JPH05148271A - ラパマイシンのアミドエステル類 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 （修正有） 【目的】 免疫抑制剤、抗炎症剤、抗菌類剤、および抗
腫瘍剤として有用なラパマイシン誘導体およびそれを含
有する医薬組成物を提供する。 【構成】 下記式： 〔式中、Ｒ^１及びＲ^２は水素又は 〔式中、Ｒ^１及び_２は水素又は Ｘは−（ＣＨ_２）_ｍ−又は−Ａｒ−、Ｒ^３及びＲ^４は水
素、アルキルなど、Ａｒは などの基を示す〕で示される化合物およびそれを含有し
てなる医薬組成物。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明はラパマイシンのアミドエ
ステル類および移植拒絶、宿主対移植片疾患、自己免疫
疾患、炎症疾患、固体腫瘍、および菌類感染の治療にお
いてそれらを使用する方法に関する。

【０００２】

【従来の技術】ラパマイシンは、in vitroおよびin viv
o双方にて、特にカンジダ・アルビカンス（Candida alb
icans）に対して抗菌類活性を有することが見い出され
ているストレプトミセス・ヒグロスコピカス（Streptom
yces hygroscopicus）によって産生される大環状トリエ
ン抗生物質である［シイ・ベジナら（C.Vezine et a
l)、ジャーナル・オブ・アンティバイオティックス（J.
Antibiot.），２８，７２１（１９７５）；エス・エヌ
・セガルら（S.N.Sehgal et al)，ジャーナル・オブ・
アンティバイオティックス（J.Antibiot.)，２８，７２
７（１９７５）；エイチ・エイ・ベイカーら（H.A.Bake
r et al）、ジャーナル・オブ・アンティバイオティック
ス(J.Antibiot.）３１，５３９（１９７８）；米国特許
第３,９２９,９９２号；および米国特許第３,９９３,７
４９号］。

【０００３】ラパマイシンは、単独で（米国特許第４,
８８５,１７１号）、あるいはピシバニル（picibanil）
と組み合わせて（米国特許第４,４０１,６５３号）、抗
腫瘍活性を有することが示されている。アール・マーテ
ルら（R.Martel et al)［カナディアン・ジャーナル・
オブ・フィジオロジカル・アンド・ファルマコロジー
（Can.J.Physiol.Pharmacol.５５，４８（１９７７）］
は、ラパマイシンが実験的アレルギー性脳脊髄炎モデ
ル、多発性硬化症についてのモデルにおいて；アジュバ
ント関節炎モデル、リューマチ性関節炎についてのモデ
ルにおいて効果的であり；ＩｇＥ様抗生物質の形成を効
果的に抑制したことを開示している。

【０００４】ラパマイシンの免疫抑制効果はＦＡＳＥＢ
３,３４１１（１９８９）に開示されている。サイクロ
スポリンＡおよびＦＫ−５０６、他の大環状分子はまた
免疫抑制剤として効果的であり、従って、移植拒絶を防
止するのに有用であることが示されている［ＦＡＳＥＢ
３,３４１１（１９８９）；ＦＡＳＥＢ３,５２５６（１
９８９）；およびアール・ワイ・カルネら（R.Y.Calne
et al)，ランセット（Lancet）１１８３（１９７
８）］。

【０００５】ラパマイシンのモノ−およびジアシル化誘
導体（２８および４３位でエステル化されている）は抗
菌類剤として有用であることが示されており（米国特許
第４,３１６,８８５号）、ラパマイシンの水溶性プロド
ラッグを製造するのに使用されている（米国特許第４,
６５０,８０３号）。最近、ラパマイシンのナンバリン
グ規約が変更となり；従って、ケミカル・アブストラク
ツ命名法によると、前記エステルは３１−および４２−
位におけるものとなろう。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】本発明は免疫抑制剤、
抗炎症剤、抗菌類剤、および抗腫瘍剤として有用なラパ
マイシン誘導体を提供することにある。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本発明は、構造式：

【化７】 ［式中、Ｒ¹およびＲ²は各々、独立して、水素または

【化８】 ；Ｘは−（ＣＨ₂）_m−または−Ａｒ−；Ｒ³およびＲ⁴は
各々、独立して、水素、炭素原子１〜１２個のアルキ
ル、−（ＣＨ₂）_n−Ａｒ、−（ＣＨ₂）_p−ＮＲ⁵Ｒ⁶、ま
たは（ＣＨ₂）_p−Ｎ⁺Ｒ⁵Ｒ⁶Ｒ⁷Ｙ^-；Ｒ⁵およびＲ⁶は各
々、独立して、水素、炭素原子１〜１２個のアルキル、
または−（ＣＨ₂）_n−Ａｒ；Ａｒは、所望によりモノ−
またはジ置換されていてもよい

