JPH05163481A - 接着剤用ベースエマルジョン - Google Patents

接着剤用ベースエマルジョン

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JPH05163481A
JPH05163481A JP35342291A JP35342291A JPH05163481A JP H05163481 A JPH05163481 A JP H05163481A JP 35342291 A JP35342291 A JP 35342291A JP 35342291 A JP35342291 A JP 35342291A JP H05163481 A JPH05163481 A JP H05163481A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 陶磁器質タイル等をセメント等への貼りつけ
に使用する接着剤のベースエマルジョンであって、接着
剤が現場での混合の必要がなく、施工後は接着剤層が充
分弾力があり、接着剤の硬化後タイルが浮き上がらず、
接着剤として作業性、耐水性、耐熱性に優れていてコス
トが安いベースエマルジョンの開発。 【構成】 ビニルモノマー100重量部に対し、XSi
3 (但しXはビニル基であり、Yはガラス、金属、硅
砂等と反応する基)で表されるシランカップリング剤
0.1〜20重量部を共重合した接着剤用ベースエマル
ジョン。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は陶磁器質タイルとモルタ
ルセメントの接着のみならず新建材(合板、石膏ボード
等)にも優れた接着性・耐水性及び耐熱性を有する接着
剤に使用する新規な水性ベースエマルジョンに関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】陶磁器質タイル用接着剤としてはセメン
トモルタル系接着剤および有機高分子系接着剤がある。
この中、セメントモルタル系接着剤は現場で砂と水を混
合する必要があり作業性が悪く養生不十分であるとモル
タルの収縮によりタイルが浮いたり、また弾性がないた
め下地のゆがみに追髄できず、タイルの割れを生じる危
険性があり、また夏季にドライアウトを起こし接着不良
を生じる危険性があり、また新建材(合板、石膏ボード
等)への接着は困難である等の問題点がある。
【0003】一方、有機高分子系接着剤としてはエポキ
シ樹脂系接着剤のごとき無収縮型のもの、アクリル樹脂
系、合成ゴムラテックス系、合成ゴム溶剤系、エポキシ
変性合成ゴムラテックス系など収縮型の各種の接着剤が
市販されている。
【0004】これら接着剤の中で無収縮型に代表される
2液型エポキシ樹脂系接着剤は現場で硬化剤と混合しな
くてはならず、作業性が悪くコストが高く、しかも硬化
剤として使用する有機アミンは人体に有害である。
【0005】アクリル樹脂系、合成ゴムラテックス系、
合成ゴム溶剤系等の有機高分子系収縮型接着剤はセメン
トモルタル系、エポキシ樹脂系の接着剤に比べて作業
性、施工能率は良好であるが、耐水性、耐熱性が劣る欠
点があった。
【0006】これら耐水性、耐熱性を改良するためには
数多くの提案がある。例えば、合成ゴム系接着剤が有す
る従来の作業性を維持したまま常態接着力、耐水接着力
及び耐熱接着力を向上させるために1分子中に加水分解
して1個以上のシラノール基を発生する置換基、更に同
一分子中に有機質材料と化学結合する反応基を有する有
機シラン化合物及び/またはコロイダルシリカを添加す
る提案(特開昭56−118473号)がある。
【0007】しかし、有機シラン化合物及び/またはコ
ロイダルシリカを添加すると添加した有機シラン化合物
及び/またはコロイダルシリカは充填剤(炭酸カルシウ
ム等)と反応し接着剤自身に発水性、耐水性を与える
が、常温放置では有機材料(各種合成樹脂)とは反応し
にくく期待される程接着力または耐水性が発現しにくい
欠点がある。
【0008】エマルジョン系接着剤において、接着強度
の立ち上がりが早く、耐水性に優れ、下地養生のあまい
若齢モルタルへの接着力にも優れた陶磁器質タイル用接
着剤に変性するため通常のエマルジョン樹脂を主成分と
し、これに充填剤(炭酸カルシウム等の無機系増量
剤)、粘着付与樹脂(ロジン樹脂等のタキファイヤー)
を溶剤および/または可塑剤に溶解した樹脂溶液、さら
にその他添加剤を添加して接着剤を変性する提案(特開
昭58−152074号など)がある。
