JP2014093487A - 高分子圧電材料、およびその製造方法 - Google Patents

高分子圧電材料、およびその製造方法

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Abstract

【課題】透明性を大きく損ねることなく製造効率が向上された高分子圧電材料を提供する。
【解決手段】重量平均分子量が5万以上100万以下である光学活性を有するヘリカルキラル高分子と結晶核剤とを含み、
DSC法で得られる結晶化度が20%以上80%以下であり、
可視光線に対する透過ヘイズが40%以下であり、
マイクロ波透過型分子配向計で測定される基準厚さを50μmとしたときの規格化分子配向MORcと前記結晶化度との積が40以上700以下である高分子圧電材料であり、
前記ヘリカルキラル高分子の融点Tmaと前記結晶核剤の融点Tmbとが下記式(1)を満たし、かつ、
前記ヘリカルキラル高分子の溶解パラメーターSPa(単位:(J/cm)1/2)と前記結晶核剤の溶解パラメーターSPb(単位:(J/cm)1/2)との差の絶対値が5以下である高分子圧電材料である。
式(1):Tmb≦Tma+70℃
【選択図】なし

Description

本発明は、高分子圧電材料、およびその製造方法に関する。
圧電材料としては、従来、セラミックス材料であるPZT(PBZrO−PbTiO系固溶体)が多く用いられてきたが、PZTは、鉛を含有することから、環境負荷が低く、また柔軟性に富む高分子圧電材料が用いられるようになってきている。
現在知られている高分子圧電材料は、主に以下の2種類に大別される。すなわち、ナイロン11、ポリフッ化ビニル、ポリ塩化ビニル、ポリ尿素などに代表されるポーリング型高分子と、ポリフッ化ビニリデン(β型)(PVDF)と、フッ化ビニリデン−トリフルオロエチレン共重合体(P(VDF−TrFE))(75/25)などに代表される強誘電性高分子との2種類である。
しかしながら、高分子圧電材料は、圧電性においてPZTに及ばず、圧電性の向上が要求されている。そのため、種々の観点から高分子圧電材料の圧電性を向上することが試みられている。
例えば、強誘電性高分子であるPVDF、及びP(VDF−TrFE)は、高分子の中でも優れた圧電性を有し、圧電定数d31が20pC/N以上である。PVDF、及びP(VDF−TrFE)から形成されるフィルム材料は、延伸操作により、延伸方向に高分子鎖を配向させた後に、コロナ放電などでフィルムの表裏に異種の電荷を付与することで、フィルム面垂直方向に電界を発生させ、高分子鎖の側鎖にあるフッ素を含む永久双極子を、電界方向に平行に配向させ、圧電性を付与する。しかし、分極したフィルム表面には、配向を打ち消す方向に、空気中の水やイオンのような異種電荷が付着しやすく、分極処理で揃えた永久双極子の配向が緩和し、経時的に圧電性が顕著に低下するといった実用上の課題があった。
PVDFは、上記の高分子圧電材料の中で最も圧電性の高い材料ではあるが、誘電率が高分子圧電材料の中では比較的高く、13であるため、圧電d定数を誘電率で割った値の圧電g定数(単位応力当たりの開放電圧)は小さくなる。また、PVDFは、電気から音響への変換効率は良いものの、音響から電気への変換効率については、改善が期待されていた。
近年、上記の高分子圧電材料以外に、ポリペプチドやポリ乳酸等の光学活性を有する高分子を用いることが着目されている。ポリ乳酸系高分子は、機械的な延伸操作のみで圧電性が発現することが知られている。
光学活性を有する高分子の中でも、ポリ乳酸のような高分子結晶の圧電性は、螺旋軸方向に存在するC=O結合の永久双極子に起因する。特にポリ乳酸は、主鎖に対する側鎖の体積分率が小さく、体積あたりの永久双極子の割合が大きく、ヘリカルキラリティをもつ高分子の中でも理想的な高分子といえる。
延伸処理のみで圧電性を発現するポリ乳酸は、ポーリング処理が不要で、圧電率は数年にわたり減少しないことが知られている。
以上のように、ポリ乳酸には種々の圧電特性があるため、種々のポリ乳酸を用いた高分子圧電材料が報告されている。
例えば、ポリ乳酸の成型物を延伸処理することで、常温で、10pC/N程度の圧電率を示す高分子圧電材が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
また、ポリ乳酸結晶を高配向にするために、鍛造法と呼ばれる特殊な配向方法により18pC/N程度の高い圧電性を出すことも報告されている(例えば、特許文献2参照)。
ところが、上記特許文献1及び2に示される圧電材は、いずれも透明性において不十分である。
そこで、優れた透明性を示す高分子圧電材料とするため、高分子圧電材料を、重量平均分子量が5万〜100万である光学活性を有するヘリカルキラル高分子を含み、DSC法で得られる結晶化度が40%〜80%であり、可視光線に対する透過ヘイズが0.0%〜40%であり、かつ、マイクロ波透過型分子配向計で測定される基準厚さを50μmとしたときの規格化分子配向MORcと結晶化度との積が100〜700であるものとする発明が開示されている(例えば、特許文献3参照)。
なお、上記高分子圧電材料は、さらなる製造効率の向上が求められていた。
特開平5−152638号公報 特開2005−213376号公報 特許4934235号
本発明は、上記の事情に鑑みて、透明性を大きく損ねることなく製造効率が向上された高分子圧電材料を提供することを目的とする。
また、本発明は、透明性を大きく損ねることなく製造効率が向上された高分子圧電材料を製造することができる製造方法を提供することを目的とする。
前記課題を達成するための具体的手段は、以下の通りである。
<1> 重量平均分子量が5万以上100万以下である光学活性を有するヘリカルキラル高分子と結晶核剤とを含み、
DSC法で得られる結晶化度が20%以上80%以下であり、
可視光線に対する透過ヘイズが40%以下であり、
マイクロ波透過型分子配向計で測定される基準厚さを50μmとしたときの規格化分子配向MORcと前記結晶化度との積が40以上700以下である高分子圧電材料であり、
前記ヘリカルキラル高分子の融点Tmaと前記結晶核剤の融点Tmbとが下記式(1)を満たし、かつ、
前記ヘリカルキラル高分子の溶解パラメーターSPa(単位:(J/cm)1/2)と前記結晶核剤の溶解パラメーターSPb(単位:(J/cm)1/2)との差が、絶対値で5以下である高分子圧電材料である。
式(1):Tmb≦Tma+70℃
<2> 前記結晶核剤が、炭素数が6以上のアルキル基を有する成分である、<1>に記載の高分子圧電材料である。
<3> 前記結晶核剤が、ポリグリセリンエステル、エチレンビスヒドロキシステアリン酸アミド、エチレンビスデカン酸アミド、エチレンビスラウリル酸アミド、ヘキサメチレンビス−12−ヒドロキシステアリン酸アミド、ポリ乳酸(但し、前記ヘリカルキラル高分子の光学異性体)から選ばれる少なくとも1種類の化合物である、<1>又は<2>に記載の高分子圧電材料である。
<4> 前記結晶核剤の含有量が、前記ヘリカルキラル高分子100質量部に対し、0.01質量部以上0.8質量部以下である、<1〜<3>のいずれか1つに記載の高分子圧電材料である。
<5> 可視光線に対する透過ヘイズが0.05%以上5%以下であり、
マイクロ波透過型分子配向計で測定される基準厚さを50μmとしたときの規格化分子配向MORcが2.0以上10.0以下である、<1>〜<4>のいずれか1つに記載の高分子圧電材料である。
<6> 25℃において変位法で測定した圧電定数d14が1pm/V以上である、<1>〜<5>のいずれか1つに記載の高分子圧電材料である。
<7> 前記ヘリカルキラル高分子が、下記構造式(1)で表される繰り返し単位を含む主鎖を有するポリ乳酸系高分子である、<1>〜<6>のいずれか1つに記載の高分子圧電材料である。

<8> 前記ヘリカルキラル高分子は、光学純度が95.00%ee以上である、<1>〜<7>のいずれか1つに記載の高分子圧電材料である。
<9> 前記ヘリカルキラル高分子の含有量が、高分子圧電材料の全質量に対して80質量部以上である、<1>〜<8>のいずれか一項に記載の高分子圧電材料である。
<10> <1>〜<9>のいずれか1つに記載の高分子圧電材料を製造する高分子圧電材料の製造方法であって、
ヘリカルキラル高分子と結晶核剤とを含む非晶状態のシートを加熱して予備結晶化シートを得る第一の工程と、
前記予備結晶化シートを主として1軸方向に延伸する第二の工程と、
を含む、高分子圧電材料の製造方法である。
<11> 前記第一の工程は、前記非晶状態のシートを結晶化度が3%以上70%以下になるまで下記式(2)を満たす温度Tで加熱して予備結晶化シートを得る、<10>に記載の高分子圧電材料の製造方法。
式(2):Tg−40℃≦T≦Tg+40℃
[式(2)において、Tgは前記ヘリカルキラル高分子のガラス転移温度を示す。]