【化９】 よりなる群から選択される基；ここに、該所望による置
換基は炭素原子１〜６個のアルキル、炭素原子７〜１０
個のアラルキル、炭素原子１〜６個のアルコキシ、シア
ノ、ハロ、ニトロ、炭素原子２〜７個のカルバルコキ
シ、または炭素原子１〜６個のペルフルオロアルキル；
Ｒ⁷は炭素原子１〜６個のアルキル；Ｙはハライド、サ
ルフェート、ホスフェート、またはｐ−トルエンスルホ
ネートアニオン；ｎは１〜６；ｎは１〜６；ｐは１〜
６；ただし、Ｒ¹およびＲ²は共には水素でない］で示さ
れる化合物またはその医薬上許容される塩を提供するも
のである。

【０００８】医薬上許容される塩は、Ｒ³またはＲ⁴が−
（ＣＨ₂）_p−ＮＲ⁵Ｒ⁶であるか、あるいはＡｒが所望に
よりモノ−またはジ置換されていてもよいピリジルまた
はキノリル基である場合に形成され得る。医薬上許容さ
れる塩は酢酸、乳酸、クエン酸、酒石酸、コハク酸、マ
レイン酸、リンゴ酸、グルコン酸、塩酸、臭化水素酸、
リン酸、硝酸、硫酸、メタンスルホン酸等からのもので
ある。

【０００９】これらの化合物のうち、好ましいメンバー
はＸが−（ＣＨ₂）_m−であるもの；Ｘが−（ＣＨ₂）_m−
であってＲ³およびＲ⁴が炭素原子１〜６個のアルキルで
あるもの；Ｘが−（ＣＨ₂）_m−であり、Ｒ³が水素であ
ってＲ⁴が−（ＣＨ₂）_n−Ａｒであるものである。

【００１０】４２−位がアシル化された本発明の化合物
は、適当に置換されたカルボジイミドカップリング剤の
ごときカップリング剤の存在下で、一般構造式：

【化１０】 を有するアミド−酸アシル化剤でラパマイシンをアシル
化することによって調製できる。

【００１１】３１−および４２−位両位がアシル化され
た本発明の化合物は、反応時間、温度およびアシル化剤
の量のごとき変数を増加させることによって、前記した
方法により調製することができる。

【００１２】本発明の該３１−アシル化化合物は、イミ
ダゾールのごとき塩基の存在下で、ラパマイシンの４２
−アルコールを、tert−ブチルジメチルシリル基のごと
き保護基で保護し、続いて前記した一般構造式を有する
アシル化剤で３１−位をアシル化することによって調製
できる。保護基の除去により３１−アシル化化合物が得
られる。tert−ブチルジメチルシリル保護基の場合、脱
保護は水性酢酸およびＴＨＦの混合液のごとき温和な酸
性条件下で達成できる。

【００１３】３１−位をアシル化し、４２−位を脱保護
した後、該４２−位を、３１−アルコールと反応させた
のよりむしろ前記した一般構造式の異なるアミド酸と反
応させて、３１−および４２−位に異なるアシル基を有
する化合物を得ることができる。別法として、前記した
ごとくに調製した４２−アシル化合物を異なる構造を有
するアシル化剤と反応させて、３１−および４２−位に
異なるアシル基を有する化合物を得ることもできる。

【００１４】本発明の化合物を調製するのに使用するア
シル化基は、商業的に入手可能な無水物から以下に概略
を記載する方法によるか、あるいは文献に開示されてい
る方法によって調製することができる。

【化１１】

【００１５】免疫抑制活性はリンパ球増殖（ＬＡＦ）を
測定するin vitro標準薬理学テスト法および２種のin v
ivo標準薬理学テスト法によって評価した。第１のin vi
vo法は膝窩リンパ節（ＰＬＮ）テスト法であり、そこで
は混合リンパ球反応に対する本発明の化合物の効果を測
定し、第２のin vivo法ではピンチ皮膚移植片の生存時
間を評価した。

【００１６】代表的な化合物の免疫抑制効果のin vitro
測定としてコミトゲン（comitogen）誘発胸腺細胞増殖
法（ＬＡＦ）を用いた。簡単に述べると、正常ＢＡＬＢ
／ｃマウスの胸腺からの細胞をＰＨＡおよびＩＬ−１と
共に７２時間培養し、最後の６時間の間はトリチウム化
チミジンでパルスした。細胞を種々の濃度のラパマイシ
ン、サイクロスポリンＡ、またはテスト化合物と共にあ
るいはそれなくして培養する。細胞を収穫し、取り込ま
れた放射能を測定する。リンバ球増殖の抑制は薬剤非処
理対照からの１分間当たりにおける計数のパーセント変
化で評価する。結果は以下の比によって表す。

