JPH05152638A - 高分子圧電材 - Google Patents
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Abstract
ビニリデン等より低く、圧電性がエレクトレット型やポ
リペプチド型の圧電材料と同等もくしはそれ以上であ
り、しかも機械的強度が大きく、フィルムから異形物ま
で種々の形状のものを得ることができる高分子圧電材を
提供することを目的とする。 【構成】 ポリ乳酸の成形物を延伸して圧電材を構成す
る。
Description
響変成器、計測機器、超音波応用計測器、圧電振動子、
機械的フィルター、圧電トランス、遅延装置などの分野
に用途が見込まれる高分子圧電材に関するものである。
は、ポリγベンジルLグルタメート等のポリペプチド型
のもの、ポリ塩化ビニル等のエレクトレット型のもの、
ポリ弗化ビニリデン、弗化ビニリデン三弗化エチレン共
重合体、ビニリデンシアナイド酢酸ビニル共重合体等の
強誘電体型のものなど種々あるが、最も代表的なものは
強誘電体型のポリ弗化ビニリデンのフィルムであり、既
に超音波探触子などに使用されている。
電体型の圧電材料であるポリ弗化ビニリデン、弗化ビニ
リデン三弗化エチレン共重合体、ビニリデンシアナイド
酢酸ビニル共重合体は、配向の制御方法は延伸及び電場
配向であり、保持機構は自発分極及び凍結分極であり、
配向の状態は一軸極性配向である。これらの材料は圧電
性を得るためには延伸処理とポーリング処理を必要とす
る。中でもポリ弗化ビニリデンは最も圧電性の高い材料
であるが、誘電率が13であり、高分子材料の中では高
誘電率である。従って、圧電d定数を誘電率で割った値
である圧電g定数(単位応力当たりの開放電圧)はあま
り大きいとはいえない。そのため、電気から音響への変
換効率は良好であるが、音響から電気への変換効率にや
や不満が残る。
等のフィルムも、ポーリング処理により極性基を配向さ
せて圧電性を付与したものであるが、圧電性は強誘電体
型圧電材料ほど強くない。
ジルLグルタメート、DNA、ポリハイドロキシプチレ
ート等の天然高分子関連物質の人工配向フィルムは、配
向の制御方法は力学的延伸であり、保持機構は結晶構造
であり、配向の状態は一軸延伸で無極性である。これら
のフィルムはポーリング処理を行わないでもxy方向の
ずりをフィルムに与えると、z方向に分極する圧電性を
もつものである。けれども、長い側鎖が主鎖ヘリックス
を取り囲んだ分子構造であるため圧電性はあまり強くな
く、緩和型になる。また材料としての機械的強度も不充
分であり、異形の硬質圧電材料を得ることは難しい。
の目的とするところは、ポーリング処理が不要であり、
誘電率がポリ弗化ビニリデン等より低く、圧電性がエレ
クトレット型やポリペプチド型の圧電材料と同等もしく
はそれ以上であり、しかも機械的強度が大きく、フィル
ムから異形物まで種々の形状のものを得ることができる
新規な高分子圧電材を提供することにある。
の成形物を延伸して成る本発明の高分子圧電材によって
達成される。
するL体又はD体の乳酸から常法(C.E.Love、
米国特許第2,668,182号明細書)に従って乳酸
の環状二量体であるラクチドを合成し、そのラクチドを
開環重合することによって得られるものである。このポ
リ乳酸はL体又はD体の乳酸のホモポリマーであって
も、L体とD体の乳酸のブロックコポリマーであっても
よい。
び延伸が可能な範囲内であれば特に制限されないが、溶
融成形時の分子量低下や、目的とする高分子圧電材の実
用的強度を考慮すると、少なくとも粘度平均分子量が5
万以上、好ましくは10万以上のポリ乳酸を使用するの
がよい。分子量の高いポリ乳酸は高強度の高分子圧電材
を得るのに適するが、分子量があまり高すぎると、溶融
成形の際に高温、高圧が必要となるため分子量が大幅に
低下し、かえって高強度の高分子圧電材を得難くなるの
で、粘度平均分子量が高くても100万以下、好ましく
は50万以下のポリ乳酸を使用するのがよい。
原料とし、これをロッド状や帯板状など適宜の形状に溶
融成形、例えば押出成形やプレス成形した後、更に一軸
延伸するか、或は上記ポリ乳酸を有機溶媒に溶解した溶
液を型枠に注入し、溶媒を蒸発させてフィルム状に成形
した後、更に一軸延伸することによって得られる。
子量(融点)や溶融成形の種類等に応じて適宜決定され
るが、例えば溶融押出成形の場合は、通常の押出成形機
を用いて次の温度条件及び圧力条件のもとに行うのが望
ましい。
融点ないし220℃の範囲に設定する。融点より低い温
度では、溶融押出が困難となり、逆に220℃より高い
温度では、ポリ乳酸の熱不安定性のため分子量低下が著
しくなって高強度の高分子圧電材が得難くなるからであ
る。原料として分子量が10万〜50万程度のポリ乳酸
を使用する場合は、200℃以下の温度条件で溶融押出
成形することが望ましい。
分子量低下を極力抑えるために、ポリ乳酸の溶融粘度
(分子量)に応じて押出可能な最小限の押出圧力とする
のが望ましい。従って、ポリ乳酸の分子量が10万〜5
0万の場合は170〜210kg/cm2 程度の押出圧
力とするのが適当である。
を型枠に注入してフィルム状に成形する場合は、有機溶
