JPH0515558Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［考案の構成］ （産業上の利用分野） この考案は車両用のエンジンを構成するクラン
クケースに関する。

（従来の技術） 一般に、車両用のエンジンはクランクケースを
有し、このクランクケースはシリンダが形成され
たシリンダ部と、このシリンダ部の下端面から延
出されたスカート部とから形成されている。上記
シリンダ部にはシリンダヘツドが接合固定され、
上記スカート部の下端面にはオイルパンが接合固
定されている。また、上記スカート部の長手方向
端面にはその下端面に開放した凹部が形成されて
いる。この凹部の周辺部は取付面に形成され、こ
の取付面には被取付部材としてのオイルシールリ
テーナが接合固定されている。

このような構造において、上記スカート部の下
端面に取付けられるオイルパンは、上記凹部の箇
所でオイルシールリテーナの下端面に接合固定し
なければ、スカート部との液密が保てなくなつて
しまう。しかしながら、オイルパンとの液密を保
つためには上記オイルシールリテーナの厚さを十
分厚くして上記オイルパンとの接合面積を増大さ
せなければならない。すると、そのオイルシール
リテーナの厚さによつてクランクケースの全長が
増大してしまうという問題が生じる。

このような問題を解決するために上記凹部にこ
のほぼ全体を閉塞する状態でスペーサを設け、こ
のスペーサの下端面にオイルパンを接合固定する
ようにすれば、上記オイルシールリテーナを薄く
することができる。しかしながら、このような構
造によると、クランクシヤフトの振動が上記スペ
ーサによつてスカート部へ伝播しやすくなるの
で、騒音の増大を招くということが生じる。

（考案が解決しようとする問題点） この考案は上記事情にもとずきなされたもの
で、その目的とするところは、クランクケースの
全長を増大させず、しかも振動がスカート部に伝
わりずらいようにしたクランクケースを提供する
ことにある。

［考案の構成］ （問題点を解決するための手段及び作用） 上記問題点を解決するためにこの考案は、スカ
ート部の長手方向の端面に形成された凹部の開放
端側の下部に、下面を上記スカート部の下端面と
面一にし、側面を上記スカート部の端面と面一に
して閉鎖部材を架設し、上記凹部の端面と閉鎖部
材の側面とにわたつて形成された取付面に被取付
部材を接合固定するとともに、上記スカート部の
下端面と閉鎖部材の下端面とに上端周辺を接合さ
せてオイルパンが設けるようにしたものである。

（実施例） 以下、この考案の一実施例を図面を参照して説
明する。第１図は車両用のエンジンを構成するク
ランクケース１を示す。このクランクケース１は
シリンダ部２とスカート部３とが一体に鋳造され
ている。上記シリンダ部２には、その長手方向に
沿つて複数のシリンダ４（１つのみ図示）が形成
されているとともに、その側壁にはウオータジヤ
ケツト５が形成されている。さらに、シリンダ部
２の下端面にはベアリング部６が一体的に設けら
れ、このベアリング部６の保持孔８には図示しな
いクランクシヤフトが回転自在に支持されるよう
になつている。

上記スカート部３の長手方向一端面には、この
下端面に開放した凹部９が形成されている。この
凹部９の下部には、その開放端だけを閉塞し、残
りの部分を開口部１０とする閉鎖部材１１がシー
ル部材１１ａを介してねじ１２により取付け固定
されている。この閉鎖部材１１は、その側面をス
カート部３の端面と面一にし、下端面を同じくス
カート部３の下端面と面一にしている。そして、
この閉鎖部材１１の側面と上記凹部９の周辺部と
は取付面１３に形成され、この取付面１３には多
数のねじ孔１４が形成されている。そして、上記
取付面１３には被取付部材としてのオイルシール
リテーナ１５がねじ止め固定されている。なお、
上記スカート部３の他方の端面には図示しないギ
ヤケースが取付け固定される。

一方、上記スカート部３の下端面にはオイルパ
ン１６が取付け固定されている。つまり、このオ
イルパン１６の上端周辺部にはフランジ１７が形
成され、このフランジ１７を上記スカート部３の
下端面に接合させ、ねじ止め固定されている。こ
のオイルパン１６の上記スカート部３に形成され
た凹部９に対向する部分は、この凹部９の開放端
に設けられた閉鎖部材１１に接合固定されてい
る。

このような構造のクランクケース１によれば、
スカート部３の端面に形成された凹部９の開放端
に閉鎖部材１１を設け、この閉鎖部材１１の下端
面にオイルパン１６の上記凹部９と対向する部分
を取付け固定するようにしたから、上記オイルパ
ン１６をスカート部３に対して液密に取付け固定
することができる。したがつて、オイルシールリ
テーナ１５を利用してオイルパン１６を取付ける
場合に比べ、上記オイルシールリテーナ１５を十
分薄くしてクランクケース１の全長を増大させず
にすむ。また、閉鎖部材１１は凹部９の開放端だ
けを閉塞し、この凹部９の残りの部分は開口部１
０となつている。したがつて、ベアリング部７に
支持されたクランクシヤフト（図示せず）からの
振動は上記開口部１０によつて大きく減衰され、
閉鎖部材１１を介してスカート部３に伝わりずら
いから、騒音の発生を押えることができる。

［考案の効果］ 以上述べたようにこの考案は、スカート部の端
面に形成された凹部の開放端だけを閉鎖部材によ
つて閉塞するようにした。したがつて、この閉塞
部材の下端面を利用することにより、上記スカー
ト部の端面に取付けられる被取付部材を厚くしな
くとも、オイルパンを液密に取付けることができ
るから、クランクケースの長さ寸法を上記被取付
部品によつて長くするということがない。また、
上記閉鎖部材は凹部の一部分だけを閉塞し、上記
凹部の残りの部分は開口している。したがつて、
この開口部によつてクランクシヤフトの振動が減
衰され、スカート部に伝わりずらいので、騒音の
発生を押えることができる。

【図面の簡単な説明】

図面はこの考案の一実施例を示し、第１図は第
１図はクランクケースの被取付部品を取外した状
態の一部断面した側面図、第２図は側面図であ
る。 ２……シリンダ部、３……スカート部、１３…
…取付面、１５……オイルシールリテーナ（被取
付部品）、１６……オイルパン。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. シリンダ部とスカート部とを有し、このスカー
   ト部の長手方向の端面にこの下端面に開放した凹
   部が形成され、この凹部の開放端側の下部には下
   面を上記スカート部の下端面と面一にし、側面を
   上記スカート部の端面と面一にして閉鎖部材を架
   設し、上記凹部の端面と閉鎖部材の側面とにわた
   つて形成された取付面に被取付部材を接合固定す
   るとともに、上記スカート部の下端面と閉鎖部材
   の下端面とに上端周辺を接合させてオイルパンが
   設けられてなるクランクケース。