【数１】

【００１７】性的に区別される動物からのリンパ球系細
胞を組織培養にて合すると混合リンバ球反応（ＭＬＲ）
が起こる。各々は他方を刺激して芽細胞形質転換を受
け、その結果ＤＮＡ合成が増加し、これはトリチウム化
チミジンの取り込みによって定量できる。ＭＬＲを刺激
するのは主要組織適合抗原における不一致の関数である
ので、in vivo膝窩リンパ節（ＰＬＮ）テスト法は宿主
対移植片疾患と密接に関係する。簡単に述べると、ＢＡ
ＬＢ／ｃドナーからの放射された脾臓細胞を受容体Ｃ３
Ｈマウスの右後脚に注射する。薬剤を０日から４日まで
毎日経口投与する。３日および４日に、トリチウム化チ
ミジンを１日２回腹腔内投与する。５日に、後脚膝窩リ
ンパ節を取り出し、溶解させ、放射能を計数する。対応
する左ＰＬＮは注射した後脚からのＰＬＮのための対照
として供する。異質遺伝子型対照として薬剤非処理動物
を用いてパーセント抑制を計算する。６ｍｇ／ｋｇ経口
の用量におけるラパマイシンは８６％の抑制を与えるの
対して、サイクロスポリンＡは同用量にて４３％抑制を
与える。結果は以下の比によって表す。

【数２】

【００１８】第２のin vivoテスト法は、雄ＢＡＬＢ／
ｃ受容体に移植した雄ＤＢＡ／２ドナーからのピンチ皮
膚移植片の生存時間を測定するために設計されたもので
ある。該方法はビリンハム・アール・イーおよびメダワ
ール・ピイ・ビイ（Billingham R.E. and Medawar P.
B.)、ジャーナル・オブ・エクスペリメンタル・バイオ
ロジー（J.Exp.Biol.)２８：３８５−４０２（１９５
１）から適合させたものである。簡単に述べると、ドナ
ーからのピンチ皮膚移植片をホモグラフトとして受容体
の背に移植し、同領域における対照として自己移植片を
用いる。受容体を、濃度を変化させたサイクロスポリン
Ａをテスト対照またはテスト化合物いずかとして腹腔内
処理する。未処理受容体は拒絶対照として供する。移植
片を毎日追跡し、移植片が乾燥し、黒色化した痂皮を形
成するまで観察を記録する。これは拒絶日と考えられ
る。薬剤処理群の平均移植片生存時間（日数±Ｓ.Ｄ.）
を対照群のそれと比較する。

【００１９】以下の表はこれらの３種の標準テスト法に
おける本発明の代表的な化合物の結果をまとめたもので
ある。 表 １ 化合物 ＬＡＦ（比） ＰＬＮ（比） 皮膚移植片（日＋ＳＤ） 実施例１ １.９４ ０.６２ ＋ 実施例２ ０.１４ ＋ ＋ 実施例３ ０.１９ ０.７６ ７.５±１.５ 実施例４ ０.９１ ０.５９ ９.５±０.８ ラパマイシン １.００ １.００ １２.０±１.７ ＋ 評価せず

【００２０】これらの標準薬理学テスト法の結果は、本
発明の化合物についての、in vitroおよびin vivo双方
における免疫抑制活性を示す。ＬＡＦおよびＰＬＮテス
ト法の正の比はＴ細胞の抑制を示す。移植されたピンチ
皮膚移植片は、典型的には、免疫抑制剤の使用なくし
て、６〜７日以内に拒絶されるので、本発明の化合物で
処理した場合における皮膚移植片の生存時間の延長によ
り、その免疫抑制剤としての有用性が示される。

【００２１】本発明の化合物はラパマイシンと構造的に
類似し、ラパマイシンと同様の活性プロフィールを有す
るため、本発明の化合物は抗腫瘍および抗菌類活性も有
すると考えられる。

【００２２】これらの標準的な薬理学テスト方法の結果
に基づき、本発明の化合物は心臓、腎臓、肝臓、骨髄、
および皮膚移植のごとき移植拒絶；狼瘡、リューマチ性
関節炎、糖尿病、重症筋無力症および多発性硬化症のご
とき自己免疫疾患；および乾癬、皮膚炎、湿疹、脂漏
症、炎症性腸病およびブドウ膜炎のごとき炎症病；固体
腫瘍；および菌類感染を治療するのに有用である。

【００２３】本発明の化合物は純物としてまたは医薬担
体と共にそれを必要とする哺乳動物に投与できる。医薬
担体は固体または液体であってよい。

【００２４】固体担体は、フレーバー剤、滑沢剤、可溶
化剤、懸濁化剤、充填剤、滑動剤、圧縮助剤、結合剤ま
たは錠剤崩壊剤としても作用できる１種またはそれ以上
の物質を包含でき；それはまたカプセル化物質でもあり
得る。粉末においては、担体は微粉砕化有効成分と混合
した微粉砕化固体である。錠剤においては、有効成分
を、必要な圧縮特性を有する担体と適当な割合に混合
し、固めて所望の形状およびサイズとする。該粉末およ
び錠剤には、好ましくは、９９％までの有効成分を含有
させる。適当な固体担体は、例えば、リン酸カルシウ
ム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、糖類、ラクト
ース、デキストリン、スターチ、ゼラチン、セルロー
ス、メチルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセ
ルロース、ポリビニルピロリジン、低融点ワックスおよ
びイオン交換樹脂を包含する。

