JP2768266B2 - 防水材組成物 - Google Patents

防水材組成物

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JP2768266B2 JP8801594A JP8801594A JP2768266B2 JP 2768266 B2 JP2768266 B2 JP 2768266B2 JP 8801594 A JP8801594 A JP 8801594A JP 8801594 A JP8801594 A JP 8801594A JP 2768266 B2 JP2768266 B2 JP 2768266B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、防水材組成物に関する
ものであり、特に上下水道の貯水槽、ピット等の水が溜
まる構造を有する建造物の内面防水材として有用なもの
で、土木建築の分野で広く利用され得るものである。
【0002】
【従来の技術】コンクリート製の上下水道用貯水槽等
は、コンクリートに発生したひびわれが原因となって、
しばしば漏水事故を起こすことがある。この対策として
は、通常はタンクの内面に防水材組成物を施工する処置
がとられることが多い。貯水槽の内面に施工される防水
材組成物は、その塗膜が下地ひびわれ追従性に優れるこ
とが必要であり、また、防水材組成物の塗膜が常時水に
接していることから、耐水性に優れ、且つコンクリート
の表面等より下地と塗膜の間にしみ込んでくる水分に起
因する湿潤条件下でも強固に下地に接着する必要があ
る。ここで下地ひびわれ追従性とは、防水材組成物の施
工後、コンクリート等の硬化収縮等によって下地のひび
われが起こった場合、これによって発生する防水材塗膜
の伸びに対して塗膜が破断せず柔軟に追従する性能をい
う。貯水槽用防水材組成物では、さらに、この特性が、
冬期の低温条件下でも塗膜が硬化せず柔軟に追従するこ
とが要求され、このために塗膜に高い柔軟性が求められ
ている。この用途に用いられる防水材組成物としては、
従来エポキシ樹脂又はエチレン酢ビ系樹脂よりなるもの
が一般的であった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、エポキ
シ樹脂系の防水材組成物は、有機溶剤系の防水材であ
り、これを貯水槽用防水材組成物として使用する場合、
タンク内面はかなり密閉度が高いこともあって、その臭
気が作業者にとって有害であり、さらに硬化剤として用
いるアミン化合物は人体に有毒なものもあり、作業者の
安全衛生上好ましくない。また、エポキシ樹脂系防水材
組成物は、その塗膜の柔軟性が充分ではなく、下地のコ
ンクリートに発生したひびわれに追従できず漏水を引き
起こすばかりか、耐水接着性が不良であることに起因し
て、ふくれ、われ又ははがれなどが起こり易いものであ
った。一方、エチレン酢ビ樹脂系の防水材組成物は、水
系エマルションとして使用され、一般にセメント系フィ
ラーと混合して使用されている。この防水材組成物は、
水系の防水材であり、前記の様な作業者の安全衛生上の
問題がなく、又水系の材料であることに起因して、湿潤
条件下のコンクリートに対する接着性も比較的優れる
が、エチレン酢ビ系樹脂の性質上、耐水性に問題があ
り、塗膜が膨潤軟化することに起因する、ふくれ、はが
れ等が発生していた。本発明者らは、これらの組成物と
は他の、アクリル樹脂エマルションと各種のセメント系
無機質フィラーとを組み合わせたものについて検討を行
い、該組成物が水系であり、その塗膜が耐水性、湿潤条
件下での下地への接着性、ひびわれ追従性が上記の防水
材組成物に比較して優れたものである知見を得た。しか
しながら、貯水槽用としての性能は充分なものではな
く、また塗膜のタックが生じる場合がある。塗膜にタッ
クがあると、タンク内面を塗装する場合には塗膜上に乗
るケースが多く、塗膜タックが強いと著しく施工作業性
