JPH05138735A - 発泡樹脂製シート体の積層・シボ付け加工方法及びその装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は、シート体上に積層されるフィルム
体を歪みさせることなく、その表面部に施されるシボ付
けを明瞭に行うことができる発泡樹脂製シート体の積層
・シボ付け加工方法及びその装置を提供することを目的
とする。 【構成】 ヒータ６により加熱されたフィルム体１とシ
ート体２が積層状態で押えロール３とシボ付けロール４
との間に挿入され挟圧されようとすると、シート体２は
その挟圧開始の直前でこれらはヒータ７により加熱され
る。従って、シート体２はその加熱直後に前記挟圧が行
なわれるので、その熱的影響がフィルム体２に与えられ
ることはなく、また、積層体５はフィルム体１を内側に
してシボ付けロール４の略半周にわたり巻回されている
ので、少なくともその巻回の過程だけはシボ付けロール
４による転写効果が継続し、明瞭なシボ付けが行える。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、例えば風呂場用スノコ
製品、表皮シート付き被覆断熱管体用の積層シート製品
のように樹脂製フィルム体と発泡樹脂製シート体とから
成る積層体にシボ付け加工を施すための加工方法及びそ
の装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来、この種の装置としては、例えば図
３に示すように、スノコ用絵付きフィルム体Ａと発泡樹
脂から成る所定厚のシート体Ｂとを各別に繰り出させ、
該フィルム体Ａとシート体Ｂとを積層させるべく押えロ
ールＣとシボ付けロール（エンボスロール）Ｄとの間に
挿通させ、この挿通の際、両ロールＣ、Ｄの挟圧により
シボ付けロールＤの外周面のシボ模様がフィルム体Ａ側
に転写されるように構成されたものが知られている。

【０００３】この場合、フィルム体Ａ及びシート体Ｂの
各上流側には夫々ヒータＥ、Ｆが設けられているが、特
に、シート体Ｂの加熱用のヒータＦは両ロールＣ、Ｄか
ら所定距離Ｌ_F だけ離間した位置に設けられている。

【０００４】なお、かかる従来装置は、フィルム体Ａと
シート体Ｂとの積層体を両ロールＣ、Ｄの間に単に通過
させる構成となっており、フィルム体Ａ側への転写工程
は、両ロールＣ、Ｄの接触位置のみで行われるようにな
っている。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来技術の構成によると、従って、前記シボ付け加工が行
われる際には、シート体Ｂは既に加熱された状態になっ
ているので、両ロールＣ、Ｄを通過するまでの間に熱的
に不安定状態となり易く、該シート体Ｂの熱的変形によ
り積層されるフィルム体Ａに付された絵模様の歪み等の
問題を生じる。

【０００６】また、フィルム体Ａ側へのシボ付け加工領
域は、両ロールＣ、Ｄ同士の接触範囲と略同一、換言す
れば極めて狭い範囲に限られているので、シボ模様の転
写を明瞭に施すようにするには、挟圧時間を十分にとる
必要があり、例えば１０［ｍ／分］程度の割合でしか生
産できないという問題がある。

【０００７】本発明は、上記従来技術の課題を解決する
べくなされたものであり、シート体上に積層されるフィ
ルム体に歪みを生じさせることなく、しかも、シート状
積層体の表面部に施されるシボ付けを明瞭に行うことが
できる積層・シボ付け加工装置を提供することを目的と
する。

【０００８】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するべ
く、請求項１の発明は、発泡樹脂製シート体及び樹脂製
フィルム体を加熱し、前記シート体上に前記フィルム体
を積層した積層体を押えロールとシボ付けロールとの間
で挟圧させ、前記積層体のフィルム体側の表面部にシボ
付け加工を施すようにした樹脂製シート体のシボ付け加
工方法において、前記シート体を前記挟圧される略直前
位置で加熱し、該加熱された積層体をフィルム体を内側
にした状態で前記シボ付けロールの外周の少なくとも略
半周にわたり巻回させるようにしたことを特徴とする。

【０００９】また、請求項２の発明は、発泡樹脂製シー
ト体及び樹脂製フィルム体を夫々加熱する加熱手段を設
け、前記シート体上に前記フィルム体が積層された積層
体を押えロールとシボ付けロールとの間で挟圧させ、前
記積層体のフィルム体側表面部にシボ付け加工を施すよ
うに構成された樹脂製シート体のシボ付け加工装置にお
いて、前記シート体を加熱する加熱手段を前記押えロー
ル及びシボ付けロールによる挟圧開始の略直前位置に設
け、前記積層体のフィルム体側を前記シボ付けロールの
外周の少なくとも略半周にわたり巻回させる案内手段を
設けたことを特徴とする。