【００２５】液体担体は液剤、懸濁剤、エマルジョン、
シロップ、エリキシル剤および圧縮組成物を調製するの
に用いる。有効成分を水、有機溶媒、双方の混合液また
は医薬上許容される油脂のごとき医薬上許容される液状
担体に溶解または懸濁できる。該液状担体は、可溶化
剤、乳化剤、緩衝剤、保存剤、甘味剤、フレーバー剤、
懸濁化剤、増稠剤、着色剤、粘度調節剤、安定剤または
浸透圧調節剤のごとき他の適当な医薬添加剤を含有し得
る。経口または非経口投与用の適当な液状担体の例は水
（前記した添加剤、例えば、セルロース誘導体を部分的
に含有し、好ましくはナトリウムカルボキシメチルセル
ロース溶液）、アルコール類（一価アルコールおよび多
価アルミール、例えばグリコールを含有）およびそれら
の誘導体、および油類（分別ヤシ油および落花生油）を
包含する。非経口投与には、該担体はオレイン酸エチル
およびミリスチン酸イソプロピルのごとき油状エステル
であってもよい。滅菌液状担体は、非経口投与用の滅菌
液状形態組成物において有用である。圧縮組成物用液状
担体はハロゲン化炭化水素または他の医薬上許容される
プロペラントであり得る。

【００２６】滅菌溶液または懸濁液である液状医薬組成
物は、例えば、筋肉内投与、腹腔内投与または皮下注射
によって利用できる。また、滅菌溶液は静脈内投与でき
る。また、該化合物は液体または固体組成物形態で経口
投与できる。

【００２７】好ましくは、医薬組成物は単位投与形態、
例えば錠剤またはカンプセル剤とする。かかる剤形にお
いては、組成物は有効成分の適量を含有する単位の用量
に分割し；該単位投与形態はパッケージ組成物、例え
ば、パケット散剤、バイアル、アンプル、予備充填シリ
ンジまたは液体を含有するカシェ剤であり得る。該単位
投与形態は、例えば、カプセル剤または錠剤自体であり
得るか、あるいはそれはパッケージ形態のいずれかのか
かる組成物の適当数であり得る。治療で用いるべき用量
は主治医により主観的に決定されなければならない。

【００２８】加えて、本発明の化合物は、菌類に侵され
た領域に投与できる有効成分を０.１−５パーセント、
好ましくは２％含有する医薬上許容されるビヒクルでの
処方により、溶液、クリーム、またはローションとして
使用できる。

【００２９】

【実施例】以下に実施例を挙げて本発明をさらに詳しく
説明するが、本発明はそれらの限定されるものではな
い。実施例１ ４−（ジメチルアミノ）−４−オキサブタン酸とのラパ
マイシン４２−エステル ラパマイシン１.００ｇ（１.０９ミリモル）の乾燥した
ジクロロメタン２０ｍＬ中溶液にＮ,Ｎ−ジメチルスク
シンアミド酸３１６ｍｇ（２.１８ミリモル）、４−Ｎ,
Ｎ−ジメチルアミノピリジン１５ｍｇ、続いて１−（３
−ジメチルアミノプロリル）−３−エチルカルボジイミ
ド塩酸塩４７６ｍｇ（ミリモル）を添加した。溶液を一
晩撹拌し、次いで１Ｎ ＨＣｌに注ぎ、酢酸エチルで３
回抽出した。有機層を合し、食塩水で洗浄し、無水硫酸
ナトリウム上で乾燥し、濾過し、真空中で濃縮して淡黄
色発泡性固体を得た。残渣を４０〜６０％酢酸エチル／
ヘキサンで溶出する４０ｍｍｘ１５０ｍｍシリカゲルカ
ラム上のフラッシュクロマトグラフィーに付して純粋な
４−（ジメチルアミノ）−４−オキソブタン酸とのラパ
マイシン４２−エステル１０５ｍｇ（１０％）が得ら
れ、これを一水和物として単離した。スペクトルデータ
は以下の通りである：¹Ｈ ＮＭＲ（ＣＤＣｌ₃，４００
ＭＨｚ）δ４.８１（ｓ，１Ｈ，芳香族ＯＨ），４.６６
（ｍ，１Ｈ，−ＣＨＯ₂ＣＣＨ₂），４.１９（ｍ，１
Ｈ，３１−ＣＨＯＨ），３.３９（ｓ，３Ｈ，−ＯＣ
Ｈ₃），３.３３（ｓ，３Ｈ，−ＯＣＨ₃），３.１４
（ｓ，３Ｈ，−ＯＣＨ₃），３.０３（ｓ，３Ｈ，−ＣＯ
ＮＣＨ₃），２.９５（ｓ，３Ｈ，−ＣＯＮＣＨ₃），２.
６７（ｍ，４Ｈ，−Ｏ₂ＣＣＨ₂ＣＨ₂ＣＯＮＭｅ₂），
１.７５（ｓ，３Ｈ，ＣＨ₃Ｃ＝Ｃ−），１.６５（ｓ，
３Ｈ，ＣＨ₃Ｃ＝Ｃ−）；ＩＲ（ＫＢｒ）３４５０（Ｏ
Ｈ），２９４０，２８９０，１７３５（Ｃ＝Ｏ），１６
５０（Ｃ＝Ｏ），１４５５，１３８０，１２９５，１１
０５，９５５ｃｍ^-1；ＭＳ（負イオンＦＡＢ）１０４０
（Ｍ−）；ＭＳピーク適合（負イオンＦＡＢ）、計算値
１０４０.６１８４２、実測値１０４０.６１９６ 元素分析 Ｃ₅₇Ｈ₈₈Ｎ₂Ｏ₁₅として 計算値（％）：Ｃ ６５.７４；Ｈ ８.５２；Ｎ ２.
６９ 実測値（％）：Ｃ ６５.８１；Ｈ ８.７３；Ｎ ２.
４２