を阻害したり、最悪の場合には防水膜を破壊してしまう
可能性がある。本発明者らは、水系の防水材組成物であ
り、その塗膜が耐水性、下地のひびわれ追従性、湿潤条
件下での下地への密着性に優れ、さらにタックのない防
水材組成物を見いだすために、鋭意検討を行ったのであ
る。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記課題
が、有る特定のアクリル樹脂エマルションと無機質水硬
性物質を混合して得られる組成物により解決できること
を見いだし本発明を完成した。すなわち、本発明は、第
1発明の炭素数4〜10のアルキル基を有するアルキル
(メタ)アクリレートから選ばれた1種以上の単量体3
0〜98重量%、(メタ)アクリル酸0.1〜3重量%
及びグリシジル(メタ)アクリレート0.1〜5重量%
を必須構成単量体とし、かつガラス転移温度が−20℃
以下である重合体がカチオン性又はノニオン性の界面活
性剤により水に乳化分散されているエマルションと、無
機質水硬性物質からなることを特徴とする防水材組成物
及び第2発明の該組成物からなる貯水槽用防水材組成物
に関するものである。以下、本発明を詳細に説明する。
尚、本明細書においては、アクリレート及びタクリレー
トを(メタ)アクレートといい、アクリル酸及びメタク
リル酸を(メタ)アクリル酸をいう。
【0005】○炭素数4〜10のアルキル基を有するア
ルキル(メタ)アクレート 本発明における、炭素数4〜10のアルキル基を有する
アルキル(メタ)アクレートは、具体例として、n−ブ
チル(メタ)アクレート、iso−ブチル(メタ)アク
レート、sec−ブチル(メタ)アクレート、n−アミ
ル(メタ)アクレート、iso−アミル(メタ)アクレ
ート、n−ヘキシル(メタ)アクレート、n−ヘプチル
(メタ)アクレート、オキソヘプチル(メタ)アクレー
ト、n−オクチル(メタ)アクレート、2−エチルヘキ
シル(メタ)アクレート、n−ノニル(メタ)アクレー
ト、オキソノニル(メタ)アクレート、n−デシル(メ
タ)アクレート、オキソデシル(メタ)アクレート等が
挙げられる。炭素数が4より小さいアルキル基を有する
(メタ)アクリレートは、耐アルカリ性の点で好ましく
なく、他方炭素数が10を越えるものは耐寒性が低下す
るので好ましくない。上記単量体の全単量体中の割合
は、30〜98重量%であり、さらに好適には40〜9
0重量%である。この割合が、30重量%を下回ると、
塗膜の下地ひびわれ追従性、耐水性及び耐アルカリ性が
劣るものとなり、他方98重量%を越えると、塗膜にタ
ックが生じるばかりか、充分な強度の塗膜を得ることが
出来ない。
【0006】○(メタ)アクリル酸 本発明で用いる(メタ)アクリル酸は、重合体において
他の必須構成単量体成分であるグリシジル(メタ)アク
リレートとの架橋成分として働き、又エマルションと無
機質水硬化性物質を混合した場合、無機質水硬化性物質
中のカルシウムイオン等の多価金属イオンとカルボキシ
ル基との内部架橋を形成して塗膜に強靭性を付与し、さ
らに混練安定性を付与する分散剤としても働く。これら
の全単量体中の割合は、0.1〜3重量%の範囲であ
る。この割合が0.1重量%に満たない場合は、接着性
が低下し、塗膜にタックが生じてしまい、他方3重量%
を越える場合は、塗膜の耐水性、耐アルカリ性が極端に
低下し、また塗膜のタックが増大するので好ましくな
い。
【0007】○グリシジル(メタ)アクリレート 本発明で用いるグリシジル(メタ)アクリレートは、重
合体における架橋成分として働き、塗膜に強靭性を付与
する。グリシジル(メタ)アクリレートは全単量体中に
0.1〜5重量%の任意の範囲で使用できるが、好まし
くは0.1〜3重量%の範囲で使用するのが重合操作の
面から好しい。グリシジルメタアクリレートが0.1重
量%に満たない場合は、接着性が低下し、塗膜にタック
が生じてしまい、他方5重量%を越えて使用すると、塗
膜の強靭性が大きすぎるばかりか、重合操作上凝集物が
