JPH0516881U - 脱臭便器 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 構造が簡単で、吸着剤の交換や、再生の手間
を必要としない、メンテナンスフリーの脱臭便器を提供
する。 【構成】 便器本体に設ける排気通路内面、ボール部内
面、若しくは便器本体や便座、ロータンク等の便器構成
体外表面の少なくとも一部に、光励起触媒等臭気を吸着
し、かつ外的要因により臭気を分解する物質の発生を促
す触媒を付着形成する。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、必要な外的要因を付加することにより永続的に便所の臭気を除くこ とができる便器に関する。

【０００２】

【従来の技術】

従来の脱臭便器は、便器にボール部の空気を吸引して便器外に排気する排気通 路を設けこの排気通路に活性炭などの吸着剤を配備して臭気成分をこの吸着剤に 吸着させて除去するようにしたり、さらには排気通路に芳香剤も配備して芳香剤 によるマスキング効果を付与するようにしている。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

上述したように、従来の脱臭便器は、発生した臭気を活性炭などの吸着剤に吸 着させて除去するものであるので、高濃度の臭気成分に晒されると短時間で脱臭 性能が低下する。また上記吸着剤の吸着できる吸着成分量には限界があるため一 定時間使用後は吸着剤を排気通路から取り出して交換するか、排気通路から取り 出したうえで再生させる必要があった。 そのため、排気通路に吸着剤を着脱自在に収容するためのスペースと、吸着剤 の着脱のための特別の構造を必要とし、構造の複雑化と大型化を招いていた。 また、吸着剤の交換や、再生が面倒であるばかりで無く、吸着剤交換のための ランニングコストも高かった。

【０００４】 本考案は、従来技術が有する上記問題点に鑑みてなされたもので、その目的と するところは、吸着剤を収納配備するためのスペースや、吸着剤を着脱するため の特別の構造を必要とせず、構造が簡単でコンパクトであるばかりでなく、吸着 剤の交換や、再生の手間を必要とせず、ランニングコストも低い、メンテナンス フリーの脱臭便器を提供することにある。

【０００５】

【課題を解決するための手段】

上記目的を達成するために本考案の脱臭便器では、便器本体にボール部内の空 気を強制的に便器外に排出するための排気通路を設け、該排気通路の内面に臭気 成分を吸着し、かつ外的要因により臭気成分を分解する物質の発生を促す触媒を 付着するものである。 また、便器本体のボール面、便器構成体である便器本体、ロータンク、便座の 内少なくともその一つの表面に上記触媒を付着してもよい。 上記、触媒としては光励起触媒、オゾン脱臭触媒等が望ましい。 尚、この発明において便器とは便器本体のみならず、便座や便器本体に一体的 若しくは密結状に設けられる洗浄水タンクをも包含する。

【０００６】

【作用】

以上のように構成した請求項１記載の脱臭便器にあっては、ボール内の空気が 排気通路を通って排気される際、排気通路内面に付着した触媒が排気通路を流れ る空気中の臭気を一旦吸着し、その吸着した臭気成分を触媒に加えられる所定の 外的要因により発生する臭気成分を分解する物質により分解除去する。これによ り触媒は吸着、再生を自動的に繰り返し永続的に脱臭機能を発揮する。 また請求項２以下に記載の脱臭便器にあっては、排便による臭気が強制的に触 媒のところへ導かれはしないが、便器の陶器面に付着した触媒が排便による臭気 以外にも便所室内に漂う色々な臭気成分を吸着し、更に所定の外的要因によりこ の触媒が臭気成分を分解する物質の発生を促して、その発生する物質が触媒に吸 着された臭気は勿論、吸着されずに漂っている便所室内全体の臭気をも分解して 脱臭する。

【０００７】

【実施例】

以下本考案の実施例を図に基づいて説明する。 図１に示す実施例は、便器本体ボール部の空気を吸引して脱臭し、便器外に排 気する排気通路を備えるタイプの脱臭便器で、図中１は陶器製の便器本体、２は 該便器本体１に内設した排気通路であり、その入口３がボール部４上縁のリム部 ５の後方部位よりボール部４内に臨んで開口し、出口６が便器本体１の外周面の 適当な場所、例えば背面に開口している。

【０００８】 上記排気通路２には、少なくともその一部区間の陶器面に外的要因により臭気 成分を分解除去する物質を発生する触媒７の層７´として光励起触媒７の層７´ を形成すると共に該光励起触媒層７´の近傍に光源設置部８を設ける。 また、排気通路２には排気ファン１０を配設して入口５からボール部４の空気 を吸引し、出口６から便器外部へ排気し得るようになす。

