JPH05163773A - 建築物の施工方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 複雑な出隅及び入隅部の現場での組立を省力
化し、施工期間の短縮化、品質の安定化を図り、また、
輸送コストを低減する。 【構成】 現場に近接した専用工場で出隅及び入隅部の
外壁部を予め組立て現場へ搬入し、これらの出隅及び入
隅部を取付けた後、直線部分の外壁を施工する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、主としてプレハブ住
宅である建築物の施工方法に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来、軸組ーパネル工法のプレハブ住宅
においては、まず、建物全体の壁軸組を取付け、しかる
後、この壁軸組の外側に外壁パネルを取付けるととも
に、内側の内壁を施工するようにしている。また、これ
らの軸組や外壁パネルなどの部材は、予め工場で運搬の
容易な大きさに組立てたものを輸送車両で現場へ搬入す
るようにしている。更に、現場での組立作業は専門の建
方職人が行なうこととされている。

【０００３】他方、出来るだけ工場生産化を図った工法
として、建物を１又は複数の部屋毎に分割して工場で組
立て、これらを現場に搬入して連結するユニット住宅が
知られている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】建物の外壁において最
も施工の面倒な部分は、出隅部と入隅部である。特に、
出隅部等のコーナーに跨ってサッシュが取り付くような
場合には、取付けのための部品数が多く、且つその取付
けも複雑であることから、作業が非常に繁雑となり、施
工時間も長くなる不都合がある。特に、近時、専門の建
方職人の不足から、職人の手配や時間調整に追われ、と
きには職人がいないため長期間施工できないといった不
都合を生じている。更に、かかる繁雑な作業を現場で行
なうと、充分な品質を確保することが困難である。

【０００５】この点で、ユニット住宅は、外壁を含めた
各部分を大きな単位で工場で生産するから、施工期間が
短く、且つ、品質的にも安定したものが得られるという
利点がある。しかしながら、かかるユニット住宅は、非
常に大型のものを輸送しなければならないから、道路事
情によっては運搬できない場合を生じるし、空間部分が
多いから輸送車両一台当りの輸送量が少なく、相対的に
輸送コストが高くなる欠点がある。

【０００６】この発明は、このような従来の欠点を解消
して、ユニット住宅のような輸送上の問題を生じること
がなく、また、現場施工の工数を削減して施工期間を短
くすることを目的とするものである。

【０００７】

【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
め、この出願の第１の発明では、建物の各出隅部或は入
隅部に外壁を予めＬ型に組立てた組立ユニットを先付け
してから、それら出隅及び入隅間の壁を取付けることを
特徴とする。

【０００８】同じく、この出願の第２の発明では、出隅
部或は入隅部の組立ユニットを、施工現場に近接して設
けた専用工場で予め製作することを特徴とする。

【０００９】更に、上記において、組立ユニットをパレ
ット上にセットしてそのパレットとともに現場に搬入
し、また、組立ユニットは、軸組と外壁、或は、それら
に加えて内壁をも一体にすることが考えられる。

【００１０】

【作用】施工の複雑な出隅及び入隅部を予め組立てて現
場へ搬入するので、現場施工が大幅に削減されることに
なる。また、このような組立を、建築現場に近接した専
用工場で行なうことで、輸送が非常に容易で、且つ、タ
イミング良く搬入することが出来る。

【００１１】

【実施例】図６は、出隅及び入隅の組立ユニットをセッ
トして搬送するためのパレットを示しており、Ｈ型鋼の
縦フレーム（１）（１）と、その縦フレーム（１）
（１）間に渡した連結フレーム（２）（２）、及び、４
本の横フレーム（３）とから構成されている。縦フレー
ム（１）には、長手方向の間隔を置いて一対のフォーク
リフト爪挿入穴（４）（４）が形成され、この部分にフ
ォークリフトの爪を挿入して持ち上げて、車両へ載せる
ものである。また、縦フレーム（１）及び横フレーム
（３）には、軸取付け用のボルト穴（５）と位置決め用
のピン（６）とが設けられている。

【００１２】図１は、上記パレット（７）上における出
隅及び入隅部の組立ユニットのセット状態を示してい
る。パレット（７）の上に、まず各組立ユニットに応じ
たフレーム状の治具（９）を、前記取付け用ボルト穴
（５）及び位置決めピン（６）を利用して取付け、この
治具（９）上に、夫々出隅組立ユニット（10）や入隅組
立ユニット（11）をセットする。この実施例では、軸組
（12）と外壁パネル（13）及びサッシュ（14）等からな
る組立ユニットを示しており、まず軸組（12）を前記治
具（９）上に取付けた後、外壁パネル（13）及びサッシ
ュ（14）等を取付ける。また、各外壁パネル（13）間の
目地部にも目地材等を充填する等して、出来るだけ完成
状態に近い状態まで組立てる。図６で示すように、治具
（９）を取付けるためのボルト穴（５）及び位置決めピ
ン（６）は、２本の縦フレーム（１）と４本の横フレー
ム（３）からなる２つの方形部分にそれぞれ分けて設け
られており、これにより、８ヵ所のコーナーにおいて計
８個の組立ユニット（10）（11）をセットすることがで
きるようにしている。更に必要なら、そのパレット
（１）内に別の治具等を取付ける等して、内外２重に組
立ユニットを組立てて、出来るだけ効率良くセットする
とともに運搬コストを低減することができる。