生じ易く好ましくない。
【0008】○その他の単量体 本発明では、上記必須単量体に加え、それらと共重合可
能な不飽和エチレン結合を有する単量体を必要に応じて
使用することができ、具体的には、スチレン、アクリロ
ニトリル、酢酸ビニル等が挙げられる。これらは、全単
量体に対し、1〜70重量%の割合で使用することがで
きる。又、メチル(メタ)アクリレートエチル(メタ)
アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、i
so−プロピル(メタ)アクリレート等の炭素数が3以
下のアルキル基を有する(メタ)アクリレートも、得ら
れる塗膜の物性に悪影響を与えない範囲内、具体的には
全単量体に対し、0.1〜28重量%の割合で使用する
ことができる。
【0009】○ガラス転移温度 本発明で用いる重合体は、上記単量体を重合して得られ
る重合体のうち、ガラス転移点(以下Tg点という)が
−20℃以下の重合体である。Tg点が−20℃を越え
るものは、下地ひびわれ追従性に劣り、接着性が低下
し、また多くの場合、耐水性が不良になるので好ましく
ない。本発明に用いる重合体のTg点とは、無定型重合
体の各種性質が急変する温度で、この温度以下では重合
体の無定型部分の分子セグメント運動が凍結されるよう
な温度である。重合体のTg点を実際に測定するには、
一例として種々の温度での熱膨張を測定してそれぞれの
温度に対して、比容積をプロットし、得られた曲線で屈
曲している点の温度を求める方法が一般的に用いられ
る。しかし、実際的には個々の単独モノマーよりなる重
合体のTg点の値が知られているので、共重合体のTg
点の値は、次の計算式によって求めることができる。
【0010】
【式1】
【0011】CA ;成分Aの重量分率 CB ;成分Bの重量分率 TgA;成分A単独重合体のTg点(絶対温度) TgB;成分B単独重合体のTg点(絶対温度) ここでCA+CB=1である。
【0012】Tg点が−20℃以下の主な重合体を挙げ
ると(括弧内はTg点)、ポリエチルアクリレート(−
22℃)、ポリ−n−ブチルアクリレート(−54
℃)、ポリ−2−エチルヘキシルアクリレート(−85
℃)等があり、これらと共重合可能なモノマーからなり
Tg点が−20℃以下になる重合体としては、ポリアク
リル酸メチル(8℃)、ポリスチレン(87℃)、ポリ
酢酸ビニル(30℃)、ポリメタクリル酸(130℃)
等がある(これら以外の重合体のTg点については、丸
善(株)発行の化学便覧等を参照)。共重合体のTg点
の計算例を示すと、ブチルアクリレート70重量部、ス
チレン30重量部の共重合体のTg点は(1)式より求
めると−23℃となる。
【0013】○エマルション 本発明において用いられるエマルションは、前記単量体
を水中で下記カチオン性又はノニオン性界面活性剤の存
在下に常法により重合して容易に得ることができ、通常
は得られるエマルションの固形分濃度が、30〜70重
量%になるように行われる。また、このエマルションの
pH値は7〜10であることが安定性の面より好まし
く、アンモニア、水溶性アミン、水酸化ナトリウム、水
酸化カリウム等を用いて、エマルションのpH値を調整
しておくことが好ましい。但し、弱酸性、又は酸性領域
でも、安定性の良いエマルションであれば、本発明の目
的にそのままで十分に利用できる。本発明に用いるエマ
ルションには、その他の成分として消泡剤を配合するこ
とができる。消泡剤としては、オクチルアルコール、カ
プリルアルコール、アウリルアルコール及びシクロヘキ
サノール等の一般に使用される消泡剤が使用できる。消
泡剤の配合割合としては、重合体固形分に対して0.1
〜5重量%が好ましい。
【0014】○界面活性剤 本発明に用いるエマルションの製造に使用される界面活
性剤は、ノニオン、カチオン性の界面活性剤の中から、
任意に用いることができる。アニオン性の界面活性剤