【0009】しかし、粘着付与樹脂を添加すると、経時
で接着剤が劣化してタイルの剥離の原因になる。さらに
上記提案の接着剤組成物は原因は明らかでないが長期間
の貯蔵により接着力、耐水性が低下する問題がある。
【0010】またエマルジョン系接着剤においては無機
りん酸系、高分子カルボン酸の乳化物などの分散剤が配
合されているが、これらは充填剤表面に吸着結合し、分
散を安定化するが、接着剤の樹脂とは結合しない。
【0011】この場合、接着剤樹脂にα,β−不飽和カ
ルボン酸を共重合させ、分散剤として接着剤樹脂を使用
することも考えられる。この例においては分散剤が別に
配合されておらず、充填剤が樹脂に吸着結合しているた
め、接着剤層の耐水性は向上する。さらにこのα,β−
不飽和カルボン酸を通常エマルジョン樹脂より多く共重
合させ、接着剤として陶磁器質タイル等への濡れ性、親
和性の向上をはかる提案もある(特公昭63−9767
2号)。
【0012】しかし、この場合はエマルジョン自体の耐
水性が逆に低下するほか、タイル貼り合せ後接着剤が含
水しやすく、乾燥性が悪くなり、強度の立ち上がりも遅
くなる。従って、高湿の条件下では接着剤が硬化するま
での時間が長くなり、下地不陸や若齢モルタルではタイ
ル貼りあわせ後、タイルがずれ落ちる危険性がある。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】本発明は陶磁器質タイ
ル等をセメント等への貼りつけに使用する陶磁器質タイ
ル用接着剤のベースエマルジョンの開発を行い、このベ
ースエマルジョンを使用した接着剤が(1)現場での混
合する必要のないこと、(2)接着剤層が充分弾力があ
って、タイル等が接着剤の硬化、収縮による下地から浮
き上がりのないこと、(3)作業性、施工性に優れてい
ること、(4)耐水性、耐熱性に優れていること、を満
足できるようなベースエマルジョンの開発を目的とす
る。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明はビニルモノマー
100重量部に対して、 一般式 XSiY3 (但し、X;ビニル基、メタクリル基等の有機不飽和基
と反応可能な不飽和結合を有する有機基、Y;ガラス、
金属、硅砂等と反応できるメトキシ基、エトキシ基、シ
ラノール基など)で表されるシランカップリング剤0.
1〜20重量部を共重合したことを特徴とする接着剤用
ベースエマルジョンを開発することにより上記の目的を
達成した。
【0015】以下、本発明の接着剤用ベースエマルジョ
ンの構成につき詳しく説明する。本発明の接着剤用ベー
スエマルジョンを合成するために用いられるビニルモノ
マーの具体例としては、スチレン、ビニルトルエン等の
ビニル芳香族単量体、アクリル酸メチル、アクリル酸エ
チル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシ
ル、メタクリル酸メチル等のアクリル酸、またはメタク
リル酸のエステル、臭化ビニル、塩化ビニル、塩化ビニ
リデン等のハロゲン化ビニル、酢酸ビニル、プロピオン
酸ビニル等のビニルエステル、エチレン、ブタジエン等
のモノオレフィンまたは共役ジオレフィン類、アクリロ
ニトリル等のα、β−不飽和アミド類があり、その他ベ
ースエマルジョンに安定性を与えるためアクリル酸、メ
タクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマール酸等の
α、β−不飽和カルボン酸類を共重合させる。α、β−
不飽和カルボン酸類の使用割合は全モノマー中の約2重
量%までである。
【0016】本発明の接着剤用ベースエマルジョンを合
成する際には、ビニルモノマー100重量部に対して前
記一般式で表されるシランカップリング剤を0.1〜2
0重量部併用(好ましくは1〜10重量部)して乳化共
重合する。得られたエマルジョンの樹脂固形分は30〜
70重量%(好ましくは40〜65重量%)であること
が望ましい。
【0017】樹脂固形分が30重量%未満では、接着剤
の固形分濃度が低下し、増粘剤の添加量を多く必要とす
るようになり、粘性が高くなるばかりか耐水性が悪くな
る。一方、樹脂固形分が70重量%より多い場合は安定
なエマルジョンが得られない。
【0018】このとき用いるシランカップリング剤と
は、一般式XSiY3 (式中Xはビニル基、メタクリル
基等の有機不飽和基と反応可能な不飽和結合を有する有
機基、Yはガラス、金属、硅砂などと反応するメトキシ