<12> 前記第一の工程において、前記ヘリカルキラル高分子としてポリ乳酸を含む非晶状態のシートを、60℃以上170℃以下で5秒以上60分以下加熱する、<10>又は<11>に記載の高分子圧電材料の製造方法である。
<13> 前記第二の工程の後に、アニール処理をする、<10>〜<12>のいずれか1つに記載の高分子圧電材料の製造方法。
<14> <1>〜<9>のいずれか1つに記載の高分子圧電材料を製造する方法であって、前記ヘリカルキラル高分子と前記結晶化剤とを含むシートを主として1軸方向に延伸する工程と、アニール処理をする工程と、をこの順で含む高分子圧電材料の製造方法。
本発明は、透明性を大きく損ねることなく製造効率が向上された高分子圧電材料を提供する。
また、本発明は、透明性を大きく損ねることなく製造効率が向上された高分子圧電材料を製造することができる製造方法を提供する。
<本発明の高分子圧電材料>
本発明の高分子圧電材料は、重量平均分子量が5万以上100万以下である光学活性を有するヘリカルキラル高分子と結晶核剤とを含み、
DSC法で得られる結晶化度が20%以上80%以下であり、
可視光線に対する透過ヘイズが40%以下であり、
マイクロ波透過型分子配向計で測定される基準厚さを50μmとしたときの規格化分子配向MORcと前記結晶化度との積が40以上700以下である高分子圧電材料であり、
前記ヘリカルキラル高分子の融点Tmaと前記結晶核剤の融点Tmbとが下記式(1)を満たし、かつ、
前記ヘリカルキラル高分子の溶解パラメーターSPa(単位:(J/cm)1/2)と前記結晶核剤の溶解パラメーターSPb(単位:(J/cm)1/2)との差の絶対値が5以下である高分子圧電材料である。
式(1):Tmb≦Tma+70℃
本発明の高分子圧電材料は、上記光学活性を有するヘリカルキラル高分子と、融点及び溶解パラメーターが上記要件を満たす結晶核剤と、を含む上記構成のものとすることにより、透明性を大きく損ねることなく製造効率が向上された高分子圧電材料となる。
これは、上記要件を満たす結晶核剤は、上記光学活性を有するヘリカルキラル高分子を含む高分子圧電材料において、特に、結晶を形成し易くする働きや、結晶核を並べ易くする働きが向上するためであると推測される。
なお、本発明において、製造効率が向上するとは、高分子圧電材料の製造における光学活性高分子等の配向及び結晶化が促進されることで結晶の成長速度が速くなることを示す。
つまり、本発明でいう製造効率の向上とは、結晶化が生じる工程、具体的には予備結晶化工程や延伸工程などの工程において、要する時間や温度などの条件が短縮されたり、緩和されるという効果を総称して示している。
以上より、本発明の高分子圧電材料は、透明性を大きく損ねることなく製造効率が向上された高分子圧電材料となる。
以下、本発明の高分子圧電材料について詳細に説明する。
〔光学活性を有するヘリカルキラル高分子〕
光学活性を有するヘリカルキラル高分子とは、分子構造が螺旋構造である分子光学活性を有する高分子をいう。
光学活性を有するヘリカルキラル高分子(以下、「光学活性高分子」と称する場合がある)としては、例えば、ポリペプチド、セルロース誘導体、ポリ乳酸系高分子、ポリプロピレンオキシド、ポリ(β―ヒドロキシ酪酸)等を挙げることができる。
前記ポリペプチドとしては、例えば、ポリ(グルタル酸γ−ベンジル)、ポリ(グルタル酸γ−メチル)等が挙げられる。
前記セルロース誘導体としては、例えば、酢酸セルロース、シアノエチルセルロース等が挙げられる。
光学活性高分子は、高分子圧電材料の圧電性を向上し、透明性を大きく損ねることなく製造効率が向上された高分子圧電材料を得る観点から、光学純度が95.00%ee以上であることが好ましく、99.00%ee以上であることがより好ましく、99.99%ee以上であることがさらに好ましい。好ましくは100.00%eeである。光学活性高分子の光学純度を上記範囲とすることで、圧電性が高くなり、高い透明性を実現すると考えられる。
本発明において、光学活性高分子の光学純度は、下記式にて算出した値である。
光学純度(%ee)=100×|L体量−D体量|/(L体量+D体量)
すなわち、『「光学活性高分子のL体の量〔質量%〕と光学活性高分子のD体の量〔質量%〕との量差(絶対値)」を「光学活性高分子のL体の量〔質量%〕と光学活性高分子のD体の量〔質量%〕との合計量」で割った(除した)数値』に、『100』をかけた(乗じた)値を、光学純度とする。
なお、光学活性高分子のL体の量〔質量%〕と光学活性高分子のD体の量〔質量%〕は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いた方法により得られる値を用いる。具体的な測定の詳細については後述する。
以上の光学活性高分子の中でも、透明性を大きく損ねることなく製造効率が向上された高分子圧電材料を得る観点から、下記構造式(1)で表される繰り返し単位を含む主鎖を有する化合物が好ましい。

前記構造式(1)で表される繰り返し単位を主鎖とする化合物としては、ポリ乳酸系高分子が挙げられる。中でも、ポリ乳酸が好ましく、L−乳酸のホモポリマー(PLLA)またはD−乳酸のホモポリマー(PDLA)が最も好ましい。
前記ポリ乳酸系高分子とは、「ポリ乳酸」、「L−乳酸またはD−乳酸と、共重合可能な多官能性化合物とのコポリマー」、又は、両者の混合物をいう。
前記「ポリ乳酸」は、乳酸がエステル結合によって重合し、長く繋がった高分子であり、ラクチドを経由するラクチド法と、溶媒中で乳酸を減圧下加熱し、水を取り除きながら重合させる直接重合法などによって製造できることが知られている。前記「ポリ乳酸」としては、L−乳酸のホモポリマー、D−乳酸のホモポリマー、L−乳酸およびD−乳酸の少なくとも一方の重合体を含むブロックコポリマー、及び、L−乳酸およびD−乳酸の少なくとも一方の重合体を含むグラフトコポリマーが挙げられる。
前記「共重合可能な多官能性化合物」としては、グリコール酸、ジメチルグリコール酸、3−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ酪酸、2−ヒドロキシプロパン酸、3−ヒドロキシプロパン酸、2−ヒドロキシ吉草酸、3−ヒドロキシ吉草酸、4−ヒドロキシ吉草酸、5−ヒドロキシ吉草酸、2−ヒドロキシカプロン酸、3−ヒドロキシカプロン酸、4−ヒドロキシカプロン酸、5−ヒドロキシカプロン酸、6−ヒドロキシカプロン酸、6−ヒドロキシメチルカプロン酸、マンデル酸等のヒドロキシカルボン酸、グリコリド、β−メチル−δ−バレロラクトン、γ−バレロラクトン、ε−カプロラクトン等の環状エステル、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、テレフタル酸等の多価カルボン酸、及びこれらの無水物、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、テトラメチレングリコール、1,4−ヘキサンジメタノール等の多価アルコール、セルロース等の多糖類、及び、α−アミノ酸等のアミノカルボン酸等を挙げることができる。
前記「乳酸と共重合可能な多官能性化合物とのコポリマー」としては、らせん結晶を生成可能なポリ乳酸シーケンスを有する、ブロックコポリマーまたはグラフトコポリマーが挙げられる。
また光学活性高分子中のコポリマー成分に由来する構造の濃度は20mol%以下であることが好ましい。例えば光学活性高分子がポリ乳酸系高分子の場合、前記高分子中の乳酸に由来する構造と乳酸と共重合可能な化合物(コポリマー成分)に由来する構造のモル数の合計に対して、前記コポリマー成分が20mol%以下であることが好ましい。
前記ポリ乳酸系高分子は、例えば、特開昭59−096123号公報、及び特開平7−033861号公報に記載されている乳酸を直接脱水縮合して得る方法や、米国特許2,668,182号及び4,057,357号等に記載されている乳酸の環状二量体であるラクチドを用いて開環重合させる方法などにより製造することができる。
さらに、前記の各製造方法により得られた光学活性高分子は、光学純度を95.00%ee以上とするために、例えば、ポリ乳酸をラクチド法で製造する場合、晶析操作により光学純度を95.00%ee以上の光学純度に向上させたラクチドを、重合することが好ましい。
(光学活性高分子の重量平均分子量)
光学活性高分子は、重量平均分子量(Mw)が、5万以上100万以下である。
光学活性高分子の重量平均分子量の下限が、5万未満であると光学活性高分子を成型体としたときの機械的強度が不十分となる。光学活性高分子の重量平均分子量の下限は、10万以上であることが好ましく、20万以上であることがさらに好ましい。一方、光学活性高分子の重量平均分子量の上限が100万を超えると、光学活性高分子を成型体としたときのフィルムなどの押出成型などの成形をすることが難しくなる。重量平均分子量の上限は、80万以下であることが好ましく、30万以下であることがさらに好ましい。