は、塗膜の耐水性を低下させるので、常時水に接触する
本発明の用途には不適である。本発明に使用し得るカチ
オン性界面活性剤としては、種々のものが使用でき、具
体的には、トリメチルオクタデシルアンモニウムクロラ
イド、トリメチルドデシルアンモニウムクロライド、ト
リメチルヘキサデシルアンモニウムクロライド、アルキ
ルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、ジステア
リルジメチルアンモニウムクロライド及びトリメチルス
テアリルアンモニウムクロライド等の4級アンモニウム
塩、ジメチルオクチルアミン、ジメチルデシルアミン、
ジメチルラウリルアミン、ジメチルミリスチルアミン、
ジメチルパルミチルアミン、ジメチルステアリルアミ
ン、ジメチルオレイルアミン、トリオクチルアミン、N
−メチルモルフォリン、ジメチルベンジルアミン及びポ
リオキシエチレンアルキルアミン等の3級アミン等が挙
げられる。本発明に使用し得るノニオン性界面活性剤と
しては、通常アクリル系エマルションで使用されるもの
であれば、何れのものも使用できる。具体例を挙げれ
ば、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエ
チレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイ
ルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェノールエ
ーテル及びポリオキシエチレンノニルフェノールエーテ
ル等のポリオキシエチレンのアルキル又はアルキルフェ
ノールエーテル、ソルビタンモノステアレート、ソルビ
タンモノラウレート、ソルビタンジステアレート、ソル
ビタンモノオレエート及びソルビタントリオレエート等
のソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソル
ビタンモノラウレート等のポリオキシエチレンソルビタ
ン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エス
テル、並びにグリセリンモノ脂肪酸エステル等が挙げら
れる。これらの界面活性剤の内、特に重合安定性、機械
的化学的安定性が良好となる点で、HLB値15以上の
ポリエチレンオキサイド系ノニオン系界面活性剤を使用
することが好ましい。界面活性剤の配合量は、エマルシ
ョンに対して要求される性質に応じて変わりうるが、エ
マルションの安定性を向上させるには、界面活性剤の配
合量が多いことが好ましく、乾燥性及び塗膜の耐水性を
向上させるためには、配合量が少ない方が好ましい。好
適な配合量範囲は、エマルションの重合体固形分に対し
て、1〜10重量%であり、目的に応じて配合量を決め
れば良い。
【0015】○無機質水硬性物質 本発明で用いられる無機質水硬性物質は、前記エマルシ
ョンに配合することにより、得られる組成物の塗膜を強
靭にし、又塗膜の耐水性、湿潤面に対する接着性及び乾
燥成膜性を向上させることができる。無機質水硬性物質
としては、各種のセメント、無水及び半水石膏、生石灰
並びに亜鉛華等が挙げられる。これらの中でもセメント
を使用することが好ましく、例えば、普通ポルトランド
セメント、アルミナセメント、早強セメント、フライア
ッシュセメント、高炉セメント、白色セメント、コロイ
ドセメント及び中庸熱ポルトランドセメント等があり、
さらにこれらの中でも、特に入手が容易で、本発明の効
果を充分に発揮できる、ポルトランドセメント又はアル
ミナセメントが好ましい。これらの無機質水硬性物質
は、前記エマルションの固形分100重量部に対して、
10〜300重量部配合することが好ましい。10重量
部に満たない場合には塗膜の強靭性が不足し、又湿潤面
に対する接着性が劣ることがあり好ましくない。300
重量部を越える場合には、塗膜の柔軟性が充分でなく、
下地ひびわれ追従性が充分でないことがある。無機質水