【００３０】実施例１で表記化合物を調製するのに用い
た方法を使用することによって、以下の代表的な化合物
をラパマイシンおよび適当なアミノ−エステルから調製
できる。 ４−［［１−（４−クロロフェニル）メチル］アミノ］
−４−オキソブタン酸とのラパマイシン−４２−エステ
ル、５−［［３−（２−ナフチル）プロピル］アミノ］
−５−オキソブタン酸とのラパマイシン−４２−エステ
ル、６−（Ｎ−メチル−Ｎ−ヘキシルアミノ）−６−オ
キソヘキサン酸とのラパマイシン−４２−エステル、４
−［［３−（ジメチルアミノ）プロピル］アミノ］−４
−オキソブタン酸とのラパマイシン−４２−エステル、
５−［［４−（オクチルアミノ）ブチル］アミノ］−５
−オキソペンタン酸とのラパマイシン−４２−エステ
ル、４−［［２−（３−（６−ヒドロキシキノリル）エ
チル］アミノ］−４−オキソブタン酸とのラパマイシン
−４２−エステル、４−［［２−（フェニルメチルアミ
ノ）エチル］アミノ］−４−オキソブタン酸とのラパマ
イシン−４２−エステル、５−（Ｎ−ヘキシル−Ｎ−デ
シルアミノ）−５−オキソペンタン酸とのラパマイシン
−４２−エステル、２−（ジメチルカルバミ）安息香酸
とのラパマイシン−４２−エステル、２−［［３−（ジ
エチルアミノ）プロピル］カルバミル］安息香酸とのラ
パマイシン−４２−エステル、２−［（フェニルメチ
ル）カルバミル］ニコチン酸とのラパマイシン−４２−
エステル、３−［（フェニルメチル）カルバミル］ピコ
リン酸とのラパマイシン−４２−エステル。

【００３１】実施例２ ４−オキソ−４−［［２−（２−ピリジニル）エチル］
アミノ］ブタン酸とのラパマイシン−３１,４２−ジエ
ステル 無水コハク酸５.０ｇ（５０ミリモル）のジクロロメタ
ン５０ｍＬ中溶液にＤＭＡＰ５５０ｍｇおよび２−
（２'−アミノエチル）ピリジン６.１ｇ（５０ミリモ
ル）を添加した。発熱反応となった。反応物を１時間還
流し、室温まで冷却し、４８時間撹拌した。真空中での
濃縮により反応物を仕上げ処理し；得られた固体をｐＨ
４の緩衝液に溶解し、水性溶液を硫酸アンモニウムで飽
和させた後、４：１酢酸エチル／テトラヒドロフランで
３回抽出した。有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥し、真
空中で濃縮して残渣を得た。残渣を酢酸エチル／メタノ
ールから再結晶して４−オキソ−４−［［２−（２−ピ
リジニル）エチル］アミノ］ブタン酸５.５ｇ（５０
％）が得られる。

【００３２】室温にて、ラパマイシン３.８ｇ（４.１９
ミリモル）のジクロロメタン１２５ｍＬ中溶液にＤＭＡ
Ｐ２００ｍｇ、ジシクロヘキシルカルボジイミド４.３
ｇ（２０.９ミリモル）および４−オキソ−４−［［２
−（２−ピリジニル）エチル］アミノ］ブタン酸４.６
ｇ（２０.７ミリモル）を添加した。反応物を室温で一
晩撹拌した。反応混合物を水に注ぎ、酢酸エチルで２回
抽出した。合した有機抽出物を硫酸ナトリウム上で乾燥
し、真空中で濃縮して固体残渣を得た。該残渣を分取用
ＨＰＬＣ（Waters Prep ５００、５％メタノール／酢酸
エチル）によって精製して４−オキソ−４−［［２−
（２−ピリジニル）エチル］アミノ］ブタン酸とのラパ
マイシン３１，４２−エステルを得た。スペクトルデー
タは以下の通りである。¹Ｈ ＮＭＲ（ＣＤＣｌ₃，４０
０ＭＨｚ）δ８.５３（ｓ，１Ｈ，芳香族），７.６７
（ｍ，１Ｈ，芳香族），７.２２（ｍ，２Ｈ，芳香
族），６.７４（ｍ，１Ｈ，芳香族），４.６３（ｍ，１
Ｈ，−ＣＨＯ₂ＣＣＨ₂），４.１８（ｍ，１Ｈ，３１−
ＣＨＯＨ），３.６８（ｍ，２Ｈ，−ＣＯＮＨＣＨ₂），
３.３６（ｓ，３Ｈ，−ＯＣＨ₃），３.３５（ｓ，３
Ｈ，−ＯＣＨ₃），３.１４（ｓ，３Ｈ，−ＯＣＨ₃），
３.０２（ｍ，２Ｈ，ＣＨ₂ピリジン），２.６７（ｓ，
３Ｈ，−Ｏ₂ＣＣＨ₂ＣＨ₂ＣＯＮＨＲ），１.７５（ｓ，
３Ｈ，ＣＨ₃Ｃ＝Ｃ−），１.６６（ｓ，３Ｈ，ＣＨ₃Ｃ
＝Ｃ−）；ＩＲ（ＫＢｒ）３３９０（ＯＨ），２９３
０，２８５０，１７３５（Ｃ＝Ｏ），１６４０（Ｃ＝
Ｏ），１５３５，１４５５，１３８０，１２９５，１１
００，９９５ｃｍ^-1；ＭＳ（負ＦＡＢ）１３２１（Ｍ
−）