また、前記光学活性高分子の分子量分布(Mw/Mn)は、高分子圧電材料の強度の観点から、1.1以上5以下であることが好ましく、1.2以上4以下であることがより好ましい。さらに1.4以上3以下であることが好ましい。
なお、ポリ乳酸系高分子の重量平均分子量Mwと、分子量分布(Mw/Mn)は、ゲル浸透クロマトグラフ(GPC)を用い、下記GPC測定方法により、測定される。
−GPC測定装置−
Waters社製GPC−100
−カラム−
昭和電工社製、Shodex LF−804
−サンプルの調製−
ポリ乳酸系高分子を40℃で溶媒(例えば、クロロホルム)へ溶解させ、濃度1mg/mlのサンプル溶液を準備する。
−測定条件−
サンプル溶液0.1mlを溶媒〔クロロホルム〕、温度40℃、1ml/分の流速でカラムに導入する。
カラムで分離されたサンプル溶液中のサンプル濃度を示差屈折計で測定する。ポリスチレン標準試料にてユニバーサル検量線を作成し、ポリ乳酸系高分子の重量平均分子量(Mw)および分子量分布(Mw/Mn)を算出する。
ポリ乳酸系高分子は、市販のポリ乳酸を用いことができ、例えば、PURAC社製のPURASORB(PD、PL)、三井化学社製のLACEA(H−100、H−400)等が挙げられる。
光学活性高分子としてポリ乳酸系高分子を用いるとき、ポリ乳酸系高分子の重量平均分子量(Mw)を5万以上とするためには、ラクチド法、または直接重合法により光学活性高分子を製造することが好ましい。
(光学活性高分子の含有量)
光学活性高分子の含有量は、高分子圧電材料全質量中に対して、80質量%以上であることが好ましい。
光学活性高分子の含有量は、高分子圧電材料全質量中に対して80質量%以上であることにより、圧電定数が大きくなる傾向にある。
また、高分子圧電材料には結晶核剤も含まれることから、光学活性高分子の含有量は、高分子圧電材料全質量中に対して実質的に95質量%以下であることが好ましい。
〔結晶核剤(結晶促進剤)〕
結晶核剤は、高分子圧電材料において、結晶化を促進させる働きを持つ。
本発明の高分子圧電材料の結晶核剤としては、透明性を大きく損ねることなく製造効率が向上された高分子圧電材料を得る観点から、長鎖のアルキル基を有することが好ましく、具体的には、炭素数が6以上のアルキル基を有することが好ましい。
上記アルキル基は、直鎖状、又は分鎖状のいずれでもよく、また、側鎖として有していてもよい。
結晶核剤は、炭素数が6以上の長鎖アルキル基を有することにより、疎水性が高くなる。
そのため、炭素数が6以上のアルキル基を有する結晶核剤は、例えば、光学活性高分子として疎水性が高いもの、例えばポリ乳酸系高分子などを含む高分子圧電材料に適用した場合、光学活性高分子及び結晶核剤はいずれも疎水性が高いものとなるため、光学活性高分子の溶解パラメーターの値と、結晶核剤の溶解パラメーターの値との差が小さくなり、これらの相溶性がよくなり、高い透明性を実現すると考えられる。
結晶核剤として具体的には、例えば、ポリグリセリンエステル、エチレンビスヒドロキシステアリン酸アミド、エチレンビスデカン酸アミド、エチレンビスラウリル酸アミド、ヘキサメチレンビス−12−ヒドロキシステアリン酸アミド、ポリ乳酸(但し、光学活性高分子の光学異性体)、[メチレンビス(3,5−ジ−tert−ブチル−オルトフェニレン)オキシ]ホスフィン酸ナトリウム、エチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスベヘン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミドが挙げられる。
上記の光学活性高分子の光学異性体であるポリ乳酸とは、例えば、高分子圧電材料に含まれる光学活性高分子としてポリ乳酸が用いられており、該ポリ乳酸がL体のポリ乳酸を多く含むポリ乳酸である場合、D体のポリ乳酸を多く含むポリ乳酸を示す。
また、上記の光学活性高分子の光学異性体であるポリ乳酸とは、例えば、高分子圧電材料に含まれる光学活性高分子として、D体のポリ乳酸を多く含むポリ乳酸が用いられている場合、L体のポリ乳酸を多く含むポリ乳酸を示す。
結晶核剤は、上記の中でも、エチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスデカン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミド、ポリグリセリンエステル、エチレンビスヒドロキシステアリン酸アミドが好ましく、ポリグリセリンエステル、エチレンビスヒドロキシステアリン酸アミドがより好ましい。
(結晶核剤の重量平均分子量)
上記の結晶核剤のうち、ポリ乳酸以外の結晶核剤の重量平均分子量は、200以上2000以下が好ましく、300以上1800以下が好ましく、400以上1500以下がより好ましい。
結晶核剤の重量平均分子量は、200以上であることにより、高分子圧電材料の成形時の揮発や、高分子圧電材料からのブリードアウトが減少する傾向にあり、2000以下であることにより、高分子圧電材料への分散性が向上し、透明性が高くなる傾向にある。
また、結晶核剤がポリ乳酸の場合は、1000以上200000以下が好ましく、1500以上50000以下がより好ましく、2000以上20000以下がさらに好ましい。
結晶核剤としてのポリ乳酸の重量平均分子量は、1000以上であることにより、結晶性を発現する傾向にあり、200000以下であることにより、分子鎖の運動性が向上し、結晶核剤効果が向上する傾向にある。
−測定方法−
結晶核剤の重量平均分子量は、光学活性高分子の重量平均分子量における既述の測定方法と同様の方法により測定することができる。なおGPC以外にもGC−MS,FAB−MS,ESI−MS,TOF−MSなどの測定方法でも測定することができる。
(結晶核剤の含有量)
結晶核剤の含有量は、ヘリカルキラル高分子100質量部に対して0.01質量部以上0.8質量部以下が好ましく、0.1質量部以上0.7質量部以下がより好ましく、さらに良好な結晶促進効果の観点から、特に好ましくは、0.2質量部以上0.6質量部以下である。
結晶核剤の上記含有量は、0.01質量部以上であることにより、結晶促進の効果が十分に発揮されることとなり、0.8質量部以下であることにより、結晶化の速度を制御し易くなり、高分子圧電材料の透明性が向上する傾向にある。
また、結晶核剤が長鎖アルキル基を有する場合、該結晶核剤は高分子圧電材料中における滑りをよくする可塑剤のような働きがあると考えられるため、高分子圧電材料における該結晶核剤の含有量は0.8質量部以下であることにより、高分子圧電材料の延伸工程において高分子圧電材料やその結晶部に対する延伸する力が伝播しにくくなることを抑制し、その結果、圧電定数の低下を抑制すると考えられる。
ここで、単に『圧電定数』と称するときは、「圧電定数d14」を指し、「圧電定数d14」とは、圧電率のテンソルの一つであり、延伸した材料の延伸軸方向に、ずり応力を印加したとき、ずり応力の方向に分極が生じるとき、単位ずり応力あたりの発生電荷密度をd14と定義する。圧電定数d14の数値が大きいほど圧電性が高いことを表す。
圧電定数d14は、以下の方法で算出される値である。すなわち、延伸方向に対して、斜め45°の方向を長手方向とした矩形フィルムを試験片とする。この試験片の主面の表裏全面に電極層を設け、この電極に印加電圧E(V)を加えたとき、フィルムの長手方向の歪量をXとする。印加電圧E(V)をフィルムの厚さt(m)で割った値を電界強度E(V/m)とし、E(V)印加したときのフィルムの長手方向の歪量をXとしたとき、d14は、2×歪量X/電界強度E(V/m)で定義される値である。
また、複素圧電率d14は、「d14=d14’―id14’’」として算出され、「d14’」と「id14’’」は東洋精機製作所社製「レオログラフソリッドS−1型」より得られる。「d14’」は、複素圧電率の実数部を表し、「id14’’」は、複素圧電率の虚数部を表し、d14’(複素圧電率の実数部)は本発明における圧電定数d14に相当する。尚、複素圧電率の実数部が高いほど圧電性に優れることを示す。圧電定数d14には変位法で測定されるもの(単位:pm/V)と、共振法により測定されるもの(単位:pC/N)とがある。
〔その他の成分〕
本発明の高分子圧電材料は、本発明の効果を損なわない限度において、ヘリカルキラル高分子及び結晶核剤以外に、ポリエチレン樹脂やポリスチレン樹脂に代表される公知の樹脂や、シリカ、ヒドロキシアパタイト、モンモリロナイト等の無機フィラー、フタロシアニン等の公知の結晶核剤等他の成分を含有していてもよい。
−無機フィラー−
例えば、高分子圧電材料を、気泡等のボイドの発生を抑えた透明なフィルムとするために、高分子圧電材料中に、ヒドロキシアパタイト等の無機フィラーをナノ分散してもよいが、無機のフィラーをナノ分散させるためには、凝集塊の解砕に大きなエネルギーが必要であり、また、フィラーがナノ分散しない場合、フィルムの透明度が低下する場合がある。本発明に係る高分子圧電材料が無機フィラーを含有するとき、高分子圧電材料全質量に対する無機フィラーの含有量は、1質量%未満とすることが好ましい。