硬性物質は、2種以上を併用することもできる。
【0016】○その他の成分 本発明の防水材組成物には、一般汎用の充填材を配合す
ることも可能である。充填材を配合する場合には、塗布
作業性の向上、塗膜への強靭性の付与、塗膜タックの低
減などの効果が認められる場合がある。充填材の具体例
としては、硅砂、タルク、炭酸カルシウム、カオリン、
石膏及び珪藻土等の、一般汎用のものを用いることがで
きる。充填材の配合量は、組成物中のセメントに対し
て、20〜600重量部であることが好ましい。20重
量部に満たない場合には、特に充填材の配合効果が認め
られなくなることがあり、他方600重量部を越える場
合には、防水材組成物の塗膜が下地ひびわれ追従性に劣
るものになったり、また組成物が高粘度になり、塗装作
業性が低下することがある。
【0017】○防水材組成物の施工方法 次に本発明の防水材組成物の施工方法を説明する。防水
材組成物は、通常の方法で施工することができ、例えば
防水すべき構造物の表面に、刷毛またはローラー等によ
り塗布したり、またはスプレーガンで吹付ける等の一般
的な方法により塗布し、塗膜を形成させる。防水材組成
物の粘度は、塗布方法に応じて異なるが、300cps
以上(B型粘度計、12回転、ローターNo.4、20
℃)であることが施工性に優れるため好ましく、より好
ましくは1000〜50000cpsである。粘度が3
00cpsより小さいと、一度に厚塗りすることが難し
くなり、また高粘度となる場合は、厚塗りができる利点
があるが、高粘度に過ぎるときは施工性に難点が生じる
傾向にある。
【0018】防水材組成物の基材に対する塗布量は、成
膜後の膜厚が300μm以上となるよう調整して塗布す
ることが好ましく、より好ましくは500〜3000μ
mである。膜厚が薄すぎると、下地ひびわれ追従性が低
下して漏水の原因となり、他方膜厚が厚すぎる場合に
は、下地ひびわれ追従性が向上し、亀裂、ひびわれが発
生し難くなる利点はあるが、組成物の使用量が増えるば
かりでそれに対応した効果が得られず、また塗膜内部が
乾燥しにくくなる場合もある。
【0019】○下地処理 本発明の防水材組成物を施工するに当たり、防水を行お
うとする構造物に目地部やすき間部の空隙が大きな場合
には、これらの箇所にシーリング材やモルタル及び樹脂
エマルションを混入したセメント混合物等であらかじめ
空隙を埋めておいてから、防水材組成物を塗布すること
が好ましい。又、躯体にあらかじめ下地処理材を塗布し
てから、防水材を塗布する事も可能である。下地処理材
としては、エポキシ樹脂エマルション及びその他一般の
市販エマルション、あるいは溶剤タイプの塗料、また
は、粘着剤等がある。ただし、下地処理材を用いる場合
は、湿潤状態における接着性を阻害しないように、下地
処理材は十分に考慮して選定することが好ましい。
【0020】○上塗材 本発明の防水材組成物には、美観向上を目的として上塗
材を施工することも可能である。上塗材としては、アク
リル系樹脂、アクリルウレタン樹脂、アクリルシリコン
樹脂、フッ素樹脂及びエポキシ樹脂等が挙げられる。
【0021】
【実施例】以下に、実施例および比較例を挙げ、本発明
を具体的に説明する。尚、以下において、「部」とは
「重量部」を、「%」は「重量%」を意味する。 ○実施例1 (1)エマルションの製造 内容積20リットルの撹拌機を備えたステンレス製反応
釜中に、イオン交換水103.5部を入れ、内温を80
℃に加温した後、2−エチルヘキシルアクリレート37
部、n−ブチルアクリレート37部、メチルアクリレー
ト1部、スチレン23部、グリシジルメタアクリレート
1部、アクリル酸1部、アゾビスアミノプロパン塩酸塩
0.5部及びポリオキシエチレンノニルフェニルエーテ
ル(HLB18.5)3部からなる混合液を、撹拌下連
続的に滴下し、一方で、重合触媒として2,2’−アゾ
ビス−2−アミノジプロパン1部を撹拌下連続的に滴
下、重合反応を実施し、6時間後に重合反応を完了し、