【０００９】 上記光励起触媒７は、例えばＴｉＯ₂ またはＴｉ０₂ に波長調整のためにＳｎ Ｏ₂ 、ＷＯ₃ 、Ｙ₂ Ｏ₃ 等の添加物を添加させたものを原料として構成され、光 照射により光エネルギーを吸収して励起されることにより、活性化し、酸化、還 元反応を駆動するものであり、焼成後の便器本体１に吹き付けなどの手段により 塗付することにより層状に形成するか、焼成前の便器本体１に触媒７を塗布して 便器本体焼成時にこれと一緒に焼成して層状に形成する。 また、上記光励起触媒７の層７´は、悪臭物質を一旦吸着保持させるために比 表面積を大きく形成する。 上記悪臭物質の吸着保持のためには、陶器面にハニカム状に形成した活性炭等 の吸着剤層を設けてその表面に光励起触媒層７´を形成することも可能である。

【００１０】 一方、上記光源設置部８には、光励起触媒層７´に光励起触媒のバンドギャッ プ以上のエネルギーを持つ光である波長４１０ｎｍ以下の紫外線を含む光線を照 射する短波長光ランプからなる光触媒励起光源９を配設する。 この光触媒励起光源９は、指向性を有し光励起触媒層７´のみを照射する照射 角度とされる。

【００１１】 以上のように構成した本実施例の脱臭便器においては、排気ファン１０を始動 し、光触媒励起光源９を点灯すれば、便器本体ボール部４の空気は、排気通路２ に吸引され、光励起触媒層７´形成部分を通過してその出口６から便器外に排気 されるが、その際、臭気成分が光励起触媒層７´に吸着され、しかも光励起触媒 層７´には４１０ｎｍ以下の紫外線を含む光線が照射されているため、光励起触 媒７に臭気成分の分解作用が生じ、光励起触媒層７´に吸着された臭気成分およ び該部を通過する空気中の臭気成分は分解されて無臭化する。即ち、光励起触媒 層７´に紫外線が照斜されることにより、触媒に励起反応が起こり、触媒から電 子が飛び出してそのあとに正孔ができ、この正孔に表面にある水分から電子が取 り込まれて表面にＯＨラジカルが発生すると共に、上記励起して飛び出した電子 が表面付近の酸素にくっついてスーパーオキサイドイオンが発生し、これらＯＨ ラジカルとスーパーオキサイドイオンが光励起触媒に吸着した臭気成分及び排気 通路を通過する臭気成分を攻撃してこれを無臭化する。 従って、これにより光励起触媒層７´の臭気吸着能力も自動的に再生する。 上記排気ファンの始動と及び光触媒励起光源の点灯は、便器に臭いセンサー（ 図示せず）を設けて該センサーの信号をコントローラー（図示せず）に取り込み 、例えばセンサーが一定レベル以上のアンモニアなどの臭いを検出すると排気フ ァンを始動し、光触媒励起光源を点灯するように制御するのが望ましい。 なお、光励起触媒層７´を活性炭など吸着力の強い吸着剤層と一体的に形成す る場合には、光触媒励起光源９の点灯を間欠的に行うようにすることも可能であ る。

【００１２】 上述のように光励起触媒７は、光という外的要因により臭気成分を分解する物 質の発生を促すものであるが、上記実施例の光励起触媒７に代えて光以外の外的 要因により臭気成分を分解する物質の発生を促す触媒を用いてこれを排気通路２ の通路面に層状に形成することも可能である。 光以外の外的要因により臭気成分を分解する物質のを発生を促すものとしては 、臭気を吸着しかつオゾンとの接触により吸着した臭気成分をオゾン分解する触 媒７０（オゾン脱臭触媒）、例えば、アルミナ、シリカ、アルミナ−シリカ、ベ ントナイト、珪藻土、シリコン−カーバイド、チタニア、ジルコニア、マグネシ ア、コディライト、ムライト、活性炭等の担体に、マンガン、鉄、ニッケル、コ バルト、銀、白金、パラジウム、ロジウム、クロム、モリブデン、鉛、チタン、 タングステン、バナジウム等の金属、またはその酸化物を担持したものが考えら れる。 この場合、光触媒励起光源９に代えて図３に示すようにオゾン発生器９０を排 気通路２内に配設するようになすことにより、便器本体ボール部４から吸引され 排気通路２を経て排気される空気の臭気成分を、オゾン発生器９０における放電 作用により発生するオゾンと接触させて分解消臭すると共に触媒層にも吸着させ て除去し、さらにこの触媒層７０´に吸着した臭気成分もオゾンとの接触により 分解して触媒７０を再生することができ、前述した実施例と同様の効果を期待で きる。

【００１３】 次に、図４および図５は、排気通路等便器本体ボール部の空気を排気するため の構造を設けたり、ファン等の動力を用いたりしないタイプの脱臭便器の実施例 を示すもので、図４の実施例は、外的要因により臭気を分解する物質を発生する 触媒７の層７´を、従来周知の一般的な便器本体と同じ構造の便器本体１のボー ル部４内面、とくにその留水面より上方の面４´に層状に形成したものである。

