタンジオール、デカンジオール、シクロヘキサンジメ
タノール、ハイドロキノン、ビスフェノールA、2,2
−ビス(4−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン、
キシリレングリコール、ポリエチレングリコール、ホリ
テトラメチレンエーテルグリコール、両末端が水酸基で
ある脂肪酸ポリエステルオリゴマーなどのグリコールと
の重縮合;グリコール酸、ヒドロキシ酢酸、ヒドロキシ
安息香酸、ヒドロキシフェニル酢酸、ナフチルグリコー
ル酸などのようなヒドロキシカルボン酸の重縮合;プロ
ピオラクトン、ブチロラクトン、バレロラクトン、カプ
ロラクトンのようなラクトン化合物の重縮合;ならびに
上記ジカルボン酸とジオールとヒドロキシカルボン酸お
よび/またはラクトン化合物との共重合により得られる
ポリエステルが挙げられる。
【0025】上記ポリエステルは、コモノマー成分とし
て、熱可塑性を保持し得る範囲内でトリメチロールプロ
パン、トリメチロールエタン、グリセリン、ペンタエリ
スリトール、トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリ
ット酸のような多官能性エステル形成性成分を含んでい
てもよい。また、ジブロモテレフタル酸、テトラブロモ
テレフタル酸、テトラブロモフタル酸、ジクロロテレフ
タル酸、テトラクロロテレフタル酸、1,4−ジメチロ
−ルテトラブロモベンゼン、テトラブロモビスフェノー
ルA、テトラブロモビスフェノールAのエチレンオキサ
イド付加物のような芳香族核に塩素や臭素のようなハロ
ゲンを置換基として有し、かつエステル形成性基を有す
るハロゲン化合物を共重合した熱可塑性ポリエステル樹
脂も含まれる。
【0026】ポリエステルの特に好ましい例としては、
ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレ
ート、ポリヘキサメチレンテレフタレート、ポリ(エチ
レン・ブチレンテレフタレート)、ポリ(シクロヘキサ
ンジメチレンテレフタレート)、ポリ(ブチレン・テト
ラメチレン・テレフタレート)、2,2−ビス(β−ヒ
ドロキシエトキシテトラブロモフェニル)プロパンとの
共重合ポリブチレンテレフタレートなどが挙げられる。
【0027】第1の製造方法における上記エポキシ変性
PASとポリエステルとの反応は極性有機溶媒中で行わ
れる。極性有機溶媒としては、例えば、N−メチル−2
−ピロリドン、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルム
アミドなどが挙げられる。反応温度および反応時間は一
般に150〜300℃、好ましくは180〜280℃お
よび0.5〜10時間の範囲で選ぶことができる。
【0028】エポキシ変性PASとポリエステルの使用
割合は任意に設定できるが、エポキシ変性PASが通常
1〜99重量%、好ましくは5〜95重量%、ポリエス
テルが通常99〜1重量%、好ましくは95〜5重量%
である。かくして、次式(II)または(III )で表わさ
れるグラフト鎖を有するPASが得られる。
【0029】
【化9】 上式においてR1 、R2 およびR3 は前述と同一の意義
を有する。
【0030】本発明の第2の製造方法においては、側鎖
および/または末端にアミノ基を有するPAS(アミノ
基含有PAS)とポリエステルと分子中に少くとも2つ
のエポキシ基を有するエポキシ樹脂の3成分を反応させ
て、側鎖および/または末端に前記式(II)または(II
I)で表わされるグラフト鎖を有するPASを直接得るこ
とができる。第2の製造方法において用いるアミノ基含
有PAS、ポリエステルおよびエポキシ樹脂の3反応成
分の具体例としては第1の製造方法において示したもの
が挙げられる。
【0031】第2の製造方法において用いられる極性有
機溶媒としては第1の製造方法において例示したものと
同様なものを用いることができる。第2の製造方法にお
ける反応温度および反応時間は一般に室温〜300℃、
好ましくは180〜280℃および0.5〜50時間の
範囲で選ぶことができる。アミノ基含有PAS、ポリエ
ステルおよびエポキシ樹脂の使用割合に関し、アミノ基
含有PASとエポキシ樹脂の使用量の割合は、アミノ基
含有PAS100重量部に対してエポキシ樹脂が0.5
重量部以上、好ましくは1〜70重量部である。また、
アミノ基含有PASとポリエステルの使用量の割合は、
アミノ基含有PASが通常1〜99重量%、好ましくは
5〜95重量%、ポリエステルが通常99〜1重量%、
好ましくは95〜5重量%である。
【0032】第1および第2の両製造方法において、反
応終了後、生成物を濾別し、アセトンなどで洗浄し、次
いで加熱乾燥することによって、式(II)または(III
)で表わされるグラフト鎖を有するポリアリーレンサ
ルファイド−ポリエステルグラフト共重合体が得られ
る。ポリエステルのグラフト率は通常0.5モル%以上