基、エトキシ基、シラノール基など)で表され、具体的
にはビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メ
トキシエトキシ)シラン、γ−メタクリロキシプロピル
トリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメ
トキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエト
キシシラン等のビニルアルコキシシラン類、およびグリ
シドキシアルコキシシラン類等である。
【0019】ビニルモノマー100重量部に対してシラ
ンカップリング剤を20部より多く用いるとコストが非
常に高くなる。また接着剤が成膜しにくく強度は発現し
なくなる。一方、ビニルモノマー100重量部に対して
シランカップリング剤を0.1重量部より少なく用いる
と、本発明の効果が発現しない。
【0020】本発明の接着剤用ベースエマルジョンの合
成には、通常の乳化重合方法が用いられる。乳化重合方
法についてはあらためて説明するまでもないが、適当な
乳化剤の存在下にビニルモノマーを水中に乳化状態に分
散させ、一般には重合開始剤を用いて重合させる。
【0021】乳化剤としては、アニオン性界面活性剤、
ノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤が用いら
れる。乳化剤は、乳化重合に際し、初期に全量を仕込ん
でおいても良いし、一部を初期添加し、大部分を中期連
続または断続添加しても良い。乳化剤の使用量は全モノ
マーの重量に対して0.1〜10重量%程度が好まし
い。
【0022】重合開始剤としては過酸化水素、過硫酸ソ
ーダ、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等が挙げら
れる。重合開始剤の使用量は、全モノマーの重量に対し
て0.01〜10重量%であり、その添加方法は重合の
初めに全量添加するか、または一部を添加し、残りを適
時重合の進行に伴って添加しても良い。重合は、通常0
〜100℃、好ましくは50〜90℃の温度で行われ
る。
【0023】かくして得られた接着剤用ベースエマルジ
ョンは陶磁器質用タイル接着剤のベースエマルジョンと
して極めて安定性で優れた耐水性及び耐熱性を示す。
【0024】本発明の接着剤用ベースエマルジョン10
0重量部に対して充填剤(タルク、クレー、酸化チタ
ン、炭酸カルシウム等の無機系充填剤あるいはパルプ、
各種樹脂粉末等の有機系充填剤)を50〜300重量
部、溶剤及び/または可塑剤1〜100重量部、増粘剤
0.1〜3重量部を各種混合機(ニーダー、プラネタリ
ーミキサー、ディスパー等)で混合して陶磁器質タイル
用接着剤に変性することができる。また、このときヘキ
サメタリン酸ソーダなどのリン酸系及び低分子量ポリア
クリル酸ソーダ系の充填剤、分散剤、各種老化防止剤、
防腐剤、消泡剤または凍結防止剤なども必要に応じて添
加することができる。
【0025】本発明の接着剤用ベースエマルジョンを用
いて変性された陶磁器質用タイル接着剤は大理石等の吸
水性のほとんどない下地以外に対して極めて優れた接着
性、耐水性及び耐熱性を与える。
【0026】
【作用】本発明のベースエマルジョンを使用した接着剤
が作業性、施工性に優れているだけでなく、耐水性、耐
熱性に優れているのは、ビニルモノマー100重量部に
対し、シランカップリング剤を0.1〜20重量部共重
合させたことによることは確かであるが、その理由はま
だ充分に解明されていない。推測ではあるが、シランカ
ップリング剤を樹脂に共重合させると、樹脂と充填剤が
極めて良く分散され、結合し、安定したエマルジョンと
なり、均一な状態で硬化するものと考えられる。この結
果、α、β−不飽和カルボン酸を比較的多量共重合した
場合に比し接着剤の耐水性を損なうこともなく、強度の
立ち上がりも遅くならず、被着体(陶磁器質タイル、セ
メント等)へも結合するので極めて優れた接着力、耐水
性、耐熱性を示すものと考えられる。
【0027】
【実施例】
(実施例1)温度計・撹拌機、還流冷却器及び滴下ロー
トを備えた反応容器に水200重量部を加え、温度75
℃に昇温する。一方、スチレン300重量部、アクリル
酸2−エチルへキシル200重量部、イタコン酸4重量
部、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン
〔CH2 =C(CH3 )COOC36 Si(OC