なお、高分子圧電材料がヘリカルキラル高分子以外の成分を含む場合、ヘリカルキラル高分子以外の成分の含有量は、高分子圧電材料全質量中に対して、20質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることがより好ましい。
〔構造〕
後述するように、本発明の高分子圧電材料は、高度に分子が配向している。この配向を表す指標として、「分子配向度MOR」がある。分子配向度MOR(Molecular Orientation Ratio)は、分子の配向の度合いを示す値であり、以下のようなマイクロ波測定法により測定される。
すなわち、試料(フィルム)を、周知のマイクロ波分子配向度測定装置のマイクロ波共振導波管中に、マイクロ波の進行方向に前記試料面(フィルム面)が垂直になるように配置する。そして、振動方向が一方向に偏ったマイクロ波を試料に連続的に照射した状態で、試料をマイクロ波の進行方向と垂直な面内で0〜360°回転させて、試料を透過したマイクロ波強度を測定することにより分子配向度MORを求める。
本発明における規格化分子配向MORcとは、基準厚さtcを50μmとしたときのMOR値であって、下記式により求めることができる。
MORc = (tc/t)×(MOR−1)+1
(tc:補正したい基準厚さ、t:試料厚さ)
規格化分子配向MORcは、公知の分子配向計、例えば王子計測機器株式会社製マイクロ波方式分子配向計MOA−2012AやMOA−6000等により、4GHzもしくは12GHz近傍の共振周波数で測定することができる。
規格化分子配向MORcは、後述の通り、主に一軸延伸フィルムの延伸前の加熱処理条件(加熱温度および加熱時間)や延伸条件(延伸温度および延伸速度)等によって制御されうる。
なお規格化分子配向MORcは、位相差量(レターデーション)をフィルムの厚さで除した複屈折率Δnに変換することもできる。具体的には、レターデーションは大塚電子株式会社製RETS100を用いて測定することができる。またMORcとΔnとは大凡、直線的な比例関係にあり、かつΔnが0の場合、MORcは1になる。
例えば、ヘリカルキラル高分子がポリ乳酸系高分子で複屈折率Δnを測定波長550nmで測定した場合、規格化分子配向MORcの好ましい範囲の下限である2.0は、複屈折率Δn 0.005に変換できる。また高分子圧電材料の規格化分子配向MORcと結晶化度の積の好ましい範囲の下限である40は、高分子圧電材料の複屈折率Δnと結晶化度の積が0.1に変換することができる。
<高分子圧電材料の物性>
〔結晶化度〕
本発明における高分子圧電材料の結晶化度は、DSC法によって求められるものであり、本発明の高分子圧電材料の結晶化度は20%以上80%以下であり、25%以上70%以下が好ましく、30%以上50%以下がより好ましい。前記範囲に結晶化度があれば、高分子圧電材料の圧電性、透明性のバランスがよく、また高分子圧電材料を延伸するときに、白化や破断がおきにくく製造しやすい。
〔透過ヘイズ(透明性)〕
本発明の高分子圧電材料の透明性は、例えば、目視観察や透過ヘイズの測定により評価することができる。高分子圧電材料の透過ヘイズは、可視光線に対する透過ヘイズが40%以下であり、0.0%以上20%以下であることが好ましく、5%以下であることが好ましく、さらに1%以下であることがより好ましい。
ここで、透過ヘイズは、厚さ0.05mmの高分子圧電材料に対して、JIS−K7105に準拠して、ヘイズ測定機〔(有)東京電色製、TC−HIII DPK〕を用いて25℃で測定したときの値であり、測定方法の詳細は実施例において後述する。
なお、本願でいう「透過ヘイズ」とは、本発明の高分子圧電材料の内部へイズをいう。内部へイズとは、実施例において後述するように前記高分子圧電材料の外表面の形状によるヘイズを除外したヘイズである。
〔規格化分子配向MORc〕
本発明の高分子圧電材料は、規格化分子配向MORcが2.0以上15.0以下であることが好ましく、3.0以上10.0以下であることが好ましく、4.0以上8.0以下であることがより好ましい。規格化分子配向MORcが2.0以上15.0以下の範囲にあれば、延伸方向に配列する光学活性高分子の分子鎖が多く、その結果、配向結晶の生成する率が高くなり、高い圧電性を発現することが可能となる。
〔規格化分子配向MORcと結晶化度の積〕
本発明の高分子圧電材料の結晶化度と規格化分子配向MORcとの積は、40以上700以下であり、好ましくは75以上660以下、さらに好ましくは90以上650以下さらに好ましくは125以上650以下、さらに好ましくは150以上350以下である。高分子圧電材料の結晶化度と、規格化分子配向MORcとの積が40以上700以下の範囲にあれば、高分子圧電材料の圧電性と透明性とのバランスが良好であり、かつ寸法安定性も高く、後述する圧電素子として好適に用いることができる。
〔圧電定数(変位法)〕
本発明において、変位法による高分子圧電材料の圧電定数は、次のようにして測定される値をいう。
高分子圧電材料を、延伸方向(MD方向)に40mm、延伸方向に直交する方向(TD方向)に40mmでそれぞれカットして、矩形の試験片を作製する。
アルバック社製スパッタ薄膜形成装置JSP−8000の試験台に、得られた試験片をセットし、ロータリーポンプによりコータチャンバー内を真空状態(例えば、10−3Pa以下)にする。その後、Ag(銀)ターゲットに、印加電圧280V、スパッタリング電流0.4A)の条件で、試験片の一方の面に500秒間スパッタリング処理をする。次いで、試験片の他方の面を、同様の条件で500秒間スパッタリング処理をして、試験片の両面にAgを被覆し、Agの導電層を形成する。
両面にAgの導電層が形成された40mm×40mmの試験片を、高分子圧電材料の延伸方向(MD方向)に対して45°なす方向に32mm、45°なす方向に直交する方向に5mmにカットして、32mm×5mmの矩形のフィルムを切り出す。これを、圧電定数測定用サンプルとした。
得られたサンプルに、10Hz、300Vppの交流電圧を印加したときの、フィルムの変位の最大値と最小値の差分距離を、キーエンス社製レーザ分光干渉型変位計SI−1000により計測した。計測した変位量(mp−p)を、フィルムの基準長30mmで割った値を歪量とし、この歪量をフィルムに印加した電界強度((印加電圧(V))/(フィルム厚))で割った値に2を乗じた値を圧電定数(圧電定数d14)とした。
なお、「圧電定数d14」とは、圧電率のテンソルの一つであり、本発明において、単に『圧電定数』と称するときは、「圧電定数d14」を指す。
圧電定数は高ければ高いほど、高分子圧電材料に印加される電圧に対する前記材料の変位、逆に高分子圧電材料に印加される力に対し発生する電圧が大きくなり、高分子圧電材料としては有用である。
具体的には、25℃における変位法で測定した圧電定数は1pm/V以上が好ましく、4pm/V以上がより好ましく、5pm/V以上がさらに好ましい。
圧電定数の上限は特に限定されないが、後述する透明性などのバランスの観点からは、光学活性高分子を用いた圧電材料では50pm/V以下が好ましく、30pm/V以下がより好ましい。
〔圧電定数(共振法)〕
本発明において、共振法による高分子圧電材料の圧電定数は、次のようにして測定される値をいう。
高分子圧電材料を、延伸方向(MD方向)に32mm、延伸方向に直交する方向(TD方向)に30mmにカットして、矩形の試験片を作製する。
サンユー電子社製クイックコータSC−701の試験台に、得られた試験片をセットし、ロータリーポンプによりコータチャンバー内を真空状態(例えば、10−3Pa以下)にする。その後、Au(金)ターゲット、スパッタリング電流4mAの条件で、試験片の一方の面に3分間スパッタリング処理をする。次いで、試験片の他方の面を、同様の条件で3分間スパッタリング処理をして、試験片の両面にAuを被覆し、Auの導電層を形成する。
両面にAuの導電層が形成された32mm×30mmの試験片を、高分子圧電材料の延伸方向(MD方向)に10mm、延伸方向に直交する方向(TD方向)に9mmにカットして、矩形のフィルムを切り出す。これを、共振−反共振法測定用サンプルとする。
得られた共振−反共振法測定用サンプルについて、横河ヒューレットパッカード社製インピーダンスアナライザHP4194Aを用いて、50kHz〜100kHzの帯域に現れるインピーダンスの共振曲線を測定する。得られるインピーダンスの共振曲線及び比誘電率εrから、Jpn.J.Appl.Phys.Vol.37(1998)pp.3374−3376,part1,No.6A,June 1998に示されている方法に準じて圧電定数d14を算出する。
得られた圧電定数を、高分子圧電材料の圧電定数とする。