【００３３】実施例２で表記化合物を調製するのに用い
た方法を使用することによって、以下の代表的な化合物
をラパマイシンおよび適当なアミド−エステルから調製
することができる。 ４−［［１−（４−クロロフェニル）メチル］アミノ］
−４−オキソブタン酸とのラパマイシン−３１,４２−
ジエステル、６−（Ｎ−メチル−Ｎ−ヘキシルアミノ）
−６−オキソヘキサン酸とのラパマイシン−３１,４２
−ジエステル、４−［［３−（ジメチルアミノ）プロピ
ル］アミノ］−４−オキソブタン酸とのラパマイシン−
３１,４２−ジエステル、５−［［４−（オクチルアミ
ノ）ブチル］アミノ］−５−オキソペンタン酸とのラパ
マイシン−３１,４２−ジエステル、４−［［２−（３
−（６−ヒドロキシキノリル）エチル］アミノ］−４−
オキソブタン酸とのラパマイシン−３１,４２−ジエス
テル、４−［［２−（フェニルメチルアミノ）エチル］
アミノ］−４−オキソブタン酸とのラパマイシン−３
１,４２−ジエステル、４−［［２−（２−インドリ
ル）エチル］アミノ］−４−オキソブタン酸とのラパマ
イシン−３１,４２−ジエステル、５−（Ｎ−ヘキシル
−Ｎ−デシルアミノ）−５−オキソペンタン酸とのラパ
マイシン−３１,４２−ジエステル、２−（ジメチルカ
ルバミル）安息香酸とのラパマイシン−３１,４２−ジ
エステル、２−［［３−（ジエチルアミノ）プロピル］
カルバミル］安息香酸とのラパマイシン−３１,４２−
ジエステル。

【００３４】実施例３ ４−オキソ−４−［［２−（２−ピリジニル）エチル］
アミノ］ブタン酸とのラパマイシン３１,４２−ジエス
テル二塩酸塩 ４−オキソ−４−［［２−（２−ピリジニル）エチル］
アミノ］ブタン酸とのラパマイシン３１,４２−エステ
ル５００ｍｇ（３７８μモル）のメタノール２ｍＬ中溶
液に塩化アセチル５６μＬを添加した。反応混合物を真
空中で濃縮して純粋な４−オキソ−４−［［２−（２−
ピリジニル）エチル］アミノ］ブタン酸とのラパマイシ
ン−３１,４２−エステル二塩酸塩５３０ｍｇ（１００
％）を得た。スペクトルデータは以下の通りである：¹
Ｈ ＮＭＲ（ｄ₆−ＤＭＳＯ，４００ＭＨｚ）δ８.５３
（ｓ，１Ｈ，芳香族），８.３２（ｍ，１Ｈ，芳香
族），７.７６（ｍ，２Ｈ，芳香族），８.０６（ｍ，１
Ｈ，芳香族），３.４５（ｍ，５Ｈ，−ＯＣＨ₃および−
ＣＯＮＨＣＨ₂），３.４４（ｓ，３Ｈ，−ＯＣＨ₃），
３.２３（ｓ，３Ｈ，−ＯＣＨ₃），３.０７（ｍ，２
Ｈ，ＣＨ₂ピリジン），２.４９（ｓ，３Ｈ，−Ｏ₂ＣＣ
Ｈ₂ＣＨ₂ＣＯＮＨＲ），１.７９（ｓ，３Ｈ，ＣＨ₃Ｃ＝
Ｃ−），１.６６（ｓ，３Ｈ，ＣＨ₃Ｃ＝Ｃ−）；ＩＲ
（ＫＢｒ）３４００（ＯＨ），２９２０，２８５０，１
７３５（Ｃ＝Ｏ），１６３５（Ｃ＝Ｏ），１５４５，１
４４０，１３７０，１１５０，９８５ｃｍ^-1；ＭＳ（負
ＦＡＢ）、Ｃ₇₃Ｈ₁₁₃Ｎ₅Ｏ₁₇として、計算値１３２１.
８９５０、実測値１３２１.７３５０；ＭＳ（負ＦＡ
Ｂ）１３２１（遊離塩基，Ｍ−），５９０，４４６（１
００），２９７ 元素分析 Ｃ₇₃Ｈ₁₁₃Ｎ₅Ｏ₁₇Ｃｌ₂・５Ｈ₂Ｏとして 計算値（％）：Ｃ ５６.０４；Ｈ ６.７１；Ｎ ４.
４７ 実測値（％）：Ｃ ５５.６６；Ｈ ６.３６；Ｎ ４.
２９