固形分濃度50%のエマルションを得た。これをエマル
ションNo.1という。
【0022】(2)防水材組成物の製造 前項で得た100重量部のエマルションNo.1に対
し、アルミナセメント50重量部を混合することによ
り、防水材組成物を得た。
【0023】(3)試験体の作製 スレート板(30×30×0.5cm)に、前項で調整
した防水材組成物をエアースプレーガンで2.0kg/
2 吹付け、20℃、60%R.H.条件下で7日放置
して、評価用試験体とした。
【0024】(4)湿潤接着試験 作製した試験体を20℃水中に全没し、1週間放置後水
中より取り出し、手剥離により接着性を評価(ピーリン
グ試験)した後、20℃、60%R.H.気中に1日放
置後、建研式接着力試験機により、接着力を測定し、破
壊箇所を記録した。測定結果を表2に示す。この防水材
組成物は、ピーリング試験による接着性が良好であり、
接着力も、12kgf/cm2 と大きく、剥離箇所も防
水材母材破壊であり、湿潤状態に於ける接着力が良好で
あった。
【0025】(5)下地ひびわれ追従性試験 作製した試験体の防水材組成物を塗布していないスレー
ト面に、切り込みを入れ、図1に示すひびわれ追従性試
験体に加工した。この試験体を図1の矢印の方向に5m
m/分引張速度で引張試験を行い、防水材にピンホー
ル、又は破断を生じた時の追従ひびわれ幅を測定した。
測定結果を表2に示す。この防水材組成物は、ひびわれ
追従性が4mmと優れたものであった。
【0026】(6)塗膜タックの評価 試験体の塗膜を指触評価により、塗膜のタックを評価し
た。評価結果を表2に示す。尚、表2における○、△、
×は、以下の意味を示す。 ○:塗膜にタックを感じない △:若干の塗膜タックを感じる ×:塗膜タックが強い この防水材組成物は、塗膜タックをほとんど感じず良好
であった。
【0027】
【表1】
【0028】
【表2】
【0029】○実施例2〜5 表1に示す単量体、乳化剤及び触媒を使用した以外は実
施例1と同様の方法で、エマルションNo.2〜4を製
造した。エマルションNo.1〜4を使用して実施例1
と同様の方法で表2に示す組成の防水材組成物を製造し
た。得られた防水材組成物に対して、実施例1と同様に
塗膜の評価を行った。その結果を表2に示す。これらの
防水材組成物は、いずれも本発明にしたがって製造され
たもので、湿潤接着性、ひびわれ追従性、塗膜タック共
に良好な性能を示した。実施例2は、実施例1の防水材
組成物に充填材を配合したものである。充填材の有無に
かかわらず、その塗膜は優れた性能を発揮している。実
施例3は、実施例1と比較して、主にアクリルエマルシ
ョンの単量体組成が異なるもので、若干の充填材を併用
したものある。本発明の範囲内で、必須構成単量体の使
用量を変化させれば、塗膜は優れた性能を有するもので
あった。実施例4は、アルミナセメントに変えてポルト
ランドセメントを使用したものである。本発明の範囲内
であれば、セメントの種類を変えても、塗膜は優れた性
能を有するものであった。実施例5は、ノニオン性乳化
剤とカチオン性乳化剤を併用したアクリルエマルション
を使用した場合であり、前記実施例と同様、塗膜は優れ
た性能を有するものであった。
【0030】○比較例1 表1に示す単量体、乳化剤及び触媒を使用した以外は実
施例1と同様の方法でエマルションNo.5を製造し、
これを使用して実施例1と同様の方法で表2に示す組成
の防水材組成物を製造した。得られた防水材組成物に対
して、実施例1と同様に塗膜の評価を行った。その結果
を表2に示す。この防水材組成物は、重合体のTg点が
29.9℃と大きいもので、試験結果によれば、ひびわ
れ追従性が0.6mmと小さく、防水材としての性能が
十分なものではなかった。
【0031】○比較例2 表1に示す単量体、乳化剤及び触媒を使用した以外は実
施例1と同様の方法でエマルションNo.6を製造し、
これを使用して実施例1と同様の方法で表2に示す組成