【００１０】

【作用】一方の加熱手段により加熱されたフィルム体
は、別個に繰り出されたシート体と積層状態で押えロー
ルとシボ付けロールとの間に挿入されるが、該シート体
は両ロールにより挟圧される直前でもう一方の加熱手段
により加熱される。該フィルム体とシート体の積層体
は、シート体の加熱の直後に前記両ロールにより挟圧さ
れ、シボ付けロールによる転写がフィルム体側から行わ
れるが、該積層体はシボ付けロールの略半周にわたり巻
回されるので、少なくともその巻回の過程だけはシボ付
けロールによる転写効果が継続する。

【００１１】

【実施例】図１は本発明の第１の実施例を示すものであ
り、絵付きフィルム体１は樹脂製（例えばポリエチレン
製）フィルム原反（図示省略）から繰り出され、シート
体２は発泡樹脂製（例えば発泡ポリエチレン）シート原
反（図示省略）から繰り出されるようになっており、少
なくとも後記ヒータの近傍では、フィルム体１の繰り出
し方向Ｎは略鉛直方向に沿い、シート体２の繰り出し方
向Ｈとは略直角をなしている。

【００１２】また、前記繰り出されたフィルム体１及び
シート体２は、外周面が略平坦な押えロール３と外周面
に所定のシボ模様型４ａが形成されたシボ付けロール４
とから成る加工部に向けて、かつ、フィルム体１がシボ
付けロール４に対向するように走行するようになってい
る。

【００１３】さらに、フィルム体１の上流側にはフィル
ム加熱用の加熱手段たるヒータ６が設けられている一
方、前記両ロール３、４の近傍、より詳細には、前記フ
ィルム体１及びシート体２が両ロール３、４により挟圧
されて積層体５となる直前位置には、フィルム体１とシ
ート体２との挟間位置にシート体加熱用の加熱手段たる
ヒータ７が設けられている。なお、前記両ロール３、４
は、各ロール面が近接し得るように、少なくとも前記押
えロール３は前記シボ付けロール４に対して移動自在に
設けらている。

【００１４】前記積層体５は、フィルム体１を内側にし
てシボ付けロール４の下方の略半周を巻回した後、案内
手段たる案内ロール８を介して巻取部（図示省略）に向
けて走行するようになっている。

【００１５】次に、上記のように構成された本第１の実
施例の作動につき説明する。

【００１６】フィルム体１とシート体２とが各別に繰り
出され、押えロール３とシボ付けロール４の近傍に達す
ると、フィルム体１は、例えばガスバーナから成るヒー
タ６により加熱された状態で、そしてシート体２は両ロ
ール３、４により挟圧される直前で、例えばガスバーナ
から成るヒータ７により所定温度で加熱される。

【００１７】加熱されたフィルム体１とシート体２と
は、押えロール３とシボ付けロール４との間で積層体５
となるが、該積層体５はフィルム体１側からシボ付けロ
ール４によるシボ模様の転写が行われる。

【００１８】この場合、前記積層体５はシボ付けロール
４の略半周にわたり巻回された後案内ロール８に向けて
走行する。前記転写は、主として押えロール３とシボ付
けロール４との間で行われるが、両ロール３、４により
直接的に挟圧された後もシボ付けロール４に巻回されて
いるので、少なくともその巻回の過程だけは前記転写の
効果が継続する。

【００１９】上記のようにして形成された積層体はシー
ト体２の加熱が両ロール３、４による挟圧の直前で行わ
れるので、シート体２の熱的に安定した状態でシボ付け
が行われ、従って、フィルム体１に熱的影響を与えるこ
とがなく、フィルム体１に付された絵模様の歪みを生じ
させることもない。

【００２０】さらに、本実施例の構成とすることによ
り、積層体５がシボ付けロール４に巻回される過程が長
くなるので、その分シボ付けの速度を速くすることが可
能となり、生産性を向上させる（例えば４０［ｍ／分］
という従来の略４倍の生産速度で）ことができる。