【００３５】実施例４ ２−［２−［（３−カルボキシ−１−オキソプロピル）
アミノ］エチル］−１−メチルピリジニウムとのラバマ
イシン３１,４２−ジエステルヨウ化物 ４−オキソ−４−［［２−（２−ピリジニル）エチル］
アミノ］ブタン酸とのラバマイシン３１,４２−エステ
ル５００ｍｇ（３７８μモル）のアセトン２ｍＬ中溶液
にヨウ化メチル５０μＬを添加し、反応物を室温で一晩
撹拌した。反応は未完了であったので、ヨウ化メチル２
５μＬを添加し、還流した。反応混合物を室温まで冷却
し、真空中で濃縮して２−［２−（３−カルボキシ−１
−オキソプロピル）アミノ］エチル］−１−メチルピリ
ジニウムとのラバマイシン３１，４２−エステルヨウ化
物５８０ｍｇ（９８％）が得られ、これを四水和物とし
て単離した。スペクトルデータは以下の通りである：^１
Ｈ ＮＭＲ（ＣＤＣｌ₃，４００ＭＨｚ）δ９.０５
（ｍ，１Ｈ，芳香族），８.４０（ｍ，１Ｈ，芳香
族），８.０４（ｍ，１Ｈ，芳香族），７.８９（ｍ，２
Ｈ，芳香族），４.５３（ｓ，３Ｈ，ＮＣＨ₃ ⁺），３.６
４（ｍ，２Ｈ，−ＣＯＮＨＣＨ₂），３.３８（ｓ，３
Ｈ，−ＯＣＨ₃），３.３３（ｓ，３Ｈ，−ＯＣＨ₃），
３.１２（ｓ，３Ｈ，−ＯＣＨ₃），３.０９（ｍ，２
Ｈ，ＣＨ₂ピリジン），２.５６（ｓ，３Ｈ，−Ｏ₂ＣＣ
Ｈ₂ＣＨ₂ＣＯＮＨＲ），１.８２（ｓ，３Ｈ，ＣＨ₃Ｃ＝
Ｃ−），１.６４（ｓ，３Ｈ，ＣＨ₃Ｃ＝Ｃ−）；ＩＲ
（ＫＢｒ）３４１０（ＯＨ），２９２０，２８４０，１
７２０（Ｃ＝Ｏ），１６２５（Ｃ＝Ｏ），１５３５，１
４３０，１３６０，１２２５，１１００，９８５ｃ
ｍ^-1；ＭＳ（負ＦＡＢ）１６０５（Ｍ−） 元素分析 Ｃ₇₅Ｈ₁₀₉Ｎ₅Ｏ₁₇Ｉ₂・４Ｈ₂Ｏとして 計算値（％）：Ｃ ５３.６７；Ｈ ６.９７；Ｎ ４.
１７ 実測値（％）：Ｃ ５３.９６；Ｈ ６.８３；Ｎ ３.
７２

【００３６】実施例４で表記化合物を調製するのに用い
た方法を使用することによって、以下の代表的な化合物
を、適当に置換したラバマイシンエステルおよび適当に
置換したアルキル化剤から調製することができる。 ３−［（３−カルボキシ−１−オキソプロピル）アミ
ノ］プロピルトリメチルアンモニウムとのラパマイシン
−３１,４２−ジエステルヨウ化物、３−［（３−カル
ボキシ−１−オキソプロピル）アミノ］プロピルトリメ
チルアンモニウムとのラパマイシン−３１,４２−ジエ
ステル硫酸塩、３−［（３−カルボキシ−１−オキソプ
ロピル）アミノ］プロピルトリメチルアンモニウムとの
ラパマイシン−３１,４２−ジエステルリン酸塩、３−
［（３−カルボキシ−１−オキソプロピル）アミノ］プ
ロピルトリメチルアンモニウムとのラパマイシン−３
１,４２−ジエステルｐ−トルエンスルホン酸塩、３−
［２−（３−カルボキシ−１−オキソプロピル）アミ
ノ］エチル］−１−メチル−キノリニウムとのラパマイ
シン−３１,４２−ジエステルヨウ化物。

【００３７】

【発明の効果】本発明により、免疫抑制剤、抗炎症剤、
抗菌類剤、および抗腫瘍剤として有用なラパマイシンの
アミドエステル類およびそれを含有してなる医薬組成物
が提供される。