であるが、1〜70モル%が好ましい。グラフト率が
0.5モル%未満では本発明の目的を達成し得ない。こ
の共重合体の生成は、後記実施例に示すように、反応生
成物からポリエステルを溶剤で抽出除去した後その不溶
部の赤外吸収スペクトルを測定し、ポリエステル成分に
起因する吸収の有無を観察することによって確認され
る。
【0033】本発明の方法で得られたグラフト共重合体
は、諸物性を付与する目的から、必要に応じてガラス繊
維、炭素繊維、金属繊維、アラミド繊維、繊維状チタン
酸カリウム、アスベストおよび炭化ケイ素や窒化ケイ素
等を初めとする各種のウイスカー等の繊維状無機充填
剤、グラファイト、炭酸カルシウム、マイカ、シリカ、
窒化ホウ素、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、カオリ
ン、クレー、バィロフィライト、ベントナイト、セリサ
イト、ゼオライト、雲母、ネフェリンシナイト、フェラ
イト、アタパルジャイト、ウォラストナイト、ケイ酸カ
ルシウム、炭酸マグネシウム、ドロマイト、三酸化アン
チモン、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化チタン、酸
化鉄、二硫化モリブデン、黒鉛、石こう、ガラス粉、ガ
ラスビーズ、石英、石英ガラス、鉄、亜鉛、銅、アルミ
ニウム、ニッケル等の無機充填剤を一種または二種以上
配合することができる。
【0034】
【実施例】以下、実施例について本発明のPAS−ポリ
エステルグラフト共重合体の製法を具体的に説明する。参考例1 (側鎖にアミノ基を有するポリフェニレンサルファイド
(PPS)の合成)容量1リットルの撹拌機付のオート
クレーブ中に、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)
250mlとNa2 S(含水量40重量%)127g
(0.98モル)とNaOH0.31gを仕込み、窒素
雰囲気中で撹拌しながら約2時間かけて205℃にまで
徐々に昇温させて脱水した。その後、反応系を150℃
にまで冷却し、反応系にパラジクロルベンゼン140g
(0.95モル)、p−ジクロルアニリン8g(0.0
5モル)と1,2,4−トリクロルベンゼン0.5g
(0.003モル)をNMP80g中に溶解した溶液を
加え、更に1時間かけて250℃にまで昇温し、2時間
反応を行った。反応終了後、オートクレーブを室温にま
で冷却し、内容物を濾別し、反応生成物である濾過ケー
キを50℃で脱イオン水で3回洗浄し、副生した食塩や
その他の未反応物を除き100℃で乾燥してアミノ基を
有するPPS樹脂を得た。アミノ基含有量は3.5モル
%であった。
【0035】参考例2 (側鎖にエポキシ基を有するPPSの合成)エポキシ樹
脂(油化シェルエポキシ(株)製エピコート828)
3.6g(アミノ化PPSのアミノ基に対して2倍モ
ル)にN−メチル−2−ピロリドン(NMP)100m
lを加え、溶解したのち、アミノ基を有するPPS15
gを加え、180℃で1時間撹拌を行いながら反応を行
った。室温にまで放冷したのち、反応スラリーを濾過し
て得たケーキをアセトンで十分洗浄し、150℃で1晩
減圧乾燥して、反応生成物を得た。
【0036】その生成物についてフィルム法で赤外吸収
スペクトルを測定した。得られたチャートを図1に示
す。比較のために、アミノ化PPS(エポキシ未変性P
PS)について同様に得た赤外吸収スペクトルを図2に
示す。反応前のアミノ基を有するPPSに見られた34
00cm-1付近のアミノ基のN−H伸縮振動に起因する
赤外吸収が減少し、エポキシ基のC−O伸縮振動に基づ
く吸収が1250cm-1および830cm-1付近に見ら
れ、PPS側鎖にエポキシ基が導入されたことが確認さ
れた。
【0037】得られた変性PPSのエポキシ量は赤外吸
収スペクトルにより次の方法で求めた。アミノ基量を種
々変えてアミノ化PPSを合成し、得られたポリマー粉
体を熱プレスしてフィルムとし、赤外分光(IR)分析
法より、アミノ基N−H伸縮振動の3400cm-1とベ
ンゼン環C=C伸縮振動の1400cm-1の吸光度比か
ら検量線を作成した。この検量線から変性前のアミノ化
PPSと変性後のPPSのアミノ基の量を求め、両者の
差からアミノ基が変性後では1.3モル%減少したこと
が認められた。この減少した分に相当するアミノ基は上
記エポキシ樹脂のもつ片方のエポキシ基と反応したもの
であり、従って、エポキシ量は1.3モル%である。
【0038】実施例1〜4 参考例2の反応で得た側鎖にエポキシ基を有する変性P
PSとポリブチレンテレフタレート(PBT)(帝人
(株)製TRB−K)をN−メチル−2−ピロリドン
(NMP)100ml中に表1に示す所定量を加え、表
1に示した所定の条件で加熱撹拌して反応を行った。得
られた反応スラリーを濾過したのち、得られたケーキを
アセトンで洗浄し150℃で1晩減圧乾燥した。
【0039】乾燥後得られた粉末をPBTの選択的な溶
