JPH051707Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は自動二輪車の車体と車軸間に介装され
て路面からの振動を減衰するフオークを緩衝器を
兼ねたフロントフオーク等の油圧緩衝器に関す
る。

〔従来の技術〕

この種、従来のフロントフオークたる油圧緩衝
器としては、第２図に示すように、アウターチユ
ーブ１内にインナーチユーブ３が摺動自在に挿入
され、アウターチユーブ１の下部中央からダンパ
ーシリンダ４が起立し、ダンパーシリンダ４内に
はピストン５を介してピストンロツド６が移動自
在に挿入され、ダンパーシリンダ４の内部上端部
にベアリング７と上部シート１０を設け、ピスト
ンロツド６の一部中空ロツド６ａ外周に下部シー
トたるナツト１１を螺合させ、上下のシート間に
クツシヨンスプリング１２を設けたのが開発され
ている。上記の油圧緩衝器は伸長時にナツト１１
がクツシヨンスプリング１２を押し上げ、最圧縮
時近くでクツシヨンスプリング１２を圧縮してク
ツシヨンを効かせ、緩衝を緩和している。

〔考案が解決しようとする課題〕

上記従来の油圧緩衝器では、最圧縮時にクツシ
ヨンスプリング１２を介してクツシヨンを効かせ
ているが、伸切り荷重はベアリング７と、ナツト
１１を介してピストンロツド６とが担持すること
になり、この荷重に耐えるようにするためにはど
うしてもピストンロツド６やベアリング７自体を
大径にしたり、肉厚に成形したり、強度のある材
質を使用せざるを得ず、重量が嵩み、コストがア
ツプする。

そこで、本考案の目的はピストンロツドとベア
リングに大きな伸切り荷重が作用せず、軽量な材
質を使用でき、コストダウンを計れるフロントフ
オークの使用に敵する油圧緩衝器を提供すること
ができる。

〔課題を解決するための手段〕

上記の目的を達成するため、本考案の構成は、
アウターチユーブ内にインナーチユーブが摺動自
在に挿入され、アウターチユーブの下部中央から
ダンパーシリンダが起立し、ダンパーシリンダ内
にピストンを介してピストンロツドが移動自在に
挿入されている油圧緩衝器に於て、ダンパーシリ
ンダ内の上部に設けたシートとピストンロツドの
下部外周に設けたシート間にスプリングを介装さ
せ、ダンパーシリンダの外周上部にストツパを設
け、インナーチユーブの内周下部に前記ストツパ
と対向する係止部を設け、スプリングの最圧縮時
手前で係止部がストツパに当接することを特徴と
するものである。

〔作用〕

伸長時に於て、クツシヨン用のスプリングが最
圧縮直前にストツパに係止部が当接し、伸切り荷
重をインナーチユーブ側の係止部とダンパーシリ
ンダ側のストツパとで担持させ、ピストンロツド
とベアリングにはほとんどかからない。

〔実施例〕

以下本考案の実施の一例を第１図にもとづいて
説明する。

アウターチユーブ１内にベアリング２とシール
部材２ａを介してインナーチユーブ３が摺動自在
に挿入され、アウターチユーブ１の下部中央にダ
ンパーシリンダ４が起立し、ダンパーシリンダ４
とアウターチユーブ１とインナーチユーブ３とで
ダンパーシリンダ４の外側にリザーバＣを区画し
ている。リザーバＣは下部油室と上方の空気室と
から成つている。

ダンパーシリンダ４内にはピストン５とベアリ
ング７を介してピストンロツド６が移動自在に挿
入され、ピストン５はダンパーシリンダ４内に上
部油室２２と下部油室２３を区画している。

ピストンロツド６は中空ロツド６ａとこの中空
ロツド６ａに螺合されたロツド６ｂとから構成さ
れている。

ピストン５には二つの油室２２，２３を連通さ
せる伸ポート３８と図示しない圧ポートとが形成
され、伸ポート３８の下部口端には伸側リーフバ
ルブが開閉自在に設けられ、圧ポートの上部口端
には圧側バルブを兼ねるチエツクバルブ３４が開
閉自在に設けられている。