なお、比誘電率εは、共振−反共振法測定用サンプルについて、ヒューレットパッカード社製LCRメータHP4284Aを用いて測定した静電容量C〔F〕から、下記式(A)により算出する。

上記式(A)において、ε、C、d、ε、及びSは次のとおりである。
ε:共振−反共振法測定用サンプルの比誘電率
C:共振−反共振法測定用サンプルの静電容量〔F〕
d:共振−反共振法測定用サンプルの厚さ〔m〕
ε:真空の誘電率
S:共振−反共振法測定用サンプルの面積〔m
〔光学活性高分子の融点及び結晶核剤の融点〕
本発明の高分子圧電材料は、含まれている光学活性高分子の融点Tmaと結晶核剤の融点Tmbとが、下記式(1)を満たす。
式(1):Tmb≦Tma+70℃
融点Tmbは、成形加工時の分散性の観点から、Tma+70℃以下が望ましく、Tma+30℃以下がより望ましい。
光学活性高分子の融点Tmaは、140℃以上190℃以下が好ましく、150℃以上185℃以下がより好ましく、160℃以上180℃以下がさらに好ましい。
また、結晶核剤の融点Tmbは、60℃以上230℃以下が好ましく、70℃以上210℃以下がより好ましく、80℃以上190℃以下がさらに好ましい。
−測定方法−
融点Tma及び融点Tmbの測定は、示差走査型熱量計(DSC)を用い、光学活性を有するヘリカルキラル高分子に対して、昇温速度10℃/分の条件で温度を上昇させたときの融解吸熱曲線から、吸熱反応のピーク値として求める。
〔光学活性高分子の融点及び結晶核剤の溶解パラメーター〕
本発明の高分子圧電材料は、含まれている光学活性高分子の溶解パラメーターSPa(単位:(J/cm)1/2)と結晶核剤の溶解パラメーターSPb(単位:(J/cm)1/2)との差の絶対値が5以下である高分子圧電材料である。
溶解パラメーターSPaと溶解パラメーターSPbとの差の絶対値は、小さくなるほど相溶性が向上し、透明性を大きく損ねることなく製造効率が向上された高分子圧電材料を実現し得ることから、絶対値で5以下が望ましく、2以下がより望ましい。
光学活性高分子の溶解パラメーターSPa(単位:(J/cm)1/2)は、18以上23以下が好ましく、19以上22以下がより好ましく、20以上21以下がさらに好ましい。
また、結晶核剤の溶解パラメーターSPb(単位:(J/cm)1/2)は、15以上26以下が好ましく、16以上24以下がより好ましく、18以上22以下がさらに好ましい。
−測定方法−
溶解パラメーターの測定は、Askadskiiの方法[A.A.Askadaskii et al.,Vysokomol.Soyed.,A19,1004(1977).]に示された方法に従って行う。
<高分子圧電材料の製造>
本発明の高分子圧電材料の原料は、既述のポリ乳酸系高分子などの光学活性高分子、結晶核剤、及び必要に応じて他の成分を混合することにより、得ることができる。
原料となる混合物は溶融混練することが好ましい。
具体的には、例えば、2種類の光学活性高分子と結晶核剤とを混合する場合や光学活性高分子と結晶核剤とに上述の無機フィラーを混合する場合が挙げられ、この場合、混合する光学活性高分子等を、溶融混練機〔東洋精機社製、ラボプラストミキサー〕を用い、ミキサー回転数30rpm〜70rpm、180℃〜250℃の条件で、5分〜20分間溶融混練することで、複数種の光学活性高分子のブレンド体や光学活性高分子と無機フィラーなどの他の成分とのブレンド体を得ることができる。
−第1の方法−
本発明の高分子圧電材料は、例えば、光学活性高分子と結晶核剤とを含む非晶状態のシートを加熱して予備結晶化シートを得る第一の工程と、前記予備結晶化シートを主として1軸方向に延伸する第二の工程と、を含む、製造方法によって製造されうる。
なお、上記非晶状態のシートとは、光学活性高分子と結晶核剤とを含む組成物(例えば、上記原料)をTma以上の温度に加熱後に急冷したシートを示す。急冷する温度としては、例えば、50℃が挙げられる。
一般的に延伸時にフィルムにかける力を増やすことで、光学活性高分子の配向が促進され圧電定数も大きくなり、結晶化が進み、結晶サイズが大きくなることで透過ヘイズが大きくなる傾向にある。また内部応力の増加により寸法変形率も増加する傾向がある。単純にフィルムに力をかけた場合、球晶のように配向していない結晶が形成される。球晶のような配向が低い結晶は、透過ヘイズを上げるものの圧電定数の増加には寄与しにくい。よって、圧電定数が高く、透過ヘイズ及び寸法変形率が低いフィルムを形成するためには、圧電定数に寄与する配向結晶を、透過ヘイズを増大させない程度の微小サイズで効率よく形成する必要がある。
本発明の高分子圧電材料の第一の製造方法においては、例えば延伸の前にシート内を予備結晶化させ微細な結晶を形成した後に延伸する。これにより、延伸時にフィルムにかけた力を微結晶と微結晶の間の結晶性が低い高分子部分に効率よくかけることができるようになり、光学活性高分子を主な延伸方向に効率よく配向させることができる。具体的には、微結晶と微結晶の間の結晶性が低い高分子部分内に、微細な配向結晶が生成すると同時に、予備結晶化によって生成された球晶がくずれ、球晶を構成しているラメラ晶が、タイ分子鎖につながれた数珠繋ぎ状に延伸方向に配向することで、所望の値のMORcを得ることができる。このため、圧電定数を大きく低下させることなく、透過ヘイズ及び寸法変形率の値が低いシートを得ることができる。
規格化分子配向MORcを制御するには、第一の工程の加熱処理時間および加熱処理温度、および第二の工程の延伸速度および延伸温度の調整が重要である。
前述のとおり、光学活性高分子は、分子構造が螺旋構造である分子光学活性を有する高分子であり、光学活性高分子を含む非晶状態のシートは、市場から入手可能なものでもよく、押出成形などの公知のフィルム成形手段で作製されてもよい。非晶状態のシートは単層であっても、多層であっても構わない。
なお、本発明の高分子圧電材料の製造は、例えば、後述する各工程を連続して行う製造方法(連続1軸延伸法)で行ってもよく、後述する各工程をバッチ形式で行う製造方法(バッチ1軸延伸法)で行ってもよい。
〔第一の工程(予備結晶化工程)〕
予備結晶化シートは、光学活性高分子と結晶核剤とを含む非晶状態のシートを加熱処理して結晶化させることで得ることができる。
具体的には、1)非晶状態のシートを加熱処理により結晶化したシートを、後述する延伸工程(第二の工程)に送り、延伸装置にセットして延伸してもよいし(オフラインによる加熱処理)、または2)加熱処理により結晶化されていない非晶状態のシートを、延伸装置にセットして、延伸装置にて加熱処理温度Tで加熱して予備結晶化し、その後、連続して延伸工程(第二の工程)に送って、延伸してもよい(インラインによる加熱処理)。
また、非晶状態のヘリカルキラル高分子を含むシートを予備結晶化するための加熱処理温度Tは、下記式(2)を満たし、本製造方法で製造される高分子圧電材料の圧電性や透明性など高める点で、非晶状態のシートを結晶化度が3%以上70%以下になるまで加熱して予備結晶化シートを得るのがより好ましい。
式(2):Tg−40℃≦T≦Tg+40℃
なお、Tgは、光学活性高分子材料のガラス転移温度を表す。
予備結晶化するための加熱処理時間は、所望の結晶化度を満たし、かつ延伸後(第二工程後または後述するアニールを行う場合はアニール工程後)の高分子圧電材料の規格化分子配向MORcと延伸後の高分子圧電材料の結晶化度の積が40以上700以下であり、好ましくは75以上660以下、さらに好ましくは90以上650以下さらに好ましくは125以上650以下、さらに好ましくは150以上350以下になるように調整されればよい。加熱処理時間が長くなると、延伸後の結晶化度も高くなり、延伸後の規格化分子配向MORcも高くなる。加熱処理時間が短くなると、延伸後の結晶化度も低くなり、延伸後の規格化分子配向MORcも低くなる。
延伸前の予備結晶化シートの結晶化度が高くなると、シートが硬くなってより大きな延伸応力がシートにかかるので、前記シート中の結晶性が比較的低い部分も配向が強くなり、延伸後の規格化分子配向MORcも高くなる。逆に、延伸前の予備結晶化シートの結晶化度が低くなると、シートが柔らかくなって延伸応力がよりシートにかかりにくくなるので、前記シート中の結晶性が比較的低い部分も配向が弱くなり、延伸後の規格化分子配向MORcも低くなると考えられる。
加熱処理時間は、加熱処理温度、シートの厚み、シートを構成する樹脂の分子量、添加剤などの種類または量によって異なる。また、シートを結晶化させる実質的な加熱処理時間は、後述する延伸工程(第二工程)の前に行なってもよい予熱において、非晶状態のシートが結晶化する温度で予熱した場合、前記予熱時間と、予熱前の予備結晶化工程における加熱処理時間の和に相当する。
非晶状態のシートの加熱処理時間は、通常は5秒以上60分以下であり、製造条件の安定化という観点からは1分以上30分以下でもよい。例えば、光学活性高分子としてポリ乳酸樹脂を含む非晶状態のシートを予備結晶化する場合は、60℃以上170℃以下で、5秒以上60分以下加熱することが好ましく、1分以上30分以下でもよい。