媒である1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2
−プロパノール(HFIP)でソックスレー抽出を行
い、その不溶部の赤外吸収スペクトルを測定したとこ
ろ、図3に示すとおり、PPSの吸収の他にPBTに起
因する吸収が見られ、グラフト共重合体の生成が確認さ
れた。
【0040】グラフト率〔(グラフトしたPBTの重量
/幹のPPSの重量)×100%〕 を不溶部の赤外吸収スペクトルから求めた。すなわち、
予め未変性のPPSとPBTを種々の割合でブレンドし
たものから作成した検量線を用いてPBTのC=O伸縮
振動に基づく1720cm-1とベンゼン環のC=C伸縮
振動に基づく1580cm-1の吸光度の比からグラフト
率を求めた。また、反応生成物を熱プレスしてフィルム
状に成形した長さ80mm、幅10mm、厚み50μm
の試験片についてチャック間距離40mm、引張速度2
0mm/分で引張試験を行った。得られた引張強度およ
び破断伸度を表1に示す。
【0041】
【表1】
【0042】実施例5および6 エポキシ樹脂(油化シェルエポキシ(株)製エピコート
828)1.20gにNMP100mlを加え溶解した
のち、アミノ基を有するPPSとPBT(帝人(株)製
TRB−K)を表1に示す量加え、所定温度で加熱撹拌
して反応を行った。得られた反応スラリーを濾過したの
ち、得られたケーキをアセトンで洗浄し、150℃で1
晩減圧乾燥した。グラフト率の測定および引張試験は実
施例1と同様に行った。結果を表2に示す。
【0043】
【表2】
【0044】比較例1 参考例1で得たアミノ基を有するPPS2.50gとパ
ウダー状に粉砕したPBT(帝人(株)製TRB−K)
2.50gをパウダーのままヘンシェルミキサーでドラ
イブレンドした。得られたブレンドから成形したフィル
ム状試験片について引張試験を実施例1と同様に行っ
た。結果を表1および表2に示す。HFIP抽出後の不
溶分にPBTの赤外吸収スペクトルが見られず、グラフ
ト反応は起っていないと推測される。
【0045】比較例2 参考例1と同様にして得たアミノ基を有するPPS25
0gと実施例1で用いたPBT250gとエポキシ樹脂
(エピコート828)12gを良くドライブレンドした
後異方向回転型20mm2軸押出機を用いて300℃で
溶融混練を行ってペレットを得た。ペレットを粉砕して
得た粉末を用い、実施例1と同様にしてグラフト率の測
定および引張試験を行った。グラフト率は4.3%、引
張強度は2.5kgf/mm2 、伸度は1.4%であった。
【0046】
【発明の効果】本発明の製造方法により得られるPAS
−ポリエステルグラフト共重合体は、金属との接着性に
優るとともに、他の樹脂との相溶性に優れ、他の樹脂、
特にナイロン、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォ
ン、ポリフェニレンオキシド、ポリテトラフルオロエチ
レン、ポリアリレートなどとのポリマーアロイは引張強
度、耐衝撃性その他の機械的特性に優る。従って、本発
明のグラフト共重合体を含むポリマーアロイは構造材料
用または機械部品などとして有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】エポキシ変性PPSの赤外吸収スペクトル。
【図2】アミノ化PPS(エポキシ未変性PPS)の赤
外吸収スペクトル。
【図3】PPS−ポリエステルグラフト共重合体の赤外
吸収スペクトル。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 池田 忠生 埼玉県入間郡大井町西鶴ケ岡一丁目3番1 号 東燃株式会社総合研究所内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 側鎖および/または末端にエポキシ基を
    有する変性ポリアリーレンサルファイドとポリエステル
    とを極性有機溶媒中で反応させることを特徴とするポリ
    アリーレンサルファイド−ポリエステルグラフト共重合
    体の製造方法。
  2. 【請求項2】 側鎖および/または末端にアミノ基を有
    するポリアリーレンサルファイドとポリエステルと分子
    中に少くとも2つのエポキシ基を有するエポキシ樹脂と
    を極性有機溶媒中で反応させることを特徴とするポリア
    リーレンサルファイド−ポリエステルグラフト共重合体
    の製造方法。
JP1958192A 1992-01-08 1992-01-08 ポリアリーレンサルファイド−ポリエステルグラフト共重合体の製造方法 Pending JPH05186580A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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