【００１４】 上記触媒７は、前記した光励起触媒であり、便器表面に図１の実施例で説明し たのと同じ方法で、上記留水面より上方のボール部面４´、望ましくは上縁リム 部５の内周面にまで層状かつ一体的に形成する。 この実施例の場合、光励起触媒７に対応する光触媒励起光源９は、便所室の照 明として便所室天井に設けたり、便座１１に設けるなど様々な場所に設置するこ とが考えられるが、ボール部４内に臨ませて便座１１に設置するのが好適である 。 しかして、この実施例の脱臭便器によれば、排便などによりボール部４内に発 生する臭気はボール面４´の光励起触媒層７´に吸着されるが、光触媒励起光源 ９の点灯により、光励起触媒層７´には４１０ｎｍ以下の紫外線を含む光線が照 射されるため、光励起触媒に臭気成分の分解作用が生じ、光励起触媒層７´に吸 着された臭気成分は分解されて無臭化する。そして、この臭気成分の分解により 光励起触媒層´の吸着力は回復する。

【００１５】 なお、このように外的要因により臭気成分を分解する成分を発生する触媒をボ ール部４内面に層状に付着形成するものにおいては、上記光励起触媒７に代えて 、臭気成分を吸着し、かつ特定の薬品に反応して臭気成分を分解する物質を発生 するような触媒を、留水面より上方のボール部内面に層状に形成し、ロータンク 内の洗浄水に上記薬品を添加して洗浄水と共に薬品をボール部に供給するように なせば、便器が汚物だけでなく臭気も捕獲して、汚物と臭気を洗浄水で洗い流す ようにすることも可能になる。

【００１６】 次に、図５の実施例は、外的要因により臭気を分解する物質を発生する触媒７ の層７´を便器の広い面積に亘って付着形成することにより、排便時における悪 臭のみならず便所室内全体の様々な臭いを脱臭除去しようとするもので、外的要 因により臭気を分解する物質を発生する触媒として光励起触媒７を用い、これを 便器本体１およびこれに密結状に設けるロータンク１２の外表面全面に一体的に 付着形成している。 この実施例の場合、光触媒励起光源９は、図示のように便所壁面または床面に 設置することになる。

【００１７】 この実施例によれば、光励起触媒層７´が便所室内の臭気成分を吸着し、光触 媒励起光源９の点灯により、光励起触媒層７´には４１０ｎｍ以下の紫外線を含 む光線が照射されるため、光励起触媒７に臭気成分の分解作用が生じ、光励起触 媒層７´に吸着された臭気成分は分解されて無臭化する。従って、便所室内全体 の脱臭ができる。

【００１８】 これら図４，図５の実施例のものは、図１の実施例のものに比べて脱臭のため のスペースが必要無く、排気通路も必要としないので、便器を上記スペースや、 排気通路を有する特別な構造にする必要がなく、従来の一般的な便器を利用する ことができる利点がある。 また、ファンなどの動力源が必要なく、ファンの騒音、空気の吸い込みに伴う 排気通路入口からの騒音の発生もないという利点がある。

【００１９】

【効果】

本考案は、以上のように構成したので、下記するような効果を奏する。 （１）吸着剤を収納配備するためのスペースや、吸着剤を着脱するための特別の 構造を必要としないので、構造が簡単でコンパクトである。 （２）吸着剤の交換や、再生の手間を必要としないので、メンテナンスフリーで あり、ランニングコストも低い。 （３）ボール部内面など、外的要因により臭気成分を分解する物質の発生を促す 触媒を付着形成する場所によっては、ファンにより臭気をそこに送り込む必要が ないので、ファンが不要となり、ファンの騒音、排気通路への空気の吸入音など の騒音がない。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の一実施例を示す脱臭便器の要部を切り
欠いて示す平面図。

【図２】図１の（Ｘ）−（Ｘ）線断面図。

【図３】触媒にオゾン脱臭触媒を用いた実施例の要部断
面図。

【図４】本考案の他の実施例を示す断面図。

【図５】本考案のさらに他の実施例を示す斜視図。

【符号の説明】

１ 便器本体（便器構成体） ７ 光励起触媒（臭気を吸着し、かつ外的要因により臭
気を分解する物質の発生を促す触媒） 11 便座 12 ロータンク（便器構成体） 70 オゾン脱臭触媒（臭気を吸着し、かつ外的要因によ
り臭気を分解する物質の発生を促す触媒）

Claims (5)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】便器本体に、ボール部の空気を吸引して便
   器外に排出する排気通路を設け、上記排気通路内面に臭
   気成分を吸着し、かつ外的要因により臭気を分解する物
   質の発生を促す触媒を付着してなる脱臭便器。
2. 【請求項２】便器本体のボール部内面に，臭気成分を吸
   着し、かつ外的要因により臭気を分解する物質の発生を
   促す触媒を付着してなる脱臭便器。
3. 【請求項３】便器本体、便座、便器本体に一体的または
   密結状に設けられるロータンク等便器構成体の少なくと
   も一つの外表面に臭気成分を吸着し、外的要因により臭
   気を分解する物質の発生を促す触媒を付着してなる脱臭
   便器。
4. 【請求項４】触媒が光励起触媒である請求項１乃至３の
   いずれかに記載の脱臭便器。
5. 【請求項５】触媒がオゾン脱臭触媒である請求項１記載
   の脱臭便器。