の防水材組成物を製造した。得られた防水材組成物に対
して、実施例1と同様に塗膜の評価を行った。その結果
を表2に示す。この防水材組成物は、単量体としてグリ
シジルメタアクリレートを使用せずに製造された重合体
を使用したもので、試験結果によれば、接着強度が小さ
く、又、塗膜タックが強く本用途向けの防水材としては
不適当であった。
【0032】○比較例3 表1に示す単量体、乳化剤及び触媒を使用した以外は実
施例1と同様の方法でエマルションNo.7を製造し、
これを使用して実施例1と同様の方法で表2に示す組成
の防水材組成物を製造した。得られた防水材組成物に対
して、実施例1と同様に塗膜の評価を行った。その結果
を表2に示す。この防水材組成物は、(メタ)アクリル
酸を使用せずに製造された重合体を使用したもので、試
験結果によれば、接着強度が小さく、又、塗膜タックが
強く本用途向けの防水材としては不適当であった。
【0033】○比較例4 エマルションNo.1を使用して、実施例1と同様の方
法で表2に示す組成の防水材組成物を製造した。得られ
た防水材組成物に対して、実施例1と同様に塗膜の評価
を行った。その結果を表2に示す。この防水材組成物
は、無機質水硬性物質を使用していないもので、試験結
果によれば、接着強度が小さく、かつ基材スレートとの
界面剥離を生じている点、又、塗膜タックが強い点から
本用途向けの防水材としては不適当であった。
【0034】
【発明の効果】本発明の防水材組成物は、特に上下水道
の貯水槽等の内面防水に好適なもので、防水材が水系で
あることより密閉された場所でも安心して作業ができ、
また得られる塗膜は、耐水性、ひびわれ追従性、湿潤条
件下での接着性に優れ、信頼性の高い防水層を形成する
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、実施例及び比較例において、下地ひび
割れ追従性試験で使用した試験体を示す図で、(a)は
上面図であり、(b)は側面図である。
【符号の説明】
1 防水材組成物の塗膜
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭50−30933(JP,A) 特開 昭48−12833(JP,A) 特開 平7−268166(JP,A) 特開 平7−292876(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C09D 133/04 - 133/14 C08L 33/04 - 33/14 C04B 24/26 E04D 7/00

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】炭素数4〜10のアルキル基を有するアル
    キル(メタ)アクリレートから選ばれた1種以上の単量
    体30〜98重量%、(メタ)アクリル酸0.1〜3重
    量%及びグリシジル(メタ)アクリレート0.1〜5重
    量%を必須構成単量体とし、かつガラス転移温度が−2
    0℃以下である重合体がカチオン性又はノニオン性の界
    面活性剤により水に乳化分散されているエマルション
    と、無機質水硬性物質からなることを特徴とする防水材
    組成物。
  2. 【請求項2】炭素数4〜10のアルキル基を有するアル
    キル(メタ)アクリレートから選ばれた1種以上の単量
    体30〜98重量%、(メタ)アクリル酸0.1〜3重
    量%及びグリシジル(メタ)アクリレート0.1〜5重
    量%を必須構成単量体とし、かつガラス転移温度が−2
    0℃以下である重合体がカチオン性又はノニオン性の界
    面活性剤により水に乳化分散されているエマルション
    と、無機質水硬性物質からなることを特徴とする貯水槽
    用防水材組成物。
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