【００２１】図２は、本発明の第２の実施例を示すもの
であり、上記第１の実施例と異なるのは、前記シボ付け
ロール４を挟んで前記押えロール３と反対側の略対称位
置に反押えロール９を設ける構成した点である。なお、
該反押えロール１１は押圧機能を有すると共に、案内手
段を構成している。

【００２２】かかる構成とすることにより、シボ付けロ
ール４に巻回される積層体５は押えロール３と反押えロ
ール９により押圧することになるので、積層体５へのシ
ボ付け効果をさらに向上させることができる。他の構成
及び作用は上記第１実施例と同様であるので重複した説
明を省略する。

【００２３】

【発明の効果】以上のように、請求項１の発明によれ
ば、発泡樹脂製シート体及び樹脂製フィルム体を加熱
し、前記シート体上に前記フィルム体を積層した積層体
を押えロールとシボ付けロールとの間で挟圧させ、前記
積層体のフィルム体側の表面部にシボ付け加工を施すよ
うにした樹脂製シート体のシボ付け加工方法において、
前記シート体を前記挟圧される略直前位置で加熱し、該
加熱された積層体をフィルム体を内側にした状態で前記
シボ付けロールの外周の少なくとも略半周にわたり巻回
させるようにしたことを特徴とするので、シート体を熱
的に安定した状態の直後にシボ付けを行なうことがで
き、シート体の熱変形によるフィルム体の歪み誘引を防
止すると共に、シボ模様の転写を明瞭に行うことがで
き、特に絵模様付きスノコ製品の製造に適用して有用で
ある。また、積層体のシボ付けロールへの巻回過程を長
くできるので、その分シボ付け速度を速くすることがで
き、生産性の向上を実現できる。

【００２４】また、請求項２の発明は、発泡樹脂製シー
ト体及び樹脂製フィルム体を夫々加熱する加熱手段を設
け、前記シート体上に前記フィルム体が積層された積層
体を押えロールとシボ付けロールとの間で挟圧させ、前
記積層体のフィルム体側表面部にシボ付け加工を施すよ
うに構成された樹脂製シート体のシボ付け加工装置にお
いて、前記シート体を加熱する加熱手段を前記押えロー
ル及びシボ付けロールによる挟圧開始の略直前位置に設
け、前記積層体のフィルム体側を前記シボ付けロールの
外周の少なくとも略半周にわたり巻回させる案内手段を
設けたことを特徴とするので、請求項１の発明を容易か
つ具体的に実施することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の第１実施例の構成を示す概略側面図で
ある。

【図２】本発明の第２実施例の構成を示す概略側面図で
ある。

【図３】従来の発泡樹脂製シート体の積層・シボ付け加
工装置の構成を示す概略側面図である。

【符号の説明】 １ 樹脂製フィルム体、 ２ 発泡樹脂製シート体、 ３ 押えロール、 ４ シボ付けロール、 ５ シート状積層体、 ６、７ ヒータ、 ８ 案内ロール（案内手段）、 ９ 反押えロール（案内手段）。

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 発泡樹脂製シート体及び樹脂製フィルム
   体を加熱し、前記シート体上に前記フィルム体を積層し
   た積層体を押えロールとシボ付けロールとの間で挟圧さ
   せ、前記積層体のフィルム体側の表面部にシボ付け加工
   を施すようにした樹脂製シート体のシボ付け加工方法に
   おいて、前記シート体を前記挟圧される略直前位置で加
   熱し、該加熱された積層体をフィルム体を内側にした状
   態で前記シボ付けロールの外周の少なくとも略半周にわ
   たり巻回させるようにしたことを特徴とする発泡樹脂製
   シート体の積層・シボ付け加工方法。
2. 【請求項２】 発泡樹脂製シート体及び樹脂製フィルム
   体を夫々加熱する加熱手段を設け、前記シート体上に前
   記フィルム体が積層された積層体を押えロールとシボ付
   けロールとの間で挟圧させ、前記積層体のフィルム体側
   表面部にシボ付け加工を施すように構成された樹脂製シ
   ート体のシボ付け加工装置において、前記シート体を加
   熱する加熱手段を前記押えロール及びシボ付けロールに
   よる挟圧開始の略直前位置に設け、前記積層体のフィル
   ム体側を前記シボ付けロールの外周の少なくとも略半周
   にわたり巻回させる案内手段を設けたことを特徴とする
   発泡樹脂製シート体の積層・シボ付け加工装置。