Claims (10)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 構造式： 【化１】 ［式中、Ｒ¹およびＲ²は各々、独立して、水素または 【化２】 ；Ｘは−（ＣＨ₂）_m−または−Ａｒ−；Ｒ³およびＲ⁴は
   各々、独立して、水素、炭素原子１〜１２個のアルキ
   ル、−（ＣＨ₂）_n−Ａｒ、−（ＣＨ₂）_p−ＮＲ⁵Ｒ⁶、ま
   たは（ＣＨ₂）_p−Ｎ⁺Ｒ⁵Ｒ⁶Ｒ⁷Ｙ^-；Ｒ⁵およびＲ⁶は各
   々、独立して、水素、炭素原子１〜１２個のアルキル、
   または−（ＣＨ₂）_n−Ａｒ；Ａｒは、所望によりモノ−
   またはジ置換されていてもよい 【化３】 よりなる群から選択される基；ここに、該所望による置
   換基は炭素原子１〜６個のアルキル、炭素原子７〜１０
   個のアラルキル、炭素原子１〜６個のアルコキシ、シア
   ノ、ハロ、ニトロ、炭素原子２〜７個のカルバルコキ
   シ、または炭素原子１〜６個のペルフルオロアルキル；
   Ｒ⁷は炭素原子１〜６個のアルキル；Ｙはハライド、サ
   ルフェート、ホスフェート、またはｐ−トルエンスルホ
   ネートアニオン；ｎは１〜６；ｎは１〜６；ｐは１〜
   ６；ただし、Ｒ¹およびＲ²は共には水素でない］で示さ
   れる化合物またはその医薬上許容される塩。
2. 【請求項２】 Ｘが−（ＣＨ₂）_m−である請求項１記載
   の化合物。
3. 【請求項３】 Ｘが−（ＣＨ₂）_m−であってＲ³および
   Ｒ⁴が炭素原子１〜６個のアルキルである請求項１記載
   の化合物。
4. 【請求項４】 Ｘが−（ＣＨ₂）_m−、Ｒ³が水素であっ
   てＲ⁴が−（ＣＨ₂）_n−Ａｒである請求項１記載の化合
   物。
5. 【請求項５】 ４−（ジメチルアミノ）−４−オキソブ
   タン酸とのラパマイシン４２−エステルである請求項１
   記載の化合物。
6. 【請求項６】 ４−オキソ−４−［［２−（２−ピリジ
   ニル）エチル］アミノ］ブタン酸とのラパマイシン３
   １,４２−ジエステルまたはその医薬上許容される塩で
   ある請求項１記載の化合物。
7. 【請求項７】 ４−オキソ−［［２−（２−ピリジニ
   ル）エチル］アミノ］ブタン酸とのラパマイシン３１,
   ４２−ジエステル二塩酸塩である請求項６記載の化合
   物。
8. 【請求項８】 ２−［２−［（３−カルボキシ−１−オ
   キソプロピル）アミノ］エチル］−１−メチル−ピリジ
   ニウムとのラパマイシン３１,４２−ジエステルヨウ化
   物である請求項１記載の化合物。
9. 【請求項９】 構造式： 【化４】 ［式中、Ｒ¹およびＲ²は各々、独立して、水素または 【化５】 ；Ｘは−（ＣＨ₂）_m−または−Ａｒ−；Ｒ³およびＲ⁴は
   各々、独立して、水素、炭素原子１〜１２個のアルキ
   ル、−（ＣＨ₂）_n−Ａｒ、−（ＣＨ₂）_p−ＮＲ⁵Ｒ⁶、ま
   たは（ＣＨ₂）_p−Ｎ⁺Ｒ⁵Ｒ⁶Ｒ⁷Ｙ^-；Ｒ⁵およびＲ⁶は各
   々、独立して、水素、炭素原子１〜１２個のアルキル、
   または−（ＣＨ₂）_n−Ａｒ；Ａｒは、所望によりモノ−
   またはジ置換されていてもよい 【化６】 よりなる群から選択される基；ここに、該所望による置
   換基は炭素原子１〜６個のアルキル、炭素原子７〜１０
   個のアラルキル、炭素原子１〜６個のアルコキシ、シア
   ノ、ハロ、ニトロ、炭素原子２〜７個のカルバルコキ
   シ、または炭素原子１〜６個のペルフルオロアルキル；
   Ｒ⁷は炭素原子１〜６個のアルキル；Ｙはハライド、サ
   ルフェート、ホスフェート、またはｐ−トルエンスルホ
   ネートアニオン；ｎは１〜６；ｎは１〜６；ｐは１〜
   ６；ただし、Ｒ¹およびＲ²は共には水素でない］で示さ
   れる化合物またはその医薬上許容される塩の有効量を投
   与することを特徴とする哺乳動物において、移植拒絶、
   宿主対移植片疾患、自己免疫疾患および炎症疾患を治療
   する方法。
10. 【請求項１０】 請求項１記載の化合物の免疫抑制量お
    よび医薬担体よりなることを特徴とする医薬組成物。