33 〕(KBM−503,信越シリコーン製,シラ
ンカップリング剤)2重量部、水200重量部、ハイテ
ノール08E(ポリオキシエチレンアルキルサルフェー
トアンモニウム塩、第一工業製薬製、乳化剤)5重量部
を良く乳化し、滴下ロートに添加する。別の滴下ロート
に重合開始剤として過硫酸ソーダの3%水溶液を85重
量部添加して各々4時間で滴下し、反応温度を80℃と
した。滴下終了後1時間熟成反応を行い、所期の水性エ
マルジョンを得た。得られた水性エマルジョンは、樹脂
固形分濃度=51重量%、粘度=5000cp/30℃
・10rpm・BH型粘度計、PH=7.5であった。
【0028】(実施例2)実施例1と同様にしてKBM
−503の代りにビニルトリメトキシシラン〔CH2
CHSi(OCH33 (KBM−1003,信越シリ
コーン製,シランカップリング剤)を用いて乳化共重合
を行い、所期の水性エマルジョンを得た。得られた水性
エマルジョンは、樹脂固形分濃度=51重量%、粘度=
7000cp/30℃・10rpm・BH型粘度計、P
H=7.6であった。
【0029】(実施例3)実施例1のアクリル酸2−エ
チルヘキシルの代りにアクリル酸ブチルを用いて乳化共
重合を行い、所期の水性エマルジョンを得た。得られた
水性エマルジョンは、樹脂固形分濃度=51重量%、粘
度=6500cp/30℃・10rpm・BH型粘度
計、PH=7.3であった。
【0030】(実施例4)実施例1のKBM−503を
10重量部にして乳化共重合して所期の水性エマルジョ
ンを得た。得られた水性エマルジョンは、樹脂固形分濃
度=52重量%、粘度=3000cp/30℃・10r
pm・BH型粘度計、PH=7.4であった。
【0031】(比較例1)実施例1のKBM−503を
除いて乳化共重合を行い、水性エマルジョンを得た。得
られた水性エマルジョンは、樹脂固形分濃度=51重量
%、粘度=7000cp/30℃・10rpm・BH型
粘度計、PH=7.4であった。
【0032】(比較例2)比較例1のエマルジョンにK
BM−503(信越シリコーン製、シランカップリング
剤)を10重量部添加し水性エマルジョンを得た。得ら
れた水性エマルジョンは、樹脂固形分濃度=52重量
%、粘度=3700cp/30℃・10rpm・BH型
粘度計、PH=7.5であった。
【0033】(比較例3)比較例1のエマルジョンを接
着剤に変性する際にハリエスターHT−1125(テル
ペン樹脂、ハードレジンエマルジョン、ハリマ化成
(株)製、粘着付与剤)10重量部をミネラルスピリッ
ツ10重量部に溶解して添加した。
【0034】以上実施例1〜4及び比較例1〜3のエマ
ルジョン100重量部に対して炭酸カルシウムNN−5
00(日東粉化製)を100重量部、10%ヘキサメタ
リン酸ソーダ水溶液10重量部、CS−12(2,2,
4−トリメチル−3−ヒドロキシペンチルイソブチレー
ト、チッソ社製の可塑剤)10重量部を分散混合後、プ
ライマールTT−935(アニオン系アクリルエマルジ
ョン、ロームアンドハース製の増粘剤)で粘度=20〜
30万cp/BH型粘度計30℃/10rpm)に変性
しJIS−A−5548に準拠したモルタルと陶磁器質
タイルとの付着強度を比較した。以下に実施例と比較例
のJIS−A−5548に準拠したモルタルと陶磁器質
タイルとの付着強度を比較する。
【0035】
【表1】
【0036】
【発明の効果】本発明の水性エマルジョンを用い陶磁器
質タイル用接着剤を変性することにより従来の接着剤に
比して安定性、コスト、接着性、耐水性および耐熱性が
極めて優秀な接着剤を得ることが可能である。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ビニルモノマー100重量部に対して、 一般式 XSiY3 (但し、X;ビニル基、メタクリル基等の有機不飽和基
    と反応可能な不飽和結合を有する有機基、Y;ガラス、
    金属、硅砂等と反応できるメトキシ基、エトキシ基、シ
    ラノール基など)で表されるシランカップリング剤0.
    1〜20重量部を共重合したことを特徴とする接着剤用
    ベースエマルジョン。
  2. 【請求項2】 ビニルモノマーとシランカップリング剤
    の共重合が水性エマルジョン重合により行われ、その樹
    脂固形分濃度が30〜70重量%である請求項1記載の
    接着剤用ベースエマルジョン。
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