媒として例えばジクロロメタン等を用いて常温でポリ乳
酸を完全に溶解させるようにし、型枠に溶液注入後、常
温常圧下で該溶媒を蒸発させるのが好ましい。
状、フィルム状のポリ乳酸成形物はポリマー分子が無配
向であるため圧電性を示さない。そこで、この成形物を
更に加熱窒素気流中で長軸方向(押出方向)に一軸延伸
することによってポリマー分子を配向させ、圧電性を付
与すると共に、機械的強度を向上させる。
は80〜160℃の温度条件で行うことが必要である。
可能であるが、延伸倍率が小さすぎるとポリ乳酸の分子
配向が不充分となり、延伸倍率が大きすぎるとフィブリ
ル化してポーラスな状態となるので、2〜6倍とするの
が望ましい。圧電性、機械的強度などを考慮すれば、最
良の延伸倍率は4倍である。
物はその延伸方向を考慮して切削加工され、種々の異形
状の高分子圧電材として製品化される。また、延伸され
た成形物がフィルムである場合は適当な大きさにカット
されて製品となる。尚、ポリ乳酸は加水分解するが、表
面を非透水性の電極膜で被覆すれば実用上問題はない。
酸の分子配向によって隣接する分子主鎖のC=OとC−
Hが主鎖と交叉する方向に水素結合しており、しかも側
鎖が非極性のメチル基であるので緩和作用がないため、
下記実施例のデータによって裏付けられるように、従来
のポリペプチド型やエレクトレット型の圧電材料と同等
若しくはそれ以上の圧電性を示す。また誘電率が低いた
め、圧電g定数が大きく、強誘電体型のポリ弗化ビニリ
デンより高い電圧感度が得られる。
説明する。 (実施例1)初期の粘度平均分子量(クロロホルム25
℃中)が33万のポリ−L−乳酸25gをジクロロメタ
ン1000mlに混合し、常温下にマグネチックスター
ラーで6時間攪伴して完全に溶解した後、型枠に注入
し、常温、常圧下で溶媒を蒸発させてポリ−L−乳酸の
フィルムを得た。
し、108℃に設定された恒温室の窒素中に該フィルム
をセットして2分間放置した。そして該フィルムを4倍
に延伸した後、2分間アニーリングして厚さ180μm
の圧電フィルムを得た。
1cmに切断して試験片を作製し、圧電性測定装置(株
式会社東洋精機製作所製の「レオログラフリソッドS−
1型」を用いて、周波数9.76Hzで該試験片の複素
圧電率d14=d14′−id14″およびe14=e14′−i
e14″、複素誘電率ε=ε′−iε″、複素弾性率c=
c′+ic″を測定した。その結果を図1〜図4のグラ
フに示す。
e定数の温度スペクトルである。図1より、30〜11
5℃の測定温度域において、応力あたりの圧電率−
d14′はおよそ10〜20×10-12 C/Nの値を示し
た。85〜90℃付近で−d14′が増加し、−d14″が
ピークを示しているのは、分子鎖のミクロブラウン運動
の開始による力学的緩和に基づくものである。図2よ
り、歪みあたりの圧電率−e 14′は常温付近でおよそ1
9〜20×10-3C/m2 の値を示し、−e14″は−d
14″と同様に85〜90℃付近にピークを示した。
電率ε′はおよそ3.5であり、誘電損失ε″は85℃
付近にピークを示した。
温付近における弾性率c′はおよそ2×109 N/m2
であり、圧電率、誘電率と同様にc″は85℃付近に力
学的緩和によるピークを示した。
粘弾性はいずれも高分子の分子運動と密接に関連してお
り、緩和現象として取り扱うことができる。図1〜図4
においてd″、e″、ε″、c″が85〜90℃の温度
域でピークを示しているのは、いずれもポリ乳酸の分子
鎖のミクロブラウン運動による力学的緩和に基づくもの
であり、同一の現象を異なった測定法によって測定して
いるものである。
万のポリ−D−乳酸を用いた以外は実施例1と同様にし
て厚さ180μmの圧電フィルムを得た。この圧電フィ
ルムについて圧電率、誘電率、及び弾性率を測定したと
ころ、実施例1とほぼ同様の結果が得られた。但し圧電
率d14及びe14の符号はポリ−L−乳酸と反対であっ
た。
子圧電材はポーリング処理が不要でポリ乳酸成形物を一
軸延伸するだけで得ることができ、エレクトレット型や
ポリペプチド型の圧電材料と同等もしくはそれ以上の圧
電性を有し、しかも誘電率がポリ弗化ビニリデン等より
低いので電圧感度が高く音響から電気への変換効率が良
好であり、また従来の高分子圧電材よりも機械的強度が
大きく、フィルムから異形物まで種々の形状のものを得
ることができるといった顕著な効果を奏する。
電材は、医用超音波変成器、音響変成器、計測機器、超
音波応用計測機器、圧電振動子、機械的フィルター、圧
電トランス、遅延装置などの分野への応用が見込まれ
る。また、生体内で自然に吸収される性質を有している
ので、骨の成長促進のための埋め込み型の圧電素子、初
期の骨成長促進効果を有する骨接合材として応用するこ
とが可能である。
を示すグラフである。
を示すグラフである。
すグラフである。
すグラフである。
Claims (1)
- 【請求項1】ポリ乳酸の成形物を延伸して成る高分子圧
電材。
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ID=16680908
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