【００１３】上記のようにして、各組立ユニット（10）
（11）をセットした状態で、パレット（７）とともにフ
ォークリフトにより運搬車両に積み込んで、これを近接
した現場まで搬入するものである。そして、図２で示す
ように、現場では、各組立ユニット（10）（11）を治具
（９）より取外し、クレーン等で輸送車両から直接吊り
上げて、基礎（16）上に夫々設置して、これら出隅及び
入隅部の組立ユニット（10）（11）を先に取付けるもの
である。

【００１４】しかる後、図３で示すように、それら組立
ユニット（10）（11）間の直線部分に軸組（12）を取付
け、更にその外側に外壁パネル（13）等を取付けて、外
壁を施工するものである。

【００１５】しかる後、２階建の場合には上記の外壁の
上に更に２階部分の外壁を同様にして取付けた後、図４
で示すように、屋根（17）を施工する。この屋根（17）
においても、母屋（18）と野地板（19）とからなる屋根
パネル（20）を、現場に近接した専用工場で予め組立
て、搬入して設置する。

【００１６】上記において、組立ユニット（10）（11）
は、軸組（12）と外壁までを予め組立てたものを示して
いるが、更に、軸組（14）の内側に内壁材等を取付け
て、内外壁等まで一体にしたものを組立てることによっ
て、より効率良く現場施工の省力化を図ることができ
る。

【００１７】また、組立ユニット（10）（11）の組立
は、造成地等に多数の住宅を建築する場合に、その造成
地の１箇所に専用の組立工場を設け、その建設した組立
工場から現場へ僅かな距離だけを搬送するもので、道路
事情等の輸送の問題を生じることがない。また、その組
立工場は、最終段階で分解して、その敷地部分に更に住
宅を建築するか或いは公共施設等として利用することが
できる。

【００１８】

【発明の効果】以上のようにこの発明によれば、施工の
複雑な出隅及び入隅部を予め組立てて現場へ搬入するの
で、現場施工が大幅に削減され、施工期間を短縮できる
効果がある。しかも、工場での組立てには専門の建方職
人は不要であり、現場の建方職人の人数を削減でき、職
人の手配や時間調整などが大幅に簡略化されて、施工期
間を短縮できる。加えて、複雑な出隅及び入隅部を工場
で組立てるから、品質の優れたものを安定して供給でき
る。

【００１９】他方、上記組立てユニットは、ユニット住
宅に比較して小型であり、運搬上の制約を受けることが
なく、且つ、輸送コストも大きく削減できる。この場
合、この出願の第２の発明では、建築現場に近接した専
用工場で組立てるので、短時間でタイミング良く搬入で
き、現場作業の効率化を促進することが出来るという利
点がある。勿論、かかる専用工場をつくる必要はある
が、例えば大きな団地のような場合には敷地の確保は容
易であり、この工場は最後の段階で取り除くので、この
部分を公共施設或は住宅にすれば良く、団地の面積を不
必要に狭くすることはない。特に、大規模団地は、都市
から大きく離れた地域でないと造成できなくなってお
り、いきおい企業の製造工場から遠く離れることになる
から、このように団地内に仮の専用工場を建てることは
大きなメリットがあるとともに、現場からの意見をフィ
ードバックし易いという大きな利点がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】組立ユニットの組立方法を示す斜視図である。

【図２】組立ユニットの現場での施工方法を示す斜視図
である。

【図３】組立ユニット取付け後の外壁の施工方法を示す
斜視図である。

【図４】屋根の施工方法を示す斜視図である。

【図５】組立ユニットを組立てるパレットの斜視図であ
る。

【符号の説明】

（７） パレット （９） 治具 （10） 出隅組立ユニット （11） 入隅組立ユニット （12） 軸組 （13） 外壁パネル

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 遠藤 和宏 大阪市北区中之島６丁目２番27号 積水ハ ウス株式会社内 (72)発明者 森内 康弘 大阪市北区中之島６丁目２番27号 積水ハ ウス株式会社内

Claims (5)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 建物の各出隅部或は入隅部に外壁を予め
   Ｌ型に組立てた組立ユニットを先付けしてから、それら
   出隅及び入隅間の壁を取付けることを特徴とする建築物
   の施工方法。
2. 【請求項２】 出隅部或は入隅部の組立ユニットを、施
   工現場に近接して設けた専用工場で予め製作して現場へ
   搬入することを特徴とする請求項１の建築物の施工方
   法。
3. 【請求項３】 フォークリフト持ち上げ用のパレット上
   に組立ユニットをセットして、そのパレットとともに現
   場へ搬入することを特徴とする請求項１の建築物の施工
   方法。
4. 【請求項４】 組立ユニットが、壁軸組と外壁とからな
   ることを特徴とする請求項１から３の何れかの建築物の
   施工方法。
5. 【請求項５】 組立ユニットが壁軸組と外壁及び内壁と
   からなることを特徴とする請求項１から３の何れかの建
   築物の施工方法。