JPH0516354B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

本発明は、オーバーヘツドプロジエクター用の
投影フイルム（以下OHP；OHP用フイルムと略
称する。）に関するものであつて、その目的は普
通のインクリボン、即ち、インクの溶媒として不
乾性油を含有するインクリボンを用いるドツトプ
リンターで直接印字できるよう改良することにあ
る。 OHP用フイルムは厚さ約0.07〜0.1mmの、無色
透明のポリエステルフイルムが一般に好んで用い
られている。 ところで、このフイルムに文字や図形を描く場
合は速乾性の油性インクで手書きするか、または
紙に書いた文書や図面を原紙として静電複写機で
複写するのが普通の手段である。効率向上のため
にはワードプロセツサーなどを用いてフイルムに
直接印字できると大いに便利であるが、その際も
普通のインクリボンは使えず、リボンの高価な熱
転写プリンターを使用しなければならなかつた。 その理由は、紙と異なりフイルム自体には液体
の浸透性が全く無い、従つて普通のインクリボン
で印字すると、一般に油性の溶媒が顔料や染料を
残して蒸発する、即ち印字の定着に極めて長時間
を要し、印字中や定着完了前にフイルム面に触れ
ると印字が薄れたり消えて終うためである。 そこで本発明はこの様な問題を解消するため、
投影フイルムの表面にインクの浸透性と保持性の
良好な無機質粉末を、インク中の油との相溶性、
フイルムとの接着性、透光性のよいバインダーを
用い、透光性を阻害しない程度の厚さに塗布する
ことにより前述の目的を達成したものである。 上述の無機質粉末は、塗膜の比表面積を大きく
し、インクを塗膜に浸透し易く且つ保持性を良く
する作用があり、光を反射し易いかまたは透明な
無機質の微粉末がよい。この条件に合う物質とし
ては雲母、炭酸カルシウム、酸化チタン、アエロ
ジル、亜鉛華などがある。 またバインダーは、ロジンおよびその誘導体樹
脂、C5系、C9系およびジシクロペンタジエン系
の石油樹脂、テルペン樹脂などが適している。こ
れらの樹脂は単に無機質粉末をフイルムに接着す
るだけでなく、印刷インクとの濡れ性がよく、次
第にインクと相溶してその定着を促進する作用を
持つている。 以下、本発明の好ましい実施例について詳細に
説明する。 実施例 先ずロジン変成マレイン酸樹脂に10％（重量
比）の雲母微粉末を配合し、有機溶剤で流動状態
にして試料１の塗膜組成物を調合し、以下同様に
して第１表に示す試料２〜試料９の塗膜組成物を
調合した。 また試料10〜12はそれぞれ、試料１の組成にＩ
……トリフエノールメタン系染料、Ｊ……メチル
バイオレツト、Ｋ……ジスアゾ染料を一様に0.5
％添加したものである。 なお、13以下の試料は無機質粉末の量や被膜の
厚さを適正範囲外にした比較例で、試料13は試料
１における雲母の添加量を１％にしたもの、試料
14は同じく雲母の量を35％にしたもの、試料15は
試料１における被膜の厚さを30μにしたものであ
る。 次いでこれらの塗膜組成物を厚さ0.1mmのポリ
エステルフイルムの片面に塗布し、加熱乾燥して
厚さ10μの被膜を形成させた。 次に、各フイルムの被膜面にドツトプリンター
を用いて文字および図線を印刷し、その５分後に
印刷面を布で軽く擦り合わせる方法により定着の
度合を評価し、次いでOHPで白色スクリーンに
投影した印刷文字などの鮮明度を評価した。評価
は定着性、鮮明度とも◎，○，△，×の４段階で
表わし、△以上は合格とし、いずれかが評価×の
ものは不良とした。 その結果は第１表の評価欄の通りで、本発明の
フイルムは全て印刷後５分以内で印字が定着して
おり、印字濃度および鮮明度合は静電複写方式で
得られたものより優れていた。また、染料を添加
したものは投影画面が薄く着色し、グラフ画面の
場合特に見易さが向上している。

【表】

【表】 なお本発明の実施に際し、塗膜組成物中に混合
される無機質粉末の量は、重量比で２〜30％が適
当である。これより少ないと前述の効果が認めら
れず、多すぎるとフイルムの透光性が低下し、プ
ロジエクターの光量を増しても投影画面が暗くな
るので好ましくない。 また被膜の厚さは、５〜20μが適当である。こ
れより薄いと、透光性はよいが定着時間が長くな
る。一方、厚すぎると定着時間は短いが透光性が
低下するほか、フイルムを曲げた場合に被膜にひ
び割れを生じ易く好ましくない。そこで被膜の柔
軟性を増すために、10％以下のフタル酸ヂオクチ
ル、フタル酸ヂブチル、塩素化パラフイン、ポリ
ブテンなどの柔軟剤を添加することがある。 投影画面を着色して見易くするために組成物中
に添加する色材は、染料の方が色彩鮮度がよく、
顔料は透光性が劣る。染料は例えば桃色のキサン
テン染料、青色のトリフエノールメタン系染料、
紫色のメチルバイオレツト、黄色のジスアゾ染料
など、顔料は例えば赤色の溶性アゾ顔料、青色の
銅フタロシアニンブルー、黄色の不溶性アゾ顔料
などがある。添加量は0.5％前後の少量で充分に
着色できる。 フイルムは一般的なポリエステルのほか、ポリ
カーボネート、セルローズトリアセテートなどの
フイルムでも差し支えない。 なお、本発明のフイルムがドツトプリンターで
直接印字できることは上述の通りであるが、静電
複写や熱転写などの、従来の方式にも使用できる
ことは言うまでもない。ただし、手書きの場合は
被膜のない裏面を用いる方が、消去・修正し易い
点で好ましい。 以上に詳述したように、本発明に係るOHP用
フイルムは従来の製品と同じ使い方ができる上に
通常のインクリボンを用いたドツトプリンターで
直接印字でき、事務の合理化に大いに役立つもの
である。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 透明なフイルムの表面に、インクの浸透性と
   保持性の良好な無機質粉末およびインク中の油と
   の相溶性のあるバインダーからなる塗膜組成物の
   被膜を有するOHP用フイルムにおいて、バイン
   ダーがロジン系樹脂、石油樹脂およびテルペン系
   樹脂の少なくともいずれか１種、無機質粒子が雲
   母、炭酸カリウム、酸化チタン、アエロジルおよ
   び亜鉛華の少なくともいずれか１種であり、塗膜
   組成物中に含まれる無機質粉末の量が重量比２〜
   30％、被膜の厚さが５〜20μであるOHP用フイル
   ム。 ２ 透明なフイルムの表面に、インクの浸透性と
   保持性の良好な無機質粉末、投影画面着色用色材
   およびインク中の油との相溶性のあるバインダー
   かなる塗膜組成物の被膜を有するOHP用フイル
   ムにおいて、バインダーがロジン系樹脂、石油樹
   脂およびテルペン系樹脂の少なくともいずれか１
   種、無機質粒子が雲母、炭酸カリウム、酸化チタ
   ン、アエロジルおよび亜鉛華の少なくともいずれ
   か１種であり、塗膜組成物中に含まれる無機質粉
   末の量が重量比２〜30％、被膜の厚さが５〜20μ
   であるOHP用フイルム。