延伸後のシートに効率的に圧電性、透明性、高寸法安定性を付与するには、延伸前の予備結晶化シートの結晶化度を調整することが重要である。すなわち、延伸により圧電性や寸法安定性が向上する理由は、延伸による応力が、球晶状態にあると推測される予備結晶化シート中の結晶性が比較的高い部分に集中し、球晶が破壊されつつ配向することで圧電性d14が向上する一方、球晶を介して延伸応力が結晶性の比較的低い部分にもかかり、配向を促し、圧電性d14を向上させるからと考えられるからである。
延伸後(後述するアニールを行う場合はアニール工程後)のシートの結晶化度は、20%以上80%以下、好ましくは25%以上70%以下、より好ましくは30%以上50%以下になるように設定される。そのため、予備結晶化シートの延伸直前の結晶化度は3〜70%、好ましくは10〜60%、さらに好ましくは15〜50%になるように設定されうる。
予備結晶化シートの結晶化度は、延伸後の本発明の高分子圧電材料の結晶化度の測定と同様に行なえばよい。
予備結晶化シートの厚みは、第二の工程の延伸により得ようとする高分子圧電材料の厚みと延伸倍率によって主に決められるが、好ましくは50μm以上1000μm以下であり、より好ましくは200μm以上800μm以下程度である。
〔第二の工程(延伸工程)〕
第二の工程である、延伸工程における延伸方法は特に制限されず、1軸延伸、2軸延伸、後述する固相延伸などの種々の延伸方法を用いることができる。
高分子圧電材料を延伸することにより、主面の面積が大きな高分子圧電材料を得ることができる。
ここで、「主面」とは、高分子圧電材料の表面の中で、最も面積の大きい面をいう。本発明の高分子圧電材料は、主面を2つ以上有してもよい。例えば、高分子圧電材料が、10mm×0.3mm四方の面Aと、3mm×0.3mm四方の面Bと、10mm×3mm四方の面Cとをそれぞれ2面ずつ有する板状体である場合、当該高分子圧電材料の主面は面Cであり、2つの主面を有する。
本発明において、主面の面積が大きいとは、高分子圧電材料の主面の面積が5mm以上であることをいい、主面の面積は、5mm以上であることが好ましい。
また、「固相延伸」とは、『高分子圧電材料のガラス転移温度Tgより高く、高分子圧電材料の融点Tmより低い温度下、かつ5MPa〜10,000MPaの圧縮応力下での延伸』をいい、高分子圧電材料の圧電性をより向上させ、また透明性及び弾力性を向上し得る。
高分子圧電材料を固相延伸または主に一方向に延伸することで、高分子圧電材料に含まれるポリ乳酸系高分子の分子鎖を、一方向に配向させ、かつ高密度に整列させることができ、より高い圧電性が得られると推測される。
ここで、高分子圧電材料のガラス転移温度Tg〔℃〕および高分子圧電材料の融点Tm〔℃〕は、前記示差走査型熱量計(DSC)を用い、高分子圧電材料に対して、昇温速度10℃/分の条件で温度を上昇させたときの融解吸熱曲線から、曲線の屈曲点として得られるガラス転移温度(Tg)と、吸熱反応のピーク値として確認される温度(Tm)である。
高分子圧電材料の延伸温度は、1軸延伸方法や2軸延伸方法等のように、引張力のみで高分子圧電材料を延伸する場合は、高分子圧電材料のガラス転移温度より10℃以上20℃以下程度高い温度範囲であることが好ましい。
固相延伸法の場合は、圧縮応力は、50MPa以上5000MPa以下が好ましく、100MPa以上3000MPa以下であることがより好ましい。
延伸処理における延伸倍率は、3倍以上30倍以下が好ましく、4倍以上15倍以下の範囲で延伸することがより好ましい。
予備結晶化シートの固相延伸は、高分子圧電材料を、例えば、ロールまたはビュレットに挟んで圧力を負荷することにより行なわれる。
予備結晶化シートの延伸を行なうときは、延伸直前にシートを延伸しやすくするために予熱を行なってもよい。この予熱は、一般的には延伸前のシートを軟らかくし延伸しやすくするために行なわれるものであるため、前記延伸前のシートを結晶化してシートを硬くすることがない条件で行なわれるのが通常である。しかし、上述したように本発明においては、延伸前に予備結晶化を行なうため、前記予熱を、予備結晶化を兼ねて行なってもよい。具体的には、上述した予備結晶化工程における加熱温度や加熱処理時間に合わせて、予熱を通常行なわれる温度よりも高い温度や長い時間行なうことで、予熱と予備結晶化を兼ねることができる。
〔アニール処理工程〕
圧電定数を向上させる観点から、延伸処理を施した後の高分子圧電材料を、一定の熱処理(以下「アニール処理」とも称する)することが好ましい。
アニール処理の温度は、概ね80℃以上160℃以下であることが好ましく、100℃以上155℃以下あることがさらに好ましい。
アニール処理の温度印加方法は、特に限定されないが、熱風ヒータや赤外線ヒータを用いて直接加熱したり、加熱したシリコンオイルなど、加熱した液体に高分子圧電材料を浸漬すること等が挙げられる。
このとき、線膨張により高分子圧電材料が変形すると、実用上平坦なフィルムを得ることが困難になるため、高分子圧電材料に一定の引張応力(例えば、0.01MPa以上100Mpa以下)を印加し、高分子圧電材料がたるまないようにしながら温度を印加することが好ましい。
アニール処理の温度印加時間は、1秒以上60分以下であることが好ましく、1秒以上300秒以下であることがより好ましく、1秒以上60秒以下の範囲で加熱することがさらに好ましい。60分を超えてアニールをすると、高分子圧電材料のガラス転移温度より高い温度で、非晶部分の分子鎖から球晶が成長することにより配向度が低下する場合があり、その結果、圧電性が低下する場合がある。
上記のようにしてアニール処理された高分子圧電材料は、アニール処理した後に急冷することが好ましい。アニール処理において、「急冷する」とは、アニール処理した高分子圧電材料を、アニール処理直後に、例えば氷水中等に浸漬して、少なくともガラス転移点Tg以下に冷やすことをいい、アニール処理と氷水中等への浸漬との間に他の処理が含まれないことをいう。
急冷の方法は、水、氷水、エタノール、ドライアイスを入れたエタノールやメタノール、液体窒素などの冷媒に、アニール処理した高分子圧電材料を浸漬する方法や、蒸気圧の低い液体スプレーを吹き付け、蒸発潜熱により冷却したりする方法が挙げられる。連続的に高分子圧電材料を冷却するには、高分子圧電材料のガラス転移温度Tg以下の温度に管理された金属ロールと、高分子圧電材料とを接触させるなどして、急冷することが可能である。
また、冷却の回数は、1回のみであっても、2回以上であってもよく、さらには、アニールと冷却とを交互に繰り返し行なうことも可能である。
本発明の高分子圧電材料の製造方法は、前記延伸工程と、アニール処理をする工程と、をこの順で含むものであってもよい。該延伸する工程及びアニール処理をする工程は、上述と同様の工程とすることができる。
また、本製造方法においては、上述の予備結晶化工程を実施しなくともよい。
つまり、本発明の上記高分子圧電材料を製造方法の他の実施態様として、光学活性高分子と前記結晶化剤とを含むシートを主として1軸方向に延伸する工程と、アニール処理をする工程と、をこの順で含む高分子圧電材料の製造方法が挙げられる。
具体的には、光学活性高分子と前記結晶化剤とをTma以上に加熱してシートに成形し、急冷することで非晶状態のシートを得る場合において、この急冷条件を調整することによってシートを予備結晶化することができるため、上述の予備結晶化工程を実施しなくても本発明の上記高分子圧電材料が製造できる。
−第2の方法−
本発明の高分子圧電材料は、光学活性高分子を含むシートを主として1軸方向に延伸する工程、およびアニール工程を含む、製造方法によって製造されうる。
主として1軸方向に延伸する工程、アニール工程は、それぞれ第1の方法における延伸工程、アニール工程と同様であるため、説明を省略する。
本発明において、主として1軸方向に延伸する工程、アニール工程によって、高分子圧電材料に含まれる光学活性高分子の分子鎖を、一方向に配向させ、かつ高密度に整列させた配向結晶が生成するものと推測される。
<高分子圧電材料の用途>
本発明の高分子圧電材料は、以上説明したように、透明性を大きく損ねることなく製造効率が向上された高分子圧電材料であり、透明性が高い圧電材料であるため、スピーカー、ヘッドホン、マイクロホン、水中マイクロホン、超音波トランスデューサ、超音波応用計測器、圧電振動子、機械的フィルター、圧電トランス、遅延装置、センサー、加速度センサー、衝撃センサー、振動センサー、感圧センサー、触覚センサー、電界センサー、音圧センサー、ディスプレイ、ファン、ポンプ、可変焦点ミラー、遮音材料、防音材料、キーボード、音響機器、情報処理機、計測機器、医用機器などの種々の分野で利用することができる。