チエツクバルブ３４の基端はカラーの外周に上
下移動自在に挿入され、常時圧ポートを閉じる方
向にスプリング３９で付勢されている。

ピストンロツド６にはダンパーシリンダ４内の
上部油室２２とリザーバＣとを接続する通路４０
が設けられ、この通路４０は、中空ロツド６ｂに
設けた通孔と中空部とロツド６ａに設けた縦方向
の通孔と横方向の通孔とから構成されている。

中空部４０ｂ内にはニードル型又はポベツト型
の減衰力調整用のバルブ４１が上下移動自在に挿
入され、このバルブ４１の弁頭は縦方向の通路の
口端に開閉自在にシートされている。

バルブ４１の上部には中空コントロールロツド
４３が当接し、バルブ４１の下部にはスプリング
が介装され、スプリングは弁頭を開く方向に付勢
している。

コントロールロツド４３は外部から駆動される
駆動部材たるプツシユロツド、及びスペーサと連
動し、プツシユロツド４５をスプリングに抗して
押し込むとバルブ４１が下降し、弁頭のシート部
に対する開度が調整できるようになつている。

バルブ４１には通孔が形成され、コントロール
ロツドにも通孔４８が形成されて中空部に開口し
ている。

デイスク３１には横方向の通孔に開口する通孔
と上部油室２２に開口する通孔とが形成され、こ
れらの通孔は通路４０の一部を構成し、一方の通
孔の口端にチエツクバルブ３４が対向して配置さ
れ、ピストン５の伸縮に伴なつて通路４０を開閉
するようになつている。

ダンパーシリンダ４の上部にはベアリング７に
当接する上部シート１０が設けられ、ピストンロ
ツド６の一部たる中空ロツド６ａ外周には下部シ
ートたるナツト１１が螺合され、各シート間にク
ツシヨンスプリング１２が介装されている。

ダンパーシリンダ４の外周上部にはスナツプリ
ング等で係止されたストツパ８が設けられ、他方
インナーチユーブ３の下部内周にはストツパ８と
対向する係止部９が設けられ、係止部９はスペー
サ１３，１４を介して固定され、スペーサ１４は
かしめにより固定されている。

伸長時に於て、クツシヨンスプリング１２の巻
線が密着する、いわゆるスプリングの最圧縮時の
手前、いいかえれば直前に、係止部９がストツパ
８に当接するように寸法関係を設定している。

従つて、伸長作動時に於て、最圧縮近傍ではナ
ツト１１がクツシヨンスプリング１２を押し上
げ、これを撓わすために、クツシヨンが効き、衝
撃が緩和される。しかもスプリング１２の最圧縮
時の手前になると、係止部９がストツパ８に当接
し、スプリング１２はそれ以上撓まない。この
為、伸切り荷重はインナーチユーブ３側の係止部
９とダンパーシリンダ４側のストツパ８とが担持
し、ピストンロツト６とベアリング７にはほとん
ど作用しない。

〔考案の効果〕

本考案によれば、スプリングの最圧縮時手前で
係止部がストツパに当接するから伸切り荷重はこ
の係止部とストツパとが担持し、ピストンロツド
やベアリングにはほとんど作用しない。この為ピ
ストンロツドやベアリングを大径にしたり、肉厚
にしたり、強度のある材料で成形する必要がな
く、軽量でコストダウンを計れる。

係止部がストツパに当るまではリザーバ内の流
路を遮断せず、流路面積も十分に確保できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例に掛かる油圧緩衝器
の一部切欠き断面図、第２図は従来の油圧緩衝器
の一部切欠き断面図である。 １……アウターチユーブ、３……インナーチユ
ーブ、４……ダンパーシリンダ、５……ピスト
ン、６……ピストンロツド、８……ストツパ、９
……係止部、１０，１１……シート、１２……ス
プリング。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. アウターチユーブ内にインナーチユーブが摺動
   自在に挿入され、アウターチユーブの下部中央か
   らダンパーシリンダが起立し、ダンパーシリンダ
   内にピストンを介してピストンロツドが移動自在
   に挿入されている油圧緩衝器に於て、ダンパーシ
   リンダ内の上部に設けたシートとピストンロツド
   の下部外周に設けたシート間にスプリングを介装
   させ、ダンパーシリンダの外周上部にストツパを
   設け、インナーチユーブの内周下部に前記ストツ
   パと対向する係止部を設け、スプリングの最圧縮
   時手前で係止部がストツパに当接することを特徴
   とする油圧緩衝器。