このとき、本発明の高分子圧電材料は、少なくとも2つの面を有し、当該面には電極が備えられた圧電素子として用いられることが好ましい。電極は、高分子圧電材料の少なくとも2つの面に備えられていればよい。前記電極としては、特に制限されないが、例えば、ITO、ZnO、IZO(登録商標)、導電性ポリマー等が用いられる。
特に高分子圧電材料の主面に電極を備える場合には、透明性のある電極を備えることが好ましい。ここで、電極について、透明性があるとは、具体的には、透過ヘイズが20%以下(全光線透過率が80%以上)であることをいう。
また、本発明の高分子圧電材料を用いた前記圧電素子は、スピーカーやタッチパネル等、上述の種々の圧電デバイスに応用することができる。特に、透明性のある電極を備えた圧電素子は、スピーカー、タッチパネル、アクチュエータ等への応用に好適である。
本発明の高分子圧電材料を圧電デバイスとして応用する場合、圧電デバイスの構造は、本発明の高分子圧電材料の一面に導電体が配置された1つの高分子圧電材料のみからなる構造に限定されず、本実施形態の高分子圧電材料の一面に導電体が配置された1つの高分子圧電材料を繰り返し積層したような、高分子圧電材料を2層以上備えた構造としてもよい。
具体的には、電極と高分子圧電材料のユニットを繰り返し重ね、最後に電極で覆われていない高分子圧電材料の主面を電極で覆ったものが挙げられる。ユニットの繰り返しが2回のものは、電極、高分子圧電材料、電極、高分子圧電材料、電極をこの順で重ねた積層圧電素子である。積層圧電素子に用いられる高分子圧電材料はそのうち1層の高分子圧電材料が本発明の高分子圧電材料であればよく、その他の層は本発明の高分子圧電材料でなくてもよい。
また積層圧電素子に複数の本発明の高分子圧電材料が含まれる場合は、ある層の本発明の高分子圧電材料に含まれる光学活性高分子の光学活性がL体ならば、他の層の高分子圧電材料に含まれる光学活性高分子はL体であってもD体であってもよい。高分子圧電材料の配置は圧電素子の用途に応じて適宜調整することができる。
例えば、L体の光学活性高分子を主たる成分として含む第1の高分子圧電材料の層が電極を介してL体の光学活性高分子を主たる成分として含む第2の高分子圧電材料の層と積層される場合は、第1の高分子圧電材料の一軸延伸方向(主たる延伸方向)を、第2の高分子圧電材料の一軸延伸方向(主たる延伸方向)と交差、好ましくは直交させると、第1の高分子圧電材料と第2の高分子圧電材料の変位の向きを揃えることができ、積層圧電素子全体としての圧電性が高まるので好ましい。
一方、L体の光学活性高分子を主たる成分として含む第1の高分子圧電材料の層が電極を介してD体の光学活性高分子を主たる成分として含む第2の高分子圧電材料の層と積層される場合は、第1の高分子圧電材料の一軸延伸方向(主たる延伸方向)を、第2の高分子圧電材料の一軸延伸方向(主たる延伸方向)と略平行となるように配置すると第1の高分子圧電材料と第2の高分子圧電材料の変位の向きを揃えることができ、積層圧電素子全体としての圧電性が高まるので好ましい。
以下、本発明の実施形態を実施例により更に具体的に説明するが、本実施形態はその主旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
〔実施例1〕
実施例1の高分子圧電材料は、各工程を連続して行う連続1軸延伸法で製造した。詳細は、以下に示す。
三井化学(株)製ポリ乳酸系高分子(登録商標LACEA、H−400、重量平均分子量Mw:20万)100重量部に対して、結晶核剤としてチラバゾールP−4(太陽化学(株)製)を0.5質量部と、安定化剤としてStabaxol 1(Rhein Chemie社製)を1質量部と、をドライブレンドして原料を作製した。作製した原料を押出成形機ホッパーに入れて、220℃以上230℃以下に加熱しながらTダイから押し出し、50℃のキャストロールに18秒間接触させて、厚さ150μmの予備結晶化シートを製膜した(予備結晶化工程)。予備結晶化シートの結晶化度を測定したところ5.63%であった。
得られた予備結晶化シートを70℃に加熱しながらロールツーロールで、延伸倍率990mm/分で延伸を開始し、3.3倍までMD方向に一軸延伸した(延伸工程)。得られたフィルムの厚さは53μmであった。
その後、前記一軸延伸フィルムを、ロールtoロールで、130℃に加熱したロール上に78秒間接触させアニール処理し、高分子圧電材料を作製した(アニール処理工程)。
〔実施例2〕
実施例1の結晶核剤の種類と添加量を表1に従って変更したこと以外は、実施例1と同様にして実施例2の高分子圧電材料を作製した。
〔比較例1〕
結晶核剤を含まないこと以外は、実施例1と同様にして比較例1の高分子圧電材料を作製した。
〔実施例3〕
実施例3の高分子圧電材料は、バッチ1軸延伸法により、高分子圧電材料を製造した。詳細は、以下に示す。
ポリ乳酸(H−400)10gと、クロロホルム(和光純薬工業株式会社製、和光一級)200gと、結晶核剤としてチラバゾールP−4(太陽化学(株)製)を0.1gと、を室温で溶解させ結晶核剤を含むポリ乳酸溶液を作製した。
次に、安定化剤としてStabaxol I(Rhein Chemie社製)を前記ポリ乳酸100質量部に対し1質量部とクロロホルム10gとを室温で溶解させ安定化剤溶液を作製した。
このようにして得られた前記結晶核剤を含むポリ乳酸溶液と前記安定化剤溶液とを室温で混合し、30分攪拌した。この溶液を50℃、0.2気圧で12時間放置し、乾燥させ混合固体を得た。混合固体を205℃で熱プレスを1分間行った後に20℃に設定したプレス機でプレスして急冷フィルムを得た。前記急冷フィルムの対向する2辺をクリップで固定し、固定した2辺と直交する方向に、70℃に加熱しながら3.3倍まで延伸し延伸フィルムを得た。得られたフィルムを、130℃で300秒アニールした後、急冷し、実施例3の高分子圧電材料を得た。
〔実施例4〜5、比較例3〜5〕
表1に従って結晶核剤の種類と添加量とを変更した以外は、実施例3と同様にして、高分子圧電材料を作製した。
〔比較例2〕
結晶核剤を含まないこと以外は、実施例3と同様にして、高分子圧電材料を作製した。
〔実施例6、7〕
表1に従って結晶核剤の種類と添加量を変更し、表2に従ってアニール時間を変更した以外は、実施例3と同様にして高分子圧電材料を作製した。
〔比較例6〕
結晶核剤を含ませず、表2に従ってアニール時間を変更した以外は、実施例3と同様にして高分子圧電材料を作製した。
〔物性測定および評価〕
以上のようにして得られた実施例1〜7、比較例1〜6の高分子圧電材料について、各高分子圧電材料の重量平均分子量、結晶化度、透過ヘイズ、MORc、圧電定数d14を測定した。結果を表2に示す。
具体的には、次のようにして測定した。
<光学活性高分子及び結晶核剤の重量平均分子量>
ゲル浸透クロマトグラフ(GPC)を用い、下記GPC測定方法により、実施例および比較例の加水分解処理前(Mw1)と最終アニール処理後(Mw2)の重量平均分子量を測定した。また、分子量残存率を下式(B)により定義し、算出した。
分子量残存率=[Mw2/Mw1]×100(%) 式(B)
−GPC測定方法−
・測定装置
Waters社製、GPC−100
・カラム
昭和電工社製、Shodex LF−804
・サンプルの調製
実施例および比較例の各高分子圧電材料を、それぞれ25℃で溶媒(クロロホルム)へ溶解させ、濃度1mg/mlのサンプル溶液を準備した。
・測定条件
サンプル溶液0.1mlを溶媒(クロロホルム)、温度40℃、1ml/分の流速でカラムに導入し、カラムで分離されたサンプル溶液中のサンプル濃度を示差屈折計で測定した。樹脂の分子量は、ポリスチレン標準試料にてユニバーサル検量線を作成し、光学活性高分子及び結晶核剤の重量平均分子量(Mw)を算出した。
結果を表1に示した。
<融点、結晶化度>
実施例および比較例の各高分子圧電材料を、それぞれ10mg正確に秤量し、示差走査型熱量計(パーキンエルマー社製DSC−1)を用い、昇温速度500℃/分の条件で140℃まで昇温し、さらに昇温速度10℃/分の条件で200℃まで昇温して融解曲線を得た。得られた融解曲線から融点Tm及び結晶化度を得た。
〔透過ヘイズ〕
本願でいう「透過へイズ」とは本発明の高分子圧電材料の内部へイズのことをいい、測定方法は一般的な方法で測定される。具体的には、実施例および比較例の各高分子圧電材料の内部ヘイズ値は、下記測定条件下で下記装置を用いて、厚さ方向の光透過性を測定することにより、測定した。本発明の高分子圧電材料の透過ヘイズ(以下、ヘイズ(H1)ともいう)は、予めガラス板2枚の間に、シリコンオイル(信越化学工業株式会社製信越シリコーン(商標)、型番:KF96−100CS)のみを挟んでヘイズ(H2)を測定し、次にシリコンオイルで表面を均一に塗らしたフィルムを、ガラス板2枚で挟んでヘイズ(H3)を測定し、下記式のようにこれらの差をとることで本発明の高分子圧電材料の内部ヘイズ(H1)を得た。
内部ヘイズ(H1)=ヘイズ(H3)−ヘイズ(H2)
実施例および比較例の各高分子圧電材料のヘイズ値を測定するためにヘイズ(H2)とヘイズ(H3)とを、下記測定条件下で下記装置を用いて、厚さ方向の光透過性を測定することにより、高分子圧電材料の内部ヘイズ(H1)を算出した。
測定装置:東京電色社製、HAZE METER TC−HIIIDPK
試料サイズ:幅3mm×長さ30mm、厚さ0.05 mm
測定条件:JIS−K7105に準拠
測定温度:室温(25℃)
〔規格化分子配向MORc〕
規格化分子配向MORcは、王子計測機器株式会社製マイクロ波方式分子配向計MOA−6000により測定した。基準厚さtcは、50μmに設定した。
〔圧電定数d14(変位法による)〕
実施例及び比較例の各高分子圧電材料を、それぞれ長さ1cm、幅3mmにカットして、試験片を作製した。
得られた試験片を、東洋精機製作所社製の「レオログラフソリッドS−1型」を用いて、周波数10Hz、各試験片の複素圧電率d14を室温にて測定した。複素圧電率d14は、「d14=d14’―id14’’」として算出した。圧電定数測定は5回行い、d14’の平均値を圧電定数として表2に示した。
なお、圧電定数の測定時のせん断ひずみは0.05%で測定した。
〔圧電定数d14の増加量/透過ヘイズの増加量〕
結晶核剤を含まない高分子圧電材料の圧電定数d14に対する圧電定数d14の増加量を、結晶核剤を含まない高分子圧電材料の透過ヘイズに対する透過ヘイズの増加量で割ることにより、「圧電定数d14の増加量/透過ヘイズの増加量」を算出した。
この数値により、各結晶核剤における高分子圧電材料の透明性を大きく損ねることなく圧電性を向上させるといった働きを評価した。
本実施例においては、連続1軸延伸で延伸した実施例1、2は、同様の延伸方法で作製した結晶核剤を含まない比較例1の高分子圧電材料に対して「圧電定数d14の増加量/透過ヘイズの増加量」を算出して評価し、バッチ1軸延伸で延伸した実施例3〜7は、同様の延伸方法で作製した結晶核剤を含まない比較例6の高分子圧電材料に対して「圧電定数d14の増加量/透過ヘイズの増加量」を算出して評価した。
なお、圧電定数d14の増加量/透過ヘイズの増加量は、数値が大きいほど、結晶核剤における透明性を大きく損ねることなく圧電性を向上させる働きが高いことを示す。
また、透過ヘイズの増加量が0の場合、「圧電定数d14の増加量/透過ヘイズの増加量」は∞とした。
連続1軸延伸法で製造した場合で、本発明の核剤を用いた実施例1、2と核剤を用いなかった比較例1を対比すると、同じ製造条件、特にアニール時間が同じにもかかわらず、実施例1、2の方が比較例1よりも圧電定数が高く、ほぼ同じ透明性となっている。このことから本発明の核剤を用いることで、透明性(透過ヘイズ)を大きく損ねることなく、製造効率を向上できていることがわかる。
同様にバッチ1軸延伸で製造した場合で、本発明の核剤を用いた実施例3、4と核剤を用いなかった比較例2、とを対比すると、同じ製造条件、特にアニール時間が同じにもかかわらず、実施例3、4の方が比較例2よりも圧電定数が高く、ほぼ同じ透明性となっている。また、本発明の核剤を用いた実施例6、7と核剤を用いなかった比較例6とを対比すると、同じ製造条件、特にアニール時間が同じにもかかわらず、実施例6、7の方が比較例6よりも圧電定数が高く、ほぼ同じ透明性となっている。
このことから本発明の核剤を用いることで、透明性(透過ヘイズ)を大きく損ねることなく、製造効率を向上できていることがわかる。
次に本発明の核剤のようなヘリカルキラル高分子と所定の融点や溶解パラメーターの関係をもたない核剤を用いた比較例3〜5は、同じ製造条件の本発明の核剤を用いた実施例3〜5と対比すると、透明性が劣るか又は圧電性に劣ることがわかる。
さらに、比較例3〜5は、比較例6に対する圧電定数d14の増加量/透過ヘイズの増加量が、実施例3〜5に比べて低かった。
実施例3、4と、実施例3、4に比べてアニール時間を長くした実施例6、7とを対比すると、透明性、結晶化度、圧電定数がほぼ同じなので、短いアニール処理時間でも、十分、結晶化が進んでいることがわかる。以上のことから本発明の核剤を用いることで結晶化に要する時間を短くでき、製造効率が高められていることがわかる。
なお本願の実施例では、アニール時間の長さで製造効率を対比しているが、本発明では、アニール工程に限られず結晶化が生じる工程、具体的には予備結晶化工程や延伸工程などの工程において、要する時間や温度などの条件が短縮されたり、緩和されるという効果を総称して製造効率が向上するとしている。

Claims (14)

  1. 重量平均分子量が5万以上100万以下である光学活性を有するヘリカルキラル高分子と結晶核剤とを含み、
    DSC法で得られる結晶化度が20%以上80%以下であり、
    可視光線に対する透過ヘイズが40%以下であり、
    マイクロ波透過型分子配向計で測定される基準厚さを50μmとしたときの規格化分子配向MORcと前記結晶化度との積が40以上700以下である高分子圧電材料であり、
    前記ヘリカルキラル高分子の融点Tmaと前記結晶核剤の融点Tmbとが下記式(1)を満たし、かつ、
    前記ヘリカルキラル高分子の溶解パラメーターSPa(単位:(J/cm)1/2)と前記結晶核剤の溶解パラメーターSPb(単位:(J/cm)1/2)との差の絶対値が5以下である高分子圧電材料。
    式(1):Tmb≦Tma+70℃
  2. 前記結晶核剤が、炭素数が6以上のアルキル基を有する成分である、請求項1に記載の高分子圧電材料。
  3. 前記結晶核剤が、ポリグリセリンエステル、エチレンビスヒドロキシステアリン酸アミド、エチレンビスデカン酸アミド、エチレンビスラウリル酸アミド、ヘキサメチレンビス−12−ヒドロキシステアリン酸アミド、ポリ乳酸(但し、前記ヘリカルキラル高分子の光学異性体)から選ばれる少なくとも1種類の化合物である、請求項1又は請求項2に記載の高分子圧電材料。
  4. 前記結晶核剤の含有量が、前記ヘリカルキラル高分子100質量部に対し、0.01質量部以上0.8質量部以下である、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の高分子圧電材料。
  5. 可視光線に対する透過ヘイズが0.05%以上5%以下であり、
    マイクロ波透過型分子配向計で測定される基準厚さを50μmとしたときの規格化分子配向MORcが2.0以上10.0以下である、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の高分子圧電材料。
  6. 25℃において変位法で測定した圧電定数d14が1pm/V以上である、請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の高分子圧電材料。
  7. 前記ヘリカルキラル高分子が、下記構造式(1)で表される繰り返し単位を含む主鎖を有するポリ乳酸系高分子である、請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の高分子圧電材料。
  8. 前記ヘリカルキラル高分子は、光学純度が95.00%ee以上である、請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の高分子圧電材料。
  9. 前記ヘリカルキラル高分子の含有量が、80質量%以上である、請求項1〜請求項8のいずれか一項に記載の高分子圧電材料。
  10. 請求項1〜請求項9のいずれか1項に記載の高分子圧電材料の製造方法であって、
    ヘリカルキラル高分子と結晶核剤とを含む非晶状態のシートを加熱して予備結晶化シートを得る第一の工程と、
    前記予備結晶化シートを主として1軸方向に延伸する第二の工程と、
    を含む、高分子圧電材料の製造方法。
  11. 前記第一の工程は、前記非晶状態のシートを結晶化度が3%以上70%以下になるまで下記式(2)を満たす温度Tで加熱して予備結晶化シートを得る、請求項10に記載の高分子圧電材料の製造方法。
    式(2):Tg−40℃≦T≦Tg+40℃
    [式(2)において、Tgは前記ヘリカルキラル高分子のガラス転移温度を示す。]
  12. 前記第一の工程は、前記ヘリカルキラル高分子としてポリ乳酸を含む非晶状態のシートを、60℃以上170℃以下で5秒以上60分以下加熱する、請求項10又は請求項11に記載の高分子圧電材料の製造方法。
  13. 前記第二の工程の後に、アニール処理をする、請求項10〜請求項12のいずれか1項に記載の高分子圧電材料の製造方法。
  14. 請求項1〜請求項9のいずれか1項に記載の高分子圧電材料を製造する方法であって、
    前記ヘリカルキラル高分子と前記結晶化剤とを含むシートを主として1軸方向に延伸する工程と、
    アニール処理をする工程と、
    をこの順で含む高分子圧電材料の製造方法。
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